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LINE受発注で朝に注文が集中するときの運用:取引先に頼まず整える順番と、限界の見分け方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 朝の混雑は、到着時刻の偏り・書き方のばらつき・手作業の転記・担当の集中に分けて1週間記録すると、効く対策を選べる。
  • 取引先に頼まずにできるのは、応答メッセージ、要対応/対応済み、担当者設定による未処理と担当の見える化で、受注表への転記の手間は減らない。
  • 無料範囲はタグが1ユーザー1個、ノートが1ルーム1件までで、足りなければ月額3,000円(税別)のチャットProオプションがある。
  • 転記が重いなら、取引先への書式の依頼とWebhook連携を組み合わせ、テキストは受信した時点で保存する。
  • 対策は一度に1つずつ変え、未処理ゼロの時刻や訂正件数を曜日と月末をそろえて比べ、LINEを続けるか併用するかを判断する。

Close-up of individual writing on a clipboard at a desk with office supplies.
▽ 写真の出典元

朝のLINE注文はどこで詰まるのか:未読の山を4つの原因に切り分ける

朝、LINEを開くと取引先からの注文が未読で並び、どれが確定済みで、どれを聞き返すべきか分からないまま返信に追われる。
この状態は、取引先にLINEをやめてもらわなくても、受け取る側の設定と運用で整理できる部分があります。
最初の一手は、LINE公式アカウントのチャットの「要対応/対応済み」と担当者設定で、未処理と担当を見えるようにすることです。
あわせて、応答メッセージで受付を自動で伝えます。
ただし、受注表への手作業の転記はチャット機能では減りません。
転記が残るなら、取引先への小さな依頼、Webhook連携、フォームの併用の順に検討します。

未読が並ぶ朝に、何が起きているのか

朝の混雑は「注文が多い」の一言でまとめられがちですが、未読の山の中身を分けてみると、詰まり方は一つではありません。
同じ30件でも、7時から9時に均等に届くのか、8時前後の15分に集まるのかで、必要な手当ては変わります。
文面がそろっていれば読むだけで済む注文も、品名や数量の書き方が取引先ごとに違えば、一件ずつ聞き返すことになります。

さらに、LINEで受けた注文は、多くの場合そのままでは終わりません。
受注表や出荷指示書、販売管理の画面など、別の場所へ品名と数量を書き写して初めて、製造や出荷の担当へ渡せます。
中小企業庁のミラサポplusは、電話やFAXによる受発注について、経理システムへの手入力による転記が必要になり、転記ミスや書類紛失のリスクを生むと説明しています6。
これは電話・FAXについての記述で、LINEの誤りの頻度を示すものではありません。
ただ、受け取った文面を人が読み、別の画面へ打ち直すという手順はLINEでも同じで、その工程に時間と誤りの余地が残る点は共通しています。

4つの原因:到着時刻・書き方・転記・担当の集中

未読の山を、次の4つの原因に分けて考えると、どこから手を付けるかが決めやすくなります。
これは公的な分類ではなく、対策を選ぶための整理です。

・到着時刻の偏り:取引先の発注が同じ時間帯に重なり、短時間に件数が集中する
・書き方のばらつき:品名・数量・納品日の書き方がそろわず、読み取りや聞き返しに時間がかかる
・手作業の確認・転記:読んだ内容を受注表やシステムへ打ち直す工程が、件数に比例して増える
・担当者への集中:誰が対応するか決まっておらず、詳しい一人に確認が集まる、または二人が同じ注文に返信する

4つは互いに重なります。
たとえば書き方がばらばらな注文が8時台に集中すれば、聞き返しの返信がさらに朝の時間を食います。
それでも原因を分けておく意味は、効く対策が原因ごとに違うからです。
担当の集中はLINE公式アカウントの設定で整理できますが、転記の手間は設定だけでは減りません。
到着時刻の偏りと書き方のばらつきは、取引先に何かを頼まない限り、根本からは変わりにくい部分です。

1週間だけ記録して、効いている原因を数える

どの原因が自社の朝を重くしているかは、感覚より記録のほうが正確です。
おすすめは、1週間だけ、朝に届いた注文ごとに次のことを書き留める方法です。

・受信した時刻と、処理を終えた時刻
・聞き返しが必要だったか(品名・数量・納品日のどれが不明だったか)
・どこへ転記したか、転記後に訂正があったか
・誰が対応したか、途中で担当が替わったか

1週間分を並べると、たとえば「件数は多くないのに聞き返しが毎朝5件ある」「8時15分から30分に半分が集中している」「転記の訂正が特定の商品に偏っている」といった傾向が見えてきます。
聞き返しが多ければ書き方、時刻の山が鋭ければ到着の偏り、訂正が多ければ転記が主な原因です。
この記録は、後で対策の効果を確かめるときの比較の起点にもなるので、対策を入れる前に取っておく価値があります。

朝の未読の山を生む4つの原因を、動かせる手段ごとに分けた模式図
担当者への集中は設定で整理でき、到着時刻の偏りと書き方のばらつきは取引先の協力が要り、手作業の確認・転記は設定だけでは減らないことを示す図
▼ 図の内容を文字で読む
  • 受ける側の設定で整理できる
    • 担当者への集中
  • 取引先に頼まない限り変わりにくい
    • 到着時刻の偏り
    • 書き方のばらつき
  • 設定だけでは減らない
    • 手作業の確認・転記

取引先に何も頼まずにできること:応答メッセージ・チャットの状態管理・担当分け

応答メッセージで受付済みと処理予定時刻を返す

取引先に何も頼まずに始められる最初の手当ては、受け取ったことを自動で伝えることです。
朝の返信のうち、「受け取りました」「確認して連絡します」という内容は、注文の中身を読まなくても返せます。
これを人が一件ずつ打っていると、その間ほかの注文の確認が止まります。

LINE公式アカウントでは、応答時間を設定すると、時間内と時間外で応答の方法を切り替えられます1。
応答状況を相手に表示することもでき、設定の反映には約5分かかる場合があります1。
また、応答メッセージやあいさつメッセージ、チャットでの送受信は、料金プランのメッセージ通数に数えられません3。
受付の自動返信を増やしても、通数の費用はかからない仕組みです。

文面を考えるときに気を付けたいのは、「受付済み」が「確定」と受け取られないようにすることです。
たとえば「ご注文のメッセージを受け取りました。内容を確認のうえ、10時までに確定のご連絡をします。」のように、受け取ったことと、確定はこれからであることを分けて書きます。
処理予定の時刻は、記録で分かった実際の処理終了時刻に合わせ、守れる時刻にしておきます。

応答メッセージは文面に自動で返すだけで、注文の中身は判定しません。
品名が抜けていても数量が読めなくても同じ文面が返るため、内容の確認は人の作業として残ります。
減らせるのは、受け取ったことを知らせる返信を人が打つ手間です。

「要対応」「対応済み」で未処理を絞り込む

次に、どれが未処理かを画面で分かるようにします。
LINE公式アカウントのチャットでは、チャットルームを「要対応」「対応済み」に切り替え、一覧を絞り込めます1。
朝の作業の終わりに「要対応」が0件になっていれば、手が付いていない注文は残っていない、という確かめ方ができます。

ここで決めておきたいのが、どの時点で「対応済み」にするかです。
状態はチャットルームごとに付くので、ひとつの取引先から朝に2回注文が届いた場合も、ルームとしては一つの状態しか持てません。
「確定の連絡を返し、転記まで終えたら対応済み」のように、朝の運用ルールとして一つに決めておくと、担当者によって意味がずれません。
聞き返し中の注文は要対応のまま残し、相手の返事を待っていることは、次の節で触れるタグやノートで区別します。

担当者を設定して、同じ注文への二重対応を防ぐ

朝に複数の人がLINEを見ていると、同じ注文に二人が返信したり、逆に互いに相手が対応したと思って誰も返さなかったりすることが起こりえます。
チャットには担当者を設定する機能があり、未設定の場合は最初にチャットを送ったメンバーが担当になります1。
「担当」のフィルターを使えば、自分が担当するチャットだけを表示できます1。

最初に送った人が自動で担当になる仕組みは、朝の混雑時には意図しない割り振りを生みます。
たまたま手が空いていた人が一言返しただけで、その取引先の担当になってしまうからです。
そのため、朝が始まる前に取引先ごとの担当を決めて設定しておくほうが、混雑の中で迷いません。
配送ルート別や商品分野別など、社内ですでにある分け方に合わせると、担当者が自分のフィルターだけを見て作業を進められます。

ここまでの三つで変わるのは、「どれが未処理か」「誰がやるか」が見えることです。
注文を受注表やシステムへ書き写す転記の手間は、この段階ではそのまま残ります。

応答メッセージ・要対応/対応済み・担当者設定が減らすものと残るものの比較(模式図)
応答メッセージは受付返信の手間、要対応/対応済みは未処理の見落とし、担当者設定は二重対応を減らすが、内容確認と転記は人に残ることを示す図
▼ 図の内容を文字で読む
  • 応答メッセージ
    • 減る:受け取ったことを知らせる返信を人が打つ手間
    • 残る:注文の内容の確認
  • 要対応/対応済み
    • 減る:どれが未処理か分からない状態
    • 残る:どの時点で対応済みにするかの運用ルール
  • 担当者設定
    • 減る:同じ注文への二重返信と対応漏れ
    • 残る:受注表やシステムへの転記

無料範囲の上限に当たったとき:タグ・ノート・履歴の制限と有料オプション

無料範囲の上限(タグ・ノート・履歴)

状態と担当を使い始めると、「この取引先は聞き返し中」「この取引先は単位をケースで書いてくる」といった、もう一段細かい情報を残したくなります。
LINE公式アカウントでは、その役割をタグとノートが担いますが、無料範囲には上限があります。

・タグ:作成できるのは5個まで、1ユーザーに付けられるのは1個まで1
・ノート:1チャットルームにつき1件まで1
・チャット履歴の保存期間:6か月2

朝の運用で効いてくるのは、タグが1ユーザーに1個までという点です。
タグを押すと、そのタグが付いた相手のチャットルームを検索できます1。
「要確認」のタグを付ければ聞き返し中の注文を一覧で拾えますが、同じ相手に「配送ルートA」のような区分のタグは同時に付けられません。
注文の状態と取引先の区分のどちらをタグで持つかを、先に決めておく必要があります。

ノートは、チャット履歴を削除しても保持される記録です1。
「単位はケースで書いてくる」「月末は納品日の指定が多い」といった申し送りを残すのに向いていますが、無料範囲では1ルーム1件です。
1件の中に複数の申し送りを書き足していく使い方になり、長くなるほど朝に読み返す手間が増えます。

チャットProオプションで変わること

上限が足りないときの手段として、LINEヤフーはチャットProオプションを用意しています。
料金は月額3,000円(税別、2026年11月時点)で、タグの作成数が300個、1ルームのタグ数が30個、ノートが1,000件、チャット履歴の保存期間が最長5年に広がります2。
AIチャットボット(β)とカスタムフィルターも追加されます2。
契約中の月額プランに関係なく契約でき、コミュニケーションプランのままでも申し込めます2。

タグを1ルームに複数付けられるようになると、「要確認」と「配送ルートA」を同じ相手に並べて付けられます。
状態と区分を掛け合わせて絞り込めるので、たとえば担当者が「自分のルートで、聞き返し中のもの」だけを朝いちばんに拾う、といった使い方ができます。
一方で、これは整理と検索の幅が広がる変更であり、注文の内容を受注表へ写す作業を肩代わりするものではありません。

取引先数による選び分け

無料範囲で足りるかどうかは、取引先の数そのものより、一人の相手について同時に持ちたい情報の数で決まります。
取引先が少なく、タグを「要確認」の一つだけで運用できるなら、無料範囲で回せます。
朝の取引先が多く、担当者ごとの区分と注文の状態を同時に絞り込みたい、あるいは取引先ごとに複数の申し送りを残したい場合は、月々の追加費用と朝の手間の釣り合いを考える段階です。

判断の目安になるのは、前の節で付けた記録です。
聞き返し中の注文を探すのに時間がかかっている、担当の区分を毎朝頭の中で付け直している、という状態が記録から見えるなら、タグの上限が詰まりの一部になっています。
反対に、記録で一番重いのが転記なら、チャットProを契約しても朝の負担はあまり変わりません。
その場合は、先に転記を減らす方法を考えたほうが、費用の使い道として筋が通ります。

履歴の保存期間も判断材料になります。
無料範囲の6か月を過ぎた注文のやり取りをLINE上で見返したい場面があるなら、保存期間の延長は意味を持ちます。
ただ、LINEのトーク履歴を注文台帳の代わりにすると、注文内容を探すたびにやり取りを遡ることになります。
注文の記録は受注表やシステム側に残し、LINEの履歴はやり取りの経緯を確かめるためのもの、と役割を分けておくと、保存期間の長さに頼りすぎずに済みます。

無料範囲とチャットProオプション(月額3,000円・税別、2026年11月時点)の上限の違い
タグは5個・1ユーザー1個から300個・1ルーム30個へ、ノートは1件から1,000件へ、履歴は6か月から最長5年へ広がることを示す図タグは5個・1ユーザー1個から300個・1ルーム30個へ、ノートは1件から1,000件へ、履歴は6か月から最長5年へ広がることを示す図タグ無料範囲:作成5個まで、1ユーザーに1個までチャットPro:作成300個、1ルーム30個ノート無料範囲:1チャットルームにつき1件チャットPro:1,000件チャット履歴の保存期間無料範囲:6か月チャットPro:最長5年

▼ 図の内容を文字で読む
  • タグ
    • 無料範囲:作成5個まで、1ユーザーに1個まで
    • チャットPro:作成300個、1ルーム30個
  • ノート
    • 無料範囲:1チャットルームにつき1件
    • チャットPro:1,000件
  • チャット履歴の保存期間
    • 無料範囲:6か月
    • チャットPro:最長5年

取引先に少し協力してもらう:締切時刻・送り方・書式のルールの頼み方

頼む順番:相手の手間が小さいものから

ここまでの設定は、取引先から見るとほとんど何も変わりません。
それでも朝の山が残り、記録で重いのが到着時刻の偏りや書き方のばらつきなら、受ける側の設定だけでは動かせない部分に当たっています。
取引先に協力を頼むなら、相手の手間が小さいものから順に出していくのが無理のない進め方です。

1. 受付時間と返信の目安を知らせる:相手の送り方は変えず、いつ確定の連絡が来るかを伝えるだけ
2. 前日夜までの送信をお願いする:送る時刻だけを、できる範囲で前にずらしてもらう
3. 書式をそろえてもらう:送る内容の並びを決め、毎回その形で書いてもらう
4. フォームを併用してもらう:注文だけは入力フォームから送ってもらい、LINEは連絡用に残す

1つ目は、応答時間の設定で時間外の応答方法を切り替えられるため1、受付時間と確定連絡の目安を自動で伝える文面に組み込めます。
取引先は読むだけで、新しく覚えることはありません。
2つ目以降は、相手の作業そのものを少しずつ変えてもらう依頼です。
番号が後ろになるほど受ける側で減らせる作業は増えますが、相手の手間も増えます。

前日夜までの送信と書式の例

前日夜までの送信は、締切として言い切るより、早く送ったときの利点として伝える書き方があります。
たとえば、応答メッセージや取引先への案内に、次のような文を入れます。

「前日20時までにいただいたご注文は、翌朝9時までに確定のご連絡をします。
20時以降のご注文もお受けしますが、確定のご連絡が遅くなる場合があります。」

受けないとは言わず、時刻によって確定の連絡が変わることだけを伝える形なので、相手の発注の自由を狭めずに済みます。
ここで示す時刻は、自社が実際に守れる処理の時刻から逆算して決めます。

書式は、受ける側が転記するときの項目の順に合わせると、読み取りから打ち込みまでの流れがそろいます。
たとえば受注表が「納品日・品名・数量・単位・備考」の順なら、LINEで送ってもらう形も同じ並びにします。

【注文】
納品日:○月○日
品名:
数量:
単位:
備考:

この雛形を一度トークで送っておけば、相手はそれをコピーして使えるので、毎回思い出して書く手間をかけずに済みます。
項目が埋まっていれば、受ける側は空欄を見るだけで聞き返しが要るかを判断できます。

一度に全取引先へ広げず、反応を見る

締切や書式の依頼をどう受け止めるかは、取引先の規模や取引上の関係によって変わり、一律の正解はありません。
受ける側の都合で一斉に変更を知らせると、取引先によっては発注の手間が増えたと感じるかもしれません。

そこで、記録で聞き返しが多かった取引先や、朝の集中の山を作っている取引先から、数社に絞って試します。
依頼するときは、「こちらの確認を早めて、確定のご連絡を早く返せるようにするため」と、相手にとっての利点を先に伝えます。
2〜3週間ほど様子を見て、送る時刻や書き方が変わったか、相手から困りごとが出ていないかを確かめてから、ほかの取引先へ広げるかを決めます。
相手が応じにくい事情を話してくれた場合は、その取引先だけ従来どおり受けることも選択肢です。

取引先への依頼を相手の手間が小さい順に並べた模式図
受付時間の案内、前日夜までの送信、書式の統一、フォームの併用の順に、相手の手間が増えていくことを示す図1受付時間と返信の目安を知らせる2前日夜までの送信をお願いする3書式をそろえてもらう4フォームを併用してもらう

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 受付時間と返信の目安を知らせる
    • 相手は読むだけで送り方は変わらない
  2. 前日夜までの送信をお願いする
    • 送る時刻だけを前にずらしてもらう
  3. 書式をそろえてもらう
    • 決めた並びで毎回書いてもらう
  4. フォームを併用してもらう
    • 注文だけ入力フォームから送ってもらう

LINEのまま自動化する場合:Webhook連携でできることと、残ること

Webhookで受信して保存する流れ

チャットの状態管理と取引先の協力で、未処理の見落としや聞き返しは減らせても、届いた注文を受注表へ書き写す作業は一件ずつ残ります。
LINEのまま、この転記の部分を機械に寄せる方法が、Messaging APIのWebhook連携です。
Webhookは、LINE上で何かが起きたときに、あらかじめ指定したURLへ通知を送る仕組みのことです。

取引先がメッセージを送ると、LINEのプラットフォームから指定したWebhook URLへ、HTTP POSTでイベントが届きます4。
受け取る側のプログラムは、処理の前に署名を検証し、本当にLINEから届いた通知かを確かめます4。
イベントは非同期で処理することが推奨されています4。
ここでいう受け取る側は、自社で用意するプログラムか、Webhookに対応した外部ツールです。

注文の取り込みで特に重要なのは、テキストメッセージは後から再取得できず、Webhookで受け取った時点で保存しておく必要があることです4。
画像や動画、音声、ファイルも、一定期間が過ぎると自動で削除されます4。
手書きの注文書を写真で送ってくる取引先がいる場合は、受信時に画像そのものも保存する設計にしておかないと、後で見返せなくなります。

取りこぼしへの備えも要ります。
Webhookの再送は初期設定では無効で、有効にしても再送の回数や間隔は公開されておらず、確実に再送される保証はありません4。
受け取り側が止まっていた時間の注文は、LINEの画面と取り込んだ記録を突き合わせて確かめる手順を残しておくことになります。
反対に、同じイベントが二度届いた場合は、イベントごとの識別子であるwebhookEventIdで重複を見分けられます4。

通数にカウントされる送信とされない送信

自動化で返信を増やすときは、送り方によって費用の扱いが変わります。
Messaging APIのうち、受け取ったメッセージに返すReply APIは、メッセージ通数に数えられません3。
一方、こちらから任意のタイミングで送るPushや、複数の相手へ送るMulticast、Broadcast、Narrowcastは、送った回数×友だち数で通数に数えられます3。

受注の流れに当てはめると、注文が届いた直後の受付の返事は返信として送れるため通数に入りません。
一方、確認を終えてから送る確定の連絡を、相手の発言とは別にこちらから送る場合はPushになり、通数に数えられます。
確定連絡の件数が多いなら、自動化の設計段階で、どの連絡をどの方法で送るかを決めておくと、毎月の通数を見積もりやすくなります。

自動化しても残る確認作業

Webhookで実現できるのは、注文のメッセージを受信して外部に保存するところまでです。
「ほうれん草3ケース、明日」のような自由な文面から、品名と数量と納品日を正しく読み取れるかは、仕組みの作り方と送られてくる文面の形しだいです。
前の節の書式がそろっているほど機械で項目に分けやすく、ばらばらなほど人の確認が残ります。
取引先への書式の依頼と自動化は、どちらか一方を選ぶものではなく、組み合わせて効いてくる関係にあります。

取り込んだ内容を受注表やシステムへ入れる前に、誰が、どの画面で、何を照合するかも決めておく必要があります。
自動で項目に分けた結果が元の文面と合っているかを人が確かめる工程を残すなら、減るのは打ち込みの手間で、確認の手間はある程度残ります。
また、手動でのチャット対応と連携を同じアカウントでどう両立させるかは、設定によって動きが変わる可能性があるため、導入前に提供元の仕様やツールの説明で確かめておきます。
開発や外部ツールの利用には費用と手間がかかり、その額は作り方や選ぶツールによって大きく違います。

LINEを続けるか、フォームや受発注システムを併用・移行するか:判断の条件

LINEの運用だけでは限界に近いサイン

ここまでの手段を順に試しても、朝の未処理がなくなる時刻が遅いまま、転記の訂正も減らない。
そうなったときに考えるのが、LINEとは別の受付方法を併用するか、移すかです。
次のような状態が重なっているほど、LINEの運用だけで支えるのは難しくなります。

・同じ注文を、受注表と販売管理や会計のシステムへ二度以上打ち込んでいる
・取引先の数や朝の注文量が増え続けていて、担当を分けても追いつかない
・商品の種類や規格が多く、品名の書き違いによる聞き返しが書式の依頼後も残る
・書式やフォームの依頼に応じてくれる取引先が多く、相手の協力を得やすい

最後の項目は、限界のサインというより移行のしやすさの条件です。
手間がかかっていても、取引先の多くが今の送り方を変えにくい事情を抱えているなら、LINEで受けたまま転記を自動化する方向が現実的になります。
反対に、協力を得やすい関係なら、注文だけをフォームや受発注システムに移し、LINEは確認や相談の連絡に残す併用が選べます。

3つの段階を比べる

ここまでの手段は、取引先にどこまで頼むかで3つの段階に分けられます。
相手の負担と自社の手間、費用、転記に効くかどうかを並べると、次のようになります。

判断が分かれるのは、転記に効くかどうかの列です。
LINE公式アカウントのチャット機能は、未処理の状態と担当を整理するための機能で、文面を受注表へ写す作業を代わりに行うものではありません。
ミラサポplusが電話やFAXについて指摘する手入力の転記のリスク6は、LINEで受けても転記を人が続ける限り残る、というのが二つの資料を合わせた見方です。
記録で一番重い原因が転記だったなら、第1段階を整えたあとは、第2段階の書式の依頼か、第3段階の連携やフォームへ進む必要があります。

データ連携の実証が示すこと、示さないこと

受発注をデータでつなぐと、どの程度の効果がありうるのかは、公的な実証が一つの手掛かりになります。
中小企業庁のミラサポplusは、平成28年度補正の事業として行われた受発注データ連携の実証プロジェクト12件(自動車、水インフラ、農林水産、輸出、卸・小売、サービスの6業界)で、中小企業の業務時間が平均51.4%削減されたと紹介しています6。

Overhead shot of two colleagues collaborating with devices and notes in a business meeting.
▽ 写真の出典元

ただし、これは企業間で受発注のデータを直接やり取りする仕組みの実証で、LINEの運用改善の効果ではありません。
測定方法や対象企業数、期間の記載もありません。
読み取れるのは、手入力の転記をなくす方向の仕組みには業務時間を大きく減らした例がある、というところまでです。
自社でフォームやシステムへ移したときに同じ程度の削減が見込めるかは、この数値からは判断できず、移す前と後の記録で確かめることになります。

段階 相手の負担 自社の手間 費用 転記に効くか 根拠
取引先に頼まない なし 設定と朝の運用ルール作り 無料範囲。上限が足りなければチャットProオプション月額3,000円(税別) 直接は減らない LINE公式アカウントの仕様(効果は編集部の提案・未検証)
少し頼む 送る時刻や書き方を変えてもらう 依頼文と雛形の用意、反応の確認 ツール費用は増えない 直接は減らない(読み取りがそろう) 編集部の提案(未検証)
別手段を併用する Webhookならなし。フォームなら入力方法を覚えてもらう 開発やツール選定、照合手順の設計 開発や外部ツールの費用(額は条件しだい) 打ち込みを減らせる Messaging APIの仕様。データ連携の実証はLINEの効果ではない

外部ツールを使う前に:個人情報の取扱いで確認すること

注文のやり取りには取引先担当者の情報が含まれる

Webhook連携や外部ツールを選ぶと、LINEの注文のやり取りが自社の外にあるサービスへ渡ります。
そのやり取りには、取引先の担当者の名前やLINEのアカウント、署名に書かれた電話番号などが含まれることがあります。
取引先が法人であっても担当者個人に関する情報が含まれるため、外部へ渡す前に、個人情報の扱いとしてどう整理するかを決めておく必要があります。

委託として扱うときに委託元がすること

個人データの取扱いを外部のツール提供者に任せる場合、個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、委託元に委託先の監督を求めています5。
中身は三つです。

・委託先の選定:任せる前に、委託先の安全管理措置を確かめる
・委託契約の締結:取扱いの条件を契約で定める
・取扱状況の把握:任せた後も、どう扱われているかを把握する

さらに、委託先がほかの事業者へ再委託する場合は、事前に報告を受けて承認する形で確かめることが望ましいとされています5。
外部ツールでいえば、利用規約やセキュリティに関する説明、データの保管先、契約の形を、導入を決める前に確かめる作業がこれに当たります。
委託の範囲内で個人データを渡す場合、渡す先は第三者に当たらないと整理されています5。

ツール提供者がデータを自社の目的で使う場合

注意したいのは、ツールの提供者が、預かったデータを自社のサービス改善など独自の目的にも使う条件になっている場合です。
この場合は、委託の範囲内として整理できるかどうかが変わり、第三者提供としての整理が必要になる可能性があります。
ガイドラインは、原則として本人の同意なく個人データを第三者に提供できないとし、第三者提供を想定する場合は利用目的でその旨を特定しておく必要があるとしています5。

海外の事業者のサービスを使う場合の扱いなど、ここで触れていない論点もあります。
どちらに当たるかは、事業の状況やツールの利用条件によって変わるため、この説明は判断の手掛かりにとどめ、迷う場合は専門家に確かめてください。

効果の確かめ方:朝の処理時間と誤りを測り、見直す

測る指標は4つ

対策を入れたあとに朝が楽になったかどうかは、入れる前と同じ物差しで比べないと分かりません。
最初に付けた1週間の記録を土台に、次の4つを追います。

・未処理ゼロの時刻:「要対応」が0件になった時刻
・返信までの時間:注文が届いてから確定の連絡を返すまでの時間
・転記の訂正件数:受注表やシステムに入れた後で直した件数
・担当者の負担:朝の作業に入った人数と、それぞれがLINEに費やした時間

未処理ゼロの時刻と返信までの時間は、チャットの「要対応」の一覧と、記録の受信時刻から拾えます。
訂正件数は、受注表の修正履歴か、訂正したときに印を付ける運用で数えます。
4つ目は数字にしにくい場合、各自が朝の終わりにLINEに向かっていた時間を大まかに書くだけでも比較の材料になります。

変えるのは一度に1つ、1〜2週間ずつ

応答メッセージ、担当の設定、タグの運用、取引先への依頼を同時に始めると、良くなっても悪くなっても、どれが効いたのか分かりません。
一つ変えたら1〜2週間記録し、前の期間と比べてから次を変えます。
取引先への依頼も、数社ずつ広げていけば、どの取引先で効いたかを追えます。

比べた結果、変化が見えない対策は、やめるか形を変える判断をします。
たとえば応答メッセージを入れても返信までの時間が縮まらないなら、時間を食っているのは受付の返信ではなく、内容の確認や転記の側にあると読めます。
その場合は、タグの運用や取引先への書式の依頼、転記の自動化へ、記録が示す原因に沿って次の手を選びます。

曜日と月末の波を読み違えない

受注の量は、曜日や月末、季節によって波があります。
月曜に週末分がまとめて届く、月末は締めに合わせて注文が増える、といった取引先がいれば、対策の前後で期間の位置がずれるだけで数字が動きます。
比べるときは、同じ曜日どうし、月末を含むかどうかをそろえて見るようにします。

Close-up of a businessman taking notes in a notebook at a desk.
▽ 写真の出典元

件数そのものが増えた週は、未処理ゼロの時刻が遅くなっても、対策が効いていないとは限りません。
1件あたりの処理時間や、件数あたりの訂正の割合に直して見ると、量の波に左右されにくくなります。
数値の目標を最初から決めるより、記録が示す変化を見ながら、LINEの運用で続けるか、別の受付方法を併用するかを判断し直していくほうが、自社の朝に合った形を見つけやすくなります。

朝の詰まりがどの原因に偏っているかは、自社の注文の記録と、使っている受注表やシステムの流れを並べてみないと判断しにくいため。

記録をもとに、LINE公式アカウントの設定で整えられる範囲と、転記を減らす仕組みが必要な範囲を切り分けて確かめられます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
原因の切り分け 1週間の記録で、到着時刻・書き方・転記・担当の集中のどれが重いかを数える
最初の手当て 応答メッセージ、要対応/対応済み、担当者の事前設定で未処理と担当を見える化する
有料オプションを考える時 1人の相手に状態と区分を同時に付けたい、申し送りを複数残したい
取引先への依頼 受付時間の案内、前日夜の送信、書式、フォームの順に、数社で試す
転記が重い時 Webhookで受信時に保存し、項目分けの結果を照合する工程を残す
外部ツール 委託先の選定・契約・取扱状況の把握と、提供者の独自利用の有無
効果の確認 変えるのは一度に1つ、曜日と月末をそろえて比べる

Webhook連携やフォームの併用は、取引先の協力の得やすさや転記先のシステムによって適した形が変わり、外部ツールを使うなら個人情報の扱いの整理も要るため。 今の受注の流れを前提に、LINEを続けるか、別の受付方法を併用するかを決めるための条件を整理できます。

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よくある質問

応答メッセージで「受付済み」を返すと、メッセージ通数の費用は増えますか。

増えません。
応答メッセージ、あいさつメッセージ、チャットでの送受信、Messaging APIのReply APIは、メッセージ通数に数えられません3。
一方、こちらから任意のタイミングで送るPushやMulticast、Broadcast、Narrowcastは、送った回数×友だち数で数えられます3。
自動化で確定の連絡を後から送る場合は、送り方によって扱いが変わります。

チャットProオプションを使うには、月額プランを上げる必要がありますか。

必要ありません。
チャットProオプションは月額プランとは別の料金体系で、契約中の月額プランに関係なく契約でき、コミュニケーションプランでも契約できます2。

取引先に締切時刻を伝えたら、反発されたり注文が減ったりしませんか。

受け止め方は取引先の規模や取引上の関係で変わり、一律には言えません。
締切で注文を断る形ではなく、早く送ると確定の連絡が早く届くという利点として伝え、時間外の注文も受ける旨を添えると、相手の自由を狭めずに済みます。
まず数社で試し、相手の反応を見てから広げる進め方をおすすめします。

LINEの注文履歴は、どのくらいの期間残りますか。

LINE公式アカウントのチャット履歴の保存期間は、無料範囲で6か月、チャットProオプションで最長5年です2。
Webhookで取り込む場合、テキストメッセージは後から再取得できず、画像やファイルも一定期間後に自動で削除されるため、受信した時点で保存しておく必要があります4。
注文の記録そのものは、LINEの履歴に頼らず受注表やシステム側に残しておくと探しやすくなります。

個人のLINEアカウントで受注している場合、公式アカウントに切り替えるべきですか。

この記事で紹介した要対応・対応済み、担当者の設定、タグ、ノート、応答時間の設定は、LINE公式アカウントのチャット機能です1。
複数人で朝の注文を分担し、未処理を一覧で確かめたい場合は、これらの機能を使える公式アカウントでの受付を検討する理由になります。
切り替える場合は、取引先に新しいアカウントを友だち追加してもらう手間がかかる点も考えに入れてください。

注文を外部ツールに取り込むとき、取引先担当者の名前や連絡先の扱いで何に注意しますか。

外部ツールに個人データの取扱いを任せる場合、委託元として、委託先の選定、委託契約の締結、取扱状況の把握が求められます5。
加えて、ツールの提供者が預かったデータを独自の目的にも使う条件になっていないかを、利用規約で確かめます。
独自の目的で使う場合は委託として整理できるかが変わるため、判断に迷うときは専門家に相談してください。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

> プロフィールの詳細を見る

  1. 1 出典:LINEヤフー「LINE公式アカウント マニュアル チャット」(2026年11月閲覧)
  2. 2 出典:LINEヤフー「LINE公式アカウント チャットProオプション」(2026年11月閲覧)
  3. 3 出典:LINEヤフー「LINE公式アカウント 料金プラン」(2026年11月閲覧)
  4. 4 出典:LINEヤフー(LINE Developers)「Messaging API ドキュメント メッセージ(Webhook)を受信する」(2026年11月閲覧)
  5. 5 出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(2026年11月閲覧)
  6. 6 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(2020年)

画像の出典元

  1. Close-up of individual writing on a clipboard at a desk with office supplies./Photo by Tima Miroshnichenko on Pexels
  2. Overhead shot of two colleagues collaborating with devices and notes in a business meeting./Photo by fauxels on Pexels
  3. Close-up of a businessman taking notes in a notebook at a desk./Photo by Vitaly Gariev on Pexels

Photos provided by Pexels

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

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