◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 通知で防げるのは、定期発注日・締め時刻・在庫下限のように時点や数値で判定できる抜けで、需要の読み違いや発注先の欠品は防げない。
- 場面ごとに条件・宛先・時刻・手段の4欄を決め、時刻は発注先の締めと納品までの期間から逆算する。
- 慣れへの備えは、通知の種類を絞り、未対応なら別の手段で再通知して代行者へ回し、週に一度は予定と発注履歴を照らすこと。
- 麻薬・向精神薬など法令で手続きが定められた品目は、通知を発注のきっかけにとどめ、発注と受け入れの確認は人が行う。
- 通知文面に患者情報は入れず、個人端末や外部サービスの可否は、医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第7.0版を読んで院が決める。
目次

発注忘れが起きる場面を4つに分ける:通知で防げる抜け、防げない抜け
毎週の発注日をうっかり過ぎていた。
薬品棚を見て、残りが少ないと初めて気づいた。
こうした発注忘れの多くは、担当者の記憶と注意力だけで発注を回していることから起きます。
このうち、定期発注日、発注先の締め時刻、在庫の下限のように、時点や数値で決まる抜けはアプリの通知で防げます。
場面ごとに、何を条件に、誰へ、いつ、どの手段で知らせるかを決めます。
担当者の不在や通知への慣れは、再通知と代行者で補います。
麻薬など別管理の品目、通知に載せる情報、個人の端末の扱いは、通知に任せず院内のルールで線を引きます。
定期発注日・締め時刻・在庫下限の抜け
発注忘れと一口に言っても、抜け方はいくつかあります。
ここでは、定期発注日の失念、締め時刻の超過、在庫下限の見逃し、担当者の不在の4つの場面に分けて考えます。
この分け方は設定を考えるための整理の一案で、どの場面がどれくらい多いかを測った数字ではありません。
1つ目の定期発注日の失念は、決まった日を過ぎてしまう抜けです。
毎週火曜に衛生材料をまとめて頼む、月末に棚卸しをして翌月分を発注する、といった習慣があるのに、その日に別の業務が重なって発注が翌週へずれ込む場面です。
2つ目の締め時刻の超過は、発注日は覚えていたのに間に合わない抜けです。
午前の診療が押し、発注先の受付締めを過ぎてから発注画面を開くと、その日の受付分には入りません。
3つ目の在庫下限の見逃しは、使用量が普段より多く、次の定期発注日を待たずに在庫が尽きかける場面です。
発熱外来が続いた週の検査キットや手袋などが、これに当たりやすいでしょう。
この3つに共通するのは、「いつ」または「いくつ」で抜けを判定できることです。
日付、時刻、在庫数は仕組みが判断できる条件なので、通知の条件にそのまま置けます。
ただし在庫下限の通知は、在庫数がどこかに記録されていることが前提です。
在庫を棚の目視だけで見ているなら、アプリは下限を下回ったことを知りようがありません。
担当不在の抜け
4つ目は担当者の不在です。
発注担当が急に休んだ、研修や学会で外していた、異動や退職で引き継ぎが曖昧なままだった、といった場面です。
この場合、通知が正しい時刻に出ても、受け取る人が対応できなければ発注は進みません。
つまり担当不在は、条件の問題ではなく宛先の問題です。
通知を1人に送るだけの設定では防げず、その人が対応しなかったら誰に回すかを決めておく必要があります。
アプリの設定項目で言えば、宛先の追加や、未対応のときの転送に当たります。
通知では防げないもの
通知が防ぐのは、やるべき時にやるべき人が気づかない抜けです。
何をどれだけ頼むかという判断そのものは助けません。
流行期が早まりそうだ、ある医師の処方の傾向が変わった、といった需要の変化を読み違えると、発注は時刻どおりに出ても数量が足りなくなります。
下限値を一度決めたまま放置している場合も同じです。
患者数や診療内容が変わったのに下限を見直さなければ、通知は鳴るべき時に鳴りません。
通知を入れた後も、下限値や通常の発注量を見直す人と時期を決めておくと、通知が古い前提のまま動き続けるのを防げます。
もう一つ、卸や業者の側の欠品や出荷調整による入手難は、自院の発注忘れとは別の問題です。
通知で早く気づいても、品物がなければ入手できません。
この場合は発注先の画面や担当者からの情報で代替品を探すことになり、発注先の画面でできることは最後の節で扱います。
| 場面 | 条件にできるもの | 通知の役割 |
|---|---|---|
| 定期発注日の失念 | 曜日や日付 | 時点で知らせる |
| 締め時刻の超過 | 発注先の受付締め | 締めから逆算して知らせる |
| 在庫下限の見逃し | 品目ごとの在庫数(記録が前提) | 下回った時点で知らせる |
| 担当不在 | 固有の条件はない | 未対応のとき代行者へ回す |
| 需要の読み違い | 条件にできない | 通知では防げない |
▼ 図の内容を文字で読む
- 通知で防げる抜け
- 定期発注日の失念
- 締め時刻の超過
- 在庫下限の見逃し
- 宛先で補う抜け
- 担当不在(再通知と代行者)
- 通知では防げないもの
- 需要の読み違いによる数量の誤り
- 卸や業者の欠品による入手難
通知の設計:条件・宛先・タイミング・手段を場面ごとに決める
条件の軸
前の節の4つの場面を、通知の設定に置き換えます。
決めるのは、条件、宛先、時刻、手段の4欄です。
場面ごとにこの4欄を埋めた表を1枚作っておくと、アプリへの設定も、担当が変わったときの引き継ぎも、その表を見ながら進められます。
条件の軸は場面で異なります。
定期発注日は曜日や日付、締め時刻は発注先ごとの受付締め、在庫下限は品目ごとの残数です。
前の2つは時刻が来たら鳴らすだけなので、多くのカレンダーやリマインダーでも設定できます。
在庫下限は数が下回ったら鳴らすので、在庫数を記録している仕組みの中でしか条件を置けません。
在庫を記録していない院で在庫下限の通知を望むなら、まず、使った分を誰がいつ記録するかを決めることが先になります。
担当不在の場面には、固有の条件はありません。
他の3つの場面の通知に、一定時間内に発注済みにならなければ、という条件を重ねる形になります。
どう重ねるかは次の節で扱います。
宛先と時刻(締めからの逆算)
時刻は、発注先の締めから逆算して決めます。
締めの直前に1回鳴らすだけでは、診療や調剤で手が離せないときに間に合いません。
たとえば締めが正午の発注先なら、前日の夕方と当日の朝に知らせ、昼の手前でまだ発注していなければ再通知する、といった並べ方が考えられます。
ここでの時刻は説明のための仮の例で、実際の締め時刻は発注先ごとに違います。
自院の発注先の取引案内や営業担当に、受付締めと配送のタイミングを確かめてから数字を入れます。
余裕を持った時刻にする理由は、担当者の都合だけではありません。
物流業界の働き方改革に伴う、いわゆる2024年問題を受けて、厚生労働省は2024年3月に通知を出し、医薬品卸と医療機関・薬局に対して、配送のリードタイム(発注から納品までの期間)が延びることを踏まえた早めの発注を求めたと専門紙が報じています4。
同じ報道では、時間を指定して受け取る納品ルールの緩和も求められたとされます4。
内容は報道に基づくもので、通知の原文までは確かめられていません。
ここから言えるのは、締めぎりぎりに発注しても当日や翌日に届く、という前提を以前ほど当てにしないほうがよいということです。
そのため通知は、締めの何時間前という置き方だけでなく、必要な日までに納品が間に合う最後の発注日の前、という置き方も考えます。
休診日や連休の前は、この最後の発注日が普段より早くなるので、カレンダーの通知を個別に足しておくと抜けにくくなります。
宛先は、主担当1人に加えて、発注の権限を持つ代行者を最初から決めておきます。
初回の通知は主担当だけに送り、代行者には未対応のときに回す形にすると、毎回全員に届いて誰も動かない、という状態を避けられます。
全員に同時に届く通知は、誰かがやるだろうという受け止め方を生みやすいからです。
手段(アプリ・メール・チャット)
手段は、受け取る人が勤務中に実際に目にするものを選びます。
事務室のパソコンの前にいる時間が長い人なら、メールや業務用のチャットで足ります。
診療の介助や調剤で席を外すことが多い人には、院内で持ち歩いている業務用の端末への通知のほうが気づきやすいでしょう。
同じ通知を複数の手段で送れば見落としが減るように思えますが、同じ内容が3か所に届くと、1つを見て残りを既読にする作業が増えます。
やがて、どれも流し読みするようになります。
基本の手段は1つに絞り、再通知のときだけ別の手段を足すほうが、急ぎの通知とそうでない通知の差が受け手に伝わります。
個人のスマートフォンを手段にするかどうかは、情報管理の判断が関わるため、後の節で扱います。
| 場面 | 条件 | 宛先 | 時刻 | 手段 |
|---|---|---|---|---|
| 定期発注日 | 曜日や日付 | 主担当 | 前日と当日朝 | 業務チャットなど |
| 締め時刻 | 発注先の受付締め | 主担当(未対応なら代行者) | 締めから逆算 | 業務端末の通知など |
| 在庫下限 | 品目ごとの在庫数 | 主担当 | 下回った時点 | 業務チャットなど |
| 担当不在 | 一定時間内に未発注 | 代行者 | 再通知の時点 | 初回とは別の手段 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 条件
- 定期発注日は曜日や日付
- 締め時刻は発注先ごとの受付締め
- 在庫下限は品目ごとの残数
- 宛先
- 主担当1人
- 未対応のときに回す代行者
- 時刻
- 発注先の締めから逆算
- 未発注のときは再通知
- 手段
- 基本は1つに絞る
- 再通知のときだけ別の手段を足す
▼ 図の内容を文字で読む
- 前日の通知
- 当日朝の通知
- 締め前の再通知
- 発注先の締め
- 納品
見落とし・慣れを防ぐ運用:再通知、代行者、未発注の確認
臨床アラートの研究から借りる考え方
通知を設定して数か月たつと、鳴っても後でやると流すことが増えてきます。
この慣れを考えるうえで参考になるのが、処方時の臨床アラートの研究です。
CPOE(医師が処方や検査をシステムに入力するオーダーエントリー)で出る警告について、23本の論文を調べたシステマティックレビューでは、警告が無視された割合の平均は、研究によって46.2%から96.2%の幅がありました1。
無視が妥当だったかどうかも、警告の種類によって大きく違っていました1。
これは患者の安全に関わる処方時の警告の数字で、在庫や発注の通知の無視率ではありません。
発注通知がこれだけ無視される、という意味に読み替えることはできません。
借りられるのは数字ではなく考え方のほうです。
同じレビューでは、無視の理由として「経過観察する」「以前から服用していて問題がなかった」が多く挙がっていました1。
前にも大丈夫だったという経験が、警告を流す理由になっているわけです。
発注通知でも、鳴ったのに在庫はまだ残っていた、という経験が重なると、同じ受け止め方が起きうると考えられます。
そこで設計の手がかりになるのは、通知の種類を絞ること、重要度で段階を分けること、未対応のときに別の人へ回すことの3つです。
毎日決まって鳴る通知は慣れを生むので、条件を満たしたときだけ鳴る通知を中心にします。
締めの前日の通知と、締め直前で未発注の通知とでは重みが違うので、後者だけ手段や宛先を変えて区別します。
在庫下限の通知が頻繁に鳴って毎回まだ余裕があるなら、下限値が高すぎるという合図として見直します。
再通知と代行者
再通知は、最初の通知から一定時間内に発注済みの操作がなかったときに出します。
ここで要になるのは、発注が済んだことを通知の仕組みにどう伝えるかです。
発注先の画面で発注しても、院内の通知アプリの側はそれを知りません。
通知アプリに完了の操作があるなら、発注した人がそれを押すところまでを手順に入れます。
完了の操作を忘れれば、発注済みなのに再通知が鳴ります。
そのまま発注すると二重発注になるので、再通知を受けた人はまず発注先の画面で発注履歴を見る、という順番も決めておきます。
この一手間が、通知の仕組みと発注先の画面が別々であることの代償です。
代行者は、通知を受け取れるだけでは務まりません。
発注先の画面に入る権限と、何をどれだけ頼めばよいかの判断材料を持っている必要があります。
通知は届いたのに、ログインできない、いつもの発注量が分からない、では止まってしまいます。
代行者を決めるときは、発注先ごとのログイン手段と、定番品の通常の発注量の控えを一緒に渡しておきます。
休みが前もって分かっている日は、未対応を待たずに、その日だけ初回の宛先を代行者へ切り替えるほうが確実です。
宛先の切り替えを誰が行うかも、主担当の休暇の申請と同じ流れに組み込んでおくと忘れにくくなります。
未発注の確認
再通知と代行者を整えても、通知そのものが出なかった場合は気づけません。
設定が誤って消えていた、発注先が増えたのに通知を足していなかった、締め時刻が変わったのに設定が古いままだった、といった抜けです。
これを拾うには、通知とは別に、週に一度など決めた時点で、予定していた発注が全部済んでいるかを発注履歴と照らす確認を置きます。
照らし合わせる相手は、前の節で作った4欄の表です。
表に並んだ発注先と発注日に対して、発注先の画面や院内の記録に発注の跡があるかを見ていきます。
この確認は、通知が正しく動いているかの点検も兼ねます。
発注先が増えたり、締め時刻が変わったりしたときに、表と通知の設定を一緒に直す担当を決めておくと、表と実際の設定が少しずつずれていくのを防げます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 初回の通知:主担当へ基本の手段で送る
- 再通知:一定時間内に未発注なら別の手段を足す
- 代行者へ回す:さらに未対応のとき
- 発注履歴を確認:二重発注を避けるため先に見る
- 発注と完了の記録:発注した人が完了の操作を行う
任せてよい範囲と人が確認する範囲:医薬品の別管理と、通知・端末の安全管理
麻薬・向精神薬など別管理の品目
通知がうまく回り始めると、在庫が下限を下回ったら発注まで自動で進めたい、と考えるかもしれません。
一般の衛生材料や消耗品なら、発注案の作成まで仕組みに任せる選択肢もあります。
ただ、麻薬や向精神薬のように、取扱いの手続きが法令で定められている品目は事情が違います。
これらの品目は、発注から受け入れ、保管、記録までの各段階で法令上の手続きが関わり、具体的な要件は品目の区分や施設の種類によって異なります。
そのため、通知は発注を思い出すきっかけにとどめ、発注の判断と受け入れの確認は人が行う、という切り分けを勧めます。
在庫下限の通知を出すこと自体が問題になるわけではありません。
避けたいのは、通知から先の処理を自動化した結果、人が数量や記録を確かめる機会がなくなることです。
具体的な手続きは、院内の業務手順書と、所管の保健所や都道府県の薬務担当の案内で確かめます。
同じ考え方は、毒薬・劇薬、使用期限の短い品目、高額な診療材料にも当てはまります。
どこまで仕組みに任せるかを品目のグループごとに決め、4欄の表に人の確認が要るかどうかの列を足しておくと、設定する人と使う人の間で認識がずれません。
通知文面に入れる情報
通知文面は、品名、数量、発注先、締め時刻にとどめ、患者名や処方内容は入れない設計を勧めます。
発注の判断に、患者個人の情報は要りません。
特定の患者のために取り寄せる薬であっても、通知には品名と数量があれば足り、誰のための取り寄せかは院内の記録で確かめられます。
通知は、端末のロック画面に表示されたり、チャットの履歴に残ったり、メールが転送されたりします。
文面に患者情報が入っていると、本来見るはずのない人の目に触れる経路が増えます。
文面から患者情報を外しておけば、通知がどこへ届いても、そこに載るのは発注の情報だけです。
品名だけでも、品目によっては受診の内容を推測させる場合があります。
ロック画面に文面まで表示するのか、通知が来たことだけを表示するのかも、文面と合わせて決めておきます。
個人端末と外部サービス
通知を個人のスマートフォンで受けたい、無料のチャットサービスを使いたい、という要望は現場から出やすいものです。
この判断の拠り所になるのが、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」です。
掲載ページでは第7.0版として、概説編、経営管理編、企画管理編、システム運用編、保守委託機関編が公開されています2。
私物端末の利用や外部サービスの扱いについて、どの編のどの項目が自院に関わるかは、院の体制やシステムの使い方で変わります。
専任のシステム担当者がいるか、クラウドのサービスを使っているか、といった条件で読むべき箇所が違うためです。
端末やサービスに関する具体的な要件は、最新版の本文で確かめる必要があります。
順番としては、導入を決める院長や事務長が最新版の該当箇所を読み、通知を受けてよい端末と使ってよいサービスを先に決めてから、通知の手段を選びます。
通知文面から患者情報を外していても、発注先へのログイン情報を個人の端末に保存してよいか、退職時に端末から何を消すかなど、端末の側で決めることは残ります。
| 品目のグループ | 通知の役割 | 人が行うこと |
|---|---|---|
| 一般の消耗品・衛生材料 | 発注のきっかけから発注案の作成まで | 数量の最終確認 |
| 一般の医薬品 | 発注のきっかけ | 発注量の判断と受け入れの確認 |
| 麻薬・向精神薬など法令で手続きが定められた品目 | 発注を思い出すきっかけのみ | 発注・受け入れ・記録の確認 |
| 高額な診療材料・期限の短い品目 | 発注のきっかけ | 発注量と時期の判断 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 最新版の該当箇所を読む
- 通知を受けてよい端末と使ってよいサービスを決める
- 通知の手段を選ぶ
自院の発注方法に合う設定とアプリの選び方
発注先の数と受注方式
通知をどこで鳴らすかは、発注先の数と受注方式で変わります。
発注先が主に1社の卸に集約されていて、その卸のWeb発注の画面に通知や発注予定の機能があるなら、まずそれを使うのが手間の少ない方法です。
発注する画面と通知する仕組みが同じなら、発注が済んだことを別のアプリへ伝え直す必要がありません。
卸のWeb発注の画面でできることは広がっています。
メディパルホールディングス傘下の卸4社(メディセオ、エバルス、アトル、東七)が提供するWeb発注システムでは、発注画面で物流センターの在庫を確認でき、在庫切れなら同じ画面で代替品を選べるようになったと報じられています3。
同じ報道によると、このシステムは全国3万軒以上の医療機関・調剤薬局が利用しています3。
これはこのグループのシステムの例で、他の卸の画面に同じ機能があるとは限りません。
それでも、発注先の画面で何ができるかを先に確かめると、院内で通知や代替品探しを別に用意しなくて済む部分が見つかることがあります。
一方、医薬品は卸のWeb発注、診療材料は別の業者に電話やFAX、日用の消耗品は通販、というように発注先と方式が分かれている院では、発注先ごとの通知だけでは全体を見渡せません。
この場合は、院内の側に通知の仕組みを1つ置き、発注先ごとの締めと発注日をそこへまとめます。
共有カレンダーのリマインダーでも、定期発注日と締め時刻の通知は組めます。
在庫下限まで通知したいなら、在庫を記録できる仕組みが別に必要になります。
確認項目の一覧
アプリを比べるときは、機能の数より、ここまでの節で決めた運用が設定で表せるかを見ます。
確かめる項目を次の表にまとめました。
判断が分かれやすいのは、在庫数と未発注の扱いです。
日時だけで鳴らす仕組みは手軽ですが、在庫下限の通知と発注済みの照合は、在庫や発注の記録を持つ仕組みでないとできません。
手軽さを取るか、記録まで一つにまとめるかは、在庫下限の見逃しにどれだけ困っているかで決まります。
抜けの中心が定期発注日の失念や締めの超過なら、日時の通知でまず手が届きます。
もう1点、仕組みに在庫数の欄があることと、その在庫数が実際の使用に合わせて更新されることは別の話です。
使った分を誰がいつ入力するのか、入力が遅れたときに下限の通知が鳴らないことをどう補うのかまで決めないと、条件は設定できても通知は鳴りません。
試用のときは、在庫の入力を担当する人がその作業を続けられるかも合わせて見ます。
導入を決める人と使う人の違い
通知の仕組みを選んで設定するのは院長や事務長、毎日通知を受けて発注するのは受付や医療事務、薬剤師、看護師、という分担はよくあります。
決める人は機能の一覧で比べがちですが、使う人にとっての問題は、診療の合間にどの画面で通知に気づき、何回の操作で発注済みにできるかです。
選ぶ前に、実際に発注を担っている人に4欄の表を一緒に埋めてもらうと、発注先ごとの本当の締め時刻、席を外す時間帯、代行を頼める相手といった、決める人の手元にない情報が集まります。
試用ができるなら、1つの発注先と1つの場面だけで使ってみて、通知に気づけたか、完了の操作が負担にならなかったかを担当者に聞いてから広げます。
最初から全品目と全発注先を設定するより、宛先や時刻の手直しが少なくて済みます。
| 確認項目 | 確かめること | 関わる場面 |
|---|---|---|
| 条件の軸 | 日時に加え在庫数や未発注を条件にできるか | 定期発注日・締め時刻・在庫下限 |
| 宛先 | 1件の通知に主担当と代行者を分けて設定できるか | 担当不在 |
| 再通知 | 未対応のとき時間を置いて別の手段で知らせられるか | 締め時刻・担当不在 |
| 代行者 | 未対応のとき代行者へ自動で回せるか | 担当不在 |
| 未発注の検知 | 発注済みを記録し予定と照らせるか | すべての場面 |
| 端末の取扱い | 院が許可した端末とアカウントに限れるか・ロック画面の表示を制御できるか | 情報管理 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 発注先が主に1社に集約
- 卸のWeb発注の画面にある通知や発注予定の機能を使う
- 発注先と方式が分かれている
- 院内に通知の仕組みを1つ置く
- 共有カレンダーのリマインダーでも組める
- 在庫下限まで通知したい
- 在庫を記録できる仕組みが別に必要
発注先ごとに締め時刻や受注方式が違うと、どの抜けを発注先の画面で防ぎ、どこを院内の通知で補うかの線引きを担当者だけで決めるのは難しくなります。
自院の発注先と品目を並べ、条件・宛先・時刻・手段の4欄を埋めながら、通知に任せる範囲と人が確認する範囲を一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 通知で防げる抜け | 定期発注日・締め時刻・在庫下限のように時点や数値で判定できるもの |
| 通知で防げない抜け | 需要の読み違いによる数量の誤り、発注先の欠品 |
| 時刻 | 発注先の締めと納品までの期間から逆算し、前日・当日・未発注時の再通知に分ける |
| 宛先 | 初回は主担当、未対応なら代行者。全員同時の通知は避ける |
| 慣れへの備え | 通知の種類を絞り、重要度で手段を分け、週に一度は予定と発注履歴を照らす |
| 人が確認する範囲 | 法令で手続きが定められた品目は通知をきっかけにとどめる |
| 通知文面と端末 | 患者情報は入れない。端末とサービスはガイドライン最新版を読んで院が決める |
通知の仕組みを選ぶ段階では、導入を決める人と毎日発注する人で、見ている課題が分かれがちです。 確認項目の表をもとに、在庫の記録や完了の操作を誰が担うのか、自院の運用で続けられる設定かどうかを確かめられます。
よくある質問
通知は何時間前に出すのが適切ですか。
一律の正解はありません。
発注先の受付締めと、発注から納品までの期間から逆算して決めます。
前日と当日朝の2回を基本にし、締めの手前でまだ発注していなければ再通知する、という並べ方が一つの例です。
配送の期間が延びる流れもあるため、締めだけでなく、必要な日までに納品が間に合う最後の発注日の前にも通知を置くと安心です。
担当者が休みのとき、通知は誰に回せばよいですか。
発注先の画面に入る権限を持ち、通常の発注量が分かる代行者を前もって決めておきます。
初回の通知は主担当へ送り、一定時間内に発注済みにならなければ代行者へ回す設定にします。
休みが前もって分かっている日は、その日だけ初回の宛先を代行者に切り替えるほうが確実です。
通知に品名を入れてもよいですか。患者名や処方内容はどうですか。
品名、数量、発注先、締め時刻を入れ、患者名や処方内容は入れない設計を勧めます。
発注の判断に患者の情報は要らず、通知はロック画面やチャットの履歴など、思わぬ場所に表示されるためです。
品名でも受診の内容を推測させる品目があるので、ロック画面に文面まで表示するかどうかも合わせて決めます。
個人のスマートフォンで発注通知を受け取ってもよいですか。
院としての判断が必要です。
厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の最新版(第7.0版)のうち、自院の体制に関わる箇所を読み、許可する端末と使えるサービスを決めてから通知の手段を選びます。
個人端末を認める場合も、発注先へのログイン情報を保存してよいか、退職時に何を消すかまで決めておきます。
卸のWeb発注に通知機能がない場合、どう補えばよいですか。
院内の側に通知の仕組みを1つ置き、発注先ごとの発注日と締め時刻をまとめます。
共有カレンダーのリマインダーや業務チャットでも、日時の通知は組めます。
この場合は発注先の画面と通知が別々になるので、発注した人が完了を記録する手順と、週に一度の未発注の確認を合わせて置きます。
麻薬や向精神薬も同じ通知の仕組みで発注してよいですか。
発注を思い出すきっかけとして通知を使うことはできますが、発注の判断と受け入れ、記録の確認は人が行う切り分けを勧めます。
これらは取扱いの手続きが法令で定められた品目で、具体的な要件は院内の業務手順書と、所管の保健所や都道府県の薬務担当の案内で確かめます。
下限を下回ったら自動で発注まで進める設定の対象には含めないほうが安全です。
- 1 出典:JMIR Medical Informatics(Poly TN ほか)「Appropriateness of Overridden Alerts in Computerized Physician Order Entry: Systematic Review」(2020年)
- 2 出典:厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(2026年)
- 3 出典:物流ニュース(LNEWS)「医薬品Web発注システム Order-epi に在庫確認・代替品選択の機能を追加」(2026年)
- 4 出典:薬事日報「物流2024年問題に関する厚労省通知の報道」(2024年)
画像の出典元
- Healthcare worker in scrubs organizing medication in a medical facility./Photo by RDNE Stock project on Pexels