まずは卸売ECを小規模でスタートしたい方へ。リーズナブルなSaaS(ASP)版『EC-Rider Primo(プリモ)』誕生! 詳しくはこちら

食材発注のリスクと対策|廃棄・欠品・伝達ミス・価格変動を優先順位で減らす

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 食材の発注リスクは、数量判断・伝達・仕入先と納品・価格の4つに分けると、どこで損をしているかが見える。
  • 外食の廃棄には食べ残しや仕込みロスもあるため、廃棄の段階を記録して、発注で減らせる在庫段階の分を切り分ける。
  • 直近1〜2か月の廃棄・欠品・行き違いを記録し、頻度と自店の原価による損失額で優先順位を付ける。
  • 発注量は曜日別の使用量と納品までの日数から発注点や定数で決め、伝達は控えを残して納品時に突き合わせる。
  • 主要品目の代替品・代替仕入先と価格の見直し周期を平常時に決め、月に一度の記録の見直しで次に手を打つ先を選ぶ。

Chef busy at work in a commercial kitchen, preparing dishes while wearing a protective mask.
▽ 写真の出典元

食材の発注リスクは4つに分けて見ると、どこで損をしているかが分かる

昨日は足りずに売り切れを出し、今日は余った葉物を捨てる。
納品が届いてから、頼んだはずの品が入っていないと気づく。
食材の発注で起きる困りごとは、数量の判断、注文の伝達、仕入先と納品、価格の4つに分けると、どこで損をしているかが見えてきます。
ただし外食の廃棄には食べ残しや仕込みロスもあるため、先に発注で動かせる範囲を切り分けます。
そのうえで自店の廃棄・欠品・行き違いを記録し、頻度と損失額の大きいものから手を打つのが近道です。

数量判断のリスク(廃棄と欠品)

発注量が決まるのは、多くの場合、仕入先の締め切り前の短い時間です。
冷蔵庫の残りを見て、明日の予約や天気を思い浮かべ、いつもの量に少し足すか引くかを決める。
この判断が外れたときの損は、外れた向きによって形が変わります。

多すぎれば、使い切れなかった分が廃棄になります。
生鮮品なら数日で傷み、冷凍品でも保管場所を埋めて、ほかの食材の置き場を奪います。
少なすぎれば欠品になり、注文を受けられなかった料理の売上がそのまま失われます。

厄介なのは、二つの損の見え方が違うことです。
廃棄は捨てた食材として目に見え、原価として数えられます。
一方で欠品の損は帳簿に残りません。
品切れのあとに断った注文は、誰かが書き留めない限り、どこにも数字として出てこないためです。

同じ判断から正反対の損が生まれるので、廃棄だけを減らそうと発注を絞ると欠品が増え、欠品を恐れて多めに頼むと廃棄が増えます。
数量判断のリスクは、廃棄と欠品を同じ記録の上で並べて見たときに、初めて釣り合いを取れるようになります。

伝達のリスク(注文の行き違い)

店で決めた数量が、そのまま仕入先に届くとは限りません。
電話で伝えた数字が聞き違えられる、FAXの手書きの数字が読み違えられる、ケースなのか個なのかという単位があいまいなまま伝わる。
どれも、発注量の判断そのものは正しかったのに、届く量や品物が違ってしまう失敗です。

伝達の行き違いは、納品のときに初めて表に出ることが多いのが困るところです。
足りなければその日の営業に響き、多すぎれば返品の相談か、使い道を探す手間が生まれます。
結果だけを見ると数量判断の失敗と区別がつきにくいのですが、原因が違うので効く対策も違います。
発注量のルールをいくら整えても、伝え方がそのままなら同じ行き違いは繰り返されます。

仕入先・納品のリスク

店の判断も伝達も正しかったのに、仕入先の側で品切れが起きる、配送が遅れる、届いた品の規格や状態が想定と違う、ということもあります。
天候で産地の出荷が減る、物流が混み合うといった事情は、店から動かせるものではありません。

このリスクで損が膨らむのは、欠品そのものよりも、その場で代わりを探す手間と、急ぎの調達で割高に買ってしまうことです。
原因を動かせない以上、店にできるのは起きたときの手順を先に決めておくことになります。

価格のリスク(原価悪化)

同じ量を同じ仕入先から買っていても、仕入価格が上がれば原価率は悪化します。
請求書を月末にまとめて見るだけだと、どの品目がいつから上がったのかに気づくのが遅れ、メニューの価格や仕様を見直す判断も遅れます。

4つを並べると、廃棄と欠品は量の損、行き違いは手戻りの損、仕入先の欠品や遅延は代替調達の損、価格は単価の損です。
同じ発注の困りごとでも損の現れ方が違うため、どの記録を取れば見えるかも違ってきます。
この分け方は対策を選びやすくするための整理で、次の節以降は、この4つのどれが自店で大きいかを確かめる流れで進みます。

発注の4つのリスクと、つながる損・見えるようになる記録(模式図)
数量判断・伝達・仕入先と納品・価格の4つのリスクごとに、起きる損と、それを見つけるための記録を並べた図数量判断・伝達・仕入先と納品・価格の4つのリスクごとに、起きる損と、それを見つけるための記録を並べた図数量判断多すぎれば廃棄少なすぎれば欠品廃棄・欠品の記録伝達届く量や品物が違う手戻り行き違いの記録仕入先・納品品切れ・遅れで代わりを探す手間急ぎの調達で割高行き違いの記録価格単価が上がり原価率が悪化主要品目の単価の記録

▼ 図の内容を文字で読む
  • 数量判断
    • 多すぎれば廃棄
    • 少なすぎれば欠品
    • 廃棄・欠品の記録
  • 伝達
    • 届く量や品物が違う手戻り
    • 行き違いの記録
  • 仕入先・納品
    • 品切れ・遅れで代わりを探す手間
    • 急ぎの調達で割高
    • 行き違いの記録
  • 価格
    • 単価が上がり原価率が悪化
    • 主要品目の単価の記録

外食の食品ロスは発注だけでは減らない部分がある。まず発注で動かせる範囲を切り分ける

廃棄の原因は発注とは限らない

環境省は、令和6年度の事業系食品ロスの発生量を237万トンと推計しています1。
これは食品の製造や小売なども含めた事業系全体の量で、外食産業だけの量ではありません。
そのうえで環境省は、外食産業で食品ロスの原因として考えられるのは食べ残しと仕込みロスだと説明しています1。

ここから読み取れるのは、店で出る廃棄のすべてが発注の読み違いから来ているわけではない、ということです。
皿に残って下げられてきた料理は、提供量や料理の構成の問題かもしれません。
仕込みの段階で切り落とす部分が多い、作り置きが営業終了までに出きらないといった廃棄は、調理や仕込み量の判断の問題です。

環境省は外食産業の取組として調理ロスの削減や提供サイズの調整を挙げ、業種に共通する取組として需要予測の精度向上や、返品・過剰在庫の削減といった商慣習の見直しを挙げています1。
発注の見直しが直接効くのは、このうち在庫として抱えたまま使い切れなかった分です。
食べ残しや仕込みロスまで発注量で減らそうとすると、必要な食材まで削ってしまい、前の節で見た欠品を招きかねません。

発注で動かせる廃棄を記録で見分ける

切り分けに必要なのは、廃棄を記録するときに、どの段階で捨てたかを一つ書き添えることです。
段階は大きく三つに分けられます。

  • 未使用のまま期限切れや傷みで捨てた(在庫の段階)
  • 仕込みの途中や仕込み済みで余って捨てた(仕込みの段階)
  • 提供したあとに残って戻ってきた(食べ残しの段階)

発注のルールで減らせるのは、主に一つ目です。
二つ目は仕込み量や作り置きの判断、三つ目は盛り付けの量やメニューの構成を見直す話になります。
どの段階の廃棄が多いかは店によって違い、公的な資料から自店の内訳を推し量ることはできません。
自店の記録で確かめるのがいちばん確実です。

もう一つ見ておきたいのが、在庫の段階の廃棄のうち、注文より多く届いた分です。
頼んだ量を読み違えたのではなく、伝達の行き違いで余計に届いた食材が残ったのなら、発注量を減らしても解決しません。
廃棄の記録に、届いた量が注文どおりだったかを合わせて残しておくと、数量判断の問題と伝達の問題を分けて扱えます。
こうして発注で動かせる廃棄だけを取り出しておけば、次に優先順位を付けるときの数字が、手を打つ先と一致するようになります。

廃棄の段階別に見た原因と、効きやすい対策の向き先
在庫・仕込み・食べ残しの3つの段階ごとに、考えられる原因と、向ける対策を並べた図在庫・仕込み・食べ残しの3つの段階ごとに、考えられる原因と、向ける対策を並べた図在庫の段階期限切れや傷みで捨てた:発注量のルールで減らす注文より多く届いた:伝達の確認で防ぐ仕込みの段階仕込み量や作り置きの判断:調理ロスの削減食べ残しの段階提供量や料理の構成:提供サイズの調整

▼ 図の内容を文字で読む
  • 在庫の段階
    • 期限切れや傷みで捨てた:発注量のルールで減らす
    • 注文より多く届いた:伝達の確認で防ぐ
  • 仕込みの段階
    • 仕込み量や作り置きの判断:調理ロスの削減
  • 食べ残しの段階
    • 提供量や料理の構成:提供サイズの調整

自店でどのリスクから手を打つか。頻度と損失額で優先順位を付ける

1〜2か月の記録の取り方

4つのリスクのどれが大きいかは、店の規模や業態、仕入先との付き合い方で変わります。
一般論で順番を決めるより、自店で実際に起きたことを数えるほうが確かです。
目安として、直近の1〜2か月分を記録します。
曜日による使用量の違いや、月末・月初の動きが一通り含まれる長さだからです。

記録する項目は、次の3種類で足ります。

  • 廃棄:日付、品目、量、捨てた段階(在庫・仕込み・食べ残し)、届いた量が注文どおりだったか
  • 欠品:日付、品目、品切れになったおおよその時刻、品切れのあとに断った注文の数
  • 行き違い:日付、仕入先、内容(数量違い・品違い・単位違い・未着・遅延)、その場でとった対応

これに加えて、主要な品目だけでも納品書や請求書から単価を書き写しておくと、価格のリスクも同じ表で比べられます。
道具は紙の記録表でも表計算ソフトでも構いません。
大事なのは、廃棄・欠品・行き違いを別々のノートに散らさず、同じ期間について並べられる形にしておくことです。

欠品の記録はとくに抜けやすい項目です。
品切れはホールで起き、発注は厨房や事務所で決まるので、品切れを知った人が書き残さない限り、発注する人の目に届きません。
品切れを伝える札を出したときに、同じ場所の記録表へ一行書く、という程度の決まりにしておくと続けやすくなります。
開店して間もない店で1〜2か月分の履歴がない場合も、待たずに今日から記録を始めれば、数週間で傾向が見え始めます。

原価で損失を見積もる

件数だけで並べると、頻繁に起きる小さな失敗が上位に来て、まれでも一回の損が大きい失敗を見落とします。
そこで、1回あたりの損失額を見積もり、件数と掛け合わせて合計で比べます。
見積もりの基準は自店の原価です。
外部の相場や他店の数字は、仕入先も規格も違うので使いません。

廃棄は、捨てた量に仕入単価を掛ければ求められます。
欠品は帳簿に出ないため、品切れのあとに断った注文の数に、その料理の原価を掛けて概算します。
実際には売上ごと逃しているので、本当の損はこの概算より大きい、と意識しておけば足ります。
行き違いは、返品できずに残った分の原価、急ぎで別の店から買った差額、取りに行ったり電話で調整したりした手間を書き出します。
価格は、前回からの単価の上がり幅に、その期間の使用量を掛けると、上がった分の負担が分かります。

並べた結果から手を打つ先を選ぶ

合計額で並べると、多くの店ではいくつかの品目とリスクが上位に固まって見えてくるはずです。
ここで合計額と同じくらい役に立つのが、頻度と1回の大きさのどちらで合計が膨らんでいるかという点です。
頻繁に起きる小さな失敗は、毎回の判断や確認のしかたをルールにすることで減らしやすい種類の損です。
まれでも一回が大きい失敗は、ルールで発生を抑えるより、起きたときの手順を先に決めて損を小さくするほうが向いています。

上位に来たのが在庫段階の廃棄や欠品なら、次の節の発注量の決め方から読むと効率的です。
数量違いや品違いが目立つなら伝達と納品時の確認へ、仕入先の品切れや単価の上昇が大きいなら、その次の備えの節へ進んでください。
どこから手を付けても、使う記録は同じものです。

50代後半の日本人女性が小売店のバックヤードでの発注をしている場面

廃棄と欠品を減らす発注量の決め方

使用量・締め時刻・納品日数を記録する

環境省は業種共通の取組として、需要予測の精度向上と、過剰在庫を減らす商慣習の見直しを挙げています1。
飲食店の発注に置き換えると、需要予測は特別な計算よりも、品目ごとにどれだけ使っているかを曜日別につかむことから始まります。
平日と週末、雨の日と晴れの日で使う量が違うのに、毎回同じ量を頼んでいれば、どこかの曜日で余り、どこかの曜日で足りなくなります。

発注量を決めるのに、品目ごとに次の4つを控えておきます。

  • 曜日別の使用量:前の節の記録と在庫の減り方から、曜日ごとのおおよその量をつかむ
  • 仕入先の締め切り時刻:何時までに頼めば、いつ届くのか
  • 最低発注単位:ケース単位、箱単位など、それより小さくは頼めない単位
  • 発注から納品までの日数:頼んでから店に届くまでに何日かかるか

締め切り時刻と納品までの日数が分かると、いま頼む量が、いつからいつまでの営業をまかなうのかがはっきりします。
たとえば今日の締め切りで頼んだ品が明後日に届くなら、今日の発注は明後日から次の納品までの分です。
明日の分は、すでに手元にある在庫でまかなうしかありません。
この区切りがあいまいなまま発注すると、目の前の冷蔵庫の残りだけを見て量を決めることになり、読み違いが起きやすくなります。

最低発注単位は、廃棄の原因が数量判断ではなく単位にある場合を見分けるのに役立ちます。
必要な量が一ケースに満たないのに一ケースで頼むしかない品目は、いくら予測を磨いても余りが出ます。
その場合は、ほかのメニューで使い回せるか、小さな単位で扱う仕入先がないかといった、発注量以外の手を考えることになります。

発注点と定数の決め方

記録がそろったら、品目ごとに発注の基準を決めます。
よく使われる考え方は二つあります。

一つは発注点です。
在庫がこの量を下回ったら発注する、という目安の量を品目ごとに決めておく方法です。
目安は、発注してから届くまでの日数に1日あたりの使用量を掛けた分に、読み違いに備えた余裕分を足して考えます。
保存が利き、毎日は頼まない品目に向いています。

もう一つは定数です。
品目ごとに、発注のたびに在庫を戻しておきたい量を決め、その量に足りない分だけを頼む方法です。
毎日や隔日で発注する品目なら、残りを数えて定数との差を書くだけになるので、担当者が替わっても同じ量が頼まれやすくなります。
曜日で使用量が大きく違う品目は、定数を曜日別に持っておくと実態に合わせやすくなります。

どちらの方法でも、余裕分をどれだけ持つかで廃棄と欠品の釣り合いが決まります。
余裕分を一度で正しく決める必要はありません。
記録を見て、欠品が続く品目は少し増やし、在庫段階の廃棄が続く品目は少し減らす、という調整を繰り返します。
予約の団体や近所の催しなど、いつもと違う需要が分かっている日は、基準の量とは別に上乗せ分として書き足し、基準そのものは動かさないでおくと、あとで記録を読み返したときに混乱しません。

ルールを変えたら、その効果は店ごとに違います。
変える前と変えたあとで、それぞれ2〜4週間の廃棄と欠品の件数・損失額を比べると、変えた品目で何が起きたかが分かります。
一度に多くの品目のルールを変えると、どの変更が効いたのか分からなくなるので、損失の大きい品目から順に手を入れるのが確かめやすいやり方です。

生鮮・冷凍・乾物で分ける

同じルールをすべての品目に当てはめると、保存性の違いでうまくいかない品目が出ます。
傷むまでの余裕が違えば、余らせたときの損と、足りなくなったときの損の重さが変わるからです。

生鮮品は使い切れる日数が短いので、余裕分は小さく持ち、そのぶん発注の回数を増やして細かく合わせるほうが廃棄を抑えやすくなります。
冷凍品は傷みにくい一方で、冷凍庫の容量という上限があります。
発注点で頼みつつ、置き場所に収まる量を上限として決めておくと、ほかの品目を押し出さずに済みます。
乾物や調味料は切らすと多くの料理に響くので、発注点を少し高めに置いて切らさないことを優先し、買いすぎは賞味期限と置き場所で抑えます。

ただし、このルールが働くのは、曜日別の使用量の記録が積み上がっていることが前提です。
メニューを大きく変えた直後や季節の変わり目は、過去の使用量が当てにならなくなります。
そうした時期は余裕分をいったん広めに取り、新しい記録がたまるにつれて元の幅へ戻していくと、欠品と廃棄のどちらにも大きく振れずに済みます。

区分 傷むまでの余裕 合う発注の考え方 余裕分の置き方 先に効く制約
生鮮 短い 定数で回数を多く頼む 小さく持つ 使い切れる日数
冷凍 長い 発注点で頼む 中程度 冷凍庫の容量
乾物・調味料 長い 発注点を高めに置く 切らさない側に寄せる 賞味期限と置き場所
生鮮・冷凍・乾物で変わる発注の考え方の違い
生鮮、冷凍、乾物・調味料の3つについて、余裕分の置き方と、先に気をつける制約を比べた図生鮮、冷凍、乾物・調味料の3つについて、余裕分の置き方と、先に気をつける制約を比べた図生鮮余裕分は小さく持つ発注の回数を増やして細かく合わせる使い切れる日数が短い冷凍発注点で頼む置き場所に収まる量を上限にする冷凍庫の容量乾物・調味料発注点を少し高めに置く切らさないことを優先する賞味期限と置き場所で買いすぎを抑える

▼ 図の内容を文字で読む
  • 生鮮
    • 余裕分は小さく持つ
    • 発注の回数を増やして細かく合わせる
    • 使い切れる日数が短い
  • 冷凍
    • 発注点で頼む
    • 置き場所に収まる量を上限にする
    • 冷凍庫の容量
  • 乾物・調味料
    • 発注点を少し高めに置く
    • 切らさないことを優先する
    • 賞味期限と置き場所で買いすぎを抑える

注文の伝達ミスと納品時の行き違いを防ぐ仕組み

口頭発注を残さない

中小企業庁のミラサポplusは、中小企業の多くが電話やFAXで受発注をしており、その内容を手入力で転記する必要があるため、ミスや書類の紛失が起こり得ると指摘しています2。
これは企業間の受発注一般についての指摘で、飲食店に限って調べたものではありません。
それでも、店から仕入先へ食材を注文する流れに当てはめると、どこで行き違いが生まれるかの見当がつきます。

電話で注文すると、店の担当者が口で伝えた数字を、仕入先の担当者が聞き取って書き留め、さらに自社の伝票や仕組みへ打ち直します。
FAXなら、店の手書きの数字を仕入先が読み取って打ち直します。
人の手で書き写す回数が増えるほど、聞き違い、読み違い、打ち間違いの機会も増えます。
しかも口頭だけの注文は、店の側に何を頼んだかの記録が残らないので、届いた量が違ったときに、どちらの誤りかを確かめる手段がありません。

店の側でできるのは、口頭だけで済ませる注文をなくすことです。
電話で頼む場合も、先に発注表へ品目・数量・単位を書いてから、それを読み上げます。
数量の後には必ずケースか個かといった単位を添え、最後に仕入先に読み返してもらいます。
営業中に思い出して追加で電話した注文も、同じ発注表へ時刻と一緒に書き足しておきます。
誰が頼んだかも書いておくと、複数の人が発注に関わる店で、同じ品を二重に頼む失敗も見つけやすくなります。

納品時に控えと突き合わせる

注文を文字で控えておく意味は、納品のときに生きてきます。
品物を受け取ったら、発注表の控えと、届いた納品書、そして現物の三つを突き合わせます。
見るのは品目、数量、単位、規格の四点です。

違いが見つかったら、その場で納品書か発注表に書き込み、仕入先へ連絡します。
時間が経つと、届いた品がすでに使われたり、冷蔵庫の中でほかの在庫と混ざったりして、何がどれだけ違ったのか確かめにくくなるからです。
書き込んだ内容は、そのまま優先順位を付けるときの行き違いの記録になります。
納品の確認と記録づけを別々の作業にしないことで、手間を増やさずに続けられます。

突き合わせが習慣になると、行き違いの原因も見えてきます。
いつも同じ品目で単位がずれるなら、発注表の書き方か、仕入先の商品の呼び方が合っていないのかもしれません。
特定の曜日に未着が多いなら、締め切り時刻や配送の段取りに無理がある可能性があります。
原因の見当がつけば、仕入先と具体的な話ができるようになります。

方式の選び方(電話・FAX・メッセージ・アプリ)

発注の方式は、店の都合だけでは決められません。
仕入先がどの方式で注文を受けられるかが先にあり、そのうえで費用と手間を比べることになります。
判断の分かれ目になるのは、注文が文字で残るかどうかと、仕入先の側で書き写しが必要かどうかです。

<!– table –>

方式 店の側に注文が文字で残るか 仕入先の側での書き写し 行き違いを減らす工夫
電話 自分で書かない限り残らない 聞き取って書き留め、打ち直す 発注表を先に書いて読み上げ、読み返してもらう
FAX 送った紙や送信の控えが残る 読み取って打ち直す 数字をはっきり書き、単位を必ず添える
メール・メッセージ 送信した文面が残る 仕入先の体制による 品目・数量・単位の書き方を毎回そろえる
発注用のアプリや受発注の仕組み 入力した内容が残る 仕入先が同じ仕組みで受けていれば減る 仕入先の対応状況と費用、操作の手間を先に確かめる

表のとおり、文字で残る方式に切り替えると、店の側の控えの問題は解消します。
一方で、仕入先の側の書き写しが減るかどうかは、仕入先がどんな仕組みで注文を受けているかによります。
メールで送っても、仕入先がそれを見て伝票に打ち直しているなら、打ち間違いの機会は残ります。
方式を変えるときは、何の書き写しが減り、何の確認が残るのかを仕入先に聞いておくと、期待と実際のずれを避けられます。

仕入先が複数あり、方式がそれぞれ違う店も少なくありません。
すべての仕入先を同じ方式にそろえられなくても、店の中の発注表の書式を一つにしておけば、控えの取り方と納品時の突き合わせは同じ手順で回せます。
方式の統一よりも先に、店の中の手順をそろえるほうが、すぐに始められて効果も確かめやすい手です。

発注表の作成から納品時の突き合わせ、記録までの手順
発注表に書く、読み返してもらう、控え・納品書・現物を突き合わせる、違いをその場で書き込み連絡する、行き違いの記録に残す、という5つの手順を順に示した図
▼ 図の内容を文字で読む
  1. 発注表に品目・数量・単位を書く
  2. 読み上げて仕入先に読み返してもらう
  3. 控え・納品書・現物を突き合わせる
  4. 違いはその場で書き込み連絡する
  5. 行き違いの記録に残す

仕入先の欠品・遅延と価格変動への備え

代替品と代替の仕入先を決める

仕入先の品切れや配送の遅れは、店からは防げません。
損を小さくできるかどうかは、起きた瞬間に誰が何をするかが決まっているかどうかで分かれます。
決まっていなければ、仕込みの最中に電話をかけ回り、近くの店で割高な品を買い、それでも足りなければその料理を品切れにする、という流れになりがちです。

備えは、すべての品目ではなく、主要な品目に絞って用意します。
主要な品目とは、優先順位の記録で損失額が大きかった品目と、看板メニューなど切らすと影響の大きい品目です。
それぞれについて、同じ料理に使える代替品と、代わりに頼める仕入先を書き出しておきます。
代替品は、別の産地や規格の品、生鮮の代わりに使える冷凍品など、味や仕込みの手順への影響が小さいものから選びます。

代替の仕入先を持つときに引っかかりやすいのが、取引の条件です。
最低発注額があると、足りない一品目だけでは注文が受けてもらえないことがあります。
配送エリアや配送曜日、締め切り時刻によっては、頼んでも必要な日に間に合いません。
新しく取引を始めるには口座の開設などの手続きが要る場合もあります。
これらは仕入先ごとに違うので、困ってから問い合わせるのではなく、平常時に条件を聞いて書き留めておくことが、実際に使える備えになります。

欠品時の連絡とメニュー側の差し替え

仕入先の欠品は、知らせが早いほど打てる手が増えます。
仕入先と、品切れや遅れが分かったら何時までに誰へ連絡してもらうかを決めておくと、仕込みを始める前に代替の手配へ動けます。
店の側でも、連絡を受けた人が誰に伝え、代替品に切り替えるかどうかを誰が決めるのかを決めておきます。

代替品に替えると、味や盛り付け、提供できる量が変わることがあります。
どこまでの違いなら同じメニュー名で出すのか、どこからは品切れにするのか、その基準をあらかじめ決めておけば、現場がその場で迷わずに済みます。
基準があれば、代替品の仕入れが割高になる場合に、その料理を一時的に休むという判断も落ち着いてできます。

仕入価格の見直し周期

価格の上昇は、気づくのが遅れるほど損が積み重なります。
主要な品目について、納品書や請求書から単価を書き写し、前回と比べる習慣をつけておきます。
書き写すのは主要な品目だけで十分です。
すべての品目を追おうとすると続かず、結局どの品目も見なくなるからです。

見直しの周期は、月に一度など、請求書がそろう時期に合わせて決めておくと続けやすくなります。
単価が上がった品目が見つかったら、まず使用量と廃棄の記録を合わせて見ます。
上がった品目で在庫段階の廃棄が出ているなら、発注量を整えるだけで負担を一部取り戻せます。
そのうえで、規格や産地を替えられないか、ほかの仕入先ではどうか、提供する量を調整できないかを検討し、メニュー価格の見直しはその後に考える、という順番にすると、値上げの幅を必要な分にとどめやすくなります。

規模・発注方法・食材の種類別に、最初の一手と見直しの回し方を決める

最初の一手を一つに絞る

ここまでの対策を一度に始めると、記録も確認も増えて、発注の手間が膨らみます。
最初の一手は一つに絞り、それが回り始めてから次へ進むほうが、結果的に早く損が減ります。
何を最初にするかは、店の状況によって変わります。

店の状況 最初の一手 その一手で見えるようになること
電話やFAXでの発注が中心 発注表を先に書いて控えを残し、納品時に突き合わせる 行き違いの件数と、起きやすい品目・仕入先
生鮮品の廃棄が目立つ 廃棄の段階を記録し、在庫段階の品目だけ定数を曜日別にする 発注で減らせる廃棄と、仕込みや提供量の問題の区別
冷凍品・乾物の欠品が多い 品目ごとに発注点を決める 切らしやすい品目と、余裕分の不足
複数店舗で発注している 廃棄・欠品・行き違いの記録様式を統一する 店ごとの差と、全店に共通する問題

複数店舗では、発注のルールそのものより、記録の様式を先にそろえるのがおすすめです。
廃棄の段階の分け方や行き違いの区分が店ごとに違うと、数字を並べても比べられないからです。
一方で、発注点や定数は店ごとの使用量から決めるものなので、全店で同じ数字にそろえる必要はありません。
そろえるのは記録の取り方と確認の手順で、量は各店の記録から決める、という分担にすると無理がありません。

月に一度の見直しで回す

最初の一手が回り始めたら、月に一度、記録を見直す時間を取ります。
見るのは、廃棄・欠品・行き違いの件数と損失額、主要品目の単価です。
前の月と比べて、手を打った品目で数字がどう動いたか、上位の顔ぶれが入れ替わったかを確かめます。

対策の効き方は店ごとに違い、すぐに数字に出ないこともあります。
一つのルールを変えたら2〜4週間は様子を見て、前後で比べてから次の判断をします。
損失の上位が入れ替われば、次に手を打つ先も入れ替わります。
メニューの改定や季節の変わり目には、過去の使用量が当てはまらなくなるので、このときに発注点や定数も見直します。

30代後半の日本人女性が市場での数量の確認をしている場面

見直しを重ねると、どの品目のどんなリスクが自店で大きいのかが、記録の上ではっきりしてきます。
発注の手間を増やさずに損を減らすには、この見直しで分かった上位の問題に手間を集め、問題の小さい品目は今のやり方のままにしておくことが大切です。

記録を取り始めても、廃棄・欠品・行き違いのどれを先に減らすべきか、仕入先ごとに違う発注方式とどう折り合いを付けるかは、店の中だけでは判断しにくいところです。

自店の記録をもとに、手を付ける順番と、発注から納品までのどこで書き写しや確認が重なっているかを一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
リスクの分け方 数量判断・伝達・仕入先と納品・価格の4つに分け、損の現れ方で見る
廃棄の切り分け 在庫・仕込み・食べ残しのどの段階で捨てたかを記録し、発注で減らせる分を取り出す
優先順位 1〜2か月の記録で、頻度と1回あたりの損失(自店の原価)の合計を比べる
発注量 曜日別の使用量・締め切り時刻・最低発注単位・納品日数から、発注点や定数を決める
伝達 口頭だけの注文を残さず、納品時に控え・納品書・現物を突き合わせる
備え 主要品目の代替品・代替仕入先の条件と、欠品時の連絡・差し替えの基準を平常時に決める
見直し 月に一度、件数と損失額を前月と比べ、上位が入れ替われば手を打つ先も替える

発注の手順を見直すときは、仕入先の対応や店舗ごとの事情が絡み、どこまでを店の中のルールで変え、どこからを方式の見直しにするかで迷いやすくなります。 いまの発注表や納品の確認の流れを伺い、減らせる手間と残すべき確認の切り分けを相談できます。

BtoB通販システムのご相談

貴社の商習慣に合わせたご提案をいたします。

無料相談はこちら

よくある質問

発注の記録は何を何日分取ればよいですか。

廃棄は品目・量・捨てた段階(在庫・仕込み・食べ残し)、欠品は品目・品切れの時刻・断った注文の数、行き違いは仕入先と内容を記録します。
期間は直近1〜2か月が目安で、曜日ごとの違いと月末・月初の動きが含まれる長さです。
開店直後で履歴がない場合も、今日から始めれば数週間で傾向が見え始めます。

仕入先がFAXや電話しか受け付けない場合、どう行き違いを防げますか。

方式を変えられなくても、店の側で注文を文字に残すことはできます。
電話なら先に発注表へ品目・数量・単位を書いてから読み上げ、仕入先に読み返してもらいます。
FAXは数字をはっきり書いて単位を必ず添え、送った紙を保管します。
そのうえで納品時に控え・納品書・現物を突き合わせれば、違いをその場で見つけて連絡できます。

代替の仕入先を持つとき、最低発注額や配送条件で気をつけることは何ですか。

最低発注額があると、足りない一品目だけでは注文を受けてもらえないことがあります。
配送エリアや配送曜日、締め切り時刻によっては、頼んでも必要な日に届きません。
新規の取引に手続きが要る場合もあるため、平常時に条件を聞いて書き留めておくと、いざというときに使える備えになります。
条件は仕入先ごとに違うので、個別に確認してください。

仕入価格が上がったとき、メニューの値上げの前に見直すことは何ですか。

まず、どの品目がいつから上がったかを単価の記録で特定し、その品目の使用量と廃棄を合わせて見ます。
在庫段階の廃棄が出ていれば、発注量を整えるだけで負担を一部取り戻せます。
次に規格や産地の変更、ほかの仕入先との比較、提供する量の調整を検討し、それでも足りない分をメニュー価格で考えると、値上げの幅を必要な分にとどめやすくなります。

複数店舗で発注ルールを統一するには、どこから始めますか。

最初にそろえるのは、廃棄・欠品・行き違いの記録様式です。
廃棄の段階や行き違いの区分が店ごとに違うと、数字を並べても比べられません。
発注点や定数は店ごとの使用量から決めるものなので、全店で同じ数字にする必要はありません。
記録と確認の手順をそろえ、量は各店の記録から決める分担にします。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

> プロフィールの詳細を見る

  1. 1 出典:環境省「食品ロスポータルサイト 事業者向け情報」(2026年)
  2. 2 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(2020年)

画像の出典元

  1. Chef busy at work in a commercial kitchen, preparing dishes while wearing a protective mask./Photo by Luis Becerra Fotógrafo on Pexels

Photos provided by Pexels

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

記事内容に関するお問い合わせ:お問い合わせフォーム

BtoB EC(受発注)サイト構築システム「EC-Rider B2B Ⅱ」への
各種お問い合わせ

ページTOPへ戻る
無料相談を予約 お見積
平日10:00~18:00
page
top