◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 「注文管理システム」と「受注管理システム」は同じ領域を指す語として使われる例が多く、名称では持つ範囲が決まらない
- 受付・確認から出荷の手前までは各資料で共通し、在庫・請求と入金・返品を範囲に含むかは資料や製品で分かれる
- システムに持たせる範囲は、注文数件を追って転記と待ちが生じた工程と、その前後の引き渡し先から決められる
- 連携による自動化は連携先やプランで条件が付くことがあり、在庫を別製品にする場合は在庫の正しい数をどちらに置くかが分かれ目になる
- 年間契約では途中解約の違約金が残りの契約期間に応じてかかる例があり、範囲の見誤りが金額の負担にもつながる
目次

注文は入っているのに止まる場面から見る:注文管理と受注管理は同じものか
モールや自社カート、電話で注文は入っているのに、在庫の引き当て、送り状の作成、請求書の発行のどこかで作業が止まり、画面から画面へ注文内容を写している。
そうした状況でシステムを探すと、「注文管理システム」と「受注管理システム」という二つの名称が並び、どちらを選ぶべきかで迷います。
確認できた解説では、二つは同じ領域を指す語として使われる例が多く、名称だけでは持つ範囲が決まりません。
決め手になるのは、自社の注文がどの工程で止まっているかと、候補製品がその工程を持っているかです。
「受注」は注文を受ける側の語
受注は顧客から注文を受けることを指し、発注の対義語だと説明されています2。
同じ解説では、受注業務を管理することが受注管理だとされます2。
つまり「受注」は、注文を出す側ではなく、受ける側から見た言葉です。
一方の「注文」は、取引のどちら側から見ても使える言葉です。
顧客にとっては自分が出した注文、販売する事業者にとっては受けた注文で、指している一件の取引は同じです。
そのため、販売する側の業務を説明する文脈で「注文管理」と書かれていれば、受けた注文を処理する仕事、すなわち受注管理と同じ仕事を指していることになります。
語の成り立ちからは、二つを別の種類のシステムとして分ける理由は出てきません。
もう一つ押さえておきたいのは、受注は売上と同じではないという点です。
受けた注文はキャンセルされることもあると説明されています1。
この区別は、後でシステムの範囲を考えるときに効いてきます。
注文を確定させたあとに取消や数量変更が入ったとき、その変更が在庫や出荷、請求の側へ届くかどうかは、どの名称の製品を選んでも避けて通れない論点だからです。
同義で使われる例と、範囲が広い例
Shopifyの解説は、注文管理システム(OMS:Order Management Systemの略)を、注文情報を一元管理し、受注から出荷までを効率化・自動化するシステムと定義しています3。
そのうえで、受注管理システムと同じものとして表記しています3。
名称が違っても製品の種類が分かれるわけではない、という扱いです。
ただし同じ解説は、OMSの範囲に在庫の割り当て、出荷、返品、さらに会計ソフトやERP(販売・購買・会計などの基幹業務をまとめて扱うシステム)との統合まで含めています3。
一方で、受注管理を「注文を受けてから出荷までの流れ」を管理する業務として説明する記事もあります1。
同じ領域を指す語であっても、どこからどこまでをその名前で呼ぶかには、書き手や製品によって幅があるということです。
二つの語を明確に区別して定義した公的な基準は見当たらず、言えるのは「同じ意味で使われる例が多い」というところまでです。
すべての製品が同じ意味で使っているとまでは言えません。
ただ、読者の判断にとって大事なのは、語の定義を確定させることよりも、名称で絞り込むと起こりうる二つのずれを避けることです。
一つは、「受注管理」と書かれた製品を選んだら、困っていた在庫の引き当てが範囲に入っていなかったというずれです。
もう一つは、「注文管理」と書かれた製品を自社の業務とは別物だと思い込み、候補から外してしまうずれです。
どちらも、名称を範囲の目印として扱ったことから起こります。
次の節では、名称の代わりに工程を目印にして、資料ごとの範囲の違いを並べます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 注文を出す側(顧客)
- 自分が出した注文(発注)
- 注文を受ける側(販売する事業者)
- 受けた注文(受注)
- 受けた注文の業務を管理する(受注管理)
- 受注と売上の違い
- 受けた注文はキャンセルされることもある
- 取消や数量変更が在庫・出荷・請求へ届くかが論点
受注から入金までの工程地図:受注管理の範囲は資料ごとにどこまで違うか
工程別の比較表(受付・確認・在庫・出荷・請求・入金・返品)
名称が決め手にならない以上、比べる軸は工程になります。
受付・確認、在庫、出荷、請求・入金、返品という工程ごとに、受注管理を説明する4つの資料がどこまでを範囲として書いているかを並べると、次のようになります1345。
表を横に読むと、受付・確認から出荷の手前までは、4つの資料がそろって受注の仕事として扱っています。
注文を受け、内容を確かめ、受けたことを相手に伝えるところまでは、どの名称で呼ばれていても中心にある工程だと考えてよさそうです。
違いが出るのは、在庫、請求・入金、返品の3つです。
在庫は、範囲の差がもっともはっきり出る工程です。
Shopifyの解説はOMSの範囲に在庫の割り当てを含めていますが3、助ネコの受注管理システムでは在庫は別製品として案内されています5。
同じ受注管理を名乗る領域でも、在庫を中に持つ製品と外に置く製品があるということです。
在庫ずれに困っている担当者にとって、ここは名称から読み取れない最大の分かれ目になります。
請求・入金も扱いが割れます。
マネーフォワードの流れでは、検収後の請求書発行と入金確認までが受注側の仕事として並びます4。
助ネコは入金確認の一括管理やWeb領収書を受注管理の中に持っています5。
Shopifyの解説は、請求を自ら持つというより会計ソフトやERPとの統合として範囲に入れています3。
請求書を作るのか、入金を確かめるのか、会計側へデータを渡すのかで、同じ「請求・入金」でも中身が違います。
なお、表の「記載なし」は、その資料がその工程を扱わないと断言したものではありません。
その記事や製品ページの説明の中に出てこなかったという意味です。
返品は4資料のうちShopifyの解説だけが範囲に挙げていますが、ほかの製品が返品を扱えないとは、この表からは言えません。
BtoBの流れとネットショップの流れの違い
表の4資料は、同じ種類の取引を説明しているわけではありません。
マネーフォワードが示すのは、見積や検収を伴う企業間の取引(BtoB)の流れです4。
助ネコやShopifyの説明は、モールやカートで受けた注文を出荷していくネットショップの運営を前提にしています35。
この流れを見ると、BtoBの受注は注文を受ける前に見積があり、納品の後にも検収、請求、入金確認が続きます4。
受注処理そのものは全体の途中にある一工程で、その前後に別の書類と待ち時間がはさまります。
見積の内容を受注に引き継ぐときと、納品の内容を請求書に引き継ぐときに、同じ品目と金額をもう一度入力する場面が生まれやすい構造です。
ネットショップの場合、受注の入口はモール、自社カート、電話やFAXと複数に分かれることがあります。
助ネコの製品ページが、それらの注文をまとめて管理し、送り状作成や倉庫・配送会社との連携を範囲に持つと説明しているのは5、入口の多さと出荷の多さが負担の中心になりやすい取引だからだと読めます。
この違いから言えるのは、自社がどちらの流れに近いかで、範囲の確かめ方の重点が変わるということです。
見積から請求までが一続きの取引なら、見積と請求書発行が受注の画面とつながるかが重くなります。
複数の販売経路から注文が入る取引なら、取り込みと送り状が重くなります。
ただし、BtoBとネットショップで管理すべき項目がどう変わるかを示した一次資料は確認できていないため、これは工程の並びから読み取れる重点の違いにとどまります。
両方の取引を抱えている事業者も少なくないはずで、その場合は次の節の点検で、どちらの流れで止まっているかを分けて見ていくことになります。
| 工程 | マイナビニュース(業務解説) | マネーフォワード(BtoBの流れ) | Shopify(OMS解説) | 助ネコ受注管理(製品) |
|---|---|---|---|---|
| 受付・確認 | 注文内容の確認・入力、受注伝票・注文請書の作成 | 見積依頼受領・見積書提出・受注処理・注文請書 | 受注処理 | モール・カート・電話FAXの注文をまとめて管理 |
| 在庫 | 在庫確認と納品予定日の連絡 | 在庫確認と手配 | 在庫の割り当て | 別製品 |
| 出荷 | 出荷までの流れを管理(出荷作業の内容は記載なし) | 梱包・納品 | 出荷 | 送り状作成、倉庫・配送会社との連携 |
| 請求・入金 | 記載なし | 検収後の請求書発行、入金確認 | 会計ソフト・ERPとの統合 | 入金確認の一括管理、Web領収書 |
| 返品 | 記載なし | 記載なし | 返品 | 記載なし |
▼ 図の内容を文字で読む
- 4資料がそろって扱う
- 受付・確認(出荷の手前まで)
- 在庫
- 範囲に含める解説がある
- 別製品として案内する製品もある
- 請求・入金
- 請求書の発行と入金確認まで含める流れ
- 会計ソフトやERPとの統合として含める解説
- 返品
- 範囲に挙げたのは4資料のうち1つ
- 記載なしは、扱わないという意味ではない
▼ 図の内容を文字で読む
- 見積依頼の受領・見積書の提出
- 受注処理・注文請書の発行
- 在庫確認と手配、梱包・納品
- 検収後の請求書発行
- 入金確認
自社はどの工程で詰まっているか:手作業と確認負担から受注管理の範囲を決める
注文数件を追って詰まりを見つける
工程の地図ができたら、次は自社の注文をその地図の上に置いてみます。
ここからは編集部の提案ですが、システムに持たせる範囲は、詰まっている工程と、その前後の引き渡し先から決めるのが分かりやすい方法です。
詰まりの場所は、頭の中で考えるより、実際の注文を数件たどったほうが正確に見えてきます。
たとえば、電話で受けた注文をメモに取り、カートの管理画面に打ち込み、在庫を表計算ソフトで引き当て、送り状のソフトに住所をもう一度入力している、という場合を考えます。
この注文を一件追うだけで、同じ住所と品目を三か所に書き写していることが分かります。
モールで受けた別の注文も追ってみると、そちらは管理画面から送り状まではつながっているのに、在庫の表だけは手で直している、といった違いが見えてくることがあります。
印を付けるときは、手で転記した場所だけでなく、待ちが生じた場所にも付けておくと役に立ちます。
在庫の数が確かでないために出荷日を返事できなかった、入金が確かめられずに出荷を止めていた、といった待ちは、転記とは別の種類の詰まりです。
転記は入力の手間として表に出ますが、待ちは確認の負担として隠れやすいからです。
前後の引き渡し先まで含めるのは、転記がいつも二つの場所の間で起きるためです。
在庫の引き当てで詰まっているなら、在庫を持つ仕組みだけでなく、注文を受ける側からそこへ情報が届く経路も範囲に入ります。
片方だけを新しくしても、間の受け渡しが手作業のままなら、書き写す場所が変わるだけになりかねません。
もう一つ、追う注文の中に、途中で取消や数量変更が入ったものがあれば必ず含めておくと判断が深まります。
前の節で見たとおり、受注はキャンセルもありうるもので、売上とは違います1。
変更が入った注文は、在庫の戻しや請求の修正がどこで手作業になっているかを、正常な注文よりもはっきり見せてくれます。
電話・FAX受注の課題調査から分かること
自社の点検と並べて参考になるのが、電話・FAX・メールで注文を受ける担当者の負担を尋ねた調査です。
食品の小売・卸売業の受注担当者を対象にした2023年のインターネット調査では、FAX・Eメール・電話で受注する担当者(n=90)に、業務上の課題を複数回答で尋ねています8。
「注文書の管理(保管義務)が煩雑である」と答えた人は30%でした8。
手入力の手間、注文内容の確認連絡、変更への対応なども課題として挙がっています8。
この結果を工程の地図に重ねると、負担が一つの工程に集まっていないことが分かります。
手入力は受付、確認連絡は受付と確認の間、変更対応は確定したあとの修正、注文書の管理は処理を終えたあとの保管というように、課題が受注の前後に散らばっています。
特に注文書の保管は、注文を取り込んで出荷するまでの流れの外側にある仕事です。
取り込みを自動化しても、受け取ったFAXや書面の扱いは別に残る可能性があり、範囲を考えるときに見落としやすい論点です。
ただし、この調査は食品の小売・卸売業に限ったもので、FAX・メール・電話のどの方法で受けたかの内訳も示されていません8。
他の業種や、モール・カートで受ける注文にそのまま当てはまるとは言えず、どの工程の負担が大きいかの順番を自社に持ち込むこともできません。
この調査から読み取れるのは、電話やFAXの注文では負担が受付入力だけでなく確認や保管にも広がりうるという見方までで、点検で印を付ける場所の候補として使うのが適切です。
▼ 図の内容を文字で読む
- 受付経路の違う注文を数件選ぶ(取消・変更が入った注文も含める)
- 受付から入金までに使った画面・紙・ファイルを書き出す
- 手で転記した工程と、確認や返事を待った工程に印を付ける
- 印の付いた工程と、その前後の引き渡し先を範囲にする
ECカート標準・既存の販売管理や在庫管理との連携・専用の受注管理システム:どれが合うか
連携しても手作業が残る条件
点検で範囲が決まったら、その範囲を今持っている道具で満たせるかを考えます。
選択肢は大きく、ECカートの標準機能で受ける、既にある販売管理や在庫管理のソフトとつなぐ、受注管理の専用システムを入れる、の三つに分けられます。
どれが合うかは、販売経路の数と、在庫や請求を今どこで持っているかで変わります。
ECカートの標準機能や、販売管理・会計ソフトの標準の範囲は製品ごとに異なり、一般的にどこまで含まれると言える資料は確認できていません。
そのため、表の「先に確かめること」は、範囲が足りているかを見分けるための問いとして置いています。
販売経路が一つで、点検で印が付いたのが送り状の一か所だけなら、専用システムを足さずに済む余地があります。
反対に、複数の経路から入った注文を一か所に集める作業で詰まっているなら、カート一つの管理画面では受け止めきれない問題です。
専用システムを選ぶ場合でも、「連携できる」という言葉で手作業がすべてなくなると考えるのは早計です。
助ネコの受注管理システムの製品ページには、連携の条件がはっきり書かれています5。
- 入金確認メールの自動送信は、楽天市場とYahoo!のみ5
- 自動アップロードは、API連携済みのモールのみ5
- 出荷の自動化は、楽天スーパーロジスティクスまたはAmazon FBAマルチチャネルを利用している場合のみ5
- 自社カートの注文のCSV取込には指定フォーマットが必要で、Liteプランでは使えない5
これは一製品の仕様で、他の製品や市場全体の傾向を示すものではありません。
それでも、連携による自動化がどの連携先で、どのプランで効くかによって決まるという構造は、製品を比べるときの見方としてそのまま使えます。
たとえば楽天市場と自社カートの二つで売っている事業者なら、楽天市場の注文は入金確認メールまで自動で流れる一方、自社カートの注文は指定の形式に整えたCSVを取り込む作業が残る、ということが起こりえます。
点検で印を付けた工程ごとに、自社の販売経路がその自動化の条件に入っているかを照らし合わせると、導入後に残る手作業の場所が事前に見えてきます。
在庫を別に持つ場合の見方
工程の比較表で、在庫は範囲の差がもっとも大きい工程でした。
助ネコの場合、在庫管理は受注管理とは別のシステムで、受注管理のベーシック版またはPlusと同時に契約する場合の月額料金が料金表に設定されています6。
在庫まで任せたいなら、受注管理の契約とは別に在庫管理の契約が加わる構造です。
在庫を別の仕組みで持つこと自体は、悪い選択ではありません。
既に在庫管理のソフトを使っていて、倉庫や仕入れの業務もそこで回っているなら、在庫を持たない受注管理を選び、二つをつなぐほうが合う場合もあります。
判断が分かれるのは、二つの仕組みの間で在庫の数がどう動くかです。
二つに分かれていると、次のような問いが生まれます。
在庫の数の正しい値を持つのはどちらか。
注文が確定したとき、在庫が減るのはどちらの画面か。
取消が入ったとき、減った在庫は自動で戻るのか、誰かが手で戻すのか。
これらが曖昧なまま導入すると、受注の画面と在庫の画面で数が食い違い、結局どちらかを手で直す作業が残ります。
点検で在庫の工程に印が付いた事業者ほど、この受け渡しの部分が範囲の本体になります。
在庫を中に持つ製品を選ぶか、外の在庫管理とつなぐかは、どちらが優れているかではなく、自社の在庫の正しい数をどこに置くかで決まる選択です。
| 選択肢 | 合いやすい状況 | 先に確かめること |
|---|---|---|
| ECカートの標準機能で受ける | 販売経路が一つで、在庫も同じ管理画面で扱っている | 在庫の引き当て・送り状・入金確認が標準機能に含まれるか |
| 既存の販売管理・在庫管理とつなぐ | 在庫や請求を既に別のソフトで管理している | 受注データを渡す方法と、取消・変更が相手のソフトへ届くか |
| 受注管理の専用システムを入れる | 複数のモール・カート・電話FAXの注文をまとめたい | 自動化が効く連携先とプラン、在庫が別製品か |
▼ 図の内容を文字で読む
- 入金確認メールの自動送信
- 対象の2つのモールのみ
- 自動アップロード
- API連携済みのモールのみ
- 出荷の自動化
- 指定の物流サービスを利用している場合のみ
- 自社カートのCSV取込
- 指定フォーマットが必要
- 下位のプランでは使えない
受注管理システムの候補製品に確認する項目と、契約条件の見方
範囲を見抜く7つの確認項目
ここまでの工程の地図と点検の結果は、そのまま候補製品に尋ねる項目に変えられます。
名称が「注文管理」でも「受注管理」でも、次の7つを製品ごとに埋めていけば、範囲と負担の違いが並べて見えるようになります。
- 受付経路:自社が使っているモール、カート、電話・FAX・メールの注文を、どの方法で取り込めるか
- 在庫の引き当て:在庫を製品の中で持つのか、別製品か、外部の在庫管理とつなぐのか
- 出荷・送り状:送り状の作成や、倉庫・配送会社への受け渡しまで持つか
- 請求・入金:請求書の発行、入金の確認、会計ソフトへの受け渡しのどれを持つか
- 返品・キャンセル:確定後の取消や変更が、在庫や請求の側へどう反映されるか
- 自動化の条件:自動で流れるのはどの連携先とどのプランの場合か
- 料金と契約期間:月額の基本料金と従量課金の構造、初期費用、契約期間と途中解約の条件
7つの中でも、製品ごとの差が出やすく、名称から読み取れないのは、2の在庫、5の返品・キャンセル、6の自動化の条件です。
在庫は前の節で見たとおり、中に持つか外に置くかが製品で分かれます。
返品やキャンセルは、比較した資料の多くが説明の中で触れていない工程で、尋ねなければ分からないことが多い部分です。
自動化の条件は、製品ページの機能一覧では「対応」と書かれていても、連携先やプランの注記で範囲が絞られていることがあります。
1から4は、点検で印を付けた工程と照らし合わせる項目です。
印が付いていない工程まで製品が持っていても、それ自体は判断の材料になりません。
反対に、印が付いた工程を製品が持たない場合、その工程の手作業は導入後も残るので、それを許容できるかを決める必要があります。
7の料金と契約期間は、範囲の判断が終わってから見るものではなく、範囲を見誤ったときに何が起こるかに直結する項目なので、次で詳しく見ます。
契約期間と違約金の確認
専用の受注管理システムの料金は、基本料金だけで決まるとは限りません。
助ネコの料金表では、受注件数の目安に応じた月額基本料金と従量課金があり、件数の多いプランは1年契約になっています6。
メインシステムの初期費用も別に設定されています6。
受注件数が増えれば上のプランへ移り、それに伴って契約期間の条件も変わる、という構造です。
年間契約で気になるのは、途中で解約したときの扱いです。
助ネコの違約金は、年間契約の月額基本料金に残りの月数をかけた額とされ、受注管理のベーシック版を年間契約して9ヶ月で解約する場合の例として「42,000円×残り3ヶ月=126,000円」が示されています7。
PlusとPremiumには最低契約月数があり、それを過ぎると違約金は発生しないとされています7。
これは助ネコという一製品の公開条件で、他社の違約金や市場の相場を示すものではありません。
料金は改定されることもあるため、検討の時点で提供元の最新の条件を見る必要があります。
ただ、この例は、範囲の確かめ方と契約条件がつながっていることをよく示しています。
たとえば、受注管理の製品を年間契約で入れたあとに、在庫が範囲に入っていなかったと分かり、在庫まで持つ別の製品へ乗り換えたくなった、という場合を考えます。
このとき、残りの契約期間の基本料金が違約金としてかかる条件なら、乗り換えの判断は範囲の不足だけでなく、残りの月数と月額料金にも左右されます。
範囲を見誤った代償が、作業の手間だけでなく、金額としても表に出るということです。
そのため、年間契約を結ぶ前に、点検で追った注文を実際にその製品に通して、印を付けた工程が本当に流れるかを見られるかどうかを、提供元に尋ねておく価値があります。
途中で解約したときの計算方法、最低契約月数の有無、件数が増えてプランが変わったときの契約期間の扱いは、名称や機能一覧からは分からない項目です。
受注件数の伸び方によっては、最初に選んだプランの契約期間の途中で上のプランへ移ることも考えられるため、その切り替えの扱いまで含めて聞いておくと、契約後の判断の余地が見えてきます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 年間契約の開始
- 9ヶ月で解約
- 残り3ヶ月分の月額基本料金が違約金になる
- 42,000円×残り3ヶ月=126,000円
注文を追えば詰まっている工程は見えてきますが、候補製品ごとに範囲の書き方や連携の条件の示し方が違うため、自社の販売経路や既存のソフトと突き合わせる段階で判断が割れやすくなります。
相談では、自社の注文の流れを工程ごとに並べ、どの工程を新しい仕組みに持たせ、どこを今のツールに残すかの切り分けと、候補製品に尋ねるべき項目を整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 名称 | 「注文管理」「受注管理」は同義で使われる例が多く、名称では範囲が決まらない |
|---|---|
| 比べる軸 | 受付・確認、在庫、出荷、請求・入金、返品の工程ごとに持つかを見る |
| 範囲の決め方 | 注文数件を追い、転記と待ちが生じた工程と、その前後の引き渡し先を範囲にする |
| 差が出やすい工程 | 在庫(中に持つか別製品か)、返品・キャンセル、自動化が効く連携先とプラン |
| 契約条件 | 月額と従量課金の構造、契約期間、途中解約の違約金の計算方法を契約前に見る |
範囲を見誤ったまま年間契約を結ぶと、乗り換えの判断が残りの契約期間や違約金にも左右されるため、契約前の確かめ方を一人で組み立てるのは負担が大きくなります。 相談では、点検で印を付けた工程と候補製品の範囲・連携条件・契約条件を並べ、導入後に残る手作業と契約上の注意点を契約前に見通せます。
よくある質問
注文管理システムと受注管理システムは製品選びで区別する必要がありますか
名称で区別する必要は小さいと考えられます。
受注は注文を受ける側から見た語で2、注文管理システムを受注管理システムと同じものとして表記する解説もあります3。
ただし同じ名称でも、在庫や返品、請求を範囲に含むかどうかは製品ごとに違います。
名称ではなく、受付・在庫・出荷・請求と入金・返品のどの工程を持つかで比べるほうが、導入後のずれを避けられます。
電話やFAXの注文だけでも受注管理システムは使えますか
電話・FAXの注文をモールやカートの注文とまとめて管理できると案内している製品はあります5。
ただし、電話やFAXの注文は自動では取り込まれず、受けた内容をどう入力するかが残ります。
電話・FAX・メールで受注する担当者の調査では、手入力や確認連絡のほか、注文書の管理が煩雑と答えた人が30%いました(食品の小売・卸売業の担当者、n=90)8。
入力の手間だけでなく、受け取った注文書をどう残すかまで含めて、製品の範囲を見る必要があります。
在庫管理は受注管理システムに含まれるのですか、別に必要ですか
製品によって異なります。
在庫の割り当てを受注管理(OMS)の範囲に含める解説がある一方3、受注管理とは別の製品として在庫管理を提供している例もあります56。
既に在庫管理のソフトを使っているなら、在庫を持たない受注管理を選んでつなぐ方法もあります。
どちらの場合も、在庫の正しい数をどちらの仕組みに置き、取消のときに在庫がどう戻るかが判断の分かれ目になります。
ECカートの管理画面だけで足りなくなるのはどんな状態ですか
一般的な基準を示した資料は確認できていませんが、工程の点検から見分ける方法はあります。
複数のモールやカート、電話・FAXから注文が入り、それを一か所に集めるために書き写しているなら、カート一つの管理画面の外で起きている作業です。
販売経路が一つで、詰まりが送り状や在庫など一か所に限られるなら、まずカートの標準機能や既存のソフトとの組み合わせでその工程を持てるかを見る余地があります。
受発注システムと受注管理システムは何が違いますか
受注は注文を受けること、発注はその対義語で注文を出すことです2。
この語の関係からは、受発注と名の付く仕組みは、注文を受ける側と出す側の両方の業務を扱う可能性があります。
ただし、受発注システムという名称の製品がどこまでを持つかを示した資料は今回の材料にありません。
受注管理システムと同じく、名称ではなく、自社の受注側の工程を持つか、仕入れなど発注側の業務も扱うかを製品ごとに確かめることになります。
年間契約の製品を選ぶとき、解約条件で何を確認すればよいですか
途中解約したときの違約金の計算方法、最低契約月数の有無、プランを変えたときの契約期間の扱いの三点です。
助ネコの例では、違約金は年間契約の月額基本料金×残月数で、ベーシック版を9ヶ月で解約すると42,000円×残り3ヶ月=126,000円とされています7。
これは一製品の条件で、他社の水準を示すものではありません。
範囲を見誤って乗り換えたくなったときの負担に直結するため、契約前に範囲を実際の注文で確かめられるかも合わせて尋ねておくと判断しやすくなります。
- 1 出典:マイナビニュース「受注業務ってどんな内容? 仕事の流れやミスの防止方法について解説!」(2021)
- 2 出典:GMOインターネット(ビジネスコンシェルジュ)「受注管理の解説記事」(2025)
- 3 出典:Shopify Japan 株式会社「注文管理システム(OMS)の解説ブログ」(2025)
- 4 出典:株式会社マネーフォワード「受注発注業務の流れ(マネーフォワード クラウド請求書)」(2025)
- 5 出典:株式会社助ネコ「助ネコ 受注管理システム製品ページ」(2026)
- 6 出典:株式会社助ネコ「助ネコ 料金表」(2026)
- 7 出典:助ネコ(受注管理システム運営)「助ネコの違約金について」(2026)
- 8 出典:株式会社ハンモック(IDEATECH「リサピー」企画)「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023)
画像の出典元
- Flat lay of a workspace with laptop, documents, and cardboard boxes for e-commerce operations./Photo by Kampus Production on Pexels