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法人向けECの価格を4タイプで比較|見積の読み方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 法人向けECの価格は、初期費用と月額費用の合計で決まりますが、金額の幅は「何に課金されるか」という課金軸の違いから生まれます。
  • 主要な法人向けECサービスの公式料金をもとに、課金軸を4タイプに整理して比較します。
  • 複数社から届いた見積を同じ土俵で比べるための、具体的な手順も紹介します。
比較のイメージ
▽ 写真の出典元

法人向けECの価格は「何に課金されるか」で決まる

法人向けECの価格とは、システムの初期費用と月額利用料の合計であり、金額は「何に対して課金されるか」という課金軸で決まります。実額は月額9,800円*1から月額650万円*2まで開いています。幅の正体は構築方式ではなく、課金軸の違いです。

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課金軸は主に4タイプに分かれ、自社の状況で当たりがつく

実額の幅:月額9,800円から月額650万円まで

SKU(在庫を管理する商品の最小単位)や会員数の上限で課金する型があります。アクセス数に応じて費用が変わる型、売上高に連動する型、個別要件の積み上げで見積もる型もあり、合わせて4タイプに整理できます。同じ「初期300万円」でも、課金軸が違えば3年後の総額は逆転します。

経済産業省の市場調査によると、2024年の国内BtoB-EC市場規模は514.4兆円で、前年の465.2兆円から10.6%増えました*5。EC化率も43.1%と、前年比3.1ポイント上昇しています*5。法人間の取引をECへ移行する動きが背景にあり、価格の比較軸を持つことがその検討の入口になります。

幅の正体は課金軸の違い

各社とも構築方式(ASP・パッケージ等)でレンジを示す説明が目立ちますが、方式が同じでも課金の単位は異なります。たとえばBカートとEBISUMARTはいずれもクラウド型でありながら、前者は商品数と会員数、後者はアクセス数を課金の単位に置いています*1*2。本稿では方式ではなく課金軸を切り口に、公式料金だけで比較の土俵を作ります。

自社が見るべきタイプの当たりをつける

自社の状況に当てはめると、検討すべきタイプの候補が絞れます。次の3点を優先して確認してください。

課金軸を選ぶときに優先して確認する3点(順位根拠:見積比較への影響度)

  1. 商品数・会員数の上限有無 — 超過時にプラン移行が起こり、費用が階段状に上がるかを確認します*1
  2. アクセス数の変動幅 — 繁忙期にアクセス費用が変わる型か、固定される型かを確認します*2
  3. 事業成長時の月額の伸び方 — 売上連動型か、保守料主体の固定型かを確認します*2

課金タイプ 課金軸 初期費用の目安 伸びたときの挙動
①定額×上限型 商品数・会員数 80,000円*1 上限超過でプラン移行し階段状に上昇*1
②アクセス従量・固定型 サイトへのアクセス数 300万円〜*2 従量型は変動、固定型は据え置き*2
③レベニューシェア型 売上高 1,000万円〜*2 売上に比例して月額が増加*2
④個別見積型 個別要件(連携・カスタマイズ範囲) 400万円〜*3 要件追加のたびに個別見積*3

構築方式別の相場やTCO(総保有コスト)を先に把握したい場合は、BtoB ECの費用相場(構築方式別レンジ・3年TCO・補助金)もあわせてご覧ください。

課金タイプ①:商品数と会員数で決まる定額型(Bカート)

Bカートは、商品数と会員数の上限だけで月額が決まる定額型です*1。実額を見ながら、この課金軸の特徴を確認します。

Bカートの料金構造:初期80,000円・月額9,800〜79,800円

初期費用は80,000円(税別、初回のみ、エンタープライズを除く)です*1。月額はライトプラン9,800円から順に上位プランへ上がっていきます*1

内訳は、ライト9,800円(商品500点・会員50名)、プラン10で19,800円(各1,000)と続きます*1。プラン30は29,800円(各3,000)、プラン50は39,800円(各5,000)、プラン100は49,800円(各10,000)です*1。プラン300は79,800円(各30,000)で、エンタープライズプランのみ個別見積になります*1

SKUは全プラン共通で無制限 — バリエーション数では月額が上がらない

特徴的なのは、SKU(同じ商品でも色・サイズ違いなどを区別する管理単位)が全プラン共通で無制限という点です*1。展開バリエーションが多い商品を扱っていても、SKU数を理由に月額が上がることはありません。

注意点:上限超過はプラン移行で階段状に上がる

商品数か会員数のどちらか一方でも上限に達すると、上位プランへの移行が必要になります*1。この移行はなだらかではなく、プラン単位で階段状に費用が上がる点に注意してください。

月額にはサーバ・サブドメイン・SSL利用料が含まれます*1。独自ドメインを常時SSLで使う場合は、月額3,000円のオプションが加算されます*1

課金タイプ②:初期構築費用とアクセス従量・固定型(EBISUMART)

見積のイメージ
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EBISUMARTは、初期構築費用に加えてアクセス数の扱いが異なる2種類のプランを持ちます*2

従量課金プラン:アクセス費用が変動する

従量課金プランは、初期構築費用300万円〜に対し、月額は基本保守料金・カスタマイズ機能保守費用・オプション利用料金で構成されます*2。ここに変動するアクセス費用が加わり、アクセス数の増減に応じて月額が上下します*2

固定料金プラン:アクセス費用が固定される

固定料金プランは、初期構築費用が同じく300万円〜である一方、アクセス費用の部分が固定されます*2。なお公式のよくあるご質問では、プランを問わないサービス全体の最低金額として「初期導入費用300万円、月額費用25万円程度から」と示されています*2

判断軸:受注が特定日に集中する業態は固定型を検討する

従量課金プランは、閑散期にアクセス費用を抑えられる利点があります。ただし繁忙期には費用が増加するため、受注が月初や締め日に集中する業態では、固定料金プランのほうが予算を立てやすいと考えられます。

課金タイプ③:売上に連動するレベニューシェア型

初期1,000万円〜・月額は売上金額の2.5%〜

レベニューシェアプランは、初期構築費用1,000万円〜に対し、月額を売上金額の2.5%〜で算出する成果連動型です*2

公式の「料金例」はプラン別に示されていない

公式サイトには「料金例」として3ケースが掲載されています*2。売上規模1,000万円/月・標準機能なら導入費用500万円・月額30万円です*2。売上規模5,000万円/月・有料オプションなら導入費用3,000万円・月額80万円*2。売上規模5億円/月・独自カスタマイズなら導入費用2億円・月額650万円です*2

ただしこの料金例は「売上規模」と「実装機能」の組み合わせで提示されています*2。従量課金・固定料金・レベニューシェアのどのプランに対応するかは、公式には明示されていません*2。レベニューシェアプランの月額として読み替えることはできないため、比較の際は料金例とプラン体系を分けて扱ってください。

料金例の1件目(売上規模1,000万円/月)をそのまま3年へ延長すると、導入費用500万円に月額30万円の36か月分を加えて3年総額は1,580万円になります*2。公式の料金例を単純延長した試算であり、対応プラン・売上推移・契約条件によって変わる前提です。

交差点の考え方:立ち上げ期と成長後で有利不利が入れ替わる

レベニューシェア型が有利か不利かは、売上規模によって入れ替わります。初期費用を抑えたい立ち上げ期には向きますが、売上が伸びた後は月額が比例して増える点を踏まえて判断する必要があります。

課金タイプ④:個別要件で決まる個別見積型(アラジンEC)

カートのイメージ
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アラジンECは個別見積制 — 公式が示す規模別の費用イメージ

アラジンECは、「1社ごとに個別見積する」と公式に明記された個別見積制です*3。公式サイトが示す費用イメージは、小規模カスタマイズで初期400〜800万円・月額7〜10万円です*3。中規模は初期800〜1,500万円・月額10〜15万円、大規模は初期1,500万円〜・月額15万円〜となっています*3

「費用イメージ」は確定価格ではない — カスタマイズ分は別途計算

この金額には、要件定義・設計・環境構築・導入支援までの基本費用が含まれ、カスタマイズ分は別途計算されます*3。つまり「費用イメージ」は確定価格ではなく、要件が固まって初めて金額が決まる性質のものです。

見積時に確認する項目:税別・税込の別

見積を受け取る際に確認しておきたい点があります。アラジンECの料金ページには税別・税込の区分についての記載がありません*3。金額を比較する前に、見積書上でどちらの表記かを個別に確認してください。

各社の見積を突き合わせるうえで実務上つまずきやすいのは、自社の商品数・会員数・アクセス数・売上高を、各社が使う課金軸に当てはめる作業です。無料相談で要件を整理すると、この当てはめ作業を第三者の視点で確認できます。

課金軸の明示から税区分の統一まで — 見積比較の5手順

複数社の見積は、課金の単位が異なるため単純比較ができません。同じ土俵で比較するための手順を、5つのステップに分けて整理します。

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見積を横並びにするための5手順

手順1〜3:課金軸の明示から3年総額の換算まで

手順1は、各社の見積で「何に対して課金されているか」を明示してもらうことです。手順2では、その課金軸に自社の3年後の商品数・会員数・アクセス数・売上高の見込みを当てはめます。

手順3は、初期費用に月額費用の36か月分を加えた3年総額への換算です。初期費用が安くても月額が売上連動で伸びる場合、3年後には総額が逆転することがあります。

手順4〜5:内訳の分解と税区分の統一

手順4は、月額の内訳を基本保守・機能保守・オプション・アクセス費用・ドメインやSSL利用料に分解する作業です*1。手順5では、税別・税込の表記をそろえたうえで最終的な金額を比較します。

見落としやすいのはデータ移行・基幹連携・並行運用の費用

見積書でとりわけ見落としやすいのが、データ移行、基幹システム連携、初年度の並行運用にかかる費用です。これらは各社の見積によって扱いが異なるため、含まれているかどうかを個別に確認してください。

2026年度の補助金でクラウド利用料の負担を下げる

費用のイメージ
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通常枠の補助額・補助率

2026年度の中小企業デジタル化・AI導入支援事業(独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施)には、通常枠があります*4。実施するプロセス数に応じて補助額が変わり、1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下が対象です*4

補助率は1/2以内が基本です。低賃金雇用従業員が30%以上を占める場合は、2/3以内まで引き上げられます*4

クラウド利用料が2年分対象 — 月額型と相性がよい

対象経費にはソフトウェア購入費に加え、クラウド利用料は2年分を上限として必須経費に含まれます*4。月額型の料金体系(Bカートの定額型やEBISUMARTの各プラン)は、この対象経費に含めやすい性質を持ちます。

スケジュール:次回締切は5次 2026年9月29日

交付申請期間は2026年3月30日から始まっており、直近の5次締切は2026年9月29日17時です*4。締切回次は制度の更新に伴い変わるため、申請前に最新情報を公式ページで確認してください。

取引先ごとに単価を出し分ける「価格」という論点

「法人向けEC 価格」という言葉は、システムの利用料金ではなく、取引先ごとに異なる商品単価を指す場合もあります。ログイン後に取引先グループや個社単位で異なる掛率(基準価格に対する割引・卸率の比率)を表示する機能です。

この機能を検討する際の論点は、3点に整理できます。グループ単位か個社単位かという掛率の設定粒度、ログイン前後で価格表示を切り替えるかどうか、そして価格を非公開にする範囲です。

本稿の主題である課金体系の比較とは別の論点になるため、詳しくは取引先別価格のEC実現方法で解説しています。

まとめ:法人向けEC価格を判断する3つの軸

本稿では、法人向けECの価格差が生まれる理由を整理しました。要点は3つに集約できます。第一に、価格の幅は構築方式ではなく課金軸(商品数・会員数/アクセス数/売上高/個別要件)の違いから生まれます*1*2*3。第二に、見積は自社の3年後の数値に置き換えて、3年総額で比較する必要があります。第三に、月額の内訳と税区分をそろえて初めて、複数社の提示価格を同じ土俵で比べられます。


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よくある質問

法人向けECの価格は最低いくらから始められますか?

最低ラインは初期費用80,000円、月額9,800円(税別)です。Bカートのライトプラン(商品500点・会員50名まで)がこの金額にあたります*1。上限を超えると上位プランへの移行が必要になり、その時点で月額が上がる仕組みです。

初期費用300万円と初期費用8万円は何が違いますか?

課金軸とカスタマイズ範囲の違いです。初期8万円のBカートは商品数・会員数の上限で課金する定額型で、初期300万円のEBISUMARTは基幹連携などの個別カスタマイズを含む構築費用です*1*2。同じ「初期費用」でも、含まれる作業範囲が異なります。

レベニューシェア型は損になりますか?

売上規模によって有利・不利が入れ替わるため、一概には言えません。レベニューシェアプランは初期構築費用1,000万円〜で、月額は毎月の売上金額の2.5%〜として算出されます*2。売上が伸びるほど月額も比例して増える設計のため、立ち上げ期に初期費用を抑えたい場合と、売上が安定した後では判断が変わります。

月額に保守費は含まれますか?

サービスにより異なります。EBISUMARTは月額に基本保守料金を含み、そこにカスタマイズ機能保守やオプション利用料、アクセス費用が加わります*2。見積を比較する際は、月額の内訳に何が含まれるかを個別に確認してください。

補助金はクラウドの月額利用料にも使えますか?

使えます。2026年度の中小企業デジタル化・AI導入支援事業(通常枠)では、クラウド利用料は2年分を上限として対象経費に含まれます*4。直近の5次締切は2026年9月29日17時です*4

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. *1 出典:株式会社Dai「Bカート 料金プラン」(公式サイト
  2. *2 出典:株式会社インターファクトリー「EBISUMART 料金プラン」(公式サイト
  3. *3 出典:株式会社アイル「アラジンEC 料金」(公式サイト
  4. *4 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業デジタル化・AI導入支援事業 通常枠」2026年度(公式サイト
  5. *5 出典:経済産業省商務情報政策局情報経済課「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」(2025年8月26日公表、公式サイト

画像の出典元

  1. 比較のイメージ/Photo by Mathias Reding on Unsplash
  2. 見積のイメージ/Photo by Cht Gsml on Unsplash
  3. カートのイメージ/Photo by حامد طه on Unsplash
  4. 費用のイメージ/Photo by Jakub Żerdzicki on Unsplash

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

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