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法人向けECの価格階層|設計手順と運用の要点

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 価格階層は、得意先別の価格表・数量別の単価・契約単価の固定という3つの型に整理でき、適用の単位がそれぞれ異なります。
  • 法人向けEC基盤の公式資料では、3つの型に対応する機能が2026年時点で提供されています。
  • 契約単価・得意先別・数量別・期間限定の4つが競合するため、適用順の明文化は設計の初期に片づけます。
  • 取引条件の差は、1982年の告示第十五号と2026年に最終改正された指針の考え方に沿い、理由を説明できる形で記録します。
  • 価格情報の閲覧権限は、営業・受注・経理・情報システムの4者で必要な範囲が異なります。

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法人向けECにおける価格階層とは

価格階層とは、法人向けECにおいて、得意先の区分や注文数量、適用期間といった条件ごとに異なる単価を体系として持たせる仕組みです。設計で先に決める点は3つあります。単価を分ける軸の整理、軸が競合したときの適用順、そして価格マスタを保守し続ける体制です。この3点を決めないまま画面の設計へ進むと、公開後に単価の食い違いが表面化します。

一般消費者向けの販売との違いは、単価の決まり方にあります。消費者向けでは同じ商品に原則1つの売価が示され、値引きは会員区分やクーポンで限定的に上乗せされます。法人向けでは、得意先ごとに掛率(定価に掛ける率のことで、0.7であれば定価の70%が単価になります)が定まっており、同じ商品でも請求される単価が変わります。そのため、ログインした相手を判定してから価格を出す仕組みが前提になるのです。

単価を分ける軸は3つに整理できます。第一に得意先の区分で単価を変える掛率の軸、第二に注文数量で単価を切り替える数量別の軸、第三に適用期間を区切る期間限定の軸です。3つは排他ではなく重ねられますが、重ねるほど適用順の判定が要ります。軸を増やす前に、営業が現に使っている軸だけへ絞り込むと保守の負担を抑えられます。

軸の呼び名は基盤ごとに異なります。ある法人向けEC基盤の公式資料では、数量に応じて単価を切り替える仕組みが段階価格として2026年時点で説明されています4。別の基盤では、価格の一覧を作ってカタログへ結び付ける方式が採られています6。同じ働きの機能でも名称が違うため、要件を伝えるときは名前ではなく軸の中身で確かめましょう。

価格階層と個別見積は役割が異なります。価格階層は繰り返し発生する取引の単価をあらかじめ体系化したもので、担当者が介在せずに画面へ表示されます。個別見積は、仕様の変更や前例のない一括手配など、都度の合意を残す手続きです。EC化の対象は前者であり、後者まで自動化しようとすると値決めの判断そのものを失います。

本記事では、値決めルールの棚卸しから価格マスタの設計、基幹システムとの連携、公開後の見直しまでを順に扱います。4つの段取りはいずれも前の段の結果を受け取ります。順序を入れ替えると差し戻しが生じ、同じ作業を二度することになりかねません。棚卸しを飛ばして画面から作れば、例外の単価が後から現れて再設計になるでしょう。

設計を誤ったときの影響は、画面の見栄えではなく請求金額に出ます。得意先ごとの単価が1品でも取り違われれば、訂正、再請求、事情の説明が同時に発生します。受注が積み上がってから気づいた場合、遡って直す明細の件数はその分だけ増えます。

価格階層が扱うのは単価の決定までであり、請求や与信は別の領域です。単価が確定した後の締め処理、支払条件、与信枠の判定は基幹システムが担います。境界を曖昧にすると、ECと基幹のどちらが正なのかを説明できなくなります。

値決めルールの棚卸しで現行の掛率と例外を洗い出し、価格マスタの設計で顧客グループと価格表の分け方を定め、基幹システムとの連携で単価の正をどちらに置くかを決め、公開後の見直しで改定の契機と反映の周期を運用します。
価格階層の設計を進める際の4段の段取りと順序

価格階層の設計で先に確定させる5項目(順位根拠:後の工程が前の工程の結果に依存する順)

  1. 単価を分ける軸を、掛率・数量別・期間限定の3つから絞り込みます。使っていない軸を残すと、価格マスタの件数だけが増えます。
  2. 得意先を束ねる顧客グループの区分を定義します。区分の数が、そのまま価格表の枚数に影響します。
  3. 契約単価・得意先別・数量別・期間限定の4つが競合したときの適用順を明文化します。画面と帳票で同じ答えになることを条件にします。
  4. 基幹システムとECのどちらの単価を正とするかを決めます。決めないまま連携すると、同じ単価を2か所で保守することになります。
  5. 価格情報の閲覧権限を、営業・受注・経理・情報システムの4者ごとに設定します。改定履歴は、有効だった期間を後から再現できる形で残します。

価格階層が必要になる取引の背景

価格階層が要るのは、法人間の取引が継続を前提とし、条件が相手ごとに積み上がってきたからです。取引量、支払条件、物流の負担、過去の値決めの経緯が単価へ折り込まれ、同じ商品に複数の単価が並びます。この状態のまま受発注だけをデジタル化すると、単価だけが人手の判断に取り残されます。EC化の狙いは値決めを画一にすることではなく、既にある条件を機械が読める形へ移すことにあります。

継続的な取引では、単価は1回の交渉で決まりきりません。年度の取引量、決済の条件、納品の頻度、返品の扱いという4つの要素が積み重なって、現在の掛率が形づくられています。担当者の記憶にある経緯まで含めて条件と呼ぶ限り、表計算ソフトの1行では再現できないでしょう。

基幹システムの側では、相手と品目の組み合わせに単価を持たせる仕組みが以前から使われています。ある業務システムの公式資料では、販売の取引契約が品目、顧客、数量、有効期間の組み合わせで成立すると2026年時点で説明されています7。既にある条件をECへ移すときは、この4つの組み合わせを写し取れるかどうかが目安になります。

受注の入口が電話とFAXにとどまっている間は、単価の誤りを受注担当が気づいて止められます。入口をECへ移すと、画面が示した単価がそのまま注文として確定します。人手の関門が外れる分だけ、価格マスタの正しさが受注の正しさに直結するわけです。

値決めが担当者に依存すると、異動や退職のたびに根拠が失われます。同じ得意先へ担当者ごとに異なる単価が提示されれば、取引先との関係にも影響が及びます。属人化の解消は、担当者から権限を取り上げることではありません。判断の結果と理由を記録へ残すところから始まります。

取引条件の差の付け方は、公的な指針でも扱われています。流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針は、1991年の策定後、2026年に最終改正されています1。差を付けること自体が直ちに問題になるのではなく、合理的な理由の有無が問われる点を押さえておく必要があります。詳しくは第5節で扱います。

移行時に見落とされやすいのは、稼働中の例外です。特定の得意先だけに適用される臨時の単価、キャンペーン期間の据え置き、端数の丸めの取り決めがこれに当たります。3種の例外を拾い切らずに公開すると、公開直後の受注から訂正作業が始まってしまいます。

デジタル化の効き目は、受注件数の多い得意先ほど早く現れます。電話の折り返し、FAXの判読、二重入力という3つの工程が同時に減るためです。ただし価格マスタの保守という新しい作業が加わる点は、体制の計画に見込んでおきましょう。

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価格階層の主な型と使い分け

価格階層の型は、得意先別の価格表、数量別の単価、契約単価の固定という3つに整理できます。3つは適用の単位が異なり、得意先別は相手の区分ごと、数量別は明細の数量ごと、契約単価は品目と期間ごとに効きます。法人向けEC基盤の公式資料でも、3つに対応する機能が2026年時点で提供されています4。どれを主にするかで、価格マスタの件数と保守の手間が変わります。

得意先別の価格表は、得意先の集合ごとに価格の一覧を用意し、ログインした相手へ対応する一覧を割り当てる型です。ある基盤の公式資料では、共有カタログとして価格の一覧を作り、割り当てた相手にだけ見せる方式が説明されています5。別の基盤でも、企業ごとにカタログと価格表を結び付ける方式が採られています6。相手ごとに見える商品そのものを変えられる点が、単価だけを差し替える方式との違いです。

得意先別の価格表では、割り当ての単位も確かめておきます。ある基盤の公式資料では、既定の共有カタログと、特定の企業へ割り当てるカタログを分ける考え方が2026年時点で示されています5。別の基盤では、企業とその所在地の単位でカタログと価格の一覧を結び付けます6。同じ企業でも拠点ごとに単価が異なる取引があるなら、割り当ての単位そのものが要件になります。

数量別の単価は、注文数量が定めた境目を超えた時点で単価を切り替える型です。ある基盤の公式資料では、数量ごとの単価を商品に持たせる機能が2026年時点で用意されています4。境目を3段にするか5段にするかは、実際の注文数量の分布から決めます。段を増やすほど画面の説明は込み入り、問い合わせの件数も増えるでしょう。

数量別では、割引の与え方も選べます。ある基盤の公式資料では、段階ごとに固定の単価を置く方法と、定価からの割引率で示す方法が2026年時点で用意されています4。固定の単価は見た目が明快な反面、定価を改定するたびに全段の書き換えが要ります。割引率で持てば改定は1か所で済みますが、端数の丸めを別に取り決めておく必要があるでしょう。

契約単価の固定は、交渉で合意した単価をそのまま適用し、他の割引を重ねない型です。年間の取引量を前提に決めた単価へ数量割引をさらに重ねると、合意した水準を下回ります。重ねない扱いを明文化しないまま両方を有効にすれば、意図しない値引きが自動で発生してしまいます。

3つの型は排他ではなく、主従を決めて組み合わせます。得意先別を主にすると相手ごとの管理は明快になりますが、価格表の枚数が得意先の区分数に比例して増えます。数量別を主にすれば価格表は少なく済む反面、相手ごとの事情は反映しにくくなるでしょう。

型を決めずに機能をすべて有効にすると、同じ明細へ複数の候補単価が並びます。どれが適用されたのかを説明できない状態は、取引先からの照会に答えられない状態でもあります。型の選択を後から差し替える場合、既存の価格データの移し替えが避けられません。

型の選び方は、営業の現場が説明できるかどうかで判断します。画面に出た単価の理由を受注担当が1文で答えられるなら、その型は運用に乗ります。答えに複数の条件の説明が要る型は、問い合わせの負担として跳ね返ってきます。

適用の単位 向く取引
得意先別の価格表 相手の区分ごと 継続取引の多い得意先
数量別の単価 明細の数量ごと まとめ買いのある品目
契約単価の固定 品目と期間ごと 年間の取引量を前提とした合意

価格階層を実現するシステム上の仕組み

システム側で用意するのは、価格マスタの整備、優先順位の判定、データ連携という3つの仕組みです。価格マスタは誰にどの単価を出すかの元帳、優先順位は候補が複数あるときの決め方、データ連携は基幹システムとの単価の同期を担います。3つのうち1つでも欠けると、画面の単価と請求の単価がずれます。

価格マスタは、得意先を束ねる顧客グループの定義から始まります。得意先ごとに1枚ずつ価格表を作ると枚数が増えるため、同じ掛率の相手を1つの区分へまとめます。区分の粒度は、営業が理由を説明できる単位に合わせておくと保守が続きます。

価格表の分割は、商品の分類と得意先の区分の掛け合わせで決まります。全商品を1枚に持てば更新のたびに全件へ触れることになり、分けすぎれば同じ商品が複数の表に現れます。更新の頻度が高い商品群だけを切り出す方式が、実務では扱いやすいでしょう。

複数の価格ルールが競合したときの適用順の明文化は、設計の初期に片づける項目です。契約単価、得意先別、数量別、期間限定の4つが同時に成立し得るためです。どれを先に見るか、重複時の既定値をどうするかを文書へ落とし、画面と帳票の双方で同じ答えになるようにします。

データ連携では、基幹システムの単価とECの単価のどちらを正とするかを決めます。基幹を正にすると受注から請求までが1本につながる反面、更新の反映に遅れが出ます。ECを正にすれば画面は最新になりますが、基幹側へ書き戻す経路が別に要ります。

取引先と電子的にデータを交換する場合は、標準EDI(電子データ交換の共通仕様)を用います。標準EDIの項目に単価を載せる際は、その単価が何を基準とした金額かを示します。欧州で用いられる電子請求の標準仕様では、単価がどの数量を基準としたものかを表す項目が定義されています8。1個あたりか、まとめ単位あたりかを取り違えると、請求金額はその単位の倍数だけずれてしまいます。

基準数量は既定値まで確かめます。欧州で用いられる電子請求の標準仕様では、単価の基準となる数量に指定がない場合、1として扱う旨が定められています8。10個入りの箱を1行で送る取引では、指定を省いたままだと1個あたりの単価として解釈されます。項目を省略できる仕様であっても、まとめ単位を扱う品目では明示しておくほうが安全です。

基幹システムの側にも価格の仕組みがあります。ある業務システムの公式資料では、販売の取引契約として相手と品目ごとに単価を持つ方式が2026年時点で説明されています7。ECと基幹の双方に価格の仕組みがある場合、どちらで登録するかの取り決めがないと二重管理になります。

取引契約の単価には有効期間が伴います。先の業務システムの公式資料では、単価が品目や顧客の区分に加えて、数量の範囲と適用の期間で絞り込まれると2026年時点で説明されています7。ECと基幹で期間の考え方がずれると、改定日をまたぐ注文で単価が食い違います。期間の境目を含むか含まないかまで、連携の仕様書へ書き残してください。

価格マスタの整備では顧客グループの定義と価格表の分割を定め、優先順位の判定では適用順の明文化と重複時の既定値を決め、データ連携では基幹システムの単価と標準EDIの項目をそろえます。
価格階層を支える3つの仕組みと各段の作業の対応

価格階層の運用で押さえる法令と社内ルール

得意先ごとに単価を変えること自体は、通常の商取引として行われています。公的な指針は、取引条件に差を付ける行為が競争へ与える影響を扱っています1。取引の相手方による対価の差は、不公正な取引方法の類型としても示されています2。問われるのは差の有無ではなく、差に合理的な理由があり、その理由を説明できるかどうかです。

不公正な取引方法は、1982年の告示第十五号として示されています2。ここでは、取引の相手方によって対価や取引条件に差を付ける行為が類型として挙げられています。取引量や配送の負担の違いに基づく差と、競争を妨げる目的の差とは分けて考えられます。

流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針は、1991年の策定後、2026年に最終改正されています1。取引先への対応を検討する際は、改正の有無を確かめたうえで最新版を参照します。指針は考え方を示すものであり、個別の取引の適否は事実関係によって変わる点に留意が必要です。

告示では、対価の差だけでなく、取引条件の差も類型として示されています2。単価のほかに、最低注文数量、送料の負担、支払期日といった条件にも相手ごとの差が生じます。ECではこれらが設定値として画面に現れるため、単価と同じ基準で決裁の対象へ含めておきましょう。

委託取引を伴う場合は、中小受託取引適正化法の対象になるかどうかも確認します3。対象となる取引では、書面の交付や支払期日について、当事者間の合意だけでは動かせない定めがあります。EC化にあたっては、注文の記載事項が要件を満たすかを法務と一緒に点検しましょう。

委託取引にあたる場合は、注文時に示す事項が定められています3。ECの注文画面や注文請書がその記載事項を満たすかどうかは、価格の設計とは別に点検が要ります。単価だけでなく、数量、納期、支払いに関する項目がそろっているかを法務と確かめてください。

価格改定では、決めた結果だけでなく協議の経緯を残します。いつ誰と何を協議し、どの条件を根拠に改定したのかを記録しておけば、後日の照会に答えられます。ECでは改定が即座に全得意先へ反映されるため、反映の前に承認を通す手順を用意します。

価格情報の閲覧権限は、営業、受注、経理、情報システムの4者で必要な範囲が異なります。他社の掛率が見える状態は、取引先との関係にも社内の統制にも影響します。改定履歴は、いつからいつまでどの単価が有効だったかを後から再現できる形で保管してください。

この領域を内製で進めるには、独占禁止法の考え方、価格マスタの設計、基幹システムの連携仕様という3つの知識が同時に要ります。3つを1人で担える人材が社内に常在するとは限りません。法務、営業企画、情報システムの3部門で分担する形が現実的でしょう。分担する場合は、単価を最終的に承認する役割を1か所へ集めておきます。

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価格階層の設計を進める手順

設計は、例外の抽出、価格差分の検証、移行判定、見直し周期の設定という順に進めます。先に現行の値決めを洗い出し、次に新しい価格階層で再現したときの差を数字で確かめ、その後で公開の可否を決めます。順序を入れ替えると、差が出てから設計へ戻ることになり、作業が二度になります。

例外の抽出では、標準の掛率から外れている取引を全件並べます。臨時の値引き、旧単価の据え置き、端数の丸め、返品時の扱いという4種が代表です。例外の件数が想定を超える場合、型の選択そのものを見直したほうが結果として早く進みます。

価格差分の検証は、過去の受注明細を新しい価格階層へ通し、旧単価と突き合わせる作業です。差が出た明細を1件ずつ理由づけし、設計の漏れか、元の運用の誤りかを判定します。理由を説明できない明細が残ったまま公開すれば、公開後に同じ差が繰り返し現れるでしょう。

価格差分の検証は、対象とする期間を先に決めます。直近1年分を対象にすれば季節の変動や期間限定の単価まで含められますが、突き合わせる明細の件数は増えます。件数が扱えない場合は、取引金額の上位から一定の割合を抜き出す方法もあります。抽出で進めるなら、抽出から漏れた得意先の例外を別途拾ってください。

移行判定では、差の残件数と業務の準備状況という2点で公開の可否を決めます。全得意先を一度に切り替えず、取引件数の多い上位の得意先から順に移す方法もあります。段階的に移す場合は、移行済みと未移行で単価の出所が異なる期間を管理してください。

見直し周期の設定は、公開後の運用を決める作業です。仕入価格の改定、取引量の変化、契約の更新という3つの契機を、どの周期で価格へ反映するかを取り決めます。周期を決めないまま運用すると、依頼が届いた順に処理され、記録が残らない状態に陥ります。

内製と外部委託の差は、例外の扱いの経験に出ます。価格差分の検証で残った説明できない明細をどう処理するかは、過去に同じ場面を通った経験が効く部分です。委託を検討するなら、価格マスタの設計、連携仕様、移行検証という3工程のどこまでを任せるかを先に決めましょう。

本稿では、価格階層の定義から型の使い分け、システムの仕組み、法令と運用、設計の手順までを整理しました。要点は3つです。第一に、単価を分ける軸を掛率・数量別・期間限定の3つから絞り込むこと。第二に、契約単価を含む4つのルールが競合したときの適用順を先に明文化すること。第三に、取引条件の差に説明できる理由を持たせ、改定の経緯を記録として残すことです。

例外の抽出で標準から外れた取引を並べ、価格差分の検証で旧単価と突き合わせ、移行判定で公開の可否を決め、見直し周期の設定で改定の反映を運用します。
価格階層の設計を進める4段の順序と各段の作業の対応

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よくある質問

価格マスタの保守は誰が担当すればよいですか

単価を承認する役割と、登録の作業を担う役割を分けたうえで、承認は1か所へ集めるのが扱いやすい形です。値決めの根拠を持つ営業企画が承認し、情報システムが登録と履歴の管理を担う分担が考えられます。改定の記録が後から再現できることが条件になりますので、承認の経路を口頭で済ませない運用にしてください。

EC公開後も電話やFAXでの受注を残してよいですか

残して差し支えありませんが、単価の出所を1つにそろえる必要があります。電話受注の単価を担当者が手入力すると、ECの価格マスタと異なる値が入り込みます。受注の入口が複数あっても、参照する価格マスタは同じものにしてください。段階的に移行する場合は、移行済みと未移行の得意先を区別して管理します。

得意先ごとの掛率を画面で見せてよいですか

ログインした相手には自社に適用される単価を示し、他社の単価は見せない設計が基本です。共有カタログのように、割り当てた相手にだけ価格の一覧を見せる仕組みが公式資料で説明されています5。閲覧権限は営業・受注・経理・情報システムの4者で範囲が異なりますので、社内の画面でも同じ考え方で絞り込みます。

契約単価と数量割引を同時に適用してもよいですか

併用するかどうかを先に決め、文書へ残してください。年間の取引量を前提に合意した契約単価へ数量割引を重ねると、合意した水準を下回ります。契約単価が成立する明細では他の割引を適用しない、といった扱いを適用順として明文化します。設定だけを有効にして運用で止める形は、担当者が替わった時点で崩れます。

価格階層の設計はどこまで外部へ任せられますか

価格マスタの設計、連携仕様の作成、移行検証という3工程のどこまでを任せるかを先に決めます。値決めの方針と例外の判断は社内に残し、設計と検証の手を借りる分け方が現実的です。法令面の判断も社内の法務が担い、確認すべき指針や告示の最新版を参照したうえで結論を出してください1

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. 1 出典:公正取引委員会「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」(1991年策定・2026年最終改正) 経路
  2. 2 出典:公正取引委員会「不公正な取引方法(昭和五十七年公正取引委員会告示第十五号)」(1982年) 経路
  3. 3 出典:公正取引委員会「取適法(中小受託取引適正化法)の概要」(2026年) 経路
  4. 4 出典:アドビ「Adobe Commerce 公式ドキュメント「Tier pricing」」(2026年) 経路
  5. 5 出典:アドビ「Adobe Commerce 公式ドキュメント「Shared catalog overview」」(2026年) 経路
  6. 6 出典:Shopify「Shopify ヘルプセンター「Catalogs and pricing in B2B」」(2026年) 経路
  7. 7 出典:マイクロソフト「Microsoft Learn「Sales trade agreement prices(Dynamics 365 Supply Chain Management)」」(2026年) 経路
  8. 8 出典:OpenPeppol「Peppol BIS Billing 3.0 構文仕様 cbc:BaseQuantity」(2026年) 経路

画像の出典元

  1. Two professionals collaborating at a desk in a modern office/Photo by Mizuno K on Pexels
  2. Detailed charts outlining key business stages for strategic/Photo by RDNE Stock project on Pexels
  3. Executives in a conference room engaging in a professional b/Photo by Werner Pfennig on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

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