◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- FAX-OCRは打ち込みを置き換えますが、原本との照合・修正・承認は人に残るため、確認時間まで含めて比べます。
- 認識率98%・80%はPFUの製品と基準帳票での検証値で、自社の帳票で何枚直すことになるかは試すまで分かりません。
- 費用は読取料金だけでなく確認・修正時間×時給を加え、外注は単価の単位と自社に残る作業をそろえて比べます。
- 外注は入力だけか受注業務全体かで残る手間が変わり、納期・誤りの扱い・情報の扱いは見積で確かめます。
- 書式・手書き・画質の違う自社帳票を受信画像のままトライアルにかけ、同じサンプルの手入力時間と比べて決めます。
目次

FAX帳票の手入力は、どこで手間とミスを生んでいるのか
朝のうちに届いたFAX注文書を、紙と画面を見比べながら受注管理へ打ち込んでいると、次の束が届く。
数量の打ち間違いや処理待ちが出始めると、FAX-OCRを入れるか、手入力を続けるか、入力ごと外注するかを決める必要が出てきます。
FAX-OCRは打ち込みを機械に任せられますが、読取結果の確認と修正は人に残ります。
外注は、入力だけを任せるのか受注業務全体を任せるのかで中身が変わります。
精度の数字だけで選ばず、書式のばらつき、手書きの割合、月の枚数、確認を誰が担うかを自社の人件費に置いて比べます。
最後は、自社の実際の帳票を無料トライアルで試して決めます。
入力の手間と、確認・変更対応の手間は別のもの
FAXで届いた注文書を受注管理へ入れるまでには、打ち込み以外の作業がいくつも挟まります。
得意先名から得意先コードを引き、品名や品番を自社の商品マスタと突き合わせ、数量と納期を入れます。
かすれて読めない数字があれば得意先へ電話で確かめます。
後から「数量を変えたい」というFAXが届けば、入力済みの受注を探して直します。
ミスが入り込む場所も一つではありません。
FAXの文字を読み違える、読めていても打ち間違える、変更のFAXを反映し忘れる、の三つは原因も防ぎ方も違います。
食品の小売・卸売で受注業務を担う人を対象にした調査があります。
FAX・Eメール・電話で受注している回答者のうち60%が、注文書の手入力に手間がかかると答えました2。
同じ質問では、注文確認の連絡、注文の変更対応、オペレーションの属人化も課題に挙がっています(下図)。
この調査は2023年のインターネット調査で、対象はこの回答者90人、複数回答です。
業種も立場も限られた結果なので、自社の手間の大きさを測る物差しにはなりません。
それでも、手間が入力だけに集まっているわけではないことは読み取れます。
この区別が、3つの方式を比べるときの出発点になります。
FAX-OCRが置き換えるのは、主に紙を見て打ち込む作業です。
注文確認の連絡や変更への対応は、OCRを入れても自社の担当者に残ります。
外注は、契約する範囲によって、入力だけを渡すことも、連絡や変更対応まで含めて渡すこともできます。
手入力を続ける場合は、すべてを今の担当者が引き続き抱えます。
自社の困りごとが打ち込みの量なのか、確認や変更のやり取りなのか、特定の人しか処理できないことなのかで、効く方式は変わります。
受注側と発注側で、手間のかかる場所が違う
同じFAX帳票でも、受け取る立場によって入力の後に続く作業が変わります。
受注側では、得意先から届いた注文書を受注として登録し、在庫を確かめて出荷へつなげます。
ここでの遅れは、出荷や納期回答の遅れとして得意先に見えます。
発注側では、仕入先から届く請求書や納品書を処理します。
読み取った内容を何と照らし、どこへ取り込むかは、受注側とは別の流れになります。
先ほどの調査は受注側だけを対象にしているため、発注側でも同じ割合で入力に手間がかかっているとは言えません。
発注側では、調査の数字ではなく、自社の担当者が一枚あたり何に時間を使っているかを書き出すところから始めるほうが確実です。
一方で、書式のばらつき、手書きの割合、枚数、確認の担い手という判断の軸は、どちらの立場でも使えます。
方式を決める人と、毎日FAXを処理する人が別の場合は、もう一つ気をつけたい点があります。
決める側が見ている「入力件数」と、処理する側が感じている「確認や問い合わせの手間」がずれることがあるからです。
どこに時間がかかっているかを日々処理している担当者に書き出してもらうと、比べる前提がそろいます。
出典:株式会社ハンモック(IDEATECH「リサピー」企画)「食品業の受注業務に関する実態調査」(2026-11-04取得・FAX・Eメール・電話で受注する食品小売・卸売の担当者n=90、複数回答、2023年3月6〜7日・同上)
FAX-OCRが自動化する範囲と、人の確認が残る場所
読取から承認、基幹への取り込みまでの流れ
FAX-OCRは、FAXで受信した帳票の画像から文字を読み取り、項目ごとのデータに変える仕組みです。
担当者の仕事は、紙を見て一文字ずつ打ち込むことから、読み取られた結果を確かめて直すことに変わります。
流れを具体的に見るために、提供元が仕様を公開しているSP-FAX AI OCR(株式会社Spread)を例にとります。
このサービスは注文書や見積依頼、手書きの追記を自動で読み取り、担当者がレビュー画面で原本と照合してから承認します3。
承認したデータはCSVやAPI、kintone、freee、Webhookへ連携でき、クラウドコネクターの利用はOCR料金に含まれると案内されています3。
確認の画面や出力先は製品ごとに違います。
ここで押さえておきたいのは、読取、照合・修正、承認、取り込みという段の並びです。
取り込みの段では、自社の受注管理や基幹システムが、どの形式でデータを受け付けるかが問題になります。
CSVの取り込み機能があれば、OCRの出力をその形にそろえて読み込む運用が考えられます。
取り込み口がなければ、OCRで読み取った結果を結局手で打ち直すことになり、減るのは紙を読む手間だけです。
出力をどこへ渡せるかは、精度とは別に、導入の効果を左右します。
確認作業が残る理由
読み取った結果を、なぜ人が確かめるのか。
理由の一つはFAXという経路そのものにあります。
PFUのコラムは、FAXは送受信の過程で画質が劣化し、従来のOCRは文字の欠けやカスレに弱いため、OCR後の修正作業が多くなると指摘しています1。
紙の原本を手元で読み取るのとは違い、届いた時点で文字の形が崩れていることがあるわけです。
受注の現場では、読み違いがそのまま出荷の誤りにつながります。
たとえば数量の「1」と「7」、品番の「0」と「O」のような読み違いは、画面上では正しそうに見えるため、原本と並べて見なければ気づけません。
レビュー画面で原本と照合する工程は、この読み違いを出荷前に止めるために置かれています。
ここから、3方式の比較で見落とされやすい点が分かります。
FAX-OCRの費用は読取の料金だけでは決まらず、確認と修正にかかる担当者の時間が必ず加わります。
手入力でも入力後の見直しをしているなら、その時間と比べることになります。
確認を誰が担うかも決めておく必要があります。
得意先ごとの品番の書き方や、数量を手書きで直して送ってくる取引先の癖を知っている人が確認すれば、照合は速く、見落としも減らしやすくなります。
一方で、その人しか確認できない状態になると、調査で挙がっていた属人化が、入力から確認へ場所を移すだけになります。
▼ 図の内容を文字で読む
- FAXの送受信
- 画質の劣化
- 文字の欠けやカスレ
- OCRの読取
- 読み違い(数量の1と7、品番の0とO)
- レビュー画面で原本と照合
- 原本と並べて修正
- 担当者が承認
- 受注管理・基幹へ取り込み
- CSVなどの取り込み口が必要
精度の数字は条件つきで読む:手書き・書式のばらつき・FAX画質
98%と80%はどの条件の値か
FAX-OCRを調べると、認識率の数字が目に入ります。
PFUは、自社のAI-OCRソフトウェア「DynaEye 11」を用いた検証で、従来OCRの認識率が80%だったのに対し、AI-OCRでは98%だったと紹介しています1。
AI-OCRは学習したモデルで文字を読み取る方式で、PFUはFAXの帳票にはFAXに対応したAI-OCRを選ぶよう勧めています1。
この数字を自社に当てはめる前に、条件を押さえておきます。
検証に使われたのはPFUの基準帳票を用いたFAX注文書で、製品もPFUのものです。
他社の製品や、取引先ごとに体裁の違う自社の注文書で同じ値になるとは限りません。
また、コラムには手書きを含むかどうか、認識率が文字単位か項目単位かの記載がありません。
単位の違いは、確認作業の量に直結します。
文字単位の値なら、一枚の中のどこかに読み誤りが含まれる可能性は、文字数が多い注文書ほど高くなります。
項目単位なら、誤りの数え方そのものが変わります。
どちらにしても、「98%だから確認はほとんど要らない」とは読めません。
この値から言えるのは、同じ条件で比べたときに方式によって差が出たということです。
自社の帳票で何枚に一枚直すことになるかは、実際に読ませてみるまで分かりません。
FAXの画質を落とさない扱い方
精度は製品だけでなく、帳票の渡し方でも変わります。
PFUは、FAXで受け取った紙を再スキャンせず、複合機の中にある受信画像データを使うことを勧めています1。
受信の時点ですでに画質が落ちている紙をもう一度読み取れば、劣化が重なるためです。
あわせて、傾きや拡大縮小を補正する機能があるかを、選ぶときに確かめるよう挙げています1。
送り手の機器や送り方によって、斜めに届いたり縮小されて届いたりする帳票があるからです。
今の運用が「FAXを紙で印刷し、紙を見て入力する」形になっている場合、OCRの検討は受信の流れの見直しから始まります。
複合機が受信した画像をデータとして取り出せるか、OCRのサービスへ直接渡せるかで、読み取りの条件が変わります。
受信画像を使えないまま紙を再スキャンしてトライアルをすると、本来より低い精度で判断してしまうおそれがあります。
手書きが多い場合の見方
手書きと、取引先ごとの書式の違いは、公開されている数字からは見通しにくい部分です。
SP-FAX AI OCRは手書きの追記を読取の対象として掲げていますが、手書きの読取精度は示していません3。
PFUの検証値も、先に見たとおり手書きを含むかどうかが分かりません。
取引先ごとに体裁の違う注文書を、個別の設定なしでどこまで読めるかも、どちらの資料からも判断できません。
そのため、手書きの割合が高い場合や、書式が取引先ごとにばらばらな場合は、資料の数字ではなく自社の帳票を読ませた結果で判断することになります。
試した結果、印字の注文書はよく読めても手書きの欄で修正が続くなら、手書きの多い取引先の分だけ手入力に残すという分け方もできます。
全部を一つの方式でそろえる必要はありません。
帳票の種類ごとに方式を割り振るほうが、確認の手間を抑えられる場合があります。
| 方式 | 認識率(%) |
|---|---|
| 従来OCR | 80 |
| AI-OCR(DynaEye 11) | 98 |
費用の分かれ目:従量課金のOCR、手入力の人件費、外注
従量制の料金構造の見方
方式ごとの費用は、構造から違います。
FAX-OCRの料金の例として、SP-FAX AI OCRは初期費用・月額ともに0円で、OCR処理が1ページあたり10pt(税込10円相当)の従量制です3。
読み取ったページ数に比例して料金が増え、FAXが少ない月は料金も少なくなります。
ただし、これは1社のサービスの条件で、FAX-OCR全体の相場ではありません。
他の製品と比べるときは、初期費用や月額があるか、料金の単位がページか帳票かを同じ物差しにそろえる必要があります。
ページ単位の料金なら、複数ページにわたる注文書が多い取引では、枚数の感覚より料金が膨らみます。
自社の月のページ数を置いて計算すると、構造の違いが金額で見えてきます。
自社の人件費と確認時間を置く比較式
料金の数字だけでは、どの方式が安いかは決まりません。
手入力には入力する人の時間が、FAX-OCRには確認する人の時間が、外注には外注先の料金と自社に残る作業の時間がかかります。
月あたりで並べると、次のように書けます。
- 手入力:1枚あたりの入力時間×時給×月の枚数+誤りの修正にかかる時間×時給
- FAX-OCR:1ページあたりの料金×月のページ数+1枚あたりの確認・修正時間×時給×月の枚数
- 外注:見積の単価×月の件数+自社に残る確認・問い合わせ対応の時間×時給
この式は比べ方の整理で、どの方式が有利かを示すものではありません。
どの項にも自社でしか分からない値が入ります。
中でも結果を左右するのは、FAX-OCRの確認・修正の時間です。
読取料金が小さくても、確認に入力と変わらない時間がかかるなら、読取料金の分だけかえって高くなります。
反対に、確認が原本との目視の照合で済み、修正がまれなら、入力にかかっていた時間の多くが空きます。
確認時間は帳票の状態と担当者によって変わるため、後で述べるトライアルで自社の値を測ることになります。
枚数が増えたときの見え方も違います。
手入力では、処理しきれない分を残業や人の追加で吸収するしかありません。
人を増やせば、教える手間と、特定の人に頼る状態も一緒に増えます。
従量制のFAX-OCRは、人の手配を待たずに読み取る量を増やせます。
ただし確認時間は枚数とともに増えるので、確認の担い手の時間が足りるかは別に見ておく必要があります。
外注の見積で単価以外に比べる項目
外注の料金は公開されていないことがあります。
後で見る受注業務BPOのページでも、費用は無料のオンライン相談で確かめる案内になっています4。
見積を比べるときは、単価そのものより、単価が何に対してかかるのかをそろえることが先です。
1枚あたりなのか、1件あたりなのか、入力する項目の数で変わるのか。
月の最低料金はあるか、急ぎの処理に追加料金がかかるか。
単位がそろっていない見積を並べても、比較式の外注の項に正しい値は入りません。

もう一つ忘れやすいのが、外注しても自社に残る作業です。
得意先からの問い合わせへの対応や、外注先が判断できなかった帳票の確認は、式の後ろの項に足しておきます。
この残る作業がどれだけあるかは、何を任せるかで大きく変わります。
| 観点 | FAX-OCR(SP-FAX AI OCRの例) | 手入力 | 外注 |
|---|---|---|---|
| 初期・月額 | 0円 | 追加の契約費なし(既存の人員で対応) | 未確認・見積で確認 |
| 枚数あたりの費用 | 10pt/ページ(税込10円相当)+確認・修正時間の人件費 | 入力時間と誤りの修正時間の人件費 | 未確認・見積で確認(単価の単位も確認) |
| 確認・修正を担う人 | 自社の担当者(原本と照合して承認) | 自社の入力担当者 | 契約の範囲で外注先と自社が分担 |
| 立ち上げの負担 | 受信画像の渡し方と取り込み先の設定 | 担当者の教育・引き継ぎ | 任せる業務の切り出しと手順の共有 |
| 確認できていない項目 | 自社帳票での精度と確認時間 | 自社で実測できる | 料金・納期・誤りの扱い・情報管理 |
外注では何を任せられ、何を契約前に確かめるか
入力だけの外注と受注業務全体の外注
外注と一口に言っても、任せる範囲は大きく違います。
入力だけを任せる場合は、FAXの画像を外注先へ渡し、入力したデータを受け取ることになります。
得意先への確認の連絡や変更への対応は、自社に残ります。
これに対して、業務の工程をまとめて外部に委託するBPOという形もあります。
キヤノンマーケティングジャパンが紹介する受注業務BPOは、得意先からの注文受付(FAX・電話・メール・EDIなど)から、受注入力、在庫確認、出荷指示、仕入先への発注、納期回答までを一括で引き受ける内容です4。
どちらを選ぶかは、最初に整理した困りごとの場所で決まります。
手間が打ち込みに集中しているなら、入力だけの外注でも手間を減らせる可能性があります。
確認の連絡や変更対応、属人化まで重いなら、業務全体を任せる形のほうが残る手間は少なくなります。
その代わり、在庫を確かめて出荷を指示するところまで任せるには、外注先が在庫や出荷の情報を扱える状態を用意し、例外の判断を誰がするかを決めておく必要があります。
得意先にとって問い合わせの窓口が変わる場合は、その伝え方も準備に含まれます。
なお、このBPOは1社のサービスの範囲で、どの外注先でも同じ範囲を引き受けるわけではありません。
同じページには料金のほか、納期、情報管理の認証、誤りが出たときの扱いの記載もありません4。
これらは見積の段階で、一つずつ確かめることになります。
見積依頼で確かめる項目
外注先に渡すのは、取引先の社名や担当者、品目、数量といった取引の情報です。
そのため、料金と同じ重さで、情報の扱いと誤りの扱いを確かめておきます。
見積依頼に含めておきたい項目は次のとおりです。
- 任せる範囲:入力だけか、確認の連絡・変更対応・在庫確認・出荷指示まで含むか
- 納期:FAXを渡してから入力済みのデータが戻るまでの時間と、受付の締め時刻
- 確認の体制:入力後に二重チェックをするか、読めない文字をどう扱うか
- 誤りが出たときの扱い:誰が直し、出荷後に分かった誤りの費用をどう分担するか
- 再委託:外注先がさらに別の会社へ作業を出すことがあるか
- データの返却と削除:処理後や契約終了時に、FAXの画像と入力データをどうするか
- 取引先の増減と書式の変更:新しい取引先や書式の変更に、追加の費用や期間がかかるか
判断に直結するのは、誤りの扱いと納期です。
受注入力の誤りは、出荷して得意先に届いてから分かることもあります。
そのとき、原因がFAXの読みにくさなのか入力の間違いなのかで責任の所在が変わるなら、事前に取り決めがないと、確かめる手間が自社に戻ってきます。
納期は、出荷の締めに間に合うかどうかで決まります。
たとえば朝届いた注文を昼までに入力しなければならない業務で、外注先の処理が翌日になるなら、どれだけ安くても使えません。
これらの項目は、手入力やFAX-OCRと比べるときの物差しにもなります。
FAX-OCRなら、確認と修正は自社が持ち、データは自社の取り込み先へ流れます。
外注なら、その一部を外注先が持つ代わりに、取引の情報が社外を通ります。
どちらの形が取引先との関係や社内の決まりに合うかは、料金表だけでは決まらない判断です。
▼ 図の内容を文字で読む
- 任せる範囲と納期
- 任せる範囲(入力だけか、連絡・変更対応・在庫確認・出荷指示まで含むか)
- 納期(データが戻るまでの時間と受付の締め時刻)
- 取引先の増減と書式の変更
- 誤りと確認
- 確認の体制(二重チェック、読めない文字の扱い)
- 誤りが出たときの扱い(誰が直し、費用をどう分担するか)
- 情報の扱い
- 再委託の有無
- データの返却と削除
自社の帳票で小さく試す:枚数・指標・判断の置き方
サンプル帳票の選び方
ここまでで、方式を分けるのは書式のばらつき、手書きの割合、枚数、確認の担い手であり、肝心の確認時間は自社の帳票でしか分からないことが見えてきました。
PFUも、導入の前に実際のFAX注文書を使い、無料トライアルで確かめるよう助言しています1。
たとえばSP-FAX AI OCRには、メールアドレスの確認後14日間・最大50ページまでOCRを無料で試せる体験があり、クレジットカードは不要です3。
トライアルの条件は製品ごとに違うので、試せる枚数と期間に合わせてサンプルを組みます。
50ページという上限の中で試すなら、読みやすい注文書ばかりを選ばないことが大切です。
次のような帳票を、普段の受信の比率に近い割合で混ぜると、実際の運用に近い結果になります。
- 受信の多い取引先の、いつもの書式の注文書
- 書式が他と大きく違う取引先の注文書
- 手書きで書かれた注文書や、印字の上に手書きで追記されたもの
- かすれや傾きがあり、今も読みにくいと感じている帳票
- 複数ページにわたる注文書と、数量や納期の変更を伝えるFAX
帳票は、紙を再スキャンせず受信画像のまま渡します。
トライアルの間だけ紙から読み取ると、本番より低い精度で判断することになります。
確認を実際に担う予定の担当者に操作してもらうと、レビュー画面の使い勝手や照合にかかる時間を、本番に近い形で測れます。
読取の割合・確認時間・処理時間で比べる
サンプルを読ませたら、次の三つを記録します。
- 読取できた項目の割合:得意先、品番、数量、納期などの項目ごとに、直さずに使えたものの割合
- 確認・修正の時間:レビュー画面で原本と照合し、直して承認するまでの時間
- 1枚あたりの処理時間:受信から取り込みが終わるまでの時間を枚数で割ったもの
比べる相手として、同じサンプルを手入力した時間も測っておきます。
普段の入力時間の感覚ではなく同じ帳票で並べることで、確認時間と入力時間の差が、そのまま比較式に入る値になります。
項目ごとに記録すると、「品番はよく読めるが手書きの数量で直しが多い」「この取引先の書式だけ項目の位置を取り違える」といった、帳票の種類ごとの向き不向きも見えてきます。
合格の基準は、資料から借りてくるものではありません。
どの項目の誤りまでなら確認で止められるか、確認に何分まで使えるかは、自社が許容できるミスと人件費で決まります。
たとえば数量や納期の誤りは出荷に響くので必ず照合し、得意先名のように一覧から選び直せる項目は軽めに見る、といった重み付けも考えられます。
こうして測った値を比較式に置けば、FAX-OCRを全面に使うのか、帳票の種類で手入力と分けるのか、外注の見積と並べるのかを、数字で話し合えるようになります。
外注を候補に残すなら、同じサンプルで試してもらえるかを見積の段階で相談すると、3つの方式を同じ帳票で比べられます。
その際は、サンプルに含まれる取引先の情報を社外に出すことになるので、先に挙げた情報の扱いを確かめてから渡します。
▼ 図の内容を文字で読む
- サンプル帳票を選ぶ
- 書式・手書き・画質の違うものを混ぜる
- 受信画像のまま読ませる
- 紙を再スキャンしない
- 確認を担う予定の担当者が操作する
- 三つを記録する
- 読取できた項目の割合
- 確認・修正の時間
- 1枚あたりの処理時間
- 同じサンプルの手入力時間と並べる
- 比較式に置いて方式を決める
- 全面に使うか、帳票の種類で分けるか、外注の見積と並べるか
確認時間の測り方や、どの取引先の帳票を試すかは、受注の流れ全体を見ないと決めにくいためです。
今のFAX受注の流れを工程ごとに書き出し、転記と確認がどこに集まっているか、トライアルで比べる帳票と指標をどう置くかを一緒に確かめられます。無料相談で要件を整理する
自社の状況から、最初に試す方式を絞る
困りごとの場所と帳票の状態という条件で、最初に試す方式の候補を並べた。
- 取引先が限られ、印字の注文書が大半で枚数が多い:FAX-OCRのトライアルで確認・修正の時間を測る
- 手書きや取引先ごとの書式のばらつきが大きい:帳票の種類ごとに読取結果を見て、読みにくい種類を手入力に残すかを決める
- 確認の連絡・変更対応・属人化まで重い:受注業務全体を任せる外注の見積を、入力だけの外注と並べる
- 枚数が少なく、今の担当者で処理が回っている:手入力を続け、比較式で見直す時期を決めておく

トライアルで確認・修正の時間が手入力の時間に近い場合は、FAX-OCRを広げず、帳票の種類ごとの分担か外注の見積との比較へ切り替えます。
要点の整理
| 困りごとの場所 | 打ち込み中心か、確認の連絡・変更対応・属人化まで重いか |
|---|---|
| 精度の数字 | 製品・帳票・単位の条件を確かめ、自社帳票の結果で判断する |
| FAXの扱い | 紙を再スキャンせず、受信画像のまま読ませる |
| 費用 | 読取料金+確認・修正時間×時給で、手入力・外注と同じ式に置く |
| 外注 | 任せる範囲、納期、誤りの扱い、再委託、データの返却・削除を見積で確かめる |
| 試し方 | 書式・手書き・画質の違う帳票を混ぜ、同じサンプルの手入力時間と比べる |
方式を決めた後も、取り込み先や取引先との受発注の進め方まで含めて見直す場面が残るためです。 FAXで届く注文を今後どの経路で受けるか、OCRや外注と組み合わせたときに社内の転記がどこで減り、どの確認が残るかを整理できます。
よくある質問
FAX-OCRの読取結果は、誰がいつ確認するのか
読取結果は、取り込み先へ渡す前に担当者が原本と照合して承認します。
たとえばSP-FAX AI OCRでは、レビュー画面で原本と照合してから承認する流れです3。
誰が担うかは製品ではなく自社が決めます。
得意先ごとの品番の書き方や癖を知っている人が確認すると照合は速くなりますが、その人しか確認できない状態にならないよう、確認の手順を共有しておくことが大切です。
FAXを紙で受け取っている場合、再スキャンして読み取ってよいか
PFUは、FAXの紙を再スキャンせず、複合機の中にある受信画像データを使うよう勧めています1。
受信時点ですでに画質が落ちている紙を読み直すと、劣化が重なるためです。
トライアルも受信画像で行わないと、本番と違う精度で判断することになります。
取引先ごとに書式が違っても、FAX-OCRは使えるか
書式の違う注文書をどこまで設定なしで読めるかは、今回参照した提供元の資料からは判断できません。
書式の違う取引先の注文書をサンプルに混ぜてトライアルにかけ、取引先ごとに読取できた項目の割合と確認時間を記録すると、使える範囲と手入力に残す範囲を分けられます。
手書きの注文書が多いとき、手入力や外注に残すべき範囲はどこか
手書きの追記を読取の対象に掲げるサービスはありますが、手書きの読取精度は示されていません3。
手書きの多い取引先の帳票を試し、修正が続く項目や取引先があれば、その分だけ手入力や外注に残す分け方ができます。
数量や納期のように出荷に響く項目で修正が多いかどうかが、残すかどうかの目安になります。
外注に出すときに、取引先の注文情報の扱いで確認しておくことは何か
外注先には取引先の社名や品目、数量といった取引の情報を渡すことになります。
再委託の有無、処理後や契約終了時のFAX画像と入力データの返却・削除、誤りが出たときに誰が直し費用をどう分担するかを、見積の段階で確かめておきます。
トライアルでサンプルを渡す場合も、先にこれらを確かめてからにします。
発注側(仕入先のFAX請求書の処理)でも、同じ判断の軸でよいか
書式のばらつき、手書きの割合、枚数、確認の担い手という軸はそのまま使えます。
ただし、手入力の手間を示した調査は食品の小売・卸売の受注側を対象にしたもので2、発注側の手間の大きさは分かりません。
読み取った後に何と照らしてどこへ取り込むかも受注側とは異なるため、その作業も確認時間に含めてトライアルで測ります。
- 1 出典:株式会社PFU(リコーグループ)「FAX注文書はOCRできる?精度を向上させる3つのポイント(デジタラクル コラム)」(2025年)
- 2 出典:株式会社ハンモック(IDEATECH「リサピー」企画)「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
- 3 出典:株式会社Spread「SP-FAX AI OCR サービスページ」(2026年)
- 4 出典:キヤノンマーケティングジャパン株式会社「受注業務BPO(ラインアップ)」(2026年)
画像の出典元
- A businesswoman typing on a laptop at a bright indoor workspace with notebooks and a pen./Photo by picjumbo.com on Pexels
- Businesswoman in white shirt working on laptop with papers at wooden desk./Photo by cottonbro studio on Pexels