まずは卸売ECを小規模でスタートしたい方へ。リーズナブルなSaaS(ASP)版『EC-Rider Primo(プリモ)』誕生! 詳しくはこちら

電話受注で数量の桁を聞き間違える原因と対策|復唱から確認書の返送まで

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 電話受注の桁違いは、言い間違い・聞き違い・転記・入力のどこで数が変わったかによって効く対策が違う
  • 復唱は数字を区切り単位を付けて読み上げ、取引先が正しいと答えて初めて完結する
  • 入力段階の誤りは数量上限や過去の数量との比較などで止め、機能がなければ受注票の換算欄や前回数量欄で代える
  • 取適法の対象取引では電話のみの発注は発注側の明示義務違反とされ、文字での確認を頼む根拠になる
  • 対策の効果は段階と発見のきっかけを記録し、出荷前に止めた事例も含めて受注件数あたりで比べる

50代前半の日本人男性が電卓での入力をしている場面

「後で桁が違っていた」とき、電話受注のどの段階で誤りが起きたのか

電話で「10個」と受けたはずの注文が、出荷後に「100個」だったと分かる。
こうした桁違いが起きたとき、最初に見るのは、数字がどこで変わったかです。
取引先の言い間違い、受け手の聞き違い、受注票への転記、システムへの入力のどこかで、数字は変わっています。
段階が分かれば、数字を区切った復唱、単位つきの確認、システムでの数量の警告といった、電話を続けたままできる手を当てられます。
誤りの影響が大きい品目や取引先では、電話を受付にとどめ、注文内容を文字で確認してもらう運用へ移します。
その場合も、電話をやめるのではなく、併用から始めるのが現実的です。

聞き違い・言い間違い・転記・入力の四つに分ける

たとえば、取引先から電話で「15ケース」と注文を受け、実際には50ケースを出荷したとします。
取引先から「頼んだ数と違う」と連絡があって初めて気づき、引き取りと再出荷の手配に追われます。
この時点で分かっているのは、出荷した数が違っていたことだけです。
数字がどこで変わったのかは、まだ分かっていません。

電話で受けた数量は、出荷までに何度か人の手を通ります。
まず取引先が数を口にし、受注担当者がそれを聞きます。
次にメモや受注票に書き、最後に受注票からシステムへ入力します。
このどこでも数字は変わりえます。
そこで、誤りの出どころを次の四つに分けて考えます。

  • 言い間違い・単位の取り違い:取引先が意図と違う数を言う、またはケースとバラ、箱と個を取り違えて伝える
  • 聞き違い:「じゅうご」と「ごじゅう」のように、音の並びが似た数字を受注担当者が別の数として聞き取る
  • 転記:電話中のメモから受注票へ書き写すときに、桁を落としたりゼロを重ねたりする
  • 入力:受注票からシステムへ打ち込むときに、桁を誤る

段階を分けるのは、段階によって効く対策が違うからです。
電話の時点で数を聞き違えていれば、入力画面のチェックを厳しくしても、聞き違えた数がそのまま入力されるだけです。
反対に、電話では正しく聞けていて転記で桁が変わっているなら、電話口の復唱をいくら丁寧にしても誤りは減りません。
原因が分からないまま「次から気をつけます」で済ませると、効かない場所に手間を足すことになりがちです。

なお、この四つの分け方は、自社の誤りを当てはめて整理するための枠です。
どの段階の誤りが多いかは現場ごとに違うため、比率は自社の記録で確かめることになります。

訂正記録から自社の誤りの段階を見る

段階を見分ける手掛かりは、注文の途中に残る記録どうしの食い違いです。
次の記録を並べると、数字が変わった位置がおおよそ見えてきます。
電話中のメモ、受注票、システムの入力値、そして取引先が手元に残している発注の控えです。

  • 電話中のメモの時点で数が違う:聞き違いか言い間違い
  • メモは正しく、受注票で数が違う:転記
  • 受注票は正しく、システムの値が違う:入力

聞き違いと言い間違いは、受注側の記録だけでは区別しにくいところです。
取引先の発注控えや社内の発注データに正しい数が残っていれば、相手は正しく言い、こちらが聞き違えた可能性が高くなります。
控えの側にも同じ誤った数があれば、取引先が言う前の段階で数がずれていたと考えられます。
どちらとも決められない場合は、「電話の時点」とひとまとめにしても困りません。
次の節で扱う区切った復唱と送り手による最終確認は、どちらにも効く手だからです。

困るのは、電話中のメモを通話が終わるとすぐ捨てている場合です。
メモがなければ、聞き違いと転記の区別がつきません。
原因を切り分けたいなら、まず電話中のメモや受注票の控えを一定期間残すことから始めます。
この記録は、最後の節で扱う効果の確かめ方の土台にもなります。

電話で受けた数量が通る四つの段階と、各段階で起きる誤り
取引先が数を言う、受注担当者が聞く、受注票に書く、システムへ入力するの順に、各段階で誤りが起きうることを示す図1取引先が数を言う言い間違い・単位の取り違い2受注担当者が聞く聞き違い3受注票に書く転記4システムへ入力する入力

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 取引先が数を言う(言い間違い・単位の取り違い)
  2. 受注担当者が聞く(聞き違い)
  3. 受注票に書く(転記)
  4. システムへ入力する(入力)

電話受注のままできる桁ミス対策と、その効き方の限界

数字を一桁ずつ区切って復唱する

電話の時点の誤り、つまり聞き違いと言い間違いに対して、最初に試しやすいのが復唱の仕方を変えることです。
「15ケースですね」と数をそのまま言い返すと、受け手が「ごじゅう」と聞き違えていても、取引先は自分の言った数に似た音として聞き流してしまうことがあります。
そこで、「いち、ご、の15ケースですね」のように一桁ずつ区切って読み上げます。
「じゅうご」と「ごじゅう」は音の並びが似ていますが、「いち、ご」と「ご、ゼロ」なら違いがはっきりします。
「100」を「いち、ゼロ、ゼロ」と読めば、ゼロの数を相手と一緒に数えることにもなります。

数字の読み方を社内でそろえるのも、同じ考え方です。
「しち」と「いち」、「し」と「しち」のように聞き違えやすい読みは避け、「なな」「よん」に統一します。
ゼロは「ゼロ」と読む、といった決まりも、電話を受ける担当者の間で共有しておきます。
こうした決まりで誤りがどこまで減るかは現場によって違うため、試してみて、記録で確かめる前提の工夫として扱います。

限界もあります。
品目が多い注文で全行を一桁ずつ読み上げると、通話が長くなり、取引先も受け手も疲れます。
疲れてくると、区切った復唱は形だけになり、相手の「はい」も聞き流しになります。
すべての行に同じ手間をかけるより、範囲を決めたほうが続けやすくなります。
桁を誤ると困る品目や、数量の大きい行から区切って読む、といった決め方です。

単位つきで数量を確認する

言い間違いの中でも見落としやすいのが、単位の取り違いです。
取引先は「10」をケースのつもりで言い、受け手はバラの個数として受ける、という場面です。
数字そのものは正しく聞き取れているので、区切った復唱では見つかりません。

これに効くのは、数に必ず単位を付けて返し、ケースとバラの両方の数を添えることです。
たとえば入数が12の品目なら、「10ケース、バラにすると120個ですね」と返します。
取引先の頭の中にある量と違えば、「そんなには要らない」「それでは足りない」と、総数の大きさで違和感に気づいてもらえます。
桁の聞き違いでも、総数が一桁ずれて聞こえれば、同じように気づくきっかけになります。

ただし、受け手がその場で入数を引けることが前提です。
品目ごとの入数を手元の一覧や画面ですぐ見られないと、換算に手間がかかり、換算そのものを間違えるおそれもあります。
入数の分かる一覧を電話のそばに置くか、次の節で扱うシステムの換算表示と組み合わせます。

復唱で終わらせず、送り手の最終確認まで行う

復唱は、受け手が読み上げた時点では半分しか終わっていません。
取引先が「はい、その数で合っています」と答えて、初めて確認が完結します。
読み上げたあと相手の答えを待たずに次の品目へ進むと、復唱をしていても誤りは素通りします。
相手の相づちを確認の返事として受け取った場合も同じです。
手順にすると、次の流れになります。

  1. 受注票やメモに数量と単位を書く
  2. 書いた内容を見ながら、数字を区切り、単位を付けて読み上げる
  3. 「合っていますか」と尋ね、取引先の返事を待つ
  4. 取引先が正しいと答えたら確定の印を付け、違えば書き直して読み上げからやり直す

要点は、2番目の手順で「書いた内容を見ながら」読むことです。
記憶ではなく書いた受注票を読み上げれば、聞いた直後の転記の誤りも、電話中に取引先の耳で確かめてもらえます。
一方、電話が終わったあとのシステム入力の誤りは、この手順では見つかりません。
また、取引先がもともと誤った数を正しいと思い込んでいれば、取引先自身が「合っている」と答えてしまいます。
復唱と送り手の確認で減らせるのは、電話中に起きる聞き違いと転記です。
それ以外の段階は、次の節の入力のチェックや、後の節の文字での確認で補います。

どこまで減ったかは自社の記録で見るしかありません。
まず一部の担当者や品目で試し、最後の節の記録で前後を比べる進め方なら無理がありません。

取引先の返事で確定するまでの復唱の手順
数量と単位を書き、書いた内容を区切って単位つきで読み上げ、取引先の返事を待って確定する手順を示す図1受注票やメモに数量と単位を書く2書いた内容を見ながら、区切って単位つきで読み上げる3「合っていますか」と尋ね、取引先の返事を待つ4正しければ確定の印を付け、違えば書き直して読み上げ直す

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 受注票やメモに数量と単位を書く
  2. 書いた内容を見ながら、区切って単位つきで読み上げる
  3. 「合っていますか」と尋ね、取引先の返事を待つ
  4. 正しければ確定の印を付け、違えば書き直して読み上げ直す

受注システムの数量チェックで電話受注の桁違いを検知できるか

自社のシステムで確かめる四つの機能

電話を切ったあと、受注票からシステムへ入力する段階の誤りは、人の注意よりも画面の仕組みで止めるほうが向いています。
電話の時点で聞き違えた数も、普段の注文と比べて極端な値であれば、入力時の警告で気づける場合があります。

受注システムを使っている場合は、製品の説明書や設定画面で、次の四つが使えるかを確かめます。
製品によって機能の有無も設定の仕方も違うので、ここでは確かめる項目として挙げます。

表のとおり、どの機能にも気づけない誤りが残ります。
特に迷いやすいのが、上限と乖離の警告の使い分けです。
品目ごとの上限は設定が単純な反面、桁が増える方向にしか働きません。
100のつもりが10で入った、という欠品につながる誤りには反応しません。
過去の受注数量との比較なら、少ない方向にも警告を出せる可能性があります。
ただし、取引先の注文量がもともと季節や催事で大きく変わる場合は、正しい注文でも警告が頻繁に出ます。
警告が多すぎると、担当者は中身を見ずに閉じるようになります。

もう一つ注意したいのは、システムに過去の受注履歴が残っていることと、その履歴を使って入力時に警告する機能があることは別だという点です。
履歴を見られる画面があっても、入力の時点で自動的に比べてくれるとは限りません。
提供元に問い合わせるときは、場面を指定して聞くほうが答えがはっきりします。
「履歴が見られるか」ではなく、「入力時に過去の数量と比べて警告できるか」と聞くということです。

電話やFAX、メールで注文を受ける食品の小売・卸売の受注担当者に業務上の課題を尋ねた2023年の調査では、注文書の手入力が課題の一つとして挙がっています2。
この調査は桁の誤りそのものを聞いたものではありません。
それでも、手で打ち直す工程が担当者の負担として意識されていることは、入力段階に仕組みを足す意味を考える材料になります。

機能がない場合の受注票での代替

システムにこうした機能がない場合や、紙の受注票で受けている場合は、受注票の様式で同じ働きを持たせます。
電話中に書く欄を少し増やすだけで、桁の誤りに気づく場面を作れます。

  • 換算欄:ケース数と入数、掛けた総数を書く欄を並べ、総数の大きさで違和感に気づけるようにする
  • 前回数量欄:その取引先の前回の注文数を書き込んでおくか、すぐ見られるようにしておき、今回の数と並べる
  • 単位の選択欄:「ケース」「バラ」に丸を付ける形にし、単位の書き忘れを防ぐ
  • 確定の印の欄:区切った復唱で取引先が正しいと答えたら印を付ける

前回数量欄は、システムの乖離の警告を人が代わりに行う仕組みです。
今回の数と前回の数を見比べて、桁が一つ違って見えたら、入力前にもう一度電話で確かめる、という決まりと組み合わせます。
換算欄は、前の節の単位つき確認を受注票の上で行うためのものです。
電話中に総数まで書いておけば、そのまま取引先への読み上げに使えます。

入力段階の誤りには、受注票と入力値を別の人が突き合わせる方法もあります。
ただ、人による確認は忙しい日ほど省かれやすく、確認する人の注意にも左右されます。
受注票の様式の工夫は、システムの警告ほど確実には止められません。
その代わり、今日からでも始められる手として位置づけるのが現実的です。

機能 気づける誤り 気づけない誤り
品目ごとの数量上限 上限を超える桁の多い入力 上限より少ない誤り・桁が少ない方向の誤り
過去の受注数量との乖離の警告 その取引先の普段の数から大きく外れた数 普段から数量の幅が大きい取引先での誤り
確認画面での単位つき表示 ケースとバラの取り違い 単位は合っていて数が違う誤り
ケース入数を考慮した換算表示 総数が不自然に大きい・小さい注文 入数の登録自体が誤っている場合
受注システムで確かめる四つの数量チェックと、気づける誤り・残る誤り(模式図)
数量上限、過去数量との比較、単位つき表示、換算表示の四つについて、気づける誤りと残る誤りを分けて示した図数量上限、過去数量との比較、単位つき表示、換算表示の四つについて、気づける誤りと残る誤りを分けて示した図品目ごとの数量上限気づける:上限を超える桁の多い入力残る:桁が少ない方向の誤り過去の受注数量との比較気づける:その取引先の普段の数から大きく外れた数残る:普段から数量の幅が大きい取引先での誤り確認画面での単位つき表示気づける:ケースとバラの取り違い残る:単位は合っていて数が違う誤りケース入数を考慮した換算表示気づける:総数が不自然に大きい・小さい注文残る:入数の登録自体が誤っている場合

▼ 図の内容を文字で読む
  • 品目ごとの数量上限
    • 気づける:上限を超える桁の多い入力
    • 残る:桁が少ない方向の誤り
  • 過去の受注数量との比較
    • 気づける:その取引先の普段の数から大きく外れた数
    • 残る:普段から数量の幅が大きい取引先での誤り
  • 確認画面での単位つき表示
    • 気づける:ケースとバラの取り違い
    • 残る:単位は合っていて数が違う誤り
  • ケース入数を考慮した換算表示
    • 気づける:総数が不自然に大きい・小さい注文
    • 残る:入数の登録自体が誤っている場合

電話は受付だけにして、注文内容を文字で確認してもらう運用へ移す基準

電話のみの発注に関する公正取引委員会の考え方

ここまでの対策は、電話で注文を受け続けることを前提にしています。
ただ、復唱や入力のチェックでは、取引先が誤った数を正しいと思い込んでいる場合や、警告が出ない範囲の誤りが残ります。
注文内容を文字で残して取引先に見てもらう運用は、その残りを減らすための手です。
口頭では聞き流された数も、文字で見れば「この桁は違う」と目で確かめられます。

電話だけで注文を済ませることについては、法律の側の考え方もあります。
2026年1月に施行された取適法(中小受託取引適正化法、下請法を改正・改称した法律)について、公正取引委員会はよくある質問の中で次のように説明しています。
緊急やむを得ない事情で電話により注文内容を伝える場合でも、電話連絡のあと直ちに4条明示をしなければならず、電話のみによる発注は発注内容等の明示義務違反になる、というものです1。
4条明示とは、発注の内容を書面か電磁的方法で相手に示すことです。
「直ちに」は「すぐに」の意味で、発注から契約の締結まで日数がかかる場合でも、契約書とは別に発注後すぐに明示する必要があるとされています1。

読み違えやすいのは、この義務を負う立場です。
明示しなければならないのは発注した側、法律の言葉でいう委託事業者で、注文を受ける側の義務ではありません。
また、すべての取引に当てはまるわけでもありません。
対象になるのは製造委託などの取引です。
委託事業者と中小受託事業者に当たるかは資本金基準または従業員基準で判断され、従業員基準は製造委託等をした時点の常時使用する従業員数で見るとされています1。
自社が受けている注文がこれに当たるかは、取引の内容と両社の規模を公正取引委員会の資料で確かめる必要があります。

当てはまる取引であれば、受注側が注文内容の文書を求めることは、発注側がもともと行うべき明示を求めることと重なります。
電話のあとに注文内容を文字で送ってほしい、と頼む根拠として伝えやすくなります。
当てはまらない取引では法律を理由にはできません。
その場合は、誤出荷を減らしたいという双方の利益を理由に頼むことになります。

確認書へ移す優先順位の付け方

取引先すべてに、一度に文字での確認を求める必要はありません。
どこから始めるかは、誤ったときの影響の大きさと、電話のままの対策で防ぎにくいかどうかの二つで考えるのが一つの方法です。
次のような品目・取引先は、文字での確認を先に検討する価値があります。

  • 誤りの影響が大きい品目:返品を受けられない、特注で作り直しになる、日持ちしないなど、一度出荷すると取り返しにくいもの
  • 注文ごとの数量の幅が大きい取引先:過去の数量との比較による警告が働きにくく、桁違いが不自然に見えにくい
  • 電話の時点の誤りが記録に繰り返し出ている取引先:復唱を工夫しても減らない場合
  • 取適法の対象になる取引:発注側の明示を求める形で頼める

これは編集部としての優先づけの考え方で、決まった基準があるわけではありません。
自社の記録で、どの取引先で誤りが出ていて、それが電話のどの段階かを確かめておくと、移す順番に根拠が持てます。

文字での確認には、大きく二つのやり方があります。
一つは、取引先に発注書やメールで注文を送ってもらう方法です。
もう一つは、電話で受けた内容を受注側が文字にして送り、取引先に確認の返事をもらう方法です。
前者は取引先の作業が増えますが、取引先の手元の数がそのまま届くので、聞き違いと転記の段階がなくなります。
後者は、取引先が送られた内容を見て返事をするだけで済み、電話を受付として残せます。
電話を続けたい取引先には、後者から始めるほうが受け入れられやすいと考えられます。

この流れで決めておきたいのは、取引先から返事が来ないときの扱いです。
返事を待って出荷を止めるのか、一定の時刻までに返事がなければ電話で確かめるのかを決めます。
ここを決めずに始めると、返事のない注文がそのまま出荷され、確認の手順が形だけになります。

電話を受付に残し、注文内容を文字で確認してもらう流れ
電話で受け付け、内容を文字にして送り、取引先が返事をし、受注を確定して出荷を手配する流れを示す図1電話で注文を受け付ける2受注担当者が注文内容を文字にして送る3取引先が数量と単位を見て返事をする4返事を受けて受注を確定し、出荷を手配する

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 電話で注文を受け付ける
  2. 受注担当者が注文内容を文字にして送る
  3. 取引先が数量と単位を見て返事をする
  4. 返事を受けて受注を確定し、出荷を手配する

取引先に新しい確認手順を受け入れてもらうには

廃止ではなく併用から頼む

電話で発注してくる取引先に確認の手順を頼むとき、最初から「電話はやめてください」と伝えるのは負担の大きい頼み方です。
受注側の担当者自身も、電話をやめることには慎重です。
食品の小売・卸売の受注担当者を対象に2023年に行われたインターネット調査では、FAXや電話で注文を受けている担当者に、それらの受注を止めたら取引に支障が出ると思うかを尋ね、「はい」が過半数を占めました2。

この調査は食品の小売・卸売に限ったもので、回答者数も多くはありません。
また、実際に支障が出た割合ではなく、担当者の想定を聞いたものです。
業種や取引先の規模が違えば当てはまらないこともあります。
それでも、電話をやめることへの慎重さが受注側にあるなら、発注する取引先にとっても、慣れた電話を手放すのは大きな変化だと考えられます。
電話は受付としてそのまま残し、そのあとに文字での確認を一つ加える、という併用の形で頼むほうが話を進めやすくなります。

同じ調査では、FAX・メール・電話で受注する担当者の課題として、手入力のほかに、注文確認の連絡、注文の変更への対応、業務の属人化が挙がっています2。
確認の連絡そのものが負担として意識されているなら、新しく加える確認の手順が重ければ、受注側にとっても続きません。
頼む前に、受注側が送る確認の文面や送り方も、手間の少ない形に整えておきます。

誤りの実例と取引先の負担の小ささを伝える

依頼の中身は、取引先が「なぜ必要か」と「何をすればよいか」をすぐ理解できる形にします。
組み立ては次の四つです。

実例は、最初の節の切り分けで整理した記録から選びます。
「以前、この品目で15ケースのご注文を50ケースで出荷してしまい、引き取りでご迷惑をおかけしました」のように、品目と数と結果が分かれば十分です。
取引先にも引き取りや再発注の手間が生じていたなら、確認が取引先自身の手間を減らすことも伝わります。
原因が受注側の聞き違いだった場合は、それをそのまま伝えます。
そのほうが、取引先に責任を押し付けていると受け取られずに済みます。

頼む行為は、なるべく一つにします。
「お送りした注文内容を見て、合っていれば『OK』、違っていれば正しい数だけ返信してください」という形なら、取引先は新しい様式を覚える必要がありません。
返信の手段も、メールかFAXか、取引先が普段使っているものに合わせます。

対象を絞るのも、受け入れてもらいやすくする工夫です。
前の節の優先づけで選んだ品目や、数量の大きい注文に限れば、取引先の手間は限られます。
しばらく続けて誤りが減ったことを記録で示せれば、対象を広げる話もしやすくなります。
返事がないときの扱いは、前の節で決めた内容をそのまま伝えます。
出荷前に電話で確かめる、と先に伝えておけば、返信を忘れたときに何が起きるかを取引先も把握できます。

取適法の対象となる取引では、電話のあとに注文内容を書面か電磁的方法で示すのは発注側の義務です1。
その場合は、受注側から確認書を送る形ではなく、発注側の明示をすぐに送ってもらうよう依頼する形も取れます。
ただ、法律を前面に出すと、相手が責められていると受け取ることもあります。
誤り防止という共通の目的を先に伝え、法律の話は根拠として添えるほうが穏やかです。

取引先に確認手順を頼むときに伝える四つの内容
実例を示す、頼む行為を一つに絞る、対象を絞る、返事がないときの扱いを伝える、の四つについて伝える中身を示した図実例を示す、頼む行為を一つに絞る、対象を絞る、返事がないときの扱いを伝える、の四つについて伝える中身を示した図実例を示す品目と数と結果が分かれば十分原因が受注側の聞き違いならそのまま伝える頼む行為を一つに絞る合っていれば「OK」、違えば正しい数だけ返信返信の手段は取引先が普段使うものに合わせる対象を絞る影響の大きい品目や数量の大きい注文から誤りが減ったことを記録で示せば広げやすい返事がないときの扱いを伝える出荷前に電話で確かめると先に伝える

▼ 図の内容を文字で読む
  • 実例を示す
    • 品目と数と結果が分かれば十分
    • 原因が受注側の聞き違いならそのまま伝える
  • 頼む行為を一つに絞る
    • 合っていれば「OK」、違えば正しい数だけ返信
    • 返信の手段は取引先が普段使うものに合わせる
  • 対象を絞る
    • 影響の大きい品目や数量の大きい注文から
    • 誤りが減ったことを記録で示せば広げやすい
  • 返事がないときの扱いを伝える
    • 出荷前に電話で確かめると先に伝える

対策後に電話受注の桁違いが減ったかを確かめる記録の取り方

訂正のたびに残す記録項目

対策を試したら、それで誤りが減ったのかを確かめます。
そのためには、最初の節で行った段階の切り分けを、その場限りでなく毎回の記録として残しておく必要があります。
訂正や返品、出荷前に気づいた誤りが出るたびに、次の項目を一行ずつ残します。

付け方で迷いやすいのは、「誤りの段階」と「発見のきっかけ」です。
段階は、最初の節のとおり、電話中のメモ・受注票・入力値・取引先の控えを照らして決めます。
決めきれないものは「電話の時点」や「不明」として残し、無理に振り分けないほうが、あとで記録を読むときに誤解が生じません。
発見のきっかけは、「電話中の復唱」「入力時の警告」「確認書への返信」「出荷後の取引先の指摘」のように、対策ごとに選べる形にしておきます。
そうすれば、どの対策が誤りを拾ったのかが見えます。

比べるときは、誤りの件数だけでなく、同じ期間の受注件数も数えておきます。
注文が多い時期に誤りが増えても、注文あたりで見れば変わっていないことがあるからです。
対策の前と後は、できるだけ同じ長さの期間で、同じ段階の誤りどうしを比べます。

件数が少ないときの読み方

桁の誤りが出荷まで進むことがまれな現場では、記録の件数自体が少なくなります。
件数が少ないうちは、対策の前後で一件や二件の増減があっても、それが対策の効果なのか、たまたまなのかは区別できません。
数の増減だけで「効いた」「効かなかった」と決めないことが大切です。

件数を補うのが、出荷前に気づいたヒヤリとした事例です。
区切った復唱で取引先が「いえ、15です」と言い直した、入力の警告で桁の誤りに気づいた、といった出来事も、誤りの段階と発見のきっかけを付けて同じ表に残します。
対策を始めたあとにこうした記録が増えても、誤りが増えたとは限りません。
出荷前に止められるようになった表れとも読めます。
出荷後に分かった誤りと、出荷前に止まった誤りを分けて数えると、この違いが見えるようになります。

もう一つの読み方は、狙った段階とそれ以外を比べることです。
復唱の仕方を変えたなら、減るはずなのは電話の時点の誤りで、入力の誤りは変わらないはずです。
電話の時点の誤りだけが減り、他の段階が変わっていなければ、対策が狙いどおりに働いている手掛かりになります。
逆に、どの段階の誤りも同じように変わっているなら、注文量や担当者の入れ替わりなど、対策以外の事情を疑います。
はっきりした結論が出ないときは、記録を続けながら、対象を広げるかどうかを決めていけば十分です。

項目 残す理由
日付 対策の開始前後で分けて比べるため
品目 誤りが特定の品目に偏っていないかを見るため
取引先 文字での確認を頼む相手を選ぶ材料にするため
正しい数量と誤った数量 桁の誤りか単位の取り違いかを見分けるため
誤りの段階 どの対策が効いたかを段階ごとに見るため
発見のきっかけ 出荷前に止めたのか取引先の指摘で分かったのかを分けるため
件数が少ないときの記録の読み方(模式図)
受注件数あたりでの比較、出荷前に止まった事例の数え方、狙った段階とそれ以外の比較の三つの読み方を示した図受注件数あたりでの比較、出荷前に止まった事例の数え方、狙った段階とそれ以外の比較の三つの読み方を示した図受注件数あたりで比べる同じ期間の受注件数も数える同じ段階の誤りどうしを比べる出荷前に止まった事例を分けて数える出荷後に分かった誤りと分けて数える出荷前に止まった事例が増えても、誤りが増えたとは限らない狙った段階とそれ以外を比べる対策を当てた段階の誤りだけが減れば、狙いどおりの手掛かりどの段階も同じように変わるなら、対策以外の事情を疑う

▼ 図の内容を文字で読む
  • 受注件数あたりで比べる
    • 同じ期間の受注件数も数える
    • 同じ段階の誤りどうしを比べる
  • 出荷前に止まった事例を分けて数える
    • 出荷後に分かった誤りと分けて数える
    • 出荷前に止まった事例が増えても、誤りが増えたとは限らない
  • 狙った段階とそれ以外を比べる
    • 対策を当てた段階の誤りだけが減れば、狙いどおりの手掛かり
    • どの段階も同じように変わるなら、対策以外の事情を疑う

記録を照らしても誤りの段階を決めきれないときや、自社のシステムで入力時の警告を使えるか判断しにくいときは、業務の流れを外の目で一緒に見ると整理が進みやすくなります。

電話の受付から入力、出荷までの流れを伺い、どの段階に対策を足すと手間に見合うか、システムの設定で代えられる部分があるかを確かめられます。無料相談で要件を整理する

誤りの段階ごとに当てる対策と残る誤り

取引先が言う、聞く、書く、入力するという、数量が通る段階の順に並べた

  • 言い間違い・単位の取り違い:単位を付け、ケースとバラの総数を添えて返す。取引先自身が誤った数を正しいと思い込んでいる場合は残る
  • 聞き違い:数字を一桁ずつ区切って読み上げ、取引先の返事を待つ。相手の返事が相づちだけだと残る
  • 転記:書いた受注票を見ながら読み上げ、換算欄を設ける。電話のあとに書き写す工程があれば残る
  • 入力:数量の上限や過去の数量との比較で警告し、受注票と入力値を突き合わせる。警告の範囲に収まる誤りは残る

電話のままの対策で残る誤りが、出荷すると取り返しにくい品目や取引先で出ているなら、文字での確認へ移す

要点の整理

軸 基準
原因の切り分け 電話中のメモ・受注票・入力値・取引先の控えを照らし、言い間違い・聞き違い・転記・入力のどこで数が変わったかを見る
電話のままの対策 数字を区切り単位を付けて読み上げ、取引先の「合っています」の返事で確定する
入力段階の対策 数量上限・過去の数量との比較・単位つき表示・換算表示の有無を確かめ、なければ受注票の欄で代える
文字での確認へ移す相手 出荷後に取り返しにくい品目、数量の幅が大きい取引先、電話の時点の誤りが続く取引先から
法の確認 取適法の対象取引では、電話のみの発注は発注側の明示義務違反。対象かは取引の内容と資本金・従業員基準で確かめる
効果の確かめ方 段階と発見のきっかけを記録し、受注件数あたりで前後を比べる。件数が少ないうちは断定しない

どの取引先や品目から文字での確認を頼むかは、自社の記録と取引の事情を合わせて見ないと決めにくく、社内だけでは判断の材料がそろいにくい場面が残ります。 記録の項目や依頼の範囲を自社の取引先の状況に当てはめ、どこから始めるかの順番を一緒に整理できます。

BtoB通販システムのご相談

貴社の商習慣に合わせたご提案をいたします。

無料相談はこちら

よくある質問

復唱はどこまでやれば桁の聞き違いを防げるのか

復唱をここまで丁寧にすれば聞き違いがなくなる、という線はありません。
区切った読み上げと単位の確認、取引先の「合っています」という返事までそろえると、電話中の聞き違いと転記に気づく機会は増えます。
一方、電話のあとの入力の誤りや、取引先が誤った数を正しいと思い込んでいる場合は、復唱では見つかりません。
全行を同じ手間で復唱するより、影響の大きい品目や数量の大きい行に絞り、入力時の警告や文字での確認と組み合わせるほうが続けやすくなります。

取引先が電話しか使わない場合、確認書を断られたらどうするか

まず、頼む範囲を狭められないかを考えます。
全注文ではなく、誤ると取り返しにくい品目だけ、あるいは数量の大きい注文だけに絞れば、受け入れてもらえることがあります。
それでも難しい場合は、電話の中での区切った復唱と単位の確認を徹底し、入力時の警告や受注票の前回数量欄で補います。
取適法の対象となる取引であれば、電話のあとの注文内容の明示は発注側の義務とされているため1、その観点から改めて相談する余地もあります。

注文の確認メールや確認書の返送は、法律上必ず必要か

取適法の対象となる取引では、発注側(委託事業者)が電話のあとすぐに注文内容を書面か電磁的方法で示す必要があり、電話のみの発注は明示義務違反とされています1。
ただしこれは発注側の義務で、受注側に確認書の返送を義務づけるものではありません。
対象になるかは、取引の種類と資本金基準・従業員基準で決まります1。
対象外の取引で確認書が必要かどうかは、この記事で扱った制度の範囲では示せません。
契約の内容を見直すか、専門家に確かめてください。

数量チェックの上限値は、どの品目にどう決めればよいか

決まった計算式はなく、品目ごとの過去の受注数量を見て決めることになります。
普段の注文の多い側の数を少し上回るところに置けば、正しい注文で警告が出ることは減り、桁が一つ増えた入力には反応しやすくなります。
低く設定しすぎると正しい注文でも警告が頻繁に出て、担当者が中身を見ずに閉じるようになります。
催事や季節で注文量が変わる品目は、時期ごとに見直すか、過去の数量との比較による警告が使えないかを確かめます。
上限は、桁が少ない方向の誤りには働かない点も押さえておきます。

ケース売りとバラ売りの取り違いは、桁の誤りと同じ方法で防げるか

一部は同じ方法で防げますが、効く手は少し違います。
単位の取り違いでは数字そのものは正しく聞けているため、一桁ずつ区切った復唱では見つかりません。
効くのは、数に必ず単位を付けて返し、ケースとバラの総数を添えることです。
受注票の単位の選択欄や、システムの単位つき表示・換算表示も同じ働きをします。
記録の上でも桁の聞き違いとは分けて残しておくと、どちらの対策が効いたかを見分けられます。

誤りの記録は、どのくらいの期間・件数で効果を判断できるか

何件、何か月あれば判断できる、という決まった基準はありません。
対策の前と後を同じ長さの期間で区切り、同じ期間の受注件数も数えて、注文あたりで比べます。
件数が少ないうちは一件二件の増減で結論を出さず、出荷前に止めた事例も同じ表に残して、狙った段階の誤りが減っているかを見ます。
はっきりしなければ、記録を続けながら対象を広げるかを判断します。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

> プロフィールの詳細を見る

  1. 1 出典:公正取引委員会「取適法(中小受託取引適正化法)よくある質問コーナー」(2026年)
  2. 2 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

記事内容に関するお問い合わせ:お問い合わせフォーム

BtoB EC(受発注)サイト構築システム「EC-Rider B2B Ⅱ」への
各種お問い合わせ

ページTOPへ戻る
無料相談を予約 お見積
平日10:00~18:00
page
top