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BtoB受注ECの月額はいくら見込む?受注側が見積もりを比べるための費用の分け方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 受注ECの見積もりの月額は、システム利用料・決済請求関連・保守サポート・オプションに振り分けてから比べる
  • 提供形態は月額の高低ではなく、料金がID数・注文件数・商品数・売上のどれに連動するかと、その量が自社で増えるかで見る
  • 得意先別価格・掛け売りと請求締め・基幹システム連携は、標準・オプション・個別開発のどれになるかを質問票で各社に同じ形で確かめる
  • 総額は初期費用、月額×契約期間、手数料、データ移行、社内の運用工数を足して見る。EDIは双方が対応プロバイダーと契約する前提で、受注ECの費用とは別に考える
  • 月額に見合うかは、他社の削減率ではなく、導入前に測った自社の受注工数や訂正・問い合わせの件数と比べて判断する

20代後半の日本人女性が工場の通路での資材確認をしている場面

BtoB受注ECの見積もりで月額が比べられないのは、月額に入るものが提案ごとに違うから

電話やFAXで届いた注文を販売管理へ打ち直す作業が重く、BtoB受注ECを検討し始めた。
ところが取り寄せた見積もりは月額がばらばらで、どれが高いのか判断できない。
この差の多くは金額そのものより、月額に入っている範囲の違いから生まれます。
月額をシステム利用料、決済・請求関連、保守・サポート、オプションに分けます。
さらに得意先別価格・掛け売り・請求締め・基幹連携といった自社の条件を書き出せば、同じ前提で見積もりを比べられます。
企業間電子商取引の受注側の月額について、公的資料で相場額は確認できませんでした。
そのため、金額の目安ではなく、見積もりを比べて依頼に進むための手順を示します。

同じ「月額」でも指している範囲が違う

BtoB受注ECの見積もりを並べると、月額の欄だけでも提案ごとに大きな幅があるように見えます。
ただ、その欄に書かれた金額が同じものを指しているとは限りません。
たとえば、ある提案では得意先が使うログインIDの利用料と問い合わせ窓口まで月額に含まれているとします。
別の提案では、月額はシステムの利用料だけです。
サポートは年間契約で、得意先ごとの単価設定は初期作業として別の行に載っています。
後者の月額が低く見えても、契約期間を通して払う額まで低いとは言えません。

比べにくさの原因は、提供元によって費用の束ね方が違うことにあります。
月額でまとめて請求するもの、年額で請求するもの、注文の件数や売上に応じて増えるもの、最初に一度だけ払うもの。
この区切り方は、提供形態やプランの設計によって変わります。
そのため、月額の欄同士を比べる前に、各見積もりの行を同じ費目へ振り分け直す作業が要ります。
振り分けたあとでどの費目に差があるかを見ると、その差の正体が分かります。
機能の違いなのか、含む範囲の違いなのか、自社の条件の伝え方の違いなのか、という見分けです。

金額より先に、見積もりの前提を揃える

もう一つ揃えたいのが、見積もりの前提です。
得意先の数、ひと月に受ける注文の件数、登録する商品の数、得意先ごとに単価が違うかどうか。
これらを提供元にどう伝えたかで、見積もりは変わります。
電話で概要を話しただけの提案と、取引条件を書面で渡した提案を比べると、後者は個別対応の費用まで織り込んでいる分だけ高く見えることがあります。
前提が揃っていない見積もりを並べると、条件を詳しく伝えた提案ほど不利に見えるという逆転が起きます。

特定の提供元の料金表は、その製品のプランと条件での価格です。
市場の相場を表すものではありません。
相場額を当てにする代わりに、費目と前提を揃えて自社にとっての総額を比べます。
そのほうが、判断の材料として確かです。
次の節では、見積書の行をどの費目へ振り分ければよいかを、費目ごとに見ていきます。

月額に含まれる費用と、別途になりやすい費用の分け方

システム利用料

システム利用料は、受注サイトと管理画面を使い続けるための費用です。
多くの見積もりで、月額の中心になる行です。
ここで確かめたいのは、金額よりも、何を単位に金額が決まっているかです。
得意先や社内担当者のログインIDの数、登録できる商品の数、ひと月に受けられる注文の件数、データの保存容量などには、プランごとに上限が設けられていることがあります。
上限を超えると、上位プランへの切り替えや追加料金が生じる設計もあります。

導入した時点では上限の内側に収まっていても、電話やFAXで注文していた得意先を順にECへ移していけば、使われるIDや注文件数は増えていきます。
見積もりを受け取ったら、その月額がどの上限までの値段なのかを、行の横に書き添えておきます。
この書き添えがあるだけで、後で提案を並べたときに「今の量なら安いが、得意先を移し終えると逆転する」という差に気付けます。

決済・請求関連

企業間の受注では、注文のたびに決済してもらうのではなく、掛け売りで締め日にまとめて請求する取引を扱うことがあります。
受注ECでこの部分に関わる費用には、いくつか種類があります。
カード決済を受け付ける場合の決済手数料、請求書を発行・送付する機能の利用料、与信や請求・回収を外部の代行サービスに任せる場合の手数料などです。

これらは、月額の固定費として載る場合もあれば、取引額や件数に応じて増える従量の費用として載る場合もあります。
従量の費用は、売上が伸びるほど大きくなります。
そのため、固定の月額とは別の行に分けて見ておきます。
見積もりにこの行が無い場合は、その機能を含まない提案なのか、別の契約で発生する費用なのかを確かめます。
そうでないと、月額だけが低く見える提案を選んでしまいます。

保守・サポート

保守・サポートの費用で何を受けられるかは、提供元と形態によって幅があります。
障害が起きたときの対応、操作の問い合わせ窓口、機能の更新、セキュリティ対応などが含まれる場合と、一部だけの場合があります。
受注側にとって見落としやすいのが、得意先からの問い合わせを誰が受けるかです。
得意先の担当者から「ログインできない」「注文が送れたか分からない」と連絡が来たとき、提供元の窓口が直接答えるのか、自社の担当者が受けて提供元へ取り次ぐのかで、社内に残る作業が変わります。

サポートが月額に含まれているか、別の保守契約になっているかも、見積もりによって分かれます。
受付時間が平日の日中に限られていれば、夜間や休日に得意先から注文が入ったときの不具合は、翌営業日まで自社で抱えることになります。
月額の差がサポート範囲の差であれば、安い提案を選んだ分の対応を社内で受け持てるかどうかが、判断の分かれ目になります。

オプションと初期費用

オプションは、標準のプランに含まれず、追加の契約で使えるようになる機能やサービスです。
企業間の受注で必要になりやすい得意先別価格、締め日ごとの請求、基幹システムとの連携、帳票の形式の変更などがオプション扱いになっていると、月額の欄には現れず、合計で差が出ます。
同じ機能が、ある提案では標準、別の提案ではオプションという並び方は珍しくないため、次の節で扱う自社の条件ごとに、どちらに当たるかを記録しておきます。

初期費用は月額ではありませんが、比較からは外せません。
受注サイトの初期設定、画面の調整、商品・得意先・単価のデータ登録、社内や得意先向けの操作説明などが、初期費用として載ります。
提案によっては初期費用を抑え、その分を月額に分割して含めていることもあり得ます。
月額が高い提案を見たら、その理由が機能の差なのか、初期費用の分割分なのかを、内訳で確かめます。

見積もりの行を振り分ける四つの費目と、費目ごとに確かめる点
システム利用料、決済・請求関連、保守・サポート、オプションと初期費用の四つに、上限の単位、手数料の種類、サポートの範囲、含まれる機能と費用を分けて示した図
▼ 図の内容を文字で読む
  • システム利用料
    • ログインID数・商品数・注文件数・保存容量の上限
    • 上限を超えたときの上位プランや追加料金
  • 決済・請求関連
    • カード決済の手数料と請求書の発行・送付の利用料
    • 外部の代行サービスの手数料
    • 固定の月額か、取引量で増える従量か
  • 保守・サポート
    • 障害対応・操作の問い合わせ・機能の更新
    • 得意先からの問い合わせを誰が受けるか
    • 受付時間
  • オプションと初期費用
    • 得意先別価格・締め日ごとの請求・基幹連携・帳票の変更
    • 初期設定・データ登録・操作説明
    • 初期費用を月額に分割して含めていないか

提供形態(クラウド型・パッケージ・スクラッチ・モール等)で料金の決まり方はどう違うか

料金が何に連動して増えるかを見る

費目を分けても、提供形態が違う提案同士は、まだ並べにくいところがあります。
形態によって、料金が何に連動して増えるかが違うためです。
連動する量には、利用するIDの数、受ける注文の件数、登録する商品の数、売上や取引額などがあります。
どの量に連動するかが分かれば、今の月額だけでなく、取引が増えたときの月額も見通せるようになります。

どの連動の仕方が自社に合うかは、受注の形で変わります。
得意先の数が多く、一社あたりの注文が少ない事業者なら、IDの数に連動する料金は得意先を移すほど増えます。
得意先は限られていても扱う品目が多い事業者なら、商品数の上限が先に効いてきます。
売上に連動する料金は、受注ECでの取引が少ない立ち上がりの時期には負担が軽く、取引が伸びるほど負担が重くなります。

形態ごとの料金の決まり方と、見積もりで見落としやすい行を並べると、次のようになります。
ここに示すのは形態の一般的な決まり方で、実際の連動の仕方や含む範囲は提供元とプランによって異なります。

形態ごとに、自社が持つ範囲が違う

クラウド型は、提供元が用意した仕組みを月額で使う形です。
基盤の保守は提供元が受け持ち、自社は設定と日々の運用を担います。
料金はプランの上限で区切られることが多く、上限を超えたときの料金と、必要な機能がオプションかどうかが比較の要になります。

パッケージは、製品を購入または契約し、自社の業務に合わせて調整して使う形です。
調整した部分は自社専用になるため、その部分の保守や、製品が更新されたときの改修費用が別の契約で発生することがあります。
スクラッチは、受注の仕組みを一から開発する形で、料金は開発の作業量で決まります。
どちらも初期の費用が目立ちますが、稼働後に毎月・毎年払う保守費用と稼働環境の費用こそ、月額として比べる対象になります。

モール型は、複数の売り手と買い手が集まる企業間取引の場に出店する形です。
自社で受注サイトを持たない代わりに、取引額や件数に応じた手数料が中心になることがあります。
既存の得意先からの注文を受ける窓口として使うのか、新しい取引先を探す場として使うのかで、手数料の重さの感じ方は変わります。

将来増える量で形態を選ぶ

形態を選ぶときに役立つのは、「この料金は、自社で何が増えると上がるのか」という問いです。
得意先を段階的にECへ移す計画なら、移し終えたときのID数と注文件数を見積もりの前提に入れます。
品目の入れ替えが多い業種なら商品数の上限を、受注ECで売上を伸ばしたいなら売上連動の手数料を、先に確かめます。
今の量で安い形態と、増えた後の量で安い形態が違うことは十分あり得ます。
どちらの時点で比べるかは、自社の計画で決まります。

提供形態 料金が連動しやすいもの 自社が持つ範囲 見落としやすい行
クラウド型 プランの上限(ID数・注文件数・商品数など) 設定と日々の運用 上限を超えたときの料金とオプション
パッケージ ライセンスと導入時の調整作業 調整した部分の保守と稼働環境 保守契約と改修のたびの費用
スクラッチ 開発の作業量 仕様と稼働環境と保守の手配 稼働後の保守費と改修費
モール型 取引額や件数に応じた手数料 出店した店舗の運営 売上が伸びたときの手数料の総額

得意先別価格・掛け売り・請求締め・基幹連携が、月額と総額に効くところ

得意先別価格

ここからは、自社の取引条件が費用のどこに効くかを見ます。
説明のために、仮の事業者を一つ置きます。
業務用の包装資材を扱う卸売の事業者で、得意先は小売店や飲食店です。
得意先ごとに掛率を決めて単価を出し、月末で締めて翌月に請求書を送っています。
注文は電話とFAXで受け、担当者が販売管理システムへ打ち込んでいます。
これは実在の事例ではなく、条件を当てはめるための例です。

この事業者で最初に効くのが、得意先別価格です。
受注ECに得意先がログインしたとき、その得意先の単価で商品が表示されなければ、注文のたびに担当者が単価を直すことになり、転記の手間が残ります。
単価の決め方にも幅があります。
得意先ごとに掛率を掛けるのか、品目ごとに個別単価を持つのか、注文数量で単価が変わるのか。
受注ECの側がこの決め方のどこまでを持てるかで、標準機能で収まるか、有償のオプションになるか、個別の開発になるかが分かれます。

もう一つの論点は、単価の元データをどこで管理するかです。
販売管理システムに得意先別の単価があり、受注ECにも同じ単価を登録する場合、単価を改定するたびに両方を直す作業が生まれます。
単価データを販売管理から受注ECへ取り込めるかどうかは、この後の基幹システム連携の話につながります。
見積もり依頼では、自社の単価の決め方を一つ例に挙げて、「この形で表示できるか、そのための費用はどの行に載るか」と聞くと、答えが比べやすくなります。

掛け売りと請求締め

仮の事業者では、得意先は注文時に支払わず、月末の締めで請求書を受け取って翌月に支払います。
この流れを受注ECに乗せるには、注文を受けた後の一連の作業を、どこで行うかを決める必要があります。
注文を受け、出荷し、締め日に集計し、請求書を出し、入金を確かめて消し込みます。
与信枠を設けている得意先なら、入金によって枠が戻り、次の注文を受けられるようになります。

この一巡のうち、請求書を出すところを販売管理システムが担っているなら、受注ECは注文を正しく販売管理へ渡せれば足ります。
その場合、費用の重心は請求機能ではなく連携に移ります。
反対に、受注ECの側で得意先ごとの締め日を持ち、請求書まで発行させるなら、その機能が標準かオプションか、外部の請求代行と組み合わせるのかで、決済・請求関連の費用が変わります。
得意先によって締め日が違う、支払方法が違うといった条件があれば、それも書き出しておきます。
条件が多いほど、標準機能で収まるかどうかの確認が重要になります。

基幹システム連携

仮の事業者がECを入れて一番減らしたいのは、電話とFAXで受けた注文を販売管理へ打ち込む作業です。
ところが、受注ECで注文を受けても、その注文を担当者が販売管理へ打ち直していれば、転記は残ります。
この転記をどこまで減らすかで、連携の費用が変わります。

連携の深さにはいくつかの段階があります。
受注ECから注文データをファイルで書き出し、販売管理へ取り込む方法なら、手入力は減ります。
ただし、書き出しと取り込みの操作、取り込み結果の確認は担当者の作業として残ります。
注文が自動で販売管理へ渡り、単価や在庫の情報が受注ECへ戻ってくるように組めば、残る作業はさらに減ります。
その分、連携の開発や設定が初期費用に載り、連携部分の保守が継続費用に載ることがあります。

連携の費用で見落としやすいのは、どちらかのシステムが更新されたときの扱いです。
販売管理のバージョンが上がって連携の作り直しが必要になったとき、その費用が保守に含まれるのか、都度の見積もりになるのかで、数年単位の総額が変わります。
見積もり依頼では、使っている販売管理システムの名前と、受注ECとの間でやり取りしたい情報(注文、単価、在庫、出荷の状況など)を並べて渡すと、各提供元の答えが同じ土台に乗ります。

取引条件と、影響しやすい費目の対応(模式図)
得意先別価格、掛け売りと請求締め、基幹システム連携の三つの取引条件ごとに、影響しやすい費目を並べた図
▼ 図の内容を文字で読む
  • 得意先別価格
    • システム利用料(標準機能で収まるか)
    • オプション
    • 初期費用(単価データの登録)
  • 掛け売りと請求締め
    • 決済・請求関連の手数料
    • オプション(締め日ごとの請求)
  • 基幹システム連携
    • 初期費用(連携の開発・設定)
    • 保守・サポート(連携部分の保守)
掛け売りの得意先との、毎月繰り返す受注から入金までの流れ(模式図)
注文を受ける、出荷する、締め日に集計する、請求書を出す、入金を確かめて消し込む(与信枠が戻る)の順に進み、再び注文を受けるに戻る流れの図
▼ 図の内容を文字で読む
  1. 注文を受ける
  2. 出荷する
  3. 締め日に集計する
  4. 請求書を出す
  5. 入金を確かめて消し込む(与信枠が戻る)

月額以外に足す費用と、得意先側の負担がどこまで及ぶか

初期費用・手数料・運用工数の足し方

ここまでで、月額の内訳と、自社の条件が効く費目が見えてきました。
導入を判断するには、月額に、月額以外の費用を足した総額で見ます。
足すものは次の通りです。

  • 初期費用(初期設定、画面の調整、連携の開発、操作説明)
  • 月額に契約期間を掛けた額(年額で請求される保守費用も同じ期間で揃える)
  • 取引量に応じて増える手数料(決済、請求代行など)
  • データ移行(得意先、商品、単価の登録や整理)
  • 社内の運用工数(商品情報の更新、得意先からの問い合わせ対応、移行期間の二重運用)

最後の運用工数は請求書には載りませんが、見積もり同士の差を逆転させることがあります。
得意先を一度に移せない場合、移行期間中は電話・FAXの受注と受注ECの受注を並行して扱います。
この期間は、二つの窓口から届く注文を確認する作業が増えます。
保守・サポートの範囲が狭い提案を選べば、得意先からの操作の問い合わせを社内で受ける時間も加わります。
総額を契約期間の月数で割り、月あたりに直しておくと、次の節以降で月額同士を比べ直すときにも使えます。

得意先の側の負担は、受注の形で変わります。
自社が受注ECサイトを用意し、得意先にそこへ注文を入れてもらう形なら、提供元と契約して費用を払うのは受注側です。
得意先は発行されたIDでログインして注文します。
この場合に得意先が負うのは主に、注文の仕方を変える手間と、新しい画面に慣れる時間です。
ただし、得意先の側で何らかの登録や契約が必要になる仕組みでないかは、提供元に確かめておきます。

EDIで受注側の費用が小さくなる条件

得意先の負担の構造が違うのが、EDIです。
EDIは、企業同士が注文や出荷のデータを決められた形式でやり取りする仕組みで、受注側と発注側がそれぞれのシステムやサービスを使ってデータを送受信します。
中小企業庁の解説では、中小企業共通EDI標準に対応したプロバイダーと業務アプリケーションを受注側が利用するだけで済み、大きな費用はかからないとされています1。

この記述には前提があります。
受注側と発注側の双方が、共通EDI標準に対応したプロバイダーと契約していることです。
つまり、得意先の側にも契約と準備が要ります。
また、この解説に金額の記載はなく、自社で受注ECサイトを持つ場合の費用を述べたものでもありません。
EDIで受注側の費用が小さく済む条件を、受注ECの月額の目安として読み替えることはできません。

Hands counting euro bills on a wooden desk with calculator, financial documents, and laptop nearby.
▽ 写真の出典元

どちらが合うかは、得意先の状況で変わります。
得意先がすでにEDIで発注している、あるいは主要な得意先からEDIでの取引を求められているなら、受注ECの見積もりと並べて、EDIで受ける場合の条件も確かめる意味があります。
得意先の多くがEDIを使っておらず、電話・FAXから画面での注文へ切り替えてもらう形を考えているなら、得意先に新たな契約を求めない受注ECのほうが、移行の負担を説明しやすくなります。

観点 自社の受注ECサイト 共通EDI標準を使う受発注
注文が入る場所 受注側が用意したECサイト 双方のシステム間のデータのやり取り
提供元と契約する側 受注側 受注側と発注側の双方
得意先の準備 発行されたIDでログインする 対応プロバイダーとの契約
受注側の費用の見方 費目に分けて見積もりを比べる 対応プロバイダー・アプリの利用で大きな費用はかからないとされる(金額の記載なし)

見積もりを並べて比べるときの確認項目

同じ質問票を全社に渡す

費目の分け方と自社の条件が書き出せたら、見積もりを依頼する段階に移ります。
このときに効くのが、どの提供元にも同じ質問票を渡すことです。
提供元はそれぞれ自社の料金体系に沿って見積書を作るため、何も指定しなければ、行の分け方も、含む範囲の書き方もばらばらに返ってきます。
先に質問の形を決めておけば、答えを並べたときに、同じ問いへの答え同士を比べられます。

質問票には、自社の前提も書きます。
得意先の数とそのうち受注ECへ移したい範囲、ひと月の注文件数、商品数、得意先別価格の決め方、締め日と請求の流れ、使っている販売管理システムです。
件数や数量は、今の値と、得意先を移し終えたときの見込みの両方を書いておきます。
こうしておくと、上限のあるプランで、どの時点で料金が変わるかを各社に答えてもらえます。

差が出たときの読み方

答えが揃ったら、まず月額の差がどの費目から来ているかを見ます。
システム利用料の差であれば、上限の設定が違うのか、機能の範囲が違うのかを確かめます。
保守・サポートの差であれば、受付時間や得意先からの問い合わせの扱いを並べます。
前の節までに整理した費目と条件が、そのまま読み解きの手掛かりになります。

判断が分かれやすいのは、同じ条件に対して、ある提供元は「標準で対応」、別の提供元は「オプション」と答えた場合です。
標準と書かれていても、自社の単価の決め方や締め日の扱いのすべてに対応できるとは限りません。
質問票に載せた具体例で、実際の画面や設定の方法を見せてもらうと、言葉の上では同じ「対応」の中身の違いが分かります。
差額の大小だけで判断せず、見積書の明細とこうした条件を照らし合わせて読むことが大切です。

契約期間と解約の条件も、月額の比較から外せません。
最低利用期間がある場合、途中でやめても残りの期間の費用がかかることがあります。
自動更新の有無や、解約時に注文・得意先・単価のデータをどの形式で受け取れるかは、将来ほかの仕組みへ移るときの手間と費用に直結します。
月額が低くても、データの持ち出しが難しい契約は、移り先を選ぶ自由を狭めます。

見積もりを依頼してから、差を読み解くまでの手順
自社の前提を質問票に書き、同じ質問票を全社に渡し、差の出た費目を見て、標準とオプションを具体例で確かめ、契約期間と解約の条件を見る順序の図
▼ 図の内容を文字で読む
  1. 自社の前提を質問票に書く
  2. 同じ質問票を全社に渡す
  3. 月額の差が出た費目を見る
  4. 標準かオプションかを具体例で確かめる
  5. 契約期間と解約の条件を見る

月額に見合うかを、自社の数字で判断する方法

測る項目

見積もりが比べられるようになっても、最後に残るのは、その月額を払う価値があるかという問いです。
この判断には、他社の導入事例や別の調査の削減率ではなく、自社の今の受注業務の数字を使います。
受注の方法も得意先の使い方も事業者ごとに違うため、他の数字を当てはめても、自社で何が減るかは分かりません。

導入前に測っておきたいのは、次のような項目です。

  • 受注入力にかかる時間(電話・FAX・メールの別に)
  • FAXの読み取りや電話の聞き取りの確認にかかる時間
  • 転記ミスや注文の訂正の件数と、直すのにかかる手間
  • 得意先からの在庫・納期・注文状況の問い合わせの件数
  • 営業時間外や休日に受けた注文と、その対応

測る期間は、繁忙期と通常期の違いが分かるように取れると、判断がぶれにくくなります。
担当者が普段の業務の中で、件数と大まかな時間を記録する程度で構いません。
測った数字は、導入後に同じ項目を測り直して比べる基準にもなります。

月額との比べ方

比べ方の骨組みは単純です。
前の節で月あたりに直した総額を一方に置き、もう一方に、受注ECで減る作業時間に人件費を掛けた額と、減る訂正や問い合わせの対応にかかっていた手間を置きます。
注意したいのは、すべての注文が受注ECへ移るとは限らないことです。
電話やFAXでの注文を続ける得意先が残れば、その分の入力作業は残ります。
主要な得意先に、画面での注文に切り替えられるかを事前に聞いておくと、どれだけの注文が移るかの見込みを立てやすくなります。

受注ECで新しく生まれる作業も、差し引きに入れます。
商品情報や単価の更新、得意先へのID発行と操作の案内、移行期間の二重運用などです。
減る作業から増える作業を引いた残りが、月あたりの総額を上回るかどうか。
それが判断の目安になります。
上回らない場合も、導入をすぐに諦める必要はありません。
自動連携をファイルの取り込みに替えて初期費用を抑える、注文の多い得意先から順に移す、必要のないオプションを外す、といった組み立て直しで、総額と効果の釣り合いが変わることがあります。
どの組み立てが合うかは、測った自社の数字と、質問票で揃えた見積もりを照らし合わせて決められます。

得意先別価格や締め日請求がどの費目に効くかは提供元ごとに線引きが違い、社内だけでは見積もり依頼の質問票にまとめにくいため

自社の取引条件を書き出し、標準で収まりそうなものと提供元へ個別に確認すべきものを切り分けられます無料相談で要件を整理する

見積もり依頼の質問票に入れる確認項目

見積もりの月額の差がどこから来るかを、費目、自社の条件、契約の順にたどれるよう並べた確認項目

  • 月額がどの上限(ログインID数・注文件数・商品数・保存容量)までの値段か
  • 上限を超えたときの料金と、プラン変更の条件
  • 得意先別価格・掛け売り・締め日請求が、標準機能・有償オプション・個別開発のどれで実現されるか
  • 基幹システムとの連携方法と、連携部分の初期費用・保守費用、システム更新時の扱い
  • 決済・請求に関わる手数料の有無と、取引量に応じて増える部分
  • サポートの範囲(受付時間、得意先からの問い合わせを誰が受けるか)と、月額に含まれるか
  • 初期費用の内訳と、月額に分割して含めていないか
  • 契約期間・最低利用期間・自動更新と、解約時のデータの受け取り方
20代前半の日本人男性が立ち会議をしている場面

連動する量が自社の増え方と合わない提案は、今の月額の安さより、上限を超えたときの料金を優先して比べる

要点の整理

軸 基準
月額の比べ方 月額の欄ではなく、システム利用料・決済請求関連・保守サポート・オプションに振り分けてから比べる
提供形態 料金が何に連動して増えるかと、その量が自社で増えるかで見る
自社の取引条件 得意先別価格・掛け売りと締め日請求・基幹連携が、標準かオプションか個別開発かを確かめる
総額 初期費用、月額×契約期間、手数料、データ移行、社内の運用工数を足して月あたりに直す
EDIとの違い 共通EDI標準は双方が対応プロバイダーと契約する前提で、受注ECサイトの費用とは別に考える
効果の判断 導入前に自社の受注工数や訂正・問い合わせの件数を測り、月あたりの総額と比べる

見積もりが揃った段階で、費目の振り分けや前提の食い違いを第三者の目で照らし合わせると、月額の差の理由に気付きやすいため 受け取った見積もりの行を費目に振り分け、総額の比べ方と、追加で提供元へ質問すべき点を確認できます

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よくある質問

月額0円や低額のプランは、本当に追加費用がかからないのか

月額が低くても、追加費用がかからないとは限りません。
取引額に応じた手数料、上限を超えたときの料金、得意先別価格や請求機能などのオプション、初期費用やサポート契約が、月額とは別の行に載ることがあります。
月額の欄だけでなく、見積書のすべての行を費目に振り分けます。
そのうえで、得意先を移し終えたときの件数での総額を比べると、実際の負担が見えます。

受注側が払う手数料と、得意先が払う手数料はどう違うのか

自社が受注ECサイトを用意し、得意先にそこから注文してもらう形なら、提供元と契約し、利用料や決済・請求関連の手数料を払うのは受注側です。
得意先が負うのは主に、注文の方法を切り替える手間です。
一方、中小企業共通EDI標準を使う受発注は、受注側と発注側の双方が対応プロバイダーと契約していることが前提とされています1。
得意先に何らかの登録や契約が要る仕組みかどうかは、提供元に確かめておくと安心です。

電話・FAX受注が残る場合でも、受注ECを入れる意味はあるのか

受注ECへ移った分の注文については、入力や読み取りの確認が減ります。
ただし、電話・FAXの注文が残れば、その分の作業は残り、二つの窓口を確認する手間も加わります。
導入前に、受注方法ごとの入力時間を測ります。
主要な得意先が画面での注文に移れるかも聞いたうえで、減る作業と増える作業を差し引いて判断します。

契約期間や最低利用期間、解約条件は、見積もりのどこで確認するのか

見積書の金額欄には現れないことが多いため、質問票で項目として尋ねます。
最低利用期間があれば、途中解約でも残りの期間の費用がかかる場合があります。
自動更新の有無と、解約時に注文・得意先・単価のデータをどの形式で受け取れるかも、併せて確認しておくと、将来の移行費用を見通せます。

得意先が多く、取引条件が得意先ごとに違うとき、見積もり依頼に何を書くのか

得意先の数と受注ECへ移したい範囲、単価の決め方(掛率、個別単価、数量別単価など)、締め日と請求の流れ、支払方法の違いを書きます。
条件の種類が多い場合は、代表的な得意先を一つ例に挙げ、「この条件で注文を受けて請求まで回せるか、その費用はどの行に載るか」と聞きます。
そうすると、標準機能で収まるか、オプションや個別開発になるかを各社で比べられます。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(2020年公開、2026年更新)

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  1. Hands counting euro bills on a wooden desk with calculator, financial documents, and laptop nearby./Photo by Pavel Danilyuk on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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