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インターネットEDIの課題|移行でつまずく論点と対処

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 従来型EDIを支えてきた回線サービスは、2024年からIP網への移行が進み、補完策の提供は2027年で終わり、サービスの提供終了は2028年と公表されています。
  • 技術面のつまずきは、通信手順の選定、データ形式の統一、文字コードの変換、接続の検証という4つの工程に集中します。
  • 運用開始後は、取引先ごとに画面が増える多画面の運用から、手入力と転記、差戻しの連鎖が生じます。
  • 進め方は棚卸し、標準仕様への寄せ方、段階移行と並行運用の3段階で、期限の対象となる回線から着手します。

Abstract visualization of digital circuits and blockchain in
▽ 写真の出典元

インターネットEDIとは何か

インターネットEDIとは、受発注や出荷、請求といった企業間の取引データを、電話回線や専用線ではなくインターネット回線を通じて交換する仕組みです。従来手順との違いは、使う回線と通信手順の2点に集約されます。つまずきが生じるのは通信の技術そのものよりも、取引先ごとに異なる指定への対応と、社内の業務手順の組み替えという点にあります。本節では、従来型との違い、通信手順の種類、接続の形という3点から用語の範囲をそろえます。

導入・移行の技術面の課題を、順序のある4工程として示します。最初は通信手順の選定で、取引先が指定する手順に自社が合わせる形が基本です。次はデータ形式の統一で、項目の並び、桁数、コード体系の3点で判断します。続く文字コードの変換では、対応表が整っていないと外字や機種依存の文字が欠落します。最後が接続の検証で、取引先ごとに接続の確立、データの往復、異常時の再送、本番と同じ条件での確認という4段階を踏みます。前の工程が終わらないと次に進めない依存関係があります。
移行の技術面で順に片づける4つの工程とその順序

従来型のEDIは、加入電話回線やISDN回線を使ってデータを送る方式が中心でした。接続に使う機器は回線の種別で異なります。加入電話回線ではモデムを介し、ISDN回線ではDSUとTAを介して信号をやり取りします。回線をつないでいる間だけ通信が成立するため、送受信の時刻をあらかじめ決めておく運用が広く使われています。インターネットEDIは常時接続の回線を前提とし、送信のたびに相手先へ発呼する必要がありません。その代わり、経路が公衆網になることで、暗号化と相手の確認をどう担保するかという論点が加わります。

インターネットEDIで用いる通信手順は、大きく3種類に分かれます。1つ目はWebの通信規約を土台にしたJX手順、2つ目は電子商取引向けのメッセージ交換規約であるebXML MSです。3つ目のAS2は、HTTP上でメッセージを暗号化し、署名を付けて交換する手順にあたります。電子メール向けの暗号化方式であるS/MIMEを転送に応用した形であり、メールそのもので送受信する手順ではありません。小売と卸・メーカーの取引で使う標準仕様である流通BMSも、この3種類を採用しています*1。手順ごとに送達確認の考え方が異なるため、取引先の指定に合わせて複数を併用する前提で設計します。

接続の形は、ファイル転送型とWeb画面型の2つに分かれます。ファイル転送型は、自社の基幹システムと取引先のシステムがデータファイルを直接やり取りする形で、受注から出荷までの処理を自動でつなげられます。Web画面型は、取引先が用意した画面に担当者がログインし、注文の確認や出荷の登録を人手で進める形です。導入時の負担は後者が軽い一方、取引先が増えるほど画面と作業が積み上がるのが実態です。

EDI(電子データ交換。取引データを定めた形式で自動的にやり取りする仕組み)は、通信の部分とデータ形式の部分という2層で成り立ちます。回線をインターネットに替えても、項目の並びや商品コードの持ち方が取引先ごとに違えば、受け取った側での変換作業は残ったままです。回線の移行とデータ形式の統一は別の課題として扱います。この切り分けができていないと、移行の期間と工数の見積りが実態から離れていきます。

電子化する取引の範囲も、検討の前にそろえておきます。インターネットEDIは受発注だけの仕組みではなく、出荷や検収、請求までの一連のやり取りを対象にできるからです。どこまでを範囲に含めるかによって、必要な通信手順もデータ形式も変わってきます。範囲を受発注だけに狭めると、後から請求や入金の側で別の仕組みを立てる必要が出てきます。支払いや請求の電子化がどこまで進んでいるのかは、背景を整理する次節で確認します。

本稿では課題を、技術面、業務面、セキュリティと法令面の3つに分けて整理します。そのうえで、進め方と実現方式の選び方まで通してたどります。

移行で先に片づける5点(順位の根拠は着手の順序と依存関係)

  1. 期限の対象となる回線を特定します。補完策の提供が2027年で終わり、回線サービスの提供終了が2028年と公表されているため、期限から逆算した着手が要ります。
  2. 取引先の一覧化を済ませます。接続の方式、通信手順、データ形式、月あたりの明細件数を1つの表にまとめ、件数の多い順に並べます。
  3. 標準仕様に寄せる範囲を決めます。項目の並びとコード体系のうち共通化する部分を明示し、収まらない取引先を別枠へ切り分けます。
  4. 文字コードの変換の対応表を整えます。外字と機種依存の文字の扱いを決めないまま接続すると、商品名の欠落が本番開始後に見つかります。
  5. 並行運用の期間と切り替えの判定条件を取引先ごとに握ります。条件がなければ、切り替えの可否が担当者の感覚に委ねられます。

課題が表面化してきた背景

運用が始まった後に残る業務面の負担を、順に連なる4段として示します。起点は多画面の運用で、取引先ごとの画面を巡回します。そこから手入力が生まれ、画面で見た注文を基幹システムへ入れ直します。手入力の次に来るのが転記で、出荷指示や請求のため別の帳票へ書き写します。積み重ねの結果として差戻しが現れ、訂正の依頼として戻ります。
運用開始後に残る多画面の運用から差戻しまでの連鎖

課題が表面化してきた理由は3つあります。第一に、従来型EDIを支えてきた回線サービスが期限を区切って終わること。第二に、商流と金流をつなぐ標準の整備が進んだこと。第三に、取引の電子化を求める制度環境が整ったことです。いずれも自社の投資判断とは別の時間軸で進む外部要因であり、期限から逆算した計画が要ります。本節では、動かせない期限とその周辺の変化を確認します。

従来型EDIの多くは、ディジタル通信モードを使う回線サービスの上で動いてきました。NTT東日本とNTT西日本は、この方式について2024年からIP網への移行を進めています3。移行後も従来の通信を続けられる補完策は、2027年12月末まで提供されると案内されています3。回線サービスそのものの提供終了は2028年と、両社が公表しています4。いずれも各社の公表資料に基づく年限のため、社内で引用するときは資料の名称と公表年月まで控えておきます。新規の申し込み受付はすでに終了しており、既存の仕組みを増設するという選択肢は残っていません3。

期限の扱いは全国一律ではありません。設備の状況や地域によって切り替えの時期が前後するため、自社の回線がいつ移るのかは契約している回線ごとに確認します。移行の後は通信の遅延や再送の挙動が変わる場合があり、補完策の期間のうちに切り替え後の動作を確かめておく必要があります。期限の直前に確認を始めると、取引先との調整に充てる時間が残りません。

標準仕様の整備も背景の1つです。小売と卸・メーカーの取引では流通BMSが広がり、通信手順とメッセージの形式が共通化されました。流通BMSは流通システム開発センターが策定と公開を担っており、導入している企業数も同センターが推計値として示しています1。この数値は集計の基準日によって動きます。引用するときは、基準日と公表年月を必ず併記します1。取引先から標準仕様での接続を求められる場面が増えれば、従来手順のまま据え置く選択は取りにくくなります。

支払いの側では、振込電文に商取引の情報を載せられる全銀EDIシステム(ZEDI)が2018年に稼働しました2。これにより、受発注のデータと入金の消込を突き合わせる道が開けています2。請求の側でも、電子インボイスの国内標準仕様が整備され、版の更新が続いています*5。受発注だけを電子化しても、請求と入金が紙のままであれば、事務の総量は見込みほど減りません。

企業のデジタル化の状況は総務省の情報通信白書で毎年扱われ、本稿の執筆時点では令和8年版(2026年公表)が最新です*6。数値を引くときは、版と調査の年度、母数を確かめてから使います。同じ項目でも版によって設問や集計の区分が変わるため、前年との比較は調査の年度を併記して示します。

これら3つの変化は、同時に自社へ到来します。ただし時間軸は同じではなく、日付で固定されているのは回線の期限だけです。標準の整備と制度の環境は段階を追って進むため、判断の起点は期限のある回線に置きます。期限のあるものから順に並べ、着手の順序を決めるところが出発点です。次節からは、実際の移行で何がつまずきの元になるのかを、技術面から順に見ていきます。

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導入・移行で直面する技術面の課題

進め方を3つの段階に分けて示します。第1段階は取引と回線の棚卸しで、取引先の一覧化として接続の方式や通信手順など5項目を1つの表にまとめ、回線と手順の確認として契約の名義と拠点を含めて洗い出します。第2段階は標準仕様への寄せ方で、共通化する範囲として標準に合わせる部分を明示し、個別対応の切り分けとして別枠に置く条件を先に決めます。第3段階は段階移行と並行運用で、移行の順序づけを3つの観点で行い、並行運用の期間を取引先ごとに定めます。
課題を解いていく進め方の3段階と各段階で決める作業

技術面のつまずきは、通信手順の選定、データ形式の統一、文字コードの変換、接続の検証という4つの工程に集中します。回線をインターネットに替えるだけでは終わらず、取引先ごとに異なる指定を吸収する仕組みが要ります。とくに文字コードの変換は、目に見える不具合が出るまで気づきにくく、本番開始後の差戻しにつながります。工程の順序を先に決めたうえで片づけていきます。

通信手順の選定では、取引先が指定する手順に自社が合わせる形が基本です。JX手順、ebXML MS、AS2はいずれも暗号化と署名を前提としますが、証明書の扱いや再送の仕方が異なります。取引先が増えるほど複数の手順を並行して維持する状態になり、証明書の期限管理だけでも継続的な作業が生まれます。手順を1つに絞れるかどうかは、取引先の構成で決まります。

データ形式の統一は、項目の並び、桁数、コード体系の3点で判断します。標準仕様に寄せれば取引先ごとの個別対応は減りますが、自社固有の運用項目をどこに収めるかという調整が残ります。標準の枠に収まらない項目を無理に押し込むと、受け取った側で意味が伝わらず、電話とメールでの確認が復活します。

文字コードの変換は、従来手順との差が出やすい箇所の1つです。従来型EDIでは半角のカナと英数字を中心とした符号系が使われてきた一方、インターネットEDIでは複数の符号系が混在します。対応表が整っていないと、外字や機種依存の文字、商品名の記号が欠落します。しかも欠落が見つかるのは伝票の突き合わせの場面というのが実情です。発見が遅れる分、原因の切り分けにも時間を取られます。

基幹システムとの連携では、取り込みの単位と時刻をどう合わせるかが論点です。日次でまとめて送受信していたものを随時の連携へ変えると、在庫の引き当てや与信の判定を回す頻度も変わります。連携の頻度だけを上げて後続の処理が追いつかない状態になると、出荷指示が滞留します。

接続の検証は、取引先ごとに繰り返す作業です。1社ごとに、接続の確立、データの往復、異常時の再送、本番と同じ条件での確認という4段階を踏みます。取引先の数だけこの手順が発生するため、必要な期間は社数と担当者の人数から見積もります。期間を単純に短縮すると、本番開始後の差戻しという形で戻ってきます。

4つの工程には、前の工程が終わらないと次に進めない依存関係があります。通信手順が決まらないうちにデータ形式の議論を始めると、後で手戻りが発生します。順序を守ることが、期間の見積りの精度を上げる近道です。

運用開始後に残る業務面の課題

運用が始まった後に残るのは、取引先ごとに画面が増える多画面の運用と、そこから生まれる手入力、転記、差戻しの連鎖です。接続を増やすほど作業が減るとは限らず、Web画面型の取引先が多い場合は担当者の作業が積み上がります。業務面の課題は、システムの機能ではなく担当者の手元で起きるという点にあります。本節では、日々の運用で表面化する負担を順に見ます。

多画面の運用は、Web画面型の接続を増やしたときに起きます。取引先ごとに画面の構成、ログインの方法、注文の締め時刻が異なるため、担当者は複数の画面を巡回して注文の有無を確かめます。この巡回そのものが日々の固定作業になっているのが実態です。画面の数だけ操作の手順書が必要になり、担当者が交代するたびに教育の負担も生じます。特定の担当者しか操作できない状態になると、休暇や退職の場面で業務が止まってしまいます。

多画面の運用は手入力を呼び込みます。画面で見た注文を基幹システムへ入れ直す作業が発生し、その際に数量や納期の取り違えが起きます。1件あたりの作業は小さくても、取引先の数と注文の件数を掛け合わせた総量です。繁忙期には入力が追いつかず、受注の確定が遅れます。

手入力の次に来るのが転記です。基幹システムに入れた情報を、出荷指示や請求のために別の帳票へ書き写す場面が残ります。転記のたびに元のデータとの差が生まれる余地があり、どちらが正しいかを確かめる作業が加わります。データの持ち主が定まっていないと、確認の連絡が部門をまたいで往復します。

差戻しは、これらの積み重ねの結果として現れます。取引先の指定と異なる形式で返した明細、欠落した文字を含む商品名、締め時刻を過ぎた出荷の登録などが、訂正の依頼として戻ります。訂正のやり取りは電話とメールで進み、記録が担当者の受信箱に散ります。同じことが再び起きても、対処の経緯をたどれません。

取引先への説明と合意形成も業務面の負担です。接続の方式を変える場合、相手側にも作業が発生するため、こちらの都合だけでは進みません。担当者の連絡先、検証の日程、切り替えの日、問題が起きたときの連絡経路という4項目を、取引先ごとに握ります。取引先が多いほど、この調整に要する期間が全体の期間を決めます。

業務面の課題は、接続方式の選び方と表裏です。ファイル転送型へ寄せられる取引先を見極め、Web画面型が残る範囲を最初から想定しておくと、担当者の作業量を人数と時間で見積もれます。

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セキュリティと法令対応の課題

セキュリティと法令の対応は、取引先や委託先を経由した攻撃への備え、認証と暗号化と通信記録の管理、取引データの保存要件という3点に整理できます。インターネット上でデータを交換する以上、自社の対策だけでは守りが完結しません。接続する相手が増えるほど、確かめるべき範囲も広がります。本節では、接続を増やす前に決めておく事項を挙げます。

情報処理推進機構が公表する情報セキュリティ10大脅威では、組織向けに10件の脅威が挙げられています7。参照する際は対象の年版を確かめ、順位よりも手口の内容を読み取ります7。その中には、取引先や委託先を経由して本来の標的へ入り込む手口が含まれます。自社の対策が整っていても、接続先の管理が緩ければそこが入口になります。接続の申請と停止の手順を決めておかないと、使われていない接続が残り続けます。

認証と暗号化は、通信手順の仕様に沿って設定します。証明書には有効期限があり、期限切れは通信の停止に直結します。誰が鍵と証明書を保管し、いつ更新するのかを、担当者個人ではなく役割として定めます。更新の作業を1人に依存させると、その担当者の不在時に受発注が止まってしまいます。

通信記録の管理も見落とされやすい箇所です。いつ、どの取引先と、どの明細をやり取りしたのかを、後から追える形で残します。記録がなければ、取引先との言い分が食い違ったときに事実を確かめられません。記録の保存期間、保存する場所、参照できる担当者の範囲という3点を先に決めます。

取引データの保存要件は制度の改正で変わります。電子的にやり取りした取引情報を電子のまま保存する扱いについては、税務当局が公表する最新の資料で要件を確かめます。本稿では要件を断定せず、確認先を示すにとどめます。判断が必要な場面では、経理部門と顧問の専門家に確認する経路を用意します。

外部の事業者に運用を委ねる場合は、責任の分界点を文書で確かめます。障害時の一次対応、証明書の更新、記録の保存、脆弱性への対応という4項目について、どこまでが委託の範囲かを明示します。分界点が曖昧なまま接続を増やすと、障害の場面で対応の主体が決まらず、復旧が遅れます。

セキュリティへの投資は成果が見えにくい領域です。それでも、受発注が止まったときの影響は、出荷の遅延、取引先への説明、信用の回復まで及びます。止めないための備えは、事業の継続に直結します。

課題を解いていくための進め方

進め方は、取引と回線の棚卸し、標準仕様への寄せ方、段階移行と並行運用という3段階で組み立てます。最初に現状を数え、次に共通化できる範囲を決め、最後に切り替えの順序と期間を設計します。順番を入れ替えると、決めたはずの方式が後から覆ってしまいます。本節では、各段階で何を決めるのかを具体化します。

取引と回線の棚卸しは、取引先の一覧化から始めます。取引先ごとに、接続の方式、通信手順、データ形式、月あたりの明細件数、担当部門という5項目を1つの表にまとめます。件数の多い順に並べると、どこから手を付けるべきかが見えてきます。一覧が作れないまま方式を決めると、後から想定外の取引先が出てきます。

同時に進めるのが、回線と手順の確認です。どの回線がどの接続に使われているのかを、契約の名義と拠点を含めて洗い出します。期限の対象となる回線が特定できれば、着手の期限も決まります。拠点が複数ある場合、本社が把握していない回線が現場に残っていることがあります。

標準仕様への寄せ方では、まず共通化する範囲を決めます。項目の並び、コード体系、送受信の時刻のうち、標準に合わせる部分を明示します。次に個別対応の切り分けとして、標準に収まらない取引先を別枠に置きます。すべてを共通化しようとすると合意に時間がかかり、期限に間に合いません。

個別対応の切り分けは、放置すると数が増えます。別枠に置く条件を先に決め、条件に当たらないものは標準に寄せるという判断の基準を文書にします。基準がなければ、取引先ごとの要望を都度受け入れる運用になり、保守の対象が増え続けます。

段階移行と並行運用では、移行の順序づけから決めます。明細件数の多い取引先、期限の対象となる回線を使う取引先、検証に協力を得やすい取引先という3つの観点で順序を付けます。続いて並行運用の期間を決め、従来の接続と新しい接続を同時に動かす期間を取引先ごとに定めます。

並行運用の期間は、短すぎると差戻しが増え、長すぎると二重の運用負担が続きます。切り替えの判定条件、たとえば連続して差戻しが出ない状態が続いたことを、あらかじめ取引先と握っておくと判断が早くなります。

Close-up of a modern server unit in a blue-lit data center environment.
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自社に合う実現方式の選び方

実現方式は、自社構築とサービス利用の2つに大別されます。比較軸は、初期の作り込み、対応する通信手順、運用と保守の担い手、費用の出方、取引先の追加という5点です。技術者を継続して社内に置けるかどうかが分かれ目になり、置けない場合はサービス利用が現実的な候補になります。本節では、5つの比較軸と相談前に整理しておく情報を示します。

自社構築は、基幹システムとの結び付きを細かく作り込める方式です。初期の作り込みに期間と人手を要する代わりに、自社の運用に合わせた処理を組めます。対応する通信手順を増やす場合も、自社の判断で追加できます。その分、証明書の更新や仕様の改定への追随を、自社の担当者が担い続けます。

サービス利用は、事業者が用意した基盤に接続する方式です。対応する通信手順は事業者が提供する範囲に収まりますが、標準仕様に沿った接続であれば不足は生じにくい形です。運用と保守の担い手が社外になるため、担当者の異動や退職の影響を受けにくくなります。その代わり、自社固有の処理を作り込む自由度は下がります。

費用の出方も異なります。自社構築は初期に費用が集中し、その後は保守と改修の費用が続きます。サービス利用は初期を抑えられる一方、利用している期間だけ費用が発生します。どちらが有利かは想定する利用年数と取引先の数で変わるため、金額の単純な比較はできません。

取引先の追加のしやすさは、運用が始まってから効いてきます。新しい取引先が別の通信手順を指定した場合、自社構築では設計と検証を自社で抱えます。サービス利用では、その手順が事業者の対応範囲に含まれるかを先に確かめます。契約の前に、追加時の手続きと期間の目安を確認します。

内製で進める場合に必要な知識は、通信手順と証明書の扱い、データ形式の設計、文字コードの変換、基幹システムの改修、障害時の一次対応という5領域にまたがります。これらを兼務で担うと、移行の期間中は通常の運用が手薄になります。担当者の人数と稼働できる時間を、期間の見積りへ先に織り込みます。

相談の前に整理しておくと話が早いのは、取引先の一覧、使用中の回線と契約、現在の通信手順とデータ形式、月あたりの明細件数、期限の対象となる回線という5点です。これらがそろえば、方式の候補と期間の見通しを同じ土台で比べられます。そろわない場合は、棚卸しから着手します。

ここまでの内容を振り返ります。従来型EDIを支えてきた回線サービスの提供終了は2028年と公表されており、着手の期限は自社の都合では動かせません*4。課題は技術面、業務面、セキュリティと法令面の3つに分かれ、どれか1つを解いただけでは移行が完了しません。文字コードと接続検証、多画面の運用に伴う手入力、接続先を経由した攻撃への備えが、それぞれの中心にあります。進め方としては、取引と回線の棚卸し、標準仕様への寄せ方、段階移行と並行運用という順序を崩さずに進めます。

FSOLは、この順序のうち上流にあたる棚卸しと方式選定を支える立場で関わります。取引先と回線の一覧化を伴走し、自社構築とサービス利用のどちらが合うかを、5つの比較軸に沿って一緒に整理します。判断の材料がそろっていない段階でも、棚卸しの設計から着手できます。

比較軸 自社構築 サービス利用
初期の作り込み 期間と人手を要する 初期を抑えられる
対応する通信手順 自社の判断で追加できる 事業者が提供する範囲に収まる
運用と保守の担い手 自社の担当者が担い続ける 社外が担う
費用の出方 初期に集中し保守と改修が続く 利用している期間だけ発生する
取引先の追加 設計と検証を自社で抱える 事業者の対応範囲かを先に確かめる

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よくある質問

インターネットEDIの費用はどのような内訳になりますか

費用は初期と継続の2つに分かれます。初期には方式の設計、基幹システムの改修、取引先ごとの接続の検証が含まれます。継続では、基盤の利用料または保守費、証明書の更新、仕様の改定への追随が発生します。金額は取引先の数と通信手順の種類で変わるため、社数と手順を数えたうえで見積もりを取ります。

移行にはどのくらいの期間を見込めばよいですか

期間は取引先の数と通信手順の種類で決まります。棚卸し、方式の決定、取引先ごとの接続の検証、並行運用という4段階を踏むため、検証は社数の分だけ繰り返します。回線サービスの補完策が2027年で終わり、提供終了が2028年と公表されている点から逆算し、期限の対象となる回線を使う取引先を先に置きます。

取引先が従来手順のままの場合はどう進めればよいですか

相手の都合だけで進めず、選択肢を用意します。並行運用の期間を長めに取る、Web画面型で受ける、形式の変換を担う事業者を間に挟むという3つが実務的な受け皿です。いずれの場合も、切り替えの日と連絡経路を文書で握ります。相手側にも作業が発生するため、依頼の時期は早いほど調整が楽になります。

Web画面型だけで済ませることはできますか

取引先の数と明細の件数が少なければ成り立ちます。ただし接続先が増えると、画面ごとの巡回、手入力、転記が積み上がり、担当者の作業量が増えます。件数の多い取引先からファイル転送型へ寄せ、残りをWeb画面型で受ける形が現実的です。判断の基準は件数であり、月あたりの明細件数を先に数えます。

回線サービスの期限は全国どこでも同じですか

同じではありません。設備の状況や地域によって切り替えの時期が前後するため、契約している回線ごとに確認します。通信事業者が公表している資料は更新されるため、計画を立てる時点で最新の記載を読み直します。拠点が複数ある場合は、本社が把握していない回線が現場に残っていないかもあわせて確かめます。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. *1 出典:流通システム標準普及推進協議会(流通BMS協議会)「流通BMSとは/卸・メーカーの流通BMS導入企業数推計」(2025) 経路
  2. *2 出典:一般社団法人全国銀行資金決済ネットワーク「全銀EDIシステム(ZEDI)とは」(2026) 経路
  3. *3 出典:東日本電信電話株式会社「INSネットの新規申込受付・提供終了について(報道発表)」(2024) 経路
  4. *4 出典:西日本電信電話株式会社「INSネットのサービス終了について(固定電話・加入電話)」(2024) 経路
  5. *5 出典:デジタル庁「デジタルインボイス(日本の標準仕様 JP PINT)」(2026) 経路
  6. *6 出典:総務省「令和8年『情報通信に関する現状報告』(令和8年版情報通信白書)の公表」(2026) 経路
  7. *7 出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティ10大脅威 2026」(2026) 経路

画像の出典元

  1. Abstract visualization of digital circuits and blockchain in/Photo by Pachon in Motion on Pexels
  2. Detailed image of a server rack with glowing lights in a modern data center./Photo by panumas nikhomkhai on Pexels
  3. Close-up of a modern server unit in a blue-lit data center environment./Photo by panumas nikhomkhai on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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