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発注システムの費用はいくら?内訳と補助金活用法

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 発注システムの費用は初期費用・月額利用料・導入関連費の3層で構成され、比較の単位は月額ではなく数年分の総額で捉える必要があります。
  • 見積書に出てこない導入設定・データ移行・電子帳簿保存法対応などの費用を、契約前に洗い出しておくことが欠かせません。
  • 2026年度の中小企業デジタル化・AI導入補助金の枠を確認すれば、条件を満たす場合に実質負担を抑えられる可能性があります。
発注のイメージ
▽ 写真の出典元

初期費用・月額利用料・導入関連費 ― 発注システムの費用を決める3層

発注システムの費用は、初期費用・月額利用料・導入関連費の3層で構成され、比較の単位は月額ではなく数年分の総額です。2026年度の中小企業デジタル化・AI導入補助金では、通常枠の補助率が1/2以内・2/3以内と定められています*2

発注システムの費用とは、発注業務をシステム化する際に生じる「初期費用」「月額利用料」「導入関連費」の3層からなる総額を指します。比較の単位を月額単価に固定すると、数年分の総額を見誤ります。

図
発注システムの費用は初期・月額・導入関連費の3層で構成される

初期費用・月額利用料・導入関連費 ― 見積書で確認すべき3項目

初期費用は、アカウント発行やマスタの初期設定にかかる一括費用です。月額利用料は、取引先数・商品点数・利用人数などの利用規模に応じて変動する継続費用にあたります。

導入関連費は、データ移行・既存システムとの連携・保守サポートといった役務にかかる費用です。見積書ではこの3層がどこまで含まれているかを、契約前に確認しておく必要があります。

「月額いくら」で比べると判断を誤る理由 ― 3年分の総額で見る

月額利用料だけを横並びにすると、初期費用や導入関連費の差が見えなくなります。初期費用が低いプランは月額が高めに設定されている場合があり、逆のケースもあるためです。

そのため、初期費用・月額利用料×利用期間・導入関連費を合算した数年分の総額で比較することが、稟議の根拠として適切です。総額を試算する手順は本記事の後半で示します。

公表されている料金体系の実例 ― 初期費用0円型と固定型の2パターン

発注システムの料金体系は、大きく2つの型に分かれます。初期費用を0円とし、月額利用料に費用を寄せる型と、初期費用を数万円規模の固定額とし、月額をプラン制で段階的に設定する型です。

どちらの型でも、月額の課金軸(商品数・会員数・利用人数のいずれか)を確認しないと、自社の取引規模での実額が分かりません。相見積もりでは課金軸をそろえて比較する必要があります。

クラウド型・連携型・個別開発 ― 導入形態で変わる発注システムの費用構造

費用のイメージ
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クラウド型は初期費用を抑えられる ― 商品数・会員数・利用人数で月額が動く

クラウド型は、標準機能をそのまま利用するため初期費用を抑えやすい形態です。一方で月額利用料は、商品数・会員数・利用人数の増加に応じて上位プランへ移行するケースが一般的です。

既存基幹システムと連携すると増える費目 ― データ連携ツール・導入設定・保守サポート

既存の基幹システムや在庫管理システムと連携する場合、データ連携ツールの費用と導入設定の役務費が追加で発生します。連携先が多いほど、設定にかかる工数も比例して増えます。

保守サポートの範囲は事業者ごとに異なり、障害対応のみか、仕様変更への追随まで含むかで費用が変わります。契約前にサポート範囲を書面で確認しておくことが望まれます。

個別開発を選ぶのは標準機能で要件を満たせないときに限る

個別開発は、業種固有の商習慣や既存の取引ルールを反映できる一方、開発工数に応じて費用が積み上がります。標準機能で要件が満たせるかどうかを先に検証してから判断すべき選択肢です。

導入形態 初期費用の傾向 月額の変動要因 向くケース
クラウド型 0円〜数万円と低めの設定が多い 商品数・会員数・利用人数 標準機能で要件を満たせる場合
基幹連携型 連携設定の役務費が加わる。
クラウド型より高くなりやすい
利用規模に加え連携先の数 既存の在庫・会計システムと接続したい場合
個別開発型 開発工数に応じて積み上がる 保守契約の範囲に依存 標準機能・連携では要件を満たせない場合
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導入設定・保存義務対応 ― 見積書に出てこない発注システムの隠れコスト

導入のイメージ
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見積書の項目だけを見て予算を組むと、契約後に追加費用が発生する場合があります。ここでは、事前に洗い出しておくべき3つの費目を整理します。

隠れコスト1:導入設定・データ移行・商品マスタの整備

既存の取引先情報や商品マスタをシステムに移行する作業は、件数が多いほど工数がかかります。移行作業を自社で担うか、事業者へ委託するかで役務費の有無が変わります。

委託先の選定を誤ると、移行データの不整合が業務開始後に判明し、修正の手戻りが発生します。移行対象データの範囲と担当分担を、契約前に取り決めておくことが欠かせません。

隠れコスト2:保守サポート・アカウント追加・取引先側の手間

保守サポートは、月額利用料に含まれる場合と、別契約になる場合があります。取引先へのアカウント追加が有償かどうかも、取引先数が多い企業では総額に影響する要素です。

発注システムへの切り替えは、受注側の取引先にも操作習得の負担が生じます。取引先向けの説明資料やサポート窓口の準備も、実質的なコストとして見込んでおく必要があります。

隠れコスト3:電子帳簿保存法7条が求める電子取引データの保存対応

電子帳簿保存法(国税関係帳簿書類の保存方法等を定めた法律)における「電子取引」とは、電磁的方式による取引を指します(同法2条5号)*5。具体的には、注文書・見積書などに通常記載される事項の授受が該当します*5。EDIやインターネット取引に加え、添付ファイル付きの電子メールによる授受も含まれます*5

所得税・法人税の保存義務者が電子取引した場合、一定の要件のもとでその電磁的記録を保存しなければなりません(同法7条)*5。発注のデジタル化は、この保存要件への対応とセットで費用を見積もる必要があります。

デジタル化・AI導入補助金2026 ― 発注システムの費用で実質負担を下げる方法

連携のイメージ
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制度の全体像 ― 中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金の所管と5つの申請枠

2026年度の補助金は、正式名称を「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金」といいます。通称は「デジタル化・AI導入補助金2026」(旧IT導入補助金)です*1。事務局業務は、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構。中小企業の支援を担う独立行政法人)より採択されたTOPPAN株式会社が、同機構および中小企業庁の監督のもとで運営しています*1

申請枠は、通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型)・インボイス枠(電子取引類型)・セキュリティ対策推進枠・複数者連携デジタル化・AI導入枠の5つです*1。以下は2026年度事業の公表内容であり、年度・公募回によって条件が変わるため、申請時には最新の公募要領で確認することが前提になります。

通常枠 ― 補助率1/2〜2/3以内、クラウド利用料は上限2年分が対象

通常枠の補助率は1/2以内・2/3以内で、補助額は業務プロセスの保有数に応じて変わります*2。業務プロセスを1種類以上保有するソフトウェアで5万円以上150万円未満、4プロセス以上保有するソフトウェアで150万円以上450万円以下です*2

対象経費には、ソフトウェア購入費のほか、クラウド利用料(上限2年分)が含まれます*2。機能拡張・データ連携ツール・セキュリティ関連費、導入コンサルティング・導入設定・保守サポートといった役務も対象です*2。汎用的な業務プロセスのみのソフトウェアは対象外である点に注意が必要です*2

インボイス枠(電子取引類型)― 発注側が無償アカウントを配る型が対象、補助率2/3以内・上限350万円

インボイス枠(電子取引類型)は、発注側の企業が受注側の中小企業へITツールを提供する場面を想定した枠です*3。補助率は中小企業・小規模事業者等で2/3以内、その他の事業者で1/2以内、補助額の上限は350万円以下です*3

対象となるのは、インボイス制度に対応した受発注機能を持つクラウド型ソフトウェアです*3。発注側の事業者が受注側の事業者にアカウントを無償で発行し、利用させられる機能を備えている必要があります*3。事業実施期間は、交付決定から2027年4月30日17時まで(予定)とされています(2026年度事業・5次締切分)*3。この枠は、発注システムの導入費用に直接関わる制度といえます。

インボイス枠(インボイス対応類型)とハードウェアの扱い ― 単独申請は不可

インボイス枠(インボイス対応類型)のソフトウェアは、補助額50万円以下の場合が補助率3/4以内(小規模事業者は4/5以内)です*4。50万円超350万円以下の部分は2/3以内です*4。会計・受発注・決済のいずれか1機能以上を持つソフトウェアであることが要件になります*4

ハードウェア(PC・タブレット・レジ等)は、PC等が補助率1/2以内・上限10万円、レジ・券売機等が補助率1/2以内・上限20万円です*4。ただし、ハードウェアのみの申請は認められておらず、対象ソフトウェアの導入とあわせて申請する必要があります*4。採択・交付を保証するものではなく、審査を経て決定される点にも留意してください。

自社の費用を見積もる5つの手順

ここまでの内容を踏まえ、自社の発注システムの費用を概算する手順を示します。相見積もりの前に、以下の順で情報を整理すると判断がしやすくなります。

図
自社の発注システムの費用は5つの手順で概算できる

発注システムの費用を見積もる手順5点/順位根拠:実施順序

  1. 取引を棚卸しします。取引先数・月間発注件数・品目数を数え、規模を把握します。
  2. 必要機能を確定します。受発注・在庫連携・請求のどこまでをシステムに含めるかを決めます。
  3. 導入形態を選定します。クラウド型・基幹連携型・個別開発型のいずれが要件に合うかを検討します。
  4. 3年分の総額を試算します。初期費用・月額利用料×利用期間・導入関連費を合算します。
  5. 該当する補助枠を当てはめ、実質負担を再計算します。採択を前提とせず、条件を満たすかを確認します。

相見積もりで横並びに比較する5つのチェック項目

複数社から見積もりを取る際は、次の5点を横並びで確認すると条件のそろった比較ができます。初期費用の内訳、月額の課金軸(商品数・会員数・利用人数のいずれか)、クラウド利用料の対象期間、保守サポートの範囲、解約条件です。

この作業を内製で行うには、自社の取引実態の把握に加え、補助金の対象経費区分や電子帳簿保存法の保存要件についての知識が必要です。判断に迷う場合は、専門パートナーへ要件整理を相談する選択肢もあります。

まとめ ― 発注システムの費用を判断する3つの軸

本稿では、発注システムの費用を初期費用・月額利用料・導入関連費の3層に分解し、判断の軸を整理しました。要点を3つに集約すると次のとおりです。第一に、比較の単位は月額ではなく数年分の総額で見ます。第二に、導入設定・データ移行・電子帳簿保存法対応といった隠れコストを契約前に洗い出します。第三に、2026年度の補助金制度で自社が対象になる枠を確認し、採択を前提とせずに実質負担を試算します。


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よくある質問

発注システムの初期費用は常にかかりますか。

常にかかるとは限りません。初期費用を0円とし、月額利用料に費用を寄せる料金体系も公表されています。初期費用の有無だけでなく、月額の課金軸と合わせて総額で確認することが大切です。

クラウド利用料は補助金の対象になりますか。事業実施期間はいつまでですか。

2026年度事業の通常枠では、クラウド利用料は上限2年分が対象経費に含まれます*2。事業実施期間は、通常枠・インボイス枠(電子取引類型)とも交付決定から2027年4月30日17時まで(予定)です(5次締切分)*3。いずれも年度・公募回で条件が変わるため、最新の公募要領での確認が必要です。

発注側の企業が申請し、取引先に使ってもらう形は認められますか。

認められる可能性があります。インボイス枠(電子取引類型)は、発注側の事業者が受注側の事業者にアカウントを無償で発行し、利用させられる機能を持つクラウド型ソフトウェアを対象としています*3。要件の詳細は公式の公募要領で確認してください。

ハードウェア(PC・タブレット)だけを補助対象にできますか。

できません。インボイス枠(インボイス対応類型)ではPC等・レジ等のハードウェアも補助対象になりますが、ハードウェアのみの申請は認められていません*4。会計・受発注・決済のいずれかの機能を持つ対象ソフトウェアの導入とあわせて申請する必要があります*4

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. *1 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026」(https://it-shien.smrj.go.jp/)(2026年度事業)
  2. *2 出典:同「通常枠」(https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/normal/)(2026年度事業)
  3. *3 出典:同「インボイス枠(電子取引類型)」(https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/digitalbased_invoice/)(2026年度事業)
  4. *4 出典:同「インボイス枠(インボイス対応類型)」(https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/digitalbase/)(2026年度事業)
  5. *5 出典:国税庁「電子帳簿保存法の概要」(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/02.htm

画像の出典元

  1. 発注のイメージ/Photo by Dcps Chloé on Unsplash
  2. 費用のイメージ/Photo by Cht Gsml on Unsplash
  3. 導入のイメージ/Photo by Vitaly Gariev on Unsplash
  4. 連携のイメージ/Photo by ThisisEngineering on Unsplash

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

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