◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 指値業務の属人化は、判断・実行・情報のどこで止まるかに分けると、手を付ける順番が見える
- 判断基準は過去の指値の理由を前後と比べて聞き取り、条件と例外に分けて書き出す
- 判断・発注・確認の役割と代行範囲を、条件と裁量の区分に揃えて決める
- 自動化は定型で頻度の高い部分に限り、裁量の部分には承認と理由の記録を置く
- 引継ぎ後は水準のばらつき・見直し件数・記録の有無を確かめ、繰り返す例外を条件に戻す
目次

指値の担当者が不在になると、何が止まるのか
指値を決めてきた担当者が急に休んだ日に、注文や発注の価格を誰も決められず、作業が止まる。
本人に聞いても「相場を見て、だいたいこのあたり」としか返ってこず、引継ぎ資料も作れない。
こうした指値業務の属人化は、「価格の決め方」「発注の実行」「相場や取引先の情報の持ち方」の3つに分けると、どこから手を付けるかが見えてきます。
判断基準は条件と例外に分けて書き出し、実行は手順と権限の分担にします。
ツールに載せるのは、定型で頻度の高い部分だけです。
裁量を残す範囲には承認と記録を置き、引継ぎ後も同じ水準で回っているかを確かめ続けます。
証券・FX系と購買・受発注系で「指値」の意味が違う
指値という言葉は、場面によって指すものが違います。
証券やFXの売買では、一般に、売買したい価格を指定して出す注文を指します。
指定した価格より不利な条件では成立しません。
その代わり、相場がその価格に届かなければ取引は成立しないままです。
購買や受発注の現場では、仕入先や得意先に「この価格・この数量なら発注する」と条件を指定して出す取引を、指値と呼ぶことがあります。
相手が応じるかどうかは交渉や取引関係に左右されるため、成立の仕組みは市場の注文とは異なります。
どちらの場面でも、属人化の構図は似ています。
価格をいくらに置くかを決める人、その価格で注文や発注を出す人、判断の材料となる相場や取引先の情報を持っている人が、同じ1人に重なっているのです。
ただし、扱う情報や承認の挟み方は場面ごとに違います。
この先では、その違いが判断を変えるところで両者を分けて説明します。
属人化の3つの現れ方(判断・実行・情報)
担当者が不在になったとき、止まるものは一つではありません。
仮の例として、購買部門で原材料の指値を出しているAさんが1週間休んだ場面を考えます。
最初に困るのは、価格を決められないことです。
前回いくらで出したかは発注履歴を見れば分かります。
しかし、なぜその価格にしたのか、今回も同じでよいのかは、履歴からは読み取れません。
これが「判断」に残った属人化です。
価格が決まっても、出し方が分からないことがあります。
どの画面から入力するのか、誰の承認が要るのか、取引先へはどの手段で伝えるのか。
Aさんが毎回自然にこなしていた手順が書かれていなければ、代わりの人は手を止めて一つずつ確かめるしかありません。
これが「実行」に残った属人化です。
さらに、判断の材料そのものがAさんの手元にしかない場合があります。
取引先が最近値上げを打診してきたこと、ある仕入先が月末に在庫を手放したがる傾向があることなど、メールや会話の中で得た情報は共有されないまま判断に使われがちです。
これが「情報」に残った属人化です。
3つは同時に起きることが多いものの、手当ての方法はそれぞれ違います。
判断は書き出して条件にし、実行は手順と権限の分担にし、情報は置き場所を決めて共有します。
自分の部署の指値業務でどれが一番止まりやすいかを見分けると、最初に手を付ける対象が決まります。
属人化の影響として挙がる項目
業務一般の属人化については、民間の調査があります。
株式会社NEXERが2024年1月に、業務可視化ツールを使って業務をした経験がある全国の男女142人へインターネットで聞いた調査では、属人化の影響として「業務の引継ぎが困難である」を選んだ人が52.8%でした1。
「手順やプロセスが文書化されていない」は47.9%、「キーパーソンの不在が業務に深刻な影響を及ぼす」は44.4%でした1。
この調査は、指値業務の担当者に聞いたものではありません。
回答者は業務可視化ツールの使用経験者に限られ、業種や職種も絞られていないため、「指値業務の半数で引継ぎが難しい」と読むことはできません。
調査を実施したのが業務可視化に関わる事業者である点も、数字を扱うときに踏まえておく必要があります。
それでも、挙がった3項目は、先ほどの判断・実行・情報の分け方と重ねて読むことができます。
引継ぎの難しさは、主に判断の理由が言葉になっていないことから生じます。
手順の未文書化は、実行の属人化そのものです。
キーパーソン不在の影響は、判断の材料となる情報が1人に集まっていることの裏返しといえます。
この対応づけは調査の結果ではなく、一般業務の傾向を指値業務に当てはめた編集部の整理です。
ただ、手を付ける順番を考えるときの目安にはなります。
| 現れ方 | 不在時に止まること | 手当ての方向 |
|---|---|---|
| 判断 | 価格をいくらに置くかを決められない | 条件と例外に書き出す |
| 実行 | 入力画面・承認・取引先への伝え方が分からない | 手順と権限の分担にする |
| 情報 | 相場や取引先の事情が担当者の手元にしかない | 置き場所を決めて共有する |
| 属人化の影響として挙がった項目 | 選んだ人の割合 | 指値業務での主な現れ方(編集部の整理) |
|---|---|---|
| 業務の引継ぎが困難である | 52.8% | 判断の理由が言葉になっていない |
| 手順やプロセスが文書化されていない | 47.9% | 発注の実行手順が書かれていない |
| キーパーソンの不在が業務に深刻な影響を及ぼす | 44.4% | 相場や取引先の情報が1人に集まっている |
指値の価格の決め方を、条件と例外に分けて書き出す
過去の指値から決定理由を取り出す
判断基準を文書にしようとして、白紙から「指値の決め方」を書き始めると、たいてい一般論で止まります。
「相場を見て適正な価格で出す」と書いても、次の担当者が同じ価格に行き着けるわけではないからです。
書き出しは、実際に出した指値から始めるほうが進みます。
直近の指値を何件か取り出し、1件ずつ「このときなぜこの価格にしたのか」を担当者に聞いていきます。
その前提として、過去の指値の価格・数量・日付と、その時点の相場や見積の記録を確認できる状態にしておく必要があります。
記録が残っていない場合は、これから出す指値で理由を書き留めるところから始めます。
聞き取りで「勘です」と返ってきても、そこで終わらせないことが大事です。
「前回より安く出したのはなぜか」「この取引先だけ高めなのはなぜか」と、前後の指値と比べて違いを尋ねると、本人も意識していなかった理由が出てきます。
違いを比べる問いは、「基準は何か」という抽象的な問いよりずっと答えやすいものです。
条件と例外の分け方
取り出した理由は、条件と例外に分けます。
ここでいう条件とは、毎回同じように確かめ、その値によって価格が決まる要素です。
証券・FX系なら、直近の相場水準や値動きの幅、注文の数量、注文の有効期限などが入力になります。
購買・受発注系なら、過去の仕入価格の履歴、発注数量、納期、取引先との取引条件などが入力になります。
仮の例で考えます。
Aさんへの聞き取りで、「通常は直近数回の仕入価格の平均を基準にし、数量が多い月は少し下げて出す」という説明が得られたとします。
これは「基準価格の求め方」と「数量による調整」という2つの条件に分けられます。
一方、「この取引先は値上げを打診してきたばかりなので、今回は前回と同じ価格に据え置いた」という理由は、毎回当てはまるものではありません。
こちらは例外として別に記録します。
分けるときの目安は、「次の担当者が、同じ材料を見て同じ結論を出せるか」です。
出せるなら条件として書き、出せないなら例外として扱います。
条件は「〜のときは〜にする」という形で書いておくと、後で手順やツールに移すときにもそのまま使えます。
裁量として残すものの決め方
すべての判断をルールにできるとは限りません。
相場が急に動いたときの判断や、取引先との関係を考えた価格の据え置きなどは、条件だけでは言い切れず、経験のある人の判断が必要な場面として残ります。
こうした部分を無理にルールへ押し込むと、ルールが例外だらけになって読めなくなるか、現実に合わない価格を機械的に出すことになります。
そこで、例外は「裁量」として残し、その代わりに範囲を決めます。
たとえば「基準価格からどこまで外れたら裁量とみなすか」「裁量で決めてよいのは誰か」「裁量で決めたときは何を書き残すか」の3点です。
範囲の幅をどこに置くかは、扱う金額や取引の性質によって変わるため、一律の目安はありません。
最初は狭めに置き、運用の中で例外の記録が溜まってから見直すほうが、根拠を持って広げられます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 証券・FX系
- 売買したい価格を指定して出す注文
- 指定より不利な条件では成立しない
- 相場が届かなければ成立しないまま
- 購買・受発注系
- この価格・この数量なら発注すると条件を指定する
- 相手が応じるかは交渉や取引関係に左右される
- どちらにも共通する構図
- 価格を決める人
- その価格で注文や発注を出す人
- 相場や取引先の情報を持つ人が同じ1人に重なる
指値の発注手順と権限を、誰でも同じ水準で回せる形にする
チェックリストにする項目
判断基準が書けても、発注の実行が担当者の頭の中にあれば、不在の日には止まります。
実行の手順は、担当者が普段の発注を1件こなす様子を横で見ながら、操作の順に書き出すと漏れが少なくなります。
チェックリストに入れる項目の例は次のとおりです。
- 指値の対象(銘柄・品目、取引先)と数量
- 前節の条件に沿って求めた価格と、根拠にした数字
- 裁量で決めた場合は、その理由
- 有効期限や納期など、価格以外に指定する条件
- 発注に使う画面・手段と、入力後に確認する箇所
- 承認が必要かどうかと、承認した人
- 発注後に記録を残す場所
項目を細かくしすぎると、チェックリストは使われなくなります。
担当者が「いつも気をつけていること」を聞き、過去に間違えやすかった箇所を優先して入れると、実務の確認に役立つものになります。
判断する人・発注する人・確認する人の分け方
手順を書いたら、次は誰がどこを担うかを決めます。
属人化が起きている現場では、価格を決める、発注を入力する、結果を確かめるという3つの役割を1人が続けて担っていることが多いはずです。
この状態では、本人の判断に誤りがあっても、途中で気づく人がいません。
役割を分けると、判断の理由をほかの人に伝える必要が生まれます。
発注する人は、決めた人から価格と根拠を受け取って入力します。
確認する人は、入力された内容がチェックリストどおりか、価格が前節の条件から外れていないかを見ます。
根拠を伝えるやり取りそのものが、判断を言葉にする機会になります。
どの金額から承認を要するか、誰が承認者になるかは、取引の種類や社内規程によって変わります。
ここで決めるのは自社の規程に沿った分担であり、例をそのまま当てはめるものではありません。
人数の少ない部署では、3つの役割を別々の人に割り当てられないこともあります。
その場合は分担よりも、代行者を決めることと、発注の前か後のどちらかで別の人が内容を見るダブルチェックを置くことを優先する方法があります。
不在時の代行者と代行範囲
代行者を決めるときは、名前を決めるだけでは足りません。
代行者が何をしてよく、何をしてはいけないかを、あらかじめ決めておきます。
仮の例として、Aさんの代行をBさんが務める場合を考えます。
「条件どおりに求めた価格での発注は、Bさんの判断で出してよい」「条件から外れる価格や、新しい取引先への指値は、上長の承認を得てから出す」「急ぎでない例外判断は、Aさんの復帰まで保留する」といった形で範囲を決めておきます。
そうすれば、Bさんは迷う場面が減り、何を保留すべきかも分かります。
代行の範囲は、前節で書き出した条件と裁量の区分にそのまま重なります。
条件で決まる部分は代行でき、裁量の部分は承認か保留にする、という対応です。
判断基準の書き出しと権限の分担を別々に進めず、同じ区分で揃えておくと、不在の日に誰が何をするかがすぐに分かります。
| 役割 | 担うこと | 受け取るもの |
|---|---|---|
| 判断する人 | 条件に沿って価格を決め、裁量の場合は理由を書く | 相場や取引先の情報、価格の履歴 |
| 発注する人 | チェックリストに沿って発注を入力する | 決めた価格と根拠 |
| 確認する人 | 入力内容と条件からの外れを確かめる | 入力された内容とチェックリスト |
▼ 図の内容を文字で読む
- 条件
- 基準価格の求め方(直近数回の仕入価格の平均)
- 数量による調整(数量が多い月は少し下げる)
- 例外
- 取引先が値上げを打診してきたため前回と同じ価格に据え置く
- 毎回当てはまらないので別に記録する
- 裁量として残す
- 基準価格からどこまで外れたら裁量とみなすか
- 裁量で決めてよいのは誰か
- 裁量で決めたときは何を書き残すか
指値業務でツールに載せる部分と、人の裁量を残す部分を分ける
自動化の候補にする部分の見分け方
判断の条件と実行の手順が書き出せると、そのうちどこをツールに任せられるかが見えてきます。
自動化を考えるときの軸は、定型性と頻度です。
定型性とは、同じ入力から毎回同じ結果が出るかどうかです。
第2節で「条件」に分けた部分は定型性が高く、「裁量」に分けた部分は低いと考えられます。
頻度は、その作業がどれくらいの間隔で繰り返されるかです。
毎日のように繰り返す作業は、手で計算や転記をする手間が減る分の効果が出やすい一方、年に数回しかない作業は、仕組みを作る手間に見合わないことがあります。
両方を満たす作業、たとえば「直近の価格履歴から基準価格を計算する」「チェックリストの入力漏れを確かめる」「発注した内容を所定の場所に記録する」といったものが、自動化の最初の候補になります。
どの程度の頻度・定型度なら検討に値するかについて、共通の線はありません。
いまその作業にかかっている手間と、仕組みを作って保守する手間を比べて、各社で判断することになります。
自動化で減るのは、主に手で計算する手間、画面の間で数字を転記する手間、記録を書き写す手間です。
計算式や条件そのものが正しいか、目の前の指値が例外に当たるかの見極めは、人の確認として残ります。
ツールに載せたからといって判断の誤りがなくなるわけではなく、誤った条件をそのまま速く繰り返すおそれもあります。
裁量を残す部分の承認と記録
裁量の部分は人に残しますが、残し方には工夫が要ります。
何も決めずに残すと、属人化した状態に戻ってしまうからです。
置くものは2つです。
1つは承認で、裁量で決めた指値は、決めた人以外が内容を見てから出すようにします。
もう1つは記録で、裁量で決めた理由を、指値の価格と一緒に残します。
記録には「どの条件から、なぜ外れたのか」「そのとき何の情報を見たのか」の2点があれば、後から読み返して判断を追えます。
この記録は、次の担当者が判断の理由を学ぶ材料にもなります。
第2節の聞き取りで本人から引き出した理由が、今度は日々の記録として残っていきます。
そのため、例外の扱い方が少しずつ共有され、情報が1人の手元に集まる状態も和らいでいきます。
証券・FX系と購買系での違い
ここまでの考え方は両方の場面に共通しますが、ツールで何ができるか、記録や承認に何が求められるかは場面によって違います。
次の表は、編集部が共通の軸で両者を並べた整理です。
個々の取引の仕組みや規制を確かめたものではないため、考える際の目安として扱ってください。
証券・FX系では、相場が刻々と動くため、判断から発注までの時間が短くなりがちです。
発注は証券会社やFX業者のシステムを通じて行われ、使える注文方法や自動で発注する機能の有無は、利用先の仕様によって決まります。
社内でどこまで承認を挟めるか、どんな記録を残す必要があるかも、自社の規程や業態ごとの要件によって変わります。
自動化を考える際は、利用している証券会社・業者の仕様と社内規程を先に確かめることになります。
購買・受発注系では、相手が取引先であり、指値を出してから応じるかどうかの返事が来るまで時間があります。
その分、発注前に承認を挟みやすく、価格の計算や記録の自動化は、社内で使っている購買・受発注のシステムや表計算ソフトの範囲で検討できることがあります。
一方で、取引先との交渉の経緯といった情報がメールや会話に散らばりやすく、第1節で触れた「情報」の属人化が残りやすい場面でもあります。
どのシステムで何ができるかは、利用中の製品の仕様で確かめます。
| 軸 | 証券・FX系 | 購買・受発注系 |
|---|---|---|
| 判断の入力 | 相場水準・値動きの幅・数量・有効期限 | 仕入価格の履歴・数量・納期・取引条件 |
| 判断から発注までの時間 | 短くなりがち | 相手の返事まで時間がある |
| 発注の手段 | 証券会社やFX業者のシステム | 社内の購買・受発注の仕組みや取引先への連絡 |
| 承認の挟み方 | 時間との兼ね合いで検討が必要 | 発注前に挟みやすい |
| 自動化の検討先 | 利用先の仕様と社内規程 | 利用中のシステムや表計算ソフトの範囲 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 発注の対象
- 指値の対象(銘柄・品目、取引先)と数量
- 有効期限や納期など価格以外に指定する条件
- 価格と根拠
- 条件に沿って求めた価格と根拠にした数字
- 裁量で決めた場合はその理由
- 発注の実行
- 発注に使う画面・手段
- 入力後に確認する箇所
- 承認と記録
- 承認が必要かどうかと承認した人
- 発注後に記録を残す場所
指値の引継ぎ後に、同じ水準で運用できているかを確かめる
確認する項目
手順と権限を整えて引継ぎを終えても、それで同じ水準が保てているとは限りません。
担当者以外が出した指値が、従来の判断と比べてどうなっているかを、定期的に見ていく必要があります。
見る項目には、たとえば次の3つがあります。
- 指値の水準のばらつき:条件が似た指値で、担当者によって価格がどれだけ違うか
- 見直しの件数:出した後で価格を修正したり、取り消したりした件数
- 判断理由の記録の有無:裁量で決めた指値に、理由が書き残されているか
ばらつきを見るときは、価格の差だけで良し悪しを決めないことが大切です。
差が大きくても、相場や取引先の事情が違えば当然の結果であることもあります。
差が出た指値について、そのときの条件と記録を並べ、条件の解釈が人によって違ったのか、例外の扱いが違ったのかを見分けます。
目標値をいくらに置くかは、根拠になる共通の基準がないため、各社の取引の性質に合わせて決めることになります。
確認の頻度も、取引量が多ければ短い間隔で、少なければ一定の件数が溜まるごとに、というように取引量に応じて決めます。
例外をルールに戻す見直しの回し方
運用を続けると、条件では言い切れなかった例外の記録が溜まっていきます。
この記録を定期的に読み返すと、同じ理由の例外が繰り返し出ていることに気づく場合があります。
仮の例で、代行者のBさんが「この取引先は四半期末に価格が下がりやすいので、その月だけ低めに出した」という理由を何度か記録していたとします。
同じ理由が繰り返されるなら、それはもう例外ではなく、条件の一つとして書き加えられます。
逆に、条件どおりに出した指値で見直しが続くなら、条件のほうが現実に合わなくなっている可能性があり、書き直しを検討します。
こうして運用の記録をもとに条件を足し、合わなくなった条件を直し、チェックリストと代行範囲もあわせて更新します。
判断基準を一度書いて終わりにせず、例外をルールに戻す流れを回すことで、1人に残っていた判断が共有された基準へ少しずつ置き換わっていきます。
それでも残る裁量の部分は、承認と記録によって、誰がどんな理由で決めたかを後から追える状態を保ちます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 条件どおりの価格
- Bさんの判断で出してよい
- 条件から外れる価格・新しい取引先
- 上長の承認を得てから出す
- 急ぎでない例外判断
- Aさんの復帰まで保留する
自部署の指値のうち、どの判断を条件にでき、どこを裁量に残すかは、過去の指値の記録を見ながらでないと線を引きにくいためです。
手元の指値の記録をもとに、判断・実行・情報のどこに属人化が残っているかと、最初に書き出す対象を一緒に確かめられます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 属人化の見分け | 判断・実行・情報のどこで止まるか |
| 判断基準の書き出し | 過去の指値の理由を聞き、条件と例外に分ける |
| 条件と例外の境目 | 次の担当者が同じ材料から同じ結論を出せるか |
| 権限の分担 | 判断・発注・確認を分け、少人数なら代行者とダブルチェック |
| 代行範囲 | 条件どおりは代行、外れるものは承認か保留 |
| 自動化 | 定型性と頻度で選び、利用先の仕様と社内規程を先に確かめる |
| 裁量の扱い | 承認と、外れた理由・見た情報の記録 |
| 運用の確認 | 水準のばらつき・見直し件数・理由の記録の有無 |
▼ 図の内容を文字で読む
- ツールに載せる最初の候補
- 直近の価格履歴から基準価格を計算する
- チェックリストの入力漏れを確かめる
- 発注した内容を所定の場所に記録する
- 人の確認として残る
- 計算式や条件そのものが正しいか
- 目の前の指値が例外に当たるか
- 裁量の部分に置く
- 決めた人以外が内容を見てから出す(承認)
- どの条件からなぜ外れたか、何の情報を見たかを残す(記録)
▼ 図の内容を文字で読む
- 同じ理由の例外が繰り返される
- 条件の一つとして書き加える
- チェックリストと代行範囲もあわせて更新する
- 条件どおりなのに見直しが続く
- 条件が現実に合わなくなっている可能性を考える
- 条件の書き直しを検討する
- それでも残る裁量
- 承認と記録で誰がどんな理由で決めたかを後から追える状態を保つ
どこまでツールに載せるかは、利用中のシステムの仕様と社内規程が絡み、担当者だけでは判断しにくいためです。 書き出した条件と手順のうち、どれが自動化の候補になり、どこに承認と記録を残すかを整理できます。
よくある質問
指値の判断基準を書き出そうとしても、本人が「勘」としか説明できないときはどうするか
「基準は何か」と抽象的に聞くのではなく、実際に出した指値を並べ、「前回より安く出したのはなぜか」「この取引先だけ高めなのはなぜか」と違いを尋ねます。
比べる問いのほうが、本人も意識していなかった理由が出やすくなります。
過去の記録が乏しい場合は、これから出す指値で理由を書き留めるところから始めます。
それでも言葉にならない部分は、裁量として範囲を決め、承認と記録を置いて残します。
担当者が1人しかいない小さな部署では、権限の分担をどう置くか
判断・発注・確認の3つを別々の人に割り当てられない場合は、代行者を決めることと、発注の前か後に別の人が内容を見るダブルチェックを優先する方法があります。
代行者には「条件どおりの価格なら発注してよい」「条件から外れる指値は承認を得る、または保留する」といった範囲をあらかじめ伝えておきます。
承認者を誰にするかは、社内規程に沿って決めます。
指値の自動化は、どの程度の頻度・定型度なら検討に値するか
共通の線はありません。
同じ入力から毎回同じ結果が出る作業で、かつ繰り返しの多いものが候補になります。
いまその作業にかかっている計算や転記の手間と、仕組みを作って保守する手間を比べて判断します。
証券・FX系では、利用している証券会社や業者の仕様と社内規程を先に確かめる必要があります。
証券・FX系と購買・受発注系では、標準化の進め方がどう違うか
判断を条件と例外に分け、手順と権限を決めるという進め方は共通です。
違いが出るのは、判断の入力となる情報、判断から発注までの時間、承認の挟み方、自動化の手段です。
証券・FX系は相場の動きが速く、発注手段や自動化は利用先の仕様に左右されます。
購買・受発注系は発注前に承認を挟みやすい反面、取引先とのやり取りの情報が散らばりやすいため、情報の置き場所を決めることが重要になります。
引継ぎ後の指値の水準が人によってばらつくとき、何から見直すか
まず、差が出た指値について、そのときの条件と判断理由の記録を並べます。
条件の解釈が人によって違ったのか、例外の扱いが違ったのかで、直す場所が変わります。
解釈が分かれたなら条件の書き方を具体的にし、例外の扱いが分かれたなら裁量の範囲や承認の置き方を見直します。
理由の記録が欠けていて比べられない場合は、記録を残すところから整えます。