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BtoB ECの在庫引当と予約|仕組みと設計

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • BtoB ECの在庫引当は、仮引当・確定引当・出荷引当という3つの状態に分けて設計します。
  • 在庫がない注文への対応は、取り置きとバックオーダーで押さえる対象と納期の確度が異なります。
  • 引当をいつ取り消せるかは、自社の運用ではなく民法の契約成立と取適法の禁止行為が決めます。
BtoB EC 在庫管理のイメージ
▽ 写真の出典元

在庫引当とは、受注に在庫を確保し他への流用を防ぐ仕組み

BtoB ECの在庫引当とは、受け付けた注文に対して出荷する在庫をあらかじめ割り当て、他の注文が同じ在庫を使えないように確保する仕組みです。予約(取り置き・バックオーダー)は、出荷が先の日付になる注文について、実在庫または入荷予定の在庫を先に確保しておく扱いを指します*3。確定引当の取消可否は、民法第五百二十二条が定める契約の成立時点で決まります*3

図

図1 引当の3状態と遷移(仮引当は期限切れで解除に戻る)

引当をしない場合に残る、営業の手元メモと電話確認

在庫引当の仕組みが無いBtoB ECでは、取引先から電話で「取り置いておいてほしい」と依頼を受け、営業担当者が手元のメモや口頭で在庫を押さえる運用が残ります。受注後に欠品が判明し、改めて連絡を入れ直すことになりかねません。在庫引当は、この属人的な取り置きと受注後の欠品連絡を、システムの状態として置き換える目的で設計します。

仮引当・確定引当など、専門用語を先に定義する

引当とは、受注に対して出荷する分の在庫を確保する処理です。仮引当とは、カート投入や見積提示の段階で暫定的に押さえる状態を指します。確定引当とは、注文確定時に基幹システムで在庫を確保する処理です。出荷引当とは、出荷指示時にロット・保管場所まで割り付ける処理を指します。

取り置きとは、実在庫を押さえて出荷日を先送りする予約です。バックオーダーとは、実在庫が無く入荷予定に対して引き当てる予約を指します。入荷予定在庫とは、発注済みでまだ倉庫に届いていない数量とその入荷予定日です。引当解除とは、仮引当を取り消して在庫を有効在庫へ戻す処理を指します。リードタイムとは、注文から出荷までに要する日数です。

早い者勝ちではない ― BtoC ECとの違い

BtoC ECの多くは、先に注文した人が在庫を取れる先着順を前提にします。BtoB ECでは、取引先の優先度・契約枠・専用在庫が設定される場合があり、先に注文したことだけが引当の根拠にはなりません。この優先順位の考え方は、「先着順・取引先優先度・契約枠 ― 誰の注文を先に通すか」であらためて整理します。

在庫の区分そのものは本記事の対象外

実在庫・引当済在庫・有効在庫・入荷予定在庫という在庫の4区分と、その更新頻度・表示の粒度は、在庫連携の設計として別記事で詳しく扱っています。本記事では、受注1件が在庫を掴んでから離すまでの状態遷移と、予約の取消可否に絞って整理します。

仮引当・確定引当・出荷引当 ― 引当を3つの状態に分ける

在庫引当は一度きりの操作ではなく、仮引当・確定引当・出荷引当という3つの状態を順に遷移します。この3段階を分けないと、押さえた在庫がいつ有効在庫へ戻るのかを決められません。

状態 いつ発生するか 何を押さえるか どこが持つか 取り消せるか
仮引当 カート投入・見積提示・承認待ち 有効在庫(暫定) EC側 取り消せる(期限切れで自動解除)
確定引当 注文確定・承諾通知の到達 有効在庫(確定) 基幹システム 原則取り消せない(民法と取適法の項で解説)
出荷引当 出荷指示 ロット・保管場所まで特定 WMS・倉庫 取り消しは出荷取消として扱う

仮引当が必要な理由 ― カート投入から確定までの空白

カート投入から注文確定までの間に他の取引先に在庫を取られると、確定時に「売り切れ」を伝えることになります。BtoBは1注文あたりの数量が大きく、この空白の影響が出やすい取引です。仮引当は、この空白の間だけ暫定的に在庫を押さえるために設けます。

仮引当には期限を付ける

仮引当に期限を付けずに運用すると、カートに入れたまま放置された注文の分が有効在庫へ戻らず、実際には売れる在庫が「無い」と表示され続ける事態を招きます。期限は、商品の回転速度と承認フローに要する時間から決めることが実務的です。

仮引当の期限を決める確認順3点/順位根拠:判断に必要な情報の依存関係

  1. 対象商品の在庫回転速度を確認します。回転が速い商品ほど、期限は短く設定します。
  2. 承認フロー・与信審査に要する標準的な所要時間を確認します。期限は所要時間を下回らないようにします。
  3. 期限切れ後に自動解除する処理と、解除を通知する運用の要否を確認します。

確定引当は基幹で行う ― ECは表示と仮引当に徹する

在庫の正(マスタ)は、基幹システム側に置くことが基本です。ECサイトは在庫を表示し、注文受付時点では仮引当にとどめる役割にします。確定引当をECと基幹のどちらで行うかという連携方式の詳細は、基幹システム連携を扱う別記事で整理しています。

承認待ち・与信保留は仮引当にとどめる

見積承認や与信審査の結果が出ていない注文は、確定引当ではなく仮引当にとどめます。承認ワークフローの設計は別記事、与信管理の進め方も別記事で扱っています。いずれも、承認・審査が完了するまで在庫を確定させない点が共通の設計方針です。

取り置きとバックオーダー ― 在庫がない注文の受け方

受注のイメージ
▽ 写真の出典元

在庫が無い注文をどう受けるかは、「予約」という語で検索する読者が最も知りたい論点です。取り置きとバックオーダーは、押さえる対象が異なるため区別して設計します。

区分 押さえる対象 納期の確度 取引先に伝えること
取り置き(出荷日指定) 実在庫 高い(自社に現物がある) 出荷予定日を確定で伝えられます
バックオーダー 入荷予定在庫 仕入先に依存 入荷予定日と、確定でない旨を伝えます

入荷予定在庫への引当は「予定への引当」である

バックオーダーは、実在庫ではなく入荷予定在庫に対して引き当てる予約です。仕入先からの入荷が遅れれば、約束していた納期も同時に遅れます。入荷予定在庫は、実在庫と同じ確度では約束しない扱いが妥当です。

入荷1件に複数の予約が乗るときの割り付け

同じ入荷予定に複数の取引先からバックオーダーが集中する場合があります。入荷予定数を超えて予約を受け付けない運用にするか、超える場合は受注の時点で分納や納期分割を提示するかを、あらかじめ決めておく必要があります。

予約を受けない選択も設計である

受注生産品・都度見積品・メーカー直送品は、在庫という概念自体が成立しません。これらは予約として扱うのではなく、注文のたびに納期を回答する「都度回答」とする設計が適切です。

電話・FAXの取り置き依頼をECの仮引当へ移す

営業担当者が手元のメモで管理していた取り置き依頼は、期限付きの仮引当レコードに置き換えられます。電話・FAX受注からECへ移行する進め方は、別記事で扱っています。

先着順・取引先優先度・契約枠 ― 誰の注文を先に通すか

BtoB ECの引当は、先着順だけでは決まりません。取引先ごとの優先度や契約枠を踏まえて設計する必要があります。この論点はBtoC向けの機能をそのまま流用すると抜け落ちやすい領域です。

早い者勝ちだけではない、3つの引当方式

引当の方式には、受注日時順・取引先の優先度順・契約枠の範囲内での先着順という3つの考え方があります。どの方式を採るかは、商品分類や取引先区分ごとに変えてもかまいません。

専用在庫 ― 特定の取引先に確保し他へ回さない

特定の取引先向けに確保した専用在庫は、他の取引先の注文で引き当てさせない設計にします。専用在庫を有効在庫と分けて管理しないと、意図せず他社の注文に消費される事態が起こります。

優先引当の順位を決めておく ― 属人化を避ける

欠品時に誰を優先して引き当てるかという優先順位を決めていないと、その場の担当者の判断に委ねられます。優先順位をあらかじめ規定として持つことが、判断のばらつきを防ぐ土台になります。

出荷可能枠を超える注文は仮引当で審査に回す

1回あたり・1か月あたりの出荷可能枠を設ける場合、枠を超える注文をそのまま確定引当にせず、いったん仮引当で止めて審査へ回す設計が実務的です。

取引先ごとの出し分けは価格設定と同じ基盤

専用在庫・優先引当・出荷可能枠は、取引先ごとに条件を変えるという点で、取引先別の価格設定と同じ仕組みの上に実装できます。

自社の運用に照らして優先順位や専用在庫の要否を確かめるには、無料相談で要件を整理するのが近道です。

民法と取適法が定める、引当を取り消せる境界

出荷のイメージ
▽ 写真の出典元

引当や予約をいつ取り消せるかは、自社の運用ルールではなく契約と法令が決めます。ここが上位表示の記事に最も欠けている論点であり、本記事の中核です。

契約は承諾の通知が到達した時に成立する

民法は「契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する」と定めています(民法第五百二十二条第1項)*3。さらに「意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる」とも定めています(同第九十七条第1項)*3

注文が申込みにあたり、注文請書や受注確定通知が承諾にあたります。承諾の通知が取引先へ到達した時点が、拘束力の境界線です。

確定引当は承諾通知と同じ処理単位で行う

この境界線に合わせるため、確定引当は受注確定メールなどの承諾通知の送信と同じ処理単位で行う設計にします。「画面上は引当済だが承諾は送っていない」「承諾は送ったが引当は未確定」という食い違いを作らないことが目的です。

承諾期間を定めた申込みは撤回できない

民法は「承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない」とも定めています(同第五百二十三条第1項)*3。見積の有効期限を切る意味は、この条文にあります。

取適法が禁じる、受領拒否・返品・不当な内容変更

2026年1月1日、下請法は取適法(正式名称:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律。通称「取適法(とりてきほう)」)へ改正されました*2*4。用語も「親事業者」は「委託事業者」へ、「下請事業者」は「中小受託事業者」へ変わっています*2

委託事業者には4つの義務と11の遵守事項(禁止項目)が課されています*2。中小受託事業者の了解を得ていても、これらの規定に触れるときは本法への違反にあたります*1。遵守事項のうち、対象取引に当たる場合に関係するのは次の3点です*2

  • 受領拒否の禁止(第5条第1項第1号) 中小受託事業者に責任がないのに、発注した物品等の受領を拒否すること*2
  • 返品の禁止(第5条第1項第4号) 中小受託事業者に責任がないのに、発注した物品等を受領後に返品すること*2
  • 不当な給付内容の変更、やり直しの禁止(第5条第2項第3号) 中小受託事業者に責任がないのに、発注を取り消したり発注内容を変更したりするほか、無償でやり直しや追加作業をさせること*2

いずれも「中小受託事業者に責任がないのに」が要件です*2。したがって、中小受託事業者に責任がないにもかかわらず、発注側が予約や先付け受注を対象取引において後から一方的に取り消したり数量を減らしたりする運用は、これらの禁止行為に触れる可能性があります。

適用対象は5つの委託類型と資本金・従業員基準に限る

ここは適用範囲を広げて理解しないよう、特に注意が必要な点です。取適法の対象取引は「製造委託」「修理委託」「特定運送委託」「情報成果物作成委託」「役務提供委託」の5類型に限られます*2。加えて、資本金基準または従業員基準(300人、100人)のいずれかを満たす場合に適用されます*2

BtoB ECの受発注がすべて対象になるわけではなく、既製品の単純な売買それ自体は対象取引に含まれません。別注品・OEM・受注生産をBtoB ECで受ける場合など、対象取引に当たるかどうかは、自社の取引形態を基準に照らして個別に確認する必要があります。

本記事はシステム設計の解説であり、個別の取引が取適法の対象に該当するかどうかの判断は行っていません。該当性の確認は、公表資料の記載を出発点に、必要に応じて専門家へ相談することをおすすめします。

取り消せる状態と取り消せない状態を画面と権限で分ける

設計への落とし込みとしては、「取り消せる状態(仮引当)」と「取り消せない状態(確定引当)」を画面と権限で分けます。確定後に内容を変える場合は、一方的な取消ではなく、双方合意の変更履歴として記録に残す形が適切です。

受領後の返品運用は別記事の領域

受領した物品を返品する場面の運用は、返品・返却の設計を扱う別記事に譲ります。本記事が扱うのは、受領より前の段階、すなわち引当・予約の取消可否です。

同時注文でも二重に引き当てない直列化の設計

引当は「有効在庫を読む」「足りるか判断する」「引当を書く」という一連の処理です。この間に別の注文が割り込むと、同じ在庫を2件に引き当てる二重引当が起こります。

引当処理を直列化する必要がある理由

引当を1件ずつ丁寧に行っただけでは、同時に処理が走った場合の二重引当は防げません。防ぐためには、在庫レコード単位で処理を直列化し、引当を書き込む時点で在庫数を再確認する仕組みが必要です。表示の更新頻度を上げることでは解決しません。

在庫が足りないときの部分引当と分納の判断

注文数量を在庫が満たさない場合、部分引当を認めて分納するか、全数を引き当てられるまで注文自体を保留にするかを先に決めておきます。この判断基準を決めていないと、担当者ごとに対応が割れやすくなります。

連携停止時は確定引当を仮引当で止める

基幹システムとの連携が止まった異常時に、ECサイトの受注をどう扱うかは、在庫連携の異常時設計として別記事で詳しく扱っています。本記事の立場は単純です。確定引当を基幹側で取れない状況では、仮引当のまま止めて連携復旧を待つという一点に絞ります。

この直列化・分納・異常時判断を自社の基幹システムに合わせて設計するには、知識が要ります。データベースの排他制御と、基幹APIの仕様理解という、システム間の整合性を扱う知識です。内製で完結させる場合は、開発担当者が基幹側の在庫更新処理とEC側の受注処理の両方を把握しておく必要があり、要件の抜け漏れが起きやすい領域でもあります。

取適法第7条が定める、引当・予約記録の2年間保存

取引先のイメージ
▽ 写真の出典元

引当・予約の記録を残すことは、義務側(委託事業者側)に課された取適法上の義務でもあります。ここは競合記事が触れていない論点です。

取引記録の作成・保存義務(第7条)

取適法第7条は、委託事業者に書類等の作成・保存義務を課しています。公正取引委員会のリーフレットは、この義務を「取引が完了した場合、給付内容、代金の額など、取引に関する記録を書類又は電磁的記録として作成し、2年間保存すること」と説明しています*2。保存期間の2年間は、条文本体ではなく公正取引委員会規則で定められています*4。BtoB ECの注文データ(予約注文を含む)も、この記録の対象に含まれます。

発注内容等を明示する義務(第4条)

発注に当たっては、発注内容(給付の内容、代金の額、支払期日、支払方法)等を書面又は電子メールなどの電磁的方法により明示する義務もあります(第4条)*2。改正により、中小受託事業者の承諾の有無にかかわらず電磁的方法によることが可能になりました*2

注文データは電子帳簿保存法上の電子取引データである

国税庁は「電子取引」を「取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいいます(法2五)」と定義しています*5。「取引情報」とは「取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項」です*5。具体例として「いわゆるEDI取引、インターネット等による取引」を挙げています*5。BtoB ECの注文書データは、この電子取引データに含まれます。

状態遷移そのものをログとして残す

設計への落とし込みとしては、引当の状態遷移そのものをログとして残す形にします。いつ仮引当が発生し、いつ確定し、いつ誰が解除したかを記録に残し、予約への納期回答を出した履歴も併せて保存します。

在庫引当・予約の設計手順11ステップ

ここまでの論点を、着手順に沿って整理します。

図

図2 設計手順11ステップのうち主要5段階(状態定義→期限→確定引当の場所→予約の扱い→法令・保存義務の確認)
  1. 引当の3状態を自社の言葉で定義します。仮引当・確定引当・出荷引当の呼び方を部門間で統一します。
  2. 仮引当を発生させる場面と、その期限を決めます。カート投入・見積提示・承認待ち・与信保留のどこで押さえ、どのくらいの時間で自動解除するかを定めます。
  3. 確定引当をどのシステムで行うかを決めます。在庫の正は基幹側に置くのが基本です。
  4. 確定引当と承諾通知を同じ処理単位にそろえます。民法第五百二十二条・第九十七条*3が定める契約の成立時点と、状態遷移を一致させます。
  5. 在庫が無い注文の扱いを決めます。取り置き・バックオーダー・受け付けないのいずれにするかを、商品分類ごとに決めます。
  6. 入荷予定への引当ルールを決めます。入荷予定数を超えて予約を受けない運用にするか、分納を認めるかを決めます。
  7. 引当の優先順位を決めます。先着順・取引先優先度・契約枠内先着のいずれかを選び、専用在庫・出荷可能枠の要否も併せて決めます。
  8. 同時注文時の直列化と、部分引当の可否を決めます。
  9. 取消可能な範囲を法令に照らして確認します。取適法の対象取引・資本金基準または従業員基準に自社が該当するかを、先に確認します*2
  10. 引当・予約の履歴の保存方法と保存期間を決めます。取適法第7条の2年間保存*2と、電子取引データとしての保存*5の両方を満たす形にします。
  11. 取引先を巻き込んでテストします。導入全体の進め方は別記事で解説しています。

この11ステップを自社で内製する場合、幅広い知識が必要になります。基幹システムのAPI仕様の理解、民法・取適法の該当性確認、データベースの排他制御という、異なる3領域です。

すべてを自社の担当者だけで揃えるのが難しい場合は、要件整理の段階から外部の知見を借りることで、抜け漏れのリスクを抑えられます。要件定義の全体的な進め方は別記事で扱っています。

まとめ:引当の設計とは、約束をいつ確定し、いつ戻せるかを決めること

取適法のイメージ
▽ 写真の出典元

本稿では、BtoB ECの在庫引当と予約を、在庫を減らす操作としてではなく、取引先への約束を段階的に確定させる手続きとして整理しました。要点を3つに集約すると、第一に、引当は仮引当・確定引当・出荷引当という3つの状態に分け、仮引当には期限を付けるということです。第二に、在庫が無い注文は取り置きとバックオーダーで押さえる対象が異なり、入荷予定への引当は実在庫と同じ確度で約束しません。第三に、引当をいつ取り消せるかは自社の運用ではなく、民法の契約成立と取適法の禁止行為が決める点です。受発注システムそのものの選び方は、別記事で扱っています。


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よくある質問

カートに入れた時点で在庫は押さえられますか。

暫定的に押さえられます。カート投入時点で発生するのは仮引当であり、注文が確定するまでの間、他の注文が同じ在庫を使えないよう一時的に確保する状態です。確定引当ではないため、期限を付けて管理する必要があります。

押さえた在庫はいつ戻りますか(引当解除のタイミング)。

仮引当に付けた期限が切れたときに、有効在庫へ自動的に戻す設計が基本です。期限を付けずに運用すると、カートに入れたまま放置された分の在庫が戻らず、実際には出荷できる在庫が「無い」と表示され続ける事態を招きます。

在庫が無い商品の注文を受けてもよいですか。

受けてもかまいません。実在庫が無くても入荷予定があれば、バックオーダーとして入荷予定在庫に引き当てられます。ただし入荷予定への引当は納期の確度が仕入先に依存するため、実在庫の取り置きと同じ確度では約束しない扱いが妥当です。

いったん受けた予約を、あとから取り消すことはできますか。

取消可否は自社の運用ではなく、契約の成立時点と法令が決めます。民法上、承諾の通知が取引先へ到達した時点で契約は成立し*3、取適法の対象取引に当たる場合は受領拒否や不当な給付内容の変更が禁止されています*1。該当性は個別に確認する必要があります。

引当や予約の履歴は、どのくらい保存する必要がありますか。

取適法は、取引が完了した場合の記録を書類又は電磁的記録として作成し、2年間保存することを義務づけています(第7条)*2。BtoB ECの注文データは電子帳簿保存法上の電子取引データにも該当するため*5、両方の観点から保存方法を設計する必要があります。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. *1 出典:公正取引委員会・中小企業庁「中小受託取引適正化法テキスト」(令和7年11月、https://www.jftc.go.jp/toriteki/r7text.pdf
  2. *2 出典:公正取引委員会「取適法リーフレットNo.01」(令和7年8月、https://www.jftc.go.jp/file/toriteki_leaflet.pdf
  3. *3 出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)「民法」(明治二十九年法律第八十九号、https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
  4. *4 出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(昭和三十一年法律第百二十号、https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000120
  5. *5 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(令和7年6月、https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/03-6.pdf

画像の出典元

  1. BtoB EC 在庫管理のイメージ/Photo by Declan Sun on Unsplash
  2. 受注のイメージ/Photo by Lucas on Unsplash
  3. 出荷のイメージ/Photo by Guilherme Mendes on Unsplash
  4. 取引先のイメージ/Photo by Ambre Estève on Unsplash
  5. 取適法のイメージ/Photo by 2H Media on Unsplash

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

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