まずは卸売ECを小規模でスタートしたい方へ。リーズナブルなSaaS(ASP)版『EC-Rider Primo(プリモ)』誕生! 詳しくはこちら

食材発注の取引先管理|記録義務を満たす5ステップ

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 食材発注では、取引先ごとに発注手段・締め時間・記録の仕方がそろっていないことが、業務の属人化を招きます。
  • 食品衛生法・米トレーサビリティ法・電子帳簿保存法という3つの法令が、仕入先の記録に関わっています。
  • 取引先が電子化に対応していない場合の進め方も、この記事で整理します。
発注のイメージ
▽ 写真の出典元

食材発注の取引先管理とは「手段・締め時間・記録」の統一

食材発注の取引先管理とは、取引先ごとに異なる発注手段・締め時間・発注単位を共通のルールに整理する取り組みです。誰から何をいつ仕入れたかの記録を、法令が求める形で残せる状態にすることを指します*1。仕入先が5〜20社に分かれる飲食店や給食事業者では、A社はFAX、B社はLINE、C社は専用サイトというように入口がばらばらになりがちです。その結果、担当者しか発注できない状態を招きます。

図
取引先ごとの発注条件と記録を、5つの手順でそろえる

この記事で扱うのは、そろえるべき「発注手段・締め時間・記録」の3点と、そこに関わる法令要件です。発注量をどう決めるか(発注点方式や安全在庫の考え方)は、本記事では扱いません。取引先が複数ある場合の一括発注の実務、食品衛生管理の詳細、原価率の管理も、別テーマの扱いです。

電話・FAX・LINE混在が発注を属人化させる4つの要因

取引先のイメージ
▽ 写真の出典元

取引先ごとに食材発注のやり方がばらつく背景には、次の4つの要因があります。第一に、発注手段そのものが取引先ごとに違います。電話・FAX・LINE・専用サイトが混在し、担当者はそれぞれの窓口を覚えておく必要があります。

第二に、締め時間とリードタイムが取引先ごとに違います。ある取引先は当日昼までの発注で翌朝納品、別の取引先は前日夕方までしか受け付けない、といった差があると、発注のタイミングを誤ると、欠品という結果を招きかねません。

第三に、発注単位・最低ロット・商品名の呼び方が取引先ごとに違います。同じ食材でも、ある取引先は箱単位、別の取引先はキロ単位で発注する必要があり、呼称のずれが誤発注の原因になります。

第四に、発注業務が特定の担当者にしか回せません。厚生労働省の労働経済動向調査(令和8(2026)年5月・常用労働者30人以上の民営事業所が対象、有効回答3,174事業所)では、パートタイム労働者過不足判断D.I.が調査産業計で+27ポイントの不足超過となりました。産業別では宿泊業,飲食サービス業などで人手不足感が高い水準です*4。属人化した発注業務は、担当者が休むと機能しなくなりかねません。

食品衛生法・米トレーサビリティ法・電帳法が課す3つの記録要件

手順のイメージ
▽ 写真の出典元

取引先ごとに発注のやり方が違う状態を放置しにくいのは、仕入先の記録に法令が関わっているためです。ここでは3つの法令を整理します。

食品衛生法3条2項|仕入元の名称等の記録を作成・保存する努力義務

食品衛生法3条2項は、食品等事業者に対し記録の作成と保存を求めています。対象は、販売食品等又はその原材料を販売した者の名称その他必要な情報です*1。「努めなければならない」という文言のとおり、これは努力義務です。後述する米トレーサビリティ法の記録義務とは、強さが異なります。

米トレーサビリティ法3条1項|米穀等は取引の相手方の氏名・名称の記録が義務

米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律(通称:米トレーサビリティ法)3条1項は、米穀事業者に対し記録の作成を義務づけています。記録項目は、名称・数量・年月日・相手方の氏名又は名称・搬入又は搬出をした場所等です*2。対象は米および米を原材料とする飲食料品等(米穀等)であり、すべての食材が対象になるわけではありません。同法2条では、米穀等に料理が含まれ、米穀事業者を米穀等の販売・輸入・加工・製造又は提供の事業を行う者と定めています*2。米穀等を提供する外食事業者も、この定義に含まれます。

保存期間は、原則として記録を作成した日から3年間です。消費期限が付されている米穀等(仕出し弁当や給食など)は3か月間、記録作成日から賞味期限までの期間が3年を超える米穀等は5年間となります*3

電子帳簿保存法2条5号・7条|メールやチャットでの発注は「電子取引」に当たる

電子帳簿保存法2条5号は、注文書や見積書に通常記載される取引情報の授受を電磁的方式により行う取引を「電子取引」と定義しています*5。LINEやメールで発注をやり取りする行為は、この電子取引に該当します。同法7条は、電子取引にともなう取引情報の電磁的記録について、保存義務者に保存を義務づけています*5。発注が特定の担当者のLINEやメールに散らばっている状態は、この保存義務の観点で管理が届いていない可能性があります。

法令 対象 記録項目 保存期間 義務の強さ
食品衛生法3条2項*1 食品等事業者全般(仕入先の記録) 販売食品等又は原材料を販売した者の名称その他必要な情報 期間の定めなし 努力義務
米トレーサビリティ法3条1項*2 米穀等を取り扱う米穀事業者(外食事業者を含む*3 名称(指定米穀等は名称及び産地)・数量・年月日・相手方の氏名又は名称・搬入又は搬出をした場所等 原則3年(消費期限付は3か月*3、賞味期限3年超は5年*3 義務
電子帳簿保存法2条5号・7条*5 メール・LINE等で発注情報をやり取りする事業者 電子取引の取引情報に係る電磁的記録そのもの 国税関係書類の保存期間に準ずる(法人は原則7年*6 義務

自社の数字で確かめるには、無料相談で要件を整理するのが近道です。

棚卸から記録の一元化まで、発注ルールを統一する5ステップ

管理のイメージ
▽ 写真の出典元

取引先ごとの発注条件と記録をそろえるには、次の5つの手順で進めます。順序は、条件を洗い出してから集約するという実施順序にもとづきます。

取引先ごとの発注ルールを統一する5ステップ/順位根拠:手順の実施順序

  1. 取引先ごとの発注条件を棚卸しします。発注手段・締め時間・リードタイム・最低ロット・商品名の呼び方を一覧化することから始めます。
  2. 取引先台帳に発注条件を1枚化します。記録すべき項目は、食品衛生法や米トレーサビリティ法が求める記録項目から逆算して決めます。
  3. 締め時間とリードタイムを取引先と再確認し、確定します。
  4. 発注手段を集約します。取引先を電子化への対応可否で3グループに分け、対応可能な取引先から優先して1つの窓口へまとめます。
  5. 記録と保存の置き場所を1つに決めます。電子取引データは出力書面に印刷しただけでは保存要件を満たさないため、データそのものを残せる置き場所を用意します。

電子取引データは出力書面だけでは保存要件を満たさない

よくある質問のイメージ
▽ 写真の出典元

取引先ごとの記録を電子化する際は、保存要件を満たす方法を確認する必要があります。この作業を内製で行うには、電帳法の検索要件・保存期間・猶予措置の区別についての知識が欠かせません。担当者が制度を誤解したまま運用すると、税務調査時に電子取引データの提示ができず、要件違反として扱われる可能性があります。

令和3年度税制改正前の宥恕措置では、出力書面のみの保存が認められていました。しかし令和6(2024)年1月以降に行う電子取引を対象とした猶予措置では、出力書面のみを保存することで対応することは認められていません。出力書面の提示等に加え、電子データそのものも保存しておく必要があります*6。紙に印刷してファイルするだけでは足りない、という点は誤解されやすいところです。

検索要件については、判定期間に係る基準期間の売上高が5,000万円以下の場合、検索機能の確保が不要になります*6。電磁的記録を出力した書面であって、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたものの提示に応じられるようにしている場合も、検索機能の確保は不要です*6。「取引先ごとに整理する」という発想は、前章の取引先台帳の1枚化と重なります。保存期間は、国税関係帳簿書類の保存期間に従います*6

取引先の電子化状況で分ける「対応可・条件付き・不可」の3区分

取引先のすべてが電子化に応じてくれるとは限りません。まず取引先を「対応可・条件付き可・不可」の3つに仕分けることから始めます。中小企業庁が令和3年度取引条件改善状況調査(2021年)にもとづき示す数値では、受注側で48.5%が電子受発注に対応しています*7。この数値は受注側(卸・メーカー側)の割合であり、発注側である飲食店・給食事業者の割合ではない点に注意が必要です*7。裏を返せば、同調査時点で受注側の5割超は電子受発注に対応していないことになります*7

電子化が難しい取引先は、受信側で電子化する方法があります。FAXや電話で受けた発注内容を、受信した側の担当者が台帳やシステムへ入力し、記録として残す形です。

切り替えの順序は、発注頻度と金額の両方から優先度をつけて考えます。発注頻度が高く金額も大きい取引先から着手すると、記録の抜け漏れを防ぐ効果が早く表れます。専門パートナーに依頼した場合は、複数の受発注手段を1つの画面に集約する仕組みを使って、この優先順位づけと移行作業を並行して進められる違いがあります。

まとめ:取引先ごとの発注管理を整える3つの判断軸

本稿では、食材発注における取引先ごとの発注条件と記録義務の整え方を整理しました。要点を3つに集約すると次の通りです。第一に、発注手段・締め時間・発注単位という3点のばらつきが属人化を招きます。第二に、食品衛生法・米トレーサビリティ法・電子帳簿保存法という義務の強さが異なる3つの法令が、仕入先の記録に関わっています。第三に、棚卸から記録の一元化までの5ステップで、取引先ごとの条件をそろえられます。


ご不明な点はお問い合わせフォームからもご連絡いただけます。

BtoB通販システムのご相談

貴社の商習慣に合わせたご提案をいたします。

無料相談はこちら

よくある質問

LINEでの食材発注は記録として残しておく必要がありますか。

必要です。LINEでの発注は電子帳簿保存法上の「電子取引」に当たり、同法7条にもとづき取引情報に係る電磁的記録を保存する必要があります*5。トーク画面のスクリーンショットだけでなく、検索要件や保存期間を満たす形でデータを残すことが求められます*6

米や米加工品を仕入れている場合、記録は何年保存すればよいですか。

原則3年間です。ただし、消費期限が付されている米穀等は3か月間、記録作成日から賞味期限までの期間が3年を超える米穀等は5年間となります*3。取り扱う商品ごとに期限表示の種類が違うと保存期間も変わるため、取引先台帳に品目単位で記録しておくと管理しやすくなります。

発注書を紙に印刷して取引先ごとにファイルすれば、それだけで足りますか。

足りない場合があります。令和6(2024)年1月以降に行う電子取引について、出力書面のみを保存することで対応することは認められていません。電子データそのものも保存しておく必要があります*6。紙のファイリングは検索性を補う手段として有効ですが、電子データの保存を代替するものではありません。

取引先が5社程度でも取引先台帳を作る意味はありますか。

意味があります。取引先の数にかかわらず、発注手段・締め時間・記録項目がそろっていない状態は属人化のもとになるからです。国税庁の一問一答が示す「取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理」という考え方は*6、取引先が少ない事業者でも同じように当てはまります。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. *1 出典:デジタル庁「e-Gov法令検索 食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第3条第2項」(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000233
  2. *2 出典:デジタル庁「e-Gov法令検索 米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律(平成二十一年法律第二十六号)第3条第1項」(https://laws.e-gov.go.jp/law/421AC0000000026
  3. *3 出典:農林水産省「米トレーサビリティ制度Q&A~基本編~」(https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/beikoku/qa-kome_toresa01.html
  4. *4 出典:厚生労働省「労働経済動向調査(令和8(2026)年5月)の概況」(令和8年6月23日公表)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2605/dl/7roudoukeizaidouko.pdf
  5. *5 出典:デジタル庁「e-Gov法令検索 電子帳簿保存法(平成十年法律第二十五号)第2条第5号・第7条」(https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC0000000025
  6. *6 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(令和8(2026)年7月)(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0026007-006_05.pdf
  7. *7 出典:中小企業庁「中小企業の受発注デジタル化」掲載値の出典は「令和3年度取引条件改善状況調査」(中小企業庁、2021年)(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/gijut/digitalization/index.html/アーカイブ:web.archive.org 2026-05-10

画像の出典元

  1. 発注のイメージ/Photo by Mike Meyers on Unsplash
  2. 取引先のイメージ/Photo by S O C I A L . C U T on Unsplash
  3. 手順のイメージ/Photo by Андрей Сизов on Unsplash
  4. 管理のイメージ/Photo by MIKE STOLL on Unsplash
  5. よくある質問のイメージ/Photo by Towfiqu barbhuiya on Unsplash

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

記事内容に関するお問い合わせ:お問い合わせフォーム

BtoB EC(受発注)サイト構築システム「EC-Rider B2B Ⅱ」への
各種お問い合わせ

ページTOPへ戻る
無料相談を予約 お見積
平日10:00~18:00
page
top