◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 納品書の方式は先に決めず、取引先の受け取り方、発行件数、請求処理とのつなぎ方を確かめてから選ぶ。
- 転記・送付・控えの保管・訂正の4工程で今の手間を数えると、直す対象が入力・送付・保管のどれかに絞れる。
- メールやEDIでの授受は電子取引にあたり、データのまま真実性と検索機能を確保した保存が求められる。納品書の扱いは税理士または税務署に確認する。
- 元データを一本化し、取引先を絞った新旧並行で請求の締めを確かめてから対象を広げる。
- 訂正では元の納品書を消さず、訂正版を別に出して経過を残し、元データも同時に直す。
目次

納品書の作業を変える前に確かめること:出す必要と他の書類との分担
出荷が重なる日に、Excelで納品書を作り、印刷して封入し、控えをファイルに綴じる。
その作業に追われていると、電子化やシステムを入れれば片づくように思えます。
ただ、方式を先に決めると、取引先が受け取れない、請求書と金額が合わないといった別の手間が出やすくなります。
先に確かめたいのは、取引先ごとの受け取り方、月の発行件数、請求処理とのつなぎ方です。
方式はそのうえで選びます。
メールやEDIで送るなら、取引データの保存の準備も同時に必要です。
納品書がその保存の対象にあたるかどうかは、税理士または税務署に確かめてから切り替えます。
納品書・請求書・受領書の役割の違い
納品書は、何を、いつ、どれだけ納めたかを、納めた側が相手に伝える書類です。
請求書は代金の支払いを求める書類で、締め日までの複数の納品分をまとめて出す運用もあります。
受領書は、受け取った側が受け取ったことを示すために返すものです。
同じ品名や数量が並ぶため似て見えますが、出す人と目的が違います。
この分担を先に確かめるのは、手間の正体が書類ごとに違うからです。
たとえば、納品書と請求書を別々のExcelで作り、同じ品名と数量を二度打ち込んでいるとします。
この場合、負担の中心は書類の枚数ではなく転記です。
反対に、取引先が届いた品物と納品書を突き合わせて検収しているなら、納品書の品名や数量の書き方は自社の都合だけでは変えられません。
どの書類を誰が何に使っているかが分かると、減らせる作業と残す作業の境目が見えてきます。
発行の要否を決める3つの確認先(契約・取引先の要求・保存)
納品書を出すかどうかは、「法律で決まっているか」だけを手掛かりにすると判断しにくい書類です。
自社の取引で必要かどうかは、次の三つから確かめると答えが出やすくなります。
- 契約:基本契約書や取引条件書に、納品書の添付、記載事項、送付方法の定めがあるか。
- 取引先の要求:取引先が検収や支払処理に納品書を使っているか、指定の書式や送付先があるか。
- 保存:控えをどれだけの期間、どの形で持っておく必要があるか。
保存については、国税庁が法人の帳簿書類の保存を説明しています。
法人は帳簿と、取引に関して作成または受領した書類を、事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存し、欠損金が生じた事業年度などは10年になります2。
書類の例として挙がっているのは棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などで、納品書の名前は例示にありません2。
そのため、納品書の控えがこの保存の対象にどう含まれるかは、顧問の税理士または税務署に確かめておく必要があります。
確認がつくまでは、注文書や請求書の控えと同じ期間・同じ場所で保管しておく方法があります。
そうしておけば、後から納品書だけを区別して扱う判断をしなくて済みます。
また、三つを確かめた結果、契約にも取引先の要求にも定めがなく、取引先も使っていない納品書を慣習で出し続けていると分かることもあります。
その場合は方式を選ぶ前に、出し方そのものを取引先と話し合う余地があります。
| 書類 | 出す人 | 伝える内容 | 方式を変えるときに見る点 |
|---|---|---|---|
| 納品書 | 納めた側 | 何をいつどれだけ納めたか | 取引先が検収で照合しているか |
| 請求書 | 納めた側 | 代金の支払いを求める内容 | 納品分の金額と一致するか |
| 受領書 | 受け取った側 | 受け取ったこと | 自社が回収して保管しているか |
▼ 図の内容を文字で読む
- 契約
- 納品書の添付の定め
- 記載事項と送付方法の定め
- 取引先の要求
- 検収や支払処理に使っているか
- 指定の書式や送付先があるか
- 保存
- 控えを持つ期間
- 控えを持つ形
今の納品書の発行方法のどこで手間と間違いが起きているかを棚卸しする
転記・送付・控えの保管・訂正の4工程で確かめる
方式を比べる前に、今の発行の流れを工程ごとに分けておきます。
受注から納品書を渡し終えるまでを、転記、送付、控えの保管、訂正の4つに分けると、どこに時間がかかっているかを数えやすくなります。
転記では、受注の内容が納品書に届くまでに何回打ち直されているかを数えます。
受注メールを見て出荷指示書を書き、同じ内容をExcelの納品書テンプレートへ入れ、月末に請求書のファイルへもう一度入れているなら、同じ品名と数量を3回入力していることになります。
入力の回数が、そのまま打ち間違いの機会の数です。
送付では、印刷、押印、封入、郵送、またはPDF化とメール送信のどれにどれだけ手を取られているかを見ます。
控えの保管では、置き場所が紙のファイルなのか共有フォルダなのか、問い合わせを受けたときに目当ての1枚を探し出すまでどれくらいかかるかを確かめます。
訂正では、再発行がどれくらいの頻度で起き、原因が数量の変更なのか、単価の誤りなのか、宛先の違いなのかを書き出します。
数えるのは直近1か月分程度でもかまいません。
件数や回数を並べると、「何となく大変」だった作業が、どの工程の何回分の負担なのかに置き換わります。
請求書との金額不一致が出る場所
納品書と請求書の金額が食い違いやすいのは、納品書を出した後に取引の内容が変わる場面です。
次のような変更が片方の書類にしか反映されないと、締めの段階でずれが表に出ます。
- 分納や追加納品で、納品書が複数枚に分かれた
- 返品や数量の訂正を、納品書だけ、または請求書だけで直した
- 単価の改定を、どの納品分から適用するかが決まっていなかった
- 送料や値引きを、納品書と請求書で別々に書いた
食い違いを見つけたとき、差額の大きさから原因を決めつけないことも大切です。
差額がちょうど1個分の単価に見えても、数量の誤りとは限らず、単価の改定と返品が重なっていることもあります。
納品書の明細、請求書の明細、受注の記録を行ごとに突き合わせ、どこで値が変わったかを確かめます。
棚卸しの結果から、直す対象が絞れます。
転記の回数と食い違いが多いなら、入力の元をそろえることが先です。
印刷と郵送に時間を取られているなら、送り方の見直しが効きます。
控えを探す時間が長いなら、保管の仕組みを変えることになります。
次に方式を比べるときも、この結果を手元に置いておくと、どの方式がどの工程に効くのかを自社の数字で考えられます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 転記
- 受注の内容を打ち直す回数
- 送付
- 印刷・押印・封入・郵送
- PDF化とメール送信
- 控えの保管
- 置き場所
- 目当ての1枚を探し出す時間
- 訂正
- 再発行の頻度
- 原因(数量・単価・宛先)
納品書を紙・電子ファイル・システム連携のどれで出すか:取引先の受け取り方で選ぶ
手間・受け取り形式・保存管理・請求処理との接続で比べる
ここでいう電子ファイルは、納品書をPDFなどで作り、メールなどで送る方法です。
システム連携は、受発注のデータを取引先とEDIなどでやり取りする方法を指します。
EDIは、企業間で受発注などの取引データを決まった形式で電子的に交換する仕組みです。
3つの方式を、作成と送付の手間、取引先が受け取れる形式、保存と管理、請求処理との接続の4つの観点で並べると、次のようになります。
表の中で判断が分かれるのは、取引先の受け取り形式の行です。
紙なら、今紙で受け取っている取引先にはそのまま届きます。
電子ファイルやシステム連携は相手が受け取れることが前提になり、自社の都合だけでは切り替えられません。
中小企業庁のミラサポplusも、EDIは1社だけが導入しても効果を得られず、取引先の状況や環境を考慮して導入の要否を判断する必要があるとしています1。
同じ記事は、2016年度補正の実証事業として行われた12の実証プロジェクトで、中小企業の受発注業務の時間が平均51.4%削減されたことを紹介しています1。
ただし、これは取引先とデータでつながったうえでの、受発注業務全体の結果です。
自社だけが納品書をPDFに変えた場合の削減の見込みとしては読めません。
むしろ、相手とつながって初めて出た数字だという点が、取引先の受け取り方を先に確かめる理由になります。
取引先の対応状況について、同じ記事は日本公庫総研の調査を引き、2018年の中小商業・サービス業で「電子文書での商取引や受発注情報管理」の導入率が18.5%だったと紹介しています1。
現在の割合を示す数字ではありません。
それでも、取引先が電子で受け取れることを当然の前提にせず、一社ずつ確かめる必要があることは、この数字からも読み取れます。
請求処理との接続の行は、棚卸しで転記が多かった会社ほど重みが増します。
電子ファイルに変えても、Excelで作ってPDFにする流れのままなら、請求書を作るときの打ち直しは残ります。
送付の手間が減ることと、転記が減ることは別の話です。
取引先ごとに方式を分ける考え方
方式は、全取引先で一つにそろえなくてもかまいません。
たとえば、納品件数の多い取引先AがEDIでの受け取りを求めていて、取引先Bはメールで届くPDFで構わず、年に数回しか取引のない取引先Cは紙の納品書を検収に使っているとします。
この場合、Aにはシステム連携、Bには電子ファイル、Cには紙と分ける方が、どの取引先にも無理を強いずに済みます。
分けるときは、取引先の一覧に「送付方式」「送付先」「控えの保存場所」の欄を設けておくと、担当者が替わっても迷いません。
どの取引先に件数が集まっているかも同じ一覧で見られるので、手間の大きい取引先から順に切り替える計画も立てやすくなります。
一方で、方式が混ざると控えが紙とデータに分かれます。
紙で渡した分は紙の控え、データで送った分はデータの控えというように、送った形と控えの形を対応させて管理することが、混在させるときの前提です。
データで送った分の保存には、次に説明する準備が加わります。
| 観点 | 紙 | 電子ファイル | システム連携 |
|---|---|---|---|
| 作成と送付の手間 | 印刷・封入・郵送が件数分残る | 郵送はなくなるが作成と送信の操作は残る | 受注データから作れる構成なら転記が減る |
| 取引先の受け取り形式 | 紙で受け取る取引先にそのまま届く | 取引先がメールでの受け取りに応じるかによる | 取引先が同じ仕組みに対応している必要がある |
| 保存と管理 | 紙の控えをファイルで保管する | 送ったデータの保存の仕組みを用意する | システム側で保存の要件に合うかを確かめる |
| 請求処理との接続 | 請求書作成時に打ち直しが起きやすい | Excelで作る流れのままなら打ち直しは残る | 同じ元データから請求まで出せれば突き合わせが減る |
▼ 図の内容を文字で読む
- システム連携
- 取引先A:納品件数が多くEDIでの受け取りを求めている
- 電子ファイル
- 取引先B:メールで届くPDFで構わない
- 紙
- 取引先C:年に数回の取引で紙の納品書を検収に使っている
納品書を電子で送る前に決めておくこと:保存の扱いと取引先との取り決め
電子取引にあたる送り方
取引先Bのように、PDFをメールで送ることにした場合、変わるのは送付の作業だけではありません。
国税庁の電子帳簿保存法の制度概要では、注文書や領収書などに通常記載される事項(取引情報)を電磁的方式で授受する取引を電子取引とし、所得税・法人税の保存義務者はその保存が必要だとしています3。
電子取引の例として挙げられているのは、EDI取引や電子メールによる取引などです3。
授受という言葉には、受け取ることだけでなく渡すことも含まれます。
そのため、メールで送った納品書のPDFについても、送った側の控えとしてどう保存するかが問われます。
ただし、制度概要の例示に納品書の名前は出てきません。
納品書がこの取引情報にあたるかどうか、自社の納品書の記載内容でどう扱われるかは、切り替える前に税理士または税務署へ確かめておきます。
この確認は、方式を選んだ後の作業ではなく、選ぶ判断の一部です。
電子で送るなら保存の準備も同時に必要になるため、送付の手間が減る分と、保存の仕組みを整える手間を合わせて比べることになります。
真実性・検索機能の確保の考え方
電子取引のデータはデータのまま保存し、真実性と検索機能を確保することが求められます3。
真実性とは、保存したデータが後から書き換えられていないと示せることです。
その方法として、タイムスタンプを付ける、訂正や削除の履歴が残るシステムを使う、訂正や削除ができないシステムを使うといった例が挙げられています3。
タイムスタンプは、ある時刻にそのデータが存在し、それ以降変更されていないことを示す電子的な印です。
実務に置き換えると、誰でも上書きできる共有フォルダにPDFを置いただけでは、後から差し替えられていないことを示しにくいということです。
検索機能は、保存したデータの中から目当ての取引を探し出せる状態を指します。
棚卸しで「控えを探すのに時間がかかる」と分かった会社にとっては、保存の仕組みを整えることが、探す手間の見直しにもつながります。
どの項目で検索できればよいかといった細かな要件の当てはめは、保存の扱いを確かめるときに一緒に聞いておくと二度手間になりません。
取引先と事前に合わせる項目
受け取る側にとっては、紙が届かなくなることで検収や支払処理の流れが変わります。
切り替えの前に、次の項目を取引先の担当者と合わせておきます。
- 送付先のメールアドレス(担当者の異動や不在のときの宛先も含む)
- ファイルの形式(PDFか、取引先が指定する形式か)
- ファイル名の付け方(納品日・納品書番号・取引先名など)
- 送るタイミング(出荷時か、納品完了後か)
- 紙を併せて送る期間が必要か
- 訂正版を送るときの知らせ方と、元の納品書の扱い
決めた内容は、口頭ではなくメールや書面で残しておきます。
取引先の担当者が替わった後に「紙で届くはずの納品書が来ない」と問い合わせを受けても、いつ何を決めたかで答えられるからです。
▼ 図の内容を文字で読む
- 保存の扱いの確認
- 納品書の扱いを税理士または税務署に確かめる
- 真実性と検索機能の確保
- タイムスタンプや訂正・削除の履歴が残るシステム
- 目当ての取引を探し出せる状態
- 取引先との取り決め
- 送付先・ファイルの形式・ファイル名
- 送るタイミングと紙を併せて送る期間
- 訂正版の知らせ方
- 決めた内容をメールや書面で残す
切り替え前に整える:請求・在庫・出荷と納品書の元データをそろえ、移行の手順を決める
元データの一本化
棚卸しで転記の多さが分かった場合、方式を変える前に手を付けたいのが元データです。
納品書の品名・数量・単価・取引先コードが、出荷の記録、在庫の引き当て、請求書と同じ一つの記録から出る状態にしておきます。
そうすれば、受注メールから納品書へ、納品書から請求書へという打ち直しが減ると考えられます。
減るのは転記の回数で、確認がなくなるわけではありません。
納品後に数量が変わったとき、その変更を元の記録に戻さずに納品書だけ直すと、請求書には古い数量が残ります。
単価を改定したときも、どの納品分から新しい単価を使うかを元の記録で決めておかないと、同じ食い違いが起きます。
元データをそろえることは、変更を一箇所で直すという約束を社内で守ることとセットです。
紙で出す取引先が残る場合も、元データをそろえる意味は変わりません。
印刷する元が同じ記録なら、紙で渡す分と電子で送る分の金額が一致します。
方式が混ざっても、請求の締めで突き合わせる手間が増えにくくなります。
新旧並行の試行期間
元データと取り決めが整っても、すべての取引先を一度に切り替えるのは避けた方が無難です。
取引先の状況を考慮して導入の要否を判断するという考え方1は、移行の順番を決めるときにも当てはまります。
切り替えに前向きで、ある程度の件数がある取引先を数社選び、新しい方式と従来の方式を並行して出す期間を置きます。
並行期間は、少なくとも請求の締めを1回またぐように設定すると、納品書と請求書の金額がずれないかを実際の締め処理で確かめられます。
あわせて、取引先がPDFを受け取れているか、ファイル名で探せているかも聞いておきます。
食い違いや問い合わせがないことを確かめてから対象を広げ、旧方式をいつ止めるかを取引先に伝えます。
途中で問題が出ても、旧方式が残っているので取引先への納品書は止まらず、原因を落ち着いて調べられます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 前向きな取引先を数社選ぶ
- 新旧の納品書を並行して出す
- 請求の締めで金額の一致を確かめる
- 取引先の受け取り状況を聞く
- 対象を広げ旧方式を止める時期を伝える
導入後に取引先から納品書の修正依頼や形式の要望が来たときの対応
訂正版を別に出す運用
切り替えた後も、数量の変更や宛名の誤りで、送付済みの納品書を直してほしいという依頼は来ます。
このとき、送った納品書のファイルを上書きして送り直す方法は避けます。
電子取引の保存では、訂正や削除の履歴が残る、または訂正や削除ができない仕組みが、真実性を確保する方法の例とされています3。
元の納品書を消してしまうと、いつ何を送ったのかを後から示せなくなります。
そこで、元の納品書は残したまま、訂正版を別に出します。
訂正版には元の納品書番号に枝番を付けるなどして元との関係が分かるようにし、訂正の理由と訂正した日を書き添えます。
取引先には、訂正版を送ったことと、元の納品書をどう扱ってほしいかを一緒に伝えます。
この運用は取引の経過を残すうえで役に立ちますが、保存の要件を満たすかどうかの判断は、納品書の扱いについての税理士等への確認が前提です。
訂正は元データの側でも行います。
訂正版の納品書だけを作り直して元の記録を直さなければ、請求書には訂正前の数量が残ります。
切り替え前に決めた、変更を一箇所で直すという約束がここでも効いてきます。
形式変更の要望の受け方
取引先から、自社指定の書式で出してほしい、EDIに切り替えてほしいといった要望が来ることもあります。
受けるかどうかは、その取引先との件数、ほかの取引先にも同じ対応が広がりそうか、元データから求められる形で出力できるかで考えます。
件数が多く、元データから指定の書式を出せるなら、受けることで相手の検収が進めやすくなり、問い合わせが減ることもあります。
件数が少なく、手作業で書式を作り直すことになるなら、個別対応の負担が残ります。
EDIへの切り替えを求められた場合は、相手から求められたこと自体が、取引先の状況を踏まえた判断の材料になります。
そのうえで、自社の元データや請求処理とどうつなぐか、ほかの取引先の方式とどう並べて管理するかを考えます。
決めた内容は取り決めの見直しとして、取引先の一覧に記録します。
要望を受けるたびに一覧を更新しておけば、次に方式を見直すとき、どの取引先がなぜその方式なのかをすぐにたどれます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 訂正の依頼を受ける
- 元データを直す
- 枝番・訂正理由・訂正日を付けた訂正版を出す
- 取引先へ元の納品書の扱いを伝える
- 元の納品書と訂正版を保存する
取引先ごとの受け取り方と、社内の転記・送付・保管の手間を並べると、どの工程から変えるべきかを自社だけで決めきれないことがあります。
今の発行手順と取引先ごとの送付方式を並べ、どこから見直すと転記や送付の負担が減りそうかを一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 発行の要否 | 契約・取引先の要求・保存の三つから確かめる |
| 控えの保存期間 | 法人は原則7年(欠損金の事業年度などは10年)。納品書の扱いは税理士等に確認 |
| 方式の選び方 | 取引先ごとの受け取り形式、発行件数、請求処理とのつなぎ方で決める |
| 電子で送る前 | 保存の扱いを確かめ、真実性と検索機能を確保する仕組みと取引先との取り決めを用意する |
| 切り替えの進め方 | 元データをそろえ、取引先を絞った新旧並行で請求の締めを確かめてから広げる |
| 訂正 | 元の納品書を消さず、訂正版を別に出して経過を残す |
電子で送る取引先と紙を続ける取引先が混ざると、元データのそろえ方と移行の順番を決める段階で迷いが出やすくなります。 元データでそろえる項目と、並行試行に向く取引先の選び方を、自社の取引に当てはめて確かめられます。
よくある質問
取引先がメールでのPDF納品書を受け付けない場合、どう対応すればよいですか。
その取引先には紙での発行を続け、ほかの取引先と方式を分けるのが現実的です。
方式を全社で一つにそろえる必要はありません。
取引先の一覧に送付方式の欄を設け、紙で渡す分は紙の控えとして保管すると、混在しても管理が崩れにくくなります。
納品書の控えは紙とデータのどちらで持つべきですか。
送った形に合わせるのが基本です。
紙で渡した分は紙の控えを保管します。
メールやEDIで送った取引情報は電子取引にあたり、データのまま、真実性と検索機能を確保して保存することが求められます3。
そのため、送ったPDFを印刷して綴じるだけの運用では足りない可能性があります。
納品書がこの対象にあたるかは、税理士または税務署に確かめてください。
納品書と請求書を1枚にまとめることはできますか。
まとめた書式が使えるかは、取引先の検収と支払処理の流れに合うかで決まります。
取引先が納品の都度の検収と月ごとの支払いを別の書類で処理しているなら、1枚にすると相手の作業が増えることがあります。
まとめる前に取引先へ受け付けられるかを確かめ、請求書として必要な記載の扱いは税理士に確認しておくと安心です。
訂正が出たとき、送付済みの納品書はどう差し替えればよいですか。
元の納品書を上書きや削除で消さず、訂正版を別に出します。
元の番号に枝番を付け、訂正の理由と日付を書き添え、取引先には元の納品書の扱いを一緒に伝えます。
あわせて元データも直し、請求書に訂正前の数量が残らないようにします。
件数が少ない取引先は紙のままでも問題ありませんか。
取引先が紙での受け取りを望み、契約にも別の定めがないなら、紙を続ける運用は成り立ちます。
件数の少ない取引先まで無理に切り替えるより、件数の多い取引先から見直す方が手間の削減につながりやすいためです。
紙の分も同じ元データから印刷すれば、請求との食い違いは増えにくくなります。
- 1 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(2018年)
- 2 出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存(法人税)」(2026年確認)
- 3 出典:国税庁「電子帳簿保存法 電子取引(制度概要)」(2026年確認)