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BtoB ECの初期費用|構築方式別の内訳と抑え方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • BtoB ECの初期費用は、一度だけ発生する初期費用、契約中続く月額費用、社内工数の三つの区分で数えると比較できます。
  • 構築方式は四つあり、初期費用が何の対価かが方式ごとに違います。
  • 契約期間を60か月と置くと、月額の差が月10万円で600万円になり、初期費用の差300万円は逆転します。
  • 電子取引データの保存では、検索の要件として取引年月日、取引金額、取引先の三項目が求められます。
  • 対象範囲の絞り込み、標準機能での吸収、支援制度の確認という三段階で、初期費用は必要な範囲に収まります。

Hands handling cash and calculator for budget planning. Mode
▽ 写真の出典元

BtoB ECの初期費用とは何を指すのか

BtoB ECの初期費用とは、受発注の仕組みをオンラインで動かし始めるまでに一度だけ発生する費用の総額です。料金表の初期費用という欄だけを指す言葉ではありません。環境の用意、取引先データと商品データの登録、既存の受発注業務との突き合わせまでが範囲に入ります。稟議で総額を問われたときに答えられるよう、費用は三つの区分で数えます。一度だけ発生する初期費用、契約している間ずっと発生する月額費用、そして社内の担当者が使う工数です。この三つを同じ期間で並べると、方式ごとの差が見えてきます。

初期費用を押し上げる要件を上から順に並べた図です。取引先別価格は取引先ごとの単価表を持たせる決め事で、掛売と与信は締め日と支払期日、与信枠の管理が伴います。基幹システム連携は在庫と受注の受け渡しの頻度と向きで作業量が変わり、承認フローは社内の決裁の順序を注文の流れに載せます。電子取引データの保存は真実性の確保と可視性の確保の要件に沿わせます。
初期費用を押し上げるBtoB特有の要件の並び

初期費用の欄に何が含まれるかは、提示された一行では読み取れません。環境の用意と基本設定までを初期費用とし、取引先ごとの価格設定や帳票の書式変更を別の見積として切り出す組み立てもあります。料金を公表しているクラウド型のサービスでは、初期費用と月額費用が料金ページに分けて示されています67。公表価格は改定されますので、税別か税込かの区別と参照した年を控えておくと、後から読み直せます。

逆に、初期費用に含まれない作業も先に洗い出しておきたいところです。商品マスタの整備、取引先ごとの価格表の突き合わせ、過去の受注データの移行は、社内の手作業として残ります。この手作業が遅れると立ち上げの時期そのものが後ろへ動きますので、金額の欄ではなく工数の欄で数えます。

三つの区分は、同じ契約期間で切って並べると比べやすくなります。仮に契約期間を60か月と置き、初期費用に月額費用の60倍を足した額を方式ごとに出してみます。社内工数は担当者の人数と月あたりの時間を掛け、同じ60か月で積み上げます。初期費用だけを横に並べた表では、この積み上がりが見えません。

消費者向けECの費用感をそのまま当てはめると、見積の読み方を外します。BtoBの受発注では取引先ごとに単価が異なり、掛売と与信の管理が前提に入ります。国内のBtoB-ECは公的な市場調査で毎年の規模とEC化率が公表され、消費者向けとは別の区分で集計されています*2。集計の区分が分かれているのは、取引の決め事そのものが違うからです。

価格の設定を取り違えたときの影響は、画面の見た目にとどまりません。取引先別の単価が1件入れ違うだけで、請求の訂正と再発行が発生し、値引きの交渉材料にもなります。受注の受け口が半日止まれば、その間の注文は電話とファックスに戻り、後から二重入力の確認が積み上がります。

初期費用の話に入る前に、区分の言葉を社内でそろえておくと後戻りが減ります。見積書の初期費用が何をどこまで含むのかを、受け取った側から言い直して確認します。次の見出しでは、構築方式ごとに初期費用の中身がどう変わるのかを内訳で見ていきます。

見積書の内訳で確認する優先順5点(順位根拠:確認の順序)

  1. 初期費用の内側の区分を確認します。環境の用意、設定作業、データ移行、追加開発、検証と教育の五つに分かれているかを見ます。
  2. 月額費用の内訳を、固定分と件数に応じて動く分に分けて示してもらいます。取引先数や商品数の上限を超えたときの扱いも同時に確かめます。
  3. 標準機能で吸収できる範囲と、追加開発になる境目を項目で確認します。境目が曖昧なままだと、立ち上げ後の追加費用になります。
  4. 既存システムとの連携の作業範囲を確認します。連携の向き、受け渡しの頻度、相手の数によって検証の工程が増えます。
  5. 保守に含まれる作業の範囲と、電子取引データの保存の要件への対応が誰の担当かを確認します。

構築方式ごとに変わる初期費用の内訳

Hands operating a green calculator over a laptop keyboard in
▽ 写真の出典元

構築方式は四つに分けて見ると、初期費用の中身が整理できます。クラウド型、パッケージ導入、フルスクラッチ、既存BtoC基盤の拡張です。方式ごとに見るのは、初期費用が何の対価か、初期費用に含まれる主な作業、費用が動く条件の三点です。クラウド型は設定作業の対価、パッケージ導入は要件の作り込みの対価、フルスクラッチは設計と開発そのものの対価という置き方になります。既存BtoC基盤の拡張では、既存の資産をどこまで使い回せるかで額が動きます。

クラウド型は、初期費用が設定作業の範囲に対応します。料金ページに初期費用と月額費用が公表されているサービスがあり、プランは取引先数や商品数などの上限で段階が分かれています67。稟議資料には、参照した年とプラン名を添えた実額を転記してください。[要追加:公表価格に基づく初期費用・月額費用の実額と参照した年]

パッケージ導入では、初期費用の大部分が要件の作り込みに向かいます。標準機能で足りる部分と、追加開発が要る部分の線引きが額を決めます。追加開発の対象が増えるほど、初期費用と同時に保守の月額も上がっていきます。見積の内訳では、標準機能の設定と追加開発を分けて示してもらうと比べやすくなります。

フルスクラッチは、設計と開発の工数がそのまま初期費用になります。開発の規模と工数の関係は公的な分析資料にまとめられており、規模が増えれば工数も積み上がる関係が示されています*4。この資料は現在の相場を示すものではありませんので、見積の読み方をそろえる参考として使います。自社の要件が固まっていない段階では、返ってくる額の幅が大きく開きます。

既存BtoC基盤の拡張は、初期費用を抑えられる場合と、かえって膨らむ場合に分かれます。会員機能や決済の仕組みを流用できれば、初期費用は設定と改修の範囲に収まります。取引先別価格や掛売の管理を後から足す場合は、改修が基盤の中心部分に及びます。既存サイトの運用を止められない事情があると、検証の手間も増えます。

方式を選ぶ順序は、初期費用の額からではありません。取引先数、商品数、受注件数、連携先の数という前提条件を先に確定させ、その条件で足りる方式を残します。企業のIT動向をまとめた業界団体の調査では、IT予算とシステム導入の動向が毎年まとめられています*5。自社の条件を書き出したうえで、こうした資料で全体の傾きを確かめます。

四つの方式は、どれかが他より優れているという並びではありません。前提条件が同じでも、社内で吸収できる作業量が違えば残る方式は変わります。次の見出しでは、方式に関わらず初期費用を押し上げるBtoB特有の要件を見ます。

構築方式 初期費用が何の対価か 初期費用に含まれる主な作業 費用が動く条件
クラウド型 設定作業の対価 環境の用意と基本設定・プランの選定 取引先数と商品数の上限
パッケージ導入 要件の作り込みの対価 標準機能の設定と追加開発の切り分け 追加開発の対象範囲
フルスクラッチ 設計と開発の対価 要件定義・設計・開発・検証 要件の確定度と開発規模
既存BtoC基盤の拡張 既存資産の改修の対価 会員と決済の流用・取引先別価格の追加 改修が基盤に及ぶ深さ

自社の商流に合わせた要件整理を進めたい場合は、無料相談で要件を整理するのが近道です。

初期費用を押し上げるBtoB特有の要件

初期費用が消費者向けECより上がる理由は、BtoB特有の五つの要件に集まります。取引先別価格、掛売と与信、基幹システム連携、承認フロー、電子取引データの保存です。どれも画面の見た目ではなく、取引の決め事に関わる部分です。標準機能でどこまで吸収できるかが、初期費用の額を左右します。五つのうち自社に効くものを先に絞れば、初期費用は必要な範囲に収まります。逆に全部を初回から作り込むと、立ち上げ前に費用と期間が膨らみます。

初期費用を抑える進め方を三つの段階に分けた図です。対象範囲の絞り込みの段階には取引先の選定と商品データの範囲があり、受注件数の上位から初回の対象を選び、受注の大半を占める品目から登録します。標準機能での吸収の段階には運用手順の見直しと追加開発の保留があり、現行の手順を標準機能へ寄せ、実績を見てから作り込みを決め直します。支援制度の確認の段階には対象経費の確認と公募時期の確認があり、経費の区分と申請の時期を公式の案内で確かめます。
初期費用を抑える三段階と各段階の作業

取引先別価格は、同じ商品に取引先ごとの単価を持たせる決め事です。単価表の持ち方は、取引先ごと、取引先の区分ごと、数量の段階ごとと分かれます。区分の数が増えるほど、初回のデータ登録と検証の手間が増えます。標準機能の単価表に自社の決め事を寄せられるかを、要件の整理の段階で確かめます。

掛売と与信は、締め日と支払期日、与信枠の管理に関わります。与信枠を超えた注文を止めるのか、承認待ちにするのかで運用が変わります。ここを曖昧にしたまま立ち上げると、注文の取り消しと再入力が現場に戻ります。回収の条件は営業部門の判断が入りますので、要件の確定に時間がかかります。

基幹システム連携は、初期費用の振れ幅が大きい部分です。在庫と受注をどの頻度で受け渡すか、連携の向きは片方向か双方向かで作業量が変わります。手作業のファイル受け渡しから始めて、後から自動連携へ移す進め方もあります。連携の相手が複数あるときは、相手ごとに検証の工程が増えます。

承認フローと電子取引データの保存は、社内の決め事と法令の要件が重なる部分です。電子取引データの保存には、真実性の確保と可視性の確保という二つの区分の要件があり、検索の要件では取引年月日、取引金額、取引先の三項目が求められます1。基準期間の売上高が5,000万円以下で、データの提示や提出の求めに応じられる場合には、検索機能の確保が不要とされています1。要件の当てはめは自社の取引の形で変わりますので、税務の判断は専門家に確認してください。

要件の確認を後回しにすると、費用は開発ではなく手戻りで増えます。取引先へ公開した後に単価や与信の扱いを変えると、周知と再設定が取引先の数だけ発生します。承認フローを飛ばした注文が通ってしまえば、出荷の取り消しと運賃の負担が残ります。

五つの要件は、初回からすべてを揃えなくても立ち上げられます。取引額の大きい取引先で使われる決め事から順に並べ、残りは次の段階へ回します。次の見出しでは、初期費用と月額費用を合わせた総額の見方に移ります。

初期費用と月額費用を合わせた総保有コストの見方

見積を依頼する前の整理を左から順に並べた図です。前提条件の棚卸しでは数えられる値を先に数え、システム化する範囲の線引きでは対象の工程を選びます。内訳の確認項目では見る区分を決め、質問の準備では聞く内容を固めます。
見積依頼の前に社内で整理する順序

初期費用の比較は、月額費用と社内工数を足した総額で見ないと結論が出ません。総額は、初期費用に月額費用と契約月数を掛けた額を足し、そこへ社内工数を金額に換算して加えます。仮に契約期間を60か月と置いたとき、月額費用の差が月あたり10万円あれば、60か月では600万円の差になります。初期費用の差が300万円であれば、この期間で順番が入れ替わります。比較の期間を先に決めておくことが、方式選びの前提です。

逆転が起きるかどうかは、契約期間と月額の差で決まります。契約期間を36か月で見るか60か月で見るかによって、同じ見積でも並び順が変わります。初期費用を低く見せた提案は、月額の保守料や取引先数に応じた課金で回収される組み立てになっていることがあります。月額の内訳を、固定分と件数に応じて動く分に分けて確認します。

初期費用を削った場合に後から出てくる費用には、決まった傾きがあります。標準機能で足りない部分を追加開発で埋める費用、取引先数や商品数の上限を超えたときのプラン変更、帳票の書式変更、連携先が増えたときの追加作業です。四つのうちどれが自社で起きやすいかは、前提条件の伸び方で判断できます。三年後の取引先数を見込み、その時点のプランで試算しておきます。

受注処理の削減工数は、費用と同じ表に並べて初めて比べられます。仮に受注1件の入力と確認に5分かかり、1日80件を処理しているとすれば、1日あたり400分、およそ6時間40分です。月20営業日なら約133時間になります。この時間のうちどれだけがオンライン化で減るのかを、自社の受注の形で見積もります。減った時間を別の作業へ振り向けるのか、時間外の削減として数えるのかも先に決めておきます。

社内工数を金額に換算するときは、時間あたりの人件費を自社の実績値から取ります。導入時の工数と、運用に入ってからの工数は分けて数えます。導入時は要件の整理とデータの整備が中心で、運用後は取引先の追加と価格の更新が中心になります。運用後の工数は毎月続きますので、月額費用と同じ欄に置きます。

総額の試算は、社内の前提条件が動くたびに更新します。企業のIT動向をまとめた業界団体の調査では、IT予算とシステム導入の動向が毎年まとめられています*5。こうした資料が自社の額を決めるわけではありませんが、投資の判断を社内で説明する材料になります。

総額で見る習慣がつくと、初期費用の安さだけで決める場面が減ります。次の見出しでは、総額を押さえたまま立ち上げる進め方と、公的な支援制度を確認する順序を整理します。

初期費用を抑えるための進め方と公的支援の活用

初期費用を抑える進め方は、三つの段階に整理できます。対象範囲の絞り込み、標準機能での吸収、支援制度の確認です。最初の段階では取引先の選定と商品データの範囲を決め、次の段階で運用手順の見直しと追加開発の保留を判断します。三つめの段階では、対象経費の確認と公募時期の確認に進みます。範囲を絞れば初回のデータ整備と検証が軽くなり、初期費用と立ち上げまでの期間の両方が下がります。

対象範囲の絞り込みでは、取引先の選定から始めます。たとえば受注件数の上位10社から20社に絞り、その取引で使われる決め事だけを初回の対象にします。全取引先を初回から載せると、単価表の登録と検証が初期費用を押し上げます。残りの取引先は、運用が回り始めてから段階を分けて追加します。

商品データの範囲も、初回は絞って始められます。受注の大半を占める品目から登録し、注文の少ない品目は後から足します。商品データの範囲を狭めれば、画像や仕様の整備という社内工数も同じだけ下がります。範囲を広げる時期は、運用の担当者が更新の手順に慣れてから決めます。

標準機能での吸収は、追加開発の費用を抑える判断です。運用手順の見直しで足りるものと、追加開発が要るものを一件ずつ振り分けます。現行の手順が紙の帳票に合わせて作られている場合は、手順の側を寄せたほうが総額が下がります。追加開発の保留は諦めることではなく、運用の実績を見てから決め直すという扱いです。

支援制度の確認では、対象経費の確認と公募時期の確認を先に済ませます。中小企業向けの補助制度では、補助率、補助額の上限、対象となる経費の区分が公募の要領で定められています*3。これらの条件は年度ごとに改定されますので、稟議に入れる前に公式の案内で確かめてください。申請しても交付が決まるとは限りませんので、補助を前提にしない資金計画も並べて用意します。

支援制度を使う場合は、契約と支払いの順序に注意します。交付の決定より前に契約した経費は対象外とされる制度があり、発注の時期が結果を左右します。導入の予定時期から逆算し、公募時期に間に合う形で社内の決裁を組み立てます。

三つの段階を踏むと、初期費用は必要な範囲に落ち着きます。範囲を絞ったぶん、後から広げる手順を先に決めておけば、二度手間になりません。次の見出しでは、見積を依頼する前に社内で整理しておくことを並べます。

見積を依頼する前に社内で整理しておくこと

見積の精度は、依頼する前の整理でほぼ決まります。順序は四つです。前提条件の棚卸し、システム化する範囲の線引き、内訳の確認項目、質問の準備です。前提条件が揃っていない依頼には幅の広い概算が返り、比較の材料になりません。取引先数、商品数、月間の受注件数、連携先の数を数字で示せれば、方式ごとの差が読める見積になります。同じ前提条件を各社へ渡すことが、比較の出発点です。

前提条件の棚卸しでは、数えられるものを先に数えます。取引先数、商品数、月間の受注件数、注文1件あたりの明細数、連携する既存システムの数です。加えて、取引先別価格の区分の数と、締め日と支払期日の種類も並べます。この一覧があると、プランの上限に収まるかどうかを提示の側で判断できます。

システム化する範囲の線引きは、現行業務を工程ごとに分けて決めます。見積の依頼、受注、出荷指示、請求のうち、どこをオンラインに載せるかを一件ずつ選びます。初回の対象外にした工程は、現行の手順で続ける前提を書き添えます。範囲が曖昧なままだと、返ってくる額も比較できない形になります。

内訳の確認項目は、見積書を受け取る前に決めておきます。初期費用の内側で、環境の用意、設定作業、データ移行、追加開発、検証と教育がどう分かれているかを見ます。月額費用も、固定分と件数に応じて動く分に分けて示してもらいます。同じ区分で並べば、方式の違いを額の差として読めます。

質問の準備では、聞く相手より先に聞く内容を固めます。標準機能で吸収できる範囲、追加開発になる境目、上限を超えたときの扱い、保守に含まれる作業の範囲です。回答が口頭で終わらないよう、見積書か議事録に残る形で確認します。

社内だけで進める場合に要る知識は、五つの領域にまたがります。受発注業務の要件整理、取引先別価格と与信の設計、基幹システムとのデータ連携、電子取引データの保存要件の確認、公募の要領の読み取りです。仮に週10時間を3か月続けるとすれば、およそ120時間の社内工数になります。兼務の担当者だけで抱えると、通常業務と重なった時期に整理が止まります。

外部のパートナーに依頼する場合との違いは、判断の材料が先に揃うかどうかに出ます。社内だけで進めると、前提条件の数え方と要件の書き方から手探りになります。過去の導入で使われた確認項目を持ち込めば、見積の幅が狭まり、比較に使う時間も短くなります。費用を下げるためではなく、手戻りの費用を減らすために外部の目を入れるという整理です。

Close-up of hands holding a red calculator, managing finances with documents and receipts.
▽ 写真の出典元

BtoB ECの初期費用に関するよくある疑問

初期費用の検討で出てくる疑問は、三つに集まります。初期費用が無料と表示される場合に何が別途かかるのか、小規模に始めて後から拡張できるのか、社内に情報システムの担当者がいない場合に費用がどう動くのかです。いずれも答えは前提条件で変わりますので、条件を添えて整理します。無料の表示は初期の設定作業までを指す場合があり、データ移行や連携は別の見積になります。

初期費用が無料と示されている場合は、無料の範囲を項目で確かめます。環境の用意までが無料で、取引先データと商品データの登録は別費用という組み立てがあります。帳票の書式変更、既存システムとの連携、教育の時間も別に並ぶことがあります。料金ページの公表価格は改定されますので、参照した年とプラン名を控えて比べてください67。

小規模に始めて後から広げる進め方は、上限の設計を先に見ておくと選べます。取引先数や商品数の上限でプランが分かれている場合、上限を超えた時点で月額費用が変わります。プラン変更でデータの移行が要るのか、設定のまま引き上げられるのかは提示の側に確認します。三年後の取引先数を見込んだ試算を、初回の比較表に並べておきます。

情報システムの担当者が社内にいない場合、費用は月額側と社内工数側に寄ります。要件の整理や検証を外部に頼る範囲が広がるため、初期費用の作業項目が増えます。運用に入ってからは、取引先の追加と価格の更新を誰が担うのかで月々の負担が変わります。業務部門の担当者が画面から更新できる範囲を、選定の条件に入れておきます。

立ち上げまでの期間も、費用の話と切り離せません。データの整備と検証には社内工数が集中しますので、繁忙期と重なれば期間が延びます。期間が延びるあいだは、現行の手作業も並行して続きます。開始の時期は、受注の山を外して決めます。

稟議で問われるのは、額の根拠と比較の前提です。初期費用と月額費用の出どころ、社内工数の数え方、比較に使った契約期間を1枚に収めます。公的な市場調査や補助制度の公募の要領のような一次資料は、参照した年を添えて引用します23。金額に幅を残す場合は、幅が生じる条件を並べて書きます。

疑問の答えは、自社の前提条件を数字で置いた時点で見え始めます。取引先数、商品数、受注件数、連携先の数を先に確定させ、そのうえで方式ごとの総額を並べてください。

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よくある質問

複数社から初期費用の見積を取るとき、同じ条件で比べるには何を渡せばよいですか

取引先数、商品数、月間の受注件数、注文1件あたりの明細数、連携する既存システムの数を、同じ一覧で各社に渡します。加えて、初回の対象にする工程と対象外にする工程を明記します。前提条件が同じであれば、返ってきた額の差を方式の差として読めます。

初期費用は分割して支払えますか

支払い条件は提示する側の契約で分かれます。着手時と検収時に分ける形や、月額へ含めて回収する形があります。月額に寄せた場合は、契約期間を60か月と置いた総額で比べ直してください。初期費用が下がっても、総額では上がる場合があります。

補助金を使えば初期費用はどれくらい下がりますか

補助率、補助額の上限、対象となる経費の区分は公募の要領で定められ、年度ごとに改定されます*3。申請しても交付が決まるとは限りませんので、補助を前提にしない資金計画も並べて用意してください。交付の決定より前に契約した経費が対象外とされる制度もあります。

立ち上げた後に毎月かかる社内工数は、どの作業ですか

取引先の追加、取引先別価格の更新、商品データの更新、問い合わせの一次対応が中心になります。この工数は月額費用と同じ欄に置いて数えます。業務部門の担当者が画面から更新できる範囲を選定の条件に入れると、月々の負担を軽くできます。

既存の受発注のやり方を残したまま並行して動かせますか

並行の期間を設ける進め方は選べますが、二重入力の確認という社内工数が増えます。取引先ごとに切り替えの時期を分け、対象の取引先から順に一本化していく形が現実的です。並行の期間をあらかじめ決めておけば、手作業が残り続ける事態を避けられます。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. *1 出典:国税庁「電子帳簿保存法特設サイト(電子取引データの保存要件)」(2026) 経路
  2. *2 出典:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課「令和6年度 電子商取引に関する市場調査(報告書・公表資料)」(2025) 経路
  3. *3 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠(対象経費・補助率・補助額)」(2026) 経路
  4. *4 出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「ソフトウェア開発分析データ集2022」(2022) 経路
  5. *5 出典:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)「企業IT動向調査報告書2026」(2026) 経路
  6. *6 出典:株式会社Dai「Bカート 料金プラン(初期費用・月額費用の公表価格)」(2026) 経路
  7. *7 出典:Shopify「Shopify 料金プラン(プラン別月額費用・B2B機能の提供範囲)」(2026) 経路

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  1. Hands handling cash and calculator for budget planning. Mode/Photo by https://kaboompics.com/ on Pexels
  2. Hands operating a green calculator over a laptop keyboard in/Photo by https://kaboompics.com/ on Pexels
  3. Close-up of hands holding a red calculator, managing finances with documents and receipts./Photo by https://kaboompics.com/ on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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