◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 新規が入らない原因は、Search Console のクエリ別の表示回数・クリック数・CTRで、表示されていないのか、来ても入らないのかを先に切り分けます。
- 法人が検索で候補を探す場面はあります。ただし調査の対象は業務用の製品・サービスの導入なので、割合を通販の流入見込みとしては使いません。
- 受け皿の軸は、購入できる単一商品ページです。名称・価格に加えて、型番などの識別子と規格・入数を正確に載せ、用途で探される語は特集で受けて商品ページへつなぎます。
- 価格や取引審査の公開範囲は商材ごとに決め、登録開始・見積依頼・初回注文の件数で変更前後を比べます。
- 広告・仕入先探索サイト・営業は、商材の型、待てる期間、費用の持てる幅で組み合わせます。検索の効果は、反映を待ってから評価します。
目次

BtoB通販の新規集客で最初に確かめる、自社への検索流入語と受け皿
既存の取引先からの再注文は回っているのに、新しい法人からの会員登録や初回注文が検索経由ではほとんど増えない。
この原因が「検索で探されていない」のか、「探されても自社ページが受け皿になっていない」のかによって、打ち手は変わります。
まず Search Console で自社に届いている検索語を確かめます。
そのうえで、購入できる単一商品ページに型番などの識別子を載せて受け皿を整えるのが出発点です。
価格表示や取引審査の置き方は小さく試して自社データで確かめ、広告や営業との使い分けは商材の型と待てる期間で決めます。
見られているのに入らないのか、表示されていないのか
新規の法人が増えないと、まず「SEOが弱いのでは」と考えがちです。
ただ、検索から人が来ない状態には三つの場合が混ざっています。
検索結果に自社ページがほとんど表示されていない場合、表示はされているのに選ばれていない場合、来てはいるのに登録や注文へ進まない場合です。
どれに当たるかで直す場所が違うので、施策を決める前に切り分けます。
切り分けには、Google の Search Console にある検索パフォーマンスレポートを使います。
このレポートでは、検索語(クエリ)ごとに次の数字を確認できます6。
検索結果に自社ページが出た回数である表示回数、そこからのクリック数、クリック数を表示回数で割ったCTR、平均的な掲載順位です。
自社サイトが Search Console に登録済みであることが前提です。
まだであれば、登録してデータがたまるところから始めることになります。
数字の読み方の目安は次のとおりです。
表示回数そのものが少なければ、法人の担当者が使う言葉に対して、自社ページが検索結果に出ていない状態です。
表示回数はあるのにクリックが少なくCTRが低いなら、掲載順位が低いか、検索結果に出ているタイトルや説明が探している内容と合っていない可能性があります。
クリックは一定数あるのに会員登録や見積依頼が増えないなら、問題は検索ではありません。
着地したページから先の受け皿にあります。
担当者が自分で商品名を検索して、自社が何位に出るかを見るだけでは、この切り分けの代わりになりません。
検索結果は、検索する人の時間や場所、デバイスなどによって変わるからです6。
社内のパソコンで見えた順位が、取引先候補の購買担当に見えている順位と同じとは限りません。
レポートは実際の検索結果での表示とクリックを集計したものです。
そのため、自社が想像している「探され方」とのずれを見つける材料になります。
クエリ別に見る
全体の数字を見たら、次はクエリの中身を読みます。
BtoB通販の場合、検索語をおおまかに四つに分けて眺めると、状況がつかみやすくなります。
社名やサイト名を含む語、型番・品番、品名と規格や入数の組み合わせ、用途や困りごとを表す語の四つです。
この分け方は検索エンジンの決まりではありません。
新規と既存の流入を見分けるための整理です。
社名やサイト名、「ログイン」を含む語で来ている人の多くは、すでに取引がある会社の担当者だと考えられます。
再注文が回っている会社ほど、検索流入の大半がこうした指名の語で占められていることがあります。
その場合、合計のクリック数だけを見ると、検索が機能しているように見えてしまいます。
新規の法人の兆しは、社名を含まない型番や品名、用途の語のほうに現れます。
たとえば、業務用の梱包資材を法人に販売している通販サイトを仮定します。
クエリを並べたところ、上位が社名と「ログイン」で埋まっていました。
一方で、ストレッチフィルムの品番や「緩衝材 業務用 ケース」のような語は、ほとんど表示されていなかったとします。
この場合は、新規の担当者が探す語に対して、商品ページがまだ検索結果に出ていない段階です。
反対に、品番の語で表示回数はあるのにクリックが少なければ、商品ページはあるものの、検索結果での見え方か掲載順位に手を入れる段階になります。
どちらの状態かが分かると、次の判断は二つに分かれます。
一つは、法人の担当者がそもそも検索で仕入先を探しているのかという、検索に力を入れる前提の確認です。
もう一つは、探されたときに受け止めるページをどう作るかです。
| 見えている状態 | 考えられること | 次に見る場所 |
|---|---|---|
| 表示回数が少ない | 探す語に対して自社ページが検索結果に出ていない | 型番や用途の語に答える商品ページや特集があるか |
| 表示はあるがクリックが少ない | 掲載順位が低い、またはタイトルや説明が探している内容と合っていない | 掲載順位と検索結果でのタイトル |
| クリックはあるが登録・見積が増えない | 着地したページから先の受け皿に課題がある | 価格表示・取引審査の説明・登録の導線 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 社名やサイト名を含む語
- 「ログイン」を含む語も同じ
- すでに取引がある会社の担当者が多いと考えられる
- 合計のクリック数だけでは検索が機能して見える
- 型番・品番
- 例:ストレッチフィルムの品番
- 社名を含まない語に新規の兆しが現れる
- 品名と規格や入数の組み合わせ
- 社名を含まない語に新規の兆しが現れる
- 用途や困りごとを表す語
- 例:緩衝材 業務用 ケース
- 表示が少なければ、商品ページが検索結果に出ていない段階
法人の担当者は検索で候補を探すのか:確認できた範囲と限界
検索で候補を探す回答の割合
検索に手間をかける前に、法人の担当者がそもそも検索で候補を探すのかを確かめておきたいところです。
企業間の電子商取引そのものは大きく、経済産業省の調査を紹介した記事では、2024年のBtoB-EC市場規模が514兆4069億円とされています7。
ただし、この数字は電子的に行われた企業間取引の大きさです。
取引先を検索で新しく見つけたかどうかは示していません。
検索の使われ方に近いのは、株式会社才流が2025年に行った経理担当者向けの調査です。
経理業務に携わる人へのWebアンケートで、業務用の製品・サービスを導入する際の一次選定について尋ねています。
その結果、「検索エンジンから製品・サービスを探しリストアップする」が53%で最も多い回答でした1。
ここから、法人の担当者が候補を挙げる段階で検索エンジンを使う場面が実際にあることは読み取れます。
大型案件ではウェビナーなど別の情報源も参考にされる
一方で、案件の規模が大きくなると、情報源は検索に限られません。
株式会社IDEATECHが2026年に行った調査は、年間契約金額が大きいBtoB商材の購買に、複数人で関わった人を対象にしています。
候補をリストアップする際に、ベンダー主催のウェビナー・セミナーを参考にした割合は42.3%でした2。
同じ調査では、営業担当者と接する時点で、購買プロセスの一部がすでに進んでいることも示されています2。
この二つの調査は、時期も対象者も設問も違います。
そのため、53%と42.3%を並べて「検索のほうが多い」「ウェビナーのほうが多い」と比べることはできません。
言えるのは、法人が候補を探す場面で検索が使われることはあり、案件の大きさや商材によって頼る情報源が変わる、という範囲までです。
契約額が大きく関係者の多い商材ほど、検索で見つけた後に、説明を聞いたり資料を読んだりする段階が挟まると考えておくのが自然です。
通販の仕入先探索に当てはめられない範囲
どちらの調査も、調べているのは業務用の製品やサービスの導入です。
型番や品名で消耗品を繰り返し買う通販の仕入れや、少額の発注を重ねる購買行動を調べたものではありません。
そのため、53%を「自社の見込み客の半分は検索から来る」という流入の見込みとして使うことはできません。
通販で扱う商材の中でも、探され方は分かれると考えられます。
交換用の部品や決まった規格の資材では、品番が分かっている担当者が「どこで買えるか」を探します。
こうした商材では、品番や型番そのものが検索語になりやすいはずです。
一方、用途を相談しながら選ぶ機器や初めて導入する設備では、担当者は何を買えばよいかから考えます。
そのため用途や困りごとの語で探され、比較や説明を経て決まることが多いでしょう。
どちらが自社に当てはまるかは、調査の数字からは決まりません。
それが表れるのは、前の節で見た自社のクエリです。
つまり検索に投資する根拠は、外部の調査ではなく自社のクエリで固めていくことになります。
見るのは、型番や用途の語がどれだけ現れているか、あるいは現れていないかです。
現れていない場合でも、探されていないのか、ページがないから出ていないのかは分かれます。
そのため、受け皿を整えてから表示回数の変化を見る順序が現実的です。
| 調査 | 対象 | 時期 | 確認できた数値 | 通販への当てはめ |
|---|---|---|---|---|
| 株式会社才流の経理担当者調査 | 経理業務に携わる人・業務用の製品やサービスの導入 | 2025年 | 一次選定で検索エンジンから探してリストアップ 53%(最多) | 通販の仕入れの調査ではなく流入の見込みには使わない |
| 株式会社IDEATECHの大型購買調査 | 年間契約金額が大きいBtoB商材の購買に複数人で関わった人 | 2026年 | 候補リストアップでウェビナー・セミナーを参考 42.3% | 少額・反復の通販購買とは異なる |
BtoB通販の検索流入の受け皿:購入できる単一商品ページと識別子
商品ページとカテゴリの役割の違い
「BtoCと同じSEOで足りるのか」という問いには、次のように答えられます。
検索エンジンが求める基本は同じで、違いは載せる中身と価格の出し方に出ます。
Google のガイドでは、タイトルはページごとに一意にして内容を正確に表すこととされています5。
また、内容が重複するURLは canonical(正規のURLを示す指定)で整理できることも示されています5。
ここまでは、法人向けでも個人向けでも変わりません。
法人向けで違いが出やすいのは、同じ商品が入数や単位違いで複数並ぶ場面です。
たとえば先の梱包資材の通販で、同じストレッチフィルムに単品のページとケース入りのページがあり、説明文もほぼ同じだとします。
この状態では、どちらのページを検索結果に出すべきかが曖昧になります。
入数ごとに買い方が違うなら、それぞれのタイトルに入数を入れて別の商品として区別します。
並び順や絞り込みで生まれただけの同じ内容のURLであれば、canonical で一つにまとめます。
次は、構造化データ(ページ内の情報を決まった形式で記述し、検索エンジンに伝えるもの)の考え方です。
Google の商品の構造化データには二つの種類があります4。
購入できないページ向けの商品スニペットと、購入できるページ向けのマーチャントリスティングです。
マーチャントリスティングの対象は、その場で購入できる単一商品のページで、カテゴリや一覧のページは対象になりません3。
また、他のサイトへのリンクを置いているだけのページも対象外です3。
ここから、カテゴリと商品ページの役割が分かれます。
商品の情報を検索結果に詳しく見せる仕組みの対象になるのは、単一商品ページです。
カテゴリは、担当者が品ぞろえを見渡して目的の商品へ進むための入口になります。
なお、構造化データを書いても、検索結果での表示の拡張や順位は保証されません4。
それでも、名称や価格、型番がページの中で正確にそろっていることには意味があります。
検索エンジンにも、初めて来た担当者にも、そのページが何を売っているかを伝える土台になるからです。
法人向け通販では、扱う商品が多いほど、この整え方を一ページずつ積み重ねる作業の重みが増します。
日東電工CSシステムは、工業用粘着テープやテープ貼り機器を中心に製品の提案・販売を手掛けています。
同社の法人専用の業務用通販サイト「ハルイチ」では、Nitto グループの商品が最初から揃っています8。
この事例は、新規顧客の獲得効果を示したものではありません。
ただ、品数の多い法人向け通販では、商品ごとのページに名称や識別子をそろえる設計を最初から考えておく必要がある、という具体例として読めます。
型番・仕様など識別子の載せ方
マーチャントリスティングで必須とされるのは、商品名(name)、画像(image)、販売条件(offers)、価格(price)、通貨(priceCurrency)です3。
推奨項目としては、gtin、mpn、sku といった識別子とブランド(brand)が挙げられています3。
gtin はJANコードなどの国際的な商品コード、mpn は製造元の品番、sku は販売者が自社で管理する商品番号にあたります。
型番で探されやすい商材ほど、この識別子が重要になります。
品番を知っている購買担当は、品番そのものや「品番+業務用」のような語で検索することが考えられます。
ページのタイトルと本文、構造化データのそれぞれに同じ品番が正確に入っていれば、担当者は探している商品だと判断しやすくなります。
メーカーの品番と自社の管理番号が違う場合は、両方をページ上に載せておきます。
どちらで探されても照合でき、取り違えが減ります。
法人向けで見落としやすいのが、規格と入数です。
寸法や材質、入数、最小発注単位は、担当者が社内の仕様と照らし合わせて「この商品で合っているか」を決める材料です。
一方で、BtoCの商品ページでは省かれがちな項目でもあります。
タイトルを一意にするとき5、品名・規格・入数を入れると、似た商品が多い品ぞろえの中でもページ同士を区別しやすくなります。
注意したいのは、マーチャントリスティングが価格が0より大きいことを条件にしている点です3。
法人向け通販には、価格を会員登録後にしか表示しないページや、見積で価格を決めるページを持つところもあります。
こうしたページは、マーチャントリスティングの対象外になり得ます。
つまり価格をどこまで出すかは、検索での見え方と取引条件の両方にかかわる判断です。
この判断は、検索から来た担当者を登録や見積につなぐ場面と切り離せません。
用途提案が要る商材の特集
用途や困りごとの語で探される商材では、単一商品ページだけでは検索した人の問いに答えきれません。
「冷凍品を送るときの緩衝材」のように用途で探す担当者は、まだ品番を決めていないからです。
どの商品がその用途に合うのかを知りたい段階にいます。
こうした語には、用途ごとの特集やカテゴリのページで、選び方の条件と該当する商品を並べて答えるのが自然です。
特集やカテゴリのページは、マーチャントリスティングの対象にはなりません3。
そこで役割を分けます。
特集は、用途の語で探す人を受け止め、単一商品ページへ進んでもらう入口として作ります。
購入の判断に必要な名称・価格・識別子は、商品ページの側に集めます。
この分け方は、検索エンジンの仕様と、法人の担当者が「用途で探し、品番で決める」という流れを想定した編集上の整理です。
特集を作るときは、自社のクエリに現れた用途の語を出発点にします。
そうすれば、思いつきで特集が増えるのを避けられます。
表示回数はあるのにクリックの少ない用途の語があれば、それは候補です。
その語に答えるページがまだないか、タイトルが合っていない可能性があります。
| 区分 | 項目 | 法人向け通販での中身の例 |
|---|---|---|
| 必須 | name(商品名) | 品名・規格・入数を含む商品名 |
| 必須 | image(画像) | 商品が分かる画像 |
| 必須 | offers・price・priceCurrency(販売条件・価格・通貨) | 0より大きい価格と通貨 |
| 推奨 | gtin(国際的な商品コード) | JANコードなど |
| 推奨 | mpn(製造元の品番) | メーカーの品番 |
| 推奨 | sku(販売者の管理番号) | 自社の商品番号 |
| 推奨 | brand(ブランド) | メーカー名・ブランド名 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 用途の特集
- 用途や困りごとの語で探す人を受け止める
- 選び方の条件と該当する商品を並べる
- 構造化データ(マーチャントリスティング)の対象外
- カテゴリ・一覧
- 品ぞろえを見渡して目的の商品へ進む入口
- 構造化データ(マーチャントリスティング)の対象外
- 単一商品ページ
- 名称・価格・識別子を集める
- 購入の判断に必要な情報を置く
- マーチャントリスティングの対象になり得る
検索から来た法人を登録・見積・初回注文につなぐ:価格表示と取引審査の置き方
公開範囲の決め方(提案)
受け皿のページに着いた後、新規の法人がつまずきやすいのは、価格と取引条件が見えない場面です。
先の梱包資材の通販で考えてみます。
品番で検索して商品ページに来た工場の購買担当は、その商品が欲しい規格かどうかは確かめられます。
しかし価格が「会員登録後に表示」となっていれば、今の仕入先と比べることができません。
さらに、登録には取引審査があり、掛売り(請求書で後払いにする取引)が始まるまで日数がかかると分かったとします。
そうなれば、急ぎの発注はいつもの仕入先へ戻るかもしれません。
一方で、法人向け通販が価格や条件を伏せる理由もはっきりしています。
取引先ごとに価格を変えている場合や、掛売りの前に与信を確かめる必要がある場合には、すべての価格を誰にでも同じように見せることはできません。
そのため、「全部公開するか、全部隠すか」ではなく、何をどこまで公開するかを商材ごとに決めることになります。
価格や審査の見せ方が新規の登録や注文をどれだけ左右するかは、商材や取引先によって違います。
一般論として数字で示せるものではありません。
以下は、自社で確かめることを前提にした提案です。
- 商品名・画像・型番・規格・入数は、誰でも見られるように公開する。
検索で探される情報で、取引条件に左右されない部分です。 - 価格は、商材ごとに選ぶ。
標準価格を公開して取引先別の価格はログイン後に出す、価格帯だけを示す、見積を前提にする、といった選択肢があります。 - 取引審査と掛売りは、登録画面の手前で説明する。
審査が必要なこと、申し込みから利用開始までの流れ、審査を待つ間に発注できる方法があるかどうかを示します。
このうち価格の扱いは、前の節で見た検索での見え方にもつながります。
単一商品ページに価格を表示できれば、マーチャントリスティングの条件の一つを満たせます3。
価格を出さないページは、購入できないページ向けの商品スニペットの側で考えることになります4。
どちらの場合も、名称や型番、規格といったページ本文の情報で検索に答えることはできます。
価格を出せないこと自体は、検索対策をあきらめる理由にはなりません。
取引審査の説明を手前に置くのは、審査をなくすためではありません。
担当者が「申し込めば何が起き、いつから買えるのか」を知らないまま、登録画面で止まる状態を減らすためです。
問い合わせのたびに同じ説明を繰り返す手間も省けます。
審査の基準そのものは与信の判断なので、公開する範囲は社内で決めておきます。
公開範囲の変更を自社データで確かめる
提案した変更が効いているかどうかは、自社の数字でしか確かめられません。
見る点は三つあります。
検索から来た人が登録を始めた件数、見積を依頼した件数、初回の注文に至った件数です。
初回注文は、審査や社内の承認を経るぶん後ろにずれやすくなります。
変化を早く見たいときは、登録開始や見積依頼の件数が手がかりになります。
確かめ方の手順は次のとおりです。
- 変更前の一定期間について、検索経由の登録開始・見積依頼・初回注文の件数を記録する。
- 変更する範囲を一部の商品群に絞り、何を変えたかを記録する。
価格の表示方法や、審査の説明の位置などです。 - 変更後、同じ長さの期間で同じ件数を数え、変更前と比べる。
- 季節の需要や大口顧客の動きなど、変更以外の要因が重なっていないかを確かめてから判断する。
商品群を絞るのは、全体を一度に変えると、何が効いたのか、あるいは逆効果だったのかを区別できなくなるからです。
変更した商品ページが Search Console でどのクエリに表示されているかも併せて見ておきます6。
そうすれば、流入の変化と登録の変化を同じ商品群で追えます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 商品情報
- 商品名・画像・型番・規格・入数は誰でも見られるように公開
- 取引条件に左右されない部分
- 価格
- 標準価格を公開し、取引先別の価格はログイン後に出す
- 価格帯だけを示す
- 見積を前提にする
- 取引審査と掛売り
- 登録画面の手前で説明する
- 審査が必要なことと、申し込みから利用開始までの流れ
- 審査を待つ間に発注できる方法があるか
▼ 図の内容を文字で読む
- 検索から商品ページへ着地
- 登録開始
- 見積依頼
- 初回注文
検索だけで足りないとき:広告・仕入先探索サイト・営業との使い分けと効果の見方
商材の型と待てる期間で選ぶ
受け皿を整えても、検索だけで新規の法人が十分に入ってくるとは限りません。
そのとき、広告、仕入先を探す企業向けのサイト、営業をどう組み合わせるかを決める必要があります。
決め手は手段の優劣ではなく、商材の型、待てる期間、費用の持てる幅です。
費用は商材や出し方によって大きく変わるため、ここでは金額ではなく条件で考えます。
待てる期間については、検索の側に目安があります。
Google のガイドでは、ページの変更が検索結果に反映されるまで数時間から数か月かかることがあるとされています5。
効果の評価は数週間後に行うのが一般的だとも示されています5。
新規の取引先を今期中に増やす必要があるなど、反映を待てない事情があることもあるでしょう。
その場合は、検索の整備と並行して、費用を払って表示枠や接点を得る手段を組み合わせる理由になります。
条件ごとの考え方は次のとおりです。
- 型番・品番で探される商材:検索語と商品が一対一で結びつきやすいので、まず単一商品ページの整備を進めます。
広告を使う場合も品番の語に絞ると、来た人と商品ページのずれが小さくなります。 - 用途の提案が要る商材:検索で見つかった後に説明が要るため、特集ページに加えて、資料や説明会、営業による相談の場が役割を持ちます。
- 待てる期間が短い:検索の反映を待つ間の接点として、広告や仕入先探索サイトへの掲載を検討します。
- 費用の持てる幅が小さい:既にある商品ページのタイトル・識別子・canonical の整理など、社内の作業で進められる部分から手を付けます。
仕入先探索サイトやモールに出品する場合、そこで見つけた担当者が自社サイトへ来るとは限りません。
掲載先で取引が完結する作りなら、自社サイトには別の役割を持たせます。
品番や仕様を最も正確に確かめられる場所であり、継続して発注するときの窓口でもある、という役割です。
こう分けておくと、どちらに何を載せるかで迷いにくくなります。
営業は、契約額が大きく、関わる人が多い商材ほど出番が増えます。
大型のBtoB商材を調べた調査では、ウェビナー・セミナーが候補探しの参考にされていました2。
営業と接する時点で検討の一部が進んでいることも示されています2。
この結果を踏まえると、営業は、検索や資料で先に情報を得た担当者から、その続きを引き受ける形になります。
検索の整備と営業は置き換えの関係ではなく、前後をつなぐ関係として考えたほうが判断しやすいはずです。
見る指標の並べ方
手段を組み合わせたら、成果を同じ表で見られるようにします。
検索については、Search Console でクエリ別の表示回数、クリック数、CTR、掲載順位を見ます6。
その横に、自社サイトで数えた登録開始・見積依頼・初回注文の件数を並べます。
件数は、検索、広告、仕入先探索サイト、営業といった入口ごとに分けて並べます。
この並べ方は、手段ごとの流入とその後の動きを一つの流れとして見るための提案です。
検索の数字を見る区切りは、変更直後ではなく、反映と評価に時間がかかることを踏まえて決めます5。
タイトルや識別子を整えた商品群について、変更前と変更後の表示回数を比べます。
表示が増えたのにクリックが増えなければ、検索結果での見え方を見直します。
クリックが増えたのに登録が増えなければ、受け皿を見直します。
最初に行った切り分けを、施策の後にも繰り返すことになります。
法人の取引は、審査や社内の承認、複数の担当者の確認を経ることがあります。
そのため、初回注文だけで判断すると、施策の良し悪しが見えるまでに時間がかかります。
登録開始や見積依頼のように手前にある件数も並べておけば、初回注文が出る前でも、どの入口からどの段階まで進んでいるかが分かります。
どの指標を重く見るかは、商材の型と、社内で成果をいつまでに説明する必要があるかによって決めることになります。
▼ 図の内容を文字で読む
- 型番・品番で探される商材
- 単一商品ページの整備を先に進める
- 広告は品番の語に絞る
- 用途の提案が要る商材
- 特集ページを整える
- 資料・説明会・営業による相談の場が役割を持つ
- 待てる期間が短い
- 広告や仕入先探索サイトへの掲載を検討する
- 費用の持てる幅が小さい
- タイトル・識別子・canonical の整理など社内の作業から始める
▼ 図の内容を文字で読む
- 変更(タイトル・識別子・canonical を整える)
- 反映(数時間から数か月かかることがある)
- 評価(数週間後に変更前と比べるのが一般的)
- 次の切り分け(表示・クリック・登録のどこで止まっているか)
自社のクエリと商品ページを照らし合わせると、通販サイトの作りそのものに手を入れる判断が残ります。品番や規格の載せ方、価格を出す範囲、登録画面の手前に置く説明などです。法人専用通販サイトの構築にかかわる相談先なら、こうした受け皿の作りを具体的な画面の単位で検討できます。
自社の商品ページの構成で、品番・規格・入数をどこに載せるか、会員限定の価格や取引審査の説明をどの画面に置けるかを確かめられます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 最初の切り分け | クエリ別の表示回数・クリック数・CTRで、表示されていないのか、来ても入らないのかを分ける |
| 新規の兆し | 社名やログインを含む語ではなく、型番・品名・用途の語に出る |
| 調査の読み方 | 検索で候補を探す場面はあるが、業務用製品・サービスの導入が対象で、通販の流入見込みには使わない |
| 受け皿の軸 | 購入できる単一商品ページに、名称・価格・識別子・規格・入数をそろえる |
| 用途で探される商材 | 特集やカテゴリで受け止め、単一商品ページへつなぐ |
| 価格と審査 | 商品情報と型番は公開し、価格と掛売り条件の公開範囲は商材ごとに決める |
| 手段の使い分け | 商材の型、待てる期間、費用の持てる幅で組み合わせる |
| 効果の見方 | 表示・クリックの横に、登録開始・見積依頼・初回注文を入口別に並べる |
検索、広告、仕入先探索サイト、営業をどう組み合わせても、新規の法人を最後に受け止めるのは自社の通販サイトです。取引先別の価格や掛売りといった法人ならではの条件を保ったまま、どこまで公開するかは、サイトの仕組みと合わせて決める必要があります。 現在の取引条件を前提に、公開できる情報と登録後に出す情報の分け方、そして登録開始・見積依頼・初回注文を数える計測点をどこに置くかを整理できます。
よくある質問
型番検索が多い商材と、用途提案が要る商材で、受け皿の作り方はどう変わりますか。
型番で探される商材は、単一商品ページのタイトル・本文・構造化データに同じ品番を正確に載せます。
メーカーの品番と自社の管理番号が違う場合は、両方を示します。
用途の提案が要る商材は、用途ごとの特集やカテゴリで選び方と該当商品を示し、そこから単一商品ページへ進む形にします。
特集やカテゴリはマーチャントリスティングの対象外なので3、購入に必要な情報は商品ページの側に集めます。
会員限定価格で価格を出せない商品ページは、検索にどう対応できますか。
マーチャントリスティングは価格が0より大きいことが条件のため、価格を出さないページは対象外になり得ます3。
購入できないページ向けには、商品スニペットという別の種類があります4。
また、商品名・型番・規格・入数をページ本文に公開しておけば、価格がなくても検索した担当者の問いには答えられます。
どちらの場合も、表示の拡張は保証されません4。
登録・見積・初回注文のうち、どこを最初に計測すればよいですか。
三つとも数えるのが前提です。
そのうえで、変化を早く見たいなら登録開始の件数から見るのが手がかりになります。
初回注文は、取引審査や相手先の社内承認を経るぶん後ろにずれやすく、施策の後すぐには動きが見えにくいからです。
入口ごとに分けて数えておくと、検索経由の変化を他の手段と区別できます。
検索対策の効果が出るまで、どのくらい見ればよいですか。
Google のガイドでは、変更の反映に数時間から数か月かかることがあり、評価は数週間後に行うのが一般的とされています5。
まず Search Console で、変更した商品群の表示回数とクリック数を変更前と比べます6。
登録や初回注文への影響はその後に現れるため、検索の数字より長い目で見ることになります。
モールや仕入先探索サイトを併用するときに、自社サイトの役割をどう決めればよいですか。
掲載先で取引が完結する場合、そこで見つけた担当者が自社サイトへ来るとは限りません。
自社サイトは、品番や仕様を最も正確に確かめられる場所であり、継続して発注するときの窓口でもある、と役割を分けておくと判断しやすくなります。
価格や取引条件をどこまで出すかも、掲載先と自社サイトで分けて決めます。
- 1 出典:株式会社才流「BtoB商材の導入実態調査【経理担当者編】」(2025)
- 2 出典:株式会社IDEATECH「日本のBtoB大型購買プロセスに関する実態調査」(2026)
- 3 出典:Google「Search Central: マーチャントリスティング(Product・Offer)の構造化データ」
- 4 出典:Google「Search Central: 商品の構造化データ」
- 5 出典:Google「Search Central: SEO スターターガイド」
- 6 出典:Google「Search Console ヘルプ: 検索パフォーマンスレポート」
- 7 出典:インプレス(ネットショップ担当者フォーラム)「経産省 令和6年度電子商取引に関する市場調査の紹介記事」(2025)
- 8 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(日東電工CSシステム株式会社様)」
画像の出典元
- Asian businessman in a suit typing at a desktop computer in a modern office setting./Photo by RDNE Stock project on Pexels