まずは卸売ECを小規模でスタートしたい方へ。リーズナブルなSaaS(ASP)版『EC-Rider Primo(プリモ)』誕生! 詳しくはこちら

多頻度小口の出荷負担を減らす注文締切の決め方|便と工程から逆算し、例外と伝え方まで

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 締切は、集荷便の時刻から出荷量が多い日の工程時間をさかのぼって上限を決める。
  • 公開例は当日出荷の締切を1本の時刻で前倒しし、特注品などを対象外にしていたが、効果の数値は示されていない。
  • 告知には理由・適用を始める受注日・変更前後の時刻・例外を書き、出荷回数の多い得意先には先に個別に伝える。
  • 締切後の注文は種類で例外を決め、翌営業日扱いを基本に緊急受付の条件を重ねる。
  • 導入前から出荷回数・締切後の件数・残業などを記録し、集荷便や出荷量が変わったら締切を見直す。

Courier wearing earphones loading packages into a van by a lakeside road.
▽ 写真の出典元

締切後の注文が割り込む負担は、どの工程の何時に生じているか

同じ得意先へ午前と午後に分けて出荷し、梱包を終えたところへ追加の注文が届いて、閉じた伝票を開き直す。
この割り込みは、締切の時刻を1本決めて知らせるだけでは止まりにくいものです。
手間が増えている工程と集荷便の時刻を並べ、便から逆算して締切を置きます。
そのうえで締切後の注文の扱いまで決めておくと、割り込みを減らす道筋が見えてきます。
公開された告知には、集荷時間の前倒しを求められて当日出荷の締切を14時から12時へ早めた例1や、16時から14時へ短縮した例2があります。
ただし、効果の数値は示されていません。
他社の時刻を写すより、自社の便と工程から案をつくり、割り込み件数と残業時間で確かめていく進め方が現実的です。

同じ得意先へ何度も出荷している場面の見分け方

割り込みの負担を減らす最初の手がかりは、出荷の記録にあります。
直近の数週間分について、同じ得意先へ同じ日に何回出荷したかを数えると、多頻度になっている得意先と曜日が浮かびます。
1日に2回以上の出荷が特定の得意先に偏っているのか、多くの得意先で少しずつ起きているのか。
この違いで、後で選ぶ締切の形が変わります。

もう一つ見ておきたいのは、追加の注文がいつ届いたかです。
たとえば、午前の便でA社への出荷を済ませた後、14時過ぎにA社から1箱だけ追加注文が届き、夕方の便に載せるためにピッキングリストを作り直したとします。
この場合の負担は、出荷回数そのものより、いったん締めた作業を開き直すことにあります。
受注入力をやり直し、棚へ戻り、梱包台を空け、送り状を追加で発行します。
1件ずつは小さな作業でも、集荷便の直前に重なると、ほかの注文の検品が手薄になり、誤出荷の心配も増えます。

割り込みには、原因の違う二つの種類があります。
一つは、得意先の発注が1日の中で分散しているために起きるもの。
もう一つは、自社の締切が曖昧で、遅れて届いた注文も当日分として受けてしまうために起きるものです。
前者は得意先の発注の仕方に、後者は自社の受け方に原因があります。
記録を見るときは、注文の受付時刻と、それを当日出荷に回したかどうかを並べておくと区別がつきます。

受注入力・ピッキング・梱包・集荷便の終了時刻を並べる

締切の時刻は、集荷便の時刻から逆に数えて決めます。
集荷のトラックが来る時刻を終点に置き、そこから梱包と送り状の発行、ピッキング、受注入力と在庫の確認にかかる時間を順にさかのぼります。
そうして出た時刻が、当日出荷に間に合う注文の最終受付時刻であり、締切の上限です。

各工程の時間は、平均ではなく、出荷量が多い日の実績で見積もるほうが安全です。
普段の日に合わせて締切を置くと、忙しい日に集荷便へ間に合わず、締切を決めた意味が薄れます。
工程ごとの終了時刻を数日分書き出すと、どこで作業が詰まり、どの時間帯に割り込みが入ると影響が大きいかも見えてきます。
受注入力は早く終わっていても梱包台が空かない。
ピッキングは間に合っても、送り状の発行が集荷直前に集中する。
詰まりの場所によって、締切をどれだけ早めればよいかが変わります。

集荷便が1日に複数ある場合は、便ごとに同じ逆算をします。
午前便と午後便のそれぞれに上限の時刻があり、どちらの便に載せるかで締切の候補が二つ生まれます。
出荷を物流会社へ委託している場合は、自社の工程ではなく、委託先の受付締切と集荷時刻が終点になります。
委託先の締切より前に、自社で注文を確定してデータを渡す時間が要るので、得意先へ示す締切はその分だけ手前に置くことになります。

公開例にある締切変更の理由

公開されている締切変更の告知を見ると、時刻を決め直した理由は出荷と集荷の側にあります。
あるメーカーの告知は、配送業者から集荷時間を早めるよう強く求められていること、出荷量が増えて従来の14時締切では対応が難しくなったことを理由に、当日出荷の締切を12時へ早めるとしています1。
同じ告知では、受注システムの入れ替えに伴い、規定の時刻を過ぎた受注分は当日出荷に対応できないとも説明しています1。

法人向け通販事業を運営するコクヨグループのカウネットも、組立てサービス付き家具について、注文当日の受注締切を16時から14時へ短縮し、一部地域の配達日数も変更しました2。
目的として挙げているのは、配達荷物の集約や業務集中の緩和による物流負荷の軽減です2。

どちらの例も、得意先の都合ではなく、集荷の時刻と出荷側の作業量から締切を決め直しています。
前の項で集荷便から逆算したのと同じ考え方です。
締切を、営業上の約束である前に、便に間に合わせるための作業上の線だと捉えると、得意先へ説明する理由も組み立てやすくなります。

背景として、国土交通省関東運輸局は、モノが運べなくなるおそれとして、2024年に約14%、2030年に約34%の輸送能力不足を示し、荷主等との取引環境改善を課題の一つに挙げています3。
集荷の条件は自社だけでは決められないため、締切は一度決めて終わりではなく、便の変化に合わせて動かすものと考えておくほうが運用しやすくなります。

集荷便の時刻から工程をさかのぼって締切の上限を出す順序
集荷便の時刻から梱包と送り状の発行、ピッキング、受注入力と在庫の確認の時間を順にさかのぼり、締切の上限を求める流れ1集荷便の時刻2梱包・送り状の発行3ピッキング4受注入力・在庫の確認5締切の上限

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 集荷便の時刻
  2. 梱包・送り状の発行
  3. ピッキング
  4. 受注入力・在庫の確認
  5. 締切の上限
割り込みの二つの原因と、見分けるために並べる記録
得意先の発注の分散と自社の締切の曖昧さという二つの原因、および受付時刻と当日出荷の記録を分けて示した図得意先の発注の分散と自社の締切の曖昧さという二つの原因、および受付時刻と当日出荷の記録を分けて示した図得意先の発注が分散発注が1日の中で分散している原因は得意先の発注の仕方自社の締切が曖昧遅れて届いた注文も当日分として受けている原因は自社の受け方見分けるための記録注文の受付時刻当日出荷に回したかどうか

▼ 図の内容を文字で読む
  • 得意先の発注が分散
    • 発注が1日の中で分散している
    • 原因は得意先の発注の仕方
  • 自社の締切が曖昧
    • 遅れて届いた注文も当日分として受けている
    • 原因は自社の受け方
  • 見分けるための記録
    • 注文の受付時刻
    • 当日出荷に回したかどうか

締切の型は、時刻を1本にするか便別・曜日別・最低条件と組み合わせるか、どの条件で選ぶか

時刻を前倒しした公開例(14時→12時、16時→14時)

確認できた二つの公開例は、どちらも当日出荷の締切を1本の時刻で示し、それを前倒しする形でした。
一つは14時から12時へ1、もう一つは16時から14時への変更です2。
どちらも2時間早めていますが、これは各社の集荷と作業の事情から出た結果です。
2時間という幅に一般的な目安があるわけではなく、自社の上限は前の節で逆算した時刻から決まります。

1本の時刻にする型の利点は、得意先にとって分かりやすいことです。
何時までの注文が当日出荷になるかという一つの線だけを覚えればよく、受注側も、時刻を過ぎた注文を翌営業日へ回す判断を迷わずにできます。
一方で、集荷便が複数ある会社が締切を1本にすると、別の問題が出ます。
早い便に合わせれば午後の便の枠が空き、遅い便に合わせれば午前の便の前に割り込みが残ります。
どの便に合わせて1本にするかが、この型の中心の判断になります。

なお、二つの例とも、締切を変えた後に出荷回数や残業がどれだけ減ったかは公開されていません。
前倒しで集荷までの作業に余裕が生まれるという見込みは筋が通っていますが、効果の大きさは自社で測って確かめることになります。

対象品を分ける例外のつけ方

二つの例には、締切をすべての注文にかけていないという共通点もあります。
あるメーカーの告知では、特注品と受注生産品は従来どおり所定の納期とし、当日出荷の対象から外しています1。
カウネットの変更も、対象は組立てサービス付き家具に限られています2。

締切を決める前に、どの商品を当日出荷の対象にするかを決めておくと、締切の線がはっきりします。
在庫から引き当ててすぐに出せる商品は、時刻で区切りやすい商品です。
加工や取り寄せが必要な商品は、もともと当日には出せないので、締切ではなく納期で約束するほうが混乱しません。
対象を分けずに一律の締切をかけると、当日に出せない商品についてまで締切に間に合ったかどうかの問い合わせが来て、受注担当の確認が増えます。

4つの軸で比べる型の選び方

締切の形は、1本の時刻のほかにも組み立て方があります。
便ごとに締切を置く、曜日によって締切を変える、最低発注単位などの条件と組み合わせる、といった形です。
ただ、公開例で確認できたのは時刻を1本にして前倒しした型だけです。
ほかの三つは、ここまでの逆算から考えられる組み立て方として整理したもので、下の表も順位ではなく、どの条件のときに検討しやすいかを並べています。

表のなかで判断が分かれやすいのは、受注システムと取引上の立場です。
便ごとの締切では、注文ごとにどの便へ載せるかを振り分ける作業が増えます。
受注システムで受付時刻を記録し、便ごとに出荷指示を分けられないと、手作業の確認がかえって増えます。
電話やFAXの注文が多く、受付時刻が記録に残りにくい場合は、1本の時刻のほうが運用しやすくなります。

曜日で締切を変える形は、特定の曜日に注文が集中する場合や、集荷便の本数が曜日で違う場合に検討する形です。
週明けに注文が集まるなら、その曜日だけ締切を早める、出荷の少ない曜日に定期分の出荷を寄せる、といった組み方が考えられます。
得意先が覚える時刻が増えるので、曜日ごとの違いは少なくとどめたほうが伝わりやすくなります。

最低発注条件との併用は、締切だけでは減らない小口の分散に向いた形です。
締切を守ってもらえていても、締切前に同じ得意先から少量の注文が何度も届けば、出荷は1日1回でも、ピッキングと梱包は注文の数だけ発生します。
国の荷主向けの判断基準も、繁閑差の平準化が容易でない場合に、納入単位や回数の集約に取り組むことを示しています4。
ただしこれは、主に貨物を送り出す荷主に向けた努力義務の考え方で、得意先へ条件を求める根拠になるものではありません。
条件を加えるかどうかは、得意先との取引上の立場と、条件を受け入れたときに得意先の側で何が変わるかを考えて判断します。

型 取引先の発注事情 受注システムでの締切管理 集荷便の本数 取引上の立場
時刻を1本にする 発注の時刻が日によって大きく変わらない 受付時刻の記録が手作業でも運用できる 1便、または主な便が1つ 告知で一つの時刻を示しやすい
便ごとに締切を置く 午前と午後に分けて発注する事情がある 注文ごとに載せる便を振り分けて記録できる 2便以上 便ごとの時刻を得意先と合意しやすい
曜日で締切を変える 特定の曜日に注文が集まる 曜日ごとの締切を設定して確認できる 曜日によって便の本数が違う 曜日ごとの違いを伝えて理解を得られる
最低発注条件と組み合わせる 締切前に少量の注文が何度も届く 注文単位や送料の条件を判定できる 便の本数を問わない 取引条件の変更を協議できる
締切の形ごとに検討しやすい条件(順位ではなく検討の目安)
時刻を1本にする、便ごとに置く、曜日で変える、最低発注条件と組み合わせる、の四つの締切の形を検討しやすい条件ごとに分けた図時刻を1本にする、便ごとに置く、曜日で変える、最低発注条件と組み合わせる、の四つの締切の形を検討しやすい条件ごとに分けた図時刻を1本にする発注の時刻が日によって大きく変わらない1便、または主な便が1つ便ごとに締切を置く午前と午後に分けて発注する事情がある注文ごとに載せる便を振り分けて記録できる曜日で締切を変える特定の曜日に注文が集まる曜日によって便の本数が違う最低発注条件と組み合わせる締切前に少量の注文が何度も届く取引条件の変更を協議できる

▼ 図の内容を文字で読む
  • 時刻を1本にする
    • 発注の時刻が日によって大きく変わらない
    • 1便、または主な便が1つ
  • 便ごとに締切を置く
    • 午前と午後に分けて発注する事情がある
    • 注文ごとに載せる便を振り分けて記録できる
  • 曜日で締切を変える
    • 特定の曜日に注文が集まる
    • 曜日によって便の本数が違う
  • 最低発注条件と組み合わせる
    • 締切前に少量の注文が何度も届く
    • 取引条件の変更を協議できる

取引先に締切を受け入れてもらうには、何をどの順で、代わりに何を示して伝えるか

告知に入れる4点(理由・開始日・時刻・例外)

締切の型が決まったら、得意先へ伝える準備に移ります。
公開された告知には、変更の理由、適用を始める時期、変更前と変更後の時刻、例外の4点が書かれていました1。
この並びは、受け取った得意先が自社の発注をどう変えればよいかを判断する順番にもなっています。

理由は、自社だけでは動かせない事情から書くと伝わりやすくなります。
集荷時刻の前倒しを求められた、出荷量が増えて当日中の処理が追いつかない、といった事情は、得意先にとっても仕入れ先の出荷が遅れる心配につながる話です。
適用の時期は、いつの受注分からかを明確にします。
公開例は2024年4月の受注分からと受注日で区切っており1、出荷日ではなく受注日で区切ると、切り替えをまたぐ注文の扱いで迷いません。

変更前と変更後の時刻は、両方を並べて書きます。
新しい時刻だけを示すと、得意先の担当者は自分の発注がどれだけ影響を受けるかを計算し直さなければなりません。
例外には、締切の対象外になる商品と、締切後に届いた注文がどうなるかを書きます。
時刻を過ぎた注文を受注システムが当日出荷として受け付けない場合は、そのことも書いておくと、電話での個別の交渉が減ります。

告知を送る前に、出荷回数の多い得意先には、担当者から個別に事情を伝えておくと進めやすくなります。
得意先の発注担当者が、社内の承認や在庫の確認を経てから注文を出している場合、締切が早まると、得意先の社内の手順まで変える必要が出るからです。
個別に話すなかで、早めた締切では困る事情が見つかれば、例外や代わりの条件を告知の前に調整できます。

代替として示せるもの

締切を早めると、得意先は当日出荷に間に合う時間を失います。
その分を何で補うかを一緒に示すと、締切は一方的な制限ではなく、出荷を確実にするための取り決めとして受け止められやすくなります。
示せるものは、得意先が締切の変更で何に困るかによって変わります。

  • 急ぎの注文が出せなくなる心配には、条件付きの緊急受付の窓口
  • 少量ずつ発注せざるを得ない事情には、まとめて発注したときの送料条件や最低発注単位の見直し
  • 締切の時刻を忘れる心配には、締切前の連絡や、定期発注の曜日の固定
  • 到着日が読みにくくなる心配には、締切後の注文の到着予定日の明示

送料条件や最低発注単位は、締切と組み合わせることで小口の分散も抑えられる組み方です。
ただ、金額や数量の水準は会社ごとの事情で決まります。
自社の1回の出荷にかかる作業と送料、得意先ごとの注文の大きさを見て決めることになります。
条件を厳しくしすぎると、注文そのものが他社へ移る心配もあります。
まず出荷回数の多い得意先から話をして、受け入れられる範囲を探るほうが進めやすくなります。

配送を委託している場合の法令確認

配送を運送会社へ委託している場合、締切や集荷時刻を見直すときに、運送会社との取引の確認も必要になります。
2026年1月から施行された取適法(中小受託取引適正化法)では、対象となる取引に特定運送委託が加わり、協議を適切に行わない一方的な代金決定の禁止や手形払等の禁止などが示されています5。
締切の変更に合わせて、集荷の時刻や便の数を運送会社と取り決め直す場面では、その取引が対象に当たるかどうかが関係します。

対象になるかは資本金や従業員数の基準で決まりますが、基準の値は公正取引委員会の該当ページだけでは分からず、別途確認が必要です5。
また、受注側が得意先へ出荷の締切を示すこと自体がこの法律で規制されるかどうかも、同じページでは扱われていません。
問題がないとも、違反になるとも言い切れない部分です。
運送会社や得意先との契約書の取り決めを見直し、判断に迷う点は所管の窓口や専門家に確かめてから告知へ進むのが安全です。

締切変更を得意先へ伝える進め方の一例
出荷回数の多い得意先を絞り、個別に事情を伝え、4点をそろえて告知し、問い合わせに対応してから受注日を区切って適用する流れ1出荷記録で出荷回数の多い得意先を絞る2主要な得意先へ個別に事情を伝える3理由・開始日・時刻・例外をそろえて告知する4適用前の問い合わせに個別に対応する5受注日を区切って適用する

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 出荷記録で出荷回数の多い得意先を絞る
  2. 主要な得意先へ個別に事情を伝える
  3. 理由・開始日・時刻・例外をそろえて告知する
  4. 適用前の問い合わせに個別に対応する
  5. 受注日を区切って適用する

締切後の注文・緊急・変更を、どこまで受けて例外ルールにするか

例外にする注文の種類を決める

締切を告知しても、時刻を過ぎた注文を毎回受けていれば、割り込みは元のまま残ります。
例外を「強く頼まれたら受ける」のように相手や頼み方で決めると、受ける注文と断る注文の線が担当者ごとに変わり、得意先からも基準が見えません。
例外は、受ける注文の種類で決めておくほうが運用がぶれにくくなります。

前の節で見た公開例は、特注品と受注生産品を当日出荷の対象外にして1、締切の対象となる商品の範囲を先に決めていました。
この考え方を締切後の注文にも広げると、締切後に届く注文を次のような種類に分け、それぞれの扱いを決めることができます。

  • 締切後に届いた新規の注文
  • 締切前に受けた注文の数量変更や取消
  • 自社の欠品や誤出荷を埋めるための出荷
  • 得意先の側で生じた欠品など、急ぎの事情がある注文

このうち、自社の誤出荷や欠品を埋める出荷は、自社の都合で生じたものなので、締切後でも受ける側に置くのが自然です。
数量の変更や取消は、ピッキングが始まる前か後かで手間が大きく違います。
変更を受け付ける最終時刻を締切とは別に決めておくと、作業途中の差し戻しを減らせます。
得意先の急ぎの事情による注文は、次の項の緊急受付で扱うかどうかを決めます。
受けるかどうかの判断を現場の担当者それぞれに任せず、判断する人を決めておくことも、例外が広がるのを防ぐうえで役立ちます。

締切後の注文の3つの扱い

締切後に届いた新規の注文の扱いは、大きく三つの選択肢から組み立てられます。
翌営業日の出荷として受ける、条件を付けて当日の緊急受付として受ける、緊急受付に追加の料金を設ける、の三つです。
どれか一つを選ぶというより、翌営業日扱いを基本にして、その上に緊急受付と料金をどこまで重ねるかを決める形になります。

翌営業日扱いを基本にするときに大切なのは、得意先がいつ届くかを読めることです。
カウネットは、締切の短縮と合わせて一部地域の配達日数も変更しました2。
締切を変えると到着日も動きます。
締切後の注文がいつ出荷され、いつ届く見込みかを告知や受注の返信で示しておくと、得意先が到着を問い合わせる手間が減ります。

緊急受付は、受ける条件を先に決めておかないと、締切が骨抜きになります。
受け付ける時刻の上限、対象にする商品、受けられる量、判断する人を決め、それを超える注文は翌営業日扱いへ回す、という線を引きます。
何件までなら受けられるかは、集荷便までに残る作業の余裕で決まります。
前の節で逆算した工程の時間から、締切後に何件までなら他の注文に影響せずに処理できるかを見積もるのが出発点です。

追加料金は、締切後の注文に手間がかかっていることを得意先に伝える手段にもなります。
ただ、料金を設けることで締切後の注文がどれだけ減るかは、得意先や商品によって違い、あらかじめ見積もるのは難しいところです。
料金を設けるなら、当日の追加出荷の作業や追加の送料など、何に対する料金かを明示し、取引の事前の取り決めに書いておくことが前提になります。
得意先との関係を重く見る場合は、最初は料金を設けずに緊急受付の条件だけで運用し、件数が減らないときに検討する順番もあります。

扱い 向く場面 先に決めておくこと
翌営業日扱い 締切の線を保つ基本の扱い 出荷日と到着予定日の伝え方
条件付きの緊急受付 得意先に急ぎの事情がある注文 受付の上限時刻・対象商品・量・判断する人
緊急受付への追加料金 緊急受付が日常になってきたとき 何に対する料金か・事前の取り決め
締切後に届いた新規の注文の扱い方と、先に決めておくこと
翌営業日扱い、条件付きの緊急受付、緊急受付への追加料金の三つについて、先に決めておくことを分けて示した図翌営業日扱い、条件付きの緊急受付、緊急受付への追加料金の三つについて、先に決めておくことを分けて示した図翌営業日扱い締切の線を保つ基本の扱い出荷日と到着予定日の伝え方条件付きの緊急受付受け付ける時刻の上限対象にする商品と受けられる量判断する人緊急受付への追加料金何に対する料金かの明示取引の事前の取り決め

▼ 図の内容を文字で読む
  • 翌営業日扱い
    • 締切の線を保つ基本の扱い
    • 出荷日と到着予定日の伝え方
  • 条件付きの緊急受付
    • 受け付ける時刻の上限
    • 対象にする商品と受けられる量
    • 判断する人
  • 緊急受付への追加料金
    • 何に対する料金かの明示
    • 取引の事前の取り決め

導入後は何で効果を確かめ、いつ締切を見直すか

前後で比べる指標

締切の効果は、導入前と導入後の同じ指標を比べて確かめます。
公開例でも効果の数値は示されていないので、自社で測る指標を、締切を適用する前に決めておくことが大切です。
導入後に測り始めると、比べる元の数字がありません。

  • 同じ得意先への1日あたりの出荷回数
  • 締切後に届いた注文の件数と、そのうち当日出荷に回した件数
  • 出荷担当の残業時間
  • 誤出荷の件数
  • 集荷便に間に合わず翌日へ回った積み残しの件数

導入前の数週間分を記録しておき、導入後も同じ長さの期間で比べます。
繁忙期と閑散期をまたいで比べると、締切の効果ではなく出荷量の違いが数字に出てしまいます。
出荷件数も合わせて記録し、出荷件数あたりの残業時間のように割合でも見ておくと読み違えにくくなります。
締切後の注文の件数が減っていても、緊急受付で受けた件数が増えていれば、割り込みは形を変えて残っています。
二つを分けて記録するのはそのためです。

見直しのきっかけ

締切は、決めたときの前提が変わったら見直します。
集荷便の時刻や本数が変わった、出荷量が大きく増えたり減ったりした、受注システムを入れ替えた、緊急受付の件数が増えて例外が日常になってきた、といった変化が目安です。
前の項の指標を続けて見ていれば、こうした変化は数字にも表れます。

見直しの方向を考えるときは、自社が運送会社へ貨物を引き渡す荷主の立場にあることも手がかりになります。
改正物流効率化法の判断基準は、主に貨物を送り出す荷主(第一種荷主)に向けて、実態に即した適切なリードタイムの確保を求めています4。
あわせて、トラックが一時に集中して到着しないよう、出荷・納品の日時を分散させることも示しています4。
罰則のない努力義務の判断基準ですが、締切を早めて集荷までの時間を確保することや、便ごとに締切を分けて出荷を平らにすることと、向かう方向は重なります。
得意先の不便を理由に締切を後ろへ戻す前に、集荷までの余裕を保ったまま不便をどう補うかを考えると、運送会社との関係も含めて続けやすい運用になります。

締切の効果を確かめて見直す流れ
導入前の数週間を記録し、告知と移行を経て、適用後に同じ長さの期間を記録し、比較して見直し、次の記録へつなげる流れ導入前の数週間を記録し、告知と移行を経て、適用後に同じ長さの期間を記録し、比較して見直し、次の記録へつなげる流れ導入前の記録(数週間)告知と移行適用後の記録(同じ長さ)比較と見直し

▼ 図の内容を文字で読む
  • 導入前の記録(数週間)
  • 告知と移行
  • 適用後の記録(同じ長さ)
  • 比較と見直し

得意先ごとの注文の届き方と集荷便の時刻を並べ、どこに締切を置くかを決める作業は、受注の記録を横断して見る必要があり、日々の出荷を回しながらでは手が回りにくいものです。

相談では、いまの受注経路と出荷の流れをもとに、割り込みが生じている工程と、締切の型を検討する際に押さえる条件を整理できます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
締切の上限 集荷便の時刻から、出荷量が多い日の梱包・ピッキング・受注確認の時間をさかのぼって決める
型の選び方 得意先の発注事情、受注システムで受付時刻を管理できるか、集荷便の本数、取引上の立場で比べる
告知 理由、適用を始める受注日、変更前と変更後の時刻、例外を書き、主要な得意先には先に個別に伝える
例外 相手や頼み方ではなく、注文の種類で決め、判断する人を決めておく
締切後の注文 翌営業日扱いを基本に、緊急受付の条件と料金をどこまで重ねるかを決める
効果の確認 導入前の数週間と同じ長さで、出荷回数・締切後の件数・残業・誤出荷・積み残しを比べる

締切を決めた後も、告知の内容、締切後の注文の受け方、効果の測り方と、得意先との関係を見ながら決めることが続きます。 相談では、締切後の注文の扱いや告知の構成を自社の取引に当てはめたときに、どこで判断が分かれるかを確かめられます。

BtoB通販システムのご相談

貴社の商習慣に合わせたご提案をいたします。

無料相談はこちら

よくある質問

締切後に届いた注文は、翌営業日扱いにしてよいですか。

翌営業日扱いを基本にするのは、締切の線を保つうえで分かりやすい方法です。
ただし、事前に告知して得意先に知らせておくこと、得意先との取引の取り決めに当日出荷の約束がないかを見ておくことが前提です。
受注の返信で出荷日と到着予定日を示すと、問い合わせが減ります。
自社の欠品や誤出荷を埋める出荷は、締切後でも別に扱うほうが自然です。

出荷を委託している場合、締切は自社の都合で決められますか。

委託している場合は、委託先の受付締切と集荷時刻が終点になります。
自社で決められるのは、その手前で注文を確定してデータを渡すまでの時間です。
得意先へ示す締切は、委託先の締切から自社の確定作業の時間を差し引いた位置に置きます。
委託先が締切や集荷時刻を変えたときは、自社の締切も合わせて見直します。

取引先が発注システムを持たず、電話やFAXで注文してくる場合、締切はどう運用しますか。

受付時刻が記録に残りにくいので、便ごとや曜日ごとに分けるより、時刻を1本にする型のほうが運用しやすくなります。
電話は受けた時刻を受注票に書く、FAXは受信時刻を受付時刻とする、というように、何をもって締切に間に合ったとするかを決めて告知に書いておきます。
締切後の電話には、翌営業日の出荷になることと到着予定日を伝える決まった返答を用意しておくと、担当者ごとに対応が変わりません。

締切の前倒しを取引先に断られた場合、最低発注単位などの条件で代替できますか。

代わりになる場合もありますが、減らせる負担が違います。
締切は締切後の割り込みを減らし、最低発注単位や送料条件は締切前に少量の注文が何度も届く分散を減らします。
断られた理由が発注時刻を早められない事情なら、条件で注文をまとめてもらう方向が合うことがあります。
どちらも取引条件の変更になるので、得意先との協議と合意、契約の取り決めの見直しが必要です。

締切後の緊急注文に追加料金を設定してもよいですか。

設けるなら、当日の追加出荷の作業や追加の送料など、何に対する料金かを明示し、得意先との事前の取り決めに書いておくことが前提です。
料金でどれだけ締切後の注文が減るかは得意先や商品によって違います。
最初は緊急受付の条件だけで運用し、件数が減らないときに検討する順番もあります。
契約上・法令上の扱いに迷う場合は、契約書を見直し、所管の窓口や専門家に確かめてください。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

> プロフィールの詳細を見る

  1. 1 出典:日本衛材株式会社「受注締切時間変更の御案内」(2024年)
  2. 2 出典:インプレス ネットショップ担当者フォーラム「カウネット 組立てサービス付き家具の受注締切時間の変更」(2023年)
  3. 3 出典:国土交通省関東運輸局「物流の2024年問題に対する関東運輸局の取組」(2026年)
  4. 4 出典:国土交通省 改正物流効率化法ポータル「荷主(第一種・第二種)の判断基準等」(2025年度)
  5. 5 出典:公正取引委員会・中小企業庁「取適法(中小受託取引適正化法)」(2026年)

画像の出典元

  1. Courier wearing earphones loading packages into a van by a lakeside road./Photo by Artem Podrez on Pexels

Photos provided by Pexels

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

記事内容に関するお問い合わせ:お問い合わせフォーム

BtoB EC(受発注)サイト構築システム「EC-Rider B2B Ⅱ」への
各種お問い合わせ

ページTOPへ戻る
無料相談を予約 お見積
平日10:00~18:00
page
top