◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 誤送信に気づいたら削除ではなく送信取消を選ぶ。個人向けLINEの標準では送信から1時間以内で、削除した後は取り消せない。
- 取消できても通知で見られた可能性は残るため、誤送信先への連絡と社内の記録は省かない。
- 個人データを含む場合は4類型に当たるかを確かめ、当たれば速報は発覚日から3〜5日以内に行う。
- 本来の発注先へ再送して受領の返信をもらい、誤送信先が手配を始めていないかも確かめる。
- 再発防止は原因で選び、似た名前のトークなら送信前確認、個人LINEでの業務利用なら業務用アカウントへの切り替えを検討する。
目次

LINEで発注を誤送信した直後にやること:送信取消と削除で消えるもの・消えないもの
仕入先へ送るはずの発注書を、似た名前の別の取引先のトークへ送ってしまった。
気づいた瞬間は「削除」を押したくなりますが、先に試すのは送信取消です。
個人向けLINEの標準では、送信取消は送信から1時間以内で、相手のトークからも消えます1。
削除は自分の画面から消えるだけで、押した後は取消ができなくなります1。
取り消せても、通知で内容を見られた可能性は残ります。
そのため、誤送信先への連絡と、本来の発注先へ正しい注文が届いたかの確認までを一続きで進めます。
個人データを含む場合は、報告が必要な4類型に当たるかも判断します。
送信取消と削除の違い
誤送信に気づいたとき、手元の画面から発注書を消したくなるのは自然なことです。
ただ、LINEには「送信取消」と「削除」という二つの消し方があり、消える範囲がまったく違います。
送信取消を使うと、自分のトークと相手のトークの両方からメッセージが消えます1。
削除では自分のトークから消えるだけで、相手のトークにはそのまま残ります1。
特に注意したいのは、先に削除を押すと、そのメッセージは後から送信取消できなくなることです1。
自分の画面から発注書が見えなくなると片付いたように感じますが、誤送信先には価格や数量が残ったままです。
しかも自分の側には送った内容が残らないため、相手に何が届いたのかを後で正確に説明しにくくなります。
誤送信に気づいたら、削除ではなく送信取消を選びます。
この一点を先に押さえておけば、慌てていても迷いません。
個人向けLINEの標準では、送信取消ができるのは送信から1時間以内です1。
写真に撮った注文書などの画像や動画も、送信取消の対象です1。
一方、PDFやExcelのファイルをそのまま送った場合の扱いは、ヘルプに明記がありません。
ファイルを送ってしまったときも、まず送信取消を試します。
そのうえで、次の節で説明する連絡を通じて、相手側に残っていないかを確かめるほうが確実です。
有料のLYPプレミアム会員は、取り消せる期間が標準より長くなります1。
また、相手が未読であれば通知を出さずに取り消せるなど、条件も異なります1。
ただし、特典の内容は対象プランや相手の既読状況、アプリのバージョンによって変わります。
自分の契約で長く取り消せるはずだと決めてかからず、気づいた時点ですぐに取消を試すのが現実的です。
取り消せないケース
送信取消が使えないのは、時間切れのときだけではありません。
個人向けLINEのヘルプでは、通常の送信取消が使えない場合がある場面として次が挙がっています1。
<ul><li>送信から時間が経ち、取消できる期間を過ぎたとき</li><li>旧仕様の複数人トーク</li><li>LINE公式アカウントとのトーク</li><li>オープンチャット</li><li>Bot機能のトークルーム</li></ul>
取引先とのやり取りで特に引っかかりやすいのは、相手がLINE公式アカウントで受注の窓口を作っている場合です。
個人のLINEからそうしたアカウントとのトークへ送った発注は、通常の送信取消が使えない場合があります1。
反対に、自社がLINE公式アカウントを運用し、管理画面のチャットから取引先へ送った場合は、送信から24時間以内であれば取消ができます2。
同じ「LINEで送った」でも、どちらの立場のアカウントから送ったかで、取り消せる時間が変わります。
仕入先や外注先との連絡用に作ったグループへ送ってしまった場合も、気になるところです。
ヘルプで使えない場合として挙がっているのは旧仕様の複数人トークで、通常のグループで取消が使えないとは書かれていません1。
グループだから無理だと決めつけず、まず取消を試します。
取り消す前に見られた可能性
送信取消が間に合っても、それで終わりにはできません。
LINEヘルプは、取消の前に届いた通知で、相手が内容の一部を見ている可能性があると説明しています1。
スマートフォンのロック画面などの通知に発注書の冒頭や品名、金額が出ていれば、トークを開かなくても目に入ります。
つまり、取消できたかどうかで分かるのは「相手のトークに残っているか」までです。
「誰にも見られていないか」までは分かりません。
既読が付いていなくても、通知で見られた可能性は否定できません。
そのため、取消できた場合でも、誤送信先への一言の連絡と、社内での記録は残しておきます。
どこまで連絡するかは、誤送信先が誰か、送った内容に何が含まれていたかで変わります。
| 項目 | 送信取消 | 削除 |
|---|---|---|
| 自分のトーク | 消える | 消える |
| 相手のトーク | 消える | 残る |
| 後からの送信取消 | — | 削除した後はできない |
| 個人向けLINE標準の期限 | 送信から1時間以内 | — |
| 通知での閲覧 | 取消前に見られた可能性が残る | 相手のトークに残る |
▼ 図の内容を文字で読む
- 個人向けLINEの標準
- 送信から1時間以内なら送信取消
- 削除した後は取消できない
- 自社のLINE公式アカウントのチャット
- 送信から24時間以内なら取消できる
- 通常の送信取消が使えない場合がある
- 取消できる期間を過ぎたとき
- 旧仕様の複数人トーク
- LINE公式アカウントとのトーク
- オープンチャットとBot機能のトークルーム
LINE誤送信の宛先と内容で変わる連絡の仕方:謝罪・削除依頼・社内報告・法的な報告
誤送信先が取引先・社外・社内の場合
ここで示す連絡の順番や文面は、法律で決まった手順ではありません。
取消の仕組みと報告制度を前提にした、実務上の提案です。
まず考えたいのは、誤送信先が誰かです。
同じ発注書でも、別の仕入先に届いたのか、取引と関係のない知人に届いたのか、社内の別の人に届いたのかで、相手にお願いすることが変わります。
誤送信先が別の取引先の場合に一番避けたいのは、相手が自社宛ての注文だと受け取って手配を始めることです。
そのため、謝罪と削除のお願いに加えて、「この注文は手配しないでください」とはっきり伝えます。
取消できた場合でも、通知で品名と数量だけを見て動き出す可能性は残るため、同じ一文を添えておくと安心です。
文面は、たとえば次のような短いもので足ります。
「先ほど、本来は別の取引先へお送りする発注内容を、誤ってこちらのトークへ送信してしまいました。
大変失礼いたしました。
送信は取り消しましたが、もし内容がお手元に残っていたり保存されていたりする場合は、削除していただけますでしょうか。
なお、この注文は御社への発注ではありませんので、手配は不要です。」
取消できなかった場合は、「送信は取り消しましたが」の部分を「送信の取消ができなかったため」に置き換えます。
取引と関係のない社外の人に届いた場合は、手配の心配はない代わりに、内容が広がらないようにすることが中心になります。
謝罪と削除のお願いを伝え、転送や保存をしていないかを尋ねます。
相手が業務上の関係のない個人であれば、こちらの会社名と担当者名を名乗り、問い合わせ先を伝えておくと、相手も事情を確かめやすくなります。
社内の別の担当者に届いた場合は、外部への漏えいではありません。
ただ、そのまま放置すると、本来の発注先に届いていないことが見落とされます。
社内での誤送信は、本来の発注先への再送を最も忘れやすい場面です。
どの場合も、上長や情報管理の担当者には、送信の時刻、送った先、送った内容、取消ができたかどうか、相手の既読の有無を伝えておきます。
後で取引先から問い合わせがあったときや、次に説明する報告の要否を判断するときに、この記録が土台になります。
価格・図面だけの場合と個人データを含む場合
連絡の重さを分けるのは、送った内容に個人データが含まれていたかどうかです。
個人情報保護委員会への報告や本人への通知が問題になるのは、個人データの漏えい等(そのおそれを含む)に当たる場合です3。
品番、数量、単価、納期、図面だけの発注であれば、この報告制度の対象外になり得ます。
ただし、報告が要らないことと、問題がないことは同じではありません。
仕入価格や図面は、他の取引先に知られると取引条件の交渉や信頼に響く情報です。
取引先と秘密保持の取り決めを結んでいる場合は、その取り決めに沿った連絡が要るかを社内で確かめます。
反対に、気づきにくいのが個人データの混入です。
たとえば、ネットショップの注文を仕入先から購入者へ直接発送してもらう発注では、発注書に購入者の氏名、住所、電話番号が入ることがあります。
図面や仕様書の欄外に、自社や取引先の担当者の氏名と連絡先が書かれていることもあります。
送った内容を見直すときは、金額や品名だけでなく、人の名前や連絡先が入っていなかったかまで目を通します。
前の節で見たとおり、送信取消は相手のトークから消すための操作です。
取消できたかどうかと、報告が必要かどうかは別の判断になります。
取消できても通知で見られた可能性は残るため、個人データが含まれていたなら、取消の成否にかかわらず、次の4類型に当たるかを確かめます。
個人情報保護委員会への報告が必要になる4類型と期限
民間の個人情報取扱事業者が個人情報保護委員会へ報告するのは、個人データの漏えい等やそのおそれのうち、次の4類型のいずれかに当たる場合です3。
行政機関等は、人数の基準が異なります3。
<ul><li>要配慮個人情報(取扱いに特に配慮が必要とされる個人情報)が含まれる</li><li>財産的被害が生じるおそれがある</li><li>不正の目的によるおそれがある</li><li>本人の数が1,000人を超える</li></ul>
4類型に当たる場合、速報は発覚日から3〜5日以内に行います3。
その後に確報を提出し、確報にも期限があります3。
不正の目的によるおそれがある場合は、確報の期限が通常より長く設定されています3。
あわせて、本人には事態の状況に応じて速やかに、概要、漏えいしたデータの項目、原因などを通知します4。
本人への通知が難しい場合は、公表や問い合わせ窓口の設置などの代替措置も認められています4。
こうした報告と通知は、令和4年(2022年)から義務になっています4。
誤送信も報告の対象になり得ます。
委員会の資料では、会員1,000人超へのメール配信で、BCC欄に入れるべきアドレスをCC欄に入れて一括送信した例が挙がっています3。
ただしこれはメールの例で、LINEでの発注の誤送信にそのまま当てはまるとは限りません。
直送の発注書に購入者数名の氏名や住所が載っていた程度であれば、記載された項目しだいで4類型のどれにも当たらない場合もあり得ます。
一方で、誤送信先が内容を見ずに削除した場合に漏えいに当たるかどうかなど、個別の事情で判断が分かれる点もあります。
迷う場合は、社内の情報管理の担当者や専門家と相談して決めます。
| 誤送信先 | 相手に主に伝えること | 社内で残すこと |
|---|---|---|
| 別の取引先 | 謝罪・削除のお願い・この注文は手配不要 | 送信時刻・送り先・内容・取消の可否・既読の有無 |
| 取引と関係のない社外の人 | 謝罪・削除のお願い・転送や保存の有無 | 送信時刻・送り先・内容・取消の可否・既読の有無 |
| 社内の別の担当者 | 削除のお願い | 本来の発注先へ再送したか |
▼ 図の内容を文字で読む
- 別の取引先
- 謝罪と削除のお願い
- この注文は手配不要と伝える
- 取引と関係のない社外の人
- 謝罪と削除のお願い
- 転送や保存の有無を尋ねる
- 社内の別の担当者
- 削除のお願い
- 本来の発注先へ再送したかを確かめる
▼ 図の内容を文字で読む
- 送った内容を見直す:氏名・住所・連絡先などの個人データが入っていないか
- 4類型に当たるか確かめる:要配慮個人情報/財産的被害のおそれ/不正の目的のおそれ/本人1,000人超
- 委員会へ報告:速報は発覚日から3〜5日以内、その後に確報
- 本人へ通知:概要・データの項目・原因など。困難なら公表などの代替措置
本来の発注先に注文は届いているか:二重発注と納期遅れを防ぐ立て直し
正しい注文の再送と受領確認
取消や連絡に気を取られている間、本来の発注先にはまだ何も届いていません。
誤送信で失うのは情報だけでなく、発注から納品までの時間でもあります。
締め切り時刻や当日出荷の受付時間がある取引先なら、誤送信先への連絡と並行して、正しいトークへ発注を送り直します。
送り直す前に、宛先のトーク名と、発注書に書いた取引先名が一致しているかを見ておきます。
慌てているときほど、同じ取り違えを繰り返しやすいためです。
送った後は、品番、数量、納期を添えた受領の返信をお願いしておくと、届いたかどうかを相手の言葉で確かめられます。
既読が付くだけでは、相手が注文として受け付けたかまでは分かりません。
誤送信先からの着手・転送の確認
誤送信先が仕入先や外注先だった場合、もう一つ確かめたいのが、相手が手配を始めていないかです。
取消が間に合っても、通知で品名と数量を見た担当者が、いつもの追加注文だと思って動き出すことは考えられます。
手配が始まっていれば、本来の発注先と合わせて同じ品物を二重に発注した状態になります。
そうなると、キャンセルや返品の調整が必要になるかもしれません。
前の節の連絡で「手配は不要です」と伝えたら、相手から了解の返信をもらえたかまで確認します。
返信がない場合は、電話など別の手段で一度確かめておくと、納品されてから気づく事態を避けやすくなります。
あわせて、社内の他の担当者へ転送された可能性がないかも尋ねておくと、削除のお願いが一人で止まらずに済みます。
履歴の保存期間と照合
後日、「あの注文はいつ、どの内容で送ったか」を照合したくなる場面があります。
自社がLINE公式アカウントのチャットで発注している場合、チャット内容は無料範囲で半年、Chat Proオプションでは5年間保存されます2。
この期間内であれば、誤送信と再送の時刻や内容を管理画面で見比べられます。
半年より前の取引をさかのぼる必要があるなら、無料範囲のままでは足りません。
また、グループや複数人のチャットで送った画像・動画やファイルは、プランに関わらず短い期間しか保存されません2。
発注書をファイルで送っている場合は、チャットの保存期間とは別に控えを残しておく必要があります。
個人のLINEで発注している場合は、履歴の管理が担当者それぞれの端末に任されます。
担当者が替わると、会社として過去の発注を確かめにくくなります。
個人LINEのトーク履歴がどの条件でどれだけ残るかは、照合の前提にできません。
そのため、LINEで送った発注も、送信日時、送り先、内容を別の発注台帳に記録しておくと安心です。
誤送信の照合にも、次に考える原因の切り分けにも、この記録が使えます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 本来の発注先へ再送:トーク名と発注書の取引先名が一致しているか見てから送る
- 受領の返信をもらう:品番・数量・納期を添えた返信で届いたかを確かめる
- 誤送信先の手配を止める:手配は不要と伝え、了解の返信まで確認する
- 発注台帳に記録:送信日時・送り先・内容を別に残す
なぜLINEで発注の宛先を取り違えるのか:トーク名・グループ・個人LINE利用の原因を切り分ける
似た名前のトーク
注文を立て直したら、次は同じ取り違えを繰り返さないための準備です。
対策を選ぶ前に、今回の誤送信がどの原因に近いかを切り分けます。
ここで挙げる三つの原因は、LINEで発注する場面を前提にした整理で、どれが多いかを調べた結果ではありません。
原因が違えば、効く対策も変わります。
トーク一覧には、相手の名前やグループ名が並びます。
同じ会社の別の担当者、社名が似た二つの仕入先、同じ姓の担当者が並ぶと、一覧の中で一文字の違いを見分けることになります。
続けて別々の取引先へ発注していると、さっき開いたトークに次の発注を送ってしまうこともあります。
この原因に近いなら、対策はトークの見分けやすさと、送る直前の照合に向けます。
発注書の冒頭に宛先の会社名を書いておけば、送る直前にトーク名と本文の会社名が食い違っていることに気づけます。
トークの表示を自分の側で会社名入りに変えられる場合は、それも見分けの助けになります。
個別とグループの混在
ある取引先とは個別のトークで、別の取引先とは先方の担当者数人が入ったグループで、とやり取りの形が混ざっていることがあります。
この状態では、発注のたびに「この会社はどこへ送るのだったか」を思い出す必要があります。
個別に送るべき内容をグループに送れば、本来見せる必要のない担当者にまで見えてしまいます。
グループに複数の会社が入っていれば、ある会社への価格が別の会社に見える形になります。
この原因に近いなら、取引先ごとに発注を送る場所を一つに決め、その一覧を担当者の間で共有することが対策の中心になります。
どのトークに送るかの判断を、担当者の記憶から一覧表へ移すイメージです。
個人LINEでの業務利用
担当者が私用のLINEで取引先とつながっていると、家族や友人とのトークと発注のトークが同じ一覧に並びます。
私用の相手に発注書が届く誤送信は、この使い方でなければ起きません。
さらに、履歴が個人の端末にしか残らないため、誤送信が起きても管理者が状況を確かめにくくなります。
前の節で見た照合も、担当者頼みになります。
この原因に近い場合は、送信前の確認だけでは仕組みの問題が残ります。
業務用のアカウントへ切り替えるかどうかを、次の節で比べます。
| 原因 | 起きる場面 | 対策の向き |
|---|---|---|
| 似た名前のトーク | 社名や担当者名が似た相手が一覧に並ぶ | トークの見分けやすさと送信直前の照合 |
| 個別とグループの混在 | 取引先ごとに送り先の形が違う | 取引先ごとの送り先を一つに決めて共有 |
| 個人LINEでの業務利用 | 私用と業務のトークが同じ一覧に並ぶ | 業務用アカウントへの切り替えを検討 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 似た名前のトーク
- 発注書の冒頭に宛先の会社名を書く
- 送る直前にトーク名と本文の会社名を照合する
- 個別とグループの混在
- 取引先ごとに発注を送る場所を一つに決める
- その一覧を担当者の間で共有する
- 個人LINEでの業務利用
- 送信前の確認だけでは仕組みの問題が残る
- 業務用のアカウントへの切り替えを検討する
LINE発注の誤送信を防ぐ選び方:送信前確認・LINE公式アカウント・業務用チャットの比較
送信前確認ルール
最初に取り組みやすいのは、ツールを変えずに送る手順を決めることです。
たとえば次のような確認があります。
<ul><li>発注書の冒頭に、宛先の会社名と担当者名を書く</li><li>送信する前に、トーク名と冒頭の会社名が一致しているかを見る</li><li>複数の取引先へ続けて発注するときは、一件ごとにトーク一覧へ戻ってから開く</li><li>送った後は受領の返信を求め、返信がなければ確かめる</li></ul>
これらは新たな費用がかからず、すぐに始められます。
送る直前に宛先と本文を突き合わせる工程が入るため、似た名前のトークを取り違えたときに気づく機会が増えます。
一方で、確認は人の注意に頼るので、急いでいるときや担当者が替わったときに抜けやすいという限界があります。
私用の相手への誤送信や、履歴が会社に残らないことなど、個人LINEを業務に使うこと自体から生じる問題は、このルールでは解決しません。
LINE公式アカウントの機能と限界
発注の窓口を自社のLINE公式アカウントにまとめると、取引先とのやり取りが管理画面のチャットに集まります。
チャットにはタグを付けられ、無料範囲では1個まで、Chat Proオプションでは最大30個まで追加できます2。
取引先の区分をタグにしておけば、チャットを開いたときに相手の区分が目に入り、似た名前の相手と取り違えたときに気づく手掛かりになります。
ただし無料範囲のタグは1個なので、取引先を細かく分けたい場合はChat Proオプションが前提になります。
前の節で見たとおり、チャット内容は無料範囲で半年、Chat Proオプションで5年間保存され、送信から24時間以内なら取消もできます2。
担当者の私用LINEから業務を切り離せる点も、個人LINEでの業務利用が原因だった場合には意味があります。
一方で、LINE公式アカウントは主に顧客への配信やチャットのための仕組みです。
取引先との発注管理を目的にした仕様とは限らず、取引先側にも発注のやり取りをこのアカウントへ移してもらう必要があります。
また、自社から取引先へ送る分は取消できますが、取引先が個人のLINEから公式アカウントへ送った内容は、通常の送信取消が使えない場合があります1。
LINE WORKSなど業務用チャット
社内外のやり取りを会社の管理下に置きたいなら、LINE WORKSのような業務用チャットも選択肢になります。
LINE WORKSには無料のフリープランと有料プランがあり、トーク履歴を残す有償オプション「アーカイブ(トーク)」も用意されています5。
料金や人数の条件はプランごとに異なるため、提供元の料金ページで最新の条件を見て判断します。
ただし、管理者がトークを確認したりメッセージを削除したりできるのか、送信取消がどの条件で使えるのかは、確かめられていません。
誤送信が起きたときに管理者が何をできるかは、導入を決める前に提供元へ確認したい項目です。
取引先にも同じサービスを使ってもらう必要があるかどうかも、切り替えの負担を左右します。
自社に合う選び方
三つの手段は、上から順に置き換えるものではありません。
原因と負担の大きさを見て選びます。
似た名前のトークの取り違えが原因で、発注の件数もそれほど多くないなら、まず送信前確認ルールと発注台帳から始めるのが負担の小さい選択です。
ルールを決めても取り違えが続く場合や、取引先ごとの送り先の管理を仕組みで支えたい場合に、業務用のアカウントを検討します。
個人LINEで業務をしていることが原因なら、ルールだけでは届かない部分が残ります。
その場合は、早めに業務用アカウントへの切り替えを考えます。
顧客とのやり取りに既にLINE公式アカウントを使っていて、取引先の数が限られているなら、その延長で発注の窓口をまとめる方法があります。
社内の担当者同士の連絡もまとめて管理したい、履歴を会社として長く残したいという事情が強いなら、業務用チャットの管理機能や履歴保存の条件を比べる価値があります。
どの手段を選んでも、宛先を取り違える可能性がなくなるわけではありません。
変わるのは、送る前に気づく機会と、送った後に取り消せる時間、そして誰が履歴を確かめられるかです。
今回の誤送信で困ったのがどの部分だったかを振り返ると、選ぶべき手段が絞れます。
| 比較の軸 | 個人向けLINE | LINE公式アカウント | LINE WORKS |
|---|---|---|---|
| 宛先の管理 | 担当者が各自のトーク一覧で選ぶ | 管理画面のチャット・タグは無料範囲1個/Chat Pro最大30個 | 管理者機能の内容は未確認 |
| 履歴の保存 | 担当者の端末頼み(保存条件は未確認) | 無料範囲で半年/Chat Proで5年 | 有償オプションのアーカイブ(トーク)あり |
| 送信取消 | 標準は送信から1時間以内 | 送信から24時間以内 | 未確認 |
| 費用・負担 | 新たな導入作業は不要だが私用と業務が混ざる | 取引先側の協力が必要・タグを増やすにはChat Pro | 無料プランと有料プラン・条件は提供元の料金ページ |
▼ 図の内容を文字で読む
- 送信前確認ルール
- 新たな費用がかからずすぐ始められる
- 人の注意に頼るため抜けやすい
- LINE公式アカウント
- タグは無料範囲1個、Chat Proオプションで最大30個
- チャット保存は無料範囲で半年、Chat Proオプションで5年
- 取引先側の協力が必要
- LINE WORKSなど業務用チャット
- 有償オプションのアーカイブ(トーク)がある
- 管理者の機能と送信取消の条件は未確認
誤送信の初動が済んだ後も、取引先ごとの発注経路や記録の残し方は、自社の取引の形を見ないと決めにくい部分です。
いまの発注がどのトークやアカウントを通っているかを整理し、宛先の取り違えが起きやすい箇所と、発注の記録を残す方法の候補を確かめられます。無料相談で要件を整理する
LINEで発注を誤送信した後に確かめること
誤送信に気づいてから作業を進める順に並べた。
- 削除ではなく送信取消を試したか(個人向けLINEの標準は送信から1時間以内)
- 取り消せても、通知で見られた可能性を前提に誤送信先へ連絡したか
- 送った内容に、氏名や住所などの個人データが含まれていないか
- 本来の発注先に正しい注文を送り、受領の返信をもらったか
- 誤送信先が手配を始めていないか、了解の返信をもらったか
個人データが含まれていたら、連絡と並行して4類型に当たるかの判断を進める。
要点の整理
| 判断の場面 | 要点 |
|---|---|
| 取消と削除 | 誤送信に気づいたら削除ではなく送信取消。削除した後は取消できない |
| 取消できる期間 | 個人向けLINEの標準は送信から1時間以内、自社のLINE公式アカウントのチャットは24時間以内 |
| 取消後の連絡 | 通知で見られた可能性があるため、誤送信先へ謝罪と削除のお願い。取引先なら手配不要と伝える |
| 法的な報告 | 個人データを含み4類型に当たる場合、速報は発覚日から3〜5日以内 |
| 注文の立て直し | 本来の発注先へ再送し、品番・数量・納期で受領を確かめる |
| 再発防止 | 原因に応じて送信前確認ルールから始め、個人LINEでの業務利用が原因なら業務用アカウントを検討 |
再発防止の手段は、取引先の数や、顧客とのやり取りにLINEをどう使っているかで向き不向きが変わります。 送信前確認のルールで足りるのか、業務用アカウントへの切り替えが要るのかを、自社の発注の流れに沿って確かめられます。
よくある質問
LINEで誤送信して1時間を過ぎたら、もう取り消せないのか
個人向けLINEの標準では、送信取消ができるのは送信から1時間以内で、過ぎると取り消せません1。
有料のLYPプレミアム会員は、取り消せる期間が長いなど条件が異なります1。
取り消せない場合は、誤送信先へ謝罪と削除のお願いを伝え、相手が取引先なら手配不要であることも添えます。
削除ボタンを押してしまった後で送信取消はできるのか
できません。
削除は自分のトークから消えるだけで相手には残り、削除したメッセージは後から送信取消できません1。
相手に連絡して削除をお願いすることになるため、何を送ったかを発注書の控えなどで確かめてから連絡します。
誤送信先が取引先の場合、どんな文面で連絡すればよいか
謝罪、誤送信であること、削除のお願い、この注文は御社への発注ではなく手配不要であること、の四点が入っていれば足ります。
取消できたかどうかも添えると、相手が手元の状態を確かめやすくなります。
了解の返信をもらえたかまで確認しておくと、二重発注を防ぎやすくなります。
価格や図面だけの誤送信でも個人情報保護委員会への報告は必要か
報告制度の対象は個人データの漏えい等で、要配慮個人情報、財産的被害のおそれ、不正目的のおそれ、1,000人超の4類型のいずれかに当たる場合です3。
品番や価格、図面だけで個人データが含まれていなければ、対象外になり得ます。
ただし、図面や発注書に担当者や購入者の氏名・連絡先が入っていないかは見直します。
報告が要らない場合でも、取引先との秘密保持の取り決めに沿った対応が要るかは別に確かめます。
個人LINEで発注している場合、まず何を変えればよいか
発注書の冒頭に宛先の会社名を書き、送る直前にトーク名と照らす送信前確認から始められます。
ただし、私用の相手への誤送信や、履歴が会社に残らない問題はこのルールでは解決しません。
発注の記録を台帳に残しつつ、業務用アカウントへの切り替えを検討します。
グループトークに誤送信した場合は取消できるのか
個人向けLINEのヘルプで通常の送信取消が使えない場合として挙がっているのは旧仕様の複数人トークなどで、通常のグループで使えないとは書かれていません1。
まず送信取消を試します。
取り消せた場合も、参加者が通知で見た可能性を前提に、グループ内で誤送信であることと削除のお願いを伝えます。
- 1 出典:LINEヤフー株式会社「LINEヘルプセンター:メッセージの取り消し(送信取消)と削除」(2026年)
- 2 出典:LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント マニュアル(チャット)」(2026年)
- 3 出典:個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」(2026年)
- 4 出典:個人情報保護委員会「漏えい等報告の義務化(法改正の特集ページ)」(2026年)
- 5 出典:ワークスモバイルジャパン株式会社「LINE WORKS 利用料金ページ」(2026年)