◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 取引先との1対1のチャットでの送受信は通数に数えられず、注文を受けて返信するだけなら月額0円のコミュニケーションプランから始められる。
- 月額が動くのは、一斉配信で通数が無料分を超えるとき、チャットProオプション(税別月3,000円)を付けるとき、外部の仕組みをつなぐときの3つ。
- チャットだけで足りなくなる点は、タグ・ノート・履歴の上限と、受けた注文の転記や集計の手間として現れる。
- 連携ツールや専用システムは見積もり次第で、課金の軸、基幹システムへの取り込み、LINE側の通数をそろえて比べる。
- 取引先1〜2社と無料プランで試し、転記の手間とタグ・ノート・履歴の不足から、続ける・チャットPro・外部の見積もり・やめるを判断する。
目次

取引先から「LINEで注文したい」と言われたとき、月額に入るのは何か
電話やFAXで受けてきた注文について、取引先から「これからはLINEで送りたい」と言われた。
LINE受発注の導入費用が月額いくらになるのか分からないままでは、返事も社内での相談もしにくいものです。
LINE公式アカウントでは、取引先との1対1のチャットの送受信や自動応答は、無料メッセージの通数に数えられません1。
そのため、注文を受けて返信するだけなら、月額0円のコミュニケーションプランから始められます1。
月額が動くのは、取引先へ一斉に配信するとき、チャットProオプション(税別月3,000円)を付けるとき、外部の仕組みをつなぐときです1。
LINE公式アカウントの3つのプランと月額
取引先のLINEから届く注文を受ける窓口は、自社で開設するLINE公式アカウントです。
料金プランは3つあります。
月額のほかに、毎月含まれる無料メッセージの通数と、通数を使い切ったあとに追加で送れるかどうかが異なります1。
- コミュニケーションプラン:月額0円、無料メッセージ200通、追加メッセージは不可
- ライトプラン:月額5,000円(税別)、無料メッセージ5,000通、追加メッセージは不可
- スタンダードプラン:月額15,000円(税別)、無料メッセージ30,000通、超えた分は1通あたり税別約3円で追加できる
金額は2026年時点の料金ページの表示です1。
プランの名前や金額は改定されることがあるため、申し込む時点の表示が基準になります。
並べてみると、月額の差はそのまま無料メッセージの通数の差になっています。
つまりプランを選ぶときに考えるのは、注文の件数ではありません。
考えるべきなのは、自社から何通のメッセージを送るのか、そしてその通数がどう数えられるのかです。
通数に数えられるもの・数えられないもの
通数は「メッセージを送った回数×送った友だちの数」で数えます1。
友だちとは、自社のLINE公式アカウントを追加してくれた相手のことです。
受発注では、注文を送ってくる取引先の担当者がこれにあたります。
たとえば友だち40人に案内を1回送れば40通、同じ案内を月に2回送れば80通です。
ただし、すべての送信が数えられるわけではありません。
料金ページでは、数えるものと数えないものが次のように分かれています1。
- 数えない:LINEチャットでの送受信、自動応答メッセージ、あいさつメッセージ、Reply API
- 数える:管理画面からの通常の配信、Push API・Multicast API・Broadcast API・Narrowcast API
LINEチャットは、管理画面で相手と1対1のやり取りをする機能です。
配信は、友だち全員や条件で絞った相手へ同じ内容を一斉に送る使い方です。
APIは、外部の仕組みからLINEにメッセージを送らせるための入口で、どのAPIを使うかによって通数に入るかどうかが分かれます。
APIは外部の仕組みをつなぐときに関わる話です。
チャットだけで受注する段階では、チャットは数えない、配信は数える、と押さえておけば足ります。
受注を受けるだけなら通数は主因にならない
受注の場面に当てはめてみます。
取引先が朝にLINEで「〇〇を10ケース、明日納品で」と送り、自社の担当者がチャットで「承りました」と返したとします。
このやり取りは、届く注文も返信も、LINEチャットの送受信です。
何十件になっても通数には数えられません1。
注文が増えるほど追加料金がかかるように思えますが、取引先とのやり取りをチャットで完結させている限り、注文件数は月額を押し上げる理由になりにくいのです。
通数が動き始めるのは、自社から一斉に案内を送るときです。
年末年始の休業日、価格改定、締め時刻の変更などを取引先全員に知らせたい場面がこれにあたります。
友だちが80人で月に2回配信すれば160通となり、コミュニケーションプランの200通に収まります。
同じ80人に月3回送ると240通になります。
コミュニケーションプランは追加メッセージを送れないため、200通を超える分は送れません1。
配信をこの規模で続けるなら、ライトプランへ上げる判断になります。
見落としやすいのは、取引先以外の友だちです。
店舗のお客様向けに使っているアカウントをそのまま受注にも使うと、全員への配信では、受発注と関係のない友だちの数まで通数に入ります。
取引先専用のアカウントを分けるか、配信の相手を絞るかで、同じ案内でも使う通数は大きく変わります。
費用が動く3つの場面
ここまでをまとめると、LINEで受注を始めたあとに月額が動く場面は、次の3つに分かれます。
- 配信を使う:通数が無料分を超えるなら、ライトプラン(税別月5,000円)やスタンダードプラン(税別月15,000円)へ上げる
- チャットの管理を広げる:履歴の保存期間やタグ・ノートの上限を増やすチャットProオプション(税別月3,000円)を付ける
- 外部の仕組みをつなぐ:連携ツールや受発注の専用システムの費用が、LINEの料金とは別にかかる
1つ目は自社が配信をどれだけ使うかで決まり、受注そのものとは別の判断です。
受注の業務と直結するのは2つ目と3つ目です。
どちらが必要になるかは、チャットだけでどこまで注文を回せるかにかかっています。
| プラン | 月額(円・税別) |
|---|---|
| コミュニケーション | 0 |
| ライト | 5000 |
| スタンダード | 15000 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 通数に数えない
- LINEチャットでの送受信
- 自動応答メッセージ・あいさつメッセージ
- Reply API
- 通数に数える
LINE公式アカウントだけで、受注はどこまで回せるか
担当者の設定と「要対応・対応済み」の使い方
注文がチャットで届いたあとは、誰が受け、どこまで処理したかを分かるようにしておく必要があります。
LINE公式アカウントのチャットには、そのための機能が基本機能として用意されています2。
1つは担当者の設定です。
チャットルームごとに担当者を決められ、決めていない場合は、そのチャットに最初に送信したメンバーが担当者になります2。
「担当」のフィルターを使えば、自分が受け持つ取引先のチャットだけを一覧に出せます2。
取引先をエリアや営業担当で分けているなら、今の受け持ちをそのまま担当者に移すと、誰の注文を誰が見るかが画面の上でもそろいます。
もう1つは状況の切り替えです。
チャットの一覧は「受信」「未読」「要対応」「対応済み」などで絞り込め、「要対応」と「対応済み」はチャットルームごとに切り替えられます2。
注文が届いたら要対応、出荷の手配まで終えたら対応済みにする、という使い方をすれば、手の付いていない注文を一覧から探せます。
なお、自分で条件を決めて絞り込むカスタムフィルターは、チャットProオプションが必要です2。
注意したいのは、この切り替えが注文ごとではなく、チャットルームごとだという点です。
同じ取引先から午前と午後に別の注文が届いたとき、ルームを対応済みにすると、2件とも済んだように見えます。
1件目を処理した直後に2件目が届くような重なりが日常的にあるなら、ステータスだけで注文の処理状況を追うのは難しくなります。
その場合は、受注台帳などの別の控えと見比べる運用になります。
画像・ファイルで届く注文と検索
取引先によっては、文字で打つより、手書きの注文書を撮った写真や、表計算ソフトの注文表を送るほうが慣れていることもあります。
LINE公式アカウントのチャットでは、画像・動画・ファイルを送受信できます2。
メッセージの検索もできるので、先週届いたある取引先の注文をチャットの中で探すことはできます2。
気をつけたいのは保存期間です。
1対1のチャットでは、テキストとファイルが基本機能で半年、チャットProオプションで5年残ります2。
一方、グループや複数人トークでは、画像と動画は2週間、ファイルは1週間しか残りません2。
取引先の担当者が複数いるからとグループで注文を受けると、写真で届いた注文書が2週間後には見られなくなります。
請求の時期に照合しようとしても、元の画像が手元にないということが起こり得ます。
注文は1対1で受け、注文書の画像やファイルは受けた時点で社内の保存先へ移しておくと、保存期間に左右されずに済みます。
また、チャットで受けた注文を品目ごとに集計する、基幹システムへ自動で送る、といった使い方は、チャットの機能説明には書かれていません2。
チャットは注文を受け取り、やり取りを残す場所です。
届いた内容を受注台帳や販売管理の画面へ入れる作業は、人が担うものと考えておくのが確実です。
タグ・ノート・履歴の基本機能の上限
取引先ごとの情報をチャットの中で持たせる手段が、タグとノートです。
タグは相手に付ける目印で、「関東便」「月末締め」のように取引先を分類するのに使えます。
ノートはチャットルームに残すメモで、納品先の住所や締め時刻、いつもの発注品目などを書いておけます。
基本機能では、タグは相手ごとに1個まで、作れる種類は5個まで、ノートは各チャットルームに1件までです2。
配送ルートで分けたいのに締め日でも分けたい、となった時点で、1社に1つのタグでは足りなくなります。
ノートも1件だけなので、納品先が複数ある取引先や、品目ごとの約束事が多い取引先では書き切れず、別の台帳を見に行くことになります。
履歴は、基本機能では6か月分です1。
ふだんの注文処理なら半年で困ることは少なくても、前年同月の注文量を見返したい、半年以上前の納品について問い合わせがあった、という場面では、チャットにはもう残っていません。
チャットProオプション(税別月3,000円)で変わること
チャットProオプションは月3,000円(税別)です1。
履歴の保存期間が6か月から5年に延び、タグは相手ごとに30個・300種類まで、ノートは1,000件まで増えます12。
カスタムフィルターも使えるようになります2。
付けるかどうかは、次のどれかに当てはまるかで考えると判断しやすくなります。
- 取引先の分類が5種類に収まらない、または1社に複数の分類を付けたい
- 取引先ごとに残したいメモが1件では足りない
- 半年より前の注文のやり取りを、チャット上で見返す必要がある
どれにも当てはまらないなら、まず基本機能で始め、足りなくなった時点で付けても遅くはありません。
反対に、注文の控えをチャット以外に残す仕組みがなく、半年より前のやり取りを確かめる場面がすでに想定できるなら、最初から付けておくほうが後で慌てずに済みます。
なお、履歴のダウンロードについては、料金ページとチャットのマニュアルで書き方が分かれています12。
履歴をデータとして手元に取り出したい場合は、付ける前にLINEヤフーの窓口で扱いを確かめておくと安心です。
チャットProで広がるのは、チャットの中に情報を残せる範囲です。
受けた注文を数え直したり、別のシステムへ打ち込み直したりする作業は、オプションを付けても残ります。
▼ 図の内容を文字で読む
- チャットの上限で起きる困りごと
- 取引先の分類が5種類に収まらない
- 取引先ごとのメモが1件では足りない
- 半年より前の履歴が見られない
- チャットProで広がる(税別月3,000円)
LINEに外部の仕組みをつなぐには何が要り、見積もりで何を聞くか
外部連携に必要なMessaging APIとサーバー
チャットだけでは、届いた注文を人が読み、受注台帳や販売管理の画面へ打ち直す作業が残ります。
この転記を減らすには、LINEに届いたメッセージを外部の仕組みへ渡す必要があります。
その入口になるのが、LINEヤフーが公開しているMessaging APIです。
Messaging APIを使うには、LINE公式アカウントを開設したうえで、チャネルと呼ばれる接続の設定を作ります3。
さらに、メッセージを受け取るサーバー(LINEの説明ではボットサーバー)を用意します3。
取引先が送ったメッセージは、Webhookという仕組みで、届いたことを知らせるデータとしてそのサーバーへ送られます3。
サーバー側でその内容を読み取って注文として整理し、受注台帳や基幹システムへ書き込めば、人が打ち直す作業が減ります。
このサーバー側の部分を自社で作らずに使えるようにしたものが、連携ツールや受発注の専用システムだと考えると分かりやすくなります。
LINE側の費用については、Messaging APIは無料で始められ、無料で送れる通数は料金プランによって異なるとされています3。
つないだだけで月額が上がるわけではありません。
ただし、外部の仕組みから自社のタイミングで注文確認や出荷連絡を送る場合、Push APIなどで送れば通数に数えられます1。
取引先30社に1日1通ずつ自動で出荷連絡を送ると、月20日の稼働でも600通になり、コミュニケーションプランの200通を超えます。
Reply APIで送る分は数えないため、どの方式で送るかによってLINEのプランも変わり得ます1。
外部の料金だけを見ていると、ここを見落としがちです。
見積もりで確認する項目(課金の軸・初期費用・連携の可否)
連携ツールや専用システムの料金は、提供元・プラン・契約条件ごとに異なり、相場として示せる金額はありません。
代わりに、見積もりを取るときに提供元へ聞いておくと、あとで比べやすくなる項目を挙げます。
- 課金の軸:月額固定か、取引先数・注文件数・利用する社員の数などで増えるか
- 初期費用:設定作業、商品の登録、取引先への案内をどこまで含むか
- 基幹システムとのデータ連携:今使っている販売管理や受注台帳へ、どの形式で、自動か手動の取り込みで渡せるか
- LINE側の追加費用:注文確認や出荷連絡をどのAPIで送るか、通数に数えられる送信がどれくらい発生するか
- データの扱い:注文の記録がどこに、いつまで残り、解約するときに取り出せるか
判断が分かれやすいのは課金の軸です。
月額固定なら取引先が増えても費用は読みやすくなります。
取引先数や件数で増える形なら、今の件数では安く見えても、取引先を広げた時点で上がります。
今の取引先数と注文件数、1年後に見込む数の両方で見積もってもらうと、提供元どうしを同じ条件で比べられます。
基幹システムとの連携は、転記がどこまで減るかを左右します。
LINEで受けた注文が連携ツールの画面に整理されても、そこから販売管理へ打ち直すなら、転記の場所が移っただけです。
取り込みまで自動になるのか、CSVなどのファイルを人が取り込むのか、提供元の説明を聞き分けておく必要があります。
企業間EDIの記述をLINE受注にそのまま当てはめない理由
受発注のデジタル化を調べると、中小企業共通EDIという言葉に行き当たることがあります。
EDIは企業間で受発注のデータをやり取りする仕組みのことです。
中小企業共通EDIは、2018年にITコーディネータ協会が中心となって初版を策定した、受発注データの共通仕様です4。
中小企業庁の解説では、受注側の企業はこの標準に対応したプロバイダーと業務アプリを使うだけで済み、大きな費用はかからないとされています4。
ただし、これは共通の形式で注文データが届くEDIの話で、LINEで受ける注文の費用には当てはまりません。
共通仕様に沿ったデータなら、品名・数量・納期などが決まった項目に入った状態で届きます。
LINEのチャットで届く注文は、取引先ごとに書き方が違う文章や写真です。
この違いを埋めるために、文章から注文の項目を取り出す仕組みや、取引先に決まった形で入力してもらう画面が必要になり、外部の仕組みに費用がかかる理由もここにあります。
取引先が共通EDIへの移行を考えているなら、LINEとは別の進め方として話を聞いてみる価値があります。
▼ 図の内容を文字で読む
- 取引先のLINE
- 1対1のチャットで注文を送る
- 自社のLINE公式アカウント
- チャネルを作成してMessaging APIを使う
- ボットサーバー
注文件数・取引先数・商品数・転記の手間で、3つの進め方のどれが合うか
3つの進め方を同じ4条件で比べる表
ここまでで、チャットだけで回せる範囲と、外部をつないだときに増えるものが見えてきました。
自社にどれが合うかを、注文件数・取引先数・商品数・既存の基幹システムへの入力の要否という4つの条件で比べ、月額の欄を添えたのが次の表です。
件数の線引きは業務の中身で変わるため数値では示さず、どういう状態になったら次の進め方を考えるかで整理しています。
表で判断が分かれるのは、右の2列の境目です。
連携ツールを足す進め方は、LINE公式アカウントはそのまま使い、届いた注文を整える部分を外に任せる形です。
専用システムを検討する場面は、商品の一覧から選んで注文してもらいたい、取引先ごとの条件まで管理したい、という要望が出てきたときです。
この場合、外に任せる範囲が注文の整理から受注管理全体へ広がるため、何を任せるかを見積もりの前に決めておく必要があります。
費用の欄で確定した金額が分かるのは、LINE公式アカウントの月額だけです。
ほかの2つは見積もり次第で、その場合もLINE公式アカウントの月額は別にかかります。
比べるときは、外部の見積もり額にLINE側のプランの月額を足した合計で見ると、取り違えずに済みます。
足りなくなる判断の目安
公式アカウントだけの運用から次へ進むきっかけは、注文件数が何件を超えたかという数字よりも、作業のどこに無理が出たかで見えてきます。
1つ目は、手作業の転記が負担になったときです。
チャットの注文を読んで受注台帳に打ち込む時間が、電話やFAXで受けていたころと変わらない、あるいは打ち間違いの確認に時間を取られているとします。
その場合、LINEにしたことで減ったのは聞き間違いだけで、転記は残っています。
チャットProを付けても転記は減らないため、外部の仕組みを検討する段階です。
2つ目は、取引先別の履歴や集計が必要になったときです。
「この取引先の先月の注文をまとめて」「品目ごとの今月の受注数を出して」と頼まれるたびに、チャットをさかのぼって数えているなら、チャットは注文の置き場にはなっていても、集計の元にはなっていません。
履歴の長さやメモの数が足りないだけならチャットProで済みます。
数え直す作業そのものがつらいなら、注文をデータとして持つ仕組みが要ります。
この2つは、片方だけ当てはまることもあります。
転記は少ないが履歴を長く見たいならチャットProまで、転記が重いなら連携ツールの見積もり、と分けて考えると、必要以上の仕組みを入れずに済みます。
既存の基幹システムがある場合の考え方
販売管理や在庫管理のシステムをすでに使っているなら、判断の中心は、LINEの注文がそのシステムに入るまでの距離です。
連携ツールや専用システムが、今のシステムに注文を取り込める形で渡せるのか、それとも画面を見ながら人が入力し直すのかで、導入後の手間は大きく違います。
基幹システム側に取り込みの機能があるかどうかは、そのシステムの提供元に聞く必要があります。
LINE側の連携ツールの見積もりと、基幹システム側の取り込みの可否を別々に聞いて突き合わせると、どちらの費用で転記を減らすのかがはっきりします。
基幹システムがなく、表計算ソフトで受注台帳を付けている場合は、連携ツールがそのファイル形式で注文を出せるかが確かめどころになります。
| 条件 | 公式アカウントのみ | 連携ツールを追加 | 専用システム導入 |
|---|---|---|---|
| 注文件数 | 届いた注文を人が読んで台帳に入れても回る | 転記に取られる時間が負担になってきた | 受注から出荷までをまとめて管理したい |
| 取引先数 | 担当者の設定とタグで受け持ちを分けられる | 取引先別の履歴や集計が必要になった | 取引先ごとの条件まで画面で管理したい |
| 商品数 | 品名を文章で書いてもらっても行き違いが少ない | 品名の表記ゆれの読み取りが手間になった | 商品の一覧から選んで注文してもらいたい |
| 既存の基幹システムへの入力 | 不要または手入力で足りる | 必要で取り込み方法を提供元に確認する | 必要で受注管理ごと任せる範囲を決める |
| 月額 | LINE公式アカウントの月額(0円から) | LINE公式アカウントの月額と別途見積もり | LINE公式アカウントの月額と別途見積もり |
▼ 図の内容を文字で読む
- LINE公式アカウントの月額(確定)
- コミュニケーションプラン 0円
- ライトプラン 税別5,000円
- スタンダードプラン 税別15,000円
- 外部の仕組みの月額(見積もり次第)
月額以外の負担:初期設定・取引先への案内・運用ルール
取引先への案内と注文の書き方のルール
LINEで注文を受け始めるときは、取引先側にもやってもらうことがあります。
自社のLINE公式アカウントを友だちに追加してもらい、注文はそのアカウントとの1対1のチャットで送ってもらうことです。
ここまでは案内文1枚で伝えられますが、手間がかかるのはその先の、注文の書き方をそろえることです。
自由に書いてもらうと、品名の呼び方、数量の単位、納品希望日の書き方が取引先ごとにばらばらになります。
電話のような聞き間違いは減っても、読み取りと聞き返しが残ります。
そこで、たとえば次のような決まりを最初に伝えておくと、受ける側の確認が楽になります。
- 1回の注文に書く項目(取引先名、品名、数量、納品希望日)
- その日のうちに受け付ける締め時刻と、締め時刻を過ぎた注文の扱い
- 受け付けたことを自社からチャットで返すこと、返信がなければ電話で確かめてもらうこと
- 注文書の画像やファイルは1対1のチャットで送ってもらうこと
これは運用の提案で、決まりを作れば行き違いがなくなるわけではありません。
減るのは、毎回の注文で品名や数量を聞き返す回数と、届いた注文を台帳の項目に当てはめ直す手間です。
受け付けの返信をチャットで送る分は通数に数えられないため、返信を決まりにしても月額は変わりません1。
受けた注文を今の流れに載せる
LINEでの受注を始めても、電話やFAXで注文してくる取引先がすぐにいなくなるとは限りません。
当面は、電話・FAX・LINEの3つの入口から届いた注文を、同じ受注台帳に集める流れになります。
入口が増えた分、どこから来た注文を誰が台帳に入れるかを決めておかないと、LINEの注文だけ入力が漏れることが起こります。
ここで、導入を決める人と、実際に画面を見て注文を処理する人が別である場合の負担に目を向けておく必要があります。
現場の担当者は、これまでの電話やFAXの対応に加えて、LINEの管理画面を見に行く作業が増えます。
担当者の設定で受け持ちを決め、注文を処理したらチャットルームを対応済みにする、という手順を最初に決めておけば、誰の注文が手付かずかを一覧で確かめられます2。
一方で、ステータスはルームごとなので、同じ取引先から続けて届いた注文の処理漏れは、台帳と見比べて確かめることになります。
この確認の手間を現場がどう感じているかは、導入を決める側からは見えにくいため、試す期間中に担当者へ直接聞いておくと判断の材料になります。
電子受発注の導入が進んでいない背景
取引先への案内に手間がかかる背景には、受発注の電子化そのものがまだ広がっていないこともあります。
中小企業庁の解説で紹介されている日本政策金融公庫総合研究所の調査では、中小企業で「電子文書での商取引や受発注情報管理」を導入している割合は18.5%と、2割を下回っていました4。
これは2018年の調査値で、LINEでの受注の広がりを示す数字ではありません。
ただ、取引先の側も電話やFAXでの注文に慣れている可能性を考えれば、LINEに切り替えてもらうには、案内と、慣れるまでの併用期間を見込んでおくほうが現実的です。

小さく試して、続けるかを判断する手順
最初の1か月に確かめる項目
ここまでの条件は、実際に動かしてみると自社に当てはまるかどうかがはっきりします。
最初から全取引先に広げるより、LINEで送りたいと言ってきた取引先を含む1〜2社と、月額0円のコミュニケーションプランで始めると、プランの費用をかけずに確かめられます。
1か月という期間は、締めや請求をひと回り経験できる長さとして置いた目安で、自社の締めの周期に合わせて変えてかまいません。
試す間に確かめておきたいのは、次の4つです。
- LINEで受けた注文1件を、受注台帳や販売管理に入れるまでにかかった時間
- 数日前の注文を探すとき、チャットの検索やタグ・ノートで見つけられたか
- 取引先が注文を送るときに迷った点や、聞き返しが必要になった点
- 現場の担当者が、1日に何度管理画面を見に行く必要があったか
時間は、電話やFAXで受けていたときの同じ作業と比べられるよう、おおまかでも記録しておくと後で判断しやすくなります。
取引先が迷った点は、注文の書き方の決まりを見直す手掛かりになります。
続ける・外部を足す・やめるの判断軸
1か月の結果は、転記の手間と、タグ・ノート・履歴の不足という2つの軸で読み解けます。
- 転記が軽く、タグ・ノート・履歴も足りている:コミュニケーションプランのまま、取引先を少しずつ増やす
- 転記は軽いが、タグ・ノート・履歴が足りない:チャットProオプション(税別月3,000円)を付ける
- 転記が重い:連携ツールや専用システムの見積もりを、外部をつなぐ節で挙げた項目に沿って取る
- 取引先が使いにくい、現場の負担が増えただけ:LINEでの受注を広げず、書き方の決まりを見直して再び試すか、電話やFAXに戻す
やめるという判断も、試したからこそ出せる結論です。
コミュニケーションプランで始めていれば、プランの費用は発生していません。
残るのは取引先への案内と現場が慣れるまでにかけた時間で、それを踏まえて次に何を試すかを決められます。
取引先を増やして配信も使うようになったら、友だちの数と配信の回数から通数を見積もり、プランを上げるかどうかを判断します。
受注のやり取りがチャットで完結している限り、その判断を左右するのは注文件数ではなく、配信の使い方です。
チャットだけで回るか、外部の仕組みが要るかは、今の注文の入口と転記先によって変わり、自社だけでは線を引きにくいところです。
今の注文の受け方と、受注台帳や基幹システムへの入力の流れをもとに、LINEをどこに置くと転記が減るのか、見積もりで何を聞くべきかを一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 受注だけの月額 | 1対1のチャットの送受信は通数外。コミュニケーションプラン月額0円から |
| プランを上げる条件 | 配信の通数(送った回数×友だちの数)が無料分を超えるとき |
| チャットPro(税別月3,000円) | 分類・メモ・半年より前の履歴が足りないとき |
| 外部の仕組み | 転記や集計の手間が重いとき。費用は見積もりで確かめる |
| 見積もりで比べる点 | 課金の軸、初期費用、基幹システムへの取り込み、LINE側の通数 |

試した結果からチャットProで足りるのか、外部の見積もりが要るのかを決める段階では、複数の提供元の説明を同じ条件で比べる必要があります。 試した期間の転記時間や取引先が迷った点をもとに、次に足す仕組みの候補と、提供元に確かめる項目を自社の条件に合わせて絞り込めます。
よくある質問
取引先が増えて、注文の返信を何通も送っても、無料メッセージの通数は減りますか。
減りません。
LINEチャットでの送受信は通数に数えられないため、取引先が増えて返信が増えても、無料メッセージは使われません1。
通数を使うのは、管理画面からの一斉配信や、外部の仕組みからPush APIなどで送るメッセージです1。
チャットProオプションは受注のために付けるべきですか。タグ・ノート・履歴の何が足りなくなったときですか。
付けるかどうかの目安は、取引先の分類が5種類に収まらない、1社に複数の分類を付けたい、取引先ごとのメモが1件では足りない、半年より前のやり取りをチャットで見返す必要がある、のいずれかに当てはまるかどうかです2。
オプションは月3,000円(税別)で、履歴は5年、タグは相手ごとに30個・300種類、ノートは1,000件まで増えます12。
ただし、受けた注文を台帳へ打ち直す手間は減らないため、転記が負担なら外部の仕組みを検討する段階です。
画像で届いた注文書や、過去の注文のやり取りはいつまで見られますか。
1対1のチャットでは、テキストとファイルが基本機能で半年、チャットProオプションで5年残ります2。
グループや複数人トークでは、画像と動画は2週間、ファイルは1週間で見られなくなります2。
注文は1対1のチャットで受け、注文書の画像やファイルは受けた時点で社内の保存先へ移しておくと、請求や問い合わせのときに照合できます。
注文を複数の担当者で分けて受けるとき、LINE公式アカウントではどこまで管理できますか。
チャットルームごとに担当者を決められ、決めていない場合は最初に送信したメンバーが担当者になります2。
「担当」のフィルターで自分の受け持ちだけを表示でき、「要対応」「対応済み」もルームごとに切り替えられます2。
ステータスは注文ごとではなくルームごとなので、同じ取引先から続けて届いた注文の処理状況は、受注台帳などと見比べて確かめる運用になります。
自分で条件を決めて絞り込むカスタムフィルターは、チャットProオプションが必要です2。
連携ツールや専用システムの見積もりを取るとき、提供元に何を確認すればよいですか。
課金の軸(月額固定か、取引先数や注文件数で増えるか)、初期費用に含まれる作業、今の販売管理や受注台帳へ注文を取り込めるか、注文確認などをどのAPIで送りLINE側の通数がどれくらい発生するか、注文の記録がどこにいつまで残るか、の5点です。
今の取引先数と注文件数、1年後に見込む数の両方で見積もってもらい、LINE公式アカウントの月額と合わせた合計で比べると、提供元どうしを同じ条件で比べられます。
- 1 出典:LINEヤフー(LINE for Business)「LINE公式アカウント 料金プラン」(2026年)
- 2 出典:LINEヤフー(LINE for Business)「LINE公式アカウント チャットのマニュアル」(2026年)
- 3 出典:LINEヤフー(LINE Developers)「Messaging APIの概要」(2026年)
- 4 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(2020年公開、2026年更新)
画像の出典元
- Close-up of hands writing in a notebook, with a smartphone on the table./Photo by https://kaboompics.com/ on Pexels
- Close-up of hands holding a smartphone and writing notes with a coffee cup on a table./Photo by Cup of Couple on Pexels
- Hands sorting colorful sticky notes on a clipboard for business planning./Photo by Alena Darmel on Pexels