◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 注文がデータで届けば打ち直しによる入力ミスが減り、過去の取引も探しやすくなるが、注文内容の妥当性の確認や例外的な相談は人に残る
- 公的な実証では業務時間が約5割減と報告されているが、企業間でつながった取引での結果であり、製品の効果や自社の見込みとしては使えない
- 効果の分かれ目は取引先がそろうかで、注文の集中度・注文方法のばらつき・つなぐ先が判断の手がかりになる
- 費用は1社の目安で導入まで50万円程度・毎月20万円程度とされ、追加機能や取引先の操作負担、並行運用の手間も含めて比べる
- 導入前に経路別件数や転記時間を測り、取引先を絞って同じ項目で比べると、自社の数字で社内に説明できる
目次

注文のたびの転記・確認電話は、Web受発注でどこが変わるのか
FAXで届いた注文を販売管理に打ち直し、読みにくい数字は電話で確かめ、締め時間の前は手が止まらない。
Web受発注システムを入れればこの手間が本当に減るのか、社内でうまく説明できない場面を想定します。
注文がデータで届けば、打ち直しによる入力ミスがなくなり、過去の取引も探しやすくなります1。
中小企業庁の実証事業では、業務時間が平均で約5割減ったと報告されています1。
ただし取引先が同じ仕組みを使わなければ効果は出にくく、結果は相手次第で分かれます。
自社が発注側か受注側か、取引先をどこまで巻き込めるかを見極め、現状を測ってから小さく試すのが現実的です。
注文の受付・入力・確認の流れで変わる作業
受注側の会社で、取引先からの注文がFAX、電話、メールの三つの経路で届いている場面を考えます。
担当者はFAXの手書きを読み取り、品番と数量を販売管理システムやExcelへ打ち直します。
電話の注文はメモを取ってから入力し、メールは本文をコピーして貼り付けます。
どの経路でも、相手が一度書いた内容を、こちらがもう一度入力している点は同じです。
この打ち直しが、手間とミスの両方の出どころになっています。
ミラサポplusの解説は、電話やFAXで受けた注文の手入力はミスや書類紛失の原因になり、受発注をデータで一元管理すれば手入力のミスがなくなり、過去の取引データも検索しやすくなると説明しています1。
この説明は企業間のデータ連携(EDI:企業同士が決まった形式で取引データをやり取りする仕組み)について述べたもので、特定の製品の機能を紹介したものではありません。
それでも、取引先が入力した注文をそのままデータとして受け取るという点で、Web受発注システムが狙う変化も同じ方向にあります。
変わる作業を注文の流れに沿って並べると、次のようになります。
- 受付:FAXの読み取りや電話のメモ取りが、画面やデータで届いた注文の確認に置き換わる
- 入力:品番・数量・納期の打ち直しが減り、読み違いや聞き違いによる入力ミスの入り口が狭まる
- 確認:判読できない文字や数字を問い合わせる電話が、届いた内容そのものの確認に絞られる
- 保管と検索:紙のファイルをめくって探す作業が、取引先や品番で過去の注文をたどる作業に変わる
検索のしやすさは、日々の問い合わせ対応で効いてきます。
取引先から「先月と同じものをもう一度」と電話が来たとき、紙の注文書なら月ごとのファイルを開いて該当の1枚を探すことになります。
注文がデータで残っていれば、取引先名や品番から過去の注文をたどれるので、探す時間とその間に相手を待たせる時間が短くなります。
発注側の立場でも、変わる場所は似ています。
発注書を作ってFAXを送り、届いたかを電話で確かめ、返ってきた納期回答を自社の台帳へ書き写す。
こうした往復のうち、書き写しと「届いていますか」という確認は、データでやり取りできる範囲で減りやすくなります。
どの作業がどれだけ減るかは、取引の中身や件数で変わります。
量の目安として報告されている数字は、次の節で範囲とあわせて見ていきます。
人手が残る作業
一方で、Web受発注に切り替えても人の手が残る作業があります。
まず、取引先が入力した内容そのものの誤りです。
打ち直しがなくなれば読み違いや転記の誤りは減りますが、相手が数量の桁を間違えて送った注文は、そのまま正しい形式のデータとして届きます。
確認する役目はなくならず、確認の中身が「書き写しが合っているか」から「注文の中身が妥当か」へ移ります。
次に、在庫や納期の判断、特注品や急ぎの相談です。
画面から注文が届いても、出荷できるかどうかを決めるのは社内の判断で、例外的な注文ほど電話で話したほうが早い場面は残ります。
Web受発注が減らすのは、決まった形の注文を書き写して確かめる作業であり、相手と相談して決める仕事まで置き換えるものではありません。
そして、取引先のうちWebに移らなかった分です。
注文の半分がWebで届き、残りがFAXのままなら、担当者はWebの画面とFAXの両方を見ることになります。
このとき打ち直しが減るのはWeb経由の分だけで、二つの受付経路を見比べる手間が新しく加わることもあります。
効果が取引先の状況で大きく変わる理由はここにあり、後の節で詳しく扱います。
▼ 図の内容を文字で読む
- 打ち直しが減る作業
- 品番・数量・納期の打ち直し
- FAXの読み取りや電話のメモ取り
- 紙のファイルから過去の注文を探す作業
- 確認の中身が移る作業
- 書き写しが合っているかの確認から、注文の中身が妥当かの確認へ
- 判読できない文字を問い合わせる電話から、届いた内容の確認へ
- 人手が残る作業
- 在庫や納期の判断
- 特注品や急ぎの相談
- Webに移らなかった取引先の注文
報告されている効果の大きさと、その数字が言える範囲
実証事業の業務時間削減
では、減る量はどの程度と報告されているのでしょうか。
ミラサポplusの解説では、企業間のデータ連携を実際に試した実証プロジェクトで、中小企業の業務時間が平均で約5割削減されたと紹介されています1。
別の業界メディアの記事は、2016年度(平成28年度)の中小企業庁の事業の結果として、業務時間の削減効果を全体平均で49.2%と引用し、発注企業・受注企業のどちらでも約5割だったとしています2。
二つの数字は近いものの、完全には一致していません。
同じ実証の結果を別の集計で示している可能性があり、二つの資料がそれぞれ独立に同じ効果を確かめたものとは言えません。
社内で説明するときは「公的な実証事業で、業務時間が約5割減ったという報告がある」と丸めて伝え、どちらか一方の小数点まで強調しないほうが、出どころを聞かれたときに説明がぶれません。
発注側と受注側のどちらでも同程度の削減が報告されている点は、この数字から読み取れることの一つです。
注文を送る側は発注書の作成や送付の確認が、受け取る側は打ち直しや判読の問い合わせが減ると考えられ、効果の出どころは違っても、両方の時間が縮んだという結果になっています。
どちらか一方だけが得をする仕組みではない、という点は取引先に協力を頼むときの説明材料にもなります。
数字を自社に当てはめるときの注意
この約5割を、自社がWeb受発注システムを入れたときの見込みとしてそのまま使うことはできません。
理由は三つあります。
- 実証事業の結果であり、特定の製品を入れたときの効果を約束するものではない
- 企業間で取引データをやり取りする仕組みの実証であり、社内の転記だけを減らす取り組みの削減率ではない
- 注文件数ごとの効果や、導入費用を何か月で回収できるかは示されていない
とくに二つ目は見落とされやすい点です。
実証で減った時間は、発注側と受注側の双方がデータでつながった取引の中で生まれたものです。
自社だけが受付画面を用意しても、取引先がこれまでどおりFAXを送ってくれば、その注文の打ち直しは減りません。
削減の大きさは、システムの性能より先に、データでつながった取引の割合に左右されると考えたほうが実態に近くなります。
社内向けの説明では、公的な実証で約5割という報告があることを方向性の裏づけとして使い、自社でどれだけ減るかは自社の数字で示す、という分け方が現実的です。
そのための測り方は最後の節で扱います。

効果が出やすい条件と出にくい条件:取引先がそろうかが分かれ目
発注側か受注側かで変わる悩み
効果が出るかどうかを考えるとき、最初に分かれるのは自社の立場です。
受注側は、複数の取引先からさまざまな方法で注文を受け取ります。
発注側は、複数の仕入先へ注文を送り、納期回答や請求を受け取ります。
同じWeb受発注という言葉でも、受注側が自社の受付画面を用意して取引先に入力してもらう場合と、発注側が仕入先にシステムで受けてもらう場合とでは、誰に操作を覚えてもらうかが逆になります。
電子受発注は、すでに珍しい取り組みではありません。
業界メディアの記事が引用する中小企業庁の2021年度の調査では、回答した22,757社のうち、受注側として2021年までに電子受発注に対応したと答えた企業は48.5%でした2。
発注側企業の電子受発注システムの導入率は40.9%と、受注側より低く報告されています2。
いずれも回答企業の申告にもとづく2021年度時点の数字です。
この数字は、自社が新しく仕組みを入れるかどうかを考える前に、取引先がすでに何かを使っているかを確かめる意味があることを示しています。
受注側なら、主要な取引先がすでに自社の発注システムを持っていて、そこへの入力を求めてくる場合があります。
発注側なら、仕入先の一部はすでに電子での受注に慣れていて、切り替えの相手として声をかけやすいかもしれません。
自社が仕組みを選ぶ立場にあるのか、相手の仕組みに合わせる立場にあるのかで、検討の出発点が変わります。
多画面問題と取引先の状況
受注側にとって大きいのが、多画面問題と呼ばれる負担です。
発注側の会社ごとに異なるシステムが使われていると、受注側はそれぞれのシステムに対応しなければならず、取引先の数だけ画面を確かめることになります1。
ミラサポplusは、受発注のデータ化は1社だけが導入しても効果が得られず、取引先の状況を考えて要否を判断する必要があると述べています1。
ここから、効果が出やすいかどうかを見分ける手がかりが見えてきます。
次の三つは資料の記述をもとに整理した判断の観点で、何件以上なら効果が出るといった線引きを示すものではありません。
- 注文の集中度:注文の多くが少数の取引先から来ているか、多数の取引先に散らばっているか
- 注文方法のばらつき:取引先ごとに電話・FAX・メール・相手先のシステムが混在しているか
- つなぐ先:受け取った注文を、販売管理や会計など社内のどの仕組みへ渡しているか
たとえば受注側で、上位の数社が注文の大半を占め、その数社がWebでの入力に前向きだとします。
この場合、少ない声かけで注文の多くがデータで届くようになり、打ち直しの減り方は大きくなりやすいと考えられます。
反対に、小口の取引先が多数あり、その多くがFAXを使い慣れている場合は、Web受付を用意しても切り替わるのは一部にとどまり、FAXとWebの両方を見る運用が長く続くかもしれません。
受け取った注文を結局Excelから販売管理へ手で移しているなら、入口がWebになっても社内の転記は残るため、つなぐ先も含めて考える必要があります。
発注側に多画面問題を当てはめると、立場が逆になります。
自社が独自の発注画面を取引先に求めれば、仕入先の側で確かめる画面が一つ増えます。
自社の効果だけを見て仕組みを決めると、仕入先の手間が増えて協力が得にくくなることがあるため、相手がすでに使っている方式に合わせられるかも検討の材料になります。
| 立場 | 割合(%) |
|---|---|
| 受注側(電子受発注に対応) | 48.5 |
| 発注側(電子受発注システムを導入) | 40.9 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 注文の集中度
- 出やすい:上位の数社が注文の大半を占め、Webでの入力に前向き
- 出にくい:小口の取引先が多数あり、多くがFAXを使い慣れている
- 注文方法のばらつき
- 出にくい:電話・FAX・メール・相手先のシステムが混在する
- 出にくい:FAXとWebの両方を見る運用が長く続く
- つなぐ先
- 確かめる:受け取った注文を販売管理や会計へどう渡しているか
- 出にくい:入口がWebでも、Excelから販売管理への手作業の転記が残る
効果と引き換えの費用・取引先の負担・移行の手間
費用の構成と、1社の目安の読み方
効果の見込みが立ったら、次は引き換えに何を払うかです。
Web受発注システムをSaaS(インターネット経由で利用する形のサービス)として提供する竹田印刷は、自社の想定として、導入までに50万円程度、毎月の運用に20万円程度かかるとしています3。
使い始めるまでの費用と、使い続ける間の費用が別にかかる点は、社内で説明するときに分けて示しておくと伝わりやすくなります。
この金額は1社が示した目安で、市場全体の相場ではありません。
同じ記事の中でも、本文の想定と表に載っている幅は一致しておらず、提供者や契約内容によって変わる数字として読むのが適切です。
さらに同社は、オプションの追加や独自のカスタマイズには別途費用がかかるため、必要な機能を事前に洗い出すことが重要だとしています3。
複数の見積もりを比べるときは、基本料金に何が含まれ、何が追加になるかの線引きを先にそろえておくと、金額の差が何から来ているのかが見えます。
受注側の負担は、つなぎ方によっても大きく変わります。
ミラサポplusは、中小企業共通EDIの標準に対応する場合、受注側は標準に対応したプロバイダー(データのやり取りを仲介する事業者)と業務アプリを使うだけでよく大きな費用はかからない、発注側は既存のシステムを使い続けられると説明しています1。
これは標準に対応した仕組みでつなぐ場合の話で、独自の受付画面を用意する場合の費用とは分けて考える必要があります。
効果と比べるときは、毎月の運用費用を、減らしたい作業時間に置き換えて考えると判断しやすくなります。
転記と確認にかかっている時間を月単位で測り、それがどの程度減れば運用費用に見合うのかを逆算するという考え方です。
前の節で見た約5割は、ここに自社の削減見込みとして入れる数字ではありません。
この欄には、試行で得た自社の数字を当てはめます。
取引先の操作負担と選定時の確認項目
金額に出てこない負担もあります。
取引先に新しい画面を使ってもらうには、ログインの準備や入力方法の説明が必要で、その手間は相手の側で発生します。
発注ナビの解説は、システム選定で考える点として、費用や導入期間に加えて、取引先が導入しやすいか、操作がシンプルか、設定を変えるときにサポートが受けられるかを挙げています4。
電話やFAXが中心の企業は操作でつまずくおそれがある、という指摘もあります4。
移行の期間も見込んでおく必要があります。
取引先が一斉に切り替わることは考えにくく、しばらくは従来の受付とWebの受付が並ぶ期間ができます。
その間は二つの経路を見る手間が増えるため、効果が見え始めるまでの期間を社内説明に含めておくと、導入直後に「楽になっていない」と受け止められるのを避けやすくなります。
見積もりや説明を受けるときは、次の点を聞いておくと、費用と負担を同じ土俵で比べられます。
- 基本料金に含まれる機能と、追加料金になる機能の境目
- 導入までにかかる期間と、自社の側で用意する作業
- 取引先が使い始めるまでに必要な準備と、取引先への説明を支援してもらえるか
- 電話・FAXに慣れた取引先でも迷いにくい操作か、実際の画面で確かめられるか
- 品目や取引条件を変えたときに、設定変更の支援を受けられるか
▼ 図の内容を文字で読む
- 使い始めるまでの費用
- 導入までに50万円程度(1社の想定)
- 使い続ける間の費用
- 毎月の運用に20万円程度(1社の想定)
- 追加で発生しうる費用
- オプションの追加
- 独自のカスタマイズ
- 金額に表れにくい負担
- 取引先の操作の習得
- 従来の受付との並行運用
導入前に何を測り、どう小さく試して判断するか
現状を測る項目
ここまでの話を社内の判断につなげるには、自社の数字が要ります。
公的な実証の約5割は方向性の裏づけにはなりますが、社内で問われるのは「うちでは何時間減るのか」だからです。
導入前に、いまの受発注にかかっている手間を測っておくと、試行の後に同じ物差しで比べられます。
測る項目は、最初の節で見た変わる作業と残る作業に合わせて選びます。
次の表は測り方の一例です。
| 測る項目 | 測り方の例 | 見えること |
|---|---|---|
| 経路別の注文件数 | 電話・FAX・メール・その他に分けて月ごとに数える | Webへ移せる注文の割合 |
| 転記にかかる時間 | 一定期間、注文1件の入力にかかった時間を記録する | 打ち直しが減ったときの効果 |
| 確認の電話・メールの回数 | 判読や不明点の問い合わせを数える | 確認の往復が減ったか |
| 入力ミス・訂正の件数 | 出荷後や請求時に見つかった訂正を記録する | 入力ミスの入り口が狭まったか |
| 過去の注文を探す時間 | 問い合わせ対応で書類を探した回数と時間を記録する | 検索のしやすさの変化 |
大切なのは、導入前と導入後で項目の定義をそろえることです。
「1件の入力時間」に確認の電話を含めるのか含めないのかが前後で変われば、比べた結果は意味を失います。
厳密な計測でなくても、同じ担当者が同じやり方で記録した数字であれば、変化の向きと大きさは読み取れます。
経路別の件数は、前の節で挙げた注文の集中度や注文方法のばらつきを数字で見る材料にもなります。
取引先を絞って試す
測る準備ができたら、全取引先に一斉に案内するより、範囲を絞って試すほうが判断材料を得やすくなります。
前の節の観点に沿えば、注文件数が多く、Webでの入力に協力してくれそうな取引先から始めるのが一つの考え方です。
少数の取引先で試せば、相手の操作のつまずきや、社内の運用で詰まる場所を、影響が小さいうちに見つけられます。
試行の間は、導入前と同じ項目を記録し、試した取引先の分とそれ以外の分を分けて比べます。
試した取引先の注文で転記時間や確認の回数が減っていれば、その減り方を件数で広げたときの見込みが立ちます。
減っていなければ、取引先の入力が定着していないのか、社内で別の転記が残っているのかを切り分けます。
取引先には、入力にかかった手間や迷った箇所を聞いておくと、広げるときの説明や設定の見直しに使えます。
比べた結果から、判断は三つの方向に分かれます。
- 減り方が見込みどおりなら、同じ観点で次の取引先へ広げる
- 一部の作業だけが残るなら、残った作業の原因を直してから広げる
- 取引先の協力が得にくいなら、範囲を見直すか、相手が使う方式に合わせる道を検討する
企業間のデータ連携については、ミラサポplusの記事で、つなぐITコンソーシアムの事務局が無料の導入相談や取引先との調整、運用の支援を行うと案内されています1。
取引先との調整は自社だけでは進めにくい部分なので、こうした窓口を使う選択肢もあります。
記事に書かれた支援の内容が現在も同じかは、窓口の最新の案内で確かめる必要があります。
▼ 図の内容を文字で読む
- 現状を測る
- 取引先を絞って試す
- 同じ項目で前後を比べる
- 結果で広げ方を決める
- 見込みどおりなら、同じ観点で次の取引先へ広げる
- 一部の作業が残るなら、原因を直してから広げる
- 協力が得にくいなら、範囲を見直すか相手が使う方式に合わせる
取引先ごとの注文方法や件数の偏りは社内だけでは整理しにくく、効果の見込みを自社の数字で説明しようとする段階で判断が止まりやすいためです。
いまの注文経路と取引先の状況を一緒に整理し、どの取引先から試すと効果を測りやすいかを確かめられます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 効果の大きさ | 公的な実証で業務時間が約5割減。自社の見込みには使わず、方向性の裏づけにとどめる |
|---|---|
| 効果の分かれ目 | 取引先がデータでつながる割合。1社だけの導入では効果が出にくい |
| 自社の立場 | 受注側は多画面と取引先の入力、発注側は仕入先に増える負担を確かめる |
| 費用 | 1社の目安は導入まで50万円程度・毎月20万円程度。追加機能とカスタマイズの線引きをそろえて比べる |
| 進め方 | 経路別件数・転記時間・確認回数・訂正件数を測り、取引先を絞って同じ項目で比べる |

見積もりの比較や試行の測り方は、費用の内訳と自社の運用を突き合わせる必要があり、担当者一人で判断材料をそろえるのは負担が大きいためです。 測る項目の定義と試行の範囲を決め、費用と削減できる作業時間を同じ物差しで比べる準備が整っているかを確かめられます。
よくある質問
発注側と受注側では、Web受発注で得られる効果はどう違いますか。
減る作業の中身が違います。
受注側では、FAXや電話の注文の打ち直しと、判読できない内容を問い合わせる電話が減りやすくなります。
発注側では、発注書の作成・送付の確認や、納期回答を台帳へ書き写す作業が減りやすくなります。
公的な実証の結果を引用した記事では、発注企業・受注企業のどちらでも業務時間が約5割減ったとされています2。
ただし、取引先に新しい操作を覚えてもらう負担がどちらに生じるかは、どちらが仕組みを用意するかで逆になります。
取引先が使ってくれない場合、導入効果はどうなりますか。
使ってもらえない取引先の分は、これまでどおりの打ち直しが残ります。
受発注のデータ化は1社だけが導入しても効果が得られず、取引先の状況を考えて要否を判断する必要があるとされています1。
Webと従来の受付が並ぶと、二つの経路を見る手間が加わることもあるため、注文の多い取引先から協力を得られるかを先に見極めることが判断の分かれ目になります。
電話・FAXが中心の取引先に操作を覚えてもらうには、何を確認すればよいですか。
電話やFAXが中心の企業は操作でつまずくおそれがあり、選定では操作のシンプルさや取引先の導入しやすさを考えるべきだとされています4。
実際の画面を取引先の担当者の目線で触ってみること、使い始めるまでに相手が何を準備するのか、説明や問い合わせの支援を受けられるかを確かめておくと、つまずきを減らしやすくなります。
試行の段階で、入力に迷った箇所を取引先から聞き取っておくことも役立ちます。
導入前に測っておくべき指標は何ですか。
経路別の注文件数、注文1件の転記にかかる時間、確認の電話やメールの回数、入力ミスや訂正の件数、過去の注文を探す時間が目安になります。
どれも導入後に同じ定義で測り直せることが条件です。
厳密な計測でなくても、同じやり方で記録していれば、試行の前後で変化の向きと大きさを比べられます。
Web受発注の導入に補助金は使えますか。
ミラサポplusの記事の記述時点の説明では、新規の受発注システムの導入は軽減税率対策補助金の対象外で、IT導入補助金は補正予算によるもののため次年度の募集があるとは限らないとされています1。
補助金の募集は年度ごとに変わるため、現行の公募があるかどうかは公式の案内で確かめる必要があります。
補助金がなくても成り立つかを先に試算しておくと、募集の有無に計画が左右されにくくなります。
- 1 出典:経済産業省 中小企業庁(ミラサポplus)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(2026年更新)
- 2 出典:オリックス・レンテック株式会社「受発注のデジタル化は製造業にどんなメリットをもたらすか」(2021年度調査の引用)
- 3 出典:株式会社竹田印刷(TS-BASE)「Webの受発注システムの選び方とコストの目安」(2026年更新)
- 4 出典:発注ナビ株式会社「受発注のデジタル化による業務効率化」(掲載年記載なし)
画像の出典元
- Businesswoman at desk in a stylish office, engaged in phone conversation with paperwork./Photo by Pavel Danilyuk on Pexels