◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 指値と請求の単価が違うときは、発注書から請求データまで上流から順に証跡をたどると、食い違った工程を特定できる
- 誤りの型(古い単価表、マスタの未更新・期間切れ、手入力、標準単価の自動適用、請求側の再計算)によって直す先が違い、請求書の数字だけを直しても同じ誤りは止まらない
- 差額精算の前に、発注書・注文請書・単価表などで合意した単価を確かめ、記録が曖昧なら先に合意を確認する
- 適格請求書の誤りは、売手が修正した適格請求書を交付するか、買手が仕入明細書等を作り売手の確認を受けて直す
- 再発防止は、止められる工程・日々の手間・導入の条件で手段を選び、導入前後に型別の差異件数を数えて効いているかを確かめる
目次

発注した指値と請求の単価が違う:まず食い違った場所を切り分ける
指値で指定したはずの単価が、納品書や請求書では別の金額になっている。
このとき、どこで食い違ったのか分からないまま差額の連絡だけを進めると、相手との話がかみ合わなくなります。
単価は、指値の伝達、取引先別単価の登録、受注入力、請求転記の順に通ります。
この順に証跡をたどれば、食い違った場所を特定できます。
差額は発注書や単価表など合意の記録を根拠に精算し、請求書は国税庁Q&Aが示す手順で直します。
最後に、件数と手間に合わせて確認・承認・システム照合を選ぶと、同じ誤りを上流で止めやすくなります。
単価が通る4つの工程
企業間取引でいう指値は、買い手が仕入価格を指定して発注することや、取引先ごとに取り決めた指定単価のことです。
買い手が「この単価で」と伝えても、その数字が請求書に載るまでには、発注側と受注側の双方でいくつもの手を経ます。
途中で一度でも別の単価に置き換わると、最後の請求書には違う金額が残ります。
単価が通る道筋は、大きく次の4つの工程に分けられます。
- 指値の伝達:買い手が発注書、メール、EDIなどで指定単価を仕入先へ伝える
- 取引先別単価の登録:仕入先が、その取引先向けの単価を単価マスタや単価表に登録する
- 受注入力:仕入先が注文を受注データにし、そこで単価が付く
- 出荷・請求転記:受注データの単価が、納品書や請求書へ写される
仮に、小売の購買担当が、取引の長い卸の仕入先へ定番品を指定単価で発注したとします。
月末に届いた請求書を見ると、その品目だけ前の期の単価で計上されていました。
購買担当の手元にあるのは、自分が送った発注書と、届いた納品書・請求書だけです。
単価マスタの登録や受注入力は仕入先の社内で行われるため、購買担当からは見えません。
どちらか一方の書類を見ただけでは原因に届かないのは、このためです。
逆に、仕入先の受注担当から見れば、受注画面や単価マスタは見られます。
一方で、買い手が社内で単価をどう決め、発注書にどう書いたかの経緯までは分かりません。
切り分けを早く終わらせるには、各工程でどちらが何を見られるかを先に把握し、相手に頼む確認を絞ることが要ります。
見る証跡の順番
見る順番は、上流から下流へ進めるのが基本です。
最初に確かめるのは、発注側が送った発注書に、指値が本当にその単価で書かれていたかどうかです。
発注書の時点で単価が違っていれば、仕入先はその数字に従って処理しただけで、下流をいくら調べても原因は見つかりません。
購買担当が社内の単価表を見ながら発注書を作っている場合、単価表の版が古いということも起こり得ます。
発注書が正しければ、次に納品書と請求書を並べます。
納品書の単価も請求書の単価も違っていれば、食い違いは受注入力かそれより前で起きた可能性が高くなります。
納品書は合っているのに請求書だけが違うなら、請求への転記や請求側での計算を疑います。
ただし、納品書に単価を載せない取引もあり、この見分け方が使えるのは納品書に単価が記載される場合に限られます。
また、これはあくまで当たりを付けるための目安です。
実際の受注データや請求データを照合して、はじめて場所が確定します。
ここから先は受注側の確認になります。
受注担当は、該当注文の受注画面で付いている単価と、その単価がどこから来たかを見ます。
単価マスタから自動で付いたのか、担当者が手で打ち込んだのかで、次に見る場所が変わるからです。
自動で付いていればマスタの登録内容と有効期間を、手入力であれば入力時に参照した資料を確かめます。
発注側から仕入先へ確認を頼むときは、「単価が違う」とだけ伝えるより、注文番号、品目、発注書に書いた単価、請求書の単価を並べて送るほうが話が早く進みます。
受注担当は、その注文を起点に受注データをさかのぼれるからです。
この順番は公的に決められた手順ではなく、紙・メール・EDI・システムのどれで受発注していても使える、手戻りを減らすための確認の考え方です。
| 工程 | 発注側の手元にある証跡 | 受注側の手元にある証跡 |
|---|---|---|
| 指値の伝達 | 送った発注書・発注メール・EDIの送信記録 | 受け取った発注書・返した注文請書 |
| 取引先別単価の登録 | 取り交わした単価表・基本契約書(登録内容そのものは見えない) | 単価マスタの登録内容・変更履歴・有効期間 |
| 受注入力 | 受け取った注文請書(あれば) | 受注画面の単価・単価の出所(自動か手入力か) |
| 出荷・請求転記 | 納品書・請求書 | 出荷データ・請求データ・端数処理の設定 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 発注書の単価を見る
- 発注書の時点で違えば、仕入先はその数字に従っただけで下流に原因はない
- 社内の単価表の版が古い場合もある
- 納品書と請求書を並べる
- 両方違えば、受注入力かそれより前で起きた可能性が高い
- 請求書だけ違えば、請求への転記や計算を疑う
- 受注画面で単価の出所を見る
- 単価マスタから自動で付いたのか、手で打ち込んだのかを確かめる
- マスタか入力時の資料を確かめる
- 自動ならマスタの登録内容と有効期間を見る
- 手入力なら入力時に参照した資料を見る
原因の型:伝達・マスタ登録・受注入力・請求転記のどこで起きやすいか
マスタ・期間切れ
切り分けで食い違いの場所が分かったら、次はそれがどんな型の誤りかを見ます。
同じ受注入力の工程で起きた誤りでも、型によって直す先が違います。
請求書の数字だけを直して終わると、次の注文でも同じ単価が付きます。
型を見極める目的は、同じ誤りを止める場所を決めることにあります。
1つ目の型は、古い単価表の参照です。
単価を改定したのに、受注担当の手元に前の版の単価表が残っていて、それを見て入力してしまうケースです。
単価表を表計算ファイルやPDFで配っている場合、改定のたびに新しいファイルが増え、どれが最新か分からなくなりがちです。
直す先は入力した人ではなく、単価表の配布の仕方と版の管理です。
古い版を手元に残さない置き方を決めるほうが、注意を促すより確実に効きます。
2つ目の型は、取引先別単価の未更新や期間切れです。
買い手との間で新しい指値を合意したのに、単価マスタへの登録が遅れている。
あるいは、有効期間を区切って登録した単価の期限が切れたまま、次の注文が入る。
こうした場合、受注担当がいつもどおり入力しても、付く単価はずれます。
期限が切れたときに何の単価が付くかは、使っている仕組みの設定によって違います。
自社の設定でどうなるかを一度確かめておくと、期間切れの誤りがどんな形で表に出るかを予想できます。
この型で直す先は単価マスタの運用です。
具体的には、指値の合意を受けてから誰がいつまでにマスタを直すのか、有効期間を誰が見張るのかを決めます。
営業担当が買い手と単価を決め、受注担当がマスタを管理している体制では、その間の受け渡しが抜けやすくなります。
手入力・標準単価の自動適用
3つ目の型は、手入力のミスです。
桁の打ち間違い、隣の品番の単価の転記、単位の取り違え(ケース単価とバラ単価など)がこれに当たります。
受注をFAXやメールで受けて人が打ち直している工程では、どうしても起こり得る誤りです。
直す先は入力ルールで、入力した単価と取引先別単価を画面上で突き合わせる仕組みや、一定以上の差が出たら止める仕組みが対策の候補になります。
4つ目の型は、標準単価の自動適用です。
取引先別単価が登録されていても、注文の品番や取引先コードがマスタと結び付かなければ、取引先別単価ではなく標準の単価が付くことがあります。
新しく扱い始めた品番、同じ買い手でも納品先ごとに分かれた取引先コード、EDIで受けた品番と社内品番の変換漏れなどが、結び付かない原因の例です。
ここで直す先は、マスタの紐付けと連携設定です。
受注担当の手元では正しく処理したように見えるため、気づきにくい型でもあります。
5つ目の型は、請求側での再計算による差です。
受注データの単価は合っていても、請求書を作るときに端数処理、税込・税抜の扱い、複数の納品をまとめた請求での計算の仕方が違うと、請求額がずれます。
差額がごく小さいときは端数処理を疑う手掛かりになりますが、それだけで原因を決めることはできません。
明細ごとの単価と数量、計算の設定を照合して判断します。
ここで挙げた型は、編集部が実務上の典型として整理した想定例です。
どの型が多いかという統計があるわけではありません。
自社で起きた誤りを型ごとに記録していくと、どこに手を打つべきかが自社の数字で見えてきます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 受注入力
- 古い単価表の参照:単価表の配布と版の管理を直す
- 手入力のミス:入力時の照合ルールを直す
- 標準単価の自動適用:品番・取引先コードの紐付けと連携設定を直す
- 取引先別単価の登録
- 未更新や期間切れ:マスタ更新の担当と有効期間の管理を直す
- 出荷・請求転記
- 請求側での再計算による差:端数処理・税の扱い・まとめ請求の設定を直す
単価の合意をどの記録で確かめ、差額をどう精算するか
発注側が相手に伝えること
食い違いの場所と型が見えても、すぐに「差額を返してください」と言えるとは限りません。
その前に、どちらの単価が合意された単価だったのかを記録で確かめる必要があります。
仕入先の請求が誤りなのか、それとも指値そのものが相手に正しく伝わっていなかったのかで、話の進め方が変わるからです。
合意の記録として見るのは、発注書、注文請書、基本契約書、取引先ごとの単価表などです。
先ほどの小売の購買担当の例でいえば、まず自分が送った発注書に指定単価が書かれているかを確かめます。
そのうえで、仕入先から注文請書が返っていればその単価を、単価表を取り交わしていれば有効な版と期間を見ます。
これらがそろって指定単価を示していれば、合意は記録で確認できたことになり、差額精算の連絡に進めます。
連絡では、次のことを相手に伝えると、受注側が社内で確認しやすくなります。
- 対象の注文番号・納品日・品目
- 発注書に書いた指定単価と、請求書に記載された単価
- 合意の根拠にした記録(発注書、単価表の版など)
- 希望する直し方(修正した請求書を送ってもらうか、こちらで仕入明細書等を作って確認してもらうか)
一方、記録が食い違っていたり、そもそも記録が曖昧だったりする場合は、差額の話より先に単価の合意を確かめ直します。
たとえば、単価の改定を電話で伝えただけで発注書は前の単価のまま、という状態では、どちらの単価が合意だったかを双方が同じように説明できません。
この段階で差額の請求を先に出すと、相手は誤りではなく条件の変更を求められていると受け取るかもしれません。
単価の合意の扱いは、取引ごとの契約や特約で決まる部分が大きく、記録どうしが食い違ったときにどれが優先するかを一般論で決めることはできません。
基本契約書に単価の決め方や変更の手続きが書かれていれば、それが判断の出発点になります。
金額が大きい場合や、相手と見解が分かれた場合は、契約の解釈を専門家に相談したうえで進めるほうが安全です。
受注側が根拠にする記録
受注側、つまり仕入先の受注担当や営業担当の立場では、買い手から差額の連絡を受けたときに、自社の記録で合意を確かめます。
見るのは、受け取った発注書、返した注文請書、単価マスタの登録内容と変更履歴、受注入力時の記録です。
自社の記録でも指定単価が合意されていたと確認できれば、請求の誤りとして直す方向で話を進めます。
このとき、前の節で見た誤りの型も併せて相手に伝えると、買い手は同じ誤りが他の注文にも及んでいないかを判断しやすくなります。
マスタの期間切れが原因なら、同じ期間に入った他の注文も同じ単価になっている可能性があるからです。
反対に、注文請書で別の単価を返していた、あるいは買い手から届いた発注書の単価と、営業担当が口頭で合意した単価が違うといった場合は、単純な請求の誤りとはいえません。
受注側が先に請求書を直してしまうと、後から合意の内容で揉めたときに、どの数字で合意したのかが記録の上で分からなくなります。
先に双方で単価を確かめ、合意した内容を書面かメールで残してから、請求の修正に進みます。
差額をどう精算するかも、ここで決めておきます。
修正した請求書で当月分を直すのか、次回の請求で調整するのかによって、次に作る書類が変わります。
請求書の記載そのものをどう直すかには、インボイス制度の下での決まった手順があります。
▼ 図の内容を文字で読む
- 記録がそろって指定単価を示す
- 合意は記録で確認できたとして差額精算の連絡に進む
- 注文番号・指定単価と請求単価・根拠の記録・希望する直し方を伝える
- 記録が食い違う、または曖昧
- 差額の話より先に単価の合意を確かめ直す
- 先に差額を請求すると条件の変更の要求と受け取られるおそれがある
- 受注側で別の単価を返していた、または口頭の合意と違う
- 単純な請求の誤りとはいえないため、先に請求書を直さない
- 双方で単価を確かめ、合意内容を書面かメールで残してから修正に進む
請求書の誤りを直す:売手の修正と、買手が作る仕入明細書等
売手が修正する場合
精算の方針が決まったら、請求書をどう直すかに進みます。
売手(仕入先)が適格請求書発行事業者で、買手が課税事業者である取引では、国税庁の適格請求書等保存方式に関するQ&Aが直し方を示しています。
適格請求書は、いわゆるインボイスのことで、買手が仕入税額控除を受けるために保存する請求書等を指します。
売手が交付した適格請求書に誤りがあった場合、売手は修正した適格請求書を交付して直します。
その方法は2つあります。
誤りを直して全記載事項を書き直したものを交付する方法と、当初の書類との関連を示したうえで修正した事項を明示したものを交付する方法です1。
単価の誤りであれば、どちらの方法でも、単価とそれに伴う金額や税額の記載が直っていることが前提になります。
どちらを選ぶかは、取引の中身と社内の処理で考えます。
たとえば、請求書に多くの明細が並んでいて、そのうち1行の単価だけが違っていたとします。
この場合、当初の請求書との関連を示して修正点だけを明示するほうが、買手は何が変わったかを読み取りやすくなります。
一方、複数の行や合計額まで連鎖して直す必要があるなら、全部を書き直したほうが、どの数字が正しいかの混乱は少なくなります。
これは実務上の考え方であり、Q&Aがどちらかを推奨しているわけではありません。
また同じQ&Aでは、買手が作成し売手の確認を受けた仕入明細書等で対応した場合には、売手が改めて修正した適格請求書を交付しなくてもよいとされています1。
買手の側で直す方法を取ったときに、売手が二重に書類を作らなくて済むということです。
売手は請求書を出し直すかどうかに関わらず、自社の請求データや売掛金の記録も合意した単価に合わせて直しておく必要があります。
書類だけを直してデータが元のままだと、次の請求や入金の消し込みでまた差が出ます。
買手が仕入明細書等で直す場合
買手の側から見ると、誤りのある適格請求書を受け取ったときの対応は2通りです。
1つは、売手に修正した適格請求書の交付を求め、それを保存する方法です。
もう1つは、買手が自ら誤りを直した仕入明細書等を作り、売手の確認を受けて保存する方法で、この確認は電話等でもよいとされています2。
国税庁は、受け取ったインボイスに誤りがあった場合の対応を整理した資料も出しています3。
ここで注意したいのは、買手が受け取った請求書そのものに手を入れて単価を書き換えるのではない、という点です。
買手が作るのは、誤りを直した内容を記載した仕入明細書等という別の書類で、それが売手の確認を受けてはじめて、Q&Aが示す対応になります。
売手から修正した請求書が届くのを待つ間に月次の締めが来る場合、買手が仕入明細書等を作る方法は手戻りを減らす選択肢になります。
確認が電話等でよいとされている点は手間の面で助かりますが、後から確認の有無を問われたときに説明できるよう、いつ、誰に、何を確認したかを社内の記録として残しておくと安心です。
これは制度上の要件として示されているものではなく、実務上の備えとしての提案です。
なお、これらの対応は、適格請求書発行事業者が課税事業者に交付した適格請求書を前提にしています12。
仕入先が免税事業者である場合や、インボイスとして扱わない書類の誤りは、同じ手順の対象ではありません。
また、合意した単価そのものを後から下げる値引きや返品による返還は、適格返還請求書という別の書類の話になります。
Q&Aは令和8年に改訂されているため、書類を作る前に国税庁の最新版で記載事項を確かめてください。

取適法の対象取引か:代金や協議のルールが関係する条件
対象かどうかの見分け方
指値は、買い手が単価を指定する取引です。
そのため、取引によっては、単価の決め方や代金の扱いについて法律上の規律が関わります。
公正取引委員会が所管する取適法は、受託取引の公正化と中小受託事業者の利益の保護を目的とした法律です4。
取適法が関わるかどうかは、2つの面で決まります。
1つは当事者の規模で、委託事業者と中小受託事業者を、資本金の規模または従業員の基準で定義しています。
もう1つは取引の内容で、どんな委託取引が対象になるかが定められています4。
この2つの両方に当たる取引だけが対象になります。
買い手が指定単価で発注していても、当事者の規模か取引の内容のどちらかが外れれば、取適法の規律は及びません。
その場合は、契約の取り決めと一般的な法律の枠組みで考えることになります。
対象に当たる取引では、委託事業者の義務が第3条・第4条・第6条・第7条に、禁止事項が第5条第1項・第2項にまとめられています4。
具体的な基準の数値や、各条文が求める内容は、公正取引委員会の条文ページで確かめる必要があります。
ここでは要件を断定しません。
単価の誤りの処理で、とくに気をつけたいのは次のような場面です。
買い手が委託事業者側に当たる対象取引で、請求の誤りを直すつもりが、結果として合意した代金を後から下げる処理になっていないか、という点です。
前の節で記録を確かめ、もともと合意していた単価に戻すだけなのか、合意した単価を変えるのかを区別しておくことは、この確認の前提にもなります。
合意の内容を変える処理であれば、第5条の禁止事項に関わらないかを条文で確かめ、判断に迷う場合は専門家や公正取引委員会の窓口に相談してから進めてください。
▼ 図の内容を文字で読む
- 当事者の規模
- 委託事業者と中小受託事業者を資本金の規模または従業員の基準で定義している
- 取引の内容
- どんな委託取引が対象になるかが定められている
- 両方に当たる場合
- 委託事業者の義務は第3条・第4条・第6条・第7条にある
- 禁止事項は第5条第1項・第2項にある
- どちらかが外れる場合
- 取適法の規律は及ばず、契約の取り決めと一般的な法律の枠組みで考える
再発防止:確認・承認・システム照合をどの条件で選ぶか
比較の3つの軸
誤りを一件直しても、単価が通る道筋が同じなら、同じ型の誤りはまた起きます。
再発防止で選べる手段は、主に次の5つです。
- 単価マスタの有効期限と更新担当を決める
- 受注入力のときに、入力した単価と取引先別の指定単価を照合する
- 指定単価と一定以上の差が出た受注を、承認にかける
- 請求を出す前に、単価差異のリストを確認する
- EDIや受発注システムで、合意した単価を受注データへ自動で反映させる
これらを、止められる誤りの工程、日々の手間、導入の条件の3つの軸で比べます。
どの手段がどれだけ誤りを減らすかを示す統計はないため、ここでの比較は編集部の整理です。
順位は付けず、自社の状況に合う組み合わせを選ぶための材料として扱ってください。
表のうち、判断が分かれるのは手間と導入の条件の釣り合いです。
取引先別単価の数が少なく、改定もまれであれば、まずはマスタの更新担当を決め、請求前に差異リストを確認するだけでも、誤りが相手に届く前に気づける機会が増えます。
反対に、取引先ごとの指定単価が多く改定も頻繁なら、請求前の確認だけでは見る件数が膨らみます。
その場合は、受注入力の段階で照合する仕組みを入れ、差異の出たものだけを人が見る形にしたほうが、確認の負担を上流に分散できます。
EDIや受発注システムで単価を自動で反映させると、指値の伝達から受注入力までの手での転記は減ります。
ただし、自動で反映されるのは登録された単価です。
マスタの登録が古ければ、古い単価がそのまま正確に流れます。
自動化はマスタ管理の代わりにはならず、1つ目の手段と組み合わせて意味を持ちます。
どの機能が使えるかは、使っている仕組みや提供者の仕様によって違うため、導入前にその仕様で確かめる必要があります。
ここまでの手段は主に受注側で取るものですが、発注側にもできることがあります。
発注書を作るときに社内の単価表の版を確かめること、請求書を受け取ったら発注書の単価と照合することです。
受注側で漏れた誤りも、発注側の照合で気づける機会が残ります。
導入後の確かめ方
手段を選んだら、それが効いているかを自社の数字で確かめます。
やり方は単純で、導入の前と後で、単価の差異が見つかった件数を数えます。
このとき件数をただ合計するのではなく、前に見た5つの誤りの型と、見つかった工程ごとに分けて記録します。
型と工程で分けて数えると、導入した手段が狙った誤りを止めているかが分かります。
たとえば、受注入力時の照合を入れたのに、期間切れの誤りが請求前のリストで見つかり続けているとします。
この場合、照合の仕組みが悪いのではなく、照合の相手になるマスタが更新されていないことが疑われます。
件数が減らないときは、手段を増やすより、止める場所が合っているかを見直すほうが近道です。
また、どの手段にも、それだけで誤りがなくなるという保証はありません。
減らせるのは、誤った単価が次の工程へ流れる機会や、人が見落とす確認の数です。
件数を見ながら、どの確認を人に残し、どの転記を仕組みに任せるかを少しずつ調整していくことが、現実的な再発防止になります。
| 手段 | 止められる誤りの工程 | 日々の手間 | 導入の条件 |
|---|---|---|---|
| 単価マスタの期限・更新担当 | 取引先別単価の登録(未更新・期間切れ) | 単価改定のたびに担当者がマスタを直す | 指値の合意からマスタ更新までの受け渡しを決める |
| 受注入力時の照合 | 受注入力(手入力ミス・古い単価表) | 照合で差が出た受注だけ見直す | 取引先別単価がマスタに登録されていること |
| 差異の承認 | 受注入力(差が大きいもの) | 承認者が差異の出た受注を見る | 承認者と差異の基準を決める |
| 請求前の差異リスト確認 | 出荷・請求転記(上流で漏れた誤りも含む) | 締め前にリストを確認する | 受注単価と指定単価を並べて出せること |
| EDI等での自動反映 | 指値の伝達と受注入力(転記の誤り) | 転記の手間は減るがマスタ管理は残る | 取引先側の対応と連携の設定 |
単価が発注書から請求書まで写る道筋は、社内の部署と使っている仕組みの組み合わせで会社ごとに違い、自社だけでは食い違いの起きやすい工程を見落としがちです。
自社の受発注の流れを一緒にたどり、指値がどの工程で別の単価に置き換わり得るか、どこで照合すれば止められるかを整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 食い違いの切り分け | 発注書→納品書→請求書→受注データ→単価マスタの順に、上流から確かめる |
|---|---|
| 原因の型 | 古い単価表、マスタの未更新・期間切れ、手入力、標準単価の自動適用、請求側の再計算のどれかを見極め、直す先を決める |
| 差額精算の前提 | 発注書・注文請書・単価表などで合意を確かめる。記録が曖昧なら先に合意を確認する |
| 請求書の直し方 | 売手は修正した適格請求書を交付、買手は修正を求めるか仕入明細書等を作り売手の確認を受ける |
| 取適法 | 当事者の規模と取引内容の両方に当たる取引だけが対象。要件は公正取引委員会の条文で確認 |
| 再発防止の選び方 | 止められる工程・日々の手間・導入の条件で比べ、導入前後に型別の差異件数を数える |

再発防止の手段は、取引先別単価の数や改定の頻度、受注の受け方によって合う組み合わせが変わり、一般論だけでは選びきれません。 自社の取引先数や受注の経路に合わせて、マスタ管理・入力時の照合・請求前の確認のどれを優先するか、導入後に差異件数をどう数えるかを確かめられます。
よくある質問
指値の単価を電話やメールで変更した場合、どの記録を根拠に残せばよいですか。
メールで変更した場合は、そのメール自体が合意の記録になります。
新しい単価、対象の品目、いつの注文から適用するかが読み取れる形で残しておきます。
電話で変更した場合は、日時、相手、合意した単価と適用時期を書いたメールを相手に送り、内容を確かめてもらうと、双方が同じ記録を持てます。
そのうえで、発注書や単価表、単価マスタを新しい単価に直しておくと、口頭の合意と書面の記録が食い違う状態を避けられます。
単価の誤りを、買手が自分で請求書に書き直してよいですか。
受け取った請求書そのものを書き換えるのではありません。
国税庁のQ&Aでは、買手は売手に修正した適格請求書の交付を求めて保存するか、誤りを直した仕入明細書等を自ら作り、売手の確認を受けて保存する方法が示されています2。
確認は電話等でもよいとされています2。
これは適格請求書発行事業者から課税事業者が受け取った場合の対応です。
免税事業者の仕入先の請求書に単価の誤りがあった場合はどうしますか。
免税事業者は適格請求書を交付できないため、本文で見た国税庁Q&Aの修正手順は、そのままは当てはまりません。
差額の精算は、発注書や単価表などの合意の記録を根拠に相手と確かめる点で変わりません。
ただし、書類の直し方や仕入税額控除の扱いは別に考える必要があり、国税庁の最新の資料か税理士に確認してください。
取引先別単価の有効期間が切れたまま受注したとき、何を見直しますか。
まず、同じ期間に入った他の注文にも同じ単価が付いていないかを調べます。
期間切れは一件だけでなく、期限後のすべての注文に及ぶことがあるからです。
次に、指値の合意からマスタ更新までを誰が担い、有効期間を誰が見張るかを決めます。
期限が切れたとき自社の仕組みで何の単価が付く設定になっているかも、併せて確かめておくと、同じ誤りに早く気づけます。
受注側で単価を誤って登録した場合、相手への連絡はどの順で行いますか。
先に社内で、どの注文にどの単価が付いたか、正しい単価との差がどこまで及ぶかを洗い出します。
そのうえで買い手に、対象の注文、誤っていた単価と正しい単価、原因の型、直し方の案を伝えます。
請求書を直す方法(修正した請求書を出すか、買い手の仕入明細書等で対応するか)は、相手の締めの都合もあるため、連絡の中で合意してから書類を作ります。
値引きとして処理するか、請求の訂正として処理するかは、どう決めますか。
もともと合意していた単価が何だったかで決まります。
合意の記録が指定単価を示していて、請求書がそれと違う単価で計上されていたなら、請求の誤りの訂正です。
合意していた単価を後から下げるなら、それは値引きなど代金の変更で、適格返還請求書という別の書類の扱いになります。
取適法の対象取引では、代金を後から変える処理が禁止事項に関わらないかも条文で確認してください。
- 1 出典:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問32(交付した適格請求書に誤りがあった場合の対応)」(令和8年改訂版)
- 2 出典:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問92(交付を受けた適格請求書に誤りがあった場合の対応)」(令和8年改訂版)
- 3 出典:国税庁「インボイスの記載事項に誤りがあった場合の対応」(令和8年版)
- 4 出典:公正取引委員会「取適法の概要」(2026年閲覧)
画像の出典元
- Top view of documents, laptop, coffee, and magnifying glass on office desk./Photo by Pavel Danilyuk on Pexels
- A notebook with handwritten notes next to a laptop on a workspace desk./Photo by Leeloo The First on Pexels