◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 受け取った注文書の保存義務はスキャンしても消えず、法人は確定申告書の提出期限の翌日から原則7年保存する
- 個人事業者は請求書・納品書・領収書などが5年だが、注文書は明記がないため区分を確かめてから決める
- 原本を廃棄できるのはスキャナ保存の要件に沿って保存した場合で、区分と要件は国税庁の最新の一問一答で確かめる
- 手書きの注文書は、読み取れない・訂正の跡が判別できないものを原本保管に回し、感熱紙は早めにスキャンする
- 一人担当は、日付付きの記録と一定期間の原本保管を組み合わせ、根拠を書いた規程で交代時にも判断できるようにする
目次

手書きの注文書はスキャンしても保存義務が残る。法人7年・個人5年が、原本を捨てる判断の出発点になる
取引先から手書きの注文書がFAXや郵送で届き、スキャンまでは済ませた。
棚は空けたいものの、捨てたあとで困れば、その責任を負うのも自分です。
受け取った注文書は、法人なら原則7年の保存が求められます。
この義務はスキャンしても消えません1。
原本を捨てられるのは、スキャナ保存の要件に沿って画像を保存した場合です4。
書類の区分と要件を国税庁の最新資料で照らし、確認した記録を残し、一定期間は原本を手元に置いてから廃棄します。
この順にすれば、一人でも根拠を持って判断できます。
スキャンしただけでは廃棄できない理由
手書きの注文書をスキャンすると、画面で紙と同じ内容を見られるようになります。
ただ、見られることと、保存の義務を果たしていることは別の話です。
税務上、取引に関して受け取った書類は一定期間保存することになっています。
法人の場合、その書類の例として注文書が挙がっています1。
紙をやめて画像に置き換えるなら、画像での保存のしかたが制度に沿っている必要があります。
要件に従って保存すれば紙の書類は処分できる、と説明する解説があります4。
裏返すと、要件を満たさないまま原本を捨てた場合、手元に残るのは「制度上の保存として認められるか分からない画像」だけです。
税務の確認で注文書を見せるよう求められたとき、原本も、要件どおりの電子データもない状態になりかねません。
捨てる判断が難しいのは、まさにこの点です。
一人で担当していると、スキャンが終わった時点で一区切りついた気持ちになりがちです。
しかし廃棄できるかどうかは、作業が終わったかでは決まりません。
決め手は、「どの制度の、どの要件で保存したか」と「いつまで保存が要るか」の二つです。
まず、後者の保存期間から確かめます。
3つの制度のうち、紙の注文書に関わるのはどれか
国税庁は、帳簿や書類の電子保存に関わる制度を、電子取引データ保存・電子帳簿等保存・スキャナ保存の3つに整理しています3。
取引先が手書きで作り、FAXや郵送、持参で届いた注文書は、受け取った時点では紙の書類です。
これを画像にして保存するのは、スキャナ保存にあたります3。
3つの制度は名前が似ているため、別の制度の要件を読んでしまうことがあります。
たとえば電子取引の検索要件を調べて「これを満たせばよい」と判断すると、スキャンした紙の注文書には別の要件がかかっていた、ということが起こりえます。
調べ始める前に「自分が扱うのは、紙で受け取ってスキャンしたもの」と決めておくと、読む資料を取り違えにくくなります。
同じ取引先から、注文がメールの添付ファイルで届くこともあるかもしれません。
その場合は、紙の注文書と同じ要件で考えないでください。
国税庁の特設サイトで、どの制度にあたるかを確かめます3。
どの制度にあたるかは、注文書の中身ではなく、届いた形で分かれると考えると整理しやすくなります。
法人の場合の保存期間と起算日
法人は、帳簿と、取引に関して作成・受領した書類を、確定申告書の提出期限の翌日から原則7年保存します1。
書類の例に注文書が挙がっているので、取引先から受け取った手書きの注文書もここに入ると読めます1。
欠損金が生じた事業年度などは10年です1。
廃棄日を決めるときに効いてくるのが、起算日が「受け取った日」ではない点です。
基準になるのは、その取引が属する事業年度の確定申告書の提出期限です。
注文書ごとの受領日で数えると、早く捨てすぎるおそれがあります。
実務では、事業年度ごとにまとめて保存し、年度単位で期限を管理すると数え間違いを防ぎやすくなります。
10年になる年度があるかどうかは、注文書を見ているだけでは分かりません。
欠損金があるかは決算の結果で決まるため、経理担当や顧問の税理士に確かめておきます1。
また、7年は税務上の原則です。
取引先との契約で保存期間を決めている場合や、業種ごとの法令に定めがある場合は、それぞれ別に確かめます。
個人事業者の場合と、明示のない部分の扱い
個人事業者は、業務に関して作成・受領した請求書・納品書・領収書などの書類を5年保存すると説明されています2。
ただ、このページには注文書も見積書も名前が挙がっていません2。
「など」に注文書が含まれると考えたくなりますが、ページの記載だけでは言い切れません。
個人事業の注文書を5年で捨てるつもりなら、その区分で足りるかを、税務署や税理士に確かめてから決めるほうが安全です。
迷いが残るうちは、長いほうの期間に合わせて保存する選び方もあります。
短く見積もって捨てた書類は取り戻せませんが、長く保存した分はあとから整理できます。
法人か個人かで、保存期間も確認先も変わります。
まず勤め先がどちらなのかを押さえておきます。
仮にグループ会社の注文書をまとめて処理しているなら、書類ごとに、どの事業者が受け取ったものかを分けておく必要があります。
| 区分 | 保存期間 | 注文書の扱い | 確かめること |
|---|---|---|---|
| 法人 | 確定申告書の提出期限の翌日から原則7年(欠損金が生じた事業年度などは10年) | 書類の例に注文書が挙がる | 欠損金のある年度かどうか・契約や業法の定め |
| 個人事業者 | 請求書・納品書・領収書などは5年 | ページ上に明記がない | 注文書が同じ区分かを税務署や税理士に確認 |
スキャナ保存の要件を満たせば原本は廃棄できる。一人担当で確認すべき項目
注文書の書類区分を最新のQ&Aで確かめる
保存期間が分かったら、次は「どの要件で画像を保存すれば紙を処分できるか」です。
スキャナ保存では、書類の性質によって区分が分かれ、区分ごとに求められる要件が変わります。
事業者の解説でも、帳簿との相互関連性の確認は2024年1月以後は重要書類のみに求められるとされ、区分で要件が違うことが示されています4。
注文書がどの区分に入るかで、満たすべき要件の範囲が変わります。
そのため、廃棄を判断する前に、国税庁の特設サイトから最新の一問一答や取扱通達を開き、注文書の扱いを確かめます3。
解説記事や他社の運用例で区分を見かけても、それは国税庁の原文ではありません。
確認した資料の名前と確認した年を記録しておくと、後で根拠を説明しやすくなります。
一人担当にとって、ここが最も迷いやすいところです。
読んでも区分を判断できないときは、特設サイトで案内されている電話相談を使えます3。
相談した日と聞いた内容の要点をメモしておけば、自分の判断の根拠を他の人にも示せます。
一人で満たせる要件と、システムが要る要件
解説で挙がっている要件を、運用の工夫で一人でも対応できるものと、保存先の仕組みに左右されるものに分けると、準備の順番が見えてきます4。
ただし、これは事業者の解説をもとにした整理です。
国税庁の原文に照らして最終確認することが前提になります。
- 訂正削除の事実と内容を確認できること:保存した画像を後から直したり消したりしたときに、その事実と内容が分かる仕組みが必要です4。
- タイムスタンプ:訂正削除ができないシステムに保存する場合は不要とされています4。
- 検索:取引年月日・取引金額・取引先で探せることが挙がっています4。
- 帳簿との相互関連性:2024年1月以後は重要書類のみに求められます4。
- 解像度や階調などの読み取り条件:スキャナの設定で対応しますが、具体的な値は一問一答で確かめます。
並べてみると、一人の努力で何とかなる部分は思ったより少ないことが分かります。
訂正削除の確認やタイムスタンプの要否は、保存先がどう作られているかで決まります。
共有フォルダに画像を置くだけの運用では、上書きや削除の履歴が残る設定になっているかを確かめないと、この要件を満たしているか判断できません。
その状態のまま原本を捨てるのは避けたいところです。
反対に、検索の要件は一人の作業として手元に回ってきます。
手書きの注文書では、取引年月日・金額・取引先名を目で読んで入力するため、読み違いがそのまま検索の誤りになります。
この点は、手書き特有の読み取りの問題とつながっています。
| 要件 | 何で満たすか | 一人担当がすること |
|---|---|---|
| 訂正削除の事実と内容の確認 | 保存先の仕組み | 履歴が残る設定かを確かめる |
| タイムスタンプ | 保存先の仕組み(訂正削除できないシステムなら不要とされる) | 保存先を選ぶ段階で確かめる |
| 検索(取引年月日・取引金額・取引先) | 入力作業 | 手書きの内容を読み取って入力する |
| 帳簿との相互関連性 | 区分しだい(2024年1月以後は重要書類のみ) | 注文書の区分を一問一答で確かめる |
| 解像度・階調など | スキャナの設定 | 具体的な値を一問一答で確かめる |
▼ 図の内容を文字で読む
- 紙で届いた注文書
- FAX・郵送・持参で受け取る
- 画像にして保存するのはスキャナ保存
- メールの添付で届いた注文書
- 紙の注文書と同じ要件で考えない
- 特設サイトでどの制度か確かめる
- 調べ始める前に
- 自分が扱うのは紙で受け取ってスキャンしたもの
- 読む資料を取り違えにくくなる
手書きの注文書ならではの落とし穴は、読み取りと訂正と感熱紙
判読できない文字と訂正の扱い
ここからは制度の要件ではなく、手書きの注文書を扱う現場で起こりやすい問題への備えです。
手書き特有の扱いが公的資料で示されているわけではないため、誤って捨てないための実務上の提案として読んでください。
手書きの数字は、書いた人の癖で読み方が変わります。
たとえば「1」と「7」、「0」と「6」が紛らわしい注文書は、画像で見ると紙で見るより判断しにくくなることがあります。
紙なら角度を変えたり、筆圧の跡を見たりできますが、画像ではそれができません。
数量や単価が読めない画像だけを残して原本を捨てると、取引先と金額が合わないときに確かめる手段がなくなります。
訂正の入った注文書も同じです。
取引先が二重線で消して書き直し、そばに印を押している場合は、訂正前の数字と訂正印が画像で判別できるかを見ておきます。
訂正の跡が画像で読み取れないなら、その注文書は原本を残す側に回すほうが無難です。
確かめ方は単純です。
スキャンした画像を等倍で開き、紙を見ずに、品名・数量・単価・金額・日付・取引先名を読み取れるかを試します。
一か所でも読めなければ、設定を変えて取り直すか、原本を残す側に回します。
FAXで届いた紙の退色
FAXで届いた注文書が感熱紙に印字されていると、時間がたつにつれて文字が薄くなることがあります。
これは紙の性質による問題で、税務上の要件として示されたものではありません。
それでも「原本を残しておけば安心」とは言えない点で、ほかの紙とは事情が違います。
感熱紙の注文書は、届いたら早めにスキャンして画像を確かめておくと、薄くなる前の状態を残せます。
原本を一定期間保管する運用にしていても、感熱紙は保管中に読めなくなる可能性があるため、原本だけに頼らない扱いが要ります。
普通紙で受信するようにFAXを変えれば退色の問題は起きにくくなります。
ただし、受け取る形そのものを変える場合は、確かめる制度も変わりうる点に注意します。
取引先との食い違いの確認
手書きの注文書では、受け取った側の読み取りと、発注した取引先の意図がずれることがあります。
数量を「10」と読んで出荷したら、取引先は「16」と書いたつもりだった。
このような食い違いは、出荷や請求の段階になって初めて表に出ます。
原本を捨てるのは、こうした食い違いが出尽くしてからにするのが安全です。
具体的には、その注文の納品と請求が済み、取引先から問い合わせや差し戻しがないことを確かめてからにします。
食い違いが出たときに原本の筆跡を見られれば、どちらの読み方が正しかったかを取引先と一緒に確かめられます。
この「食い違いが出うる期間」が、原本をどれだけ保管するかを決める手掛かりになります。
| 起きやすいこと | 画像だけ残したときに困ること | 廃棄前に確かめること |
|---|---|---|
| 判読しにくい数字 | 数量や金額を確かめられない | 等倍の画像で紙を見ずに読めるか |
| 訂正の跡 | 訂正前後の内容が分からない | 訂正前の数字と訂正印が判別できるか |
| 感熱紙の退色 | 原本も読めなくなる | 届いたら早めにスキャンし画像を確かめたか |
| 取引先との読み違い | 筆跡で照らし合わせられない | 納品と請求が済み問い合わせがないか |
▼ 図の内容を文字で読む
- 取引が属する事業年度
- 確定申告書の提出期限
- その翌日から原則7年保存
一人でも回せる手順:受領→確認→一定期間保管→記録して廃棄
受領から入力までの流れ
ここまでの話を、一人で毎日回せる流れにまとめます。
以下は、制度の要件を満たしたうえでの運用の提案です。
期間などの具体的な設定は社内で決めます。
- 受領:注文書が届いたら受領日を記録し、感熱紙のものは優先してスキャンに回す。
- 読み取りの確認:画像を等倍で開き、紙を見ずに必要な項目が読めるかを試す。
- 検索項目の入力:取引年月日・取引金額・取引先を入力する4。
- 原本の一時保管:受領した月ごとなどの単位で箱にまとめ、廃棄予定の時期を書いておく。
- 廃棄前の確認:納品と請求が済み、取引先との食い違いがないかを見る。
- 記録して廃棄:廃棄した日・対象の範囲・確かめた内容を残してから処分する。
受け取ってから入力するまでの期間についても、一問一答で扱いを確かめます。
確かめた期限は手順書に書き込んでおきます3。
一人担当の負担が大きいのは、2の読み取りと3の入力です。
ここを後回しにして溜めると、感熱紙の退色や記憶の薄れが重なり、読み違いに気づきにくくなります。
廃棄の前後に残す記録
自分以外に確認者がいなければ、「誰かがダブルチェックした」という裏付けは作れません。
その代わりになるのが、日付付きの記録と、すぐには捨てない保管期間です。
これらは制度が求めるものではなく、誤って捨てる危険を下げるための工夫です。
記録は、次の項目を一覧にしておくと後から探せます。
- 廃棄した日
- 廃棄した注文書の範囲(受領した月、取引先など)
- 対応する画像の保存場所
- 廃棄前に確かめた内容(読み取り、納品と請求の完了、問い合わせの有無)
- 判断の根拠にした国税庁の資料の名前と、確認した年
一人担当の記録が意味を持つのは、確認した時点と内容が、後から書き換えにくい形で残っているときです。
表計算のファイルに書くなら、毎回上書きせず、廃棄のたびに行を足していく形にすると、いつ何を確かめたかを遡れます。
見直すのも結局は自分ですが、日を置いて見直すだけでも、スキャンした当日には気づかなかった読み違いを拾える機会が生まれます。
即時廃棄・一定期間保管・紙のまま保管の比較
原本の扱いは、大きく三つから選べます。
どれが正解かというより、一人担当がどこまで負担を引き受けられるかと、間違えたときに戻れる余地のどちらを重く見るかで選び方が変わります。
要件を満たした保存ができていれば、紙はすぐに処分できるとする解説もあります4。
ただ、手書きの注文書では、読み違いや取引先との食い違いが表に出るのは出荷や請求の後です。
即時廃棄は確認を一度で終える前提に立つため、一人担当では見落としを拾い直す機会がなくなります。
一定期間保管は、その中間にあたります。
保管の長さは、食い違いが出うる期間、つまり自社の注文から請求、入金までの流れを基準に決めると、根拠を説明しやすくなります。
たとえば締め日の翌月に請求し、その翌月に入金がある取引なら、入金を確かめるまでは原本を残す、という決め方です。
紙のまま保存期間いっぱい保管するのは、要件を満たす仕組みがまだ整っていない段階での選択肢です。
スキャン画像は検索や参照に使い、保存の義務は紙で果たす、と役割を分けておけば、制度の確認が済むまでの間も業務を止めずに済みます。
| 選び方 | 一人担当の負担 | 間違えたときに戻れる余地 | 残す記録 |
|---|---|---|---|
| スキャン後すぐ廃棄 | 保管場所は要らないが確認をスキャン当日に終える必要がある | 読み違いや食い違いが後で出ても原本で確かめられない | 廃棄日・範囲・確かめた内容 |
| 一定期間保管してから廃棄 | 一時保管の場所と廃棄予定の管理が要る | 保管中なら原本で確かめられる | 廃棄日・範囲・確かめた内容・保管を始めた時期 |
| 紙のまま保存期間まで保管 | 保存期間いっぱいの保管場所が要る | 原本が残る(感熱紙は退色に注意) | 保存期間が満了する時期 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 保存先の仕組みで決まる
- 訂正削除の事実と内容を確認できること
- タイムスタンプ
- 一人の作業として回ってくる
- 検索:取引年月日・取引金額・取引先
- 手書きの内容を読んで入力する
- 一問一答で確かめる
- 帳簿との相互関連性
- 解像度や階調などの読み取り条件
担当が不在・交代しても困らないよう、規程と引き継ぎで残すもの
引き継ぎに残す項目
一人で回している手順は、担当者が休んだり異動したりした途端に止まります。
代わりに入った人が、どの箱の注文書なら捨ててよいのかを判断できなければ、捨ててよいものを抱え込むか、残すべきものを捨てるかのどちらかになりかねません。
手順を自分の記憶の外に出しておくことが、一人担当にとって大きな備えになります。
残しておきたいのは、次の項目です。
- 法人か個人かの別と、適用している保存期間、起算日の考え方
- 注文書をどの区分として扱っているかと、根拠にした国税庁の資料・確認した年
- 画像の保存先と、訂正削除の確認やタイムスタンプの要件をどう満たしているか
- 検索のために入力する項目と、取引先名の表記などの入力の決まり
- 一時保管の場所と保管期間、廃棄の判断基準
- 廃棄の記録の置き場所
- 原本を残す側に回した注文書(判読しにくいもの、訂正があるもの、感熱紙など)の扱い
とくに抜けやすいのが、なぜその扱いにしたのかという根拠です。
「注文書はこの区分」とだけ書いてあると、後任者は改正があっても見直すきっかけを持てません。
確認した資料と年が添えてあれば、後任者は同じ資料を開いて、今の内容と照らし直せます。
これらを社内の規程としてまとめておくと、担当者個人の判断ではなく、会社としての決まりになります。
上長や経理の責任者に一度目を通してもらい、承認を得た形にしておけば、誤って捨てたときの責任を一人で抱え込まずに済みます。
国税庁の資料を確認の入口にする
規程を一から書くのは負担が大きい作業です。
国税庁の特設サイトには、法令・取扱通達・一問一答・パンフレット・要件確認のための資料がまとまっており、電話相談の案内もあります3。
規程や手順書を作るときは、まずここを入口にして、自社の運用と一問一答の記載を照らし合わせることから始めると、後で根拠を問われても説明できます。
ただ、国税庁の資料が示すのは制度の要件です。
手書きの注文書を受け取り、感熱紙のFAXも混ざるといった自社の事情は、自分で書き足す部分になります。
一時保管の期間や、原本を残す側に回す条件は、自社の受注から入金までの流れに合わせて決め、規程に明記しておきます。
年に一度、決算の時期など決まったタイミングで国税庁の資料を開き直し、規程の根拠欄の内容と変わりがないかを確かめる日を決めておきます。
そうしておけば、改正に気づかないまま古い運用を続ける事態を避けやすくなります。
▼ 図の内容を文字で読む
- スキャンした画像を等倍で開く
- 紙を見ずに品名・数量・単価・金額・日付・取引先名を読めるか試す
- 一か所でも読めなければ取り直すか原本を残す側に回す
原本をどれだけ保管するかは、自社の受注から請求・入金までの流れで決まる部分が大きく、一人では基準を言葉にしにくいためです。
手書きの注文書を受け取ってから請求するまでの流れを一緒にたどり、どの時点まで原本を手元に置くと説明しやすいかを整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 法人の保存期間 | 確定申告書の提出期限の翌日から原則7年。欠損金が生じた年度などは10年 |
| 個人事業者 | 請求書・納品書・領収書などは5年。注文書は明記がないため確認する |
| 廃棄の条件 | スキャナ保存の要件に沿った保存。区分と要件は国税庁の一問一答で確かめる |
| 手書き特有 | 読めない・訂正の跡が判別できないものは原本を残す。感熱紙は早めにスキャンする |
| 一人担当の備え | 日付付きの記録、一定期間の原本保管、承認を得た規程と根拠の記録 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 受領:受領日を記録し、感熱紙は優先してスキャン
- 読み取りの確認:等倍で紙を見ずに読めるか
- 検索項目の入力:取引年月日・取引金額・取引先
- 原本の一時保管:廃棄予定の時期を書いておく
- 廃棄前の確認:納品と請求が済み、食い違いがないか
- 記録して廃棄:日付・範囲・確かめた内容を残す
▼ 図の内容を文字で読む
- 即時廃棄
- 確認を一度で終える前提
- 見落としを拾い直す機会がなくなる
- 一定期間保管してから廃棄
- 食い違いが出うる期間は原本を残す
- 請求や入金を確かめるまでが目安
- 紙のまま保存期間いっぱい保管
- 要件を満たす仕組みがまだ整っていない段階
- 画像は検索や参照に使い、保存は紙で果たす
規程や引き継ぎ資料にまとめる段階では、自分の運用を外から見直す機会がないと、抜けている項目に気づきにくいためです。 いまの受領・入力・保管・廃棄の手順を確かめながら、引き継ぎに残すべき項目と、国税庁の資料で確かめておくべき点を洗い出せます。
よくある質問
注文書をスキャンしたら、すぐに紙を捨ててもよいですか
スキャナ保存の要件に沿って保存していれば、紙は処分できるとする解説があります4。
ただし、注文書の区分と要件は、国税庁の最新の一問一答で確かめることが前提です3。
手書きの注文書は、読み違いや取引先との食い違いが出荷や請求の後に分かることがあるため、一定期間は原本を保管してから捨てるほうが、間違えたときに戻れる余地を残せます。
個人事業主の場合、注文書の保存期間は何年ですか
個人事業者は、業務に関して作成・受領した請求書・納品書・領収書などを5年保存すると説明されています。
ただし、注文書は名前が挙がっていません2。
注文書も同じ区分に入るかは、税務署や税理士に確かめてから決めるのが安全です。
迷いが残るうちは、長いほうの期間に合わせて保存しておく選び方もあります。
取引先が訂正した手書きの注文書は、どちらを残せばよいですか
一枚の注文書に訂正が入っている場合は、訂正前の数字と訂正印が画像で判別できるかを確かめます。
読み取れなければ、原本を残す側に回します。
訂正後の注文書が別に届いた場合は、片方に絞らず、両方を保存しておくのが無難です。
どちらも取引に関して受け取った書類なので、扱いは注文書の区分とあわせて確かめます。
FAXで届いた感熱紙の注文書は、スキャンすれば捨ててよいですか
紙で受け取った注文書として、ほかの注文書と同じく、区分と要件を確かめたうえで判断します。
感熱紙は時間がたつと文字が薄くなることがあるため、届いたら早めにスキャンし、画像で読めることを確かめておきます。
原本を一定期間保管する場合も、保管中に読めなくなる可能性を前提にしてください。
担当者が一人しかおらず、確認者を置けない場合はどうしますか
ダブルチェックの代わりに、日付付きの確認記録と、すぐには捨てない保管期間を組み合わせます。
廃棄のたびに行を足していく形の記録にすれば、日を置いて自分で見直すことができます。
運用の規程は上長や経理の責任者に承認してもらい、区分の判断に迷うときは国税庁の特設サイトにある電話相談を使えます3。
スキャン画像で文字が読み取れないときは、原本を残すべきですか
はい。
設定を変えて取り直しても読めなければ、原本を残す側に回すのが安全です。
読めない画像では、検索に必要な取引年月日・金額・取引先を正しく入力できません4。
取引先と金額が合わないときに確かめる手段もなくなります。
- 1 出典:国税庁「タックスアンサー No.5930 帳簿書類等の保存期間」(2026年確認)
- 2 出典:国税庁「タックスアンサー No.2080 帳簿書類等の保存」(2026年確認)
- 3 出典:国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」(2026年確認)
- 4 出典:弥生株式会社「スキャナ保存の要件」(2026年確認)
画像の出典元
- Two professionals discussing work at a computer in a bright, modern office space./Photo by Pavel Danilyuk on Pexels