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EDIの種類|通信手段・標準規約・適用領域で整理

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • EDIの分類は「通信手段」「標準規約」「適用領域」という性質の異なる3つの軸で整理できます。
  • 取引先から「流通BMSで」「ZEDIで」と言われたとき、それがどの軸を指すかを見分けることが混乱を防ぎます。
  • レガシーEDIには通信手段としての明確な期限があり、種類を特定した先に対応の緊急度も見えてきます。
受発注のイメージ
▽ 写真の出典元

EDIの種類とは──3つの分類軸で整理する

EDI(電子データ交換)の種類とは、通信手段・標準規約・適用領域という3つの軸で整理される分類です*1*5*7。軸1は回線と通信手順、軸2はメッセージ仕様、軸3はどの取引に使うかを表します。

図
EDIの分類は通信手段・標準規約・適用領域という3つの軸で整理できる

「EDIの種類」という同じ言葉でも、実際には性質の異なる3つの答えが同時に存在します。取引先から「流通BMSで接続してほしい」と言われた場合、これは軸2(標準規約)の話です。一方で「ZEDIに対応してほしい」という要求は軸3(適用領域)の話にあたります。

3つの軸はいずれも「EDIの種類」と呼ばれますが、性質が異なるため相互に置き換えられません。通信手段(軸1)だけを確認して回線の種類を特定しても、取引先の要求が軸2や軸3を指している場合は、必要な対応が見えないままになります。

3つの軸のうち、読み違えが起きやすい順(重要度順・3点)

  1. 標準規約(軸2)がもっとも混同されやすい観点です。「流通BMSで」という要求は通信手段ではなく標準規約を指すため、軸1だけを調べても正体を特定できません*3
  2. 適用領域(軸3)も見落とされやすい観点です。「ZEDIで」は金融取引(売掛金の消込等)に限られた仕組みを指すため*7、受発注の文脈でそのまま探すと該当する説明に行き着きません。
  3. 通信手段(軸1)は比較的判別しやすい観点ですが、ISDN(総合デジタル通信網)を利用しているかどうかで対応の緊急度が変わります*1

法令上のEDIの位置づけ:電子帳簿保存法の「電子取引」に該当する

EDIによる取引情報の授受は、通信手段や標準規約の種類にかかわらず一つの法律上の扱いに集約されます。電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(同法第2条第5号)が定める「電子取引」に該当します*9。同号は電子取引を「取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいう。)の授受を電磁的方式により行う取引をいう」と定義しています*9

つまり、どの種類のEDIを選んでも、やり取りしたデータの保存義務は共通して発生します。分類を確認する前提として、この点をまず押さえておく必要があります。

【軸1】通信手段による種類──レガシーEDI・インターネットEDI・Web-EDI

レガシーEDI(電話回線・ISDN)と、2028年12月31日という期限

レガシーEDIは、電話回線やISDN(総合デジタル通信網)を用いた通信手順で取引先とデータをやり取りする方式です。このうちISDNのディジタル通信モードは2024年1月から段階的に終了しています*2。INSネット(INSネット64・64ライト・1500)のサービス提供自体は2028年12月31日に終了する予定です*1。新規申込の受付は2024年8月31日に終了しています*1。切り替え後の補完策として提供される代替のデータ通信サービスも、同じく2028年12月31日に終了する予定です*2

現行の通信手段を確認しないまま放置していると、2028年12月31日以降にレガシーEDIでの接続自体が使えなくなり、取引先との受発注が滞るおそれがあります。ISDN終了の背景や移行の詳しい進め方は、別記事で扱っています。

2028年12月31日という期限を自社の回線・接続方式に当てはめて確かめるには、無料相談で要件を整理するのが近道です。

インターネットEDI(専用の通信手順でインターネット回線を使う)

インターネットEDIは、インターネット回線を使いながらも専用の通信手順でセキュリティを確保する方式です。流通BMS(消費財流通業界向けの標準仕様)は、メッセージ仕様に加えて通信プロトコル・セキュリティに関する規定を含む標準仕様として整備されています*3。取引先と接続する際は、相手が採用している通信方式に合わせる必要があります*3

Web-EDI(ブラウザで取引先の画面を操作する)

Web-EDIは、専用ソフトを使わず、ブラウザで取引先が用意した画面を操作して注文や受領する方式です。取引先ごとに画面が用意されるため、取引先の数が増えるほど操作する画面も増えるという特徴があります。取引先ごとの画面が増えたときの負荷は、後述の5ステップのうち接続方式の決定で棚卸しの対象になります。

種類 回線・通信手順 自動連携の可否 期限の有無
レガシーEDI 電話回線・ISDNを用いた通信手順 可能(システム間で自動連携) あり。2028年12月31日にサービス提供終了予定*1
インターネットEDI インターネット回線+専用の通信手順 可能(システム間で自動連携) なし。回線自体に終了期限はない
Web-EDI ブラウザで取引先の画面を操作 手動操作が中心 なし

【軸2】標準規約による種類──個別EDIと標準EDI

発注のイメージ
▽ 写真の出典元

標準規約による種類とは、取引先ごとに仕様が異なる「個別EDI」と、業界・行政が定めた仕様に沿う「標準EDI」の区別です。個別EDIは取引先の数だけ仕様が増えるため、受注側の業務システムに個別対応の負荷がかかりやすくなります。

業界標準EDI:流通BMS(消費財流通業界)

流通BMSは、消費財流通業界向けの標準を目指すEDI標準仕様です。メッセージ(電子取引文書)と通信プロトコル・セキュリティの両方を規定しています*5。基本形の最新版はVer2.2.2で、2025年7月15日に公開されています*3。業態別に見ると、スーパー・グロサリー向けの基本形は2007年4月に公開されました*5。アパレル向けは2008年3月、百貨店向けの基本形は2010年10月にそれぞれ公開されています*5

卸・メーカーにおける流通BMSの導入企業数は、2025年6月1日時点の推計調査で21,600社以上とされています*4。前回(2024年12月1日時点)の調査では20,800社以上と推測されており、この半年間で700社以上増加した計算です*4。この数値は卸・メーカーを母集団とした推計値であり、EDI導入企業全体の数ではない点に注意が必要です*4。流通BMSへの具体的な移行手順は、別記事で扱っています。

中小企業共通EDI

中小企業共通EDIは、中小企業庁が策定した標準仕様です。平成28年度補正予算による「経営力向上・IT基盤整備支援事業(次世代企業間データ連携調査事業)」で策定に着手しました*6。標準仕様書は、EDIプロバイダーに対応を求める注文メッセージとして全135項目を定めています*6。あわせて、業務アプリケーション側に最低限必要な項目として13項目(注文書番号、注文書発行日など)を定めています*6

種類 策定主体 対象 自社で選べるか
個別EDI 取引先ごとの独自仕様 特定の取引先との取引 選べない。取引先の指定に従う
流通BMS GS1 Japan・流通BMS協議会*3*5 消費財流通業界の取引 業界標準のため対応しやすい
中小企業共通EDI 中小企業庁*6 中小企業間の受発注 対応状況により選択できる

【軸3】適用領域による種類──受発注・金融・デジタルインボイス

適用領域による種類とは、EDIが実際にどの取引に使われるかによる区別です。受発注(商流)・金融(入金情報)・請求(デジタルインボイス)では、対応する仕組みがそれぞれ異なります。

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受発注・請求・入金消込という3つの取引段階に、それぞれ異なる種類のEDIが対応する

受発注EDI(商流:注文・出荷・受領)

受発注EDIは、注文・出荷・受領といった商流の情報をやり取りする用途です。前述の流通BMSや中小企業共通EDIは、主にこの受発注の場面で使われる標準規約にあたります*5*6

金融EDI=全銀EDIシステム(ZEDI)

金融EDIは、振込等にあわせて詳細な取引情報を送受信する仕組みで、代表例が全銀EDIシステム(ZEDI)です。ZEDIは2018年12月25日に稼働を開始しました*7。従来の固定長電文に代わり、XML電文を採用している点が特徴です。XML電文は「送金電文の長さを柔軟に設計、変更することができ多くの情報を搭載することができる電文方式」と定義されています*7

流通システム開発センターが実施した実証実験では、ある大手小売業のケースが対象となりました。売掛金と入金額の消込業務にかかる時間を、それまでの約6割にあたる年間9,000時間短縮できることが確認されています*7。この数値は特定の実証実験の結果であり、導入企業一般に同じ効果が生じることを示すものではありません。

デジタルインボイス=JP PINT

デジタルインボイスの領域では、JP PINT(日本におけるデジタルインボイスの標準仕様)が使われます*8。JP PINTは、国際標準仕様であるPeppol(国際的な電子文書交換の標準規格)をベースとしています*8。デジタル庁がJapan Peppol Authorityとして管理等を担っています*8。最新の仕様は、Peppol BIS Standard Invoice JP PINT Ver.1.1.3ほかで、2026年6月8日に更新されています*8

種類 対象取引 代表的な規格・システム 所管・関連団体
受発注EDI 注文・出荷・受領などの商流 流通BMS・中小企業共通EDI等*5*6 業界団体・中小企業庁
金融EDI 売掛金の消込等、入金にまつわる情報 全銀EDIシステム(ZEDI)*7 全国銀行協会・金融機関
デジタルインボイス 請求書のやり取り JP PINT*8 デジタル庁

自社に該当するEDIの種類を特定する5ステップ

よくある質問のイメージ
▽ 写真の出典元

ここまでの3つの軸をふまえ、自社がどの種類に該当するかを特定する手順を整理します。

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通信手段の確認から保存要件の確認までを5ステップで進める
  1. 現行の通信手段を確認します。ISDN・専用線・インターネット・ブラウザのいずれを使っているかで、軸1(通信手段)の該当種類が決まります。
  2. 取引先から要求されている規約名を確認します。「流通BMS」「共通EDI」「御社指定フォーマット」のいずれかによって、軸2(標準規約)の該当種類が決まります。
  3. 期限を棚卸しします。ISDNを利用している場合は、2028年12月31日が確定した期限になります*1
  4. 接続方式を決めます。取引先と同一の通信プロトコルを選ぶ必要があります*3
  5. 保存要件を確認します。やり取りしたデータは電子帳簿保存法上の電子取引に該当するため、保存方法をあわせて確認します*9

自社で3軸を洗い出し、移行先の選定から接続テストまでを完結させるには、通信基盤・EDIパッケージ・受発注システムに関する知識が必要です。加えて、電子帳簿保存法など関連法令の理解も欠かせません。社内だけで進める場合、この知識を確保したうえで検証作業まで担う体制が必要になります。外部の専門家に相談すると、自社の受注業務に合わせた設計を専門知見にもとづいて整理できます。

まとめ:EDIの種類を整理する3つの視点

本稿ではEDIの分類を通信手段・標準規約・適用領域という3つの軸で整理しました。要点を3つに集約します。第一に、通信手段の軸ではレガシーEDIに2028年12月31日という明確な期限があります*1。第二に、標準規約の軸では流通BMSや中小企業共通EDIのように業界・行政が定めた仕様が存在し、取引先の指定に応じて対応が変わります*5*6。第三に、適用領域の軸では受発注・金融・請求という異なる取引にZEDIやJP PINTという個別の仕組みが対応します*7*8。どの種類を選んでも、電子帳簿保存法上の電子取引に該当する点は共通しています*9


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よくある質問

EDIとWeb-EDIは別のものですか

Web-EDIはEDIの一種です。ブラウザで取引先の画面を操作して注文や受領のやり取りをする方式で、通信手段による分類ではレガシーEDI・インターネットEDIと並ぶ選択肢にあたります。専用の通信ソフトを使わない分、取引先の数が増えるほど操作する画面も増える点が特徴です。

流通BMSはEDIの種類のひとつですか

流通BMSはEDIの一種で、標準規約による分類に位置づけられます。消費財流通業界向けの標準仕様として整備されており*5、基本形の最新版はVer2.2.2です(2025年7月15日公開)*3

ISDNを使ったEDIはいつまで使えますか

ISDNのディジタル通信モードは2024年1月から段階的に終了しており*2、INSネット自体のサービス提供は2028年12月31日に終了する予定です*1。切り替え後の補完策として提供されるデータ通信サービスも、同じく2028年12月31日に終了する予定です*2

中小企業共通EDIと流通BMSはどちらを選ぶべきですか

どちらを選ぶべきかは、取引先の指定によって変わります。流通BMSは消費財流通業界向けの標準仕様であり*5、中小企業共通EDIは中小企業庁が策定した仕様です*6。自社の判断だけで選べるケースは多くないため、まず取引先が指定する規約名を確認することが出発点になります。

EDIで受け取ったデータも電子帳簿保存法の対象ですか

対象になります。EDIによる取引情報の授受は、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律が定める「電子取引」に該当します*9。通信手段や標準規約の種類にかかわらず、保存義務の対象です。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. *1 出典:東日本電信電話株式会社・西日本電信電話株式会社「INSネットの新規申込受付・提供終了について」(プレスリリース)(2024年3月7日公表)
  2. *2 出典:東日本電信電話株式会社「ISDN(INSネット)とは?2028年12月終了の影響と企業が取るべき対応
  3. *3 出典:GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)/流通システム標準普及推進協議会(流通BMS協議会)「流通BMS」(基本形Ver2.2.2、2025年7月15日公開)
  4. *4 出典:GS1 Japan/流通BMS協議会「第28回 卸・メーカーの流通BMS導入企業数推計調査結果まとまる」(2025年7月1日公表、2025年6月1日時点)
  5. *5 出典:GS1 Japan「標準化活動>EDI>流通BMS
  6. *6 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(掲載2020年2月21日)
  7. *7 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「金融EDIの導入で、経理業務を効率化する!」(掲載2020年2月21日)
  8. *8 出典:デジタル庁「電子インボイス(JP PINT / Japan Peppol Authority)」(Ver.1.1.3、2026年6月8日更新)
  9. *9 出典:e-Gov法令検索「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」第2条第5号

画像の出典元

  1. 受発注のイメージ/Photo by Jakub Żerdzicki on Unsplash
  2. 発注のイメージ/Photo by Martin Sanchez on Unsplash
  3. よくある質問のイメージ/Photo by Mel Poole on Unsplash

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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