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納品書の電子保存|受領と発行控えで要件が違う

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 納品書の電子保存は、受け取り方によって根拠となる条文と義務の強さが変わります。
  • 受領した納品書と自社が発行した納品書の控えでは、満たすべき要件の水準が異なる点に注意が必要です。
  • 紙の納品書を廃棄できるかどうかは、同等確認の実施状況と入力期間の順守で決まります。
納品のイメージ
▽ 写真の出典元

納品書の電子保存とは — 受け取り方で根拠条文が変わる

納品書の保存要件は受け取り方によって変わります。電子で授受した納品書は電子帳簿保存法7条により保存が義務です。紙をスキャンして保存する場合は、同法4条3項により任意となります*3

納品書の電子保存とは、納品書を紙ではなく電磁的記録のまま保存することです。電子帳簿保存法(正式名称:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)では、受け取り方によって根拠条文が分かれます。義務の強さも、そこで変わります*3。まず自社の納品書がどの経路に当たるかを押さえることが出発点になります。

  • 電子で授受した納品書 → 電子取引データ(法2条5号・法7条)。保存は義務です*3
  • 紙で受け取った納品書をスキャンした場合 → スキャナ保存(法4条3項)。制度の利用は任意です*3
  • 自社が発行した納品書の控え → 同じスキャナ保存の枠組みですが、一般書類として要件が緩和されます*1
図
自社の納品書がどの区分に当たるかを4段階で確認する

電子で授受した納品書は法7条の義務、紙をスキャンするのは法4条3項の任意

電子帳簿保存法7条は、電子取引(取引情報の授受を電磁的方式で行う取引*3)をした保存義務者に対し、その電子取引データの保存を義務づけています。これに対し同法4条3項は「電磁的記録の保存をもって当該国税関係書類の保存に代えることができる」と定めています。紙をスキャンして電子化するかどうかは、事業者の選択に委ねられます*3

紙と電子の両方で同じ納品書を受け取ったときの扱い

書面を正本として取り扱うことを取り決めたうえでメールにもPDFを添付するようなケースでは、書面のみを保存すれば足ります*2。一方で、正本の取り決めがなく内容が同一と確認できない場合は、書面と電子データの双方を保存する必要があります*2。取引先ごとに正本の取り決めがあるかを確認しておくと、保存すべきデータの範囲がぶれません。

受領した納品書と自社発行控え — 重要書類と一般書類の違い

根のイメージ
▽ 写真の出典元

納品書のスキャナ保存を検討するとき、最も見落とされやすいのが「受領した納品書」と「自社が発行した納品書の控え」で扱いが異なる点です。国税庁の区分表は、資金や物の流れに直結・連動する書類を重要書類、そうでない書類を一般書類に分けています*1。重要書類と一般書類の要件差は、施行規則2条6項・7項に規定されています*4

受領した納品書は重要書類、自己が作成した納品書の写しは一般書類

受領した納品書は重要書類に区分され、「速やかに入力」または「業務サイクル後速やかに入力」のいずれかで入力期間の管理が必要です*1。区分表の重要書類欄には「これら(納品書を除きます。)の写し」という記載があり、納品書の写しだけが重要書類から明示的に除外されています*1

この除外を受けて、一般書類の要件を定める区分では「ホ 自己が作成した納品書の写し」が明記されています。自社発行の納品書の控えは一般書類として、入力期間の制限なく適時に入力できます*1。同じ「納品書」という名称でも、受領したか自社発行かで重要度の判定が逆転します。

要件対照表:重要書類と一般書類

要件 受領した納品書(重要書類) 自社発行の控え(一般書類)
入力期間の制限 あり なし(適時に入力)
解像度200dpi以上 必要 必要
カラー256階調 必要 白黒の階調表現でも可
タイムスタンプ 必要(入力の確認ができる場合は代替可) 必要(同左)
ヴァージョン管理 必要 必要
帳簿との相互関連性 必要 不要
見読可能装置 必要 カラーディスプレイ・カラープリンタの備付けは不要*1
検索機能の確保 必要 必要

経路(電子か紙か)と立場(受領か自社発行か)を掛け合わせると、同じ「納品書」でも要件のパターンは複数に分かれます。取引先の数だけ経路が増えるほど、どの納品書がどの区分に当たるかを都度判断する負荷も大きくなるのが実情です。無料相談で自社の経路と要件の対応関係を整理することで、判断の抜け漏れを防ぎやすくなります。

紙の納品書をスキャナ保存する期限 — おおむね7営業日以内

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紙の納品書をスキャナ保存する場合、いつまでに読み取って入力するかが要件の一つになります。国税庁の一問一答は「速やかに」と「業務サイクル後速やかに」の2方式を示しています*1

「速やかに」はおおむね7営業日以内

「速やかに」入力する方式では、受領等後おおむね7営業日以内の入力が目安です*1。やむを得ない事由で7営業日を超える場合でも、事由が解消した後に直ちに入力すれば速やかに入力したものとして扱われます*1

「業務サイクル後速やかに」は最長2か月とおおむね7営業日以内

企業が採用する業務処理サイクルの期間を経てから入力する方式では、最長2か月の業務処理サイクルまでが認められます。その期間とおおむね7営業日以内に入力すれば足ります*1。ここでいう2か月は暦の上での2か月であり、たとえば4月21日に受領した場合は6月20日とおおむね7営業日以内が目安になります*1

入力期間を過ぎるとどうなるか

入力期間を誤って経過してしまった場合、その国税関係書類はスキャナ保存の対象から外れ、紙のまま保存する扱いに戻ります*1。2か月はあくまで上限であり、社内で定める業務処理サイクルがこれを超えないよう設定しておく必要があります。入力期間の起点を業務処理サイクルとして事務処理規程に明記しておくと、期限管理の基準がぶれません。

紙の納品書は捨ててよいか — 即時廃棄の原則と例外

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紙の納品書はスキャンして最低限の同等確認をした後であれば、即時に廃棄しても差し支えありません*1。ただし廃棄できない、あるいは原本の提示が必要になる場合が2つあります。

原則:最低限の同等確認の後は即時廃棄が可能

最低限の同等確認とは、電磁的記録と書面を比較し、折れ曲がりなどがないかを含めて内容が同等であることを確認する作業です*1。この確認を経た後は、紙の納品書をそのつど保管し続ける必要はありません*1

廃棄できない、または原本が要る2つの場合

  1. 入力期間を経過した場合は、電磁的記録に加えて紙の原本も保存する必要があります*1
  2. 印紙税の過誤納還付の申請には、過誤納となった事実を証する原本の提示が必要で、スキャナデータやその出力書面では還付を受けられません*1

印紙税(文書の作成に課される国税)の課税文書に該当するかどうかの判断自体は本記事の対象外です。ただし還付申請の場面では、原本が必要になる点だけは押さえておく必要があります。

消費税の仕入税額控除はスキャン文書でも認められる

スキャン文書の保存によって消費税の仕入税額控除(消費税法30条7項、消費税法施行令50条1項)が認められるかという疑問があります。この点について、国税庁は「認められます」と回答しています*1。国税関係書類の保存義務は所得税法・法人税法だけでなく消費税法にも及ぶため、スキャナ保存の要件を満たしていれば控除の適用を妨げません*1

PDF・EC・EDIで受け取った納品書の保存要件

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電子取引データとして納品書を受け取る経路は複数あります。メール添付のPDF、ECサイトからのダウンロード、EDI(企業間で受発注データを電子的にやり取りする仕組み)などです*2。いずれも保存の義務は同じですが、満たすべき要件は次の2点に整理できます。

改ざん防止はいずれか1つの措置で満たす

改ざん防止の要件は、施行規則4条1項が定める4つの措置のうちいずれか1つを満たせば足ります*4。具体的な措置は次のとおりです*2

  • タイムスタンプを付与してから授受する方法
  • 授受後速やかにタイムスタンプを付与する方法
  • 訂正削除の履歴が残る、または訂正削除ができないシステムを使う方法
  • 事務処理規程を備え付けて運用する方法

1か月分をまとめた納品書データの検索要件

検索機能の確保では、個々の取引年月日・取引金額を検索できる方法が基本です。このほか、1か月分の納品書データを授受した年月日と合計額で検索できるようにする方法も認められています*2。ただしこの代替方法を使う場合は、課税期間ごとに一貫した規則性を保つ必要があると一問一答は述べています*2

出力書面だけの保存は認められない

令和6年1月1日以後の猶予措置は、電子データ本体の保存に加えて出力書面を提示等できる状態にしておくことを求めるものです。令和5年12月31日までの宥恕措置とは性質が異なります*2。PDFの納品書を印刷して紙だけを保管する運用は、この猶予措置の要件を満たしません*2。検索要件の実装方法(ファイル名の付け方や索引簿の作り方)は帳票設計側の論点になるため、別記事で扱います。

納品書の保存期間と起算日 — 法人は7年、欠損金は10年

保存期間は法人・個人で異なり、起算日の考え方も併せて押さえておく必要があります。

法人は原則7年、青色欠損金の事業年度は10年

法人の帳簿・書類は原則として7年間の保存が必要です*1。青色欠損金が生じた事業年度については保存期間が10年に延び、平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年となります*1

起算日は確定申告書の提出期限の翌日

保存期間の起算日は、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日です*1。受領日や作成日からではなく、申告期限を基準に数える点を取り違えないようにする必要があります。

個人事業者の納品書は「その他の書類」として5年

青色申告の個人事業者にとって、納品書は「その他の書類」に区分され保存期間は5年です*1。ただし消費税の課税事業者が仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等に該当する場合は7年となるため、書類の性質に応じた確認が欠かせません*1

納品書の電子保存を運用に落とす5つの手順

制度上の区分を理解しても、取引先ごとの経路が紙・PDFメール・EC・EDIと分かれたままでは、確認すべき要件も経路の数だけ増えていきます。運用として畳むために、次の5手順が土台になります。

納品書の保存要件を確認する優先順5点(順位根拠:手順・実施順序)

  1. 取引先ごとに紙・PDFメール・ECダウンロード・EDIのどれで納品書を受け取っているかを一覧化します。
  2. 電子で授受しているものは電子帳簿保存法7条の対象であり、保存が義務であることを確認します*3
  3. 紙で受け取っているものは、同法4条3項のスキャナ保存を採用するかどうかを判断します*3
  4. 受領した納品書か自社発行の控えかを区分し、重要書類・一般書類のどちらの要件が適用されるかを確定します*1
  5. 業務処理サイクルを事務処理規程に明記し、入力期間の起点を社内で共有します*1

システムが担保する範囲と自社で決める範囲を線引きする

改ざん防止措置や検索機能の確保はシステム側で担保できる範囲ですが、業務処理サイクルの宣言や廃棄の可否判断は自社が決める事項です*2。この作業を内製で行う場合、電子帳簿保存法の要件だけでなく消費税法・法人税法にまたがる保存期間の知識も必要です。担当者1名で抱え込むと、確認漏れのリスクが残ります。

受発注の経路を紙・FAX・メール・EC・EDIに分散させたままだと、保存要件も経路の数だけ分岐するのが実情です。受発注をECに集約すれば、納品書は電子取引データという1つの経路に収束し、スキャナ保存の入力期間管理そのものが不要になる場面が増えます。ただしシステム集約だけで要件のすべてを満たせるわけではなく、業務処理サイクルの宣言や廃棄判断は引き続き自社の役割です。なお令和7年度税制改正では、一定の要件を満たして電子取引データを送受信・保存する仕組みが新設されました。この仕組みを使う場合、電子取引データに関連する隠蔽・仮装行為への重加算税10%加重が適用除外になります*5。適用除外は、令和9年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税から始まります*5。制度対応の前提として、経路の集約が土台になります。

まとめ:納品書の電子保存で押さえる3つの判断軸

本稿では納品書の電子保存について、経路・立場・期限の3軸から整理しました。要点を3つに集約すると、第一の軸は経路(電子で受けたか、紙をスキャンするか)で、義務か任意かを決めます。第二の軸は立場(受領か自社発行の控えか)で、重要書類か一般書類かの違いです。第三の軸は入力期間と保存期間の起算日で、実務上の締め切りを左右します。3つの軸で自社の納品書を仕分けると、どの経路にどの要件が適用されるかを自分で判断できる状態に近づきます。


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よくある質問

納品書をスキャンした後、紙はいつ捨てられますか。

最低限の同等確認を終えた後であれば、即時に廃棄しても差し支えありません。ただし入力期間を経過した場合は、電磁的記録に加えて紙も保存する必要があります*1

自社が発行した納品書の控えにも入力期限はありますか。

自己が作成した納品書の写しは一般書類に区分され、入力期間の制限はなく適時に入力できます*1。重要書類に適用される「速やかに」「業務サイクル後速やかに」の期限管理は不要です。

スキャンした納品書で消費税の仕入税額控除は受けられますか。

受けられます。国税庁の一問一答は、スキャン文書の保存による消費税の仕入税額控除を認めると回答しています*1

メールでPDFの納品書を受け取り、印刷して保管していますが問題ありませんか。

出力書面だけの保存は認められません。電子取引データそのものを保存したうえで、必要に応じて出力書面を提示等できる状態にしておく必要があります*2

納品書の保存期間はいつから数えますか。

法人の場合、保存期間はその事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から数えます*1。受領日や作成日を起点にしない点に注意が必要です。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. *1 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】」(令和8年7月)
  2. *2 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(令和8年7月)
  3. *3 出典:e-Gov法令検索「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」(最終改正 2025年3月31日)
  4. *4 出典:e-Gov法令検索「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則
  5. *5 出典:国税庁「請求書等を帳簿に自動連携する仕組みに対応した制度が新設されました~令和7年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要~」(令和7年4月)

画像の出典元

  1. 納品のイメージ/Photo by Aleksi Partanen on Unsplash
  2. 根のイメージ/Photo by Ana Jovanovski on Unsplash
  3. 運用のイメージ/Photo by 1981 Digital on Unsplash
  4. 手順のイメージ/Photo by Aiden Frazier on Unsplash
  5. よくある質問のイメージ/Photo by Mel Poole on Unsplash

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
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※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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