まずは卸売ECを小規模でスタートしたい方へ。リーズナブルなSaaS(ASP)版『EC-Rider Primo(プリモ)』誕生! 詳しくはこちら

BtoB ECの受注ミス削減方法|発生点別の5対策

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 電話・FAX受注では「書き間違いや聞き間違い等による誤発注」が起きやすいと、中小企業庁の委託調査が指摘しています。
  • 受注ミスの原因は担当者の注意力ではなく、受注の入口・転記・入力・確認・記録という5つの発生点にあります。
  • 2026年1月に施行された取適法により、発注内容の明示と取引記録の保存が制度面からも求められるようになりました。
BtoB ECの受注処理チーム
▽ 写真の出典元

BtoB ECの受注ミス削減とは

BtoB ECの受注ミス削減とは、担当者の注意に頼るのをやめ、受注の入口・転記・入力・確認・記録という5つの発生点を仕組みで塞ぐことです。中小企業庁の実証調査は、誤発注の原因となる手入力の削減率を45.7%と測定しています*3

結論―注意喚起ではなく5つの発生点を塞ぐこと

BtoB ECの受注ミス削減とは、担当者の注意に頼るのをやめる取り組みです。受注の入口・転記・入力・確認・記録という5つの発生点それぞれを、仕組みで間違えにくくしていきます。「気をつけましょう」という呼びかけだけでは、同じ工程を繰り返すたびに同じ種類のミスが再発します。発生点を1つずつ設計で塞いでいくことが、遠回りに見えて最も確実な進め方です。

有効な順序を、発生点に沿って5つの打ち手にまとめました。

受注ミスを減らす着手順5点(順位根拠:発生点に沿った実施順序)

  1. 受注の入口を一本化する。電話・FAX・メール・EC画面が並立するほど、確認が抜ける窓口が増えます。
  2. 転記をなくす。中小企業庁の実証調査では、誤発注の原因となる手入力の削減率(KPI#1)が45.7%と測定されています*3
  3. 入力の段階で間違えられなくする。型番・単位・数量を選ばせる仕組みにし、手で打たせる箇所を減らします。
  4. 確認と変更の運用を決める。受注確定の通知を毎回返し、変更依頼を口頭だけで済ませない運用にします。
  5. 記録を残す。2026年1月に施行された取適法が、発注内容の明示と取引記録2年間の保存を求めています*4, *5

なぜ「人の注意」では止まらないのか

中小企業庁の委託調査は、電話・FAXでの受注が多い業界の課題を記述しています。「書き間違いや聞き間違い等による誤発注及び不明瞭な注文内容の再確認が都度発生し、コストがかかっている」というものです*2。さらに「取引先ごとにデータの項目……を手入力している」実態を挙げ、「業務が属人化している」と指摘しています*2。原因は担当者個人の不注意ではなく、転記が何度も発生する工程のつくりそのものにあります。

電子受発注はどこまで進んでいるか

中小企業庁「令和3年度取引条件改善状況調査」によると、2021年時点で受注側の48.5%が電子受発注に対応しています*1。約半数の企業が、すでに電話・FAX中心の受注から切り替えている状況です。BtoB-ECの市場規模は2024年時点で514兆4,069億円、EC化率は43.1%に達しています*7

デジタル化の効果は「作業効率向上」「人的ミスの軽減」「取引記録の検索性の向上」の3点に整理されています*1。全体像はWeb受発注システム導入のメリット、導入プロジェクト全体の進め方はBtoB EC導入の進め方で確認できます。

受注ミスはどこで起きるか―5つの発生点

中小企業庁の委託調査は、鉄鋼流通の4団体(全国鉄鋼販売業連合会、全日本特殊鋼流通協会、全国厚板シヤリング工業組合、全国コイルセンター工業組合)に属する企業1,140社へ2022年2月に受発注の実態を尋ね、164件の回答を得ています(回収率14.3%)*2。以下に挙げる数値と事例は、この鉄鋼流通業界を対象とした調査結果である点に留意が必要です。なお本調査は*1の令和3年度取引条件改善状況調査とは実施主体も母集団も異なるため、両者の数値を単純に足し合わせることはできません。

回答企業のうち受注時に電子受発注へ対応しているのは49.1%(有効回答163社)にとどまっています*2。対応する予定がない理由として最も多かったのは「書面を前提とした商慣行・業務ルールがあるため」で、41.7%(回答企業36社)を占めています*2。電話・FAXが主要な受付経路であり続けている実態がうかがえます。

図
図1:受注プロセスに沿った5つの発生点(受付・転記・商品の特定・数量/単位/価格/納期・確認と変更)

発生点①受付―聞き間違い・読み取れないFAX

受付の発生点では、電話の聞き間違いや、文字がかすれて読み取れないFAXが誤発注の入口になります。委託調査は、鉄鋼流通業界で「月に数百から数千件の電話・FAXでの注文を受けている」実態を示し、前述の誤発注の課題を報告しています*2。受付段階の情報が不確かなまま次工程へ渡ることが、その後の全工程でミスを引きずる原因です。

発生点②転記―手入力と二重入力の属人化

転記の発生点は、電話やFAXで受けた内容を、自社の受注システムへ人が打ち直す工程です。委託調査は「一日中入力作業をしている従業員が数名おり、コストがかかっている」実態を挙げています*2。ある事業者は、取引先ごとの手入力に5人体制で一日の6割の時間を割いています*2。転記が多重に発生するほど、入力担当者の不在がそのまま業務の停止につながりやすくなります。

発生点③商品の特定―型番違いと入数の取り違え

商品の特定の発生点では、型番の似た旧製品と後継品の取り違えや、入数・荷姿の思い違いが誤発注を招きます。商品情報が取引先ごとにばらついていると、どの表記が正しいかを都度確認する手間が生じるでしょう。商品マスタの整備そのものは受注画面の設計と密接に関わるため、BtoB EC商品マスタ整備の手順で扱っています。

発生点④数量・単位・価格・納期―商習慣固有のずれ

数量・単位・価格・納期の発生点では、バラとケースの単位違い、取引先ごとの掛率、指定納期の見落としが典型的なミスになります。BtoB取引は商習慣ごとに条件が異なるため、一般的な受注フォームでは吸収しきれない項目が残りがちです。

発生点⑤確認と変更―注文回答なしと口頭の変更依頼

確認と変更の発生点は、注文を受けたあとに何も返答をしないまま処理を進めてしまう場面や、電話で受けた変更依頼が記録に残らない場面で生まれます。受注確定の通知が無いと、取引先も社内も「本当にこの内容で進んでいるか」を確認する手段がなくなります。

発生点 起きるミス 対策
①受付 聞き間違い・読み取れないFAX 対策1 受注の入口を一本にする
②転記 手入力・二重入力 対策2 転記をなくす
③商品の特定 型番・入数の取り違え 対策3 入力の段階で間違えられなくする
④数量・単位・価格・納期 単位違い・掛率誤り・納期見落とし 対策3 入力の段階で間違えられなくする
⑤確認と変更 注文回答なし・口頭変更の消失 対策4 確認と変更の運用を決める

図2:発生点×起きるミス×対策の対応表

ここまでの発生点を自社の受注フローに当てはめると、どこにコストが集中しているかが見えてきます。自社の数字で確かめるには、無料相談で要件を整理するのが近道です。

対策1 受注の入口を一本にする

運用のイメージ
▽ 写真の出典元

最初に着手できるのは、受注の窓口を整理することです。システムを入れる前でも進められる対策です。

チャネルが多いほどミスは増える―入口の数=抜けの数

受注の窓口が電話・FAX・メール・EC画面と分かれているほど、どこかで確認が抜ける可能性が増えます。窓口ごとに担当者や記録の残し方が異なると、同じ注文でも扱いが変わってしまうからです。入口を1つに決め、そこへ集約する運用が発生点①への対策になります。

電話をゼロにできない場合の現実解

取引先の事情で電話をゼロにできない場合でも、受けた内容をそのつど同じ入力画面や様式に書き写す運用に決めておけば、受付段階のばらつきを抑えられます。窓口が複数あること自体より、受けた内容の記録方法が統一されていないことのほうが、誤発注に直結しやすい問題です。電話で受けた注文も、最終的には1つのシステムに集約して記録する仕組みが欠かせません。

チャネル 記録として残るもの 証跡になりにくい点
電話 通話メモ(担当者依存) 聞き取り内容が担当者の記憶頼み
FAX 受信紙面そのもの 文字のかすれ・手書きの判読違い
メール 送受信履歴 定型化していないと記載項目が注文ごとに違う
EC画面 入力データそのもの 画面設計が不十分だと必須項目の入れ忘れが残る

図3:受注チャネル別「何が記録として残るか」

電話・FAXからの移行手順そのものは本記事の範囲外

電話・FAX受注からの具体的な移行手順や、取引先への案内の進め方は、電話FAX受注からの脱却方法で詳しく解説しています。本記事では、移行後にミスをどう減らすかに焦点を絞ります。

対策2 転記をなくす

ここからは、システム側の設計が中心になる対策です。まず取り組む価値が最も大きいのが、転記の排除です。

誤発注の原因は手入力である―KPI#1の意味

中小企業庁の実証調査事業は、流通(ボランタリーチェーン)業界を対象に、受発注に最低限必要な取引項目35のうち、全プロセスで共通して使い回されている項目が16にとどまることを机上集計で確かめました*3。この割合を「受発注データの再利用率」(KPI#1)と定義し、誤発注の原因となる手入力の削減率と位置づけています。測定結果は45.7%でした*3。あくまで一業界の実証で得た値であり、自社の水準は自社の取引項目で数え直す必要があります。

裏を返せば、残り過半の項目は工程ごとに人が入力し直しており、その分だけ書き間違いが入り込む余地が残っています。転記を減らすとは、この再利用率を引き上げていく取り組みにほかなりません。

一度入ったデータを最後まで使い回す

同じ実証調査は、同じ流通(ボランタリーチェーン)業界で、注文から出荷案内・請求・支払通知までのプロセス全体を計測しています。作業時間は38分30秒から9分06秒へ、76%短縮されたと報告されています*3。内訳では、注文が11分00秒から2分36秒(76%減)、出荷案内が4分00秒から0分39秒(84%減)へ短縮されました*3。データを後工程で使い回せると、転記のたびの確認作業自体が要らなくなります。

基幹システム連携で転記が消える範囲と残る範囲

受注データを基幹システムと連携させれば、出荷指示や請求へのデータの受け渡しで手入力が発生しなくなります。ただし連携できる範囲は取引先ごとのデータ形式や既存システムの仕様に左右され、全工程が一度に無人化するわけではありません。連携の全体像は基幹システム連携の考え方、設計上の論点はAPI連携設計の注意点をご覧ください。

データ形式を固定した専用線が向く取引先には、企業間で取引データの形式と手順をあらかじめ取り決めて交換するEDI(Electronic Data Interchange・電子データ交換)という選択肢もあります*8。両者の使い分けはEDIとBtoB ECの違いで整理しています。

AI-OCR・メールの定型化は転記をなくす代替になるか

FAXや紙の注文書が残る取引先には、AI-OCR(人工知能による光学的文字認識。手書き文字や様式の異なる帳票を読み取る技術)を補助的に使う方法もあります。実証調査は、メール文面を定型化した条件下で読取精度100%を実現したと報告しています*3。この数値はメール文面を定型化した場合の記述であり、手書きのFAXや紙の帳票全般に当てはまるものではありません。

AI-OCRについては、一部の書体や文字サイズで正確に読み取れないケースが発生しています。それでも「十分現場での実運用に耐えうるアウトプットが得られた」と評価されています*3。転記をゼロにする手段ではなく、電話・FAXを残さざるを得ない取引先向けの補助的な位置づけで検討するのが実務的です。

対策3 入力の段階で間違えられなくする

よくある質問のイメージ
▽ 写真の出典元

転記が減っても、最後に人が入力する箇所は残ります。その入力段階そのものを、間違えにくい画面にする対策です。

選ばせる・打たせない

商品コードを手で入力させるのではなく、検索して選ばせる画面にするだけで、型番の書き間違いは大きく減らせます。型番の旧称・別名でも検索に引っかかるようにし、廃番品は選択肢から外しておくことが、後継品との取り違えを防ぐ基本になります。

単位と入数を画面に出す

バラとケースのどちらで発注しているかや、最小発注単位、荷姿を画面上に明示しておくと、数量の思い違いに気づきやすくなります。単位の表示が無いまま数量欄だけを入力させる画面は、商習慣が取引先ごとに異なるBtoB受注では取り違えの温床になりやすい設計です。

数量・納期の妥当性チェック

入力された数量が通常の発注量から極端に外れていないか、指定納期が最短リードタイムを下回っていないかを、送信前に画面側で警告する仕組みも有効です。人がすべての注文を目視で見比べるより、桁の異常や日付の矛盾を機械的に検知するほうが見落としにくくなります。

在庫・与信の状態を注文前に見せる

在庫が不足している商品や、与信の上限に近づいている取引先を注文の入力段階で示しておけば、確定後の欠品連絡や与信超過のやり直しを減らせます。在庫連携の方式は在庫連携をリアルタイムにする方法、与信管理の考え方は与信管理の進め方をご覧ください。

取引先ごとの価格・掛率は画面側で保証する

取引先ごとに異なる価格や掛率を、担当者の記憶や別表参照に頼らず、受注画面が自動的に反映する設計にしておくと、価格の入力誤りそのものを起こしようがなくなります。価格差の実現方法は取引先別価格をECで実現する方法で解説しています。

対策4 確認と変更の運用を決める

入力段階を固めても、確認と変更のやり取りが運用として決まっていなければ、そこでミスが再び生まれます。

注文回答は例外なく返す

注文を受けたら、内容を確認できる形で例外なく回答を返す運用に決めておくと、「言った・言わない」の水掛け論を避けられます。回答が無いまま出荷や請求が進むと、取引先が誤りに気づいた時点で、すでに後工程まで進んでしまっているためです。見積から承認までのワークフロー設計は見積承認ワークフローの設計をご覧ください。

変更・取消の受け方を1本に決める

受注確定前の変更や取消についても、受け付ける窓口と記録の残し方を1本に決めておく必要があります。電話で受けた変更依頼をメモだけで済ませてしまうと、担当者が不在のときに誰も経緯を追えなくなるからです。変更依頼も注文と同じ入力画面や様式を通す運用にすれば、記録の抜けを防げます。

例外処理をどう扱うか

通常の受注フローに乗らない例外的な注文も一定数発生します。ここで重要なのは、例外の受け口をあらかじめ1本に決めておき、誰が最終確認するかを明確にしておくことです。例外の扱いを都度その場の判断に委ねると、確認漏れが起きやすくなります。

対策5 記録を残す―制度が求める最低線(2026年1月〜)

よくある質問のイメージ
▽ 写真の出典元

ここまでの対策は、ミスそのものを減らす設計でした。2026年1月1日には、下請法を改正した中小受託取引適正化法(取適法)が施行されています*4。ただし取適法の対象は、製造委託・修理委託・特定運送委託・情報成果物作成委託・役務提供委託という「委託取引」であり、単純な物品の売買はこれに当たりません*5。自社の取引が対象に当たる場合、取適法は発注内容の記録という観点から、電話・口頭中心の受注運用に見直しを迫るものです。

取適法で何が義務になったか

取適法は、委託事業者(旧・親事業者)に4つの義務を課しています。発注内容等の明示(書面又は電子メール等。中小受託事業者の承諾がなくても可)、取引記録の作成・保存(2年間)、支払期日の設定(受領日から60日以内)、遅延利息の支払い(年率14.6%)です*4。違反があった場合は、公正取引委員会による調査のうえ、勧告(行政指導による是正)の対象となります*5

取適法の対象となる取引は、事業者の資本金規模または従業員基準と取引内容の組み合わせで定義されています*5。自社が対象に当たるかどうかは、所管窓口へ確認することをおすすめします。

電子取引データの保存(電子帳簿保存法)

注文書等に通常記載される事項をメールなどの電磁的方式で授受した場合、その取引情報の保存義務が生じます。電磁的記録により保存しなければならないと、国税庁が定めています(電子帳簿保存法7条)*6。保存期間は、法人の場合、帳簿・書類とも原則7年です*6

電話やFAXでのやり取りをメールやEC画面に置き換えていくと、この保存義務が新たに発生する点にも注意が必要です。インボイス制度への対応と合わせて整理すると管理が一本化しやすくなります。詳細はインボイス制度への対応をご覧ください。

記録が残るとミスの原因追跡と再発防止が回り始める

デジタル化のメリットとして、中小企業庁は「取引記録の検索性の向上」を挙げています*1。記録が電子的に残っていれば、どの注文で、どの発生点のミスが起きたかを後から追跡できます。ミスを一件ずつ潰していくよりも、記録から傾向をつかみ、発生点そのものを塞ぐ設計に落とし込むほうが、再発防止としては効果的です。

求められる記録 内容 EC受注での満たし方
発注内容の明示 書面又は電子メール等での明示(承諾なくても可)*4 受注確定画面・注文回答メールで自動的に明示
取引記録の作成・保存 2年間の保存*4 受注データがシステム上に自動で残る
電子取引データの保存 法人は原則7年*6 メール等でのやり取りも電磁的記録として保存

図4:2026年1月以降に求められる記録とEC受注での満たし方

効果の見方とつまずきやすい点

対策を講じても、ミスが完全に無くなるわけではありません。起きてしまった誤発注への対応(返品・返却の運用)は返品・返却運用の設計で扱っています。ここでは、対策の効果をどう見るか、つまずきやすい点は何かを整理します。

減ったことをどう確かめるか

対策の効果を厳密に測定するには指標の設計が必要になりますが、本記事では扱いません。まず最小限の見方として、受注訂正や再確認の連絡がどの発生点で発生しているかを、月単位で記録に残しておくことをおすすめします。件数の増減だけでなく、どの発生点で起きているかを追えるようにしておくと、次にどの対策から着手すべきかの判断材料になります。

つまずき1 入口を一本化しないまま画面だけ作る

受注画面だけをEC化しても、電話やFAXの窓口を残したままでは、入口が増えた分だけ確認の手間も増えてしまいます。対策1(入口の一本化)を先に決めてから、画面の設計に着手する順序が欠かせません。

つまずき2 マスタが整っていない状態でEC化する

商品マスタが整っていない状態で受注画面だけを先に作ると、型番の表記ゆれや廃番品の扱いがそのまま画面に持ち込まれます。その結果、対策3(入力の段階で間違えられなくする)が機能しません。マスタ整備の手順は商品マスタ整備の手順で解説しています。

つまずき3 取引先側の入力間違いを想定していない

自社のシステムを整えても、取引先自身がEC画面に入力する場合は、その入力の誤りまでは自社側の設計だけでは防ぎきれません。取引先への教育やマニュアル整備と併せて考える必要があります。詳しくは取引先教育・マニュアル整備をご覧ください。

つまずき4 記録の要件を後回しにする

記録・証跡の要件は、システムを作り終えてから追加しようとすると、データ構造の見直しが必要になり手戻りが大きくなります。取適法が求める発注内容の明示や記録の保存は、設計の初期段階から要件に組み込んでおくことが望ましいと言えます。

これらの対策を自社の情報システム部門だけで進める場合、必要になる知識は多岐にわたります。受発注データの構造理解、既存の基幹システムとの連携仕様の把握、商習慣に合わせた画面要件の整理です。こうした人材を、要件定義から運用開始まで継続して確保する必要があります。運用体制の考え方は運用体制・人員設計の考え方をご覧ください。

内製で進める場合、自社の商習慣を最もよく理解しているという利点があります。一方で、他社の受発注データ連携やBtoB EC特有の画面設計を数多く手がけた経験は積みにくいという面も否めません。外部の専門パートナーに相談する場合は、自社の商習慣を伝えたうえで、発生点ごとにどこまで設計で塞げるかを一緒に整理していく進め方になります。

まとめ:受注ミス削減の3つの判断軸

受注のイメージ
▽ 写真の出典元

本稿では、BtoB ECの受注ミスを減らすための考え方を整理しました。要点は3つに集約できます。第一に、原因は担当者の注意力ではなく、受注の入口・転記・入力・確認・記録という5つの発生点にあることです*2, *3。第二に、有効な順序は入口の一本化・転記の排除・入力の制約・確認の仕組み化・記録の保存であり、システム導入を前提としない打ち手から着手できることです。第三に、2026年1月に施行された取適法*4, *5により、記録を残すことは制度上の要件になりつつあることです。自社のどの発生点にミスが集中しているかを洗い出すことが、対策の優先順位を決める最初の一歩になります。


ご不明な点はお問い合わせフォームからもご連絡いただけます。

BtoB通販システムのご相談

貴社の商習慣に合わせたご提案をいたします。

無料相談はこちら

よくある質問

受注ミスはダブルチェックを増やせば減りますか。

ダブルチェックだけでは、発生点そのものが残るため効果は限定的です。中小企業庁の委託調査は、手入力が多い工程ほど属人化が進み、確認作業に人手を要していると指摘しています*2。まず入口や転記といった発生点を仕組みで塞ぎ、そのうえで確認を運用として組み込むことが効果的です。

BtoB ECを導入すれば受注ミスはゼロになりますか。

システムを導入しても、取引先側の入力誤りや口頭でのやり取りが残る限り、ミスをゼロにすることはできません。中小企業庁の実証調査が流通業界で測った受発注データの再利用率(KPI#1、誤発注の原因となる手入力の削減率と定義)は45.7%で、残る過半の項目は工程ごとに人が入力し直している計算になります*3。導入の目的はミスをゼロにすることではなく、発生点ごとに間違えにくい仕組みへ置き換え、起きにくくすることです。

電話での受注をやめられない場合、何から始めればよいですか。

電話をゼロにできない場合は、受けた内容をそのつど同じ入力画面や様式に書き写す運用に決めることから始められます。記録の様式をそろえたうえで、取引量の多い取引先から順にEC画面へ寄せていくと、窓口の一本化を段階的に進められます。

2026年1月から発注のルールは何が変わりましたか。

2026年1月1日、下請法が中小受託取引適正化法(取適法)として施行されました*4。委託事業者には、発注内容等の明示・取引記録の保存(2年間)・支払期日の設定(60日以内)・遅延利息の支払い(年率14.6%)という4つの義務が課されています*4。対象取引は資本金規模や取引内容で定義されるため*5、自社への適用可否は個別の確認が必要です。

受注のやり取りをメールで受けた場合、そのデータは保存が必要ですか。

注文書等に通常記載される事項をメールなどの電磁的方式で授受した場合、電子帳簿保存法により、その取引情報を電磁的記録として保存する義務があります*6。保存期間は、法人の場合、原則7年です*6。メールでの受注を増やすときは、あわせて保存の仕組みを整えておく必要があります。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. *1 出典:中小企業庁 経営支援部 経営支援課「中小企業の受発注デジタル化
  2. *2 出典:中小企業庁(委託先:EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社)「受発注のデジタル化に関する推進方策 報告書」(2022年3月31日)
  3. *3 出典:中小企業庁(委託先:EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社)「電子受発注システム普及促進に向けた実証調査事業 報告書」(2023年3月31日)
  4. *4 出典:内閣府大臣官房政府広報室(政府広報オンライン)「2026年1月から下請法が「取適法」に!委託取引のルールが大きく変わります」(2025年11月18日)
  5. *5 出典:公正取引委員会「取適法の概要
  6. *6 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(令和7年6月)
  7. *7 出典:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」(2025年8月26日公表)
  8. *8 出典:一般財団法人流通システム開発センター(GS1 Japan)「EDI(電子データ交換)

画像の出典元

  1. BtoB ECの受注処理チーム/Photo by EqualStock on Unsplash
  2. 運用のイメージ/Photo by Tim Cooper on Unsplash
  3. よくある質問のイメージ/Photo by Kelly Sikkema on Unsplash
  4. よくある質問のイメージ/Photo by Fiona Murray-deGraaff on Unsplash
  5. 受注のイメージ/Photo by Y Y on Unsplash

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

記事内容に関するお問い合わせ:お問い合わせフォーム

BtoB EC(受発注)サイト構築システム「EC-Rider B2B Ⅱ」への
各種お問い合わせ

ページTOPへ戻る
無料相談を予約 お見積
平日10:00~18:00
page
top