◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 代理店と特約店は法的に別物であり、EC設計は「誰の売買か」という取引形態の判定から始まります。
- 再販売価格の拘束は独占禁止法上、原則として違法となる不公正な取引方法です。
- 2026年7月8日の指針改正により、危険と費用を自社が負担する場合の例外が明確になりました。
- 販売地域や担当取引先の割り当ては、制限の強さによって評価が分かれます。
- 請求書の名義は、国税庁が定める媒介者交付特例の要件を満たすかどうかで決まります。
目次
代理店・特約店向けECとは何か——「代理店」という言葉を解体する
代理店・特約店向けEC構築とは、メーカーや卸売業者が代理店・特約店との取引をオンライン化する取り組みです。まず取引形態(再販型・媒介/取次型・委託販売型)を先に確定します。そのうえで、価格の決定権・公開範囲・受注と請求の名義・地域や担当の割り当て・販売奨励金の基準をシステム要件として定める一連の設計を指します。この記事では、機能一覧の前に決めるべき判断の順序を、公的な一次情報にもとづいて整理します。国内のBtoB-EC市場規模は2024年時点で514.4兆円、EC化率は43.1%に達しており*5、代理店・特約店との取引をオンラインへ移す判断自体は、すでに一般的な選択肢になっています*5。
定義と、この記事が扱う範囲
この記事は、機能一覧の比較や構築手法(ASP型・パッケージ型・スクラッチ型)の選定には踏み込みません。取引形態の判定と、それがEC要件に与える影響に絞って解説します。構築手法の比較はカートシステムの選定記事に譲ります。
商法の定義で切り分ける
「代理店」という呼び方は、法律上の1つの類型を指す言葉ではありません。商法第27条は、代理商を「商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないもの」と定義します*6。同法第551条は問屋を「自己の名をもって他人のために物品の販売又は買入れをすることを業とする者」と定義します*6。第543条は仲立人を「他人間の商行為の媒介をすることを業とする者」と定義しています*6。
一方、いわゆる特約店は自己の名と危険負担で仕入れて再販売する流通業者であり、上記いずれの定義とも異なります。特約店は自社で在庫を持ち、売れ残りの危険を自ら負うため、再販売価格の拘束の規制対象になります。この違いが、EC上で価格を誰が決められるかを分岐させます。
呼称ではなく実態で決まる
契約書の題名が「代理店契約」であっても、実態が仕入れと再販売なら再販売価格の拘束の規制対象になります。逆に「販売店契約」という名称でも、危険と費用を自社が負担していれば例外に当たる場合があります*2。判定の基準は契約書の題名ではなく、危険と費用の負担という実態にほかなりません。
BtoCのECとの違い3点
代理店・特約店向けのECは、一般消費者向けのECと3点で異なります。第一に、取引相手が特定の代理店・特約店に限定される点です。第二に、価格が取引相手ごとに異なる点です。第三に、契約類型が価格を決める権限そのものを左右する点です。BtoCのカート機能をそのまま流用すると、この3点目を見落としがちです。
最初に決めるのは機能ではなく取引形態——3類型
代理店・特約店との取引は、商品の所有権と危険負担の違いにより、再販型・媒介/取次型・委託販売型の3類型に整理できます。この判定を先に行わないと、EC上で価格欄をどう設計するかが決まりません。
3類型の比較
| 比較軸 | 再販型(特約店・ディーラー) | 媒介・取次型(代理商・仲立人) | 委託販売型(問屋・受託販売) |
|---|---|---|---|
| 商品の所有権 | 仕入れ時点で自社に移転します。 | 移転しません。エンドユーザーへ直接移転します。 | 委託者に残ります。販売まで自社資産になりません。 |
| 請求書の名義 | 自社名義で発行します。 | 原則は本人(委託者)名義です。特例で代理店名義も可能です*4。 | 原則は委託者名義です。媒介者交付特例で受託者名義も可能です*4。 |
| 価格の決定権 | エンドユーザー向け売価は自社が決めます。仕切価格は指示可能です。 | エンドユーザー向け価格をメーカー側が設定できます。 | 委託者が価格を決めます。 |
| 売れ残りの危険 | 自社が負担します。 | 負担しません。在庫を持たないためです。 | 委託者が負担します。 |
| 代金回収の危険 | 自社が負担します。 | 通常は委託者側が負担します。 | 委託者が負担します。 |
| EC上の見せ方 | 仕切価格までを表示し、売価欄は代理店側の裁量に委ねます。 | エンドユーザー向け価格を表示し、手数料は別枠で計算します。 | 在庫は自社資産のまま、販売実績で精算する画面構成にします。 |
判定は「危険と費用の負担」で行う
2026年7月8日改正の指針は、危険と費用に通常含まれる項目として、次のa〜eを挙げています*2。これがそのまま取引形態の判定表になります。
危険・費用の判定項目5点/判定基準:法令要件(公正取引委員会の指針・注5の2)
- a 売れ残った場合の危険を、自社(メーカー・卸)と代理店・特約店のどちらが負うか*2。
- b 契約不適合があった場合の危険を、どちらが負うか*2。
- c 在庫保管の善良な管理者としての注意義務を超えて商品が滅失・毀損した場合の危険を、どちらが負うか*2。
- d 代金回収が不能となった場合の危険を、どちらが負うか*2。
- e 在庫保管費用・輸送費用・広告宣伝費用等、エンドユーザーへの販売に至るまでに生じる費用を、どちらが負うか*2。
危険と費用の負担マトリクス
| 判定項目 | 再販型 | 媒介・取次型 | 委託販売型 |
|---|---|---|---|
| a 売れ残りの危険 | 自社が負担 | 負担しない | 委託者が負担 |
| b 契約不適合の危険 | 自社が負担 | 負担しない | 委託者が負担 |
| c 滅失・毀損の危険 | 自社が負担 | 負担しない | 委託者が負担 |
| d 代金回収不能の危険 | 自社が負担 | 通常は委託者側 | 委託者が負担 |
| e 保管・輸送・広告の費用 | 自社が負担 | 通常は委託者側 | 委託者が負担 |
このマトリクスの読み方は単純です。a〜eの多くを自社が負担しているなら、実質的に自社が販売していると認められやすく、価格を指示できる余地が広がります*2。逆に費用の一部でも代理店側に負担させている場合は、その時点で「自社が負担した」ことにはなりません*2。
1社の中に複数類型が混在する場合の扱い
同じ代理店でも、商品カテゴリごとに再販型と媒介型が混在するケースがあります。この場合、取引先マスタに類型区分を持たせ、商品グループ単位で価格権限を切り替えられる設計にする必要があります。類型を代理店単位で固定すると、混在するカテゴリに対応できません。
現状のFAX・電話・メール受注のままでは、代理店ごとに異なる価格運用の根拠を後から説明できません。無料相談で自社の取引先構成を整理することで、類型ごとの要件を早い段階で洗い出せます。
EC上で販売価格を指示できるか——原則違法と2026年7月の改正
販売価格の拘束は原則として違法
事業者が流通業者の販売価格を拘束することは、独占禁止法第2条第9項第4号により、原則として不公正な取引方法に該当し、違法となります*2。「機能として価格欄を持てるから指示してよい」という判断は成り立ちません。指針は「正当な理由がある場合には、例外的に違法とはならない」とも述べています*2。
例外①②——委託販売と、物流・代金回収を担う卸売業者
例外の1つ目は、委託販売において委託者の危険負担と計算で行われている場合です*2。2つ目は、メーカーとユーザーが価格を直接交渉し、卸売業者が物流と代金回収の責任を負って手数料分のみを受け取る場合です*2。いずれも危険負担の所在が明確な取引形態が前提になっています。
例外③(2026年7月8日改正で新設)
2026年7月8日の改正で新設された例外③は、ユーザーへの販売に至るまでに生じる危険及び費用を自ら負担する場合です*1*2。危険と費用を自社が負担することで、実質的にメーカーがユーザーに販売していると認められる、という考え方です*2。
ここで重要な留保があります。費用を一部でも流通業者に負担させれば、「自社が負担した」ことにはなりません*2。加えて、あらかじめ明示しておくべき事項が3点あります*2。ユーザーへの販売に至るまでに生じる費用を自社が負担すること、その費用の項目と負担方法、そして費用の項目に不足があるとして流通業者が協議を希望する場合には申し出られること、の3点です*2。申出があれば協議し、その過程で確認された費用を自社が負担してはじめて、費用を負担したものと扱われます*2。
公取委が「問題とならない」と回答した実例2件
公正取引委員会の相談事例集は、実際の判断を2件公表しています。平成21年度相談事例集は、産業用部品メーカーX社が代理店Y社に納入価格を指示する事例を扱っています。ユーザーZ社との取決価格での納入指示について、「独占禁止法上問題となるものではない」と回答しました*3。物流・代金回収・在庫保管の責任はY社が負う一方、在庫の危険負担が極めて低く、指示の対象もZ社向け納入価格に限られていた点が判断の根拠です*3。なお、このX社は当該市場でシェア約35%・第2位の事業者でした*3。有力な事業者であっても、危険と費用の負担次第で価格の指示が問題とならない場合があることを示す事例です。
2026年改正では、家電メーカーが取引先事業者に対して一般消費者への販売価格を指示した事例(令和6年度相談事例集)も具体例③として追加されました*2。いずれの事例も、危険と費用の負担という同じ物差しで判断されています。
流通調査は原則問題にならない
指針は、自社商品を扱う流通業者の実際の販売価格や販売先等を調査する行為を「流通調査」と呼びます。流通業者の販売価格に関する制限を伴わない限り、通常、問題とはならないとしています*2。ECの販売実績レポート機能は、この流通調査の範囲に位置づけられます。価格を制限する運用と組み合わせない限り、レポート機能そのものは問題になりません。
判定結果をEC要件に落とす——価格の持たせ方
取引形態が決まれば、ECに持たせる価格欄の設計はほぼ自動的に定まります。
再販型:自社が持つのは仕切価格まで
再販型では、自社が管理するのは代理店への仕切価格(建値)までです。エンドユーザー向けの売価は代理店が決めるため、ECの売価欄は持たせないか、持たせても表示のみで拘束しない設計にします。
媒介・取次型:エンドユーザー向け価格を自社が設定
媒介・取次型では、エンドユーザー向け価格を自社が設定し、代理店の取り分は手数料として計算します。代理店側の画面には、売価ではなく手数料の内訳を表示する構成が適しているでしょう。
委託販売型:在庫は自社資産のまま
委託販売型では、在庫は委託者である自社の資産として残り、代理店の販売実績にもとづいて精算します。ECの在庫区分は、自社在庫と代理店在庫を明確に分ける設計が前提となります。
取引先別価格の実装は別テーマ
価格マスタや掛率の持たせ方といった実装の詳細は、取引先別価格の実現方法を扱う別記事が正典です。この記事では、その価格をどちらの権限で持つべきかという判断に絞りました。
販売地域と担当取引先の割り当て——4分類で評価が変わる
4分類
指針は、販売地域の制限を4つに分類しています。責任地域制、販売拠点制、厳格な地域制限、地域外顧客への受動的販売の制限です*2。この4分類のどれに当たるかによって、独占禁止法上の評価は変わってきます。
前2つは通常違法とならない
指針は次のように述べています。「厳格な地域制限又は地域外顧客への受動的販売の制限に該当しない限り、通常、これによって価格維持効果が生じることはなく、違法とはならない」*2。責任地域制と販売拠点制は、この「通常、違法とはならない」側です。
インターネット販売での例示
指針はEC特有の例示も示しています。特定の地域や顧客を対象に、代理店のウェブサイトや第三者のプラットフォーム上へ広告を掲載させたり、メールマガジンを配信させたりする義務付けが例に挙がっています。こうした積極的な販売活動の義務付けは、通常違法とはなりません*2。代理店ポータルの「担当区分」を設計する際は、この記述が直接の根拠となるでしょう。
ただし、地域外の顧客から求めがあった場合の販売まで制限することは別評価です*2。「担当外への積極的な営業を控えてもらう」設計と、「担当外からの注文自体を拒む」設計は、同じ機能に見えても評価が異なります。
帳合取引の義務付け・仲間取引の禁止
価格維持効果が生じる場合、帳合取引の義務付けや仲間取引の禁止は、不公正な取引方法の一般指定12項(拘束条件付取引)に該当し、違法となります*2。一般指定12項は「相手方とその取引の相手方との取引その他相手方の事業活動を不当に拘束する条件をつけて、当該相手方と取引すること」と定義されています*7。
シェア20%の目安
この20%の目安が当てはまるのは、垂直的制限行為のうち一部の類型に限られます。自己の競争者との取引等の制限、厳格な地域制限、抱き合わせ販売がこれに当たり、市場における有力な事業者かどうかは「シェアが20%を超えることが一応の目安」とされています*2。責任地域制や販売拠点制はこの対象ではありません。シェア20%以下の事業者や新規参入者が行う場合は、通常違法とはなりません*2。自社の市場シェアが問題になるのは、地域割りが厳格な地域制限に踏み込む場合です。
販売奨励金(リベート)をECで自動計算する前に
基準の明確化が前提
リベートは価格の一要素であり、様々な目的で支払われます*2。指針は「リベートの供与の基準を明確にし、これを取引先事業者に示すことが望ましい」と述べています*2。ECで自動計算する前に、この基準を明文化しておくことが欠かせません。
占有率リベート・著しく累進的なリベート
占有率リベートや著しく累進的なリベートは、競争品の取扱制限としての機能を持つ場合があります*2。判断は「リベートの水準、リベートを供与する基準、リベートの累進度、リベートの遡及性等を総合的に考慮」して行われます*2。ECの割引テーブルを設計する際は、この4つの観点をあらかじめ確認しておく必要があります。
手段としてのリベート
指示した価格で販売しないことを理由にリベートを削減する行為は、違法となり得ます*2。リベートを価格拘束の実効性を高める手段として使う設計は避ける必要があります。
EC要件への落とし込み
基準テーブルを明文化し、担当者の裁量で率を変えられる枠を作らないことが基本になります。算定根拠を代理店側の画面で開示できる設計にすれば、透明性の確保にもつながります。割引テーブル自体の作り方は、数量割引・階段価格の設定を扱う別記事が正典です。
誰の名義で請求書を出すか——媒介者交付特例
原則は委託者名義
委託販売では、本来は委託者が購入者に適格請求書を交付します(消費税法第57条の4第1項)*4。受託者が委託者を代理して委託者名義で交付する「代理交付」も認められる仕組みです*4。
媒介者交付特例の2要件
これに対し、受託者が自己の名義で適格請求書を交付できる媒介者交付特例には、2つの要件があります*4。1つ目は、委託者及び受託者の双方が適格請求書発行事業者であることです。2つ目は、委託者が受託者に対し、自己が適格請求書発行事業者の登録を受けている旨を取引前までに通知していることです(消費税法施行令第70条の12第1項*4)。
受託者の対応
特例を用いる場合、受託者は交付した適格請求書の写し又は電磁的記録を保存し、速やかに委託者へ交付又は提供する必要があります*4。取引数が多く困難な場合は、精算書等の書類で差し支えないとされていますが、その写しの保存はやはり必要です*4。
委託者の対応とEC帳票要件
委託者は、受託者から交付された適格請求書の写しを保存します*4。ここまでの整理を踏まえると、EC側の帳票要件は「電磁的記録の保存」と「精算書の自動生成」の2点に集約されます。インボイス制度全般の運用は別記事の領域であり、この記事では代理店取引に関わる範囲に限定して扱っています。
公開範囲とアクセス権の設計
見せる/見せないの線引き
代理店ポータルでは、仕切価格・在庫数・他代理店の実績・エンドユーザー情報のうち、どこまでを各代理店に見せるかを取引形態ごとに決める必要があります。再販型なら仕切価格までを見せ、エンドユーザー向け売価は見せない設計が基本です。媒介・取次型なら、エンドユーザー向け価格と手数料の内訳を見せる設計が妥当でしょう。
代理店による受注代行
代理店の担当者がエンドユーザー名義で発注する受注代行を認める場合は、誰が代行入力したかの記録を残す必要があります。代金回収の危険を誰が負っているかによって、この記録の扱いは異なってきます。
失敗コストとして考えられる影響
公開範囲の設計を誤ると、他代理店の販売実績や仕切価格が意図せず閲覧できる状態になり、代理店間の信頼関係を損なう事態につながりかねません。認証・会員制の実装手法自体は、クローズドECの会員制構築を扱う別記事が正典です。この記事は「取引形態に応じて何を見せるべきか」の判断に限定しています。
要件定義チェックリスト——ここを空欄にしない
ここまでの判断を、要件定義書に落とし込むためのチェック項目として整理しましょう。
必要スキルと工数の目安
このチェックリストを自社だけで埋めるには、独占禁止法の指針を読み解く知識、消費税の請求書制度に関する知識、代理店契約の実態を確認する業務知識の3つが必要です。法務・経理との調整も並行して発生するため、担当者1名で完結させるのは難しい作業といえるでしょう。
要件定義チェックリスト6項目/優先順:判定の依存関係にもとづく実施順序
- 取引形態(類型区分と混在の有無)を代理店ごと・商品カテゴリごとに確定したか。
- 価格の決定権と、危険・費用の負担a〜eの割り当てを整理したか*2。
- 地域・担当の割り当てが4分類のどれに当たるかを確認したか*2。
- リベート基準を明文化し、取引先に開示できる状態にしたか*2。
- 請求名義が媒介者交付特例の2要件を満たすかを確認したか*4。
- 適格請求書の写し・精算書の保存方法をEC帳票要件に落としたか*4。
法務・経理レビューの通し方
要件定義書には、上記6項目それぞれについて「確認者」と「確認日」の欄を設けることを推奨します。取引形態の判定は法務、請求名義の設計は経理が確認する分担が一般的です。専門パートナーに依頼する場合は、この6項目を初回の要件ヒアリングでそのまま提示すれば、判断の抜け漏れを防ぎやすくなります。内製で進める場合は、判定を誤ったまま公開すると、後から価格運用全体を見直す手戻りが発生しかねません。
まとめ:取引形態を決めてからEC要件を組み立てる3つの判断軸
この記事では、代理店・特約店向けEC構築を、機能選定ではなく取引形態の判定から組み立てる方法を整理しました。要点は3つに集約できます。第一に、代理店と特約店は商法上の定義が異なり、まず「誰の売買か」を確定する必要があります*6。第二に、価格を指示できるかどうかは、危険と費用a〜eの負担で判定します*1*2。第三に、地域割り・リベート・請求名義は、それぞれ独立した公的基準にもとづいて設計します*2*4。この順序を踏まえれば、機能一覧から出発するよりも、法務・経理と合意しやすい要件定義書を組み立てられます。
ご不明な点はお問い合わせフォームからもご連絡いただけます。
よくある質問
代理店と特約店は何が違うのですか。
商法上の代理商は、商人のために取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でない者と定義されています*6。一方、いわゆる特約店は自己の名と危険負担で仕入れて再販売する流通業者であり、代理商とは別の類型です。この違いによって、価格を誰が決められるかが分かれます。
代理店向けECで販売価格を設定してもよいのですか。
原則として、事業者が流通業者の販売価格を拘束することは違法です*2。ただし、ユーザーへの販売に至るまでの危険と費用を自社が負担している場合は、2026年7月8日改正で明確化された例外に当たり得ます*1*2。個別の判断は取引実態によって異なります。
代理店ごとに担当地域や担当顧客をECで割り当てられますか。
割り当ての方法によって評価が変わります。責任地域制と販売拠点制は、通常、違法とはなりません*2。厳格な地域制限や、地域外顧客への受動的販売の制限に当たる場合は、別の評価になります*2。
請求書は自社と代理店のどちらの名義になりますか。
原則は委託者(自社)名義です*4。委託者・受託者双方が適格請求書発行事業者であることが1つ目の要件です。委託者が受託者へ取引前までに登録の旨を通知していることが2つ目の要件で、これらを満たせば代理店側の名義で交付する媒介者交付特例を使えます*4。
販売奨励金をECで自動計算しても問題ありませんか。
基準を明確にし、取引先に示していれば、通常は問題になりません*2。ただし占有率リベートや著しく累進的なリベートは、水準・基準・累進度・遡及性を総合的に考慮して判断されます*2。自動計算の前に基準の明文化が必要です。
- *1 出典:公正取引委員会「『流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針』の改正について」(報道発表)(2026年)
- *2 出典:公正取引委員会「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」(指針本文)(令和8年7月8日最終改正)
- *3 出典:公正取引委員会「相談事例集 平成21年度 2 代理店の再販売価格の拘束」(相談事例集)(平成22年公表)
- *4 出典:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問48」(Q&A)(令和8年5月改訂)
- *5 出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(報道発表)(2025年8月26日)
- *6 出典:e-Gov法令検索「商法」第27条・第551条・第543条(法令原文)
- *7 出典:公正取引委員会「不公正な取引方法」(昭和五十七年公正取引委員会告示第十五号)第十二項(告示本文)(昭和57年6月18日)
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