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BtoB ECの発注単位・ロット設定|設計の実務

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 発注単位・ロット設定で決めるべき項目を5つに整理し、比較表で判断基準を示します。
  • ケースとバラを併売するときの商品マスタ設計を、GS1標準の原則から解説します。
  • 発注単位の引き上げを取引先にどう説明するか、物流効率化法と3省ガイドラインを根拠に示します。
発注のイメージ
▽ 写真の出典元

発注単位・ロット設定とは、荷姿と入数と下限を画面のルールに落とす設計

BtoB ECの発注単位・ロット設定とは、商品ごとに「どの荷姿で、いくつから、いくつ刻みで注文できるか」を注文画面上のルールとして決める設計です。2025年度から物流効率化法の荷主の努力義務が実施され、発注条件の見直しが荷主側の実務課題になりました*1*3。発注単位の設計は、その受け皿になります。

図
発注単位・ロット設定を決める5ステップ(詳細は本文「設定手順」参照)

設定に着手する前に確認する優先順5点(順位根拠:手順=実施順序)

  1. 現行の発注ルールを商品別・取引先別に棚卸しし、例外の数を把握する。
  2. ケース・ボール・バラなど荷姿ごとの入数をマスタで確定する。
  3. 最小発注数量と発注の刻み(倍数)を、両方きつくしないよう決める。
  4. 取引先別の例外を登録する軸を1つに絞り、件数の上限を決める。
  5. 見直しの時期と取引先への通知方法を含め、改定の運用ルールを決める。

発注単位の設定で決める5つの項目:荷姿・入数・下限・刻み・注文下限額

発注単位・ロット設定と一口に言っても、画面上で決める項目は5つに分かれます。荷姿(バラ・ボール・ケース・パレット)、1ケースあたりの入数、最小発注数量、発注の刻み(倍数)、1注文あたりの最小金額です。この5項目をどう組み合わせるかが、設計の出発点になります。

BtoC通販との違い:1個購入を前提にせず取引先ごとに条件が変わる

BtoC通販は1個から購入できることが前提です。BtoBの発注単位設計はこの前提を取りません。取引先によって発注できる数量・単位が異なる場合があり、同一商品でも条件がひとつに定まらないためです。取引先ごとの条件差をどう画面に載せるかが、BtoC設計との分岐点になります。

用語の整理:発注単位・ロット・最小発注数量を初出で定義する

「発注単位」は注文できる数量の刻み、「ロット」は生産・出荷の単位、「最小発注数量」はそれ以上でなければ注文を受け付けない下限を指します。3つの用語は現場で混在しがちですが、画面設計上は別のパラメータとして持つ必要があります。なお、業界別の発注ロットの目安は一次情報での裏づけが確認できなかったため、本記事では扱いません。

発注単位で決める5項目を比較表で判断する

5項目の一覧:荷姿・入数・最小発注数量・発注の刻み・最小注文金額

5項目それぞれで「何を決めるか」「誤って設定すると何が起きるか」「取引先への説明のしやすさ」「改定の重さ」は異なります。次の表に整理します。

項目 何を決めるか 誤設定で起きること 取引先への説明のしやすさ 改定の重さ
①荷姿 バラ・ボール・ケース・パレットのどれで発注を受けるか 現場在庫と発注単位が食い違い、出荷時に荷姿を変換する手間が発生する 物流現場の実態に即しており説明しやすい マスタの持ち方に直結し重い
②入数 1ケース・1ボールあたりの個数 受発注データと現物の数量が一致しなくなる 数値のため誤解が少ない 別コード管理が絡むと重い*4*5
③最小発注数量 それ未満は注文を受け付けない下限 小口の既存取引先が発注できなくなる 値上げと誤解されやすく説明が要る 個別合意が必要になりやすく重い
④発注の刻み(倍数) 追加発注できる数量の単位 下限と同時にきつくすると注文が成立しない 計算式で示せるため説明しやすい 単独では軽い
⑤最小注文金額 1回の注文で満たすべき合計金額の下限 送料無料ラインと矛盾し、注文直前の離脱を招く 送料条件と合わせて説明しやすい 価格改定と連動するため中程度

どれを必須にし、どれを任意にするか:下限と刻みを両方きつくすると注文がまとまらない

最小発注数量と発注の刻みを両方厳しく設定すると、条件を満たす注文がそもそも成立しにくくなります。どちらか一方を緩めに設定し、もう一方で運用を締めるのが実務上の基本です。

取引先別に発注単位を変えるか:例外を持つ軸は1つに絞る

取引先ごとに発注単位を変える設定は、大口と小口の取引実態を反映できる一方、例外が増えるほど保守負担が増します。例外を持たせる軸は1つに絞り、件数の上限を決めておくと管理しやすくなります。数量に応じた単価設計を別軸で持つ場合、階段価格の設計とは切り分けて考えるのが実務上の基本です。

発注単位を上げにくい理由は取引先ごとに異なります。自社の商品構成と取引条件を並べて見直すには、無料相談で要件を整理するのが近道です。

最小注文金額と送料無料ラインの整合

最小注文金額を設定する場合、送料無料ラインと矛盾しないよう調整することが重要です。送料の型そのものの設計は別のテーマになるため、本記事では発注量・積載効率の観点に絞って扱います。

ケースとバラを併売するときのマスタ設計はGS1標準が基準になる

比較のイメージ
▽ 写真の出典元

GS1の原則:入数の違いごとに別々のGTINを設定する

ケースとバラを同時に販売するとき、同一の商品コードに単位違いを後付けするのは標準的な方法ではありません。GS1 Japanが公開する「GTIN設定の基本原則」は、「集合包装には、入数の違いごとに別々のGTINを設定します」と定めています*5。入数が異なれば、別のコードとして持つのが原則です。

集合包装用商品コード(GTIN-14)は14桁・先頭1桁で荷姿を区別する

GTIN(Global Trade Item Number。国際的な商品識別コードの総称)のうち、集合包装用のコードはGTIN-14と呼ばれます。GS1 Japanによれば、「企業間の取引単位である集合包装(ケース、ボール、パレットなど)に対し設定される商品識別コード」です*4。14桁のうち先頭1桁のインジケータ(1〜8)で、荷姿や入数の違いを区別します*4。用途は「受発注や納品、入出荷、仕分け、棚卸管理等」です*4

図
荷姿の階層とコードの持ち方(GS1 Japanの原則に基づく整理)*4*5

EC側の持ち方の分岐:別SKUとして持つか、1SKUに単位違いを持たせるか

GS1標準に沿えば、入数が異なる荷姿は別コードで持つのが原則です。EC側の商品マスタでも、ケースとバラを別SKUとして登録するのが標準に沿った持ち方になります。1つのSKUに単位違いを混在させる持ち方は、在庫の引き当てと画面表示の対応関係が崩れやすくなります。在庫の見せ方の詳細は在庫連携の設計、マスタ整備の全体手順は別の記事のテーマです。

受発注データ上の扱い:流通BMSは6業務8種の標準メッセージを持つ

受発注データを電子化する標準規格として、流通BMS(流通ビジネスメッセージ標準)があります。流通BMS協議会(GS1 Japan)によれば、発注・出荷・受領・返品・請求・支払の6業務・8種の標準メッセージが公開されています*7。基本形Ver2.0は2018年11月に公開されました*7。発注メッセージ上の単位コードの具体的な項目仕様は本記事で参照した情報源には記載がなく、確認できていません。EDIとBtoB ECの使い分けは別のテーマとして扱っています。

発注ロットの大型化は物流効率化法の努力義務とつながっている

物流効率化法第42条:運転者一人当たりの貨物重量増加が荷主の努力義務

物資の流通の効率化に関する法律(物流効率化法。トラック運転者の負担軽減と物流の効率化を目的とする法律)第42条は、第一種荷主の努力義務を定めています。同条第1項が求めるのは、荷待ち時間等の短縮と「運転者一人当たりの一回の運送ごとの貨物の重量の増加」を図る措置です。第一種荷主は、これらの措置を講ずるよう努めなければならないと規定されています*1。同項第1号は、積合せその他の措置により重量を増加させることができるよう「貨物の受渡しを行う日及び時刻又は時間帯を決定すること」を挙げています*1。発注単位・締め・納品日の設計は、この措置を実現する実務的な手段のひとつです。

3省ガイドラインは発注の大ロット化を着荷主の推奨事項に挙げる

経済産業省・農林水産省・国土交通省は2023年6月に「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」を公表しました。同ガイドラインは、着荷主事業者に推奨される事項として「発注の適正化」を挙げています*2。原文の記述は「日内波動(例.朝納品の集中)や曜日波動、月波動などの繁閑差の平準化や、適正量の在庫の保有、発注の大ロット化等を通じて発注を適正化する」です*2。発注単位の引き上げは自社都合の要請ではなく、国のガイドラインが示す推奨事項として説明できます。

単位を上げるより先に納入回数の集約を検討する

荷主の判断基準は、繁閑差の平準化が容易でない場合の対応を示しています。物流効率化法・理解促進ポータルサイトが挙げるのは「納入単位・回数の集約等に取り組むこと」です*3。「単位を上げる」ことと「回数を減らす」ことは、同じ効率化でも取引先への影響が異なる別の打ち手です。締め時間の設計そのものは別のテーマとして扱い、本記事では発注単位側の判断に絞ります。

制度のスケジュール:努力義務は2025年度から、特定事業者への義務付けは2026年度から

物流効率化法・理解促進ポータルサイトによれば、すべての荷主・物流事業者に対する規制的措置(努力義務)は2025年度から実施されます*3。一定規模以上の特定事業者に対する措置(義務)は2026年度からです*3。同サイトは令和8年3月30日に「解説書」および「Q&A」を更新したと告知しています*3。なお同法の努力義務は第一種荷主に課されるものであり、BtoB ECを運営していれば一律に対象になるとは限らない点には注意が必要です*1。国土交通省の解説書(令和8年1月)は、積載効率の目標を令和10年度までの中期目標として示しています*6。原文は「日本全体のトラック輸送のうち5割の車両で50パーセントを目指し、全体の車両で44パーセントへの増加を実現する」としています*6。この解説書は貨物自動車運送事業者向けであり、荷主の義務として直接引用するものではありません。ただし業界全体が中期的に取り組む方向性としては、押さえておく価値があります。

発注単位の設定手順は5ステップで進める

マスタのイメージ
▽ 写真の出典元

発注単位・ロット設定を決め直す際は、次の5ステップで進めます。

  1. 現行の発注ルールを棚卸しする。商品別・取引先別の例外を洗い出します。
  2. 荷姿と入数をマスタで確定する。入数が違えば別コードで持つのが原則です*5
  3. 下限と刻みを決める。両方を同時にきつくしないことが実務上の基本です。
  4. 例外を登録する。軸を1つに絞り、件数の上限を決めます。
  5. 改定の運用を決める。見直しの時期・取引先への通知方法・適用開始日を明確にします。

発注単位でよくある失敗と回避策

単位の表記があいまいで、ケースのつもりでバラ1個が発注される

画面上の単位表記が「1」としか表示されず、ケース単位なのかバラ単位なのか判別できない設計は、誤発注の温床になります。単位ごとに入数を明記し、荷姿の名称を省略しない表示にすることが回避策になります。誤発注全般の削減策は別記事のテーマです。

最小発注数量と発注倍数を両方きつくして、注文が成立しない

下限と刻みを同時に厳しくすると、条件を満たす発注数量の組み合わせが極端に狭まります。結果として注文自体が成立しなくなり、機会損失につながります。両方を同時に見直すのではなく、どちらか一方に絞って調整することが必要です。

取引先別の例外を複数軸で持ち、誰も保守できなくなる

取引先別・商品別・季節別といった複数の軸で例外を積み重ねると、設定の根拠が担当者の記憶に依存し、担当者交代時に再現できなくなります。例外を持つ軸は1つに固定し、件数に上限を設ける運用が保守可能性を保ちます。

入数違いを1つのコードで運用し、在庫と受領のつき合わせが合わなくなる

ケースとバラを同一の商品コードで管理すると、入荷・出荷・棚卸しの各段階で数量の解釈がずれます。GS1標準が入数ごとに別コードを設定する原則を示しているのは*4*5、この種の不整合を防ぐためです。

発注単位の引き上げが値上げとして受け取られる

発注単位の引き上げを取引先に伝える際、根拠を示さずに実施すると値上げと同じ受け止められ方をしやすくなります。3省ガイドラインが着荷主の推奨事項として発注の大ロット化を挙げている事実*2を示すのが有効です。そのうえで、制度の推奨事項であることと自社の判断であることを分けて説明します。

内製で設定・運用するために必要な視点

発注単位の設定を内製で決め切るには、商品マスタの構造を理解する視点と、物流制度の実務を理解する視点の両方が必要になります。荷姿・入数の整理はマスタ設計の知識、発注単位の引き上げ根拠は制度の理解、取引先への説明は営業側の折衝力に関わるためです。社内の複数部門(商品・システム・営業)で合意形成を進める必要があり、単独の担当者だけで完結させるのは難しい領域です。専門パートナーに要件整理を依頼する場合は、自社の商品構成と発注ルールを一覧化した状態で相談すると、判断の材料がそろいます。

まとめ:発注単位設計を決める3つの判断軸

物流のイメージ
▽ 写真の出典元

本稿では、BtoB ECの発注単位・ロット設定を、決める項目・マスタ設計・制度との関係の3つの軸から整理しました。要点を3つに集約すると次の通りです。第一に、発注単位で決める項目は荷姿・入数・最小発注数量・発注の刻み・最小注文金額の5つで、下限と刻みを同時にきつくしないことが実務上の基本です。第二に、ケースとバラを併売する場合は、GS1標準の原則に沿って入数ごとに別のGTINを設定するのがマスタ設計の基準になります*4*5。第三に、発注単位の引き上げは物流効率化法の努力義務と3省ガイドラインの推奨事項を根拠に、取引先へ説明できます*1*2*3


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よくある質問

発注単位とロットは何が違いますか。

発注単位は注文画面上で注文できる数量の刻みを指し、ロットは生産・出荷の単位を指します。似た言葉ですが、EC画面の設計上は別のパラメータとして扱う必要があります。

ケースとバラを同じ商品ページで売れますか。

同一ページ上で荷姿を選択させる実装は可能ですが、商品マスタとしては入数ごとに別コードを持つのがGS1標準の原則です*5。表示は1ページでも、内部の商品コードは分けて設計します。

取引先ごとに発注単位を変えられますか。

仕組みとしては変更できますが、例外を持つ軸を複数にすると保守が難しくなります。軸を1つに絞り、件数の上限を決めて運用することが実務上の対応です。

最小発注数量を設けると失注しませんか。

失注リスクはゼロではありませんが、繁閑差の平準化が難しい場合の対応として、荷主の判断基準は納入単位・回数の集約を段階的な選択肢として示しています*3。単位を上げる前に回数の集約を検討する余地があります。

発注単位を引き上げるとき、取引先にどう説明すればよいですか。

3省ガイドラインが着荷主の推奨事項として発注の大ロット化を挙げている事実を示します*2。そのうえで、制度の推奨事項であることと自社の判断であることを分けて伝える進め方が有効です。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. *1 出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)「物資の流通の効率化に関する法律」第42条(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000085
  2. *2 出典:経済産業省・農林水産省・国土交通省「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」(2023年6月、https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001612798.pdf
  3. *3 出典:国土交通省・経済産業省・農林水産省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト「荷主(第一種・第二種)の判断基準等」(令和8年3月30日更新、https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/sippers/judgment-criteria/
  4. *4 出典:GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)「GTIN(集合包装用商品コード)とITFシンボル」(https://www.gs1jp.org/code/jan/itf.html
  5. *5 出典:GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)「GTIN設定の基本原則」(https://www.gs1jp.org/standard/identify/gtin/principles.html
  6. *6 出典:国土交通省「貨物自動車運送事業者等の貨物自動車運送役務の持続可能な提供の確保に資する運転者の運送及び荷役等の効率化に関する判断の基準の解説書」(令和8年1月、https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001984867.pdf
  7. *7 出典:流通BMS協議会(GS1 Japan)「流通BMS標準仕様」(https://www.gs1jp.org/ryutsu-bms/standard/standard01.html

画像の出典元

  1. 発注のイメージ/Photo by Vitaly Gariev on Unsplash
  2. 比較のイメージ/Photo by Richard WILSON on Unsplash
  3. マスタのイメージ/Photo by Jaffer Nizami on Unsplash
  4. 物流のイメージ/Photo by Jacques Dillies on Unsplash

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

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