◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 約20000点の商品を登録していた現場で効くのは、機能一覧の丸よりも登録と更新の手順です
- 2か月と4か月、事例が示す構築期間はこれだけ離れています
- 5階層までの卸価格の切り替えに対応する製品もあり、自社の帳合の段数を先に数える必要があります
- 3800品種を抱える事例と、取引先50件から試せる仕組みでは、事例から読み取れるものが違います
- 100,000円で始まるEC-Rider Primoと、1500万円からのEC-Riderの大規模カスタマイズでは、前提となる条件が違います
目次

BtoB-EC化率43.1%が示す市場の拡大
BtoB ECの差を決めるのは機能一覧の丸ではなく、事例の「前提条件」です。商品点数、取引先数、組織階層の段数、構築期間を自社の値と並べてから、各社の事例を読んでください。条件の近い事例だけが、自社の見積りの手がかりになります。
月曜の朝、卸の営業所に届くファクスの束。株式会社ポディウムが法人向けの販売サイトを入れ替える前、担当者は商品情報の「登録」に時間を取られていました。手を動かす前に、まず数を確かめます。約20000点の商品情報を導入前に抱えていたと事例は記しており2、これは町の小売店が棚に並べる品目の何十倍という量です。
数の大きさは、市場の側でも裏づけられます。43.1%まで、2024年のBtoB-EC化率は上がりました1。紙と電話だけで「受注」を回す事業所は、もう多数派ではありません。卸売業に絞ると、128.8684兆円が同年の市場規模です1。追い風は確かに吹いていますが、帆の張り方は事業所ごとに違います。
取引先ごとの価格の確認と商品情報の差し替えは、担当者の時間という形で毎月の「費用」に乗り続けます。
機能比較表だけでは見えない差別化の視点
機能比較表は、できることの有無を丸と三角で示します。丸と三角の並びは壮観ですが、壮観さは見積りを一円も下げてくれません。自社の商品情報をそのまま載せられるのか、それとも項目の作り直しが要るのか。この差は、「精査」から要件の確定、設定、検証へと進む手順の中に現れます。
精査という工程の有無
精査は、地味な工程です。手持ちの商品情報と、これから使う仕組みの項目を突き合わせ、足りない欄と余る欄の「洗い出し」を行います。ここを飛ばすと、公開の直前に商品情報の差し替えが起き、その分だけ日程が後ろへずれます。扱う品目が多い現場では、洗い出しの量がそのまま日程に乗ります。
比較表に「精査」の欄は、まず載りません。載らない工程は、見積りの段階で日程と費用の形で現れます。提供元の事例集を見ると、同じ仕組みでも構築にかかった期間が事例ごとに違います。工程の重さを先に聞くか、あとで日程の遅れとして知るか。聞く順番を変えるだけで、見積りの読み方が変わります。
与信管理・卸価格階層などBtoB特有の機能
BtoB特有の機能は、消費者向けの通販では表に出ません。並ぶのは、取引先ごとの「与信管理」、帳合に沿った卸価格の切り替え、締め日ごとの請求のまとめです。段の数を数えてみます。5つの工程に分けて与信管理の進め方を示す解説もあり7、比較表の一行の裏に、これだけの手順が隠れています。
卸価格の切り替えは、「帳合(取引の系列)」の段数によって難しさが変わります。5階層までの得意先の組織階層に応じた切り替えに対応すると、2026年時点で案内する製品もあります8。これは本社から支店、さらに販売店まで段が続く取引を想定した数です。自社は何段でしょうか。受注の伝票を一枚取り出し、請求先と納品先と価格の決定者を数えてください。
20万円というEC-RiderのStandard・Proプランの初期費用は一度きりですが9、いまの「転記」を続ける手間は毎月戻ってきます。
商品点数・開発期間に見る事例の条件差
品種数と取引先数という前提条件
事例の見出しには、成果だけが並びます。読み手が見るべきは、その手前の「前提条件」です。3800品種という製品の幅を持つ法人向け販売サイトの事例があり5、品目を数え終わるだけで一つの仕事になる規模です。品目が片手で数えられる現場とは、前提が違います。
取引先の数は、もう一つの前提です。3000社という全国の販売加盟店を持つ事例が、2020年時点で示されています6。この年次は直近の事例より古いものの、取引先数の規模感を示す例として引用しています。担当者が顔と名前を覚えられる範囲を、大きく超えた数です。加盟店ごとに卸価格と支払条件が分かれるなら、比較表の「取引先管理」の丸は、自社では別の重さになります。取引先の数を数えてから、事例を読んでください。
構築期間の開きが示す条件差
構築期間は、事例の中でも開きの大きい数です。2か月という構築期間の事例と4、実質4か月の開発期間という事例が3、同じ提供元の事例集に並んでいます。違いは、扱う品目の数、既存の基幹システムとの連携、社内で決められる範囲にあります。この三つを事例のページで探すと、期間の読み方が変わります。
年の違いも見ておきます。2016年の事例と2017年の事例では、仕組みの側の機能も、社内の人手の掛け方も違います。古い事例を切り捨てる必要はありません。「同じ期間でできますか」と聞くより、「この事例と自社の違いはどこですか」と聞くほうが、話が早く進みます。
| 確かめる項目 | 事例間の違い |
|---|---|
| 品種数 | 事例ごとに扱う品目の幅が異なる |
| 取引先数 | 事例ごとに加盟店や販売先の規模が違う |
| 構築期間 | 品目数や連携範囲により長さが変わる |
事例選びの落とし穴|自社条件との近さ
選ぶ基準は、機能の数ではありません。自社の条件にどれだけ近い事例があるかです。書き出す項目は、商品点数、取引先数、帳合の段数、基幹システムとの連携、社内で使える人手です。この五つを紙に書いてから、各社の事例を並べ直してください。近い事例が一つも無いなら、「近い事例はありますか」と直接聞く段階に進みます。
費用の幅も、条件の近さから読めます。170,000円という月額の下限が、EC-Riderのベースエンジン利用料として案内されています9。毎月の通信費と同じ扱いで積み上がる額です。ところが、「作り込み」が入ると初期の側が動きます。400万円からが小規模なカスタマイズの初期費用の下限だと、2026年時点で示されています9。近い事例の有無は、この桁の違いを先に教えてくれます。
近い事例の有無が桁の違いを教えてくれても、事例の本数の多さにそのまま安心してしまうところに、落とし穴があります。事例がいくつ並んでいても、自社と条件が重なる一本が無ければ、読み取れるものは限られます。数を見るか、「近さ」を見るか。選定の最後に残るのは、この一点。
ここから先は、「前提条件」の読み方と、規模ごとの事例の選び方を順に見ていきます。
自社の商品点数や帳合の段数に近い導入事例があるかどうかは、公開されている事例集を並べるだけでは判じきれないため、事例を持っている側へ直接当たるのが確実です。
手元の条件を伝えれば、条件の近い導入事例の有無と、どの工程に時間がかかりやすいかを確かめられます。無料相談で要件を整理する
導入事例で最初に確かめる前提条件

- 自社の商品点数と取引先数を数え、事例に書かれた前提条件と並べる
- 帳合の段数を受注の伝票から数え、卸価格の切り替えが何階層まで届くかを確かめる
- 基幹システムとの連携の範囲が、事例のどこに書かれているかを探す
- 事例の構築期間が、どの工程を含んだ期間なのかを提供元に聞く
- 初期費用と月額の内訳を、作り込みの有無ごとに分けて見る
この並びに優劣の順序はなく、規模ごとの事例の選び方がこの先の話題です。
この五つを自社の条件へ当てはめると、規模ごとに読むべき「前提条件」が絞れます。

規模別に見るBtoB EC事例の判断軸
| 読み手の条件 | 事例で先に確かめる前提 |
|---|---|
| 取引先が限られる小ロットの受発注 | 取引先数の上限と、試用で登録できる件数 |
| 多品目・多階層の卸売の受発注 | 品種数と組織階層の段数、基幹システムとの連携 |
小ロット・短期開発の受発注事例
取引先の顔と名前がすべて分かる範囲で、商品も自社で数えられるなら、事情が変わります。取引先の数を数えたうえで、実際に触って確かめられるかを見てください。50件までの取引先を無料の「試用」で登録できる仕組みがあり10、いまの受注の形をそのまま入れて試せます。事例を読む時間を、手を動かす時間に振り替えるほうが早く進みます。
判断の順も変わります。この規模では、機能の多さより、始める費用と「上限」との差で決めるほうが速いです。100,000円(税抜)という初期費用でEC-Rider Primoは始められると2026年時点で案内され、有料プランで扱える商品数は30000SKUが上限です10。上限との差に余裕があるなら、事例の細かい前提より、自社の受注の流れを先に見てください。
難易度は低く、「工数」は担当者一人で足ります。試用の登録と受注の一巡を通す作業そのものは、昼休みの前に終わる程度の軽さです。
| 確かめる項目 | 小ロットの受発注での見方 |
|---|---|
| 取引先数 | 有料プランの上限10000件10に対し、自社の件数がどれだけ手前か |
| 商品数 | 上限30000SKUに対する自社の登録点数 |
| 始めやすさ | 試用の範囲で受注の流れを通せるか |
取引先の数が上限に遠い段階では、各社の機能を並べ直すより、自社の受注の流れがそのまま通るかを見たほうが差別化の中身が早く分かります。
試用の範囲で自社の商品と取引先を登録し、いまの受注のやり方が画面の上で成立するかを見極められます。無料相談で自社の条件を持ち込む
多品目・多階層取引の受発注事例
品種が数えきれず、取引先の中に本社と支店と販売店が並ぶなら、事情が違います。試して決められる範囲を超えるため、事例の前提条件を一つずつ突き合わせる作業が必要になります。帳合の書き換えが日常なら、価格の決め方と請求のまとめ方を先に確かめてください。ここでの関心は「早く始める」ことではなく、止まらずに回ることです。
判断の順は、小ロットの場合と入れ替わります。始める費用より、「作り込み」の上限を先に見ます。1500万円からという大規模なカスタマイズの初期費用の下限が、2026年時点で案内されています9。小規模な作り込みの下限とは、桁が一つ違う額です。自社の要件がどちらの側に寄るのかを、事例の前提条件から当たりをつけてください。
「難易度」は高く、工数は情報システム部門と営業企画の双方が関わる前提で見ておいてください。
| 確かめる項目 | 多階層の卸売での見方 |
|---|---|
| 品種数 | 事例の品種数と自社の登録点数の差 |
| 組織階層 | 卸価格を切り替える段数が自社の帳合に届くか |
| 連携 | 基幹システムとの受け渡しの範囲 |
| 初期費用 | 小規模な作り込みは400万円から |

帳合の書き換えと卸価格の段数が絡む取引では、導入事例の前提条件が自社と重なるかどうかで、作り込みの範囲が大きく動きます。
自社の品種数と組織階層を示したうえで、どこまでが標準の設定で収まり、どこから作り込みになるかの分かれ目を聞けます。無料相談で自社の条件を持ち込む
要点の整理
| 確かめる条件 | 自社で用意する数 |
|---|---|
| 商品点数 | 登録済みの点数と、これから載せる点数 |
| 取引先数 | 請求先の件数と、注文する担当者の人数 |
| 帳合の段数 | 本社・支店・販売店と続く段の数 |
| 構築期間 | いつまでに公開したいかの期限 |
| 費用の内訳 | 初期費用と月額、作り込みの有無 |
比較表の丸を集める作業をこれ以上続けても、自社の条件に近い導入事例に当たらない限り、各社の差別化の中身は見えてきません。 集めた比較表と自社の条件を並べて相談すれば、どの事例を自社の見積りの下敷きに使えるかを整理できます。
よくある質問
機能比較表はどう使えばよいでしょうか。
丸の数を合計するのではなく、自社に要る機能だけを残して見比べてください。残った行が三つか四つになれば、各社の事例のどこを読むかも決まります。丸が並ぶ行ではなく、空欄と「三角」の行にこそ、見積りの差が出ます。
古い導入事例は参考になりますか。
参考になります。読み方を変えるだけで足ります。当時の仕組みと今の仕組みは違うため、期間や費用の数字をそのまま自社に当てはめないでください。代わりに、どの工程に時間がかかったかという「詰まりどころ」を読み取ってください。
与信管理はどこまで自社で決める必要がありますか。
取引の可否と限度額の決め方は、自社の判断です。一度、段を数えてみてください。5つの工程に整理した進め方の解説もあり、どこを仕組みに任せ、どこを人が決めるかを自社で決めておくと、比較表の「与信管理」の丸が具体の作業として見えてきます。
自社に近い事例が見つからないときはどうしますか。
提供元に直接聞くのが早いです。商品点数、取引先数、帳合の段数を伝えて、「近い条件」の事例があるかを尋ねてください。公開されていない事例でも、条件の近い話は出てきます。無いという答えも、選ぶうえでの手がかりになります。
取引先の組織階層は、なぜ先に確かめるのでしょうか。
卸価格の切り替えがどの段まで届くかで、日々の運用が変わります。本社と支店で価格が違う取引があるなら、その段数を受注の伝票から数えてください。自社の「帳合」の段数が対応の上限に収まるかを先に確かめると、あとの手戻りが減ります。
月額の費用はどう見ればよいですか。
初期費用と「月額」は分けて見てください。先に挙げたベースエンジン利用料の下限に、作り込みの保守や取引先数に応じた分が乗ります。年額へ直してから、いま受注に掛かっている人手の費用と並べると、判断のための比較ができます。
- 1 出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年) 経路
- 2 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B Ⅱ 導入事例(株式会社ポディウム様)」(2025年) 経路
- 3 出典:株式会社イーシー・ライダー「EC-Rider B2B 導入事例(フーヅフリッジ株式会社様)」(2017年) 経路
- 4 出典:株式会社イーシー・ライダー「EC-Rider B2B 導入事例(フリュー株式会社様)」(2016年) 経路
- 5 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(日東電工CSシステム株式会社)」(2026年) 経路
- 6 出典:株式会社ロジザード/EC-Rider B2B「導入事例 日東電工CSシステム株式会社様」(2020年) 経路
- 7 出典:株式会社フライトソリューションズ「BtoB ECの与信管理の進め方|取適法対応の手順」(2026年) 経路
- 8 出典:株式会社フライトソリューションズ「BtoB向けECサイトで取引先ごとに卸価格を切り替える」(2026年) 経路
- 9 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider(BtoB EC受発注システム)料金プラン・費用ページ」(2026年) 経路
- 10 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider Primo サービス紹介ページ・料金プラン条件」(2026年) 経路
画像の出典元
- 30代後半の日本人男性が電話会議室での通話をしている場面/画像:生成AI(自社)
- 30代後半の日本人男性が電話での問い合わせ対応をしている場面/画像:生成AI(自社)
- From above of crop unrecognizable male athlete in t shirt pu/Photo by Allan Mas on Pexels
- Explore the historic stone architecture and iconic dome in Mardin, Türkiye./Photo by Büşra Demirci on Pexels