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締め請求で請求・入金が遅れる原因の切り分けと直し方|請求遅延と入金遅延を分けて対処する

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 締め日から入金までを「締め日→発行」「発行→受領・受付」「受付→入金」の3区間に分けて日数を見ると、遅れの場所と直す相手が分かる
  • 請求側の遅れは、納品・返品・値引・単価変更を締め前に確定させるルールと取引先別の条件表で、締め後の確認を締め前へ移せる
  • 金額不一致は、適格請求書の記載事項と明細の行単位の照合で確かめ、差額の大きさだけで原因を決めない
  • 取適法の対象取引では支払期日は受領日から60日以内で、期日までに支払わなければ年率14.6%の遅延利息がある。対象かどうかと自社の立場を先に確かめる
  • 運用のルールを先に決め、条件調整やシステム化は、それが効く原因に合わせて併用する

Hands arranging items in a cardboard box with a photo and scissors nearby.
▽ 写真の出典元

締め請求で遅れているのは「請求書の発行」か「入金」か

月末に締めたのに、請求書を出せるのは数日後になる。
出した請求書の入金は約束の日を過ぎ、届いた金額は請求額と合わない。
締め請求では、こうした遅れがまとめて「請求が遅い」と見えがちです。
しかし原因のある場所はそれぞれ違い、直し方も変わります。
締め日から請求書の発行、取引先の受付、入金までを区間に分けて日数を見てください。
締め前の確定ルールで直す遅れなのか、請求書の記載や明細の問題なのか、取引先の支払期日の問題なのかを絞り込めます。
取適法の対象取引であれば、支払期日を受領日から60日以内に定める規定1が、条件を話し合うときの根拠になります。

締め日から入金までを3区間に分けて日数を見る

締め請求は、月末などの締め日までの取引をまとめて1枚の請求書にする方式です。
取引ごとに請求しないぶん請求書の枚数は減ります。
その一方で、締め日から入金までの間に複数の作業と相手が入るため、どこで日数がかかっているのかが見えにくくなります。
「請求が遅い」と感じたら、まず締め日から入金までを次の3つの区間に分け、それぞれ何日かかっているかを見てください。
詰まっている場所がはっきりします。

  • 区間1:締め日から請求書の発行まで(自社の中で請求金額を確定させる時間)
  • 区間2:請求書の発行から取引先の受領・受付まで(送付から、取引先が請求書を受け付けるまでの時間)
  • 区間3:取引先の受付から入金まで(取引先の支払処理と、支払期日までの時間)

この分け方は法令や会計の決まりではなく、原因を探すための整理です。
それでも区間を分けるだけで、「請求書を出すのが遅い」のか「出した後に止まっている」のかを区別できます。
そこが分かれば、直す相手が自社なのか取引先なのかも決まってきます。

具体的な場面で考えてみます。
得意先と月末締め翌月末払いで取引している売り手の請求担当者が、過去数か月分について、締め日・請求書の発行日・取引先に届いた日(または受付の連絡があった日)・入金日を取引先ごとに並べたとします。
発行日は請求の作成記録から、届いた日は送付の記録や取引先からの連絡から、入金日は入金の記録から拾えます。
区間1だけが毎月長いなら、原因は自社の締め後の作業にあります。
区間3で約束の支払期日を過ぎているなら、取引先の支払側を見る必要があります。
区間2が長い場合は、送付方法の問題か、書類の不備による差し戻しを疑います。

区間を分けるときに一つ気を付けたいのが、法律上の支払期日の起点です。
取適法(中小受託取引適正化法)の対象となる取引では、支払う側の委託事業者は、物品などを受領した日(役務提供委託では役務の提供をした日)から起算して60日以内で、できる限り短い期間内に支払期日を定めることになっています1。
起点は請求書が届いた日ではなく受領日で、検査をするかどうかも問われません1。
この書き方からすると、対象取引であれば、請求書の発行が遅れたことを理由に法律上の支払期日の起点が後ろへずれるわけではない、と読めます。
ただし、これらは取引先、つまり委託事業者の側の義務です。
売り手である自社がこの規定を取引先に求められるのは、その取引が法の対象であり、自社が中小受託事業者に当たる場合に限られます。

区間ごとに原因と直す主体が変わる

区間1の遅れは、締め日の時点で納品の実績や返品・値引、単価の変更が確定していないことから起きます。
直すのは自社の運用です。
締め前に何を、いつまでに確定させるかを決めることが中心になります。

区間2は、請求書は出ているのに取引先の処理に乗っていない区間です。
原因は大きく二つに分かれます。
一つは、送付先や受付の締切が取引先の都合と合っていない場合です。
もう一つは、請求書の記載事項が欠けている、明細が取引先の検収記録と合わないといった理由で受付が止まる場合です。
後者は書類の中身の問題なので、請求書と明細を書類側から確かめることになります。

区間3は、取引先が請求書を受け付けた後の時間です。
約束どおりの期日に入金されているのに資金化が遅いと感じるなら、問題は支払期日そのものの長さにあります。
期日を過ぎているなら督促が必要で、それが繰り返されるなら取引条件を見直します。
どちらも取引先に依頼する話なので、法の規定や合意した書面といった根拠が要ります。

請求書を受け取って支払う側の担当者が読む場合も、区間の分け方は同じです。
立場が変わると、区間2と区間3は自社の照合と支払処理の時間になります。
見るべきなのは、取引先から届いた請求書と自社の検収記録を突き合わせる作業がどこで止まっているかです。
買い手の照合が関わるところは、この後もその都度触れます。

締め請求の遅れを3つの区間に分け、直す主体を見分ける流れ(模式図)
締め日から請求書の発行、取引先の受領・受付、入金までを3つの区間に分け、各区間で疑う原因と、自社の運用・書類の取り決め・取引先との条件調整のどれで直すかを並べた流れ
▼ 図の内容を文字で読む
  1. 区間1 締め日から請求書の発行まで
    • 原因は自社の締め後の作業にある
    • 直す主体:自社の運用(締め前の確定)
  2. 区間2 請求書の発行から取引先の受領・受付まで
    • 送付方法の問題か、書類の不備による差し戻しを疑う
    • 直す主体:自社の書類と照合方法の取り決め
  3. 区間3 取引先の受付から入金まで
    • 支払期日の長さ、または期日超過を見る
    • 直す主体:取引先との条件調整と督促

締め日後の請求書発行が遅れる原因と、締め前に確定しておくこと

納品データの確定漏れ

締め日を過ぎてから請求書を作り始めると、最初に止まりやすいのが納品実績の確定です。
出荷記録と納品書の数量が違う、締め日の直前に出荷した分が届いたかどうか分からない、営業担当が口頭で受けた追加分が記録に入っていない、といった確認が出てきます。
これらが締め後にまとめて出てくると、請求担当者は一件ずつ担当者に問い合わせ、回答を待つことになります。
その待ち時間が、そのまま区間1の日数になります。

締め前に決めておきたいのは、どの記録をもって納品を確定とするかと、その確定を誰がいつまでに行うかです。
たとえば、締め日が近づいた段階で出荷と納品の記録を突き合わせ、数量が合わない明細はその時点で担当者へ戻す流れにします。
そうすれば、締め後に始まっていた問い合わせを締め前の作業へ移せます。
確定の基準が取引先ごとに違う場合(納品日で計上するか、取引先の検収日で計上するか)は、その違いも取引先別の条件として持っておきます。
これは確認作業そのものを減らす方法ではありません。
確認の時期を締め前に寄せる工夫です。

返品・値引・単価変更の反映

金額の確定を遅らせるもう一つの原因が、返品・値引・単価変更です。
締め期間の途中で返品が出た、取引先から値引を求められた、月の途中から単価が変わった、という場合です。
どれも請求金額を変えるので、反映が済むまで請求書を出せません。

返品や値引は、税の扱いでは「売上げに係る対価の返還等」にあたり、返還等を行った課税期間で税額を調整します5。
適格請求書発行事業者である売り手は、返還を受ける取引先に適格返還請求書を交付する義務があります。
ただし、返還等の金額が税込1万円未満である場合など一定の場合には、この義務が免除されます5。
つまり、返品・値引を締め前に確定させる作業には、金額を直すことに加えて、返還の書類が要るかどうかの判断も含まれます。
請求書の上で値引をどう書くかの具体的な方法は、国税庁のこのページには示されていません。
記載の仕方は、国税庁の別の資料や税理士に確かめておくと安心です。

値引を求められたときには、もう一つ見ておく点があります。
取適法の対象取引では、中小受託事業者の側に責任がないのに、発注時に決めた代金を発注後に減額することが禁止されています2。
取引先から「今月分は値引した額で請求してほしい」と言われた場合、自社の納品の不備による返品なのか、取引先の都合による減額なのかで意味が変わります。
理由を記録に残してから反映するようにしておけば、後で差額を説明するときにもその記録を使えます。

単価変更は、どの納品から新しい単価を使うかが決まっていないと、締めの途中で旧単価と新単価が混ざります。
取適法の対象取引では、委託事業者は発注時に、代金額や支払期日などを記載した書面または電磁的記録を直ちに交付することになっています1。
新しい単価がどの発注から適用されるかは、その書面の記載で確かめられます。
締め前の段階で、返品・値引・単価変更のうち未確定のものを一覧にしておきます。
確定したものだけを請求に入れ、確定しないものの扱いは取引先と決めておきます。
この一覧があれば、締め後に「あの値引はどうなったか」を探し回る時間が減ります。

取引先別の締め日・支払条件の管理

取引先が増えると、締め日や支払条件が取引先ごとに違ってきます。
末日締めの取引先と別の日に締める取引先が混ざり、支払期日、支払方法、請求書の送付方法、受付の締切もそれぞれ異なります。
これを担当者の記憶や過去の請求書を見て判断していると、締めのたびに条件を調べ直す手間が生まれます。
送付漏れや送付先の誤りが起きれば、区間2の遅れにもつながります。

取引先別に持っておきたい条件は、次のようなものです。

  • 締め日と、締め日をまたぐ納品の扱い(納品日と検収日のどちらで計上するか)
  • 支払期日と支払方法(振込、手形、電子記録債権など)
  • 請求書の送付方法、宛先、受付の締切
  • 明細に載せる項目(発注番号、納品書番号、取引先が照合に使う単位)
  • 返品・値引の扱いと、返還の書類の要否の考え方

これらが一つの表にまとまっていれば、締め日ごとに対象の取引先を抜き出し、それぞれの条件で請求書を作る流れにできます。
表は一度作れば終わりではなく、条件が変わるたびに更新が必要です。
それでも、締め後に条件を探す時間と、送付先の取り違えは減らせます。
この表は、後で取引先と条件を話し合うときに、取引先ごとに何が決まっていて何が決まっていないかを示す材料にもなります。

オフィスで段ボール箱の中身とタブレットを見比べる日本人の会社員

請求書の記載事項と明細を、金額不一致の原因として書類側から確かめる

適格請求書の記載事項の欠け

請求書を期日どおりに出したのに、取引先から「この請求書では処理できない」と戻されたり、受付を保留されたりすることがあります。
締め請求では一枚の請求書に一か月分の取引が載ります。
そのため、一か所に欠けがあるだけで全体の処理が止まり、入金が次の支払の回へずれ込むこともあります。
まず確かめたいのは、請求書が適格請求書の記載事項を満たしているかどうかです。

国税庁の説明では、適格請求書には次の事項を記載します6。

  • 書類作成者(売り手)の氏名または名称と登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
  • 税率ごとに区分した合計額と適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額
  • 交付を受ける事業者(取引先)の氏名または名称

小売業・飲食業・タクシー業などでは、適用税率と税額のどちらか一方の記載でよく、交付を受ける事業者の名称も不要とされています6。
自社がこの例外に当たるかどうかは業種で決まるので、取引ごとに確かめておきます。

締め請求で特に気を付けたいのは、税率の違う品目が同じ請求書に混ざる場合です。
一か月分の納品を合算するので、税率ごとの合計額と消費税額が請求書の上で分かれているかを見ます。
請求書の様式を変えたときや、取引先ごとに別の様式を使っているときは、登録番号や取引先の名称が抜けていないかも確かめます。
なお、納品書と請求書など複数の書類を組み合わせて記載事項を満たす扱いや、消費税額の端数処理の規則は、国税庁の別の資料で確かめてから運用に入れてください。

取引先にとって、これらの記載は、受け取った請求書を仕入税額控除に使えるかどうかに関わります。
欠けがあると、取引先の側で処理を進めにくくなります。
区間2が長い取引先では、まず書類の中身を疑ってみる価値があります。

値引・返品の返還等が明細に反映されているか

記載事項がそろっていても、金額が取引先の想定と合わないことがあります。
典型的なのは、取引先は返品や値引を差し引いた額で支払おうとしているのに請求書には反映されていない、またはその逆のケースです。

前の節で見たとおり、返品・値引は対価の返還等として扱われ、一定の場合を除いて適格返還請求書の交付が求められます5。
締め請求では、返品が発生した月と元の納品の月が違うこともあります。
どの回の請求で差し引くのかを、取引先と売り手が同じように理解していないと、差額が生まれます。
請求書を出す前に、その締め期間に確定した返品・値引が明細に入っているかを確かめます。
入っていない場合は、別の書類で処理する予定なのかを、締め前に作った一覧と照らし合わせます。

差額が出たとき、その金額が返品・値引の額と一致していれば、反映漏れだと考えたくなります。
ただ、金額の一致は偶然のこともあります。
数量の差や単価の違いが重なって、たまたま同じ額になる場合もあるからです。
差額の大きさは手掛かりにとどめ、明細の行単位で、どの納品・どの返品の分なのかを突き合わせて判断します。

取引先の検収・社内照合との明細の差

買い手が、届いた請求書を自社の検収記録と突き合わせてから支払う場合、照合の単位が売り手の明細と違うと、照合そのものに時間がかかります。
たとえば、売り手は出荷日で明細を作り、取引先は検収日で計上しているとします。
この場合、締め日の直前に出荷した分は、売り手では今月分、取引先では来月分の扱いになります。
ケース単位で請求しているのに取引先の記録は個数単位である、発注番号が明細に無いため取引先がどの発注の分か特定できない、といった違いも照合を止めます。

こうした差は、どちらかの記録が誤っているとは限らず、記録の付け方の違いから生まれます。
そのため、直し方は、取引先の照合単位に明細を合わせることになります。
具体的には、明細に発注番号や納品書番号、納品日を載せる、数量の単位を取引先の記録にそろえる、締め日をまたぐ納品の扱いを取引先と決めておく、といった方法です。
どれも取引先に照合方法を聞くところから始まります。
前の節の取引先別の条件表に照合単位の欄を設けておけば、続けて管理できます。
明細を合わせても照合の作業がなくなるわけではありません。
それでも、取引先から問い合わせが返ってくるまでの往復は減らせます。

ここまで確かめても入金が遅いなら、見るべきは書類ではなく支払期日の側です。

金額不一致が生まれる記録どうしの関係(模式図)
自社の請求明細、取引先の検収記録、返品・値引の記録、適格請求書の記載事項について、それぞれ差額や受付の保留につながる確認点を並べた関係
▼ 図の内容を文字で読む
  • 自社の請求明細
    • 行単位で、どの納品・どの返品の分かを突き合わせる
  • 取引先の検収記録
    • 出荷日で作った明細と検収日の計上月が違うと差が出る
    • 照合の単位(発注番号・納品書番号・数量の単位)
  • 返品・値引の記録
    • どの回の請求で差し引くか
    • 適格返還請求書の要否(税込1万円未満など一定の場合は免除)
  • 適格請求書の記載事項
    • 登録番号・税率ごとの合計額と消費税額・取引先の名称の欠け

支払期日の見直しはどこまで可能か:取適法の支払期日と遅延利息

受領日から60日以内という規定

請求書の中身に問題がなく、取引先も約束どおり支払っているのに資金化が遅いと感じる場合、問題は支払期日の設定そのものにあります。
取引先に期日を短くしてほしいと頼むとき、根拠になりうるのが取適法の規定です。

最初の節で触れたとおり、取適法の対象取引では、委託事業者は受領日から起算して60日以内で、できる限り短い期間内に支払期日を定めます1。
ここで効いてくるのは、「受領日から」という起点と、「できる限り短い期間内」という部分です。
60日はあくまで上限です。
その範囲内であればどの日を期日にしてもよい、という書き方にはなっていません。
期日までに支払わない場合については、受領日から60日を経過した日から支払日まで、未払金額に年率14.6%を掛けた遅延利息を支払う義務も定められています1。

月末締め翌月末払いの場合を、受領日から数えてみます。
月末に受領した分は、翌月末までのおよそ1か月で支払われます。
一方、月の初めに受領した分は、その月の末日に締められて翌月末に支払われるので、受領日から2か月近く後になります。
月の日数によっては、60日に届くか、超える場合も出てきます。
ただし、公正取引委員会の義務の概要ページには、月末締めのような締切制度で60日をどう数えるかは書かれていません。
自社の取引が60日を超えているかどうかを判断するときは、まず受領日と支払日の実際の日付で数えます。
そのうえで、締切制度の扱いを公正取引委員会の運用基準などの資料や専門家に確かめる、という順序で進めます。

手形・電子記録債権・一括決済の扱い

支払期日が60日以内でも、支払方法によっては実際の入金が遅れます。
取適法の対象取引では、手形を交付することは支払遅延にあたり、禁止されています。
支払期日までに代金相当額の金銭と引き換えることが難しい電子記録債権(電子的に記録される金銭債権)や一括決済方式を使うことも同様です2。
電子記録債権や一括決済方式は、期日までに現金化できるかどうかで扱いが分かれます。
ここが判断の分かれ目です。

取引先から支払方法を変えたいと言われたら、その方法で支払期日までに代金相当額の金銭を受け取れるかを、具体的な条件で確かめます。
期日の時点で現金が手元に入らない方法であれば、対象取引では受け入れる前提で考える必要はありません。
対象外の取引ではこの規定は使えず、契約で決めた支払条件をめぐる話し合いになります。

対象かどうかの確認

ここまでの規定は、すべて取引が取適法の対象である場合の話です。
取適法は、下請代金支払遅延等防止法などの改正によって法律名が中小受託取引適正化法となったもので、2026年1月から施行されています3。
対象となる取引は、製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託、特定運送委託です1。
これに加えて、委託する側と委託される側がそれぞれどういう事業者かという条件でも、適用されるかどうかが決まります。
この条件は、自社と取引先の両方について、公正取引委員会の資料で確かめてください。

もう一つ確かめたいのが、自社がどちらの立場かです。
支払期日の設定、遅延利息の支払、減額の禁止は、いずれも支払う側である委託事業者の義務です12。
売り手である自社が中小受託事業者に当たれば、これらの規定を、取引先に求められる条件として使えます。
逆に、自社が仕入先に製造などを委託して支払う立場でもあるなら、同じ規定は自社が守るべき義務になります。
取引ごとに立場を分けて考えると、条件調整の話と自社の支払業務の話が混ざりません。

対象取引であれば、発注時に代金額や支払期日を記載した書面または電磁的記録が交付されることになっています1。
条件を話し合う前に、その書面に書かれた支払期日と、実際の受領日・入金日を並べておくと、話し合いの出発点がはっきりします。

受領日から遅延利息が数えられるまでの流れ(取適法の対象取引・模式図)
受領日、60日以内でできる限り短く定める支払期日、受領日から60日を経過した日、支払日までの年率14.6%の遅延利息を前から順に並べた流れ
▼ 図の内容を文字で読む
  • 受領日(役務提供委託は役務の提供をした日)
  • 支払期日は60日以内でできる限り短く
  • 受領日から60日を経過した日
  • 支払日まで年率14.6%の遅延利息

運用整備・取引先との条件調整・システム化のどれを選ぶか

原因別の選び方の表

ここまでで、遅れの原因が自社の締め後の作業にあるのか、書類と明細にあるのか、取引先の支払条件にあるのかが分かれてきました。
直す手段は、自社の運用整備、取引先との条件調整、システム化の3つに大きく分けられます。
どれか一つを選ぶというより、原因ごとに効く手段が違うので、原因と手段を対応させて考えます。

表で判断が分かれるのは「取引先への依頼」の列です。
運用整備は社内で決めればすぐに始められますが、条件調整には取引先の合意が必要です。
取引先に依頼できる立場かどうかは、取引の規模や関係だけでなく、取適法の対象取引かどうかにも左右されます。
対象取引で自社が中小受託事業者なら、支払期日の上限や支払方法の規定を根拠として示せます12。
対象外であれば、契約をめぐる話し合いとして進めることになります。

自社の状況に当てはめるときは、取引先の数、締め日の種類の数、請求を修正する頻度を見ます。
取引先が少なく締め日も一つなら、条件表と締め前の確定ルールだけで、区間1の遅れの多くが片づくこともあります。
取引先が多く、締め日が何種類もあり、毎月のように返品・値引・単価変更が入るなら、手作業での振り分けや転記が追いつかなくなります。
そうなったら、システム化を考える段階です。
ただし、どの程度の規模からシステム化が見合うかは製品と自社の条件によって変わり、一律の目安はありません。

併用の考え方

3つの手段は、同じ業務の中で併用できます。
順序として大切なのは、運用のルールを先に決めることです。
締め前に何を確定させるか、取引先ごとの条件は何か、返品・値引をどう反映するか。
これらが決まっていないままシステムに載せると、決まっていない部分は結局、手作業の確認として残ります。

システム化で減るのは、主に転記と振り分けの作業です。
納品の記録から請求明細を作り直す、取引先ごとの締め日で対象を抜き出す、取引先別の様式に合わせて請求書を作る、といった作業は、仕組みによっては手で行わずに済むようになります。
一方で、返品の理由が自社の不備か取引先の都合かを判断することや、取引先と支払期日を話し合うことは、システムを入れても担当者の仕事として残ります。
導入を検討するときは、自社のどの転記がどの機能でなくなるのかを、製品ごとに具体的に確かめることが判断の材料になります。

条件調整も、運用整備と組み合わせると進めやすくなります。
区間ごとの日数を記録していれば、「この取引先とは受領から入金まで毎月これだけかかっている」と事実で示せるからです。
照合単位を合わせる提案や受付方法の見直しは、取引先にとっても自社の処理の手間を減らす話になるので、受け止めてもらえる余地があります。

手段 効く原因 必要な準備 取引先への依頼 前提条件
自社の運用整備 締め後の確定待ち・返品値引の反映漏れ・取引先別条件の調べ直し 確定の締切と担当・未確定案件の一覧・取引先別の条件表 原則不要(送付方法を変える場合は連絡) 社内で締め前の作業順を決められること
取引先との条件調整 支払期日の長さ・現金化しにくい支払方法・受付方法や照合単位の違い 発注時の書面や契約の条件・受領日と入金日の記録 必要 取適法の対象取引なら規定を根拠にできる。対象外なら契約上の話し合い
システム化 取引先や締め日が多く転記・振り分けが追いつかない・明細の作り直しが多い 取引先別の条件・単価・返品値引の扱いが決まっていること 送付や受付の方法を変えるなら必要 運用のルールが先に決まっていること。効果と費用は製品と条件で異なる
遅れの原因ごとに効く手段の違い(模式図)
運用整備、取引先との条件調整、システム化の3つの手段について、効く原因、取引先の合意の要否、前提を比べて並べたもの
▼ 図の内容を文字で読む
  • 運用整備
    • 効く原因:締め後の確定待ち、返品・値引の反映漏れ
    • 社内で決めればすぐ始められる
  • 取引先との条件調整
    • 効く原因:支払期日の長さ、支払方法、受付や照合の方法
    • 取引先の合意が必要。対象取引なら規定を根拠に示せる
  • システム化
    • 効く原因:転記と振り分けの作業
    • 運用のルールを先に決めておくことが前提

取引先の支払が遅れたときの督促と、再発させない取引条件の見直し

督促前の期日・到着日の確認

打ち手を進めても、支払期日を過ぎて入金がないことはあります。
督促の連絡を入れる前に確かめておきたいのは二つです。
合意した支払期日がいつか、そして請求書がいつ取引先に届き、受け付けられたかです。
支払期日は、発注時の書面や契約に書かれた日付で確かめます。
対象取引であれば、発注時に交付される書面に支払期日が記載されることになっています1。

請求書の到着と受付を確かめるのは、遅れの原因が自社側にないかを先に見ておくためです。
請求書が届いていなかった、記載の欠けで差し戻されていた、という場合は、督促より先に再送や修正が必要です。
入金はあったが請求額より少ない場合は、遅延ではなく差額の問題なので、前に見た明細の照合に戻ります。
これらを確かめ、取引先側の処理が止まっていると分かってから督促に進めば、連絡の内容が具体的になります。

督促の連絡に入れておくと、取引先が社内で確認しやすくなる項目は次のとおりです。

  • 請求書の番号と発行日
  • 請求額と、対象の締め期間
  • 合意した支払期日
  • 入金を確認できていない旨(一部入金なら入金額と差額)
  • 請求書を送付した日と送付方法
  • 問い合わせ先

文面は、この順に事実を並べるだけで足ります。
相手の担当者が経理部門へ確認を回すときに、そのまま転送できる形にしておくのがねらいです。

遅延利息の規定

前の節で見た遅延利息の規定は、督促の場面で読み方に注意が要ります。
取適法の対象取引で委託事業者が期日までに支払わない場合、利息を数える起点は、受領日から60日を経過した日と定められています1。
「支払期日の翌日」ではありません。
たとえば受領日から60日より前の日を支払期日と決めていた場合でも、この規定の利息が数えられるのは、受領日から60日を経過した日からです。

督促の連絡で遅延利息に触れるかどうかは、取引先との関係も含めて判断が分かれるところです。
ただ、規定があることを知っておけば、遅れが繰り返される取引先と条件を話し合うときの根拠の一つになります。
対象外の取引ではこの規定は使えず、契約で遅延時の扱いを決めているかどうかによります。

記録の保存と条件の見直し

督促や照合のやり取りは、記録に残しておきます。
いつ請求書を送り、いつ受け付けられ、いつ督促し、いつ入金されたかを残します。
最初の節で区間ごとの日数を見たときと同じ記録が、ここでは条件を見直す材料になります。
同じ取引先で区間3の遅れが続いているなら、支払期日の短縮や支払方法の変更を話し合う段階です。
区間2の差し戻しが続いているなら、明細の作り方や受付方法の取り決めを見直します。

書類の保存期間は、立場によって根拠が分かれます。
買い手として受け取った請求書等は、仕入税額控除のため、受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間保存します4。
電磁的記録で受け取った請求書等も、この対象に含まれます4。
自社が仕入先から請求書を受け取る立場でもあるなら、照合に使った請求書はこの期間を前提に保管します。
売り手として発行した請求書の控えの保存は、この規定とは別の扱いになるため、別途確かめてください。

こうして見ると、請求から入金までの改善は一度で終わるものではありません。
締め前の確定、発行、入金の照合、督促、記録、条件の見直しが、次の締めへつながる繰り返しになります。

毎月の締めで区間ごとの日数を並べ続けることが、次に直す場所を見つける手掛かりになります。

区間ごとの日数を並べても、取引先が多く締め日や条件がばらばらだと、どこから手を付けるかを自社だけで決めにくいことがあります。

受発注から請求までの流れを一緒にたどり、運用で直せる部分と、取引先との調整やシステム化が必要な部分を切り分けられます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
遅れの場所 締め日→発行、発行→受領・受付、受付→入金の日数で見る
請求側の遅れ 納品・返品・値引・単価を締め前に確定し、取引先別の条件表で管理する
金額不一致 適格請求書の記載事項と、明細の行単位の照合で確かめる
支払期日 取適法の対象なら受領日から60日以内。締切制度の扱いは別途確認する
支払方法 期日までに現金化しにくい手形・電子記録債権等は、対象取引では支払遅延
督促 期日と到着・受付を確かめてから行い、記録を条件の見直しに使う
Hands writing on tax documents with laptop, glasses, and currency on desk.
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取引先との条件調整や仕組みの見直しは、自社の受発注データがどう流れているかが見えていないと判断しにくいものです。 自社の受発注・請求データのどこで転記や確認が発生しているかを確かめ、見直しの優先順位を考える材料にできます。

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よくある質問

月末締め翌月末払いは取適法の60日ルールに触れますか。

取適法の対象取引では、支払期日は受領日から起算して60日以内で、できる限り短く定めることになっています1。
月末締め翌月末払いでは、月の初めに受領した分ほど受領日から支払日までが長くなり、月の日数によっては60日に届くか、超える場合があります。
ただし、締切制度で60日をどう数えるかは公正取引委員会の義務の概要ページには書かれていないため、実際の受領日と支払日で日数を数えたうえで、運用基準などの資料や専門家に確かめてください。
そもそも取引が法の対象かどうかの確認も必要です。

締め請求の請求書で、適格請求書の記載事項として特に確かめたい項目は何ですか。

記載事項は、売り手の名称と登録番号、取引年月日、取引内容(軽減税率の対象品目である旨を含む)、税率ごとの合計額と適用税率、税率ごとの消費税額、取引先の名称です6。
締め請求では一か月分を合算するので、税率の違う品目が混ざるときに、税率ごとの合計額と消費税額が分かれているかを確かめます。
様式を変えたときや取引先別に様式が違うときは、登録番号と取引先名の抜けにも注意してください。

値引・返品が1万円未満なら、返還の書類は不要ですか。

適格請求書発行事業者には、返還を受ける取引先へ適格返還請求書を交付する義務があります。
ただし、返還等の金額が税込1万円未満である場合など一定の場合は、この義務が免除されます5。
交付義務が免除されても、返品・値引が対価の返還等として、返還等を行った課税期間で税額を調整する対象であることは変わりません5。
また、取引先の都合による値引であれば、取適法の対象取引では減額禁止との関係も確かめる必要があります2。

取引先が手形や電子記録債権で支払うと言ってきたら、何を確かめればよいですか。

取適法の対象取引では、手形の交付は支払遅延にあたり、禁止されています。
支払期日までに代金相当額の金銭と引き換えることが難しい電子記録債権や一括決済方式を使うことも同様です2。
まず取引が法の対象かどうかを確かめ、対象であれば、その方法で支払期日までに現金を受け取れるかを具体的な条件で確かめます。
対象外の取引では、契約上の支払条件として話し合うことになります。

入金額が請求額より少ないとき、差額の原因をどう分ければよいですか。

差額の大きさだけで原因を決めず、明細の行単位で照合します。
見る順序の例としては、返品・値引が請求に反映されていたか、取引先の検収記録と数量・単位・納品日が合っているか、締め日をまたぐ納品をどちらの月に計上しているか、といった点があります。
差額が返品・値引の額と一致していても、数量差や単価差が重なった偶然の一致のこともあるため、どの納品・どの返品の分かを特定して判断してください。
取引先の都合による減額であれば、取適法の対象取引では減額禁止との関係も確かめます2。

取引先から単価変更を求められたとき、手続きで何を確かめればよいですか。

取適法の対象取引では、価格協議の求めがあったのに協議に応じない、必要な説明をしないなどの方法で一方的に代金を決めることは禁止されています2。
また、委託事業者は発注時に代金額などを記載した書面を交付することになっているので1、新しい単価がどの発注から適用されるかをその書面で確かめます。
請求の側では、適用開始の納品を締め前に確定させ、旧単価と新単価が同じ締め期間に混ざらないようにしておくと、締め後の修正を減らせます。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:公正取引委員会「取適法 委託事業者の義務」(2026年)
  2. 2 出典:公正取引委員会「取適法 委託事業者の禁止行為(減額、支払遅延等)」(2026年)
  3. 3 出典:公正取引委員会「取適法(中小受託取引適正化法)」(2026年)
  4. 4 出典:国税庁「タックスアンサー No.6496 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存」(2026年)
  5. 5 出典:国税庁「タックスアンサー No.6359 値引き、返品、割戻しなどを行った場合の税額の調整」(2026年)
  6. 6 出典:国税庁「タックスアンサー No.6625 適格請求書等の記載事項・保存」(2025年)

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  1. Hands arranging items in a cardboard box with a photo and scissors nearby./Photo by Ron Lach on Pexels
  2. Hands writing on tax documents with laptop, glasses, and currency on desk./Photo by Nataliya Vaitkevich on Pexels

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◆この記事について

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※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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