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売掛の費用と初期費用|内訳・相場・削減の要点

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 掛売りの費用は、決済手数料だけでなく、与信管理、請求書の発行、入金消込、督促と回収にかかる人件費と、貸倒れの損失を合算した四つの費目で見積もります。
  • 初期費用と月額固定費を0円と示す料金ページがある一方で、料率、請求書の郵送費用、保証の上限額は別に定められます。
  • 2026年に施行された法制度では、支払期日を給付の受領日から起算して60日以内に定めることが求められます。
  • 中小企業者等の貸倒引当金の法定繰入率は、卸売業および小売業で1,000分の10、製造業で1,000分の8です。

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売掛とは何か、費用が発生する仕組み

売掛とは、商品やサービスを先に引き渡し、あらかじめ定めた締め日と支払期日にまとめて代金を受け取る取引の方法です。費用は決済手数料だけではありません。取引先の支払能力を確かめる与信管理、請求書の発行、入金消込、そして督促と回収という一連の業務に、人と時間が必要になります。代金を受け取れなかったときの損失も費用の一部です。本記事では、毎月かかる運用費用と、開始時にかかる初期費用を分けて整理し、比較のときに見落としやすい費目を示します。

現金取引や前払い取引では、代金を受け取ってから商品を引き渡すため、未回収の損失は生じません。掛売りでは引き渡しが先で、回収は後になります。この時間差の間、売り手は仕入れや製造にかかった資金を立て替えている状態が続きます。買い手にとっては都度の支払事務がなくなる利点があり、企業間の取引では月締めの支払いが商習慣として定着してきました。

掛売りの業務は四つの工程に分かれます。与信管理、請求書の発行、入金消込、督促と回収の順に進みます。与信管理では、取引先の支払能力を評価し、掛売りで販売してよい上限額である与信枠を決めます。請求書の発行では、締め日ごとに取引を集計し、期日を明記した請求書を送ります。入金消込では、入金された金額と請求内容を突き合わせ、差額があれば原因を調べます。

最後の督促と回収は、期日までに入金がなかった場合の対応です。連絡と再請求を重ねても回収できないときは、取引の停止や法的手続きの検討に進みます。前の工程の精度が低いほど、この段階の負担は重くなります。与信管理が甘ければ回収できない債権が増え、請求内容が不正確なら支払いが保留されるからです。

売掛の費用が見えにくくなるのは、支出の形が二つに分かれるためです。決済手数料や郵送料は、請求書や明細に金額として現れます。ところが与信管理や入金消込に費やす時間は既存の担当者の業務に埋もれ、独立した費目として集計されません。会計上も販売費及び一般管理費の中に分散するため、掛売りにいくらかかっているのかを一つの数字で把握しにくくなります。

支払期日までの期間も費用として見る必要があります。締め日から入金までの間、売り手は代金を回収できないまま次の仕入れの支払いに応じることになります。企業間の取引条件については、2026年に施行された中小受託取引適正化法が、給付を受領した日から起算して60日以内に支払期日を定めるよう求めています*3。取引条件を決める段階で、この期間を織り込んだ資金繰りの見通しが要ります。

回収できなかった場合の損失も、あらかじめ費用として見積もる項目です。法人税では、売掛金などの金銭債権について貸倒引当金を繰り入れる扱いが定められており、中小企業者等では業種ごとの法定繰入率を使う方法が認められています*1。つまり掛売りの費用は、手数料、人件費、資金の立替、貸倒れの四つに分けて見積もることができます。この四つを合算しない比較は、実際の負担を小さく見せてしまいます。

掛売りの業務は与信管理から始まり、請求書の発行、入金消込、督促と回収の順に進みます。前の工程が終わってから次の工程へ移る直列の流れです。
掛売り取引で代金を受け取るまでの業務の順序

掛売りの費用を見直すときに着手する優先順5点(順位根拠:着手順序の依存関係)

  1. 取引条件を確定します。締め日、支払期日、遅延時の対応を取引先ごとに整理し、支払期日は給付を受領した日から起算して60日以内に定めます。
  2. 与信方針を決めます。掛売りで受ける上限額と、与信枠を超えた注文の扱いをあらかじめ定めておくと、稼働後の例外処理が減ります。
  3. 請求業務を電子化します。電子でやり取りした取引情報は電子データのまま保存し、取引年月日、取引金額、取引先の3項目で検索できる状態にします。
  4. 費用を費目別に集計します。手数料、人件費、資金の立替、貸倒れの四つに分け、取引件数と請求書の枚数を添えて金額を出します。
  5. 料金体系を比べます。初期費用と月額固定費が0円でも、料率、郵送費用、保証の上限額は別に定められるため、条件をそろえて総額で比較します。

売掛の運用にかかる費用の内訳

運用にかかる費用は、与信管理と債権保証、請求書の発行と送付、入金消込、そして貸倒れへの備えの四つに分かれます。外部のサービスを使う場合は請求金額に対する料率が中心となり、自社で担う場合は担当者の時間が費用の大半を占めます。どちらの方式でも、取引件数と請求書の枚数が増えるほど負担は増えていきます。制度改正への対応にかかる費用も、運用費用として見込んでおく必要があります。

与信管理の費用は、情報の取得と判断の二つに分かれます。取引先の登記情報や決算情報、信用調査の報告書を取り寄せる費用がかかり、報告書の費用は1件ごとに発生します。取得した情報をもとに与信枠を決める作業には、経理や営業管理の担当者の時間が要ります。新規の取引先が増える時期ほど、この費用は取引件数に比例して増えます。

債権保証を外部に委ねる場合は、保証の対象と範囲によって費用が変わります。保証を付けると回収できなかった債権の一部または全部が補填されますが、その分の負担が請求金額に対する料率に上乗せされます。保証の上限額、対象外となる取引、支払いまでの手続きは契約ごとに異なります。料率だけを比べると、保証の範囲の違いが見えなくなってしまいます。

請求書の発行と送付では、枚数に比例する費用と、体制にかかる費用が同時に発生します。紙で送る場合は用紙、封入、郵送の費用が1通ごとにかかり、月末月初に作業が集中します。電子で送る場合は郵送費が減る代わりに、送信の記録と保存の仕組みが要ります。取引先ごとに指定の様式や送付方法が異なると、例外対応の時間が積み上がっていきます。

入金消込は、件数が増えるほど例外対応が増える業務です。振込名義が請求先と異なる場合、複数の請求がまとめて入金された場合、振込手数料が差し引かれた場合には、手作業での照合が必要になります。差額の原因が特定できない入金は、担当者間の確認や取引先への問い合わせに発展します。この確認にかかる時間は、請求件数ではなく例外の件数に比例して増えるという性質があります。

貸倒れに備える費用は、引当と損失の二段階で考えます。法人税では、売掛金などの一括評価金銭債権について、中小企業者等が業種ごとの法定繰入率で貸倒引当金を計算できます1。卸売業および小売業は1,000分の10、製造業は1,000分の8、金融業および保険業は1,000分の3、その他の事業は1,000分の6です1。適用にあたっては資本金の額が1億円以下であることなどの要件があり、資本金5億円以上の法人に完全支配されている場合は対象から外れます*1

実際に回収できなくなった場合は、要件を満たした事業年度に貸倒れとして損金に算入します*1。ただし損金に算入できても、失った代金そのものが戻るわけではありません。仕入れや製造にかかった費用は、すでに支払い済みだからです。失った代金を利益で埋め戻すには、利益率の逆数に相当する売上を新たに積み上げる必要があります。

自社の商流に合わせた要件整理を進めたい場合は、無料相談で要件を整理するのが近道です。

売掛の仕組みを導入するときの初期費用

導入時にかかる初期費用は、事前の設計、システムの導入と設定、運用開始前の手続きという三つの段階に分かれます。公開されている後払い決済サービスの料金ページには、初期費用と月額固定費を0円と示す例があります67。ただし0円で始められるのは決済サービスの利用料の部分であり、自社側の設定や既存システムとの連携にかかる手間は残ります。見積もりを取る前に、どの作業を自社が担うのかを切り分けておくと、後から増える費用を抑えられます。

最初の段階は事前の設計です。取引条件の整理では、締め日、支払期日、支払方法、遅延時の対応を取引先ごとに洗い出します。与信方針の決定では、どの規模の取引までを掛売りで受けるか、与信枠を超えた注文をどう扱うかを決めておきます。ここが曖昧なまま導入すると、稼働後に例外処理が積み上がり、設定のやり直しが発生します。

次の段階はシステムの導入と設定です。販売管理システムとの連携では、受注、出荷、請求の各データをどの順序で受け渡すかを決め、項目名や取引先コードの対応表を作ります。請求書テンプレートの設定では、自社の様式と取引先が求める記載事項を突き合わせます。取引先ごとに指定の様式がある場合、この作業が初期費用の中で大きな割合を占めることになります。

連携にかかる費用は、既存システムの作り方によって幅が出ます。標準の連携機能が用意されていれば設定作業で済みますが、独自に開発したシステムでは接続部分の開発が必要です。会計システム側では、売掛金の計上、入金の消込、手数料の科目設定を合わせます。マスタの整備、テスト、並行稼働の期間まで含めて見積もると、実際の負担が把握できます。

三つ目の段階は運用開始前の手続きです。審査と与信枠の設定では、サービス提供者による自社と取引先の審査を経て、取引先ごとの利用可能額が決まります。取引先への案内では、請求元、支払先口座、問い合わせ窓口の変更を伝えます。案内が行き届かないと、旧口座への入金や支払いの保留が起こり、開始直後の入金消込が滞ります。

これらを自社だけで進める場合、必要になる知識は一つではありません。販売管理と会計の実務、システム間の連携仕様、与信の判断基準、そして電子取引データの保存要件をそれぞれ理解した担当者が要ります*2。兼務の担当者が期末や繁忙期と重なる時期に進めると、確認が省かれ、稼働後の手戻りにつながります。設計、設定、テスト、案内のどこを外部に委ねるかを、着手前に決めておく方が安全です。

初期費用を比べるときは、金額の大小より内訳の粒度を見ます。初期設定の作業範囲、連携開発の有無、テスト環境の提供、稼働後の初月の支援がそれぞれ含まれるかどうかで、同じ表示金額でも実際の負担は変わります。見積書に含まれない作業は、自社の人件費として発生します。この四つの確認項目を先に決めておけば、条件をそろえた比較ができます。

事前の設計では、取引条件の整理と与信方針の決定を進めます。システムの導入と設定では、販売管理システムとの連携と請求書テンプレートの設定に取りかかります。運用開始前の手続きでは、審査と与信枠の設定と取引先への案内を済ませます。
掛売りの仕組みを導入するときの三つの段階と作業

自社運用と外部サービスの費用構造の比較

自社で回収まで担う場合と、請求代行・後払い決済を使う場合では、費用の出方が逆になります。自社で担う場合は固定的な人件費が中心で、取引件数が増えても支払う手数料は増えません。請求代行・後払い決済を使う場合は初期費用と月額固定費を0円とする料金ページがあり67、費用は請求金額に対する料率として変動します。どちらが有利かは、取引件数、1件あたりの金額、例外処理の多さで決まります。

自社で回収まで担う場合の費用は、人件費に集約されます。与信管理、請求書の発行、入金消込、督促と回収を担当者が分担し、月次の締め処理として繰り返します。取引件数が少ないうちは既存の担当者の業務時間に吸収できますが、件数が担当者の処理能力を超えると増員か残業で対応することになります。人件費は件数が減っても下がりにくく、費用としては固定費に近い性質を持ちます。

自社で担う場合、貸倒れの負担と制度改正への対応も自社に残ります。回収できない債権が出れば、その損失は自社の利益から差し引かれます。請求書の記載事項や電子取引データの保存要件が変わったときは、様式と運用を自社で改めなければなりません*2。この二つは金額が読みにくく、予算に載りにくい費目です。

請求代行・後払い決済サービスを使う場合の費用は、変動費が中心です。請求金額に対する料率で手数料が発生し、取引件数と請求金額が増えれば費用も増えます。与信管理と入金消込を委託でき、保証を付ければ回収できなかった債権の負担も契約の範囲で移せます。制度改正への対応はサービス側の更新に従う形になり、自社での改修は請求データの受け渡し部分に限られます。ただし請求書の郵送費用や特定の支払方法の利用料が別に定められる場合があり、料率だけでは総額が決まりません。

比較の観点を五つに絞ると、違いがはっきりします。初期費用、変動費、人件費、貸倒れの負担、制度改正への対応の五つです。自社で回収まで担う場合の初期費用は販売管理システムとの連携と設定が中心となり、請求代行・後払い決済を使う場合は初期費用と月額固定費を0円とする料金ページがあります67。この五つを同じ条件で並べないと、料率の低さだけで判断してしまいます。

取引件数から損益分岐を見積もる考え方は単純です。外部サービスの費用は、月間の請求金額に料率を掛けた額に、請求書の送付にかかる費用を足したものになります。自社運用の費用は、担当者の時間あたり人件費に、与信、請求、消込、督促に要する時間を掛けたものです。この二つが釣り合う件数を求めれば、自社の取引量がどちらの方式に向いているかが分かります。

実際の判断では、金額以外の要素も重みを持ちます。新規の取引先が増える計画があるなら、与信の判断を外部に委ねる利点は大きくなるでしょう。取引先が少数で長期に固定されているなら、自社運用の人件費は増えにくく、料率の負担だけが残ります。自社の取引件数と新規取引の見込みを数字にしてから、二つの方式を突き合わせてください。

比較の観点 自社で回収まで担う場合 請求代行・後払い決済を使う場合
初期費用 販売管理システムとの連携と設定が中心 初期費用と月額固定費を0円とする料金ページがある
変動費 取引件数が増えても手数料は発生しない 請求金額に対する料率で発生する
人件費 与信管理と入金消込を担当者が担う 与信管理と入金消込を委託できる
貸倒れの負担 損失を自社の利益から差し引く 保証の範囲を契約で定める
制度改正への対応 様式と運用を自社で改める サービス側の更新に従う
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初期費用と運用費用を抑える進め方

費用を抑える手順には順序があります。先に請求業務の電子化で作業そのものを減らし、次に公的な補助制度の活用で導入時の負担を軽くし、最後に料金体系の選び分けで毎月の費用を自社の取引量に合わせます。順序を逆にすると、非効率な作業のまま仕組みだけを入れ替えることになります。取引先ごとの方式の使い分けまで含めて設計すれば、削減できる範囲は広がるでしょう。四つの手を同時に打つ必要はなく、着手できる順に進めれば効果は積み上がります。

請求業務の電子化は、削減の余地が見えやすい部分です。紙の請求書では、印刷、封入、郵送の費用が1通ごとに発生し、月末月初に作業が集中します。電子で送れば郵送費と封入の時間が減り、送付の記録も残ります。電子帳簿保存法では、電子でやり取りした取引情報は電子データのまま保存することとされており、紙に出力して保存する方法は原則として認められません*2

電子化を進めるときは、保存の要件を同時に満たす設計にします。保存にあたっては改ざんを防ぐ措置と、取引年月日、取引金額、取引先の3項目で検索できる状態が求められます2。判定期間の売上高が5,000万円以下の事業者などには、データの提示や提出の求めに応じることを条件に、検索の要件が不要となる措置が設けられています2。保存期間は、法人税では原則として7年です*2

導入時の負担を軽くする手として、公的な補助制度の活用があります。中小企業のデジタル化を支援する制度では、あらかじめ登録されたツールと支援事業者を通じて申請する形が採られています5。対象となる経費、補助率、公募の期間は年度ごとに定められるため、申請の前に公式の案内で最新の要件を確認してください5。交付の決定より前に契約や発注をすると対象外になる場合があるため、導入の時期と申請の時期は合わせて計画します。

料金体系の選び分けは、自社の取引量で決めます。従量課金型は請求金額に応じて費用が変わるため、取引件数が少ない時期や、季節による変動が大きい事業に向きます。固定費型は月額が変わらず、件数が増えるほど1件あたりの負担は下がっていきます。公開されている料金ページには、初期費用と月額固定費を0円とし、請求金額に対する料率のみを定める例があります67。

取引先ごとの方式の使い分けも、費用を抑える手段になります。長年の取引があり支払いが安定している相手には自社の掛売りを続け、新規の相手や与信の判断が難しい相手だけを外部の保証付きの仕組みに乗せる形です。この使い分けには、料率のかかる金額を必要な範囲に限る効果があります。ただし請求書の様式や問い合わせ窓口が二系統になるため、社内の手順書を分けて整える必要があります。

削減を検討するときは、削減できない費用も同時に確かめます。取引条件の見直しには取引先との協議が要り、システムの設定変更にはテストの期間が要ります。制度改正のたびに様式と保存方法を確認する作業も残ります。自社の取引件数、請求書の枚数、担当者の作業時間を数字にすると、どの手から着手すべきかが判断できます。

請求業務の電子化で作業そのものを減らし、公的な補助制度の活用で導入時の負担を軽くし、料金体系の選び分けで毎月の費用を取引量に合わせ、取引先ごとの方式の使い分けで料率のかかる範囲を限ります。
費用を抑えるために着手する順序と各段の狙い

導入前に押さえる制度・会計・税務の論点

掛売りの費用を見積もるときは、制度の要件を先に確認します。取引条件については、2026年に施行された中小受託取引適正化法が支払期日の定め方を規律しています3。請求書のやり取りについては、電子帳簿保存法が保存の方法を定めています2。回収できなかった債権については、法人税の貸倒引当金と貸倒れの扱いがあります*1。この三つは費用の前提であり、後から対応すると設定のやり直しが生じます。

支払期日については、給付を受領した日から起算して60日以内で、かつできる限り短い期間内に定めることが求められます3。2026年に施行された改正では、法律の名称が変わり、支払手段としての手形等による支払いが禁じられました3。適用の対象を判断する基準にも見直しが入っています*3。自社が委託する側になる取引と受託する側になる取引の双方で、条件を確かめておく必要があります。

支払期日の定めに合わせられない場合の負担は、遅延の利息だけにとどまりません。取引条件の見直しには取引先との協議が要り、販売管理システムの締め日設定や請求書の記載も合わせて改めることになります*3。改正のたびに個別に対応すると、そのつど設定変更とテストの費用が発生します。制度の要件を初期設計に織り込んでおく方が、結果として費用は小さくなるでしょう。

電子取引データの保存義務は、掛売りの請求業務に直接かかわります。電子でやり取りした請求書や注文書は、電子データのまま保存することとされています2。保存の方法には改ざん防止の措置と検索の要件があり、これに対応していない状態で保存しても要件を満たしません2。制度に沿った保存ができる仕組みを選ぶことが、後からの作り直しを避ける近道です。

相当の理由があってデータのまま保存できない事業者には、猶予の措置が設けられています2。ただしこの措置は、データの提示や提出の求めに応じることなどが前提です2。紙で保存すれば済むという扱いではありません。運用の負担を長期で見れば、電子で保存できる仕組みへ早めに移す方が費用は抑えられます。

税務上の扱いも費用の見積もりに影響します。一括評価金銭債権に係る貸倒引当金では、中小企業者等は実績による繰入率と業種ごとの法定繰入率のいずれかを選べます1。法定繰入率を使う場合は、債権の額から実質的に債権とみられない金額を控除したうえで計算します1。売掛金、受取手形、貸付金などが、一括評価の対象となる金銭債権です*1

回収できないことが確定した債権は、要件を満たす事業年度に貸倒れとして損金に算入します*1。引当金はあくまで見積もりであり、実際の貸倒れが起きたときの処理とは別に考えます。取引先の状態、回収の努力の記録、法的手続きの有無によって扱いが変わるため、督促と回収の記録を残しておくことが後の判断を支えます。制度と税務の要件は営業管理と経理の双方にまたがるため、担当を分けたまま進めない方が安全です。

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売掛の費用に関するよくある疑問

よく寄せられる疑問は三つに整理できます。初期費用が0円と示されているサービスで何を確認すべきか、売掛債権の早期資金化と請求代行は何が違うのか、少額・小口の取引で費用をどう考えるか、の三つです。いずれも料率の数字だけでは答えが出ません。契約の範囲、資金の受け取り方、1件あたりの固定的な費用という別の物差しが要ります。表示されている条件が自社の取引に当てはまるかどうかを、契約書と料金ページの両方で確かめてください。

初期費用と月額固定費が0円と示されている場合、費用は請求金額に対する料率と、個別に定められる項目に移っています67。確認すべき点は、料率が適用される範囲、請求書の郵送や再発行にかかる費用、保証の上限額と対象外の取引、最低利用期間や解約の条件の四つです。料率に幅が示されている場合は、自社の取引がどの水準に該当するかを見積もりで確かめます。0円という表示は、費用が発生しないという意味ではありません。

表示された料率の外側にも費用は残ります。受注データの確定、出荷情報の連携、売上の計上、取引先からの問い合わせへの一次対応は、委託しても自社に残る業務です。取引先の追加や与信枠の見直しを申請する作業も続きます。委託の範囲を契約書で確かめ、残る業務にかかる時間を人件費として見積もってください。

売掛債権の早期資金化は、請求代行とは性質が異なります。前者は保有している債権を譲渡して支払期日より前に資金を受け取る取引であり、後者は請求と回収の業務を委ねる取引です。早期資金化は資金繰りの手段であって、請求業務の負担を減らすものではありません。目的が資金繰りなのか業務の負担軽減なのかによって、選ぶ手段は変わります。

早期資金化を検討する場合は、監督官庁が公表している注意喚起の内容を確かめてください4。債権の譲渡の形をとっていても、譲渡した側が買戻しの義務を負うなど実質的に貸付けと判断されるものは、貸金業に該当する場合があります4。無登録の事業者による取引や、著しく高額な手数料には注意が必要です4。契約の名称ではなく、償還請求権の有無や手数料の水準を含めた条件で判断してください4。

少額・小口の取引では、1件あたりに固定的にかかる費用の重みが増します。請求書の郵送費や振込手数料は、請求金額が小さくても同じ額が発生するためです。取引金額に対する料率だけを見ていると、1件あたりの固定的な費用が利益を上回る場合があります。取引先ごとに1件あたりの請求金額と件数を集計し、費用の合計を金額で確かめてください。

小口の取引が多い場合の手は三つあります。第一に、締めの回数を減らして1回の請求にまとめ、請求書の枚数を減らす方法です。第二に、郵送を電子送付へ切り替えて1通ごとの費用を下げる方法があります*2。第三に、少額の取引だけを前払いや別の決済手段に分け、掛売りの対象を絞る方法です。いずれも取引先との合意が前提となるため、条件の変更は事前の協議から始めます。

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よくある質問

与信枠が取引先の希望する取引額に届かない場合はどうすればよいですか

取引の一部を前払いに切り替える、出荷を分割して1回あたりの残高を抑える、決算資料の追加提出を受けて与信枠の見直しを申請する、といった方法があります。与信枠は取引の実績や支払いの状況によって見直されるため、初回の判断で固定されるものではありません。受注を止める前に、条件の組み替えを検討してください。

請求代行を使っても自社に残る業務はありますか

残ります。受注データの確定、出荷情報の連携、売上の計上、取引先からの問い合わせへの一次対応は自社の業務です。取引先の追加申請や与信枠の見直しの依頼も続きます。委託できる範囲は契約で定められるため、見積もりを比べる前に業務の分担表を作り、自社に残る作業時間を人件費として見積もってください。

締め日や支払サイトを変更するときに注意する点は何ですか

支払期日は、給付を受領した日から起算して60日以内で、できる限り短い期間内に定めることが求められます*3。変更は取引先との協議が前提であり、一方的な通知では条件変更の根拠になりません。販売管理システムの締め日設定、請求書の記載、入金予定の管理も同時に改める必要があります。

掛売りを始めた後で自社運用から外部サービスへ切り替えられますか

切り替えは可能ですが、移行の期間に負担が集中します。切替日をまたぐ債権は従来の方法で回収し、新規の取引から新しい請求元へ移す形が採られます。取引先には請求元と支払先口座の変更を事前に案内し、旧口座への入金が続く期間の消込体制を用意します。移行にかかる作業時間も費用として見込んでおいてください。

掛売りの費用を社内で比較するにはどの数字をそろえればよいですか

月間の取引件数、請求書の枚数、与信管理と入金消込と督促に費やした作業時間、振込手数料や郵送費の合計、回収が遅れた債権の金額という五つをそろえます。この五つがあれば、外部サービスの料率を掛けた金額と自社運用の人件費を同じ土俵で比べられます。数字が手元にない場合は、まず1か月分を記録することから始めてください。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. *1 出典:国税庁「タックスアンサー No.5501 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の設定」(2026年時点の現行版) 経路
  2. *2 出典:国税庁「電子帳簿保存法関係 パンフレット(過去の主な改正を含む)」(2026年時点の現行版) 経路
  3. *3 出典:公正取引委員会「法令・ガイドライン等(取適法/中小受託取引適正化法)」(2026年時点の現行版) 経路
  4. *4 出典:金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」(2026年時点の現行版) 経路
  5. *5 出典:中小企業庁・独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業デジタル化・AI導入支援事業「デジタル化・AI導入補助金2026」制度概要」(2026年) 経路
  6. *6 出典:株式会社ラクーンフィナンシャル「Paid ご利用料金」(2026年時点の掲載内容) 経路
  7. *7 出典:株式会社ネットプロテクションズ「NP掛け払い 価格」(2026年時点の掲載内容) 経路

画像の出典元

  1. Close-up of hands using a blue calculator at a desk with a l/Photo by https://kaboompics.com/ on Pexels
  2. Close-up of hands writing calculations in a notebook with a/Photo by olia danilevich on Pexels
  3. Accountant calculates finances with a calculator and documen/Photo by Mikhail Nilov on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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