まずは卸売ECを小規模でスタートしたい方へ。リーズナブルなSaaS(ASP)版『EC-Rider Primo(プリモ)』誕生! 詳しくはこちら

オンライン受発注で多拠点の発注時間はどう変わる?実証データの読み方と導入判断

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 平均51.4%減は、企業間で受発注データを連携した実証12件(6業界)の平均で、多拠点に限った数字でも作業ごとの内訳でもない
  • 効果は、取引先が注文をデータで受け付けられるかと、自社が拠点ごとの従来のやり方を変えられるかで分かれる
  • 導入前に作成・送付・転記・確認・問い合わせ対応ごとに拠点と本部の時間を測ると、変わる作業と残る作業を見分けられる
  • 権限・条件付きの承認・商品と価格・納品先・取引先との受け渡し方を先に決めておくと、拠点ごとのばらつきから生じる確認を減らせる
  • 一斉・一部拠点から・見送りは、拠点と取引先のそろい方と測った結果から選ぶ

Top view of businessman typing on a laptop at a neat white desk with phone and papers.
▽ 写真の出典元

拠点ごとのばらつきが時間を奪う場面と、オンライン受発注で変わる範囲

店舗や支店ごとに発注の方法や締め時間が違い、本部で注文を集め直したり、取引先に届いたかを電話で確かめたりする時間がかさんでいませんか。
中小企業庁が紹介する受発注データ連携の実証(12プロジェクト・6業界)では、業務時間が平均51.4%減りました1。
ただし、これは多拠点に限った数字ではなく、どの作業が減ったかの内訳も示されていません。
また、1社だけで導入しても効果が出にくいとされています1。
まず自社の発注作業を工程に分けて時間を測ります。
次に取引先の受付方法を確かめ、そのうえで全拠点一斉か一部拠点からかを決めるのが現実的な道筋です。

発注の作業を5つに分けて見る

拠点の発注に時間がかかると感じるとき、その時間はひとかたまりではありません。
たとえば、ある店舗は前日の夕方にFAXで、別の店舗は当日の朝にExcelをメールで注文を送り、さらに別の支店は足りない品を電話で追加する、という状態を考えてみます。
本部の担当者は、形式の違う注文を集計表へ入れ直します。
取引先から受付の連絡があったかを見て、返事のない拠点や取引先へ電話もかけます。
そのあいだにも、拠点からは「昨日の注文は通っていますか」という問い合わせが届きます。
ここで使われている時間は、性質の違ういくつかの作業が積み重なったものです。

発注側の作業は、次の5つに分けると見通しがよくなります。

  • 作成:拠点の担当者が在庫や予定を見て品目と数量を決め、注文書やExcelに書き込む作業
  • 送付:FAX・メール・電話で取引先へ注文を届ける作業(締め時間に間に合わせる調整も含む)
  • 転記:拠点から届いた注文を、本部の集計表や社内のシステムへ入力し直す作業
  • 確認:取引先が受け付けたか、数量・品目・納品先に誤りや重複がないかを確かめる作業
  • 問い合わせ対応:注文が通ったか、いつ届くかといった拠点からの質問や、取引先からの照会に答える作業

オンライン受発注は、拠点が画面やデータで注文を入れ、それを取引先や本部が同じ形で受け取る仕組みです。
この仕組みがどこまで効くかは、作業ごとに違います。
作成では、品目と数量を決める判断そのものは残ります。
変わるのは書き込む先で、拠点ごとに違っていた注文書の様式を一つにそろえやすくなります。
送付は、FAXや電話からデータの送信に置き換わる部分です。
転記は、拠点が入れた注文を本部がそのまま集計に使えるなら、入れ直す作業そのものが要らなくなる方向に動きます。
確認と問い合わせ対応がどう変わるかは、受付の状況を拠点と本部が画面で見られるかどうかで分かれます。
状況が見えれば電話で確かめる場面は減ります。
見えなければ、手段が変わっただけで確認は残ります。

ここで気をつけたいのは、公的な実証で示されている削減の数字が、どの作業の時間を指しているかです。
次に取り上げる中小企業庁の実証は、業務時間の削減を全体の平均値で示しています。
作業ごとの内訳は記載されていません1。
そのため「転記がなくなる分でこれだけ減る」のように、平均の数字を工程に割り振って自社に当てはめることはできません。
自社のどの作業に時間がかかっているかは、自社の拠点で測ることになります。

自社の拠点で時間を測る

測る目的は、正確なストップウォッチの記録を残すことではありません。
どの作業に時間が偏っているかが分かれば、それを導入前に見分けられます。
見分けたいのは、オンライン受発注で減らせる作業が多いのか、仕組みを変えても減りにくい作業が多いのか、という点です。
導入後に効果を確かめるときも、同じ区分で測った導入前の記録がなければ比べる相手がありません。

記録は、拠点と本部で別々に取るのが基本です。
作成と送付は主に拠点の担当者の時間です。
転記と確認は本部の担当者の時間になりやすく、問い合わせ対応は両方にまたがります。
本部だけで測ると、拠点の担当者が注文書の書き方に迷ったり、FAXが届いたかを確かめたりしている時間が見えません。
逆に拠点だけで測ると、本部で集計し直す手間が抜け落ちます。
導入を決める人と、実際に操作する拠点の担当者が別の会社では、この抜け落ちがそのまま判断のずれになります。

記録を取る期間は、ふだんの週だけでは足りません。
月末や繁忙期の前など、注文が重なる時期も含めると、拠点ごとのばらつきの実態に近づきます。
粒度は、注文ごとに細かく書かなくても、作業区分ごとにその日の合計をつける程度でかまいません。
あわせて、どの取引先への注文だったかを残しておくと、取引先の受付方法と照らし合わせる材料になります。

集まった記録の読み方には、おおまかな見分け方があります。
転記と確認に時間が偏っているなら、注文の形式がばらばらなことが原因として考えられ、オンライン受発注で形式をそろえる効果が出やすい部分です。
作成に時間が偏っているなら、品目と数量を決める判断に手間がかかっているということです。
この場合は送り方を変えても大きくは減りません。
在庫の見方や発注の基準を見直すほうが先になります。
問い合わせ対応が多いなら、注文の状況を拠点が自分で見られるかどうかが鍵になります。
どれだけ減るかまでは、この見分け方からは言えません。
それでも自社の記録を当てはめると、導入に何を期待するのかを具体的にできます。

作業 主に誰の時間か 記録しておくこと
作成 拠点の担当者 注文書を書き終えるまでの時間・様式の違いで迷った場面
送付 拠点の担当者 送った手段・締め時間に追われた場面・送り直しの有無
転記 本部の担当者 入力し直した注文の量と時間・形式ごとの手間の違い
確認 本部の担当者 受付や誤りを確かめた回数と手段・見つかった誤りや重複
問い合わせ対応 拠点と本部の両方 誰から何を聞かれたか・答えるまでに調べたこと
発注側の作業5つの流れと変わりやすい点(模式図)
作成、送付、転記、確認、問い合わせ対応の順に並んだ発注の作業1作成様式をそろえやすい2送付FAXや電話からデータの送信へ3転記入れ直しが要らなくなる方向4確認受付の状況が見えるかで分かれる5問い合わせ対応状況が見えるかで分かれる

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 作成(様式をそろえやすい)
  2. 送付(FAXや電話からデータの送信へ)
  3. 転記(入れ直しが要らなくなる方向)
  4. 確認(受付の状況が見えるかで分かれる)
  5. 問い合わせ対応(状況が見えるかで分かれる)
時間が偏る作業ごとの見分け方(模式図)
転記と確認、作成、問い合わせ対応のどこに時間が偏るかで、考えられる原因と先に行うことが分かれる図転記と確認、作成、問い合わせ対応のどこに時間が偏るかで、考えられる原因と先に行うことが分かれる図転記と確認に偏る注文の形式がばらばらなことが原因として考えられる形式をそろえる効果が出やすい作成に偏る品目と数量を決める判断に手間がかかっている在庫の見方や発注の基準を見直すほうが先問い合わせ対応が多い注文の状況を拠点が自分で見られるかどうかが鍵

▼ 図の内容を文字で読む
  • 転記と確認に偏る
    • 注文の形式がばらばらなことが原因として考えられる
    • 形式をそろえる効果が出やすい
  • 作成に偏る
    • 品目と数量を決める判断に手間がかかっている
    • 在庫の見方や発注の基準を見直すほうが先
  • 問い合わせ対応が多い
    • 注文の状況を拠点が自分で見られるかどうかが鍵

「平均51.4%減」は何の数字か:実証の対象と読み方

実証の対象と業界

オンライン受発注の時間削減の目安として挙がる「平均51.4%減」は、中小企業庁が平成28年度補正で行った実証事業の結果です。
ミラサポplusの記事「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」で紹介されています。
実証は、ITベンダーの協力を得て選んだ12のプロジェクトで行われました。
対象の業界は自動車、水インフラ、農林水産、輸出、卸・小売、サービスの6つです1。
記事は結果を「平均して51.4%もの削減効果が得られました」と述べています1。

この実証で扱ったのは、発注側と受注側の企業のあいだで受発注のデータをつなぐ取り組みで、中小企業共通EDIと呼ばれる仕組みに関するものです。
EDIは、注文の内容を紙やFAXではなく、決まった形式のデータとして相手のシステムへ渡すやり方を指します。
受注側が注文を入力し直さずに受け取れるようにする、というのがデータ連携の考え方です。
拠点の担当者が画面から注文を入れるオンライン受発注も、注文をデータとして受け渡す点は同じです。
ただし、この実証は特定の製品やサービスの効果を測ったものではありません。

規模による違いについても記載があり、中小企業の削減率は大企業より高かったとされています1。
なぜそうなったかは効果が出る条件と関わるため、次の節で取り上げます。

この数字で言えること・言えないこと

51.4%は、企業間で受発注のデータを連携した実証で、業務時間が平均してどれだけ減ったかを示す数字です。
ここから言えるのは、注文のやり取りをデータに置き換える取り組みで業務時間が大きく減った例が、複数の業界にわたってあるということです。
一方で、この数字は多拠点の企業を対象に測ったものではなく、作業ごとの内訳も示されていません1。
平均値なので、個々のプロジェクトがどうだったかもこの数字からは分かりません。
実証は限られた期間と条件のもとで行われたもので、導入後に長く運用した結果を示すものでもありません。

社内で導入を説明するときにこの数字を使うなら、形を限って使うのが安全です。
「企業間で受発注データを連携した公的な実証では、業務時間が平均51.4%減った」という言い方に留めておきます。
自社の見込みとして同じ割合を掲げると、拠点の構成や取引先の状況が違うだけで、導入後に説明がずれます。
見込みは、前の節で測った作業ごとの時間を使い、どの作業がどう変わるかを積み上げて立てます。
そのほうが、決裁する人にも拠点の担当者にも根拠が伝わります。

多拠点の会社にとってこの数字をどう受け止めるかは、仕事の構造から考えられます。
拠点が増えるほど本部に届く注文の形式は増え、転記と確認の手間も重なりやすくなります。
オンライン受発注で減らせる作業を多く抱えている形だともいえます。
ただし、拠点の数によって削減の幅がどう変わるかを示す資料はないため、ここは見込みとして扱う部分です。

問い この数字から言えるか 根拠となる記載
企業間の受発注データ連携で業務時間は減ったか 言える 12プロジェクトの平均で51.4%減
多拠点の発注でも同じだけ減るか 言えない 多拠点を対象にした数字ではない
どの作業がどれだけ減ったか 言えない 全体の平均のみで作業ごとの記載がない
特定の製品を入れれば同じ効果か 言えない 実証事業の結果で製品の効果ではない
企業規模で違いはあったか 言える 中小企業の削減率が大企業より高かった
平均51.4%減の実証の範囲(中小企業庁の実証事業の整理)
実証の対象、取り組みの内容、数字に示されていないことを三つに分けた図実証の対象、取り組みの内容、数字に示されていないことを三つに分けた図実証の対象12のプロジェクト自動車・水インフラ・農林水産・輸出・卸・小売・サービスの6業界取り組みの内容企業間で受発注のデータをつなぐ取り組み中小企業共通EDIと呼ばれる仕組みに関するもの示されていないこと多拠点を対象に測った数字ではない作業ごとの内訳個々のプロジェクトの結果

▼ 図の内容を文字で読む
  • 実証の対象
    • 12のプロジェクト
    • 自動車・水インフラ・農林水産・輸出・卸・小売・サービスの6業界
  • 取り組みの内容
    • 企業間で受発注のデータをつなぐ取り組み
    • 中小企業共通EDIと呼ばれる仕組みに関するもの
  • 示されていないこと
    • 多拠点を対象に測った数字ではない
    • 作業ごとの内訳
    • 個々のプロジェクトの結果

効果が出やすい条件と出にくい条件:取引先の状況が分かれ目

1社だけでは効果が出にくい

実証を紹介した記事は、1社だけで導入しても効果は出にくいと述べています。
取引先の状況を考えたうえで、導入するかどうかを判断する必要があるとしています1。
受発注は、注文を送る側と受ける側がそろって初めて成り立つ作業です。
自社の拠点が画面から注文を入れても、取引先がFAXでしか受け付けていなければ、どこかで注文をFAXに戻して送る工程が残ります。
取引先が届いたFAXを自社のシステムへ入れ直していれば、入力の誤りを確かめる電話もこれまでどおり起きます。

多拠点の会社では、この条件が拠点ごとに違って現れます。
たとえば、本部に近い店舗の主な取引先は注文をデータで受け付けているのに、地方の支店が使う取引先は電話での注文が中心、という場合を考えてみます。
同じオンライン受発注を入れても、店舗では送付から受付の確認までが画面の上で済むようになります。
一方、支店では取引先へ送る手段は変わらず、変わるのは本部での集計と転記だけ、ということが起こりえます。
全社の平均で効果を見積もると、この差が見えなくなります。

表から分かるのは、取引先が注文をどう受け付けているかによって、自社の発注で何が変わるかが決まるということです。
そこで、時間を測ったときに残した取引先ごとに、受付の方法を一覧にしておくと判断が進みます。
取引先に聞いておきたいのは、次のような点です。
注文をデータで受け付けられるか、受け付けられるならどんな形式か、FAXや電話から切り替える考えがあるか。
多くの拠点が共通して注文を出していて、データで受け付けられる取引先から考えると、変わる作業の範囲を見積もりやすくなります。
なお、拠点の数や発注の頻度によって効果がどれだけ違うかを示す資料はありません。
この一覧は、効果の大きさを決めるものではなく、変わる作業と残る作業を見分けるための材料です。

既存の業務フローを変えやすいか

もう一つの条件は、自社の側が仕事の進め方を変えられるかどうかです。
実証では、中小企業は限られた期間でも既存の業務フローを変えやすく、取り組みやすかったとされています。
削減率も大企業より高い結果でした1。
仕組みを入れるだけで時間が減るのではありません。
仕組みに合わせて作業の流れを組み替えられたところで効果が出た、と読むことができます。

多拠点の会社で業務フローを変えるというのは、拠点ごとに続いてきたやり方をやめられるかどうか、ということです。
画面から注文を入れたあとも、念のためFAXを送る、取引先へ電話で念押しする、本部用のExcelにも書き写す、といった習慣が残れば、作業は減るどころか二重になります。
拠点ごとに違う締め時間や、拠点長の判断で通してきた臨時の注文も同じです。
新しい流れのどこで扱うのかを決めておかないと、結局は電話とメールに戻ります。

変えにくさの中身は会社によって違います。
紙の承認印が社内規程に残っている、取引先と拠点のあいだに個別の約束がある、操作に不安のある拠点がある、といった事情です。
どれも、導入前に扱い方を決めておけるものです。

取引先の受付状況 自社の発注で変わりうること 残りやすい作業
注文をデータで受け付けられる 送付・転記・受付の確認を画面やデータでまとめやすい 品目と数量の判断・例外的な注文の調整
これから対応の仕組みを用意する見込みがある 取引先の準備が整った時点で送付と確認が変わる 準備が整うまでの従来の方法との併用
FAX・電話でしか受け付けない 社内の集計と転記は減らせる余地がある 取引先への送付と受付の確認
拠点ごとに変わる範囲が違う例(本文の仮の例・模式図)
取引先がデータで受け付ける店舗、電話中心の支店、全社平均で見た場合の違いを並べた図取引先がデータで受け付ける店舗、電話中心の支店、全社平均で見た場合の違いを並べた図取引先がデータで受け付ける店舗送付から受付の確認までが画面の上で済む取引先が電話中心の支店取引先へ送る手段は変わらない変わるのは本部での集計と転記だけ全社の平均で見積もる場合拠点ごとの差が見えなくなる

▼ 図の内容を文字で読む
  • 取引先がデータで受け付ける店舗
    • 送付から受付の確認までが画面の上で済む
  • 取引先が電話中心の支店
    • 取引先へ送る手段は変わらない
    • 変わるのは本部での集計と転記だけ
  • 全社の平均で見積もる場合
    • 拠点ごとの差が見えなくなる

多拠点で運用する前に決めておくこと:権限・承認・商品と価格・取引先連携

権限と承認

拠点の注文がいったん本部を通る流れだった会社では、本部が注文をまとめる段階で自然と目を通していました。
オンライン受発注で拠点から取引先へ直接注文が届くようになると、その機会がなくなる場合があります。
そのため、誰がどの取引先のどの品目を注文できるのか、誰がそれを見られるのかを、導入前に決めておく必要があります。

役割は、注文を入れる人、注文を承認する人、注文を見て集計する人に分けて考えると整理しやすくなります。
一つの例として、拠点の担当者は入力、拠点の責任者や本部は承認、本部の管理部門は閲覧と集計、という分け方があります。
拠点が多いと、担当者の異動や休みのたびに権限を付け替える手間も生じます。
人ごとではなく役割ごとに権限を持たせられるかも見ておきたい点です。

承認は、入れ方を誤ると発注を遅らせます。
すべての注文に承認を求めると、承認者が不在のあいだ注文が止まり、締め時間に間に合わなくなるおそれがあります。
金額が大きい注文、ふだん扱わない品目、いつもと大きく違う数量など、条件に当たる注文だけを止め、それ以外はそのまま送る形にする方法があります。
こうすると、確認すべき注文に承認者の目を集められます。
こうした条件付きの承認ができるかどうかは製品によって異なるため、候補の公式資料で確かめてください。

締め時間も、この段階で決めておきたい事柄です。
取引先ごとの締め時間に合わせるのか、社内で一つにそろえるのかで、拠点の担当者がいつまでに注文を入れればよいかが変わります。
承認を入れる場合は、承認にかかる時間を見込んで、拠点の締めを取引先の締めより前に置く必要があります。

商品・価格・納品先の管理

拠点ごとのばらつきは、注文の送り方だけでなく、注文の中身にも表れます。
同じ品を店舗では商品名で、支店では型番で書く、ある拠点はケースで、別の拠点は個数で数える、といった違いがあると、注文をオンラインにしても本部や取引先での確認は残ります。
そこで、商品マスタ(各拠点が共通して使う品目の基本情報の登録)を用意する方法があります。
品目・単位・取引先の商品コードを一つにそろえ、拠点は一覧から選んで数量を入れる形にします。
こうすると、書き方の違いから生じる確認が減ります。

価格は、拠点によって取引条件が違う場合に注意が要ります。
決めておくのは、拠点ごとに単価が違うのか全社で同じなのか、条件が変わったときに誰がいつ登録を直すのか、という点です。
ここが曖昧だと、画面に表示される金額と請求の金額が食い違い、その照合に時間を取られます。
拠点ごとに扱える品目や価格を分けて表示できるかは製品によって違うため、候補を比べる際の確認項目になります。

納品先も同じ考え方です。
拠点ごとの住所や受け取りの条件を登録しておき、注文のたびに選ぶ形にします。
そうすれば、手書きや手入力による納品先の誤りと、その確認の電話を減らせます。
拠点の移転や臨時の納品先が生じたときに、誰が登録を変えるかも決めておきます。

取引先との連携方式と拠点への定着

取引先が注文をどう受け取るかには、いくつかの形があります。
取引先が画面で注文を見るのか、データとして自社のシステムへ取り込むのか、FAXでの出力を併用するのか、という違いです。
この違いによって、取引先の側に入力し直す作業が残るかどうかが変わります。
取引先の側で入力し直しが残れば、その誤りを確かめる電話も残り、自社の確認の手間にはね返ります。
取引先の一覧と照らして、取引先ごとにどの形で受け渡すかを決めておくと、拠点ごとに何が変わるかを担当者に説明できます。

拠点への定着は、導入を決める人と実際に操作する人が別であるほど、意識して進める必要があります。
操作の手順書は、製品の機能の順ではなく、拠点の担当者がふだん注文を入れる流れに沿ってまとめると使われやすくなります。
使い始めの時期は、本部が受付の状況を見て、注文が入っていない拠点に声をかけます。
そうすれば、拠点が従来の方法に戻る前に気づけます。
従来のFAXや電話をいつまで併用し、いつ終えるのかを先に決めて伝えておくことも欠かせません。
終わりの時点が決まっていないと、新旧の両方で注文が届き、重複を確かめる作業が増えます。

候補となるサービスを比べるときは、ここまでの事柄を公式資料や提供元への問い合わせで確かめていきます。

  • 権限を役割ごとに設定できるか
  • 承認を条件付きにできるか
  • 拠点ごとに品目・価格・納品先を分けて管理できるか
  • 取引先がどの形で注文を受け取れるか
  • 受付の状況を拠点と本部が見られるか
  • 拠点の担当者向けの操作の支援があるか

機能の有無や制約は、提供元ごとに異なります。
自社の運用でどう使うのかまで具体的に伝えて確かめると、導入後の食い違いを防ぎやすくなります。

運用前に決めておくことの四分野(模式図)
権限と承認、商品・価格・納品先、取引先との連携方式、拠点への定着の四分野で決める内容を分けた図権限と承認、商品・価格・納品先、取引先との連携方式、拠点への定着の四分野で決める内容を分けた図権限と承認注文を入れる人・承認する人・閲覧と集計をする人の分け方条件に当たる注文だけを止める承認締め時間商品・価格・納品先商品マスタで品目・単位・商品コードをそろえる拠点ごとの単価と登録を直す人納品先の登録と変更を行う人取引先との連携方式取引先が画面で見るか、データで取り込むか、FAXを併用するか拠点への定着拠点の担当者の流れに沿った手順書従来のFAXや電話を終える時点

▼ 図の内容を文字で読む
  • 権限と承認
    • 注文を入れる人・承認する人・閲覧と集計をする人の分け方
    • 条件に当たる注文だけを止める承認
    • 締め時間
  • 商品・価格・納品先
    • 商品マスタで品目・単位・商品コードをそろえる
    • 拠点ごとの単価と登録を直す人
    • 納品先の登録と変更を行う人
  • 取引先との連携方式
    • 取引先が画面で見るか、データで取り込むか、FAXを併用するか
  • 拠点への定着
    • 拠点の担当者の流れに沿った手順書
    • 従来のFAXや電話を終える時点

導入の負担と、全拠点一斉か一部拠点からかの選び方

確認できる負担の範囲

導入の負担については、実証を紹介した記事に次の記述があります。
受注側は、対応するプロバイダー(データのやり取りを仲立ちする事業者)と業務アプリを使えば、大きな費用はかからない。
発注側は、対応するプロバイダーと契約すれば、自社の独自システムを使い続けられる1。
これは中小企業共通EDIに対応した仕組みでの説明です。
一般のオンライン受発注サービスの料金や、導入にかかる期間を示したものではありません。

この記述が役立つのは、取引先に参加を頼む場面です。
先に見たとおり、効果は取引先がデータで受け付けられるかどうかに左右されます。
取引先にとって大きな費用がかからない選択肢があるかどうかは、相手に切り替えを持ちかけるときの判断材料になります。
また、発注側が自社のシステムを作り直さなくてもよい仕組みがあることは、社内の基幹システムとの関係を考える手がかりになります。
ただし、どちらもこの仕組みに沿った場合の話です。
候補のサービスで同じ条件になるかは、それぞれの提供元に確かめる必要があります。

一方、初期設定の手間、拠点の担当者が操作を覚えるまでの時間、従来の方法と並行して運用する期間の負担は、この記事には示されていません。
これらは、商品マスタをどこまで整えるか、承認をどう組むか、何拠点で始めるかといった自社の決め方で大きく変わります。
見積もるときは、最初に測った作業ごとの時間と、運用の前に決めた事柄を並べます。
そのうえで、導入の準備に誰の時間がどれだけ要るかを洗い出していきます。

一斉・一部拠点から・見送りの判断軸

進め方には、全拠点で一斉に切り替える、一部の拠点から始める、いまは見送る、という選択肢があります。
どれがうまくいくかを示す実績の資料はありません。
ここでは、測ったことと決めたことから進め方を選ぶための考え方を示します。

全拠点一斉が合うのは、次の条件がそろう場合です。
多くの拠点が同じ取引先へ同じ品目を発注している、その取引先が注文をデータで受け付けられる、拠点ごとの独自のやり方が少ない。
一度に切り替えれば、本部に届く注文の形式がすぐに一つにそろい、新旧の方法を並行して扱う期間も短くできます。
その代わり、操作の迷いや商品マスタの誤りといった問題が、全拠点で同時に表に出ます。
本部が問い合わせを受け止められる体制を用意しておく必要があります。

一部拠点からが合うのは、拠点ごとに取引先や手順が違う場合や、操作に不安のある拠点がある場合です。
最初の拠点は、転記と確認に時間がかかっていた拠点と、データで受け付けられる取引先の組み合わせから選ぶと、変化を確かめやすくなります。
始めたあとは、導入前と同じ区分で時間を記録し直し、どの作業が変わり、どの作業が残ったかを比べます。
この進め方では、本部が新旧両方の形式の注文を扱う期間が生じます。
次の拠点へ広げる時点をあらかじめ決めておくことが大切です。

見送りを考えてよいのは、次のような場合です。
一つは、主な取引先がFAXや電話でしか注文を受け付けず、切り替える見込みもない場合です。
もう一つは、測った結果、時間の大半が品目と数量を決める作業に使われていた場合です。
前者は、1社だけでは効果が出にくいという実証の指摘がそのまま当てはまる状況です。
後者は、送り方を変えても時間の使われ方が大きく変わらない状況です。
どちらの場合も、拠点ごとの注文書の様式や締め時間を社内でそろえることは、仕組みを入れなくても始められます。
のちに導入を考えるときの土台にもなります。

どの進め方を選ぶ場合でも、導入を決める人に示す材料は同じです。
作業ごとの時間、取引先ごとの受付の方法、権限や承認などの決め事、そして試した拠点があればその前後の記録です。
拠点の担当者がどこで迷ったかも、数字と同じくらい判断を左右します。
平均51.4%という数字は、こうした自社の材料を集める出発点として使うのが、実証の中身に沿った読み方です。

進め方ごとに合う条件と注意点(模式図)
全拠点一斉、一部拠点から、見送りの三つについて、合う条件と注意点を比べた図全拠点一斉、一部拠点から、見送りの三つについて、合う条件と注意点を比べた図全拠点一斉多くの拠点が同じ取引先へ同じ品目を発注している取引先が注文をデータで受け付けられる問題が全拠点で同時に表に出る一部拠点から拠点ごとに取引先や手順が違う、操作に不安のある拠点がある前後で同じ区分の時間を記録し直して比べる次の拠点へ広げる時点を決めておく見送り主な取引先がFAXや電話でしか受け付けない時間の大半が品目と数量を決める作業注文書の様式や締め時間をそろえることは始められる

▼ 図の内容を文字で読む
  • 全拠点一斉
    • 多くの拠点が同じ取引先へ同じ品目を発注している
    • 取引先が注文をデータで受け付けられる
    • 問題が全拠点で同時に表に出る
  • 一部拠点から
    • 拠点ごとに取引先や手順が違う、操作に不安のある拠点がある
    • 前後で同じ区分の時間を記録し直して比べる
    • 次の拠点へ広げる時点を決めておく
  • 見送り
    • 主な取引先がFAXや電話でしか受け付けない
    • 時間の大半が品目と数量を決める作業
    • 注文書の様式や締め時間をそろえることは始められる

作業ごとの時間と取引先ごとの受付方法を並べても、拠点ごとの事情が重なり、どこから手を付けるかを社内だけでは決めきれないことがあります。

測った記録と取引先の一覧をもとに、オンライン受発注で変わりうる作業と残る作業の切り分けや、最初に試す拠点の候補を一緒に確かめられます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
平均51.4%の読み方 企業間の受発注データ連携の実証12件の平均で、多拠点に限った数字でも作業ごとの内訳でもない
効果の分かれ目 取引先がデータで受け付けられるか、自社が従来のやり方を変えられるか
導入前に測ること 作成・送付・転記・確認・問い合わせ対応ごとの時間と、それが拠点と本部のどちらの時間か
導入前に決めること 権限・承認の条件・締め時間・商品と価格・納品先・取引先との受け渡し方・従来の方法を終える時点
進め方の選び方 拠点と取引先のそろい方、測った結果をもとに、一斉・一部拠点から・見送りを選ぶ

権限や承認、商品マスタ、従来の方法を終える時点など決める事柄が多く、それを拠点の担当者と決裁する人の両方に通じる形にまとめるのは手間がかかります。 自社の運用の決め事を整理し、候補のサービスに確かめるべき点を具体的にする相談ができます。

BtoB通販システムのご相談

貴社の商習慣に合わせたご提案をいたします。

無料相談はこちら

よくある質問

拠点ごとに取引先が違う場合、オンライン受発注はどこから始めるのがよいですか。

拠点ごとに取引先の一覧と受付の方法を並べてみるのが出発点です。
注文をデータで受け付けられる取引先に、転記や確認に時間がかかっている拠点が多く発注している組み合わせから考えるのが一つの方法です。
実証でも、1社だけの導入では効果が出にくく、取引先の状況を見て判断する必要があるとされています1。
受付の方法が拠点によってばらばらなら、一部拠点からの導入が合いやすくなります。

取引先がFAXや電話しか受け付けない場合、導入効果はどうなりますか。

取引先へ注文を送る作業と受付の確認は、これまでどおり残ります。
社内で拠点の注文を同じ形式で集められるようになれば、本部での転記や集計は減らせる余地があります。
ただし、企業間の連携による効果は期待しにくくなります1。
取引先に切り替える考えがあるか、大きな費用をかけずに参加できる仕組みがあるかを確かめたうえで判断します。

拠点の担当者が操作に慣れていない場合、どう定着させればよいですか。

操作の手順を、拠点がふだん注文を入れる流れに沿って短くまとめます。
使い始めの時期は、本部が受付の状況を見て、注文が入っていない拠点に声をかける方法があります。
商品を一覧から選ぶ形にして書き込む項目を減らすと、迷う場面も減ります。
従来のFAXや電話を併用する期間の終わりを先に決めておくと、新旧の両方で注文が届く状態を長引かせずに済みます。

オンライン受発注の導入前に、発注作業の時間をどう測ればよいですか。

注文の作業を、作成・送付・転記・確認・問い合わせ対応に分け、拠点と本部がそれぞれ自分の時間を記録します。
目的はどの作業に時間が偏っているかを知ることなので、正確に計らなくても、作業ごとにその日の合計を残す程度でかまいません。
どの取引先への注文だったか、誤りや重複が見つかったかも残しておきます。
そうすると、取引先の状況と照らし合わせたり、導入後に同じ区分で比べたりできます。

承認フローを入れると、かえって発注が遅くなりませんか。

すべての注文に承認を求めると、承認者が不在のあいだに注文が止まり、遅くなるおそれがあります。
金額が大きい注文やふだん扱わない品目など、条件に当たる注文だけを承認に回す方法があります。
承認にかかる時間を見込んで拠点の締めを決めておけば、遅れを抑えながら確認すべき注文に目を向けられます。
条件付きの承認ができるかは製品によって異なるため、候補の公式資料で確かめてください。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

> プロフィールの詳細を見る

  1. 1 出典:中小企業庁(ミラサポplus掲載)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(2020年)

画像の出典元

  1. Top view of businessman typing on a laptop at a neat white desk with phone and papers./Photo by Yan Krukau on Pexels

Photos provided by Pexels

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

記事内容に関するお問い合わせ:お問い合わせフォーム

BtoB EC(受発注)サイト構築システム「EC-Rider B2B Ⅱ」への
各種お問い合わせ

ページTOPへ戻る
無料相談を予約 お見積
平日10:00~18:00
page
top