◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- スタンプや「了解」は確定・受領・保留のどれとも取れるため、受注側が品目・数量・納品日を復唱し、得意先が『確定』と返した時点を確定の合図にする。
- 締め時刻と、確定後の変更・取消を新しいメッセージで受ける範囲を決め、送信取消の表示に頼らない。
- LINE公式アカウントのチャット履歴は無料範囲で半年、チャットProオプションで5年の保存のため、確定時に受注台帳へ転記し、トークは補助の記録にする。
- プランの月額は配信の枠の条件で、記録の制約とは別。履歴を半年より長く保管する必要があるかを先に決める。
- 転記そのものが追いつかない場合は、注文を項目に分かれたデータで受ける受発注システムを、費用より機能の条件から検討する。
目次

LINE受発注でスタンプや短い返信が注文の誤認につながる場面
得意先に注文内容の確認を送ったら、👍のスタンプだけが返ってきた。
これで確定なのか、読んだだけなのか、後で返事をするつもりなのか、受け手には決められません。
数量の食い違いや「頼んでいない」という行き違いは、この解釈の余地から生まれます。
受注側が変えられるのは、読み方ではありません。
「何をもって確定とするか」を先に決めて、得意先に伝えておくことです。
具体的には、受注側が品目・数量・納品日を復唱して送り、得意先が『確定』と返した時点を確定とし、そのとき社内の受注台帳へ転記します。
LINE公式アカウントのチャット履歴は、無料範囲で半年、チャットProオプションで5年保存されます1。
ルールだけで足りるか、別の仕組みが要るかは、件数と記録の要件で判断します。
スタンプ・「了解」・既読:確定か受領か
LINEでの受注は、受付・確認・確定・出荷手配の四つの段に分けて見ると、どこで取り違えが起きるかが分かりやすくなります。
受付は、得意先から注文のメッセージが届く段です。
確認は、受注側が内容を確かめる段です。
確定は、双方がその内容で合意したと扱う段で、出荷手配は倉庫や配送に指示を回す段です。
誤認が起きるのは、確認から確定へ移る境目に、意味の決まっていない返信が置かれたときです。
たとえば、受注担当者が「A-101を10ケース、木曜納品でよろしいですか」と送り、得意先から👍のスタンプが返ってきたとします。
送った側は「はい、その内容で」のつもりかもしれません。
「見ました、あとで社内で確認します」のつもりかもしれません。
「了解」という短い返信も同じで、注文内容に同意したのか、メッセージを受け取ったという合図なのかは、文字だけでは区別できません。
既読はさらに情報が少なく、読んだことは分かっても、内容に同意したかどうかは何も示しません。
迷ったときの受け手の動きは三つに分かれます。
一つ目は、確定と読んで受注入力と出荷手配へ進めることです。
得意先がまだ社内で確認中のつもりだったなら、届いた荷物に「頼んでいない」と言われます。
二つ目は、受け取っただけと読んで確定待ちで止めることです。
得意先が確定のつもりだったなら、納品が遅れます。
三つ目は、迷って問い合わせを返すことです。
その返事が締め時刻をまたげば、出荷は一日ずれます。
どれを選んでも、読みが外れたときの手戻りは受注側に戻ってきます。
取り違えは、得意先の返信だけで起きるわけではありません。
受注側が忙しい時間帯に「了解です」とだけ返すと、得意先は注文がそのまま通ったと受け取ります。
実際には在庫が足りず、一部を後日納品にするつもりだったとしても、その事情は「了解です」からは伝わりません。
短い返信の問題は、送る側にも受ける側にも、相手の頭の中にある内容を確かめる手段がないことにあります。
なお、ここでの分け方は受付から出荷手配までの流れに当てはめた整理で、どの誤認がどれほど起きやすいかを測ったものではありません。
画像注文と複数話題が混ざったトーク
得意先から、手書きの発注メモや売り場の棚の写真で注文が届くこともあります。
得意先にとっては、品番を打ち込むより写真を送るほうが手早い場合があるからです。
LINE公式アカウントのチャットでは、管理画面からも画像・動画・ファイルを送ることができ1、写真や資料でのやり取りが前提の画面になっています。
受注側では、届いた画像から品目と数量を読み取る作業が発生し、ここに読み違いの余地が生まれます。
手書きの「1」と「7」、ケースとバラの単位、同じ商品名で容量だけが違う品番などは、写真だけでは判断がつかないことがあります。
もう一つの取り違えは、話題が混ざることです。
同じトークの中で、前回分の請求の確認、新商品の問い合わせ、今回の注文が前後して流れると、得意先の「了解」がどのメッセージへの返事なのかが分からなくなります。
前日に「来週から単価が変わります」と送り、翌朝に注文の確認を送ったところへ「了解しました」と返ってきたとします。
これが注文の確認への同意なのか、単価変更の連絡を受け取ったという返事なのかは、送った時刻を見比べても確定できません。
得意先の店舗スタッフ数名と受注側が同じグループで話している場合は、誰の発言を発注として扱うかも曖昧になります。
店長が「10ケース」と書いた後に別のスタッフが「8で足ります」と書けば、どちらを採るかは受注側には決められません。
発注できる人を得意先側で決めてもらうことも、次の節で扱う確定ルールの一部として考えられます。
送信後の変更・取消
確定したはずの注文が後から動くのも、LINEでの受注に特有の場面です。
LINE公式アカウントのチャットでは、送信から24時間以内であれば、管理者側からもユーザー側からも送信を取り消せます1。
つまり、得意先が朝に送った注文を受注側が読んで入力した後で、その元のメッセージがトークから消えることがありえます。
取り消しが受注側の管理画面でどう表示されるかは、マニュアルの該当する記載からは読み取れません。
そのため、トークの表示を頼りに「取り消しがあったかどうか」を判断する運用は避けたほうが安全です。
受注担当者が、公式アカウントではなく自分の個人のLINEで得意先とやり取りしている場合は、仕組みが変わります。
個人向けLINEの送信取消は標準で送信後1時間以内で、取り消すと相手のトークに「メッセージの送信を取り消しました」と表示されます3。
一方、メッセージの削除は自分の画面から消えるだけで、相手側には内容が残ります3。
同じヘルプには、この送信取消はLINE公式アカウントとのトークなどでは使えない旨も書かれています3。
同じ「送信取消」という言葉でも、公式アカウントのチャットでは24時間、個人同士のトークでは標準1時間と、別の仕組みとして説明されています。
得意先とどちらの画面でやり取りしているかを分けて考える必要があります。
取り消しよりも頻繁に起きるのは、追加のメッセージによる変更です。
「さっきの、やっぱり8ケースで」と届いたとき、それが確定前の訂正なのか、出荷手配を済ませた後の変更依頼なのかで、受注側のすることは変わります。
どの時点までの変更なら受け付け、どの時点からは別の連絡手段に切り替えるかを決めていなければ、受注側はその都度、得意先との関係を考えながら判断することになります。
注文の確定条件を決めて得意先に伝える:定型文・確認返信・締め時刻・変更取消
定型フォーマットで注文を書いてもらう
前の節で見た誤認は、どれも受け手が解釈しなければならない余地から生まれていました。
そこで確定ルールは、解釈を上手にすることより、解釈しなくて済む形をつくることを目指します。
最初の手当ては、注文を書くときの項目をそろえてもらうことです。
- 得意先名と納品先(店舗が複数ある場合)
- 品目(商品名だけでなく、分かれば品番)
- 数量と単位(ケース・個・kgなど)
- 希望納品日
- 備考(欠品時の代替品の可否など)
項目がそろうと、受注側は欠けている項目を一目で見つけられます。
単位が書かれていない注文には「ケースでしょうか、個でしょうか」と聞き返せばよく、文脈から推し量る必要がなくなります。
写真で送りたい得意先には、写真を禁止するより、「写真に加えて納品日だけは文字で」のように、得意先が続けられる範囲で決めるほうが受け入れられやすいでしょう。
フォーマットは得意先に守らせる約束というより、受注側が確認項目を漏らさないための型と考えます。
そうしておけば、多少崩れた注文が届いても運用が止まりません。
受注側の復唱を確定の合図にする
中心になるのは、何をもって注文が確定したとするかの決めごとです。
提案したいのは、得意先の注文メッセージやスタンプの時点では確定とせず、受注側が品目・数量・納品日を復唱して送り、得意先が『確定』と返した時点で確定とするルールです。
復唱とは、受け取った注文を受注側の言葉で書き直して送り返すことを指します。
復唱の文面は、たとえば次のような形が考えられます(仮の例です)。
「【ご注文確認】◯◯商店様/A-101 10ケース/B-220 3ケース/納品日 ◯月◯日(木)午前/この内容でよろしければ『確定』とご返信ください」
このルールの利点は、確定の対象がはっきりすることです。
得意先が『確定』と返す相手は、受注側が書き直した具体的な内容です。
写真の読み違いや単位の取り違えがあれば、得意先はその場で気づけます。
「了解」がどのメッセージへの返事か分からないという問題も、復唱の直後に返る『確定』であれば起きにくくなります。
この仕組みで減るのは、「この注文は確定したのか」と受注側が文面から推し量る手間です。
代わりに残るのは、復唱への返信があるかないかを確かめる作業です。
スタンプをどう扱うかも決めておきます。
注文の文面に対するスタンプと、復唱に対するスタンプでは、意味の幅が違います。
前者は確定・受領・保留のどれとも取れますが、後者は「この内容でよい」という意味に近づきます。
それでも、複数の話題が流れているトークでは、スタンプがどのメッセージへの反応か分かりにくい場面は残ります。
原則としてスタンプは確定に含めないことにします。
得意先の負担を考えて例外を認めるなら、「復唱の直後に返されたスタンプに限る」と範囲を書いておくのが一つの決め方です。
ここで決めるのは、受注側と得意先が日々の取引で迷わないための運用上の合図です。
注文が法的にいつ成立するかは取引基本契約や受注条件によって決まるもので、この合図がそのまま法的な成立時点になるとは言えません。
取引基本契約に注文の方法や確定の扱いが定められている得意先では、そちらを優先します。
判断に迷う場合は、契約を担当する部署や専門家に確かめてください。
締め時刻と変更・取消の受付範囲
確定の合図を決めても、確定した後に注文が動く場面は残ります。
そこで、確定の合図と組み合わせて、締め時刻と、変更・取消をどこまで受け付けるかを決めます。
締め時刻は、たとえば「前日15時までに確定した注文を翌日出荷」というように、出荷手配の段取りから逆算して置きます(時刻は仮の例です)。
締め時刻を過ぎて届いた注文や『確定』の返信は翌日の受付として扱う、と書いておきます。
そうすれば、夕方に届いた返信を当日分に入れるかどうかを、担当者がその場で判断せずに済みます。
- 確定前:自由に訂正できる。
訂正を受けたら受注側が復唱し直す - 確定後から締め時刻まで:「変更」または「取消」と書いたメッセージで受け付け、受注側が変更後の内容を復唱する
- 締め時刻の後:出荷手配が進んでいる可能性があるため、電話など、その場で可否を答えられる手段に切り替える
変更や取消は、送信取消で元のメッセージを消すのではなく、新しいメッセージで送ってもらうことも決めておきたい点です。
前の節で見たとおり、公式アカウントのチャットでは24時間以内なら得意先側から送信を取り消せますが1、受注側の画面でそれがどう見えるかを頼りにはできません。
個人同士のトークでも、相手に表示されるのは取り消した旨で3、元の内容を見返せる前提にはできません。
新しいメッセージで「取消」と送ってもらえば、取消の事実と対象がトークに残り、受注側が受注台帳を直すときの手がかりになります。
受注側の誤送信も同じ考え方で扱います。
管理者側も24時間以内なら送信を取り消せますが1、得意先がすでに『確定』と返した復唱を取り消すと、得意先が何に同意したのかが分からなくなります。
確定後に受注側の誤りに気づいたときは、元の復唱を残したまま、訂正した内容で復唱し直します。
そのほうが、後から経緯をたどれます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 確定と読む
- 受注入力と出荷手配へ進む
- 得意先が確認中のつもりなら「頼んでいない」
- 受け取っただけと読む
- 確定待ちで止める
- 得意先が確定のつもりなら納品が遅れる
- 迷って問い合わせを返す
- 返事が締め時刻をまたぐ
- 出荷は一日ずれる
トーク履歴に頼らず、注文の記録と照合をどう残すか
保存期間・ダウンロード・画像の保存期間の制約
確定ルールが回り始めると、トークの中に「復唱」と『確定』の組が残るようになります。
これを注文の記録として使いたくなりますが、LINE公式アカウントのチャット履歴にはいくつかの制約があります。
テキスト・画像・動画・ファイルの保存期間は、無料範囲では半年、チャットProオプションでは5年です1。
5年の保存は、2024年以降の履歴が対象です1。
半年という長さは、日々の出荷の照合には足りても、それより前をさかのぼる確認には足りないことがあります。
たとえば、得意先から「去年の同じ時期に何ケース頼んだか」と聞かれたときや、期をまたいで請求と注文を突き合わせるとき、無料範囲のトークにはもう元のやり取りが残っていない可能性があります。
また、公式アカウントをグループや複数人のトークに参加させて受注している場合、画像・動画の保存は2週間、ファイルは1週間です1。
これはチャットProオプションの有無に関係ありません1。
写真で届いた注文をグループのトークに置いたままにしておくと、3週間後には見返せなくなっているということです。
履歴を手元に持っておく手段も限られます。
チャット履歴のダウンロードは、チャットProオプションを購入している場合に、Web版の管理画面から利用できる機能です1。
無料範囲のままでは、トークを書き出して自社のファイルとして保管するこの機能は使えません。
LINEで受けた注文のやり取りを、取引の記録として一定期間保存する必要があるかどうかは、税務上の扱いも関わる問題です。
保存が必要か、必要ならどの形で残すかは、自社の経理・税務の担当や顧問の専門家に確かめる事柄で、トークの保存期間だけでは決められません。
確定時に転記し、担当者・タグ・ノートで管理する
こうした制約を踏まえると、トークを注文の正本にはせず、確定の時点で社内の受注台帳へ転記し、トークは経緯をたどる補助の記録と位置づけるのが現実的です。
受注台帳は、販売管理システムの受注入力でも、表計算の一覧でも構いません。
大事なのは、転記のタイミングを『確定』の返信を受けたときに一本化することです。
そうすれば、「入力済みだが未確定」「確定済みだが未入力」という中途半端な注文が生まれにくくなります。
転記したら、受注番号を付けてトークに一言返しておくと、トークと台帳を後から結び付けられます。
「受注番号◯◯◯で承りました」と返すだけで、得意先は注文が受け付けられたことを確かめられ、受注側は台帳の番号からトークの該当箇所を探せます。
トークの履歴が保存期間を過ぎて消えても、台帳側には確定した内容が残ります。
社内で複数の人がLINEの注文を見ている場合は、管理画面の担当者設定が役に立ちます。
担当者は登録メンバーの中から設定でき、設定していない場合は、そのチャットに最初に送信したメンバーが担当者になります1。
担当フィルターを使えば、自分が担当するチャットだけを表示できます1。
得意先ごとに担当者を決めて設定しておけば、復唱を送る人と転記する人がぶれにくくなります。
反対に、設定しないまま運用すると、たまたま最初に返信した人が担当者になり、得意先ごとの担当が意図せず決まってしまいます。
タグとノートは、チャットに状態やメモを付ける機能です。
タグは1ユーザーにつき、無料範囲で1個まで、チャットProオプションで最大30個まで付けられます1。
ノートは、無料範囲で各チャットルーム1件まで、Proで最大1000件まで追加できます1。
無料範囲のタグ1個は、「確定待ち」のような注文の状態を表すか、「卸先」「直営店」のような得意先の区分を表すか、どちらか一方にしか使えません。
ノート1件には、その得意先の締め時刻や納品先など、頻繁に書き換えない情報を置くと使いやすいでしょう。
ただし、タグやノートは注文そのもののデータではありません。
品目ごとの数量を集計したり、出荷指示に流したりするのは、転記した受注台帳の役割です。
LINEの管理画面は、誰がどの得意先の注文を持っていて、いまどの段にあるかを見る場所です。
受注台帳は、何をいくつ出荷するかを持つ場所です。
このように役割を分けておくと、どちらに何を書くかで迷いません。
▼ 図の内容を文字で読む
- 受注側が品目・数量・納品日を復唱する
- 得意先が復唱の内容を確かめる
- 合っていれば『確定』と返す
- 確定の時点で受注台帳へ転記する
- 得意先が訂正を返す
- 受注側が訂正を反映して復唱し直す
ルールだけで足りるか、有料オプション・受発注システムが要るか
プラン別の費用と通数の見方
ここまでのルールは、追加の費用をかけずに始められます。
そのうえで費用を考えるときは、LINE公式アカウントのプラン料金と、記録の機能のための費用を分けておく必要があります。
LINEヤフーの料金ページでは、プランは次の3種類として示されています2。
- コミュニケーションプラン:月額固定費0円、無料メッセージ200通
- ライトプラン:月額固定費5,000円(税別)、無料メッセージ5,000通
- スタンダードプラン:月額固定費15,000円(税別)、無料メッセージ30,000通
追加メッセージを送れるのはスタンダードプランだけで、その単価は配信数によって変わります2。
同じ料金ページには2026年10月1日の価格改定についての記載があります2。
上の金額が現在も同じかは、契約や見直しの前に料金ページで確かめてください。
これらのプランの差は、メッセージを送れる通数の枠の差です。
一方、マニュアルでは、履歴の保存期間・ダウンロード・タグやノートの上限の違いは、無料範囲とチャットProオプションの違いとして書かれています1。
プランの月額は配信の枠の条件として見るもので、受注を管理する機能の費用として見るものではありません。
チャットProオプションの料金は、プランの月額とは別に確かめる必要があります。
また、得意先との1対1のチャットでの返信が無料メッセージの通数にどう数えられるかは、料金プランの表からは判断できません。
注文件数から必要なプランを逆算するのは避けたほうがよいでしょう。
この二つを分けると、判断の順番が見えてきます。
先に決めるべきなのは、トークの履歴を半年より長く、あるいは自社のファイルとして保管する必要があるかどうかです。
その必要がなければ、記録は受注台帳への転記で担い、プランは配信の必要に応じて選べば足ります。
必要があるなら、チャットProオプションの費用を、転記した台帳だけでは足りない理由と見比べて判断することになります。
切り替えを考える条件
では、ルールだけの運用から一歩進めるのは、どんな状態になったときでしょうか。
目安になるのは、次のような状態です。
- 半年より前の注文を、トークの原文で確かめる必要が繰り返し出てくる
- トークの履歴そのものを自社で保管しておきたい
- 得意先の区分と注文の状態を、タグ1個では管理しきれない
- 確定のたびの転記が担当者の手に余り、締め時刻までに受注台帳へ入れきれない
- 品目数が多い、得意先ごとに単価や納品条件が違うなどの理由で、転記の誤りを復唱でも拾いきれない
上の三つは、トークの記録と管理の不足です。
これは、チャットProオプションの保存期間・ダウンロード・タグの上限で補える可能性があります1。
一方、下の二つは、記録ではなく転記そのものの負担です。
保存期間が延びても、トークの文章や画像を受注側が読み取り、受注台帳へ打ち直す作業は変わりません。
転記の負担を減らすには、注文を最初から品目・数量・納品日といった項目に分かれたデータとして受け取る仕組みが必要になります。
受発注システムは、得意先が商品の一覧から品目を選び、数量を入れて発注する形で注文を受けるものです。
受注側がトークの文章や写真を読み取り、打ち直す工程そのものがなくなります。
その代わり、得意先に新しい画面での発注を覚えてもらう必要があり、LINEで気軽に送れていた手軽さは失われます。
費用は製品や取引の規模によって異なるため、金額から比べ始めるより、構造化された注文データを持つ必要があるかという条件から検討を始めるほうが、判断を誤りにくくなります。

どの段階に進んでも、確定の合図を決めておくことは無駄になりません。
受発注システムに移った後も、LINEで届く急ぎの追加注文や電話での変更が残る場合があります。
そこで何をもって確定とするかの決めごとは、引き続き使えます。
| 観点 | ルール運用(無料範囲) | チャットProオプション | 受発注システム |
|---|---|---|---|
| トーク履歴の保存期間 | 半年 | 5年(2024年1月1日以降の履歴) | 注文はシステムのデータとして持つ |
| 履歴のダウンロード | 使えない | Web版管理画面で使える | 製品ごとに異なる |
| 注文データの形 | トークの文章・画像を受注側が転記 | トークの文章・画像を受注側が転記 | 得意先が品目と数量を入力した項目データ |
| 費用の根拠 | プランの月額固定費(配信の枠) | オプション料金を別に確認 | 製品ごとの見積もり |
▼ 図の内容を文字で読む
- トーク履歴の保存
- 無料範囲は半年、チャットProオプションは5年(2024年1月1日以降の履歴)
- グループへの参加では画像・動画は2週間、ファイルは1週間
- LINEの管理画面
- 誰がどの得意先の注文を持つかを見る
- いまどの段にあるかを見る
- 受注台帳
- 何をいくつ出荷するかを持つ
- 品目ごとの数量の集計と出荷指示に使う
得意先に負担をかけず切り替える周知と移行の順序
周知文の作り方
ルールを決めても、得意先に伝わらなければ、届くのは相変わらずスタンプです。
周知で気をつけたいのは、得意先に求めることをできるだけ少なくすることです。
得意先へのお願いは「当社からの確認メッセージに『確定』と返してください」の一点に絞ります。
注文のフォーマットは「書いていただけると助かります」程度の任意にとどめれば、得意先の手間はほとんど増えません。
周知文に入れる項目は次のとおりです。
- いつから新しい受け方に変わるか
- 受注側が内容を確認するメッセージを送り、『確定』の返信で注文確定とすること
- 締め時刻と、それを過ぎた注文の扱い
- 確定後の変更・取消は新しいメッセージで「変更」「取消」と送ってもらうこと、締め時刻の後は電話で連絡してもらうこと
- 注文を書くときの項目の例(任意)
書き出しは、たとえば次のような形が考えられます(仮の例です)。
「いつもご注文ありがとうございます。
◯月◯日のご注文分から、ご注文内容を当社より確認のメッセージでお送りし、『確定』とご返信いただいた時点で承ることといたします。
行き違いによる誤配送を防ぐためのお願いです。」
理由を誤配送の防止という得意先の側の利益として書くと、手間が増えるだけの変更とは受け止められにくくなります。
得意先が公式アカウントに送ってくる場合も、担当者の個人のLINEに送ってくる場合も、受注側が復唱して『確定』を待つという手順は同じです。
画面や送信取消の仕組みが違っても、確定の合図を受注側の復唱と得意先の返信に置いている限り、ルールを分ける必要はありません。
試行期間と確かめ方
いきなりすべての得意先に切り替えるより、注文の頻度が高い得意先や、これまで行き違いがあった得意先から試すほうが、ルールの穴を早く見つけられます。
得意先の数やLINEの使い方の慣れに大きな差がある場合は、取引の多い得意先から順に広げると、問い合わせへの対応も分散できます。
試行のあいだに確かめたいのは、ルールが受注側の手間をどこで減らし、どこで増やしたかです。
比べる数としては、復唱を送った後に得意先から訂正が入った件数、出荷後に数量や品目の違いが分かった件数、復唱への返事がなく確定待ちで止まった件数が使えます。
試行の初めに訂正の件数が増えた場合、それは復唱で食い違いを出荷前に拾えている表れとも読めます。
見るべきは、出荷後に分かる違いが減っているかどうかです。
これらは自社の数字で確かめるもので、ルールを入れれば必ず減ると言えるものではありません。
試行中に、復唱に対してスタンプだけを返し続ける得意先が出てくることがあります。
そのときは確定扱いにせず、「お手数ですが『確定』とご返信いただけますか」と一言返します。
何度も続く場合は、その得意先にとって文字で返す手間が負担になっている可能性があります。
前の節で触れた「復唱の直後のスタンプに限って確定とする」例外を、その得意先に限って認めるかを検討します。
社内の受付手順
得意先への周知と並行して、社内で誰が何をするかを決めておきます。
受注側の手順は、次の順で整理できます。
- 注文を受けたら、担当者が項目の欠けを確かめ、欠けがあれば聞き返す
- 担当者が品目・数量・納品日を復唱して送る
- 得意先の『確定』を受けたら、締め時刻の前か後かを確かめる
- 受注台帳へ転記し、受注番号をトークに返す
- 変更・取消が届いたら、受注台帳を直してから復唱し直す
手順の中で判断が分かれるのは、復唱を送る人と転記する人を同じにするか、分けるかです。
同じ人にすれば、確定から転記までの抜けは起きにくくなりますが、読み違いはその人の中で完結してしまいます。
分ければ、転記する人が復唱と台帳を見比べる二重の確認になる一方、確定から転記までの間に引き継ぎの時間が生まれます。
注文の件数と、出荷後に見つかる違いがどちらの理由で起きているかを見て選ぶとよいでしょう。
担当者が休みの日の扱いも決めておきます。
担当フィルターは自分の担当チャットだけを表示する機能なので1、代わりに受ける人がフィルターをかけたままでは、休んでいる人の得意先の注文が目に入りません。
休みの日は誰が代わりに見るか、代わりに復唱した場合に担当者の設定を変えるかどうかを決めておけば、その日の注文だけが確定待ちのまま残ることは起きにくくなります。
▼ 図の内容を文字で読む
- 周知文を送る
- 得意先へのお願いは『確定』の返信に絞る
- 試行する
- 注文の頻度が高い得意先から始める
- スタンプだけの返信には『確定』の返信を頼む
- 件数で確かめる
- 出荷後に分かった違いが減っていれば次へ進む
- 減らなければ周知文・手順を見直して試行を続ける
- 全面適用する
確定の合図を決めても、自社の受注入力や出荷手配の流れのどこで復唱と転記を挟むかは、得意先の数や品目の構成によって変わり、社内だけでは決めにくいところです。
いまのLINEでの受付から受注入力までの流れをもとに、確定の合図と転記の位置をどこに置けるか、ルール運用で足りるかを整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 確定の合図 | 受注側の復唱に得意先が『確定』と返した時点。スタンプ単独は含めない |
| 締め時刻 | 出荷手配から逆算して決め、過ぎた返信は翌日の受付として扱う |
| 変更・取消 | 送信取消ではなく新しいメッセージで受ける。締め時刻の後は電話へ切り替える |
| 記録 | 確定時に受注台帳へ転記し、受注番号をトークに返す。トークは補助の記録 |
| 切り替え | 履歴の保管や分類の不足はチャットProオプション、転記の負担は受発注システムを検討 |

トークの記録で足りるのか、注文を項目に分かれたデータで受ける仕組みが要るのかは、件数・品目・得意先ごとの条件を並べてみないと判断しにくいものです。 転記の負担がどこで大きくなっているか、受発注の仕組みへ移す場合に得意先側の発注方法がどう変わるかを確かめられます。
よくある質問
得意先が「👍」スタンプだけ返してきたとき、注文として入力してよいですか。
注文の文面にスタンプだけが返ってきた場合は、確定として入力しないほうが安全です。
スタンプは確定・受領・保留のどれとも取れるためです。
品目・数量・納品日を復唱して送り、『確定』の返信を待ちます。
復唱の直後に返されたスタンプを確定とみなすかどうかは、得意先と事前に決め、周知文に書いておけば扱えます。
得意先が送信取消した注文は、受注側で確認できますか。
やり取りしている画面によって異なります。
担当者の個人のLINE同士のトークでは、送信取消は標準で送信後1時間以内にでき、相手のトークには「メッセージの送信を取り消しました」と表示されます3。
LINE公式アカウントのチャットでは、送信から24時間以内ならユーザー側からも取り消せますが1、受注側の管理画面での表示はマニュアルの該当する記載からは読み取れません。
どちらの場合も、確定後の変更・取消は送信取消ではなく、新しいメッセージで「取消」と送ってもらうルールにしておくと、経緯がトークに残ります。
注文の画像は、トークでいつまで見られますか。
LINE公式アカウントのチャットでは、テキストや画像などの保存期間は無料範囲で半年、チャットProオプションで5年(2024年1月1日以降の履歴が対象)です1。
ただし、グループや複数人のトークでは、画像・動画は2週間、ファイルは1週間で、Proの有無に関係ありません1。
画像で届いた注文は、確定時に内容を受注台帳へ転記し、必要なら画像そのものも社内に保存しておくと、期間を過ぎても確かめられます。
注文のやり取りに使うLINE公式アカウントは、無料プランで足りますか。
プランの違いは主にメッセージを送れる通数の枠の違いで、コミュニケーションプランは月額固定費0円・無料メッセージ200通です2。
履歴の保存期間やダウンロード、タグの上限は、マニュアルでは無料範囲とチャットProオプションの違いとして書かれています1。
確定した注文を受注台帳へ転記し、半年より前の履歴をトークで確かめる必要がなければ、記録の面では無料範囲でも運用できます。
1対1のチャットでの返信が通数にどう数えられるかは料金プランの表からは判断できないため、通数については料金ページや提供元の案内で確かめてください。
LINEで受けた注文の記録は、電子取引データとして保存が必要ですか。
保存が必要かどうか、必要ならどの形で残すかは、税務上の扱いが関わるため、自社の経理・税務の担当や顧問の専門家に確かめる事柄です。
判断の前提として押さえておきたいのは、LINE公式アカウントのチャット履歴は無料範囲で半年の保存で、ダウンロードはチャットProオプションの購入時にWeb版管理画面から使える機能だという点です1。
保存が必要と判断された場合、トークに残しておくだけでは足りない可能性があります。
- 1 出典:LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント マニュアル(チャット)」(2026年)
- 2 出典:LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント 料金プラン」(2026年)
- 3 出典:LINEヤフー株式会社「LINEヘルプセンター:メッセージの取り消し(送信取消)と削除」(2026年)
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- A businessman in a black suit working at a modern office desk with a laptop, phone, and coffee./Photo by Andrea Piacquadio on Pexels