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買掛システムの初期費用は受注側にかかる?取引先の請求書受領の案内で確認すること

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 受注側に費用が出るかは仕組みの設計と契約条件で決まり、自社が画面で伝票や請求書を作る設計では費用が出る可能性がある
  • 案内文は、費用の記載、負担者と契約の相手、従来方式を続けられるかの3点で読む
  • 料金は、人数と件数の上限、月額と取引手数料、初期費用の順に自社の作業へ当てはめる(CORECの例は一社の料金で相場ではない)
  • 取適法の規定が関わるのは、取引の内容と規模の両方を満たす取引に限られ、システム利用料が違反かどうかは個別に判断される
  • 無料の範囲なら承諾し、費用が重いか理由が不明なら書面で協議し、移る理由がなければ従来方式の継続を申し出る

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▽ 写真の出典元

取引先の買掛システムへの登録を案内されたら、まず自社に費用が出るかを切り分ける

取引先から「今後の請求書はこちらのシステムから提出してください」と案内されたものの、自社にも初期費用や月額がかかるのか分からず、返事を保留していないでしょうか。
買掛の仕組みを入れるのが取引先でも、受注側にかかる費用は仕組みの設計と契約条件で決まります。
そのため、一律に無料とも有料とも言えません。
承諾する前に、案内文の費用の記載、負担を求める理由、従来の出し方を続けられるかを確かめてください。
そうすれば、承諾・交渉・従来方式の継続のどれを選ぶかを自社で決められます。
費用を求められた場合は、取適法の対象になる取引かどうかも判断の材料になります。

案内文で見る3点(費用の記載・負担者・断れるか)

案内を受け取ったときに最初に迷うのは、書かれていないことの扱いです。
費用の欄がない案内を読んでも、無料だから書いていないのか、登録後の画面で初めて料金が出てくるのかは区別できません。
返事を急ぐより先に、案内文を次の3点で読み直すと、分かっていることと分かっていないことを整理できます。

  • 費用の記載:初期費用・月額・件数や取引額に応じた料金のどれかが書かれているか。
    「無料」とあれば、無料の範囲(使える人数や作成できる件数)まで書かれているか
  • 負担者:料金が発生する場合に、払うのは取引先か自社か。
    自社が払うなら、契約の相手は取引先か、システムの提供会社か
  • 断れるか:登録しない場合に、メールや紙での請求を続けられるか

3点目は見落としやすい部分です。
案内が協力の「お願い」なのか、「今後はこの方法でしか受け付けない」という通知なのかで、自社が選べる幅は大きく変わります。
文面からどちらとも読めるなら、その曖昧さ自体が取引先に問い合わせる理由になります。

2点目で契約の相手まで確かめるのは、支払先によって話し合う相手が変わるからです。
取引先を通して費用を請求される形なら、金額も含めて取引先と話せます。
一方、自社が提供会社と直接契約する形なら、料金表そのものは動かせません。
その場合に取引先と話し合えるのは、誰がその料金を払うかという分担になります。

受取側が無料の設計と、受注側が機能を使う設計の違い

誰に費用がかかるかは、仕組みの設計で分かれます。
確認できた資料からは、少なくとも次の3通りの設計が見えてきます。

一つ目は、仕組みを導入して帳票を発行する会社が料金を持ち、受け取る相手には費用がかからない設計です。
請求書発行システムの楽楽明細の公式FAQは、利用料金は発行元企業が負担し、帳票を受け取る取引先に費用は発生しないと回答しています2。
取引先がこの種の仕組みで注文書や支払通知を送ってきて、自社は届いたものを開くだけなら、この設計に近い使い方です。
ただし、この回答は楽楽明細という一つの製品についてのものです。
取引先が使う仕組みがすべて同じだという意味ではありません。

二つ目は、受注側が自分で画面に入り、注文を受け、出荷伝票や請求書を作る設計です。
この場合、受注側は届いたものを受け取るだけの相手ではなく、機能の利用者になります。
受発注システムのCORECは、受注側(サプライヤー)向けに初期費用0円で、無料プランと月額のビジネスプランを用意しています1。
一定の範囲までは無料で使え、その先は有料になる作りです。

三つ目は、業界共通の規格に合わせる設計です。
EDIとは、受発注や請求のデータを、企業間で決めた形式でやり取りする仕組みを指します。
中小企業庁のミラサポplusは、2018年4月に公開された中小企業共通EDI標準について説明しています。
受注側企業は、この標準に対応したプロバイダーと業務アプリを利用するだけで済み、大きな費用はかからないという内容です3。
ただし、この説明に金額は書かれていません。
また、取引先が独自に作ったポータルには、この説明はそのまま当てはまりません。

3通りを見分ける手掛かりは、その仕組みの中で自社が何をするかです。
届いたものを見るだけなのか、自社の担当者がログインして伝票や請求書を作るのか、自社の業務アプリから規格に沿ってデータを送るのかを確かめます。
案内文から自社の作業が読み取れれば、費用が出る可能性のある設計かどうかの見当がつきます。
作業の内容が書かれていなければ、料金資料と合わせて操作の流れを取引先に求めるのが早道です。

取引先の案内文で読む3点
費用の記載、負担者と契約の相手、従来の請求を続けられるかの3点を分けて示した図費用の記載、負担者と契約の相手、従来の請求を続けられるかの3点を分けて示した図費用の記載初期費用・月額・件数や取引額に応じた料金のどれかが書かれているか「無料」なら使える人数や作成できる件数まで書かれているか負担者料金が発生する場合に払うのは取引先か自社か自社が払うなら契約の相手は取引先か提供会社か断れるか登録しない場合にメールや紙での請求を続けられるか協力の「お願い」か、この方法でしか受け付けない通知か

▼ 図の内容を文字で読む
  • 費用の記載
    • 初期費用・月額・件数や取引額に応じた料金のどれかが書かれているか
    • 「無料」なら使える人数や作成できる件数まで書かれているか
  • 負担者
    • 料金が発生する場合に払うのは取引先か自社か
    • 自社が払うなら契約の相手は取引先か提供会社か
  • 断れるか
    • 登録しない場合にメールや紙での請求を続けられるか
    • 協力の「お願い」か、この方法でしか受け付けない通知か
自社の作業で見分ける3通りの設計(一つの製品・規格の説明に限る模式図)
届いた帳票を開くだけの設計、画面で伝票や請求書を作る設計、共通の規格で送る設計を自社の作業と費用の説明で分けた図届いた帳票を開くだけの設計、画面で伝票や請求書を作る設計、共通の規格で送る設計を自社の作業と費用の説明で分けた図発行側が料金を持つ設計自社は届いた帳票を開くだけある発行システムのFAQでは、受け取る取引先に費用は発生しないとされる受注側が画面で機能を使う設計自社の担当者がログインして伝票や請求書を作るある受発注システムの受注側向けは、初期費用0円で無料プランと月額プランがある共通の規格に合わせる設計自社の業務アプリから規格に沿ってデータを送る対応するプロバイダーと業務アプリを使えば大きな費用はかからないとの説明で、金額の記載はない

▼ 図の内容を文字で読む
  • 発行側が料金を持つ設計
    • 自社は届いた帳票を開くだけ
    • ある発行システムのFAQでは、受け取る取引先に費用は発生しないとされる
  • 受注側が画面で機能を使う設計
    • 自社の担当者がログインして伝票や請求書を作る
    • ある受発注システムの受注側向けは、初期費用0円で無料プランと月額プランがある
  • 共通の規格に合わせる設計
    • 自社の業務アプリから規格に沿ってデータを送る
    • 対応するプロバイダーと業務アプリを使えば大きな費用はかからないとの説明で、金額の記載はない

受注側に費用が出る場合の項目(初期費用・月額・上限)と、見比べる順序

初期費用と月額

自社が画面で作業する設計だと分かったら、次は料金の項目を自社の作業に結び付けて読みます。
ここではCORECの受注側向けプラン(2026年10月時点の記載)を物差しに使います1。
これは一社の料金表で、相場を示すものではありません。
それでも、どの項目がどの作業に関わるかを見るには十分具体的な例です。

初期費用は始めるときに一度だけかかる費用で、月額は使い続ける限り毎月かかる費用です。
CORECの受注側向けでは初期費用が0円です。
月額は無料プランが0円、ビジネスプランが2,980円(税別)です1。
税別の表示なので、実際の支払額には消費税が加わります。

案内を読むときは、「初期費用0円」の一文だけで安心しないことが大切です。
初期費用がかからなくても、人数や件数の条件によって月額のプランに移る作りなら、費用は使い始めた後に発生します。
反対に、取引先の案内に初期費用だけが書かれ、月額の記載がない場合も注意が必要です。
月額がないのか、書いていないだけなのかを尋ねてください。
月額は毎月の固定費になります。
そのため、請求書1通分の手間と比べるより、年単位の負担額をその取引先との取引額と並べるほうが、重さを判断しやすくなります。

人数と件数の上限

無料プランで足りるかどうかは、多くの場合、人数と件数の二つの上限で決まります。
CORECの無料プランは、会員登録した1名だけが使え、出荷伝票や請求書は20件までです。
ビジネスプランでは担当者を何名でも追加でき、作成の上限もありません1。

人数の上限は、自社で誰がその画面を触るかに置き換えて読みます。
たとえば、注文の確認と出荷は営業担当が行い、締めの請求書は経理担当が作るという分担の会社を考えてみます。
1名のみという条件では、どちらかがもう一人の作業も引き受けるか、ほかの方法を考えることになります。
アカウントを共有してよいかは提供会社の規約による別の問題なので、ここでは前提にしません。
また、登録した担当者が休むと誰も画面を開けない、という事態も起こりえます。

件数の上限は、取引先からの注文の数と、自社が出荷や請求をどの単位で行うかで決まります。
出荷のたびに伝票を作り、月末に請求書をまとめて出す運用なら、件数の大半は出荷伝票が占めます。
注文の多い取引先ほど、早く上限に届きます。
上限の数え方(一定期間ごとか累計か)と、超えたときの扱いは、ここで確認した記載からは読み取れません。
申し込む前に、料金ページや提供会社の案内で確かめておくと、後になって慌てずに済みます。

取引手数料の有無

取引手数料は、取引額や件数に応じて差し引かれたり請求されたりする費用です。
月額と違って取引が増えるほど負担も増えるため、売上に直接響きます。
CORECの受注側向けページには、取引手数料の記載は見当たりません1。

ほかの仕組みの案内を読むときは、月額や初期費用の欄とは別に、「手数料」「決済」「取引額の◯%」といった言葉がないかを確かめます。
月額が無料でも手数料がかかる設計なら、比べるべきは月額ではなく、自社の取引額にかかる手数料の額です。
記載がなければ、「取引額に応じてかかる費用はありますか」と一文で尋ねれば足ります。

項目を見比べる順序

項目は次の順に読むと、自社の負担に結び付けやすくなります。
まず、自社が画面で何をするかを決めます。
次に、その作業に必要な人数と件数を見積もり、無料の範囲に収まるかを確かめます。
収まらない場合は、月額と手数料を足した毎月の負担を出します。
初期費用を見るのは最後で構いません。
先に初期費用を見ると、「0円なら問題ない」と判断を早めてしまいがちです。

この順で読めば、自社にかかる費用の中身と、それが今の取引量で発生するかどうかが分かります。
次に残る疑問は、その費用を取引先が求めること自体に問題がないかです。

項目 無料プラン ビジネスプラン 関わる受注側の作業
初期費用 0円 0円 利用を始めるときの登録
月額 0円 2,980円(税別) 使い続ける限り毎月
利用できる人数 会員登録した1名のみ 担当者を何名でも追加可 注文を受ける人・請求書を作る人
出荷伝票・請求書の作成 20件まで 無制限 出荷ごとの伝票、締めごとの請求書
取引手数料 記載は見当たらない 記載は見当たらない 取引額に連動する費用
申し込み 会員登録 会員登録後の設定画面から 有料プランへの切り替え
費用の項目ごとの発生の仕方(一社の料金表を例にした参考値)
初期費用、月額、人数と件数の上限、取引手数料が、それぞれいつ・何に応じて負担になるかを分けた図初期費用、月額、人数と件数の上限、取引手数料が、それぞれいつ・何に応じて負担になるかを分けた図初期費用始めるときに一度だけかかる費用例の料金表では0円。0円でも後から月額に移る場合がある月額使い続ける限り毎月かかる固定費例の料金表では無料プランが0円、ビジネスプランが2,980円(税別)人数と件数の上限無料の範囲に収まるかを決める条件例の無料プランは会員登録した1名のみ、出荷伝票や請求書は20件まで取引手数料取引額や件数に応じて、取引が増えるほど負担も増える費用例の受注側向けページには記載が見当たらない

▼ 図の内容を文字で読む
  • 初期費用
    • 始めるときに一度だけかかる費用
    • 例の料金表では0円。0円でも後から月額に移る場合がある
  • 月額
    • 使い続ける限り毎月かかる固定費
    • 例の料金表では無料プランが0円、ビジネスプランが2,980円(税別)
  • 人数と件数の上限
    • 無料の範囲に収まるかを決める条件
    • 例の無料プランは会員登録した1名のみ、出荷伝票や請求書は20件まで
  • 取引手数料
    • 取引額や件数に応じて、取引が増えるほど負担も増える費用
    • 例の受注側向けページには記載が見当たらない

取引先が受注側に費用負担を求めることは許されるのか(取適法の確認点)

金銭などの提供要請の禁止

費用がかかると分かると、次に浮かぶのは「取引先の都合で入れる仕組みの費用を、こちらが払う必要があるのか」という疑問です。
ここで関わりうるのが、2026年1月に施行された取適法です。
旧下請法にあたる法律で、発注する側を「委託事業者」、受ける側を「中小受託事業者」と呼びます4。

取適法は、委託事業者が自己のために金銭や役務その他の経済上の利益を中小受託事業者に提供させ、中小受託事業者の利益を不当に害することを禁じています(第5条第2項第2号)4。

この規定がシステム利用料に当てはまるかどうかは、個別の事情で判断が分かれます。
利用料を求められたことだけで、ただちに違反とは言えません。
それでも、規定の言葉から、相談の前に整理しておきたい事実は見えてきます。
その仕組みが主に誰の作業を減らすためのものか、自社にとって使う利点があるか、負担について事前に説明や話し合いがあったか、といった点です。
これらは違反かどうかの判断基準そのものではありません。
窓口に事情を正確に伝えるための材料です。

協議に応じない一方的な代金決定の禁止

もう一つ関わるのが、価格についての規定です。
中小受託事業者が価格の協議を求めたのに委託事業者が応じず、必要な説明もしないまま一方的に代金を決めることも禁止されています4。

システム利用料そのものは代金ではありません。
ただ、月額を自社が負担すれば、代金が同じでも手元に残る額は減ります。
そこで、費用の負担を理由に単価を見直したいと申し入れれば、代金について協議を求める形になります。
取適法の対象となる取引であれば、その求めに取引先が応じたか、説明があったかが意味を持ちます。
申し入れた日付と内容を記録に残しておけば、後からたどることができます。

適用されるかの見分け方

ここまでの規定が働くのは、取適法の対象となる取引に限られます。
対象かどうかは、二つの条件の組み合わせで決まります。
一つは取引の内容で、製造委託・修理委託、特定運送委託、情報成果物作成委託・役務提供委託が挙げられています。
もう一つは事業者の規模で、資本金の規模または従業員数の基準で判断します5。
両方を満たしてはじめて対象になります。

迷いやすいのは、取引の内容のほうです。
取引先の注文に応じて製品を作っている、修理を請け負っている、制作物を納めている、といった取引なら、類型の名前と照らし合わせる出発点があります。
一方、自社の既製品を卸しているだけの取引が対象に入るかは、類型の名前だけでは判断がつきません。
この点は、取引の中身を伝えたうえで相談窓口に確かめるべき事柄です。

規模の基準となる具体的な金額や人数は、公正取引委員会の概要ページで確かめられます5。
自社と取引先の双方について資本金と従業員数を手元にそろえ、取引の内容と合わせて照らし合わせてください。
判断がつかなければ、その情報を持って相談窓口に問い合わせると、話が早く進みます。

対象外と分かった場合でも、話し合う余地がなくなるわけではありません。
法令で禁じられているかどうかとは別に、取引条件として費用の分担を話し合うことはできます。

取適法の規定が関わるかを確かめる順序
取引の内容、規模の基準の順に確かめ、両方を満たす場合に個別に判断し、迷えば相談窓口に伝える流れ図1取引の内容が製造委託・修理委託、特定運送委託、情報成果物作成委託・役務提供委託に当たるか2資本金の規模または従業員数の基準を満たすか3両方を満たす場合、費用負担の要請や一方的な代金決定が規定に触れるかを個別に判断する4判断がつかないときは、取引の内容と経緯を相談窓口に伝えて確かめる

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 取引の内容が製造委託・修理委託、特定運送委託、情報成果物作成委託・役務提供委託に当たるか
  2. 資本金の規模または従業員数の基準を満たすか
  3. 両方を満たす場合、費用負担の要請や一方的な代金決定が規定に触れるかを個別に判断する
  4. 判断がつかないときは、取引の内容と経緯を相談窓口に伝えて確かめる

承諾・交渉・従来方式の継続のどれを選ぶか

返事を出すまでの確認の順序

ここまでの説明を、取引先へ返事を出すまでの順序に並べ直します。
以下は編集部が提案する確認の順序で、法的な助言ではありません。

  1. 案内文に費用の記載があるか。
    無料なら、その範囲まで書かれているか
  2. 自社が負担する項目と金額(初期費用・月額・人数や件数の条件・取引手数料)
  3. 自社の受注件数と、画面を使う担当者の数
  4. 取引の内容と双方の規模から見た、取適法の対象になる可能性
  5. メールや紙など、従来の方式を続けられるか

この順序で確かめるのは、前の答えによって後の確認が要らなくなる場合があるからです。
1と2で自社に費用がかからない、あるいは3で無料の範囲に収まると分かれば、4や5を深く調べる必要は小さくなります。
反対に、2で費用が出て、3で無料の範囲を超えそうだと分かったときは、4と5が話し合いの材料として効いてきます。

承諾してよい場合

費用の負担者が取引先だと明記されている場合や、自社の件数と人数が無料の範囲に収まると確かめられた場合は、承諾してよい場面です。
ただし、CORECのように無料プランに人数と件数の上限がある設計では1、今の取引量で収まっていても、注文が増えれば有料に移る可能性が残ります。
承諾の返事に「現在の件数で無料の範囲に収まる前提で登録します」と一文添えておくと、条件が変わったときに話を戻す足場になります。

どの場面でも、承諾の前に費用の有無と負担者を文書で確かめておくことを勧めます。
電話で「無料です」と聞いただけでは、登録後に料金の案内が出てきたとき、何を約束されていたのかをたどれません。

条件を交渉する場合

費用がかかり、その額が取引の規模に比べて重い場合や、なぜ自社が払うのか理由が分からない場合は、承諾する前に問い合わせと協議に進みます。
最初に尋ねるのは、負担を求める理由と、金額の算出根拠です。
口頭ではなくメールなどの書面で尋ねれば、回答がそのまま判断の材料になります。

たとえば、取引先から「来月から請求書は専用画面で作成してください。担当者を追加する場合は月額がかかります」という案内が届いたとします。
自社では営業担当と経理担当がそれぞれ作業しているため、1名のみの無料の範囲では回りません。
この場合、交渉の選択肢は一つではありません。
月額を取引先に持ってもらう案、件数の上限が問題なら請求書をまとめて出す単位を相談する案、費用分を単価に反映できないか協議する案などが考えられます。
どれが通るかは取引先との関係で変わります。
それでも、理由と金額が分かっていれば、話し合いの土台は作れます。

取適法の対象になる可能性がある取引で、価格の協議を求めたのに取引先が応じず、説明もないまま条件を決められた場合は、前の節で見た規定に関わる事実になります4。
申し入れた日付と内容、取引先の回答を残しておいてください。

従来方式の継続を申し出る場合

費用を払ってまで新しい方式に移る理由が自社にないなら、メールや紙での請求を続けたいと申し出ることもできます。
受け入れられるかどうかは、取引先との契約や運用によります。
案内が「お願い」の段階なら受け入れられる余地があります。
一方、取引先が社内で受付の方法を一本化している場合は、難しいこともあります。

申し出るときは、理由を「費用がかかるから」だけにせず、自社の事情を具体的に書くと話が進みやすくなります。
たとえば、件数が少なく有料プランに見合わない、画面を使える担当者が限られる、といった事情です。
自社が中小企業共通EDI標準に対応した業務アプリをすでに使っているなら、その規格でのやり取りを提案する道もあります3。
ただし、取引先の仕組みがその規格に対応しているかは、尋ねてみないと分かりません。

相談先を使う場面

取引の内容が取適法の類型に近く、自社が中小受託事業者に当たりそうな状況で、費用の負担を一方的に求められた。
あるいは、協議を申し入れても応じてもらえなかった。
こうした場面では、違反かどうかを自社だけで判断せず、公的な相談窓口に取引の内容と経緯を伝えて確かめるのが確実です。
取適法を所管するのは公正取引委員会で、その概要ページ5が手掛かりになります。
相談の前に、案内文、費用の資料、書面でのやり取り、双方の資本金と従業員数をそろえておくと、事情が伝わりやすくなります。

費用を負担すると決めた場合は、帳簿の扱いも確かめておきたいところです。
その費用を利用料として扱うのか、取引上の値引きや協賛に近いものとして扱うのかで、処理が変わる可能性があります。
科目や消費税の扱いは、費用の性質を伝えたうえで顧問税理士に確認してください。

取引先へ返事を出すまでの確認の順序(編集部の提案)
案内文の費用の記載、自社の負担項目と金額、受注件数と担当者数、取適法の対象の可能性、従来方式を続けられるかを順に確かめる流れ図1案内文に費用の記載があるか2自社が負担する項目と金額3自社の受注件数と画面を使う担当者の数4取適法の対象になる可能性5従来の方式を続けられるか

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 案内文に費用の記載があるか
  2. 自社が負担する項目と金額
  3. 自社の受注件数と画面を使う担当者の数
  4. 取適法の対象になる可能性
  5. 従来の方式を続けられるか
確認の結果と選ぶ対応(編集部の提案)
承諾、条件の交渉、従来方式の継続の申し出、相談窓口の利用について、選ぶ場面と取る行動を並べた図承諾、条件の交渉、従来方式の継続の申し出、相談窓口の利用について、選ぶ場面と取る行動を並べた図承諾負担者が取引先と明記されている、または無料の範囲に収まる費用の有無と負担者を文書で残す条件の交渉費用が重い、または負担を求める理由が分からない理由と金額の算出根拠を書面で尋ね、協議を申し入れる従来方式の継続の申し出費用を払ってまで新しい方式に移る理由が自社にない件数や担当者の事情を具体的に伝える相談窓口の利用取適法の類型に近く、一方的に負担を求められた取引の内容と経緯、双方の資本金と従業員数をそろえて伝える

▼ 図の内容を文字で読む
  • 承諾
    • 負担者が取引先と明記されている、または無料の範囲に収まる
    • 費用の有無と負担者を文書で残す
  • 条件の交渉
    • 費用が重い、または負担を求める理由が分からない
    • 理由と金額の算出根拠を書面で尋ね、協議を申し入れる
  • 従来方式の継続の申し出
    • 費用を払ってまで新しい方式に移る理由が自社にない
    • 件数や担当者の事情を具体的に伝える
  • 相談窓口の利用
    • 取適法の類型に近く、一方的に負担を求められた
    • 取引の内容と経緯、双方の資本金と従業員数をそろえて伝える

取引先との関係を気にしながら案内文を読み解き、自社の受注や請求の流れと照らし合わせる作業は、一人で抱えると返事が遅れがちです。

届いた案内と自社の受注・請求の流れを並べ、取引先に尋ねるべき項目と、費用の条件に関わる作業を整理できます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
案内文 費用の記載、負担者と契約の相手、従来方式を続けられるかを読む
設計の見分け 自社が画面で伝票や請求書を作るなら、費用が出る可能性がある
料金の読み方 人数・件数の上限、月額と手数料、初期費用の順に自社の作業へ当てはめる
取適法 取引の内容と規模の両方を満たす取引で、費用負担の要請や一方的な代金決定の規定が関わる
選ぶ対応 無料の範囲なら承諾、重いか理由が不明なら書面で協議、移る理由がなければ従来方式を申し出る

承諾・交渉・従来方式の継続のどれを選ぶにしても、取引先へ送る問い合わせや申し出の文面で、何を書けばよいかに迷う場面が残ります。 自社の件数や担当者の事情を踏まえ、取引先へ確認・協議を申し入れる際に伝える事実の並べ方を確かめられます。

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よくある質問

取引先の案内に費用の記載がないとき、何を問い合わせるべきですか。

次の点を尋ねます。
費用がかかるかどうか、かかるなら誰が負担するのか(契約の相手は取引先か提供会社か)、無料なら使える人数と作成できる件数の範囲、取引額に応じた手数料があるか、登録しない場合に従来の方式を続けられるかです。
回答は、メールなどの書面で受け取っておくと後から確かめられます。

無料プランの件数上限を超えたらどうなりますか。

扱いは仕組みによって異なります。
CORECの受注側向けでは、無料プランで作成できる出荷伝票や請求書は20件までで、無制限に作成するにはビジネスプランへの申し込みが必要です1。
ただし、上限の数え方や、超えたときに作成が止まるのか切り替えを求められるのかは、確認した記載からは分かりません。
取引先が使う仕組みについては、登録の前に提供会社の案内や取引先に確かめてください。

専用ポータルを使わず、従来のメール請求を続けたいと伝えてもよいですか。

伝えること自体はできます。
受け入れられるかは、取引先との契約や運用によります。
件数が少ない、画面を使える担当者が限られるなど、自社の事情を具体的に添えると話が進みやすくなります。

費用負担を断ったことで取引条件が不利になったら、どこに相談できますか。

取引が取適法の対象になる可能性があれば、公的な相談窓口に取引の内容と経緯を伝えて確かめます。
取適法の所管は公正取引委員会です5。
案内文、費用の資料、協議を申し入れた日付と内容、取引先の回答を残しておくと、事情を説明しやすくなります。
対象外の取引や判断がつかない場合は、弁護士など取引の法務に詳しい専門家に相談する方法もあります。

自社が取適法の対象かどうかは、どう調べればよいですか。

取引の内容と事業者の規模の両方で判断します。
取引の内容は、製造委託・修理委託、特定運送委託、情報成果物作成委託・役務提供委託のいずれかに当たるかを見ます。
規模は、資本金の規模または従業員数の基準で判断します5。
具体的な基準は公正取引委員会の概要ページで確かめ、自社と取引先の資本金・従業員数と照らし合わせます。
既製品を卸しているだけの取引のように類型に当たるか迷う場合は、相談窓口で確かめてください。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

> プロフィールの詳細を見る

  1. 1 出典:株式会社ラクーンコマース「COREC 受注側(サプライヤー)向け料金ページ」(2026年)
  2. 2 出典:株式会社ラクス「楽楽明細 FAQ「帳票を受け取る側の取引先に費用は発生しますか」」(2026年)
  3. 3 出典:中小企業庁「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!(ミラサポplus)」(2020年)
  4. 4 出典:公正取引委員会「委託事業者の禁止行為(取適法)」(2026年)
  5. 5 出典:公正取引委員会「取適法の概要」(2026年)

画像の出典元

  1. A businesswoman in a modern office organizing a stack of files beside a laptop./Photo by Pavel Danilyuk on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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