◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 発注の受け口は配布端末・持ち込み端末・パソコンの画面の3つに分かれ、発注する場所と揃えたいデータで選び分けます。
- 配布前に決める項目は配布範囲・通信回線・費用負担・資産管理の4つで、決めないまま台数を発注すると後戻りできません。
- 電子でやり取りした注文の記録は電子データのまま保存し、期間は原則7年です。
- 購入経路の条件を満たせば自動登録に載せられ、1台ずつの手作業を避けられます。
- 配布後は問い合わせ窓口・利用状況の把握・未利用先の訪問・遠隔対応の4つを回します。
目次

タブレット発注とは
タブレット発注とは、得意先の発注担当者へ発注画面を載せた端末を渡し、その画面から注文データを直接受け取る受注方式です。電話やFAXで受けた内容を人手で打ち直す工程がなくなり、注文は最初から電子データとして残ります。受け口の作り方は配布端末・持ち込み端末・パソコンの画面の3つに分かれ、費用と管理の重さがそれぞれ違うのが実情です。どれを選ぶかは、得意先が発注する場所と、注文データをどこまで揃えたいかで決まります。
この仕組みには4つの立場が関わります。注文を入力する得意先の発注担当者、注文を受ける受注センターの担当者、得意先を訪ねる営業担当者、端末と回線を預かる情報システムの担当者です。配布が途中で止まる原因は、この4者の役割が決まらないまま台数だけが先に決まる点にあります。誰が配り、誰が使い方を伝え、誰が故障の連絡を受けるのかを、台数より先に紙へ書き出してください。
紙・電話・FAXによる受注との違いは、注文内容を入力する人が入れ替わる点にあります。従来は得意先が伝えた内容を受注担当者が聞き取り、基幹システムへ打ち直していました。タブレット発注では発注担当者が画面で商品を選ぶため、打ち直しの工程そのものが消えます。品番の取り違えや数量の聞き間違いは、打ち直しが残る限りなくなりません。
注文の記録の残り方も変わります。電子でやり取りした取引情報を電子データのまま保存する取り扱いは特設サイトで公開されており、保存の期間は原則として7年です2。FAXの控えを紙で綴じる運用から切り替えるなら、保存の要件を満たす置き場所を先に決めてください。要件の細部は改正で変わるため、判断の前に最新の記載を確かめる必要があります2。
配布端末と持ち込み端末では、負担の掛かる先が違います。配布端末は初期の費用と管理の手間を供給側が抱える代わりに、画面の大きさとOSの版と設定を揃えられるのが利点です。持ち込み端末は初期の負担が軽く、その分だけ表示の崩れや操作の質問が端末ごとに出ます。事務所のパソコンの画面から発注してもらう道もあり、3つを並べると違いがはっきりします。
注文が電子で入るようになると、次の関心は基幹システムとのつなぎ方へ移ります。受注データを取り込む口が用意されていないと、画面から入った注文を再び人手で入力することになります。端末を配る前に、受注データの受け渡しの経路を情報システムの担当者と確かめてください。ここが空いたままでは、打ち直しの手間が得意先から自社へ移るだけに終わります。
方式を1つに絞る必要はありません。発注の回数が多い得意先には端末を配り、それ以外にはパソコンの画面を案内する併用も採れます。判断の材料は、得意先ごとの発注の回数と、発注する場所と、既に持っている端末の3点です。この3点を一覧にすると、配る台数の見積もりがそのまま出てきます。
| 方式 | 初期の負担 | 管理のしやすさ | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| 配布端末 | 供給側が中心 | 設定を揃えやすい | 倉庫や店頭での発注 |
| 持ち込み端末 | 得意先が中心 | 端末ごとに差 | 事務所での随時発注 |
| パソコンの画面 | 追加費用が小さい | 画面の大きさに差 | 事務所での随時発注 |
端末を配る前に決める優先順の5点(順位の根拠:決め直した際の後戻りの大きさ)
- 配布範囲を決めます。発注の回数・年間の取引額・発注する場所の3つの軸で並べ、上位の得意先から配ります。
- 通信回線を決めます。使う場所で電波が届くかを確かめ、回線を内蔵する端末か無線につなぐ端末かを選びます。
- 費用負担を決めます。端末代・回線費・利用料の3つに分け、どちらがどれを持つかを配布の前に合意します。
- 資産管理を決めます。管理番号・貸与先・貸与した時期を台帳へ集め、紛失と返却の連絡先を1か所に定めます。
- 切り替え期間を決めます。旧受け口を止める日程を先に置き、初回発注の同行が済んだ得意先から切り替えます。
受注業務の現場で端末配布が求められる背景
端末の配布が検討される理由は3つに整理できます。1つ目は、企業のクラウド利用が広がり、発注の画面を社外の得意先へ開く土台が整ったことです。2つ目は、電子でやり取りした注文の記録を電子のまま残す取り扱いが定着し、紙の控えだけに頼れなくなった点にあります。3つ目は、得意先ごとに違う受け口を1つへ寄せたいという受注側の要求が強まったことです。
土台の広がりは、公的な調査で確かめられます。企業の情報通信の利用状況は令和7年の通信利用動向調査で公表されており、クラウドの利用や端末の保有はこの調査から拾えます*1。ただし比率を引用する場合は、報告書の企業編で対象の範囲と数値の定義を確認してから使ってください。常用雇用者の規模で対象が区切られているため、見出しの数字だけを取ると自社の実感と食い違います。
2つ目の理由は、記録の残し方の変化です。電子取引の記録を電子データのまま保存する取り扱いは特設サイトにまとまっており、保存の期間は原則7年、欠損金が生じた事業年度では10年になる場合があります2。FAXの受注は、送受信の経路によって紙の控えで足りるかどうかの扱いが分かれます。タブレット発注へ寄せると注文の記録が最初から電子で揃うため、保存の設計を1本にまとめられます。取り扱いは改正で変わるため、判断の前に最新の一問一答で確かめてください2。
3つ目の理由は、取引先ごとの個別対応をなくす流れです。流通業の企業間取引には標準の仕様が整備されており、基本形は2007年に公開されています*5。標準に沿った受け口を1つ用意すれば、得意先ごとの帳票や送信の手順を個別に抱え込まずに済みます。タブレット発注の画面も、この受け口の上へ載せると後から取引先を広げやすくなります。
受注の現場では、注文が締め時刻の前に集中します。電話とFAXが同じ時間帯に重なると、人員の配置がその時間帯に縛られ、確認の連絡が後回しになります。発注の入力が得意先の側へ移ると、締め時刻の前後の山が平らになり、受注担当者は例外の処理へ時間を使えます。人手を減らす話ではなく、人手を配り直す話として社内へ説明すると通りやすいでしょう。
社外へ画面を開くと、社内で閉じていた頃とは前提が変わります。中小企業向けの情報セキュリティ対策ガイドラインは第4.0版が公開されており、対策の水準を点検する物差しとして使えます*3。端末・回線・画面の3か所について、それぞれ守り方を決める必要があります。安全だと言い切れる構成はないため、前提と対策を書き出して社内で共有してください。
得意先の側にも事情があります。発注の担当者が交代しても同じ画面で同じ手順を踏めることは、得意先にとっての利点です。紙の注文書を探して記入し、送信の控えを保管する手間もなくなります。配布の話を切り出す際は、自社の効率ではなく、得意先の手元で減る作業から説明してください。
自社の商流に合わせた要件整理を進めたい場合は、無料相談で要件を整理するのが近道です。
配布前に決めておく設計項目
配布の前に決める項目は4つです。配布範囲、通信回線、費用負担、資産管理の4つで、いずれも決めないまま台数を発注すると後から戻せません。配布範囲は得意先の発注の回数と場所から絞り、通信回線は使う場所の電波の有無で決めます。費用負担と資産管理は書面の取り決めに直結するため、法務や経理の担当者を早い段階から巻き込んでください。
配布範囲は、発注の回数・年間の取引額・発注する場所の3つの軸で並べると決めやすくなります。回数が多く、倉庫や店頭など事務所以外で発注する得意先が上位に来ます。上位から順に配ると、少ない台数でも受注件数に占める電子の割合が早く上がるでしょう。全得意先へ一斉に配る計画は、問い合わせが同時に押し寄せるため勧められません。
通信回線は、使う場所で電波が届くかどうかを先に確かめてください。倉庫の奥や冷蔵の設備の近くでは、事務所の無線が届かないことがあります。回線を内蔵した端末を選ぶか、得意先の無線につなぐかで、費用の持ち方も変わります。月額の料金は改定があるため、各社の公式の価格ページで確認した日を添えて社内資料に残してください。
費用負担は、端末代・回線費・利用料の3つに分けて考えます。供給側が全額を持つ形、得意先と分ける形、得意先が持つ形のいずれも採れますが、途中での変更は摩擦を生みます。端末を無償で貸し出す場合は、貸与である旨と返却の条件を書面へ残してください。負担の配分は、発注の回数に応じて段階を設ける組み立ても可能です。
資産管理は、配って終わりにしないための土台です。管理番号・貸与先・貸与した時期・OSの版・回線の契約番号を1つの台帳へ集めます。紛失・故障・返却の連絡先を1か所に決め、台帳の更新をその窓口の作業に含めてください。担当者の交代で連絡が途切れると、行方の分からない端末が残ります。
4項目を決めたら、得意先へ渡す覚書の形にまとめます。覚書には、貸与の範囲、費用の負担、返却の条件、紛失時の連絡先、利用状況の確認の5点を書きます。書面が整うと、営業担当者は配布の話をその場で進められます。口頭の了解だけで配ると、返却の段になって取り決めが無いことに気づきます。
優先順位は一度決めて終わりではありません。配布の後に発注の回数が伸びた得意先と、伸びなかった得意先を並べると、次の配布先の目安が見えます。四半期ごとに台帳と発注の実績を突き合わせ、配布の順序を組み替えてください。
配布する端末の選び方
端末の選定は、画面と耐久性、OSと管理機能、通信と周辺機器の3つの観点で絞ります。発注の画面が見やすい大きさか、落下や水濡れに耐えるか、電池が一日の業務を通して持つかを、使う場所の条件から確かめてください。次にOSの更新が提供される期間と、管理の仕組みに対応しているかを見ます。最後に回線の方式と、読み取り機や卓上の台などの周辺機器の要否を決めます。
画面は、注文の一覧と数量の入力欄が同時に見える大きさを目安にします。小さすぎると縦の並びが切れ、発注の担当者は画面を送りながら数量を入れることになります。倉庫や店頭で立ったまま使う場合は、片手で持てる重さと、落下に耐える保護の付け方が効きます。電池は、充電の場所が発注の担当者の動線にあるかどうかまで含めて考えてください。
OSは、更新が提供される期間の残りを調達の時点で確かめます。更新が止まった端末は、管理の仕組みや発注の画面が動かなくなる時期が来ます。中古の端末を安く揃えると、この残りが短く、入れ替えが早く訪れます。端末の入れ替えは配布と同じ手間が掛かるため、初回の選定で期間の残りを見ておく価値は大きいでしょう。
管理の仕組みへ自動で登録できるかどうかは、台数が増えるほど効きます。購入した端末を管理の対象として自動で登録する仕組みには、購入の経路や対応する版の条件が公式の文書に書かれています67。条件を外れた端末は1台ずつ手作業で設定することになり、配布の日程が読めなくなります。どの端末でも同じように使えるとは限らないため、調達の前に条件を突き合わせてください。
通信は、回線を内蔵する方式と、無線につなぐ方式の2つから選びます。内蔵する方式は場所を選ばない代わりに、回線の契約と月々の費用が台数分だけ発生します。無線につなぐ方式は費用を抑えられる一方、得意先の設備に依存し、つながらない場所が残ります。両方に対応する端末を選び、得意先ごとに使い分ける組み立ても現実的です。
周辺機器は、発注の手順から逆算して決めます。棚札の番号を読み取って発注する運用なら読み取り機が要り、控えを紙で渡す運用なら小型の印刷機が要ります。卓上の台と充電器を同梱すると置き場所が決まり、端末の行方が分からなくなる場面を減らせます。要らない機器を付けると開梱の時点で戸惑いを生むため、最小の組み合わせから始めてください。
予備の端末は、配布の開始前に確保してください。故障のたびに調達していては、その得意先の発注は紙や電話へ戻り、戻った運用はそのまま定着します。予備機は初期設定を済ませた状態で保管し、送るだけで使える形にしておきます。確保する台数は、配布した台数と故障の連絡の実績から見直してください。

キッティングと配布の実務
キッティングと配布は、端末の調達、初期設定、切り替え期間の3段階に分けて組み立てます。調達では購入経路の確認と管理サービスへの登録を先に済ませ、初期設定では自動登録の設定と配布キットの用意を並行して進めます。切り替え期間には初回発注の同行と旧受け口の停止を置き、いつ電話とFAXを閉じるかを最初から日程へ書き込んでください。手作業の設定を前提にすると、台数が増えた時点で日程が崩れます。
端末の調達では、購入経路の確認を最初に済ませます。自動で管理の対象へ登録する仕組みは、購入の経路と端末の対応が条件になります67。店頭で個別に買い足した端末は条件を満たさず、後から一括の設定に載せられないことがあります。調達の窓口を1つへ寄せると、台帳の記入と保証の窓口もそろうでしょう。
管理サービスへの登録は、端末が手元へ届く前に済ませられます。管理の画面で配布の対象と適用する設定を作っておけば、電源を入れた端末が自動で設定を受け取ります。自動登録の設定では、画面のロック、業務に使う画面の固定、更新の適用の3点を先に決めてください。1台ずつ手で設定すると、台数が増えるほど設定の食い違いが積み上がります。
配布キットの用意では、開梱から初回の発注までの導線を紙1枚で示します。中身は端末、充電器、手順書、問い合わせ先を書いた札の4点にまとめます。手順書は電源の入れ方、初回の入り方、最初の1件の入れ方の3段だけに絞ってください。読む量が多いほど、届いた箱がそのまま置かれる時間が延びます。
配布の日程は、営業担当者の訪問の予定と重ねて組みます。1週あたりに配る台数を決め、問い合わせが窓口の処理量を超えない範囲へ収めます。地域や担当ごとに区切って配ると、質問の内容が似通い、対応の型が早く固まります。全件を同じ日に配る計画では、初日の問い合わせで窓口が止まります。
切り替え期間には、初回発注の同行を必ず入れてください。営業担当者が最初の1件を横で見届けると、つまずく箇所がその場で分かります。旧受け口の停止は、切り替えの完了を確かめてから日程を伝えます。予告なく電話とFAXを閉じると、注文が止まり、得意先の信頼を損ないます。
配布の記録は、その場で台帳へ残します。誰に何台をいつ渡したかを訪問の当日に記入しないと、後から突き合わせる作業が生まれます。管理番号は端末の外側にも貼り、問い合わせの電話で読み上げてもらえるようにしてください。
配布後の定着支援とセキュリティ運用
配布の後に続ける作業は4つです。問い合わせ窓口を一本化し、利用状況の把握を続け、使われていない得意先には未利用先の訪問で働きかけ、紛失や盗難には遠隔対応で備えます。配って終わりにすると、最初の1週で操作につまずいた得意先から順に電話とFAXへ戻ります。戻った運用は元に戻りにくいため、初めの1か月の手当てが定着の分かれ目になります。
問い合わせ窓口は、得意先から見て1つにしてください。端末の不調、回線の不通、画面の操作、商品マスタの誤りは原因が別ですが、得意先には区別が付きません。窓口で受けてから内部で振り分ける形にすると、たらい回しの電話が減ります。受けた内容は分類して記録し、同じ質問が続く箇所は手順書と画面の側を直します。
利用状況の把握は、月ごとに同じ指標で続けます。見るのは、配った台数、発注のあった得意先の数、電子で受けた注文の割合の3つです。台数だけを追うと、配った端末が使われないまま増えている状態を見落とします。指標は受注センターと営業の双方が見られる場所へ置き、会議の資料へ毎月載せてください。
未利用先の訪問は、配布から1か月で反応の無い得意先を対象にします。使われない理由は、担当者の交代、置き場所の不明、初回の入り方の失敗に分かれます。訪問の際に発注を1件その場で入れてもらうと、詰まりの場所がはっきりします。端末を回収して別の得意先へ回す判断も、この訪問の場で決められるでしょう。
遠隔対応の備えは、紛失や盗難の連絡を受けた時に効きます。管理の仕組みからは、画面のロック、業務の画面の停止、端末内のデータの消去を離れた場所から指示できます。連絡から指示までの手順と担当を決めておかないと、夜間と休日に動けません。安全な状態を作れると言い切れる仕組みはないため、前提と手順を書面へ残してください。
守りの水準は、公開されている物差しで点検できます。中小企業向けの情報セキュリティ対策ガイドラインは第4.0版が公開されており、取り組むべき項目が整理されています*3。端末側の設定、回線の経路、画面の権限の3か所について、対策と前提を一覧にしてください。得意先へ配る端末は社外にあるため、社内の規程をそのまま当てはめると抜けが出ます。
発注の画面は、配った後も手を入れ続けます。商品の改廃、単価の改定、届け先の追加は、得意先の発注のたびに影響します。画面の更新の予定を得意先へ先に伝えると、問い合わせの山を避けられます。

費用と補助制度、社内合意の進め方
費用は初期と継続の2つに分けて並べ、補助制度は当年度の公募要領で条件を確かめ、稟議は自社の実測値で組み立てます。初期には端末代・付属品・キッティング・画面の構築が入り、継続には回線費・管理の利用料・保守・問い合わせ対応の人手が入ります。金額は改定があるため、公式の価格ページで確認した日を添えて社内資料へ残してください。効果の見積もりは他社の数値ではなく、自社の受注1件あたりの処理時間から積み上げます。
初期費用は、端末そのものよりも周辺の作業に厚みが出ます。端末代と保護のケースに加え、キッティングの人手、発注画面の構築、手順書と配布キットの制作が並びます。得意先ごとの商品と単価を画面へ載せる作業は、商品数が多いほど時間を要します。見積もりを取る際は、端末の台数だけでなく、この準備の作業を項目として立ててください。
継続費用は、台数に比例するものと、しないものに分かれます。比例するのは回線費と管理の利用料、比例しないのは窓口の人手と画面の保守です。配布の台数を増やす計画では、比例する項目だけを見て総額を読み違えないでください。3年程度の期間で総額を並べると、端末の入れ替えの時期も同じ表へ載ります。
補助制度は、条件の確認を年度ごとにやり直してください。中小企業のデジタル化を支える補助制度にはインボイス対応の類型が設けられており、対象の経費や申請の条件が示されています*4。補助率・上限額・ハードウェアだけで申請できるかどうかは年度で変わるため、当年度の公募要領を原典として確かめます。年度名を伏せた社内資料は、申請の直前に作り直しになります。
稟議の資料は、削減の見込みと、失敗した場合の影響を並べて書きます。受注1件あたりの処理時間を自社で計測し、電子で受けた注文の割合の目標と掛け合わせると、削減の見込みが出ます。他社の削減率をそのまま当てはめると、質問を受けた時に根拠を示せません。計測は配布の前に取ってください。後からでは、比較する前の値が残りません。
失敗した場合の影響も、数字で並べておきます。切り替えの周知が足りないまま旧受け口を止めると、その日の注文が入らず、出荷と請求が後ろへずれます。端末の行方が分からない状態で放置すれば、貸与した資産と、画面に残る取引先の情報の双方が管理の外へ出ます。配布の設計を誤った場合の戻し方も、稟議の資料へ1段落で書いてください。
社内だけで進める場合、要る知識の範囲は広く取る必要があります。端末の管理、回線の契約、発注画面と基幹システムのつなぎ、得意先への説明と一次対応が同時に走ります。情報システムの担当者が1名で兼務する体制では、配布の期間だけ他の作業が止まります。外部へ委ねる場合は、設計と初期設定を任せ、得意先との窓口は自社が持つ分担が噛み合うでしょう。
よくある質問
得意先が私物の端末しか使えない場合はどうすればよいですか。
パソコンの画面か持ち込み端末での利用を案内します。この場合は端末側の管理が及ばないため、画面の権限とパスワードの取り決めで守ることになります。表示の崩れが出やすいので、対応するOSの版と画面の大きさを事前に確かめ、動作を確認できた組み合わせを一覧にして案内してください。配布端末と併用する形も採れます。
配布した端末を返してもらえない場合はどうなりますか。
貸与である旨と返却の条件を書面に残していれば、回収の根拠を示せます。台帳に管理番号と貸与先と貸与した時期を残し、連絡が取れない端末は管理の仕組みから画面を止め、端末内のデータを消去します。書面と台帳のどちらかが欠けると、返却の交渉も遠隔の対応も遅れますので、配布の前に両方を整えてください。
通信費はどちらが負担するのが妥当ですか。
決まった正解はなく、回線の方式で判断が変わります。回線を内蔵する端末は台数分の月額が発生し、得意先の無線につなぐ方式では追加の月額が出ません。発注の回数に応じて負担の段階を設ける組み立ても可能です。月額の料金は改定があるため、各社の公式の価格ページで確認した日を添えて社内資料に残してください。
補助制度で端末の費用だけを申請できますか。
年度によって変わるため、当年度の公募要領で確かめてください。中小企業のデジタル化を支える補助制度にはインボイス対応の類型が設けられ、対象の経費と申請の条件が示されています*4。ハードウェアだけで申請できるか、補助率と上限額がいくらかは年度ごとに異なりますので、原典を確認してから資料を作ります。
電話とFAXの受注はいつ止めればよいですか。
切り替え期間を設け、初回の発注を確かめられた得意先から順に止めます。予告なく閉じるとその日の注文が入らず、出荷と請求が後ろへずれます。停止の日程を事前に伝え、端末が使えない事態に備えた例外の受け口を残してください。全件を同じ日に切り替える計画は、問い合わせが集中して窓口が止まります。
- *1 出典:総務省「令和7年通信利用動向調査の結果(報道資料)」(2026年) 経路
- *2 出典:国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト(電子取引データの保存)」(2026年時点で公開中) 経路
- *3 出典:独立行政法人情報処理推進機構「「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版を公開(プレス発表)」(2026年) 経路
- *4 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 インボイス枠(インボイス対応類型)」(2026年) 経路
- *5 出典:一般財団法人流通システム開発センター「流通BMS標準仕様」(2026年時点で公開中。基本形Ver.1.0は2007年公開) 経路
- *6 出典:Google「Zero-touch enrollment for IT admins(Android Enterprise ヘルプ)」(2026年時点で公開中) 経路
- *7 出典:Apple「Automated Device Enrollment and device management(Apple Platform Deployment)」(2026年時点で公開中) 経路
画像の出典元
- A hand grasping a red climbing hold on an indoor rock wall,/Photo by César Guillotel on Pexels
- A detailed view of a hand holding a mechanical switch with chopsticks, showcasing technology and precision./Photo by Click Jeth on Pexels
- Old stone church towers with crosses under a blue sky./Photo by Fatih KÖRKÜ on Pexels