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展示会受注システムの効果|受注業務とデータ活用の変化

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 展示会受注システムは会場での入力を1回に集約し、会期後の転記入力という工程そのものをなくします。
  • 効果は、受注確定までのリードタイム、入力工数、差し戻しの件数、費用対効果という4つの指標で測ると社内で説明しやすくなります。
  • 商品マスタと仮品番の整備、会場の通信環境、取引先の入力負担という3つの前提条件が欠けると、効果は目減りします。
  • 電子でやり取りした注文書は電子のまま保存し、名刺情報の利用目的も公的な見解に沿って整理する必要があります。

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▽ 写真の出典元

展示会受注システムとは

展示会受注システムとは、展示会や受注会の会場で受け取った注文をその場で電子データとして記録し、集計と後続処理までつなぐ仕組みです。紙のオーダーシートに書いた内容を社内で打ち直す工程をなくし、受注の確定を前倒しします。対象となる業務は、商品情報の提示、数量の入力、在庫と取引条件の照会、集計、基幹システムへの引き渡しという5つに分かれます。得られる効果の大きさは商習慣と前提条件に左右されますので、自社の運用に当てはめて見極めてください。

会期中の手書き受注で紙に残った注文が、会期後の転記入力という打ち直しの工程を生み、その日数がそのまま集計の遅れにつながることを、三つの段で縦に示した図です。
会期中の手書き受注から集計の遅れに至る工程の連なり

紙のオーダーシート運用との違いは、同じ注文情報を何回書き写すかにあります。紙の運用では、会場で手書きし、社内でその文字を読み取り、基幹システムへ打ち直す3つの工程を踏みます。電子化した運用では入力が会場での1回に集約され、以降は転記ではなく確認の工程に変わります。書き写しの回数が減れば、写し間違いが入り込む余地も狭まります。用紙の束を保管したり探したりする手間も同時に消えます。

対象となる業務は、受注の入力だけにとどまりません。品番・カラー・サイズ・数量・納期・上代といった項目を組み合わせ、サイズ別の数量をマトリクスの形で受け取る場面が中心になります。あわせて、取引先ごとの掛率や締め日、既存の受注残を参照しながら数量を詰めていきます。会期が終われば、ブランド別・取引先別・品番別の集計が生産と仕入れの判断材料に変わります。

基幹システムやBtoB ECとの位置づけも先に整理しておきましょう。BtoB EC(企業間の取引をウェブ上で完結させる仕組み)は通年の追加発注を受ける入口であり、展示会受注システムは会期に集中する初回発注を受ける入口です。両者が別々に受注データを抱えると、同じ取引先の数量が二重に見えてしまいます。どちらが確定値を持つかを決めておけば、後段の生産計画は揺れません。

企業のデジタル化そのものは、公的な調査が継続して追いかけている領域です。企業のデジタル化の現況は白書として毎年整理されており1、取組の状況と課題をまとめた年次の調査も公表されています2。中小企業に絞ってデジタル化の実態を集計した結果も公開されました*3。ただし、これらは企業全体の傾向を示すもので、展示会という個別業務の効果を保証するものではありません。

提供の形は、会場に持ち込むタブレットや軽量のノートを端末とし、クラウド上の画面から入力する構成が中心です。展示会向けの受注機能を製品として備えたBtoB EC基盤の情報も公開されています*4。会場の通信が不安定な場面に備え、入力をいったん手元に保持して後から送る動作を持つ製品もあります。自社の会場条件に合う動作かどうかは、選定の初期に確かめてください。

検討の段階では、受注の入口を1つにするか複数を許すかという方針も決まります。会場での入力に加え、会期の後に取引先が自ら追加の注文を入れる経路を開く運用もあります。経路が増えるほど利便性は上がりますが、締め切りと確定の管理は複雑になります。まずは会場での入力に絞り、運用が固まってから経路を増やす順序が扱いやすいでしょう。

導入前に確認する前提条件の優先順5点(順位の根拠:着手の順序と依存関係)

  1. 商品マスタの登録範囲を決めます。品番・カラー・サイズ・上代・掛率のうち、基幹システムから出力できる項目と手作業で足す項目を切り分けます。
  2. 仮品番の付与と差し替えの手順を文書にします。誰がいつ正式な品番へ差し替え、受注データをどう更新するかまで決めておきます。
  3. 会場の通信環境を確認します。有線の手配、携帯回線の併用、通信が切れた際の一時保存という3つの備えを用意します。
  4. 取引先バイヤー側の運用負担を設計します。入力は営業担当が代行し、確認と控えの受け取りだけを相手に任せる形が扱いやすくなります。
  5. 保存の要件と権限設定を要件に含めます。電子でやり取りした取引情報の検索の条件と、会期の終了とともに応援の要員の権限を止める手順を決めます。

展示会の受注業務で起きやすい課題

会期前には商品マスタの登録と仮品番の付与を済ませ、会期中は在庫照会とリアルタイム集計を使って商談を進め、会期後に確定処理とフォローの連絡へ移るという、三つの段階と六つの作業の対応を示した図です。
会期前・会期中・会期後に分かれる作業の割り振り

展示会の受注業務でつまずきやすい点は、3つの工程のつなぎ目に集まります。第一に、会期中の手書き受注によって注文の内容が紙の上に閉じ込められます。第二に、会期後の転記入力へ人手と日数を取られます。第三に、集計の遅れが生産や仕入れの判断を後ろへずらします。いずれも担当者の不注意ではなく、紙と人の間で情報を渡す手順そのものから生まれます。ここでは、3点がどのように連鎖するのかを順に追います。

会場での商談は立ったまま進み、バイヤーは限られた時間で複数のブランドを回ります。営業担当は品番とサイズ別の数量を手早く書き取るため、書式や略記が担当者ごとに揺れます。品番の読み違いは誤出荷につながり、返品と再出荷の送料、再検品の手間が発生します。紙が会場から動かない間、社内の誰も受注の全体像をつかめません。会期の途中で数量を積み上げたくても、用紙の束を数えるほかに手がないためです。

商談中に在庫や取引状況が見えないことも、受注の質を下げる要因になります。生産枠の残りや既存の受注残が分からないまま数量を約束すると、後から調整の連絡が必要になります。取引先ごとの掛率や与信の状態を画面で確かめられず、その場で答えを出せない場面も生じます。持ち帰って回答する分だけ、注文の確定は先へずれていきます。バイヤー側から見ても、回答待ちは次の商談の妨げになります。

会期が終わると、手書きの用紙を基幹システムへ打ち直す工程が始まります。営業担当は次の展示会や店舗回りを抱え、業務部門は入力と問い合わせを並行して処理します。判読できない箇所は営業へ差し戻され、確認の往復が生まれます。この往復は受注の確定を遅らせ、記憶が薄れるほど1件あたりの時間も延びていきます。人手を足して対応する場合は、その分の費用が会期ごとに積み上がります。

集計の遅れは、後工程の判断を止めます。素材の手配や生産枠の確保は、ブランド別・品番別の数量が固まってから動き出します。数量が見えない期間が延びるほど、生産の前倒しや追加の仕入れという打ち手を選べる幅は狭まります。会期の途中で売れ筋が見えていれば、残りの日程で提案の順序を組み替えられたはずです。判断の材料が届くのが遅ければ、その機会は戻ってきません。

3つの課題は独立していません。会期中の手書き受注が会期後の転記入力を生み、その工程の長さがそのまま集計の遅れに変わります。どこか1つだけを改善しても、前後の工程が同じままであれば効果は薄まります。工程のつながりとして捉える視点が、次の節で述べる効果の見立てにつながります。

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導入によって得られる効果

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▽ 写真の出典元

導入で得られる効果は、会期前・会期中・会期後の3つの局面に分かれて現れます。会期前に商品情報を整えておけば、会期中は入力に専念できます。会期中は在庫照会とリアルタイム集計により、商談の根拠と会期の打ち手が同時に得られます。会期後は確定処理とフォローの連絡が短い日数で回り始めます。転記の工程そのものが消える点が、効果の起点になります。

会期前の準備は、効果の土台になります。商品マスタの登録では、品番・カラー・サイズ・上代・掛率を事前にそろえ、会場では選ぶだけの状態を作ります。展示の段階では正式な品番が決まっていない商品も出ますので、仮品番の付与という運用を用意しておきます。仮品番は後から正式な品番へ差し替わるため、対応表を残す手順まで決めておく必要があります。この準備が甘いと会場での検索に時間がかかり、商談が滞ります。

会期中の在庫照会は、商談の答えを会場で出すための機能です。生産枠の残り、既存の受注残、過去の取引履歴を画面で参照でき、数量の提案に根拠を添えられます。前回の展示会で同じ取引先が選んだ品番を示せば、提案の幅も広がります。持ち帰りの回答が減れば、営業担当が会期の後に抱える宿題も軽くなります。回答が早いほど、取引先の店頭計画も立てやすくなります。

リアルタイム集計は、会期そのものの運営を変えます。入力した数量がその場で積み上がるため、初日の結果を見て2日目の展示や声かけを組み替えられます。生産部門へ途中経過を渡せば、素材の手配を会期の終了前に動かせます。終盤で数量が読めていれば、追加生産の可否をその場で相談できます。判断の材料が会期中に届く点が、紙の運用との違いです。

会期後は、確定処理とフォローの連絡に力を向けられます。会場で入力済みのデータを確認し、修正だけを加えて確定処理へ進むため、打ち直しの工程は残りません。未確定のまま帰った取引先へは、フォローの連絡で追加の案内を送り、期限までの回答を促します。差し戻しが減るほど、業務部門の残業や休日の対応も抑えられます。

効果の出方は前提条件に依存します。中小企業のデジタル化の実態を集計した結果でも、取組の状況と課題は企業ごとに分かれて示されています*3。同じ製品を入れても、商品マスタの整備の程度や会場の環境が違えば、得られる結果は変わります。次の節で挙げる指標を自社の数値で埋めてから、投資の判断へ進んでください。

負担が軽くなる先も見ておきましょう。業務部門は打ち直しから解放され、確認と例外の処理に時間を回せます。営業担当は会期の後に残る宿題が減り、フォローの連絡へ早く移れます。経営の側から見れば、数量が早く固まることで生産と仕入れの判断に使える時間が延びます。

効果を測るための指標と考え方

対象の絞り込みから会期前のリハーサルへ進み、会期中の運用を経て会期後の振り返りへ至る、四つの段の順序を示した図です。
対象の絞り込みから会期後の振り返りまでの導入の順序

効果を社内で説明するには、指標を先に決めておく必要があります。ここでは、費用対効果の枠組み、受注確定までのリードタイム、入力工数、差し戻しの発生状況という4つを取り上げます。いずれも会期を単位として測れば、前回の展示会との比較がそのまま材料になります。他社の削減率を自社へ当てはめる方法は避け、自社の数値で組み立ててください。数字が並べば、投資の判断は感想ではなく比較の話に変わります。

費用対効果は、対象とする費用の範囲と効果を計上する期間を先に決めてから算定します。出展そのものの費用対効果を分析する枠組みは、学術の分野でも検討されています*5。システムの費用としては、初期費用、月額の利用料、会期ごとの追加費用、端末と回線の費用を並べます。効果としては、入力にかけていた人件費、誤出荷に伴う費用、確定が早まることで動かせた生産の分を対応させます。範囲を決めずに数字を出すと、後から前提が食い違います。

受注確定までのリードタイムは、会期の初日から受注が確定するまでの日数で測ります。紙の運用では、会期の終了後に転記入力と差し戻しの往復が入るため、この日数が伸びます。電子化した運用では会場で入力が終わっている分、確認と修正の日数だけが残ります。前回と今回で同じ定義の日数を並べれば、変化は誰の目にも見えます。

入力工数は、会期の前後で発生した作業時間を担当者ごとに記録して集めます。会期前の準備、会場での入力、会期後の確認という3区分に分けると、どこに時間が寄っているか分かります。時間を人件費の単価と掛け合わせれば、費用対効果の分子と分母をそろえられます。記録の方法は簡単な日報でも足りますので、導入の前の会期から取り始めてください。

差し戻しの発生状況は、品質の指標として扱えます。判読できない、数量が合わない、納期が空欄といった理由を分類し、件数を数えます。件数が減れば、営業と業務の間の確認の往復も減っている証拠になります。理由の内訳が残っていれば、入力画面の必須項目や選択肢の設計を直す材料にもなります。

指標を並べるときは、比較の条件をそろえてください。出展の規模、来場した取引先の数、取り扱ったブランドの数が違えば、日数や工数は当然変わります。前回と条件が違う場合は、1受注あたりや1品番あたりに直してから比べます。なお、出展そのものへの公的な支援の枠組みも公開されていますので、費用の前提を組み立てる際に確認しておくと視野が広がります*6

指標の記録は、担当者を決めて残してください。会期の直後は誰もが忙しく、数値の収集は後回しになりがちです。集計の担当と提出の期限を会期の前に決めておけば、記録は運営の一部として回ります。次の会期でも同じ定義で測れるよう、指標の定義を1枚の文書にまとめておきましょう。

効果を左右する導入前の前提条件

効果が出るかどうかは、導入の前の前提条件でほぼ決まります。ここで挙げるのは、商品マスタと仮品番の整備、会場の通信環境と入力端末、取引先バイヤー側の運用負担という3点です。どれか1つでも欠けると会場での入力が止まり、紙の控えへ戻る事態になります。前提が整わないまま会期を迎える判断は、費用だけが残る結果を招きます。導入の可否よりも先に、この3点の状態を点検してください。

商品マスタの整備は、作業量が読みにくい工程です。品番・カラー・サイズの体系が展示会ごとに変わる場合、登録の作業は会期のたびに発生します。画像の有無、上代と掛率の設定、取引先ごとの適用条件まで含めると、確認する項目は増えていきます。既存の基幹システムから出力できる範囲と、手作業で足す範囲を切り分けておいてください。

仮品番の扱いは、運用のルールを決めるところから始まります。展示の段階で正式な品番が決まっていない商品に番号を割り当て、後から正式な品番へ差し替えます。差し替えの手順が曖昧なままだと、同じ商品が2つの番号で集計され、数量が合わなくなります。誰がいつ差し替えるのか、差し替えた後に受注データをどう更新するのかを、文書で残しておきましょう。

会場の通信環境は、事前の確認が欠かせません。会場によっては共用の無線が混み合い、商談の時間帯に速度が落ちます。有線の手配、携帯回線の併用、通信が切れた場合の一時保存という3つの備えを用意しておくと、会場での停止を避けられます。端末は台数だけでなく、電源の確保と充電の順番まで決めておく必要があります。

取引先バイヤー側の負担にも配慮してください。バイヤーは1日に何社もの展示会を回り、画面の操作を覚える時間はありません。入力は営業担当が代行し、確認だけを画面で済ませる形にすると、相手の負担は軽くなります。控えを紙で受け取りたいという要望も残りますので、その場で印刷するか、後から電子で送る手段を用意します。

前提が崩れた場合の影響も見ておきましょう。商品マスタの登録漏れがあると、会場でその商品を選べず、紙の控えへ戻って会期後の転記入力が復活します。通信が止まれば商談は続けられても入力は止まり、控えの束が再び発生します。会期は限られた日数しかありませんので、会場で起きた不具合を会期の中で立て直す余地は小さいままです。

前提条件の点検は、社内だけで完結しません。会場の設備は主催者側の条件に左右され、回線の増設が認められない会場もあります。取引先の運用は相手の都合で決まりますので、事前の案内で理解を得る時間が要ります。自社で決められる範囲と、相手に確認しなければならない範囲を分けて予定を組んでください。

受注データの保存と個人情報の取り扱い

受注データの扱いには、保存と個人情報という2つの決まりが関わります。電子でやり取りした注文書や注文請書は、電子のまま保存する取り扱いが求められます。会場で受け取った名刺や来場者の情報は、利用目的の扱いを整理したうえで使います。加えて、誰がどのデータを見られるかという権限設定も、会期の運用にあわせて決めておきます。仕組みを選ぶ段階で、この3点を要件に含めてください。

電子でやり取りした取引の情報は、紙に出力して保管する形では要件を満たさない場面があります。保存の要件や適用の時期は改正で変わりますので、税務の当局が公開する一問一答の最新版で確認してください。一般には、取引年月日・取引金額・取引先という3項目で検索できる状態が求められます。システムの選定では、この検索の条件を満たせるかを必ず確かめる必要があります。

保存の対象は、受注データそのものだけではありません。取引先へ送った注文請書、変更やキャンセルの記録、価格を伝えた文書も対象に含まれます。展示会の受注は会期に集中しますので、会期ごとにまとめて保存先へ移す運用が現実的です。基幹システムへ引き渡した後に、どちらが原本を持つのかも決めておきましょう。

会場で取得した名刺や来場者の情報は、利用目的の範囲を意識して扱います。名刺の交換で得た連絡先を広告や宣伝の案内に用いる場合の考え方は、公的な質疑応答で示されています*7。個別の事案の適法性をここで断定はできませんので、自社が公表している利用目的と照らして判断してください。来場の受付で取得した情報をシステムへ取り込む場合は、取得の時点で目的を伝える運用が求められます。

権限設定は、会期の体制にあわせて設計します。営業担当は自分の担当する取引先の受注だけを見る、業務部門は全件を見る、応援の要員は入力だけに限る、といった区分です。会場では端末を共有する場面がありますので、担当者ごとの識別と離席時の画面ロックも決めておきます。応援の要員に貸した権限は、会期の終了とともに止める手順まで含めてください。

決まりを外した場合の影響は、後から取り返せません。保存の要件を満たさないデータは、税務の確認の場面で説明が難しくなります。目的の範囲を超えた案内の送付は、取引先からの苦情や信用の低下につながります。会期の運営に追われる時期ほど確認は後回しになりますので、要件は設計の段階で組み込んでおきましょう。

Soldiers in uniform stand in perfect alignment during a military parade in a grassy field.
▽ 写真の出典元

導入の進め方と社内定着のポイント

導入の進め方は、小さく始めて次の会期へつなぐ順序が現実的です。対象の絞り込みで範囲を決め、会期前のリハーサルで手順を確かめ、会期中の運用を決めた通りに回し、会期後の振り返りで次回へ引き継ぎます。最初の会期から全ブランドを載せると、不具合が起きた際の逃げ道がなくなります。範囲を絞れば、紙の運用を併走させながら移行できます。定着は、この順序と記録の積み重ねから生まれます。

対象の絞り込みでは、ブランド、会場、取引先の3つの軸で範囲を決めます。品番の体系が単純なブランド、規模の小さい会場から始めると、想定外の場面を抱え込まずに済みます。同じ会期の中で、一部の商談だけを電子で受ける形でも構いません。範囲を決めたら、対象外の商談をどう扱うかも同時に決めておきます。

会期前のリハーサルは、本番と同じ端末と同じ回線で試します。商品の検索、数量の入力、在庫照会、控えの発行という一連の流れを、営業担当が自分の手で通します。この場で出た指摘を反映する時間が要りますので、会期の直前ではなく余裕を持って設定してください。操作の手引きは画面の写しを並べた短いものにとどめ、会場で開ける形にします。

会期中の運用では、決めた手順から外れた入力を出さないことが要点になります。担当者ごとに入力の粒度が違うと、集計の段階でそろえ直す作業が生まれます。会場に相談役を1名置き、判断に迷う場面をその場で解決する体制を組むと、手順の揺れを抑えられます。初日の終業後に集計を確認し、翌日の運用へ反映する時間も取っておきましょう。

会期後の振り返りでは、指標の数値と現場の声を並べて記録します。受注確定までのリードタイム、入力工数、差し戻しの件数を前回と比べ、変化した理由を1つずつ書き残します。会場で起きた不具合は、起きた時間帯と対処までの経過まで残しておくと、次回の備えに使えます。この記録が、対象を広げる判断の根拠になります。

内製で進める場合に必要となる知識の範囲は広めです。商品マスタの設計、基幹システムの受注データの仕様、会場のネットワークの確保、権限設定と保存の要件、取引先への案内という領域を横断します。会期という締め切りが動かせないため、準備の遅れをそのまま会期へ持ち込めない点も特徴です。外部の支援を使う判断は、負担を肩代わりしてもらうためというより、会期に間に合わないリスクを下げるための選択になります。

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よくある質問

展示会受注システムの費用はどのように見積もればよいですか。

初期費用、月額の利用料、会期ごとの追加費用、端末と回線の費用という4区分に分けて見積もります。公開された相場を確認できないため、金額の目安はここでは示しません。効果を計上する期間と対象費用の範囲を先に決め、前回の会期の実績と対応させて比べてください。

会場の通信が切れた場合、商談は止まりますか。

商談そのものは続けられますが、入力は止まります。一時保存して復旧の後に送る動作を持つ製品もありますので、選定の段階で対応を確かめてください。有線の手配と携帯回線の併用を備えとして用意し、紙の控えへ戻る手順も決めておけば、会期中の混乱を抑えられます。

既存の基幹システムと連携できますか。

連携の可否は、基幹システム側の受注データの仕様で決まります。取り込みの形式、項目の対応、取り込みの頻度という3点を先に確認してください。仮品番を使う場合は、正式な品番へ差し替えた後にどちらのシステムが原本を持つかも決めておく必要があります。

取引先のバイヤーに操作を覚えてもらう必要がありますか。

必ずしも必要ではありません。入力を営業担当が代行し、バイヤーには内容の確認と控えの受け取りだけを任せる形にすれば、相手の負担は軽く済みます。控えを紙で希望する取引先も残りますので、その場での印刷と電子での送付の両方を用意しておくと安心です。

導入から最初の会期まで、どれくらいの準備が必要ですか。

期間は商品マスタの整備量と基幹システムの連携範囲で変わりますので、一律の日数は示せません。目安を作るには、登録する品番の件数、連携の要否、リハーサルの回数を数え、社内の担当者が割ける時間と突き合わせてください。会期の日程は動かせませんので、そこから逆算して着手の時期を決めます。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. *1 出典:総務省「令和7年版 情報通信白書(企業のデジタル化の現況)」(2025) 経路
  2. *2 出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX動向2025」(2025) 経路
  3. *3 出典:東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査 集計結果」(2025) 経路
  4. *4 出典:株式会社アイル「アラジンEC ブランド向け展示会機能(製品ページ)」(2026年9月に内容を確認) 経路
  5. *5 出典:農業農村工学会「公的研究機関のイベント出展に対する費用対効果分析の試み(農業農村工学会誌 第90巻第2号)」(2022) 経路
  6. *6 出典:日本貿易振興機構(ジェトロ)「展示会・商談会への出展支援」(2026年9月に内容を確認) 経路
  7. *7 出典:個人情報保護委員会「よくある質問 Q4-16(名刺交換により取得した連絡先への広告宣伝)」(2021) 経路

画像の出典元

  1. A diverse group of individuals in white clothing, standing i/Photo by cottonbro studio on Pexels
  2. Group of diverse individuals standing in line, wearing white/Photo by cottonbro studio on Pexels
  3. Soldiers in uniform stand in perfect alignment during a military parade in a grassy field./Photo by Bello Olatunde on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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