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BtoB通販の集客に『実績』をどう活かす?見せ方と実績が少ない場合の対処

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • BtoB通販の集客で実績が効くのは、買い手が社内で説明するための材料をそのまま渡せるからで、サイト上で参照される情報としても調査に表れている
  • 実績の厚みは持っている量ではなく出せる量で決まり、取引社数が多くても公開許可が取れなければ実績が薄い会社と同じ条件になる
  • 事例は比較検討の直前だけでなく初期の情報収集でも参照されるため、入口を一つに絞らず商品ページや記事からも抜けられるようにする
  • 成果の数値は相手の合意と由来の説明が要るので、取扱商品点数のように自社で確定でき時点を添えられる数値から先に出す
  • 実績が少ないときは件数を増やすより、狙う業種に当たる事例と紹介の経路を用意し、実績の代わりに検証できる事実の密度を上げる

オフィスの自席で納品書とノートパソコンを見比べる日本人の会社員

BtoB通販の集客で『実績』はなぜ効くのか

取引実績や導入実績を新規集客にどう使えばいいのか、そもそも実績が少ないうちは何を見せればいいのか。
BtoB通販サイトの集客を任されると、この二つで手が止まりやすいところです。
本記事では、実績・事例情報が購買検討のどの段階で参照されやすいかを調査データで確認したうえで、実績を事例化・数値化して見せる方法、実績が薄い段階の代替材料、掲載するときの表示上の注意点までを整理します。
先に結論を言えば、実績は数を並べるより、初期の情報収集段階で見つかる場所に、検証できる事実として置くほうが働きます。
実績が少ない段階では、自社の実績だけで埋めようとせず、買い手の同業に当たる事例や紹介の経路を組み合わせることになります。

実績訴求が効きやすい理由

BtoB通販で新規の取引先を増やそうとすると、価格や品揃えを見比べる前に「この会社と取引して問題ないか」という確認が入ります。
買うのは担当者個人ではなく組織なので、サイトを直接見ていない決裁者や経理、現場の使い手にまで説明が回ります。
実績や導入事例が集客で効きやすいのは、この社内説明の材料をそのまま渡せる形になっているからです。

実際、株式会社ITコミュニケーションズが2019年に公開したBtoB商材の購買行動に関する調査では、検討時に参考にしたサイト上の情報として「実績/事例情報」が61.1%で3位に挙がっています3
調査時期が2019年である点は差し引いて読む必要がありますが、サイト上で実績が参照される情報の一つであること自体は、後半で触れる2026年公開の調査とも矛盾しません。
二つの調査は対象も時期も異なるため、同じ土俵の数字として足し合わせることはできません。
それでも、実績を置く場所を考えるときの出発点にはなります。

もう一つ押さえておきたいのが、取引そのものがどれだけオンラインに乗っているかです。
総務省の令和7年版情報通信白書によると、事業者間取引(BtoB)のEC化率は2023年時点で40.0%とされています2
取引の相当部分が画面上で進むということは、営業担当が口頭で補える場面がその分だけ減るということでもあります。
サイトに置いた実績が、商談が始まる前の説明役を引き受けることになります。

『実績がある』か『少ない』かで対応が分かれる

同じ「実績を活かしたい」でも、手元に何があるかで打つ手はまったく変わります。
判断を分けるのは、単純な取引年数ではなく、次の三つが揃っているかどうかです。
第一に、社名を出して語れる取引先があるか。
第二に、自社側で確定できて検証もできる数値があるか。
第三に、その掲載について相手の許可を取れる見込みがあるか。

ここで見落とされやすいのが、取引社数は多いのに使える実績がない、という状態です。
長く取引していても、相手が社名の公開を嫌う業界だったり、契約に守秘の取り決めがあったりすれば、対外的には実績が薄い会社と同じ条件で戦うことになります。
逆に、始めたばかりでも、品揃えや対応範囲のように自社だけで確定できる事実があれば、そこは数値にできます。
実績の厚みは、持っている量ではなく、出せる量で測るのが実務的です。

この分岐を最初に決めておかないと、実績が薄いのに事例ページの体裁だけ作ってしまい、中身が一件も入らないまま放置される、という事態になりがちです。
後半では、この二つの状態ごとに何を作るかを分けて説明します。

実績の確認から掲載方針の決定、根拠資料の保管までを上から下に並べた図
自社の実績の厚みから、実績訴求の打ち手を決める流れ

実績訴求をサイト・営業資料・広告にどう配置するか

サイトのどこに置くか(初期の情報収集段階を意識する)

事例ページを作ると、サイトの奥まった階層に置かれることが少なくありません。
比較検討の最後に効く材料だと考えれば自然な置き方ですが、この前提は一度疑ったほうがよさそうです。

株式会社PRIZMAが2026年に公開した調査では、導入事例を「とても参考にしている」層が事例を参考にする場面として、初期の情報収集を行うときが68.8%、複数のサービス等で比較検討を行うときが60.7%と報告されています4
この数字は導入事例を重視する層に絞った割合で、買い手全体の平均ではありません。
また、調査対象は過去1年以内にBtoB企業から提案を受けて導入検討した人などで、BtoB通販サイトの買い手だけを見たものでもない点は押さえておいてください。
それでも、事例が比較検討の直前だけで見られているわけではない、という方向は読み取れます。

この数字を配置の問題として読み替えると、事例への入口が一つしかない構成は取りこぼしが出やすい、ということになります。
商品カテゴリのページ、商品詳細、ブログ記事、資料請求の手前など、買い手が最初に触れる場所のそれぞれから、関連する事例へ短く抜けられるようにしておく。
トップページの下部に事例一覧へのリンクを一本だけ置いて終わり、という状態からは一歩進めたいところです。

ただし、初期段階で読まれる事例と、比較検討で読まれる事例では、求められる粒度が違います。
最初に触れる場面では「うちと同じような会社が使っているか」が分かれば十分で、業種と規模と用途が冒頭で分かる短い要約が役に立ちます。
比較検討の段階では、運用体制や移行時の手順まで含めた詳細が必要になります。
同じ事例を一枚の長いページに詰め込むより、要約と詳細を分けて、要約を入口側に散らす構成のほうが扱いやすくなります。

営業資料・広告への展開

サイト用に作った事例は、営業資料にも広告にも転用したくなります。
ここで気をつけたいのは、媒体によって「切り出される量」が違うことです。

営業資料は、相手の業種に近い事例を差し替えて持っていけると使い勝手がよくなります。
一社一枚の形で作り、業種・規模・扱う商品・導入前の困りごと・いまの運用を同じ並びで書いておくと、商談の直前に選び直せます。
相手が自分の状況と照らし合わせやすいよう、成果の大きさよりも前提条件を先に書くほうが実務では噛み合います。

広告は事情が異なります。
表示できる文字数が少ないため、事例の一部だけが切り出され、前提条件が落ちた状態で読まれます。
「導入実績多数」「成果が出ています」といった言い方は短くて収まりがよい反面、何を根拠にしているのかが読み手に伝わりません。
広告に載せるなら、取引社数や取扱商品数のように、単体で意味が通り、かつ数字の出どころを説明できるものに絞るのが安全です。
前提を省いて強い表現だけを残す形は、次に触れる表示の問題に直結します。

実績を掲載する際の表示上の注意点

優良誤認表示にあたらない書き方

実績の見せ方を強めていくと、必ず表示の線引きにぶつかります。
消費者庁の説明によれば、優良誤認表示とは、商品やサービスの品質・規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示したり、事実に相違して競争関係にある事業者のものよりも著しく優良であると示したりする表示を指します1
この規制は一般消費者に向けた表示を対象としているため、事業者同士の取引だけを扱うサイトの表示に、そのまま同じ枠組みが当てはまるとは限りません。
自社のサイトがどちらに当たるかは、誰が閲覧し誰が購入できる状態かによって判断が分かれるところで、迷う場合は個別に確認が要ります。

もっとも、適用の有無にかかわらず、事実と違う実績表示は取引先との関係そのものを損ないます。
書き方の面では、次のような表現が特に危ないと考えてください。

一つ目は、根拠を示せない最上級です。
「導入実績No.1」「業界最多」と書くのであれば、何を母集団にした何位なのかを説明できなければなりません。
二つ目は、時点のない数値です。
取引社数や導入社数は動くので、「◯社(◯年時点)」と時点を添えないと、古い数字を現在の状態として示すことになります。
三つ目は、一社の成果を全体の標準のように書くことです。
ある一社で起きたことを「導入企業では」と一般化すると、実際より優良に見せる表示に近づきます。
四つ目は、「必ず」「確実に」といった断定です。
効果は買い手側の条件に左右されるので、言い切った時点で裏付けが必要になります。

根拠として残しておく資料

掲載した実績について後から説明を求められる場面は、行政からの照会に限りません。
取引先から「うちの名前の出し方がこれでよかったか」と問われることもあれば、社内で数字の出どころを確認されることもあります。
そのとき手元に何もないと、掲載を止めるしかなくなります。

残しておきたいのは、大きく四種類です。
事例の掲載について相手の許可を得たやり取り、掲載原稿を相手に確認してもらった履歴、数値の集計元データと集計した時点、そして掲載後の更新記録です。
これらは法令上こう保管せよと決まっているものではなく、表示の裏付けを自分たちで説明できる状態にしておくための運用上の備えです。
特に数値は、集計の定義(何をもって一社と数えるか、休眠先を含めるか)まで書き残しておかないと、担当者が変わった時点で再現できなくなります。

更新の頻度も決めておくと楽になります。
取引社数のように動く数字は、更新のたびに時点表記も直す必要がありますし、事例に登場する担当者が異動している場合は肩書きの扱いを相手に確認し直すことになります。
年に一度でよいので、掲載中の実績を棚卸しする日を決めておくほうが、気づいたときにまとめて直すより負担が小さくなります。

ここまでで、実績が集客で働く理由、置き場所の考え方、掲載時に守る線引きを整理しました。
次は、自社の実績の厚みごとに、実際に何を作るのかを分けて見ていきます。

オフィスの自席で納品書とノートパソコンを見比べる日本人の会社員

実績をどこに置くかという話は、サイトの作りと切り離せません。事例への入口を増やしたくても、既存の構成では商品ページや記事から事例へ抜ける導線を足せない、という制約は珍しくありません。

BtoB通販サイトの構築・運用の相談窓口では、いまのサイト構成のままで事例や取引実績をどこまで前に出せるのか、作り替えが必要になるのはどの部分かを、現状を見ながら確認できます。無料相談で要件を整理する

実績・事例情報はどの段階で参照されやすいか

順位は公表された調査に依ります4

公表された調査に依る順序

  1. 初期の情報収集を行うとき:68.8%
  2. 複数のサービス等で比較検討を行うとき:60.7%

いずれの場面でも事例が見られる以上、置き場所は入口側にも用意しておきたいところです。ただし何を置けるかは、自社の実績の厚みによって変わります。

自社の実績の厚みで、集客に使う材料は変わる

自社の状況 主に使う材料 集客で作るもの
社名を出せる事例や、自社で確定できる数値がある 自社の取引実績・導入事例・品揃えなどの数値 業種や規模で探せる事例ページと、時点を添えた数値
事例が乏しい、または公開許可が取れない 買い手の同業に当たる少数の事例、紹介の経路、自社サイト以外の掲載 相手の業種に寄せた説明と、紹介が起きやすい状態づくり
A striking upward view of modern skyscrapers in London's fin
▽ 写真の出典元

取引実績・導入実績を事例化・数値化して見せる方法

事例ページとしてまとめる

出せる実績がある会社がまず作るべきなのは、一社一ページの事例です。
複数社をまとめて「導入企業」として並べたロゴ一覧は、信頼の証としては働きますが、読み手が自分の状況と重ねる材料にはなりません。
重ねるために必要なのは、導入前にどういう状態だったか、なぜ検討したか、いまどう運用しているか、という順番の情報です。

事例ページで意外と効くのが、探し方の設計です。
業種、企業規模、扱っている商品、導入前の困りごとという四つの軸でタグを付けておくと、読み手は一覧から自分に近い一件に辿り着けます。
前半で触れたとおり、事例は初期の情報収集の段階から見られます4
そこで何十件も並んだ一覧を上から読ませる作りだと、近い事例があるのに見つからないまま離脱します。

書く分量にも目安が要ります。
すべての事例を長文にしようとすると、一件目で力尽きて二件目が出ません。
要約を三〜四行、詳細を必要な事例だけ厚く、という配分にしておくと、件数を増やしながら運用できます。
件数が増えてきたら、読まれていない事例を削るより、探し方のタグを見直すほうが効きます。

数値で示せる実績を選ぶ

事例に数値を入れたいとき、多くの人は成果の数値から考えます。
ところが売上や受注件数の変化は、相手企業の内部情報であり、掲載には相手の合意と、その数字がどこまで自社の関与によるものかの説明が要ります。
掲載までの調整が重くなりやすく、結果として数値のない事例ばかりになります。

先に出せるのは、自社側で確定できて、外からも確かめられる数値です。
取扱商品点数、対応できる取引先の業種数、サイトの稼働年数、取引社数といった数字は、集計の定義さえ決めれば自社の判断で出せます。
どの数値も、時点を添えることが条件です。

顧客事例:日東電工CSシステム株式会社の場合

日東電工CSシステム株式会社は、各種工業用粘着テープやテープ貼り機器を中心に、約3,800品種の製品の提案・販売を手掛けている会社です6
同社がBtoB通販サイト「ハルイチ」を立ち上げた事例には、販売加盟店が最初から利用できる商品として、Nittoグループの商品が2万5,000品揃っていることが記されています6

この事例で注目したいのは、成果の数値ではありません。
掲載されている内容は運用開始からおよそ3カ月時点のもので、具体的な効果検証はこれからだと本文中に明記されています6
つまり、売上や受注件数がどう動いたかは、この時点では書かれていないということです。

それでも事例として成立しているのは、品揃えという、開始直後でも確定している事実を数値で示しているからです。
2万5,000品という数字は、買い手にとっては「このサイトで何が手に入るか」の規模感そのものであり、検証にも耐えます。
成果が出るのを待ってから事例を作ろうとすると、公開はどこまでも先送りになります。
いま確実に言えることを数値にする、という発想に切り替えると、立ち上げ直後でも出せる事例が見つかります。

もう一点、この事例が示しているのは、実績の数え方が一つではないということです。
取引社数のように積み上げに時間がかかる数字もあれば、品揃えのように構えた時点で決まる数字もあります。
自社の何が前者で何が後者かを仕分けておくと、事例づくりの順番を決めやすくなります。

事例の選定から許可取得、数値の切り分け、根拠の保管までを左から右に並べた図
実績を事例として公開するまでの四つの手順

実績が少ない・浅い場合の代替材料

同業他社の事例・紹介を材料にする

事例が一件か二件しかない、あるいは公開の許可が取れない。
この状態で無理に実績を厚く見せようとすると、根拠のない表現に手が伸びます。
そこで考え方を変えて、買い手が何をきっかけに興味を持つのかから逆算します。

株式会社才流が2025年に公開した調査では、BtoB商材に興味を持ったきっかけとして「同業他社での導入事例」が30.0%、「友人・知人から紹介を受けた」が21.9%と報告されています5
ただし調査対象は年間売上高1億〜50億円未満・従業員100名未満の中小企業経営者層で、BtoB通販サイトの買い手すべてに当てはまる数字ではありません。
それでも、買い手にとって効く事例が「自分と同じ業界の会社の事例」であることは、実績の少ない事業者にとって読み替えの余地を残します。

読み替えというのは、こういうことです。
効くかどうかを決めているのは事例の総数ではなく、その事例が読み手の同業に当たるかどうかだ、という見方です。
一件しかなくても、狙う業種の会社の事例であれば、その業種の見込み客には届きます。
逆に、数十件あっても業種がばらけていて、読み手の業界の事例が見当たらなければ、量は効きにくい。
これは二つの調査から直接導かれる結論ではなく、記事としての見立てです。
ただ、実績が薄い段階で何から手を付けるかを決める基準としては使えます。

紹介については、事例づくりとは別の準備が要ります。
既存の取引先に紹介を頼める関係があるか、頼まれた相手がそのまま転送できる説明資料があるか。
この二つが揃っていないと、紹介の話は「機会があれば」で止まります。
紹介してくれる人は、自社の商材を自分の言葉で説明できるわけではありません。
相手が転送するだけで済む一枚の資料を用意しておくほうが、口頭でのお願いを重ねるより現実的です。

比較記事や第三者メディアへの掲載という選択肢

自社サイトの実績が薄いうちは、情報を自社サイトの外にも置く、という選択肢があります。
業界メディアの記事や比較を扱うサイトへの掲載は、買い手が最初に情報を集める場所に自社の名前を出す方法の一つです。

ただし、この手段には性質上の注意がいくつかあります。
掲載によってどれだけの引き合いが生まれるかを事前に見積もることはできません。
掲載の条件や費用は媒体ごとに異なり、同じ形で比べられるものでもありません。
そして掲載された内容は自社の管理外に置かれるため、料金や仕様を変更したときに更新が遅れると、古い情報が残ったままになります。
掲載先の一覧を自社で持ち、定期的に見に行く運用が前提になります。

実績が薄い段階の書き方として、もう一つ押さえておきたいことがあります。
他社より優れていると書けない以上、差を主張するのではなく、適用できる条件を具体的に書くほうが読み手は照合しやすくなります。
扱っている商品の範囲、対応できる取引の条件、営業日と問い合わせから出荷までの流れ、誰が対応するのか。
こうした情報は実績ではありませんが、自社だけで確定でき、読み手が自分の要件と突き合わせられる事実です。

つまり、実績がないときに用意するのは「実績の代わりになる華やかな材料」ではなく、「検証できる事実の密度」だと考えたほうが外しません。
実績が一件もないことを隠して曖昧な表現で埋めると、読み手は確認すべき点が増えたと感じます。
件数が少ないことは書いたうえで、その分だけ条件を細かく示す。
この順番なら、実績の薄さがそのまま不信にはつながりにくくなります。

Stunning cityscape of Mexico City with the Mexican flag and
▽ 写真の出典元

要点の整理

基準
実績の厚み 公開許可を取れる事例と、自社で確定できる数値がどれだけあるか
置き場所 事例への入口が、初期の情報収集で触れる場所にも用意されているか
数値の選び方 相手の合意が要る成果数値より、自社で確定でき時点を添えられる数値から出す
実績が薄いとき 件数を増やすより、狙う業種に当たる事例と紹介の経路を優先する
表示 根拠のない最上級と時点のない数値を避け、許可と集計の記録を残す

実績が薄い段階の立ち上げでは、何を数値として出せるかの仕分けが最初の分かれ道になります。自社の中だけで見ていると、出せる事実を持っているのに気づかないままになりがちです。 実際に立ち上げた事例をもとに、開始直後にどこまで情報を出せていたか、どの数値なら公開できたかを具体的に確かめられます。自社の場合に何から出せるかを整理する手がかりになります。

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よくある質問

導入事例に取引先の企業名を出すには、どんな確認や許可が必要ですか

法令で定まった唯一の手続きがあるわけではなく、相手企業との取り決めに沿って進めることになります。
実務上は、掲載する原稿そのものを相手に見せたうえで、文書やメールなど後から参照できる形で許可を得ておきます。
確認を取る相手にも注意が要ります。
日頃やり取りしている担当者の了解だけで進めると、広報や法務の確認が必要な企業では後から掲載を取り下げることになります。
合わせて決めておきたいのが、掲載する範囲(社名、ロゴ、部署名、担当者名、写真)と、掲載期間、取り下げを求められたときの対応です。
ここを最初に握っておくと、更新のたびに交渉し直さずに済みます。

取引実績の数値は、どこまで具体的に公開してよいですか

自社で集計できる数値(取引社数、取扱商品点数、稼働年数など)は、集計の定義と時点を添えたうえで公開できます。
「◯社」とだけ書くのではなく、いつの時点の数字で、何を一社と数えたのかを説明できる状態にしておいてください。
一方、取引先の売上や仕入単価など、相手側の情報に当たるものは許可なく書けません。
契約に守秘の条項があれば、何がその範囲に入るかを先に確認する必要があります。
表現の面では、実際より著しく優良であると示す表示に当たらないよう、根拠を説明できる範囲にとどめるのが基本です1

創業直後で実績がまだない場合、何を信頼材料にすればよいですか

自社だけで確定できる事実を並べるところから始めます。
扱っている商品の範囲と点数、対応できる取引条件、問い合わせから出荷までの流れ、対応する体制。
いずれも実績ではありませんが、読み手が自分の要件と突き合わせられる情報です。
経路の面では、紹介が一つの現実的な手段になります。
中小企業経営者を対象にした2025年の調査では、BtoB商材に興味を持ったきっかけとして「友人・知人から紹介を受けた」が21.9%と報告されています5
対象が限定された調査ではありますが、紹介が入口になり得ることは示されています。
実績がないこと自体は隠さず、その分だけ条件を細かく書く。
この方針のほうが、曖昧な表現で埋めるより信頼を損ねません。

導入事例のページに、売上増加などの数値的な成果を書いてよいですか

書けますが、二つの条件が揃ったときに限られます。
一つは相手企業の合意、もう一つは、その数値がどこまで自社の関与によるものかを説明できることです。
効果検証がまだ済んでいない段階では、成果の数値は書けません。
本記事で取り上げた事例も、運用開始から約3カ月時点のもので、具体的な効果検証はこれからだと明記されています6
その代わりに、掲載商品数という開始時点で確定している数値が示されています6
また、一社の成果を「導入企業では」と一般化する書き方は避けてください。
実際より優良に見せる表示に近づきます1

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. 1 出典:消費者庁「優良誤認とは(表示規制の概要)」
  2. 2 出典:総務省「令和7年版情報通信白書」(2025年)
  3. 3 出典:株式会社ITコミュニケーションズ「BtoB商材の購買行動に関するアンケート調査」(2019年)
  4. 4 出典:株式会社PRIZMA「BtoB購買プロセスにおける導入事例の活用実態に関する調査」(2026年)
  5. 5 出典:株式会社才流「BtoB商材の導入実態調査(中小企業経営者編)」(2025年)
  6. 6 出典:日東電工CSシステム株式会社「EC-Rider B2B 導入事例(日東電工CSシステム株式会社様)」(2018年)

画像の出典元

  1. A striking upward view of modern skyscrapers in London’s fin/Photo by Andras Stefuca on Pexels
  2. Stunning cityscape of Mexico City with the Mexican flag and/Photo by Anya Juárez Tenorio on Pexels

Photos provided by Pexels

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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