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BtoB ECの入数設定|ケース・バラ発注の設計手順

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 入数・ケース・バラの呼び分けは社内でも揺れやすく、定義を固定しないまま商品データを作ると受注の訂正が続きます。
  • 最小単位には13桁、外装には14桁の集合包装用商品コードを割り当てる方式が、標準化団体の資料で示されています。
  • 入数を変更した場合のコード設定には基準8が定められており、切替日の告知まで含めた工程の設計が要ります。
  • 物流の効率化に関する法制度は2025年4月に施行され、単位の設計は自社の都合だけで決められる領域ではなくなりました。

a close-up of a grey wallet
▽ 写真の出典元

BtoB ECにおける入数・ケース・バラとは

BtoB ECの入数設定とは、外装1つに収まる商品の個数を商品データに登録し、注文を受け付ける単位として使えるようにする設計作業です。ケースは外装ごと、バラは最小の1個を指し、その中間にボールが入る商材もあります。呼び分けは取引先ごとに揺れます。自社の定義を先に固定し、相手先の呼称を後から対応づける順序が、実務では扱いやすくなります。単位の設計は、価格・在庫・出荷・基幹連携のすべてに波及します。入口の定義がぶれると、後工程の修正費用が膨らみます。

ケース・ボール・バラの3段を階層で示した図
外装から最小単位までの3段の関係

入数は、外装1つに収まる最小単位の個数を表します。ケースは輸送や保管の単位であり、パレットに積む前提の外装です。ボールは、ケースの中をさらに小分けにした中間の包装を指します。バラは陳列や小口配送で動く1個であり、末端の販売単位に近い存在と言えます。

単位の階層は、商材によって2段にも3段にもなります。日用雑貨や加工食品ではケース・ボール・バラの3段が並び、資材ではケースとバラの2段で収まります。段数が増えるほど、換算の組み合わせも増えます。3段の商材では、ケースからバラへの換算とボールからバラへの換算を別々に保持する必要があります。

販売単位は価格を紐づける単位で、発注単位は注文数量の刻みを決める単位です。両者は一致するとは限りません。バラで価格を持ちながら、注文は12本刻みでしか受けない商品があります。この場合、販売単位はバラ、発注単位は12という別々の値になります。混同すると、価格の計算と数量の判定のどちらかが崩れます。

同じ商品でも、届け先の業態によって扱いやすい単位が変わります。量販の物流拠点はケースで受け、小規模な事業所はバラに近い小口で受け取ります。中間流通が介在する経路では、ボール単位の納品が求められることもあります。単位の違いは、相手先の保管設備と荷扱いの制約から生じています。

単位の違いは商品識別コードにも表れます。最小単位には13桁の商品識別コードを、外装には14桁の集合包装用商品コードを割り当てる方式が、標準化団体の資料で示されています4。14桁の先頭1桁はインジケータと呼ばれ、1から8までが入数の違いを区別する値に、9が内容量の一定しない商品に割り当てられます4。同じ商品名でも、入数が違えば別のコードとして扱う前提になります。

外装のコードは、表示するシンボルの選び方にも影響します。標準化団体の資料では、集合包装用商品コードをITFシンボルやGS1-128で表示する方式が示されています*4。入数が違う外装を別のコードで持つ判断と、シンボルの選定は同じ工程で決めてください。

呼称の統一は、社内の合意形成から始まります。営業がケースと呼ぶものを倉庫がボールと呼んでいる状態では、データの持ち方を決められません。用語の定義を1枚にまとめ、部門をまたいで読み合わせる工程を先に置いてください。ここを飛ばすと、後の商品データ設計で手戻りが発生します。

入数設計で先に手をつける順序5点(順位根拠:後の工程が前の工程の決定に依存する実施順序)

  1. 用語の定義を固定します。ケース・ボール・バラの呼び分けを1つの表にまとめ、営業と倉庫で読み合わせます。
  2. 最小単位を決めます。バラを在庫と換算の基準に据え、外装は入数で表す持ち方を先に確定させます。
  3. 商品識別コードの割り当てを決めます。最小単位は13桁の商品識別コード、外装は14桁の集合包装用商品コードに対応づけます。
  4. 発注単位と最低発注数量を取引先別に整理します。刻みと下限を別の項目として持ち、例外を一覧にします。
  5. 端数処理の判定を決めます。切り上げる・そのまま受け付ける・受け付けないの3通りから、商品群ごとに選びます。

入数設定が受発注と物流に及ぼす影響

単位別レコード方式と単位従属方式を3つの観点で対比した図
併存させる2方式で設計の負担が変わる箇所

単位の取り違えは、受注訂正・誤出荷・積載効率の低下という3つの損失につながります。電話や注文書で受けた「10」が10ケースなのか10バラなのか判別できない状態では、確認の連絡が毎日発生します。誤ったまま出荷すれば、返品と再配送で輸送費が二重にかかります。物流の標準化を求める政策も進んでおり、単位の設計は自社の都合だけで決められる領域ではなくなりました。受注の入口で単位を確定させる仕組みが、後工程の負荷を左右します。

取り違えは、数量欄に単位が書かれていない場面で起きます。注文書の様式が取引先ごとに違い、単位の欄がある様式とない様式が混在します。受注担当者は過去の履歴から単位を推測し、判断が分かれた分だけ訂正が生じます。BtoB ECでは、数量欄の隣に単位の選択肢を必ず表示し、推測の余地を残さない設計が求められます。

1件の取り違えは、受注の訂正だけでは終わりません。出荷指示・在庫引き当て・請求の各データを遡って直す必要があり、締め処理をまたぐと訂正伝票の発行まで波及します。倉庫では、ピッキングリストの回収と再発行が発生します。単位の誤りは、部門をまたいで手戻りを広げる誤りにほかなりません。

単位の設計は、輸送の効率にも影響します。加工食品分野の物流標準化に関する所管省庁の会議資料では、1,100mm×1,100mmの平パレットを標準として、外装の寸法や表示を揃える方向が示されています*2。ケースの寸法と入数は、パレットに何段何列積めるかを決めます。バラ出荷が増えるほど、外装を開ける工数と緩衝材の費用が積み上がります。

積載の効率は、外装の寸法と入数の組み合わせで決まります。1,100mm×1,100mmの平パレットを前提にすると、外装の寸法がこの面に収まらない分だけ空隙が生じます*2。入数を増やして外装を大きくすると、1段に載る箱数が減ることもあります。

政策の側でも、荷主と物流事業者に効率化の取り組みを求める動きが進みました。物流の効率化に関する法制度は2025年4月に施行され、荷主等には効率化への努力義務が課されています1。規模の大きい事業者を対象とする計画の作成などは、2026年4月から適用されます1。食品の流通の合理化を促す所管省庁の情報提供でも、取引と物流の効率化が課題として挙げられています*3

在庫の持ち方にも影響が及びます。多段階の在庫を扱う研究では、需要の変動を吸収する地点にデカップリング在庫を置く考え方が整理されています*7。ケースで受ける取引先とバラで受ける取引先が混在する場合、どちらの単位で在庫を抱えるかが在庫量を左右します。単位の設計は、在庫の置き場所の設計と表裏の関係にあります。

誤りが表に出るまでの時間も、損失を広げる要因です。単位の誤りは数量の桁違いとして現れるため、少量の誤りは検品を通過しやすく、月次の棚卸しまで発見が遅れることがあります。発見が遅れた分だけ、遡って直すデータの件数が増えます。受注の時点で単位を判定する仕組みが、後の調査工数を抑えます。

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ケース単位とバラ単位を併存させる商品データ設計

注文数量の受付では、読み手が入力した注文の数量をそのまま受け取ります。続く発注単位の照合では、受け取った数量を、あらかじめ決められた発注のまとまりの大きさと突き合わせます。その突き合わせの結果を受けて、端数の判定では、まとまりに収まりきらない余りが出ているかどうかを見分けます。最後の確定数量の通知では、端数の判定までを踏まえて整えられた数量を、注文した本人に伝えます。このように、受け付けた数量が、まとまりとの突き合わせ、余りの有無の見分けを経て、確定した数量として伝えられるまで、四つの段が前の段の結果を次の段が受け取る形でつながっています。
端数を含む注文が確定するまでの4段

ケース単位とバラ単位を併存させる方式は、単位ごとに別のレコードを作る単位別レコード方式と、1つのレコードに単位を従属させる単位従属方式の2つに大別できます。前者は価格と在庫を単位ごとに独立して持てる反面、商品データの件数が増えます。後者は商品の一覧性を保てる反面、換算の計算がシステム側に集中します。取引先ごとに扱う単位が分かれる商材では、前者を軸に据える設計が扱いやすくなります。どちらを選んでも、最小単位を1つ決めて換算の基準に据える点は共通です。

単位別レコード方式では、同じ商品をケースとバラの2件に分けて登録します。それぞれに商品コード・販売価格・在庫の持ち方を独立して設定できます。取引先ごとに販売できる単位を絞る場合も、レコード単位で公開の範囲を切り替えられます。件数が増えるため、商品の追加や改廃にかかる作業量は増加します。

単位従属方式では、1件の商品に単位の一覧をぶら下げます。画面上は1つの商品として並び、注文の際に単位を選ぶ形になります。入数の値を1か所で持てるため、入数が変わったときに直す箇所が少なく済みます。ただし、単位ごとに在庫を分けて抱える運用には向きません。

商品コードの持たせ方は、標準化団体の資料に沿って決められます。最小単位には13桁の商品識別コードを、外装には14桁の集合包装用商品コードを割り当てる方式が示されています4。14桁の先頭のインジケータは1から8までが入数の違いを表し、9は内容量が一定しない商品に使われます4。入数の異なる外装は、別のコードとして持つ前提で設計してください。

明細に持つコードは、13桁と14桁の両方を保持する形が扱いやすくなります*4。ケースの注文でも、在庫と出荷の計算は最小単位のコードで行うためです。単位別レコード方式では、2件のレコードを結ぶ親子の関係を別に持ってください。

販売価格は、単位ごとに独立して持つ形が崩れにくくなります。ケースの価格をバラ価格の入数倍として自動計算すると、端数の処理と小口の手数料を反映できません。バラの取り扱いに手間がかかる商品では、1個あたりの単価がケースより高くなる設定も成り立ちます。価格を登録する単位と、画面に表示する単位を揃えておいてください。

在庫引き当ては、最小単位に正規化してから計算する方式が安全です。ケースの注文を受けたら入数を掛けてバラに換算し、共通の在庫から引き落とします。外装を開けない前提の商品では、ケース在庫とバラ在庫を分けて持つ判断もあります。分けた場合は、開梱によって在庫を振り替える手順を運用へ組み込む必要があります。

読み手側の見え方も設計の対象です。注文画面に単位の表記がないと、購買の担当者は数量欄の意味を推測して入力します。単位・入数・1単位あたりの価格を同じ行に並べ、注文の確認画面でも同じ順序で見せてください。表記の順序が画面ごとに変わると、確認の精度が落ちます。

発注単位・最低発注数量・端数処理のルール設計

変更の決定から旧コードの停止までを時系列で並べた図
入数変更に伴うコード付け替えの進み方

発注単位は注文数量の刻みを、最低発注数量は1回の注文で受け付ける下限を指します。2つは別の概念であり、同じ値にする必要はありません。12本刻みで下限が24本という設定も成り立ちます。刻みと下限を1つの項目にまとめると、取引先ごとの例外に対応できなくなります。端数の扱いは、切り上げる・そのまま受け付ける・受け付けないの3通りから、商品群ごとに選ぶ形が扱いやすくなります。

注文数量の受付から確定数量の通知までは、4つの段に分けて考えられます。注文数量の受付では、入力された数値と単位を組にして保持します。発注単位の照合では、刻みと下限に適合するかを判定します。端数の判定では、適合しない数量の扱いを商品群ごとの規則に照らします。確定数量の通知では、変更した数量とその理由を注文者へ返します。

発注単位は、外装の入数をそのまま使う方法が出発点になります。ケースを開けずに出荷できるため、倉庫の作業時間と資材の費用を抑えられます。バラの注文を受ける商品では、開梱の作業が生じる分を単価へ反映させるか、下限の数量で受注量を確保する判断が要ります。刻みを細かくするほど注文は取りやすくなり、庫内の作業は増えます。

最低発注数量は、配送1回あたりの採算から逆算して決めます。金額の下限と数量の下限は別に持ち、どちらか一方でも満たせば受け付ける設定と、両方を求める設定を選べるようにしておいてください。少額の注文の集約を促す狙いであれば、締め日までの合算で判定する方式も選択肢になります。

端数注文をケースへ丸める判断は、商品の性質で分かれます。日持ちのする資材では切り上げが受け入れられやすく、賞味期限の短い食品では過剰在庫の押し付けになります。切り上げる設定にする場合は、注文者が確定の前に数量の変化を見られる画面にしてください。承諾のないまま数量が増える体験は、次の注文を遠ざけます。

取引先別に条件を切り替える設計は、例外の持ち方で難易度が変わります。商品ごとの既定値を1つ置き、取引先別の上書きを別のデータで重ねる二層の持ち方が保守しやすくなります。上書きの件数が増えると、どの条件が効いているのかを追えなくなります。適用中の条件は、注文画面と受注管理の両方に表示させてください。

刻みと下限は、商品群ごとに表へ落として管理してください。1つの商品につき、販売単位・発注単位・最低発注数量・端数処理の4項目が最低限そろいます。取引先別の上書きを加えると、1商品あたりの条件は5項目以上に増えます。

規則を決めたら、実際の注文の並びで動きを確かめてください。過去の受注データを流し込み、丸めが起きる件数と数量の変化を数えます。想定外の丸めが集中する商品があれば、刻みの設定を見直します。この確認を省くと、公開後に注文者からの問い合わせが増えます。

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▽ 写真の出典元

基幹システム・EDIとの連携で押さえる項目

受注データに載せる項目は、単位・数量・入数の3つを組で持つ形が崩れにくくなります。単位だけを持つと、後から入数が変わったときに過去の受注を再現できません。標準的なEDI(企業間で受発注データを交換する電子的な仕組み)の仕様は業界団体が公開しており、発注・出荷・受領・請求といった業務の流れに沿ったメッセージが定義されています*6。自社の項目を先に決めて標準へ寄せるのではなく、標準の項目を出発点に自社の追加分を足す順序が、手戻りを抑えます。

標準のメッセージは、業務の単位で分かれています。業界団体が公開する仕様では、発注・出荷・受領・請求といった流れに沿ったメッセージが定義されています*6。単位と入数は、この4つのすべてで同じ値を運ぶ必要があります。

受注明細に持たせる項目は、単位コード・数量・入数・最小単位換算数量の4つが軸になります。単位コードは自社の内部の値ではなく、取引先と共有できる値に対応づけてください。入数は受注の時点の値を明細へ写し取り、後から商品データが変わっても遡らない持ち方にします。最小単位換算数量を明細に持てば、在庫と出荷の計算を単位に依存させずに済みます。

標準のメッセージと自社の項目を突き合わせる作業には、時間を確保してください。数量の項目に単位の区分が併記される仕様では、自社の単位コードとの対応表が必要になります*6。対応表は商品データとは別に保守し、取引先が増えるたびに追記します。対応の漏れは、受注データの取り込みが止まる原因になります。

在庫の連携では、単位換算の向きを1つに固定してください。基幹システムがバラで在庫を持ち、ECがケースで表示する構成であれば、換算はEC側の1か所だけで行います。両方で換算すると、入数の変更が反映された瞬間に在庫の数が食い違います。換算に使う入数について、どちらのシステムを正とするかを先に決めておく必要があります。

連携の誤りは、合計値の突き合わせで早期に見つけられます。1日の受注明細について、最小単位へ換算した合計数量を両システムで比べ、差分が出た日を記録します。差分の原因は、入数の更新時刻のずれか、単位コードの対応漏れのいずれかに集まります。差分の一覧を毎日見る運用を、稼働の初月から置いてください。

この連携を自社だけで組む場合、必要な知識は広い範囲に及びます。商品データの設計・単位換算の実装・標準EDIの項目定義・基幹システムの受注取り込み・倉庫の作業手順という5領域を、同時に見渡す必要があります。担当が分かれていると、単位の解釈が領域ごとに分岐します。設計の初期から、5領域の担当者が同じ表を見る場を設けてください。

切り替えの手順も設計に含めます。EDIで受けている取引先と、ECへ移す取引先を分け、両方が並走する期間を想定してください。並走の間は同じ商品が2つの経路から入るため、単位の解釈が経路ごとに違うと在庫が合いません。経路をまたいで同じ換算の規則を使うことを、移行の条件に据えてください。

入数変更や商品改廃が起きたときの運用

入数の変更は、商品コードの付け替えを伴います。標準化団体は、集合包装の入数を変更した場合に新しいコードを設定する基準を示しています*5。同じコードのまま入数だけを書き換えると、過去の受注や在庫の記録が読めなくなります。変更の決定から旧コードの停止までを工程として定義し、切替日を関係先へ知らせる運用が要ります。改廃の頻度が高い商材ほど、この工程の型を先に作っておくと負荷が下がります。

入数変更に伴う付け替えは、4つの段で進みます。変更の決定では、対象の商品と適用の開始日を確定します。新コードの登録では、新しい集合包装用商品コードと入数を商品データへ追加します。切替日の告知では、取引先と社内の関係部門へ変更の内容を知らせます。旧コードの停止では、受注の受け付けを止め、在庫が尽きた時点で表示から外します。

新旧のコードは、一定の期間を並走させる前提で設計してください。旧入数の在庫が残っている間に新入数の入荷が始まると、同じ商品名で2つの入数が並びます。画面上で入数を明示し、注文者がどちらを選んでいるか判別できる表示にしてください。並走の期間は、在庫の回転と発注の頻度から逆算します。

受注中のデータの扱いは、切替日をまたぐ注文で問題になります。注文の時点の入数を明細へ写し取っていれば、切替の後も当時の数量を再現できます。写し取っていない場合、出荷の段階で数量が変わり、請求との差異が生じます。切替を前提にした明細の持ち方は、変更が起きてからでは間に合いません。

旧コードは、停止した後も記録として残してください。標準化団体の資料では、入数を変更した場合に新しいコードを設定する基準が示されています*5。停止したコードを別の商品へ早く回すと、過去の受注や在庫の記録と取り違えます。

告知の相手は、取引先だけではありません。倉庫・配送・受注・請求の各担当が、それぞれ違うデータを見て作業しています。切替日と対象商品の一覧を1つの通知にまとめ、同じ内容を同じ日に配ってください。部門ごとに別々の連絡を出すと、適用日の解釈が分かれます。

単位マスタの棚卸しは、定期の作業として置いてください。使われていない単位コード、入数が空欄の商品、換算の値が整数にならない商品を抽出し、一覧にして持ち主を決めます。放置された単位は、新しい取引先を追加したときに誤って選ばれます。棚卸しの周期は、商品改廃の頻度に合わせて決めます。

保守の体制は、担当者1人に依存させない形にします。単位の規則は文書に残し、判断が分かれた事例と結論を追記していく運用が有効です。記録がないと、過去に決めた例外の理由を誰も説明できなくなります。引き継ぎのたびに規則が作り直される状態は、データの一貫性を失わせます。

導入前に整理すべきチェックポイント

導入の前に整理する対象は、現行の単位運用・要件定義の項目・適用範囲の広げ方という3点です。現行の運用は、注文書の様式と受注担当者の判断の規則を集めるところから始めます。要件定義では、単位・入数・発注単位・最低発注数量・端数処理の5項目を商品群ごとに埋めます。適用範囲は、単位の運用が単純な商品群から始め、例外の多い商品群を後へ回す順序が安全です。全商品を同時に移すと、例外の切り分けができなくなります。

現行の単位運用の洗い出しは、書面と記憶の両方を対象にします。注文書の様式・価格表・出荷指示の帳票を並べ、単位がどの欄に書かれているかを一覧にしてください。担当者が経験で補っている判断は、書面に残っていません。取引先別の例外は、受注担当者への聞き取りでしか集まらないことがあります。

要件定義で確認する項目は、データの持ち方と画面の見せ方に分かれます。データ側では、単位別レコード方式と単位従属方式のどちらを採るかを最初に決めます。画面側では、単位の表示位置・数量入力の刻み・確定数量の通知方法を定めます。両者を別々に決めると、画面でできることとデータの持ち方が食い違います。

適用範囲は、3段階に分けて広げる進め方が扱いやすくなります。第一段階では、ケース単位のみの商品群を対象に受注の流れを確かめます。第二段階で、バラ単位と端数処理を加えます。第三段階で、取引先別の条件と入数変更の運用を載せます。段階ごとに、受注の訂正件数を記録して比べてください。

段階を分ける効果は、数で確かめられます。第一段階から第三段階まで、受注の訂正件数と問い合わせの件数を段階ごとに記録してください。次の段階へ進む条件を件数で決めると、判断が担当者の感覚に寄りません。

内製で進める場合と外部の設計者へ委託する場合では、負担の内訳が変わります。内製では、商品データの設計・単位換算の実装・標準EDIの項目定義・基幹連携・倉庫の作業手順という5領域を、自社の人員で同時に担います。委託では、他社での設計の型をもとに、例外の切り分け方を先に示してもらえます。判断の材料が揃う分だけ、要件定義の期間を短くできます。

単位の設計は、公開の後に作り直すと負担の重い領域です。商品データの構造を変えると、価格・在庫・受注履歴のすべてを移し替える作業が発生します。移し替えの間は、受注を止めるか二重で入力するかの選択を迫られます。設計の段階で第三者の目を入れておくと、この作り直しが起きる確率を下げられます。

進め方が固まったら、判断の記録を残してください。なぜその単位を最小単位に選んだのか、なぜ端数を切り上げないのかを1行ずつ書き添えます。記録があれば、担当が替わっても規則の意図が引き継がれます。単位の設計は一度で完成させるものではなく、取引先の追加に合わせて育てていくものです。

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よくある質問

入数が同じでも外装の材質や寸法が変わったら、商品コードは変えるべきですか

外装の変更がどの項目に及ぶかで判断が分かれます。標準化団体はコード変更の基準を項目別に示しており、集合包装の入数を変えた場合は新しいコードを設定するよう定めています*5。寸法や材質のみの変更については、該当する基準の記載を原典で確かめたうえで社内の規則を決めてください。

バラ単位の販売を一部の取引先だけに限定できますか

単位別レコード方式を採っていれば、レコードごとに公開の範囲を切り替える形で限定できます。単位従属方式の場合は、単位ごとの公開可否を取引先の属性と組み合わせて持つ必要があります。いずれの方式でも、限定の条件を注文画面に表示し、選べない理由が分かるようにしてください。

端数の注文を自動でケースへ切り上げても差し支えありませんか

取引先の承諾がある範囲であれば運用できますが、注文の確定前に数量の変化を画面で示すことが前提になります。賞味期限の短い商品では、切り上げが過剰在庫の押し付けになります。商品群ごとに切り上げるかどうかを分け、条件を取引の条件書と画面の両方に残してください。

入数違いの商品を1つの商品コードで運用してはいけませんか

集合包装の入数を変更した場合は新しいコードを設定する基準が示されているため、入数違いを同一コードで扱う運用は基準から外れます*5。同一コードのままでは、受注履歴と在庫の記録から当時の入数を再現できません。入数ごとにコードを分け、受注明細にも入数を写し取ってください。

EDIと自社ECで単位の持ち方を揃える必要がありますか

揃える必要があります。標準のEDI仕様では業務の流れに沿ったメッセージが定義されており、自社の単位コードとの対応表を保守する形になります*6。経路ごとに換算の規則が違うと、同じ商品が2つの経路から入ったときに在庫が合いません。換算は1か所に集約してください。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. *1 出典:国土交通省「物流効率化法について(荷主・物流事業者の皆様へ)」(2025) 経路
  2. *2 出典:国土交通省「加工食品分野における物流標準化アクションプラン フォローアップ会」(2020) 経路
  3. *3 出典:農林水産省「食品等の流通の合理化について」(2024) 経路
  4. *4 出典:GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)「GTIN(集合包装用商品コード)とITFシンボル」(公表年の記載なし) 経路
  5. *5 出典:GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)「GTIN変更ルール【基準8】集合包装の入数を変更した場合」(公表年の記載なし) 経路
  6. *6 出典:流通BMS協議会/一般財団法人流通システム開発センター「流通BMS標準仕様(基本形 Ver.2.0 ほか)」(2018) 経路
  7. *7 出典:日本経営工学会「多段階在庫システムにおけるデカップリング在庫に関する研究(日本経営工学会論文誌 第52巻2号)」(2001) 経路

画像の出典元

  1. a close-up of a grey wallet/Photo by Anne Nygård on Unsplash
  2. Empty green shelves in a warehouse with signs/Photo by lim woojung on Unsplash

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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