◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 「保守終了」は販売・問い合わせ・部品・セキュリティ修正の区切りに分かれ、提供元と製品ごとに日付が違う。
- 終了日は、ライフサイクル規定・個別の終了通知・保守契約書を、自社の型番・版数で突き合わせて確定させる。
- そのまま使い続けると修正の入手と相談の窓口を失い、アプリケーション制御などの対策は修正の代わりにならない。
- 延長保守は提供元が用意した場合だけの有償・期間限定の猶予、第三者保守は主に機器の障害対応で、修正と窓口を取り戻す根本策は移行。
- 最も早く来る期限から逆算し、棚卸し・延長保守の確認・移行の見積を並行して進め、間に合わない部分だけを橋渡しする。
目次

保守終了の案内が届いたら、まず何が止まるのかを分けて考える
提供元から保守終了の案内が届いても、文面だけでは、何ができなくなり、いつまでに何を決めればよいのかがつかみにくいものです。
案内を一つの期限として受け取らず、販売、問い合わせ、交換部品、セキュリティ修正のどれがいつ止まるのかに分けて読むと、判断の材料がそろいます。
まず対象製品の公式なライフサイクル資料と保守契約書で、自社の型番・版数の日付と範囲を確かめます。
そのうえで、延長保守は有償・期間限定の猶予、第三者保守は主に機器の障害対応、修正の提供を取り戻す根本策は移行と整理し、期限に間に合う組み合わせを選びます。
販売終了・問い合わせ・部品・セキュリティ修正は別々の日付で終わる
「保守終了」という言葉は一つですが、その日を境に止まるものが一つとは限りません。
提供元の規定では、製品を売らなくなる日、問い合わせに応じる最後の日、交換部品を出す最後の日、セキュリティ修正を出す最後の日が、別々に決められていることがあります。
案内の文面に日付が一つしか書かれていなくても、それがどの区切りの日付なのかで、利用側に起きることは大きく変わります。
分かりやすい例がCiscoの規定です。
Ciscoは、End of Sale(販売終了)を「その日以降は製品を販売しない日」、Last Date of Support(最終サポート日)を「有効な保守契約があればサポートを受けられる最後の日」として、別の用語で定義しています3。
販売が終わった時点では、すでに導入した機器のサポートはまだ続いている、という関係です。
販売終了の案内を受け取って慌てて入れ替えを決める前に、サポートがいつまで続くのかを同じ規定の中で探すと、使える時間が見えてきます。
反対に、期限が延びたように見えて、中身が減っている場合もあります。
Microsoftの拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)は、延長サポートが終わった製品について、緊急・重要と位置づけられたセキュリティ更新だけを有償で受け取れる仕組みです。
バグの修正や新機能、標準的なサポートは含まれず、ライフサイクルそのものの延長ではないとされています4。
「延長」という言葉が付いていても、問い合わせの窓口まで戻ってくるとは限りません。
ここで挙げた区切り方は、CiscoとMicrosoftがそれぞれの製品について定めたもので、どの提供元も同じ用語や同じ順番で終了させるわけではありません。
大切なのは用語を覚えることより、自社に届いた案内がどの区切りの終了を告げているのかを読み分けることです。
案内文の言葉を、自社の作業と結果に置き換える
区切りの違いは、利用側の作業に置き換えると判断に使いやすくなります。
案内文の言葉をそのまま社内に回しても、受け取った人には「結局、何に困るのか」が伝わりにくいためです。
おおまかには、次のように読み替えられます。
・販売終了:同じ型番の買い増しや、予備機の追加購入ができなくなる。
・新規保守契約の受付終了:いま保守が付いていない機器に、後から保守を付けられなくなる。
・問い合わせ・技術サポートの終了:障害が起きたとき、原因の切り分けや設定の相談を提供元に頼めなくなる。
・交換部品・修理の終了:故障した部品を交換して元の状態に戻せない場合がある。
・セキュリティ修正の終了:新たに脆弱性が見つかっても、提供元から修正が届かなくなる。
たとえば、業務アプリを載せた社内サーバーについて「販売終了」の案内だけが届いた場合を考えてみます。
当面影響が出るのは増設や予備機の手配で、障害時の問い合わせはまだ受けられる可能性があります。
一方で、同じサーバーのOSについて「セキュリティ更新の提供終了」の案内が届いたのなら、機器が今日と同じように動いていても、その日を境に守りの条件が変わります。
前者は調達の計画、後者は運用の安全性の問題で、急ぐ理由も相談する相手も違ってきます。
もう一つ見落としやすいのは、一台の機器の中に複数の提供元が重なっていることです。
サーバーなら機器本体、OS、その上の業務アプリで、提供元も終了の時期も別々になりえます。
案内を受けた製品だけでなく、それが載っている土台と、その上で動いているものを並べて書き出しておくと、後で選択肢を比べるときに抜けが出にくくなります。
自分の製品の終了日と範囲を、どの資料で確かめるか
提供元のライフサイクル規定・終了通知・保守契約書の3つを突き合わせる
何が止まるかの見当がついたら、次は自社の製品について、その日付と範囲を確定させます。
根拠になる資料は主に三つあり、それぞれ答えてくれることが違います。
一つ目は、提供元が公開しているライフサイクル規定やEOL/EOSポリシーです。
EOLはEnd of Life(製品の寿命の終わり)、EOSはEnd of Sale(販売終了)の略で、どの区切りをどう定め、ある区切りから次の区切りまでどれくらいの期間をおくのかという決め方が書かれています。
二つ目は、個別製品の終了通知です。
規定が決め方を示すのに対し、通知は対象の型番や版数と、具体的な日付を示します。
三つ目は、自社が結んでいる保守契約書です。
提供元がまだサポートを続けていても、自社の契約がそれより先に満了すれば、自社は受けられなくなります。
契約の対象機器一覧に載っていない機器は、そもそも保守の外にあるかもしれません。
規定と通知の両方を見るのは、一般的な決め方と個別の日付が一致しないことがあるからです。
Ciscoのポリシーでは、販売終了の通知は通常その日の約6か月前に公表され、ハードウェアのサポートと交換部品は販売終了日から5年、OSソフトウェアの技術サポートは3年、アプリケーションソフトウェアは2年といった段階が示されています3。
ただしこれは同社の通常の値で、個別製品の通知で日付が変わることがあります。
規定で全体の流れをつかみ、通知で自社の製品の日付を確定させ、契約書で自社がそのうちどこまで受けているかを重ねる、という読み方になります。
日付が段階に分かれている例(SAP・Windows Server 2012/R2)
日付が段階に分かれる例を、もう少し具体的に見ておきます。
SAPは、SAP Business Suite 7の中核アプリケーションについて、標準保守を2027年末まで提供し、その後2028年初めから2030年末までの3年間、任意の延長保守を用意するとしています1。
この日付はSAP Business Suite 7の中核アプリケーションについてのもので、SAPの他の製品にそのまま当てはまるわけではありません。
Microsoftでは、Windows Server 2012/R2の延長サポートが2023年10月に終わり、そこから最長3年のESUが用意されました。
ESUの3年目は2026年10月に終了しており、この製品については有償の延長期間もすでに過ぎています4。
同じページの表では、Windows 10は延長サポートの終了が2025年10月、ESUの最終が2028年10月とされています4。
ただし、このページは個人向けや地域別の特例を対象にしていないため、利用している版と契約の種類に照らして読む必要があります。
二つの例を並べると、同じ「延長」でも中身が違うことが分かります。
SAPの延長保守は、追加の料金を払って保守を続ける期間です。
MicrosoftのESUは、前の節で見たとおりセキュリティ更新に絞った提供です。
期限の長さだけを比べて「長く使える方が得」と考えると、延長期間に何が受けられないのかを見落とします。
日付を書き出すときは、その期間に受けられる内容も一緒に書いておくと、後の比較でそのまま使えます。
自社の型番・版数で確かめるときの注意
自社の製品で確かめるときに迷いやすいのは、名前は同じでも版数やエディションで日付が違う場合です。
MicrosoftのESUも、製品ごとに提供されるかどうかが異なります4。
製品のシリーズ名で検索して見つかった日付が、手元の版に当てはまるとは限りません。
資産台帳の記載と実機がずれていることもあります。
導入後にアップグレードした、別の拠点で型番違いを買い足した、といった経緯があると、台帳の型番で調べた日付は実際の機器と合いません。
実機の画面や管理ツールで型番・版数を確かめ、その表記のまま公式ページを引くと、取り違えが起きにくくなります。
調べた日付は、どの資料のどの記載から取ったのかと、いつ閲覧したのかを添えて残しておきます。
提供元のページは改訂されることがあり、Ciscoのように個別の通知で日付が決まる提供元もあるためです。
後で社内の承認を取るときや、延長保守の申込期限を確かめ直すときに、同じ資料へすぐ戻れます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 販売・新規契約
- 同じ型番の買い増しや予備機の追加購入ができなくなる
- 保守が付いていない機器に後から保守を付けられなくなる
- 問い合わせ・技術サポート
- 障害の原因の切り分けを提供元に頼めなくなる
- 設定の相談を提供元に頼めなくなる
- 交換部品・修理
- 故障した部品を交換して元の状態に戻せない場合がある
- セキュリティ修正
- 新たに見つかった脆弱性が提供元から修正されなくなる
保守終了後もそのまま使い続けると、何が起きるか
新たな脆弱性が修正されなくなる意味
日付が分かると、「費用をかけずに、このまま使い続けてはいけないのか」という疑問が出てきます。
保守が終わっても、機器やソフトがその日に動かなくなるわけではありません。
変わるのは、その日以降に見つかった問題が直らなくなることです。
IPA(情報処理推進機構)は、サポートが終了するとセキュリティ更新プログラムが提供されなくなり、新たに見つかった脆弱性が修正されないため、情報漏えいや意図しないサービス停止などにつながるおそれがあると注意を呼びかけています2。
脆弱性とは、ソフトウェアの欠陥のうち、攻撃に悪用されうるものを指します。
終了日の時点で知られている脆弱性はそれまでの修正で塞がれていても、終了後に見つかるものは塞がれないまま残ります。
使い続ける期間が長いほど、塞がれていない穴が積み重なっていくということです。
なお、この注意喚起は2020年にサポートが終わったWindows 7などを対象にしたものです2。
修正が届かなくなるという仕組みは他の製品にも当てはまりますが、どの製品でどれだけの被害が起きるかまでを示したものではありません。
失うのは修正だけではありません。
Microsoftは、ESUに加入せずにWindows Server 2012/2012 R2を使い続ける場合、サポートプランを持っていてもサポートチケットを起票できないとしています4。
障害が起きても提供元に相談できず、自社だけで原因を探すことになります。
そのまま使い続ける選択は、費用がかからない代わりに、修正の入手と相談の窓口の両方を手放す選択だと捉えると、ほかの選択肢と比べやすくなります。
OS以外のソフトにも波及する
影響はOSの中だけでは終わりません。
IPAは、OS上で動くサードパーティ製のソフトウェアも段階的にサポートが終わっていくため、OSのサポート終了より前に、ソフトウェアも含めた更新計画を立てるよう示しています2。
サードパーティ製とは、OSの提供元とは別の会社が作ったソフトのことです。
業務アプリを載せたサーバーの例で考えると、OSの保守が終わった後、業務アプリの提供元が古いOS向けの更新を打ち切れば、アプリ側の修正も当てられなくなります。
逆に、業務アプリを新しい版に上げようとしても、その版が古いOSに対応していなければ上げられません。
OSだけ延長保守を手配しても、その上のアプリの事情で結局は動けなくなる、ということが起こりえます。
そのため、最初に書き出した「土台とその上で動くもの」の一覧に、それぞれの終了時期を並べておくことに意味があります。
一番早く終わるものが、全体の計画の期限になることがあるからです。
代替策は修正プログラムの代わりにならない
修正が届かないなら、別の手段で守ればよいのではないか、と考えるのは自然です。
実行できるプログラムを制限するアプリケーション制御や、ネットワークを分けて外部との通信を絞る対策は、攻撃される入口を減らすことにはつながります。
ただしMicrosoftは、サードパーティのアプリケーション制御ソリューションは製品のセキュリティ修正プログラムに代わるものではないとしています4。
入口を減らしても、穴そのものは残っているからです。
こうした対策は、移行までの間に危険を小さくしておくためのもので、終わりを決めずに使い続けるための根拠にはなりません。
対象がネットワークにつながっているかどうかでも、重さは変わります。
インターネットや社内の広い範囲とつながっている機器は、修正されない穴が外から狙われる経路を持っています。
独立して動いている設備や機器は、その経路が限られる一方で、問い合わせや交換部品が止まる影響は同じように受けます。
機器の故障にどう備えるかは、次に取り上げる第三者保守の話につながります。
▼ 図の内容を文字で読む
- ライフサイクル規定:区切りの種類と、期間の決め方
- 個別の終了通知:対象の型番・版数と具体的な日付
- 保守契約書:自社が受けている範囲と契約期間
- 自社の終了日一覧:型番・版数ごとに、何がいつ止まるか
延長保守・第三者保守・移行は、費用・手間・利用条件でどう違うか
比較表:提供内容・期間・費用の構造・使える条件・手間
使い続ける場合の条件が見えたところで、残る三つの選択肢を同じ物差しで並べます。
延長保守は提供元が終了後も有償で保守や修正を続けること、第三者保守はメーカー以外の保守事業者が機器の保守を請け負うこと、移行・更改はサポートが続く後継製品や代替製品に入れ替えることを指します。
表で判断が分かれるのは、主に「提供される内容」と「使える条件」の行です。
延長保守は提供元が用意している場合にしか選べず、期限も提供元が決めます。
第三者保守は機器の障害に備える手段で、ソフトの修正をどう手に入れるかは別に考える必要があります。
修正と問い合わせ窓口の両方を取り戻せるのは移行ですが、そのぶん準備に時間がかかります。
こう並べると、三つは互いに置き換わる選択肢というより、役割の違う手段だと分かります。
問いを立て直すと、「どれか一つを選ぶ」より、移行を終えるまでの期間を延長保守や第三者保守でどう埋めるか、という形になります。
費用の比較も、表の構造に沿って自社の見積を並べて行うことになり、製品や台数、契約によって金額は大きく変わります。
延長保守:有償・期間限定・対象限定(SAPとESUの例)
延長保守は、提供元がすべての製品に用意しているものではありません。
用意されている場合も、誰が、いつまでに、どんな条件で申し込めるかが決まっています。
SAPの延長保守は、S/4HANAへの移行に長い期間がかかる顧客が選べる任意の提供で、メンテナンスの基本料金に2%ポイントが上乗せされます。
延長保守を選ばない場合は、顧客固有のメンテナンスという扱いになるとされています1。
料金は基本料金に対する上乗せの率で示されており、実際の金額は自社の契約の基本料金によって決まります。
この条件はSAP Business Suite 7についてのもので、他社の延長保守の料金の決まり方とは別です。
MicrosoftのESUは、サポート終了後も旧製品を使う必要がある顧客向けの最後の有償オプションで、移行までの暫定措置と位置づけられています。
オンプレミスで使う場合は、ソフトウェアアシュアランスなどの対象契約があることが前提です。
購入は1年目から順に必要で、2年目や3年目の購入には前の年の購入が求められ、遅れて登録すると登録していなかった期間の分も請求されます4。
「様子を見て、困ったら後から申し込めばよい」とは考えにくい仕組みです。
Ciscoのポリシーでも、販売終了日の後に新しいサポート契約を追加できるのは最長1年とされています3。
保守が付いていない機器に後から保守を付けたいと思っても、その窓口が閉じる日があるということです。
三社に共通するのは、延長保守が提供元の用意する条件付きの猶予であり、申込の期限そのものが判断の期限になる点です。
そして、延長保守の期間が終われば、同じ問題がもう一度やってきます。
延長保守を選ぶときは、その期間内に何を終わらせるのかを同時に決めておかないと、費用を払って期限を先送りしただけになりかねません。
第三者保守:ハードウェア障害対応が中心という点
第三者保守は、メーカーではない保守事業者と契約して、機器の故障対応や部品の手配を受ける方法です。
提供元の保守が終わった機器でも、事業者が扱っていれば修理を受けられる可能性があります。
第三者保守事業者のPark Place Technologiesは、自社のページで、ストレージ、サーバー、ネットワーク機器、GPU、ハイパーコンバージド機器などを対象に、OEM(製品の元のメーカー)がサポートを終えた機器の保守も続けると説明しています5。
これは同社1社のサービス説明で、同じページには対象機器の細かな範囲、除外事項、料金までは書かれていません。
読み取っておきたいのは、ソフトウェアの扱いです。
同社は、ソフトウェアのアップデートを受けられる状態を保つため、OEMの最小限のサポートパッケージを選ぶよう案内しています。
また、設定やトラブルシューティングは、機器の保守とは別の「ソフトウェア技術サポート」として説明されています5。
ファームウェアやパッチをどう扱うかを具体的に定めた記載は、同じページにはありません。
このことから、すべての第三者保守でソフトの更新が得られないとまでは言えません。
ただ、少なくともこの例では、機器の故障への備えとソフトの更新の入手が別々に手配されています。
第三者保守を検討するときは、対象の型番が含まれるか、部品をどう調達するか、障害時にどこまで対応するかに加えて、ファームウェアやOSの更新を誰からどう受けるのか、提供元との契約をどこまで残すのかを見積の段階で確かめておくと、切り替えた後で抜けが見つかることを避けやすくなります。
第三者保守で延ばせるのは、主に機器を動かし続ける期間です。
修正されない脆弱性の問題は、ソフト側の手当てがなければ残ります。
移行・更改:根本対策だが期間がかかる
IPAは、サポートが継続している後継製品や代替製品への移行を根本的な対策として挙げています2。
移行すれば、修正の提供も問い合わせの窓口も、新しい製品の保守期間に沿って戻ってきます。
一方で、移行は製品を買い替えれば終わる作業ではありません。
業務アプリを載せたサーバーの例なら、新しい環境の準備、データの移し替え、他のシステムとの連携の付け替え、業務で使えるかの確認、利用者への切り替えの案内が続きます。
連携しているシステムが多いほど、確認すべき組み合わせが増え、期間も読みにくくなります。
SAPが延長保守を、移行に長い期間がかかる顧客向けの選択肢として位置づけていることも、移行が期間のかかる作業であることを示しています1。
移行先を選ぶときは、新しい製品の保守期間も同じように公式の資料で確かめておきます。
移行した先の終了日が近ければ、数年後に同じ判断をもう一度することになるからです。
| 比べる点 | 延長保守 | 第三者保守 | 移行・更改 |
|---|---|---|---|
| 提供される内容 | 提供元による保守の継続。製品によっては修正のみ(ESUは緊急・重要なセキュリティ更新のみ) | 機器の障害対応・部品が中心。ソフト更新はOEMの最小限のサポート維持を前提とする例がある | サポートが続く製品で、修正と問い合わせ窓口を取り戻す |
| 期間 | 提供元が決めた期限まで(SAPは2030年末まで、ESUは最長3年) | 契約で定める | 移行先の製品の保守期間に沿う |
| 費用の構造 | 有償。SAPは基本料金に2%ポイント上乗せ。ESUは年ごとの有償ライセンスで、遅れた登録は未登録期間分も請求 | 見積と契約で決まる | 新製品の導入に加え、データ・連携の移し替えと確認の作業が発生 |
| 使える条件 | 提供元・製品が用意している場合のみ。ESUは対象契約が前提で年を順に購入 | 対象の型番を扱う事業者がいること。除外事項は契約で確認 | 代わりの製品があり、移行の期間を確保できること |
| 手間 | 申込と期限の管理。移行の計画は別に必要 | 事業者の選定と、提供元に残す契約との分担整理 | 要件整理・移行・確認が必要で期間がかかる |
▼ 図の内容を文字で読む
- 標準保守(中核アプリケーションの例):2027年末まで
- 延長保守(任意・有償):2028年初めから2030年末まで
- Windows Server 2012/R2の延長サポート:2023年10月に終了
- 有償のセキュリティ更新(緊急・重要のみ):最長3年。2026年10月に終了
状況別に選択肢を絞り、期限までに何を決めるか
代替の有無・停止の許容度・移行難度で絞る
ここまでの比較を、自社の条件に当てはめてみます。
判断を分けるのは、代わりになる製品があるか、止まったときに業務がどれだけ困るか、データや連携の移し替えがどれだけ重いか、対象が機器かソフトか、ネットワークにつながっているか、といった条件です。
いくつかの組み合わせで考えると、選択肢は絞られていきます。
代わりの製品があり、移行も比較的軽い場合は、終了日より前に移行を済ませる計画が立てやすくなります。
延長保守の費用を払う理由は小さく、移行の時期を前倒しできるかが焦点になります。
代わりの製品はあるものの、連携が多くて移行に時間がかかる場合は、移行を本線に置いたまま、間に合わない期間を延長保守で埋める形が考えられます。
ここで確かめるのは、延長保守の期限までに移行を終えられる見込みがあるかです。
見込みが立たないなら、延長保守を申し込む前に、移行の範囲を分けて先に移せる部分を探す方が現実的です。
ソフトの保守は続いているが、機器が古くなっている場合は、主なリスクは機器の故障です。
第三者保守で部品と修理の手当てをしながら、更改の計画を立てる組み合わせが候補になります。
このとき、機器のファームウェアの更新をどう受けるかは、第三者保守の契約とは別に確かめておく必要があります。
代わりがなく、止めることもできない設備やシステムの場合は、選べる手段が最も限られます。
ネットワークから切り離して外部との接点を減らし、機器は第三者保守で支える、といった手当てで使い続けることになりますが、どれも修正の代わりにはなりません。
使い続ける期間の終わりをどこに置くのか、代わりの製品が出てくるのを誰が見ておくのかを決めておくことが、放置との違いになります。
並行して進める作業と、期限から逆算する決定事項
期限までに何を決めるかは、作業の順序で考えると整理できます。
ここでは各社の資料を踏まえた一つの進め方として、次の順序を提案します。
棚卸しを最初に置くのは、日付と範囲がそろわないうちは、延長保守が必要かどうかも、移行がいつまでに終わればよいかも決められないからです。
延長保守の確認を移行の見積より前に置いているのは、申込の期限が見積の完了より先に来ることがあるためです。
ESUのように、加入が遅れると登録していなかった期間の分も請求される仕組みでは、確認が遅れること自体が費用になります4。
ただし、これらを一つずつ順番に終わらせる必要はありません。
延長保守の条件を提供元に問い合わせている間に、社内では移行先の候補を洗い出し、移行にかかる期間を見積もることができます。
保守契約の満了日や更新の条件を契約書で確かめる作業も、棚卸しと同時に進められます。
直列に並べると、最後の決定に使える時間がそのぶん短くなります。
逆算の起点は、最も早く来る期限です。
それは製品の終了日とは限らず、延長保守の申込期限や、保守契約の更新を断る連絡の期限のほうが先に来ることもあります。
MicrosoftがESUを長期的な解決策ではなく移行までの暫定措置としているように4、橋渡しの手段にも終わりがあります。
延長保守を選んだ場合は、その期限から移行に必要な期間を引いた日を、移行の開始を決める期限として置いておくと、延長した時間が移行に使われないまま過ぎることを避けやすくなります。
保守契約の更新・解約通知を契約書で確かめる
保守契約の更新や解約の条件は、提供元の公開資料ではなく、自社が結んだ個別の契約書で決まります。
契約ごとに条件が違うため、一般的な日数を当てにせず、手元の契約書の条項で確かめます。
見ておきたいのは、次のような点です。
・契約期間と満了日。
・自動更新の有無と、更新しない場合の連絡の期限と方法。
・対象機器の一覧と、そこに載っていない機器の扱い。
・期間の途中で解約できるか、その場合の精算。
・提供元のサポート終了日を越える期間について、何を提供すると書かれているか。
これらが判断に効いてくるのは、選択肢を切り替えるときです。
第三者保守に移るなら、提供元との契約がいつ終わり、新しい契約がいつ始まるかで、保守のない空白の期間や、二重に費用を払う期間が生まれるかが決まります。
また、提供元のサポート終了日を越えて契約が自動で更新される場合、その期間に何が受けられるのかを契約書の文言で確かめておかないと、受けられない保守に費用を払い続けることになりかねません。
契約書だけで判断がつかない条項は、更新を断る連絡の期限より前に、契約の相手方へ書面で確かめておくと、後で解釈が分かれることを避けやすくなります。
▼ 図の内容を文字で読む
- OSのセキュリティ更新が止まる:新たな脆弱性が修正されない
- OS上で動くソフトの更新も段階的に止まる:サードパーティ製ソフトのサポートも順に終わる
- OSとソフトを合わせて更新計画を立てる:一番早く終わるものが全体の期限になることがある
終了日と範囲は、機器・OS・業務アプリごとに資料も契約も分かれており、どれが全体の期限を決めているかを一人で見極めるには手間がかかります。
棚卸しした製品の一覧と保守契約書をもとに、最も早く来る期限と、延長保守・第三者保守・移行のどれで埋めるべき期間があるかを確かめられます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 何が止まるか | 販売・問い合わせ・部品・セキュリティ修正のどれがいつ終わるかを分けて読む |
| 日付の根拠 | ライフサイクル規定・個別の終了通知・保守契約書を、自社の型番・版数で突き合わせる |
| 使い続ける場合 | 修正の入手と相談の窓口を失う。代替策は修正の代わりにならない |
| 延長保守 | 提供元が用意した場合のみ。申込期限と、受けられる内容を確かめる |
| 第三者保守 | 機器の障害対応が中心。ソフト更新の受け方を別に決める |
| 移行 | 修正と窓口を取り戻す根本策。最も早い期限から逆算して始める |
▼ 図の内容を文字で読む
- 代わりがあり、移行も軽い
- 終了日より前に移行を済ませる
- 延長保守の費用を払う理由は小さい
- 代わりはあるが、連携が多い
- 移行を本線に置く
- 間に合わない期間を延長保守で埋める
- 見込みが立たなければ先に移せる部分を探す
- ソフトの保守は続くが、機器が古い
- 第三者保守で部品と修理の手当てをする
- 更改の計画を立てる
- ファームウェアの更新の受け方は別に確かめる
- 代わりがなく、止められない
- ネットワークから切り離し、機器は第三者保守で支える
- 使い続ける期間の終わりをどこに置くか決める
▼ 図の内容を文字で読む
- 1. 終了日と範囲の棚卸し:土台とその上で動くものを含めて一覧にする
- 2. 延長保守の有無と申込条件の確認:申込の期限と、受けられる内容を確かめる
- 3. 移行期間の見積:終了日に間に合うかを判断する
- 4. 間に合わない部分の橋渡し:延長保守・第三者保守・隔離で埋め、終える時期を決める
移行にかかる期間の見積は連携やデータの事情で変わり、延長保守の申込期限や契約の更新期限との兼ね合いも含めた判断が必要になります。 移行が終了日に間に合うか、間に合わない部分をどの手段でいつまで橋渡しするかを、手元の日付一覧と契約条件に沿って確かめられます。
よくある質問
保守終了と販売終了(EOS)はどう違うのですか。
販売終了は製品の販売をやめる区切りで、すでに導入した製品の保守がその日に終わるとは限りません。
Ciscoは、販売終了と、有効な保守契約でサポートを受けられる最後の日である最終サポート日を、別の用語で定義しています3。
案内にある日付がどちらの区切りなのかを、提供元のライフサイクル規定で確かめるのが先です。
延長保守を申し込まないまま期限を過ぎたら、どうなりますか。後から申し込めますか。
提供元と製品によって扱いが違います。
MicrosoftのESUは1年目から順に購入する仕組みで、遅れて登録すると登録していなかった期間の分も請求されます4。
Ciscoのポリシーでは、新しいサポート契約を追加できるのは販売終了日から最長1年です3。
SAP Business Suite 7では、延長保守を選ばない場合は顧客固有のメンテナンスになるとされています1。
後から申し込めるか、その費用がどうなるかは、申込の期限と合わせて提供元の条件で確かめる必要があります。
第三者保守に切り替えると、提供元の保証やソフトの更新はどうなりますか。
第三者保守は主に機器の障害対応や部品を受け持つもので、ソフトの更新をどう受けるかは別に決める必要があります。
第三者保守事業者の一例では、ソフトのアップデートを受けられる状態を保つため、OEMの最小限のサポートパッケージを選ぶよう案内しています5。
提供元の保証や更新を受ける権利が切り替え後にどうなるかは、提供元との契約と第三者保守の契約の両方で確かめてください。
保守契約の自動更新を止めたいとき、いつまでに何を確認すればよいですか。
契約書の自動更新の条項と、更新しない場合の連絡の期限・方法を確かめます。
期限の日数は契約ごとに決まるため、一般的な目安を当てにしないことが大切です。
次の保守の手配が始まる日と並べ、保守のない期間や二重払いの期間が生まれないかを見てから、連絡の時期を決めます。
インターネットに接続しない機器や設備でも、保守終了は問題になりますか。
問題になります。
外部から狙われる経路が限られるぶん、修正されない脆弱性の危険の現れ方は変わりますが、問い合わせや交換部品が止まる影響は接続の有無にかかわらず受けます。
保守用の端末や記録媒体をつなぐ場面があるなら、その経路も含めて考える必要があります。
故障への備えとして第三者保守を検討しつつ、使い続ける期間の終わりを決めておくのが現実的です。
移行が期限に間に合わない一部の機器やシステムは、どう扱えばよいですか。
間に合わない部分だけを切り出し、延長保守、第三者保守、ネットワークからの隔離などで橋渡しします。
ただしMicrosoftは、ESUを移行までの暫定措置とし、アプリケーション制御などの対策は修正プログラムの代わりにならないとしています4。
橋渡しする機器やシステムごとに、使い続ける理由と終える時期を記録し、移行の計画に組み込んでおくと、例外がそのまま残り続けることを避けやすくなります。
- 1 出典:SAP SE「Maintenance Strategy: Innovation Commitment for SAP S/4HANA until 2040(SAP Support Portal)」(2026年)
- 2 出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「Windows 7 等のサポート終了に関する注意喚起」(2021年)
- 3 出典:Cisco Systems, Inc.「End-of-Sale and End-of-Life Policy」(2026年)
- 4 出典:Microsoft Corporation「製品ライフサイクルに関する FAQ – 拡張セキュリティ更新プログラム(Microsoft Learn)」(2026年)
- 5 出典:Park Place Technologies「第三者保守(Third Party Maintenance)サービス紹介ページ」(2026年)