まずは卸売ECを小規模でスタートしたい方へ。リーズナブルなSaaS(ASP)版『EC-Rider Primo(プリモ)』誕生! 詳しくはこちら

返品の受け付けを迷わせない書き方|BtoB ECの条件設計

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 返品条件は返品の可否、申し出の期限、費用の負担の3点を、対象と対象外に分けて書き切ります。
  • 消費者向けの通信販売では返品特約を表示しない場合に引渡しから8日間の解除が働き、事業者間取引はこの規定の適用除外です。
  • 事業者間の売買では、受領後の検査と通知、相違を6か月内に発見した場合の定めが期限の基準になります。
  • 製造委託などにあたる取引では受託側に責任のない返品が禁じられ、代金の支払期日は受領日から60日以内です。

A waiter serving pumpkin soup and salad on a tray in a moder
▽ 写真の出典元

返品の受け付けを迷わせない書き方とは

返品の受け付けを迷わせない書き方とは、返品の可否、申し出の期限、費用の負担の3点を、受け付ける対象と対象外に分けて言い切る書き方です。消費者向けの通信販売では、返品特約を表示しないと、引渡しを受けた日から8日間は買い手が自らの費用負担で契約を解除できます1。一方、事業者間の取引はこの規定の適用除外にあたり、商法第526条の検査と通知が判断の土台になります1*3。どちらの土台に立つかを決めてから文面を書くと、担当者ごとの判断の揺れが小さくなります。

返品条件の文面の点検は3つの段で進みます。最初の段は法令が表示を求める事項で、商品の代金と送料、引渡しの時期、申込みの撤回や解除に関する事項を条文の列挙に沿って数え上げます。次の段はガイドラインが示す表示の位置で、広告と最終確認画面の双方で条件が読めるかを確かめます。最後の段は自社の運用で決める細目で、返金の方法や処理の日数の目安を定めます。この順で見直せば、後から法令の求めに戻る手戻りを避けられます。
法令とガイドラインに基づく返品条件の記載の点検の順序

返品条件の記載は、社外への告知と社内の判断基準を同時に担います。買い手は注文前に費用と期限を確認でき、受け付ける側は同じ文面を根拠に回答できるでしょう。記載が抜けていれば、受け付けの線引きは担当者の経験に委ねられてしまいます。同じ内容の申し出に別の回答が返ると、取引先の不信を招きます。

1つ目の要素は返品の可否です。ここでは対象の範囲と対象外の明示を必ず対で書きます。対象の範囲は、誤配送、数量の相違、輸送中の破損のように、原因で切り分けると読み手が当てはめやすくなるはずです。対象外の明示は、開封済みの衛生用品、受注生産品、指定納期に合わせて手配した特注品のように、品目と事情を並べて書きます。

2つ目は申し出の期限です。起点の基準と日数の明示を分けて決めれば、受け付けの可否は機械的に判定できます。起点には納品日、検収完了日、着荷通知の到達日など、記録が残る日付を選びましょう。日数の明示では営業日か暦日かを書き分け、締切の時刻も添えます。

3つ目は費用の負担で、返送の送料と返金の方法に分かれます。返送の送料については、誤配送や品違いの場合と、買い手の都合による場合とで負担者が変わる点を明記してください。返金の方法は、次回請求との相殺、振込、決済の取消のうち、どれを既定とするかを先に決めます。処理日数の目安を併記すると、経理からの照会も減るでしょう。

3つの要素は、いずれも数値で書き切ると迷いが消えます。消費者向けの通信販売では、起点が引渡しを受けた日、日数が8日間と定められています1。事業者間の売買では、直ちに発見できない種類や品質の相違について、受領から6か月内の発見と通知が請求権の維持につながります3。自社の文面でも、起点となる日付と日数、締切の時刻を数値で示し、根拠となる条文を社内向けの注記に添えてください。

記載の欠落は、問い合わせと差し戻しという2つの工数に姿を変えます。文面で答えられない照会は、担当者の確認と上位者の判断を経なければ回答できません。受け付けの判断が遅れると、返送品が入荷検査の手前で滞留し、再出荷と再請求の手戻りが生じます。在庫の引き当てや請求の締めにも影響するため、記載の不備は現場の負荷として跳ね返ります。

文面を整える作業は、法令の確認と自社の運用の両方に踏み込む仕事です。消費者向けの規定をそのまま持ち込むと、8日間の解除を前提にした運用が事業者間取引にも流れ込みます1。逆に商法の検査と通知だけを頼りに書くと、広告に表示すべき事項が漏れる恐れがあります2。判断に迷う条項は、自社の法務や外部の専門家に確認しながら固めるのが安全です。

返品条件の文面を固める優先順5点(順位根拠:着手順序の依存関係)

  1. 受け付ける範囲を原因別に決めます。誤配送、数量の相違、輸送中の破損のように、責任の所在がはっきりする事由から書き出します。
  2. 対象外を品目と事情で切り分けます。受注生産品や開封済みの衛生用品のように、どの条件に当てはまると受け付けられないのかを明記します。
  3. 申し出の期限を記録の残る日付から数えます。受領後に遅滞なく検査し直ちに通知する定めと、相違を6か月内に発見した場合の扱いが基準になります。
  4. 送料と返金の負担を原因別に対応させます。誤配送は自社負担、買い手の都合は買い手負担のように、負担者を1対1で書き切ります。
  5. 表示の位置を広告と最終確認画面の双方にそろえます。表示がない場合、消費者向けの通信販売では引渡しから8日間の解除が働きます。

返品条件の記載で迷いが生じる場面

A waiter serves wine in an upscale Tokyo restaurant, capturi
▽ 写真の出典元

迷いが生じる場面は3つに整理できます。受注前の確認と受領後の申し出がずれる場合、担当者ごとに解釈が変わる書き方をしている場合、そして消費者向けの文面をそのまま流用している場合です。いずれも文面の量ではなく、書き分けの不足に原因があります。3つ目では、引渡しから8日間の解除を定めた規定が事業者間取引では適用除外である点*1を見落とすため、契約の内容と社内の運用が食い違います。

受注前の確認と受領後の申し出は、見ている情報が違います。買い手は見積書や注文請書の条件を見て発注し、受領後は現物と納品書を見て申し出ます。特注品の返品不可を見積書の備考にだけ書いていると、サイト上の条件だけを見た担当者には伝わりません。注文の直前に確認できる位置へ同じ条件を置くと、このずれは小さくできます*2

解釈の幅を残す語は、担当者ごとの判断を生みます。「原則として」「別途協議のうえ」「速やかに」といった語は、例外の範囲と期限を読み手に委ねてしまいます。原則を書くのであれば、例外にあたる事情の列挙が欠かせません。協議に委ねる場合も、協議を申し入れる期限と窓口を書けば、受け付けの入口はそろいます。

消費者向けの返品ポリシーには、事業者間取引では前提が合わない条項が混ざります。返品特約を表示しない場合に働く解除の権利は、消費者向けの通信販売を対象にした規定です1。事業者間の売買では、受領後の検査と通知を怠った買い手は、追完や代金の減額を求められなくなります3。同じ文面で両方を賄おうとすると、どちらの相手にも合わない条件が残ってしまいます。

流用の危うさは、取引の形態が変わる場面でも表れます。製造委託や修理委託にあたる取引では、受託側に責任がないのに受領後に返品することが禁じられ、代金の支払期日も物品などを受領した日から60日以内に定めなければなりません4。この法律は名称と内容が改められ、2026年1月1日から施行されています4。同じ品目でも、売買として仕入れるのか委託して作らせるのかで書ける条件が変わるため、文面は取引の形態ごとに分けて用意してください。

受け付けの記録が残らないことも、迷いを長引かせます。前例を探せなければ、似た申し出にも一から確認が要ります。返品の可否、申し出の期限、費用の負担のどれを根拠に判断したのかを1件ずつ残せば、次の判断は速くなるでしょう。記録は文面の見直しの材料にもなり、例外が集まる条項から順に手を入れられます。

迷いの影響は、受け付け窓口だけにとどまりません。返送品の入荷を待つ在庫は引き当てられず、代替品の出荷判断も止まります。返金の方法が決まらないかぎり、請求の締めまで持ち越しになってしまいます。窓口の工数だけを見て文面を直せば、こうした後工程の滞りは残ったままでしょう。

書き分けができていない状態は、費用としても表れるものです。買い手の都合による返品を受け付けるたびに、返送の送料、入荷検査、再梱包、再出荷の工数がそのつど発生します。値引きや次回請求との相殺で処理すれば、粗利は返品のたびに削られます。どこまでを受け付けるのかを先に決めておくことが、この持ち出しを抑える近道です。

Smiling man in a colorful shirt hands an item in a narrow alleyway.
▽ 写真の出典元

自社の商流に合わせた要件整理を進めたい場合は、無料相談で要件を整理するのが近道です。

法令とガイドラインが求める記載事項

返品条件の文面は4つの段階で決めます。受け付ける範囲では、誤配送、数量の相違、輸送中の破損のように責任の所在がはっきりする事由から書き出します。対象外の切り分けでは、受注生産品、特注品、開封済みの衛生用品を品目と事情の2つの軸で外します。申し出の起点では、納品日、検収完了日、着荷通知の到達日のうち記録が残る日付を選びます。送料と返金の負担では、次回請求との相殺、振込、決済の取消のどれを既定とするかを決め、原因と負担者を1対1で対応させます。
迷わせない返品条件の文面を決める4つの段階と書き出す項目

消費者向けの通信販売では、特定商取引法が広告に表示すべき事項を定めており、返品特約もその1つです1。返品特約を表示していない場合、買い手は引渡しを受けた日から8日間、自らの費用負担で契約を解除できます1。表示の位置と判読しやすさについては、返品特約の表示についてのガイドラインが、最終確認画面での扱いまで示しています2。事業者間取引はこの規定の適用除外ですが1、表示の考え方は自社の文面づくりにそのまま使えるでしょう。

表示の場面は広告と最終確認画面の2つに分けて考えます。広告では、返品の可否とその条件、送料の負担を含めて表示することが求められます1。最終確認画面では、注文の内容と併せて返品特約を確認できる位置に置く扱いが示されています2。どちらか一方に置くだけでは、注文の直前に条件を確かめたい買い手の目に触れません。

判読しやすさは、文字の大きさや色、周囲の情報との対比で決まるものです。折りたたみの中だけに条件を隠すと、確認したはずという前提は崩れてしまいます。リンク先の別ページへ送る場合も、リンクの文言から中身が分かる書き方が要ります*2。返品特約を注文フォームと同じ画面に置き、送料の負担まで同じ場所で読めるようにすると照会は減るでしょう。

法定の表示事項は、広告の体裁を理由に省けません。代金や送料の負担、引渡しの時期、申込みの撤回や解除に関する事項は、いずれも表示の対象です1。返品の可否だけを書いて期限と費用の負担を落とすと、返品特約としては不十分になります。業界団体が公表する指針も、表示すべき項目の並べ方をそろえる助けになります7。

表示の対象となる事項は、条文の列挙に沿って数え上げると漏れが出ません。商品の代金と送料、代金の支払時期と方法、商品の引渡しの時期、申込みの撤回や解除に関する事項、事業者の氏名や住所、電話番号が並びます1。返品特約は、このうち申込みの撤回や解除に関する事項として表示する位置づけです1。業界団体の指針も同じ並びで項目を示しているため、自社の画面と1項目ずつ突き合わせる点検の台帳に使えるでしょう*7

法定返品権は、表示の不足を補うために働く仕組みです。返品特約を表示していれば、その特約の内容が優先します1。つまり、返品を受け付けない範囲を定めたい事業者ほど、表示を丁寧に整える動機を持つはずです。表示の不足は、引渡しから8日間の解除という形で費用に転じます1。

適用除外は、記載を省いてよいという意味ではありません。事業者間取引が対象から外れるのは、消費者向けの規定に基づく解除や表示の義務についてです*1。取引先との合意は契約と注文の条件で決まるため、書いていない事柄は後から主張しづらくなります。適用除外の取引でも、広告に準じた表示をそろえておくほうが安全でしょう。

文面の点検は、根拠のある項目から順に当たると漏れが出ません。まず法令が表示を求める事項、次にガイドラインが示す表示の位置、最後に自社の運用で決める細目という順序です12。この順で見直せば、後から法令の求めに戻る手戻りを避けられます。細目だけを先に作り込むと、根拠の確認の段階で書き直しになってしまいます。

事業者間取引で押さえる返品の線引き

A waitress in a red uniform handing a menu to a guest at an
▽ 写真の出典元

事業者間取引の線引きは3つの軸で決まります。1つ目は消費者向け規制の適用範囲で、通信販売の解除や表示の規定は事業者間の取引には及びません1。2つ目は商法第526条で、買い手は受領後に遅滞なく検査し、種類や品質の相違を直ちに通知しなければ、追完や代金の減額を求められません3。3つ目は取引の形態で、製造委託などにあたる取引では、受託側に責任がないのに返品することが禁じられています*4

適用除外の範囲は、条文で確かめておく価値があります。通信販売の章の規定は、営業として、または営業のために契約する相手には適用されません1。この線引きにより、事業者間の売買では8日間の解除を当然の前提にできません。代わりに、契約書と注文の条件、そして商法の定めが判断の土台になります3。

商法第526条は、返品の期限を書くときの基準になります。買い手は目的物を受領したら遅滞なく検査し、相違を見つけたら直ちに通知する義務を負います3。直ちに発見できない相違については、受領から6か月内に発見して通知すれば、請求権の維持につながるでしょう3。この定めを踏まえると、申し出の期限は納品日や検収完了日を起点に書くのが自然です。

商法第526条には、押さえておくべき例外もあります。この検査と通知の定めは、売り手が種類や品質、数量の相違を知っていた場合には適用されません3。期限を過ぎた申し出であっても、売り手側の認識によって受け付けの判断が変わり得るということです。受領から6か月という期間も、直ちに発見できない相違に限って働くため、文面では通知の期限とこの期間を分けて書いてください3。

期限を決めるときは、検査に要する日数を自社と取引先の実務から積み上げます。開梱と数量の確認で済む品目と、通電や実装の確認が要る品目では、必要な日数が違います。品目の区分ごとに期限を書き分ければ、短すぎる期限による紛争は避けられるでしょう。契約で期限を定める場合の効力は個別の取引条件に左右されるため、自社の法務や専門家に確認してください。

委託取引では、返品そのものが禁じられる場合があります。製造委託や修理委託などに該当する取引では、受託側に責任がないのに受領後に返品することが禁止されています4。この法律は名称と内容が改められ、2026年1月1日から施行されています4。代金の支払期日も、物品などを受領した日から60日以内に定める必要があります*4

取引上の地位に差がある場合は、独占禁止法の考え方も関わります。あらかじめ返品の条件を明確にせずに購入した商品を返品すれば、相手に不当な不利益を与える行為とみなされる可能性があります6。返品の条件を書いて合意しておく作業は、この観点からも意味を持つはずです。運用状況は毎年度公表され、指導や勧告の対象となった取組が示されています5。

線引きを自社だけで固めるには、複数の知識が同時に要ります。特定商取引法の表示事項、商法の検査と通知、委託取引の禁止行為、独占禁止法の考え方の4つを、自社の品目と取引形態に当てはめる作業です1346。条文とガイドラインの原典まで戻る確認が要るため、法務の担当と受注の現場が同席する場を設けるのが近道でしょう。判断に迷う条項は、外部の専門家の確認を挟むと後の紛争を避けられます。

迷わせない返品条件の書き方の手順

書き方の手順は、受け付ける範囲、対象外の切り分け、申し出の起点、送料と返金の負担の順に決めます。この順序には理由があり、範囲が決まらないと期限も費用も置き所が定まりません。範囲と対象外を原因別に書き、期限は納品日や検収完了日のように記録が残る日付から数え、費用は場合ごとに負担者を書き切りましょう。ここまで決めれば、受け付けの判断は文面の参照だけで済むようになります。

受け付ける範囲は、原因で分けると読み手に伝わります。誤配送、数量の相違、輸送中の破損、仕様と異なる納品のように、責任の所在がはっきりする事由から書き出しましょう。次に、買い手の都合による返品を受け付けるかどうかを別項目で示します。同じ項目に混ぜて書くと、費用の負担が読み取れなくなってしまいます。

対象外の切り分けは、品目と事情の2つの軸で書きます。受注生産品、特注品、開封済みの衛生用品のように品目で外す場合と、指定納期に合わせて手配した場合のように事情で外す場合があります。一律に返品できないと書くのではなく、どの条件に当てはまると受け付けられないのかを示すほうが、問い合わせは減るでしょう。対象外にした理由を1行添えると、取引先の納得も得やすくなります。

申し出の起点は、記録が残る日付から選びます。納品日、検収完了日、着荷通知の到達日のいずれを使うかを決め、営業日か暦日かも書き添えましょう。商法の定めでは、受領後に遅滞なく検査し、直ちに通知することが前提です*3。この前提と自社の検査日数を突き合わせると、期限の日数に根拠を持たせられます。

送料と返金の負担は、場合分けの表として書くと迷いが消えます。誤配送や品違いでは自社負担、買い手の都合では買い手負担のように、原因と負担者を1対1で対応させます。返金は、次回請求との相殺、振込、決済の取消のどれを既定にするかを決めておきましょう。処理の日数の目安も書けば、経理と窓口の往復が少なくなります。

負担と返金の欄には、期日の数値も入れておきます。委託にあたる取引では、代金の支払期日を物品などを受領した日から60日以内に定める必要があるため、返金や相殺の処理をこの期日の内側に収める設計が要ります*4。振込を既定にするなら、申し出の受領、入荷検査、返金の実行という工程ごとに日数を置き、合計の目安を文面へ書きましょう。ここで「速やかに」という表現に戻さないことが、場合分けを数値で書き切る要点です。

文面は、条文のような長い一文にしないほうが読まれます。1項目1文を目安に、見出しと箇条書きで区切りましょう。同じ内容を別の場所に二重に書くと、片方だけ改定して食い違いが生まれます。改定の履歴と適用の開始時期を末尾に添えておけば、どの版が適用されるのかも判断できるでしょう。

文面の確定は、受注、物流、経理、法務の合意があって初めて成り立つものです。受け付ける範囲は物流の検査能力に、返金の方法は経理の締めに、対象外の条項は法務の判断に関わります。どこか1つの部門だけで決めた文面は、運用の段階で例外を積み上げてしまいます。関係する部門が同じ文面を見て合意する場を、改定のたびに設けてください。

記載を運用に落とすための体制と点検

記載を運用に落とす作業は、受け付けの導線、判断の基準の共有、記載の見直しという3点で組み立てます。返品条件の文面と申し出フォームの項目が対応していなければ、窓口は文面の外で判断を続けます。判断の根拠と結果を1件ずつ記録に残せば、担当者が代わっても同じ回答を出せるでしょう。法令や指針の改定が公表された時点で文面を見直す段取りも、あらかじめ決めておきます。

申し出フォームの項目は、返品条件の記載と1対1で対応させます。注文番号、品番、数量、事由の区分、写真の添付を必須にすると、受け付けの判断に必要な情報が最初から集まります。事由の区分は、文面で分けた原因の区分と同じ言葉にそろえてください。言葉がずれていると、申し出を集計しても文面の見直しに使えません。

判断の基準は、文面の条項番号で引ける形に落とします。受け付けの記録には、申し出の日、起点の日付、適用した条項、費用の負担、返金の方法を残しましょう。条項ごとに件数を数えると、例外が集まる条項が浮かび上がります。そこが文面の書き直しの候補です。

点検の観点は5つに絞れます。法令が表示を求める事項の充足、広告と最終確認画面の表示の一致2、事業者間取引と消費者向けの書き分け1、委託取引にあたる場合の禁止行為の確認4、そして条項と実際の運用の一致です。改定の頻度が高いのは法令に関わる部分のため、公表を追う担当を決めておくと抜けが防げます5。

改定を追う仕組みは、点検の日付を先に決めておくほうが続きます。委託取引に関する法律が2026年1月1日から新しい名称と内容で施行されたように、根拠となる法令は数年の単位で動きます4。運用状況は毎年度公表され、指導や勧告の対象となった取組が示されるため、その公表の時期に合わせて年1回の点検日を置くとよいでしょう5。点検の記録には、確認した原典の名称、確認した日、そのとき適用していた文面の版を残してください。

文面の整備を内製で仕上げるには、複数の担い手が必要です。条文とガイドラインの原典を読む法務の担当と、受け付けの実務を把握する受注の担当が要ります。フォームと表示を直す制作の担当、返金の処理を確認する経理の担当も関わります。改定のたびに、原典の確認、文面の起草、部門間の合意、画面への反映という4つの工程を通します。工程の1つが欠ければ、表示と運用のどちらかが古い状態で残るでしょう。

外部の確認を挟む価値は、原典に戻る手間と紛争の回避の2点です。表示事項の根拠、適用除外の範囲、委託取引の禁止行為は、条文と指針の原典で確かめる作業が要ります13*4。自社だけで進めると、改定の見落としや消費者向け文面の流用が残りやすくなります。個別の取引条件については、自社の法務や外部の専門家に確認しながら固めるのが安全でしょう。

返品条件の記載は、一度書いて終わる文書ではありません。取り扱う品目、取引の形態、法令の改定に合わせて版を重ねる文書です。書き方を整えることで、返品の件数そのものが下がるとは言い切れません。それでも、受け付けの判断の基準はそろい、問い合わせと差し戻しにかかる社内の手間には見通しが立ちます。

BtoB通販システムのご相談

貴社の商習慣に合わせたご提案をいたします。

無料相談はこちら

よくある質問

返品特約はサイトのどこに表示すればよいですか。

広告と最終確認画面の双方で読める位置に置くのが基本です。消費者向けの通信販売では、返品の可否と条件、送料の負担が広告の表示事項に含まれ*1、最終確認画面での扱いはガイドラインが示しています*2。別ページへリンクする場合は、リンクの文言から中身が分かるようにしてください。

事業者間取引でも引渡しから8日間で返品を受け付ける必要がありますか。

通信販売の解除の規定は事業者間取引には及びません*1。営業として、または営業のために契約する相手は適用除外にあたるためです。事業者間では契約書と注文の条件、そして受領後に遅滞なく検査し直ちに通知するという商法の定めが判断の土台になります*3

返品の申し出期限を契約で短く定めることはできますか。

商法は受領後の遅滞ない検査と直ちの通知を求め、直ちに発見できない相違は受領から6か月内の発見と通知を前提としています*3。期限を定める場合の効力は個別の取引条件に左右されるため、自社の法務や専門家への確認が要ります。品目ごとの検査日数から積み上げて書き分けてください。

取引先からの返品を断れる場合と断れない場合はどこで分かれますか。

取引の形態と条件の明確さで分かれます。製造委託などにあたる取引では、受託側に責任がないのに受領後に返品することが禁止されています*4。地位に差がある取引で、あらかじめ返品の条件を明確にせずに返品すれば、不当な不利益を与える行為とみなされる可能性があります*6

返品条件を整えると問い合わせの件数は減りますか。

件数が減ると言い切れる根拠はありません。整備の効果は、受け付けの判断の基準がそろうことにあります。条項番号で判断を引ける状態になれば、窓口が上位者へ上げる照会が減り、返送品の滞留や請求の締めへの影響にも見通しが立つでしょう。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. *1 出典:消費者庁「特定商取引法ガイド 通信販売(広告表示事項・適用除外)」(2026) 経路
  2. *2 出典:消費者庁「通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン(ガイドライン一覧)」(2023) 経路
  3. *3 出典:デジタル庁(e-Gov法令検索)「商法(明治三十二年法律第四十八号)第五百二十六条 買主による目的物の検査及び通知」(2026) 経路
  4. *4 出典:公正取引委員会「取適法(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)」(2026) 経路
  5. *5 出典:公正取引委員会「令和7年度における取適法の運用状況及び中小事業者等の取引適正化に向けた取組」(2026) 経路
  6. *6 出典:公正取引委員会「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方(第4の3(2)返品)」(2010) 経路
  7. *7 出典:公益社団法人日本通信販売協会「ガイドライン一覧(返品特約の表示に関する指針)」(2026) 経路

画像の出典元

  1. A waiter serving pumpkin soup and salad on a tray in a moder/Photo by Szymon Shields on Pexels
  2. A waiter serves wine in an upscale Tokyo restaurant, capturi/Photo by Szymon Shields on Pexels
  3. A waitress in a red uniform handing a menu to a guest at an/Photo by Bhefan Tedjo on Pexels
  4. Smiling man in a colorful shirt hands an item in a narrow alleyway./Photo by Aji Yasa Darmawan on Pexels

Photos provided by Pexels

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

記事内容に関するお問い合わせ:お問い合わせフォーム

BtoB EC(受発注)サイト構築システム「EC-Rider B2B Ⅱ」への
各種お問い合わせ

ページTOPへ戻る
無料相談を予約 お見積
平日10:00~18:00
page
top