◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 法人向けECで価格を非公開にする方法は、サイト全体を登録会員に限定するか、価格だけを会員・会員ランクごとに出し分けるかに分かれる
- どちらを選ぶかは、価格差が取引先の属性(個店・代理店・チェーンなど)で決まっているか、一社ごとの交渉で決まっているかによって判断できる
- 取引先が自分の販売価格を決める商流がある場合は、卸価格と販売価格を別々に保持できるかが製品選定の条件になる
- 独占禁止法の差別対価は「不当に」差別的な対価を対象としており、価格差そのものを一律に禁じる定めではないが、価格差の理由を説明できる形で残しておく
- 導入作業の中心は画面設定より取引先データの整備で、得意先コードの重複や価格の二重管理、未ログイン時の表示は公開前に解消しておく
目次

法人向けECで価格を「全員公開」にできないのはなぜか
「A社とB社で掛け率が違うのに、商品ページに一つの価格を出せるわけがない」。
法人向けECの検討は、この一点で止まることがよくあります。
電話とFAXで受けていた注文をそのままWebに移すと、これまで取引先ごとに個別に伝えてきた卸価格が、誰でも見られる状態になってしまうからです。
ここで変えられるのは、価格を見せる相手の範囲と、相手ごとに出す金額の二つです。
登録した取引先がログインしたときだけ価格を表示する会員限定の仕組みと、会員や会員ランクごとに下代を設定する仕組みを使えば、これまでの掛け率や加盟店マージンを保ったまま非公開にできます。
あわせて、取引先ごとの価格差について理由を説明できる状態にしておくことが前提になります。
企業間の取引をWebに移す動きは、もう特別な取り組みではなくなっています。
経済産業省の調査では、2024年のBtoB-EC化率は43.1%で、前年から3.1ポイント増えています1。
同じ年の消費者向けのEC化率が9.8%ですから1、企業間取引のほうが先に電子化が進んでいることになります。
食品製造業に至っては、BtoB-EC化率が81.3%に達しています1。
それでも、自社の商品ページに価格を載せる場面で手が止まるのは、企業間取引の価格が「商品に付いているもの」ではなく「相手との間に成立しているもの」だからです。
消費者向けのECは、不特定多数に同じ価格を示すことを前提に組み立てられています。
一方、卸売の現場では、同じ型番でも長年取引のあるA社と、昨年取引が始まったB社とで掛け率が違う、ということが普通に起きます。
この違いは、ECの商品マスタが価格を一つだけ持つという構造と、正面からぶつかります。
仮にA社向けの掛け率で作った価格を商品ページに載せれば、その金額はB社にも、取引のない同業他社にも、同じように見えます。
そこで起きるのは三つの種類の露出です。
取引先同士が互いの仕入条件を知ること、競合他社に自社の卸価格の水準が伝わること、そして「この条件はお宅だけです」という形で積み上げてきた個別交渉の前提が崩れることです。
三つ目は、数字が漏れる以上に扱いが難しいところです。
たとえば、仮に代理店の購買担当者がサイトで自社向けの価格を確認し、別ルートで聞いた他社の条件と見比べたとします。
その差について説明を求められたとき、これまでは営業担当が相手ごとに事情を説明して成り立っていた話が、いきなり同じ土俵に並べられることになります。
価格を公開するというのは、金額を見せることと同時に、価格差の説明責任を前倒しで引き受けることでもあります。
ですから、法人向けECを検討するときの最初の問いは、ECを入れるかどうかではなく、これまでの価格の決まり方をそのままWeb上に置けるかどうかになります。
取引先ごとに価格が違う状態は、ECに移すときに整理して消すものというより、再現すべき業務そのものです。
個店・代理店・チェーン店・暖簾といったバイヤーの種別ごとに卸価格や商流を設定する組織階層管理のような機能は、まさにこの商習慣をWeb上に写すために用意されています2。
逆に、すべての取引先に同じ価格を出していて、価格を知られて困る事情もないのであれば、ここから先の話は当てはまりません。
その場合は公開したほうが、新規の問い合わせを受けやすくなります。
自社がどちらなのかは、直近の受注伝票を何件か並べて、同じ商品の単価が相手によって違うかを見れば、すぐに判断がつきます。
| 項目 | 一般的な公開型EC | 取引先ごとに条件が異なる卸売 |
|---|---|---|
| 価格の持ち方 | 商品に一つの価格 | 相手との関係ごとに価格 |
| 見せる相手 | 不特定多数 | 取引のある相手 |
| 価格が決まる場面 | 商品登録のとき | 取引開始時や個別交渉のとき |
| 公開したときの影響 | 比較されて選ばれる | 取引先と競合に仕入条件が伝わる |
価格を非公開にする具体的な仕組み——会員限定表示・会員ランク別価格・掛け率設定
会員制サイト(クローズドサイト)でサイト全体を非公開にする
価格を非公開にする方法は、まず二つの考え方に分かれます。
サイトそのものを閉じるか、サイトは開けておいて価格だけを出し分けるかです。
先に前者から見ていきます。
あらかじめ登録した会員だけに公開する「会員制販路設定」は、未登録の訪問者に中身を見せない設計です2。
ログインして初めて商品も価格も表示されるため、金額だけでなく、何を扱っているかという情報自体が外から見えません。
この方式が向くのは、価格以上に取扱品目を知られたくない場合です。
特定ルート向けの別仕様品や、型番から納入先が推測できてしまう製品を扱っているなら、商品一覧を公開した時点で情報が出ていきます。
反面、失うものもはっきりしています。
検索から偶然たどり着いた見込み客が中を見られないので、サイトが新規開拓の入口にはなりません。
そのため実務では、どこで線を引くかを先に決めることになります。
会社案内や取扱ジャンルの紹介までは未ログインで公開し、個別の商品ページから先を会員限定にする、という分け方が取りやすいところです。
価格欄に「お問い合わせください」とだけ表示する折衷も考えられますが、それだけでは結局、問い合わせを受けてから価格を伝える流れが残り、受発注をEC上で完結させるという当初の目的からは遠ざかります。
会員別・会員ランク別に価格(下代)を出し分ける
もう一つは、サイトは開けておいて、価格の表示だけを相手によって変える方法です。
ここで使うのが、会員ごとに下代を設定する「会員別下代設定」と、会員ランクごとに設定する「会員ランク別下代設定」です2。
下代は卸価格、つまり自社が取引先に出す値のことで、取引先が最終顧客に売る上代と区別するときの言い方です。
二つの違いは、価格を持つ単位にあります。
会員別は取引先一社ごとに金額を持ちます。
ランク別は「特約店」「代理店」「一般」といったランクに価格表を持たせ、会員をどのランクに属させるかで価格が決まります。
違いが実際に効いてくるのは、登録のときよりも改定のときです。
原材料費が上がって卸価格を一律に見直す場面を考えると、会員別で持っていれば取引先の数だけ修正対象が生まれます。
ランク別なら、そのランクの価格表を直せば、属している会員すべてに反映されます。
一方で、ランクに収まらない相手は必ず出てきます。
そのため、基本はランクで持ち、長年の経緯で個別条件になっている数社だけを会員別で上書きする、という持ち方が現実的な落としどころになります。
もう一点、製品を選ぶ段階で確かめておきたいのが、同じ取引先でも数量によって単価が変わる取引をどう扱うかです。
一つの会員に対して単価を一つ持つ作りなのか、数量帯ごとに単価を持てるのかで、現在のロット別の条件をそのまま移せるかが変わります。
自社の価格表に数量の段がある場合は、会員やランクの単位だけでなく、この段をどう保持するかもあわせて確認しておくと取りこぼしがありません。
なお、価格差が個店や代理店といった商流の区分で決まっている場合は、会員単位・ランク単位とは別に、商流ごとに卸価格を設定するという考え方もあります。
どれを選ぶかは次の節で整理します。
ここで挙げた機能名はEC-Rider B2Bでの呼び方です。
会員単位・ランク単位で価格を持つという考え方自体は珍しいものではありませんが、呼び名や設定の細かな作りは製品によって違うため、他社の製品を調べるときに同じ名前で探すと見つからないことがあります。
取引先ごとに価格が異なる場合、どの仕組みを選ぶか
個店・代理店・チェーンなど取引形態別の卸価格設定
ここまでの二つの仕組みは、どちらが優れているかというより、自社の価格差がどこで生まれているかによって自然に決まります。
判断の分かれ目は、価格が相手の属性で決まっているのか、一社ごとの交渉で決まっているのかです。
相手の属性で決まっているというのは、直接取引の個店か、間に入る代理店か、本部一括で契約しているチェーン店か、という区分で掛け率が決まっている状態です。
この場合、価格は個別の相手ではなく商流に紐づいています。
組織階層管理は、まさに個店・代理店・チェーン店・暖簾といったバイヤーの種別ごとに、異なる卸価格や商流を設定するための機能です2。
仮に、直販の個店には定価の70%、代理店には60%、チェーン本部とは一括契約で55%という三段の掛け率があるとします。
この場合、価格を決めているのは相手の名前ではなく、相手がどの区分に属するかです。
区分が三つしかないなら会員ランクで足りますが、同じ代理店でも扱う商品群によって掛け率が分かれていたり、代理店の下に個店がぶら下がる関係を持たせたいのであれば、ランクを並べるだけでは足りず、階層として持てるかどうかが条件になります。
階層のある取引では、価格の設定だけでなく、誰が誰の注文を見られるかという論点が別に出てきます。
本部が契約して店舗が発注する運用なら、本部側に店舗の発注状況をまとめて見せるのか、店舗には自店の履歴だけを見せるのかで、必要な作りが変わります。
これは価格設定とは別の機能になるため、製品を比べる段階で、価格の階層と閲覧権限の階層を分けて確認しておくと、後から仕様が足りないと気づく事態を避けられます。
一方、価格差が一社ごとの交渉の積み重ねでできているなら、無理に階層やランクへ当てはめようとしても歪みが出ます。
その場合は会員別に下代を持ち、ランクは「標準」など最低限だけ用意する形から始めるほうが、既存の条件を取りこぼしません。
運用しながら、同じ掛け率の相手が何社も並んでいることが見えてきた段階で、ランクへ寄せていくこともできます。
加盟店が独自の販売価格を上乗せする場合の実例
もう一つ、仕組みの選び方が大きく変わるのが、自社が決めた卸価格の先で、取引先がさらに自分の販売価格を決めている場合です。
工業用粘着テープやテープ貼り機器の提案・販売を手がける日東電工CSシステム株式会社の法人向け通販サイトでは、販売加盟店ごとに卸価格へマージンを加えた価格を設定でき、卸価格と販売価格をシステム側で別個に管理する運用が行われています4。
この運用が示しているのは、一つの商品に二つの価格が同時に存在する状態をどう持つか、という問題です。
メーカーから加盟店への卸価格と、加盟店からエンドユーザーへの販売価格は、決める主体が違います。
商品に価格欄が一つしかない作りでは、どちらかを諦めるか、加盟店ごとにサイトを分けて同じ商品を何度も登録するか、という選択になってしまいます。
自社に当てはめるときに確かめたいのは、価格を決める主体が自社だけなのか、取引先にも決める余地があるのかです。
取引先が自分で売価を設定する商流があるなら、自社が持つのは卸価格、取引先が設定するのは販売価格、と整理したうえで、その二層を別々に保持できるかを製品選定の条件に入れることになります。
加盟店が増える見込みがあるほど、この条件は後から変えにくくなります。
ただし、ここで挙げたのは一社の実例で、加盟店を経由して販売するという取引形態での運用です。
自社に加盟店の層がなく、取引先はすべて自社から直接仕入れる相手であれば、価格を二層で持つ必要はありません。
その場合は会員別・ランク別の下代設定だけで足ります。
価格を非公開・取引先ごとに変えることは独占禁止法上問題にならないか
仕組みの目処が立つと、次に引っかかるのが法律の面です。
取引先によって価格を変えること、しかもそれを表に出さないことは、独占禁止法に触れないのか。
価格表をシステムに登録するという作業が、これまで口頭で済んでいた条件を記録として残す作業でもあるだけに、ここで慎重になるのは自然な反応です。
公正取引委員会が定める不公正な取引方法では、「不当に、地域又は相手方により差別的な対価をもつて、商品若しくは役務を供給し、又はこれらの供給を受けること」が、一般指定第3項・差別対価として挙げられています3。
読むべきなのは冒頭の「不当に」という限定です。
相手によって価格が違うこと自体を一律に禁じる書き方にはなっていません。
ただし、どのような場合に「不当」に当たるのかは個別の事情を踏まえて判断されるもので、この条項の文言だけから、価格差が何%までなら問題ないといった線を引くことはできません。
特定の取引先を排除する意図で条件を設定しているなど、気になる事情が思い当たる場合は、条文の読み方を自分たちで決めずに、具体的な取引条件を示して法務部門や弁護士に確認するのが確実です。
もう一点、整理しておくとよいのは、この条項が対象にしているのは供給する対価であって、価格を誰に表示するかを直接定めたものではない、ということです。
価格を会員限定の表示にすること自体を、ここで確認した条項が禁じているわけではありません。
問われるのは表示の有無ではなく、実際に適用している価格の差と、その理由です。
そう考えると、実務として備えておけるのは、価格差の理由を説明できる状態にしておくことです。
取引量や発注ロット、個店か代理店かという取引形態、与信や支払条件、長年続いてきた取引の経緯といった事情は、価格差が生まれた理由として整理しておける材料になります。
これらを残したからといって適法性が保証されるわけではありませんが、理由を尋ねられたときに何も出てこない状態は避けられます。
ECへの移行は、この点ではむしろ追い風になります。
電話やFAXでの個別交渉では、価格差の根拠が担当者の記憶や手元のメモの中にあり、担当が替われば失われていました。
会員ランクを定義して価格表を作る作業は、どういう相手にどの条件を適用しているのかを、形のある資料として残す作業でもあります。
価格を非公開にするための設定が、結果として価格差の説明材料を社内に蓄える仕組みにもなる、という見方ができます。
| 価格差が決まる理由 | システム上の持ち方 | 社内に残しておく説明 |
|---|---|---|
| 取引量・発注ロット | 会員ランク別の下代 | ランクの定義と適用の基準 |
| 取引形態(個店・代理店・チェーン) | 組織階層ごとの卸価格 | 商流の区分と担当する範囲 |
| 与信・支払条件 | 会員別の下代 | 条件と価格の対応関係 |
| 従来からの取引の経緯 | 会員別の下代 | 条件が決まった経緯の記録 |
価格非公開化を導入する際に準備すること
会員(取引先)データ・ランクの整備
仕組みと法律の面の見通しが立ったら、残るのは動かすための準備です。
会員別・会員ランク別の下代設定も組織階層管理も、会員ごとのランクや卸価格のデータが登録されていて初めて機能します2。
つまり導入作業の中心は、画面の設定よりも取引先データの整備になります。
ここでつまずきやすいのが、既存の得意先マスタをそのまま持ってこられないことです。
同じ会社が支店ごとに別コードで登録されている、担当者が替わったときに口座を作り直している、何年も取引のない休眠先が残っている。
こうした状態は珍しくありません。
価格を会員に紐づける以上、この重複や古いデータは、そのまま価格の重複や誤表示として表に出ます。
公開してから直すと、取引先の画面に出ていた金額を後から変えることになるため、移行前にどこまで整理するかを決めておくほうが安全です。
もう一つ決めることがあります。
ログインIDを会社単位で発行するのか、発注する担当者ごとに発行するのかです。
取引先側で複数の人が発注する場合、一つのIDを共有すれば管理は簡単ですが、誰が発注したかは残りません。
担当者ごとに出せば履歴は追えるものの、先方の異動に合わせてIDを増減させる手間が発生します。
どちらが合うかは、取引先の規模と、注文の責任をどこまで記録に残したいかで決まります。
新規の申込をどう受けるかも、公開前に決めておく必要があります。
サイトに申込フォームを置くなら、申込が届いてから承認するまでに、誰が何を確認するのかという手順が要ります。
この審査や問い合わせ対応にどれくらいの工数がかかるかは、取引先の数や審査の厳しさによって大きく変わるため、一般的な目安を示すことはできません。
見込みを立てるなら、現在の新規口座開設の件数と、一件あたりに社内でかかっている確認の手間から逆算するのが現実的です。
価格(下代)テーブルの管理体制
価格データ側で決めるのは、どの単位で価格を持つかと、改定をどう回すかの二つです。
単位は前の節で見たとおり、会員別・ランク別・階層別のどれか、あるいはその組み合わせになります。
決めた後に効いてくるのが改定の手順です。
誰が新しい価格表を作り、誰が承認し、いつから適用するのか。
とくに適用開始日の扱いは、すでに受けている注文との関係で問題になりやすいところです。
改定前に受注した分を旧価格で処理するのか、出荷日で判断するのかを運用として先に決めておけば、受注担当が一件ずつ判断して確認を回す場面が減ります。
基幹システムに価格を持っている場合は、どちらを正とするかをはっきりさせておきます。
EC側と基幹側の両方で価格を編集できる状態にすると、片方だけ更新された価格がもう片方に残ります。
その結果、取引先から「営業に聞いた金額とサイトの金額が違う」という連絡が来たときに、どちらを見れば正しいのかが社内で決まっていない、という事態になります。
更新元を一方に決めておけば、この種の問い合わせで確認する先が一か所に定まり、営業と受注担当の間で突き合わせる作業がなくなります。
移行の進め方にも関わります。
全取引先が同時にECへ移るわけではないので、しばらくは電話やFAXの注文とサイトからの注文が並行します。
この期間は、同じ価格が二つの経路で使われることになるため、営業が口頭で伝える金額も、サイトに登録した下代と同じものを見て伝える運用にしておくと、後からの訂正が起きにくくなります。
最後に、公開範囲そのものの確認が残ります。
価格を会員限定にしたつもりでも、商品画像に価格が焼き込まれていたり、未ログインでもダウンロードできるPDFカタログに価格表が載っていたりすれば、設定の意味がありません。
公開前に、ログアウトした状態で自社サイトを一通り見て回り、検索から直接たどり着けるページも含めて確認すると、こうした抜けはたいてい見つかります。
自社の価格差がどこで決まっているかを先に確かめると、必要な仕組みはかなり絞り込めます。
価格をどの単位で持つか、どこまでを非公開にするかは、自社の掛け率や商流を実際に並べてみないと決まらず、既存の取引条件を聞き取ったうえで判断する必要があるためです。
現在の取引先ごとの価格差がランクで整理できるのか、会員別に持つべきなのかを、実際の取引条件に当てて確かめられます。無料相談で要件を整理する
価格差の決まり方から、使う仕組みを当てる
価格差が何によって決まっているかという条件で並べています。
- 取引先の種別(個店・代理店・チェーン店など)で決まっている:商流の区分ごとに卸価格を設定する組織階層管理
- 取引量や取引規模でいくつかの区分にまとまる:会員ランク別の下代設定でランク単位に価格表を持つ
- 一社ごとの交渉の積み重ねで決まっている:会員別の下代設定で取引先単位に卸価格を登録する
- 取引先がさらに自分の販売価格を決めている:卸価格と販売価格を別々に保持できるかを確認する
- 価格だけでなく取扱品目も見せたくない:会員制販路設定でサイト全体を登録会員に限定する
条件がいくつかの区分にまとまるならランクや階層へ寄せ、まとまらない相手だけを会員別で持つと、改定のたびに手を入れる対象が減ります。
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 非公開の範囲 | 取扱品目も隠すならサイト全体を会員限定、価格だけでよければログイン後に出し分ける |
| 価格を持つ単位 | 相手の属性で決まるならランク別・階層別、一社ごとの交渉ならば会員別 |
| 二層の価格 | 取引先が販売価格を決める商流があれば、卸価格と販売価格を別に保持できるかを確認する |
| 法令面 | 価格差の理由(取引量・取引形態・与信条件・取引の経緯)を説明できる形で残す |
| 導入準備 | 取引先マスタの重複整理、ランク定義、価格の更新元の一本化、未ログイン時の表示確認 |
加盟店が独自の販売価格を設定する商流や、本部と店舗で閲覧できる範囲を分ける要件など、価格設定だけでは決まらない条件が残るためです。 自社の商流と価格の持ち方をそのままWeb上で再現できるか、どの設定で対応することになるのかを、機能の実装範囲に照らして確認できます。
よくある質問
価格を非公開にしたBtoB ECサイトは、検索エンジンにどこまで表示されますか。
ログインしないと表示されないページは、検索エンジンのクローラーからも同じように見えないため、価格や商品の詳細が検索結果に出ることは基本的にありません。
一方、会社案内や取扱ジャンルの紹介など、未ログインでも見えるページは通常どおり対象になります。
つまり、どこまで検索から見つけてもらうかは、公開範囲をどこで区切るかという設計で決まります。
新規開拓の入口も兼ねたいのであれば、取扱品目のカテゴリや用途の説明までは公開し、型番単位の情報と価格をログイン後に置く、という分け方が取りやすくなります。
会員ランク別の価格設定と、取引先ごとの個別設定は、どちらを優先すべきですか。
既存の価格差がいくつかの区分にまとまるなら、ランク別を基本に据えたほうが後が楽になります。
卸価格の改定時に、ランクの価格表を直せば属している会員すべてに反映されるためです。
一社ごとの事情で条件が決まっている相手は、その上から会員別の設定で上書きする形にすると、例外が何社あるのかが目に見えるようになります。
逆に、ほとんどの取引先が個別条件という状態で無理にランクを作ると、実態と合わない区分が残り、どちらを見れば正しいのか分からなくなります。
加盟店が自分の販売価格を上乗せする場合、システム側では何を分けて管理すべきですか。
自社が決める卸価格と、加盟店が決める販売価格を、別々のデータとして持てるかどうかが要になります。
日東電工CSシステム株式会社の法人向け通販サイトでは、販売加盟店ごとに卸価格へマージンを加えた価格を設定でき、卸価格と販売価格をシステム側で別個に管理する運用が行われています4。
価格欄が一つしかない作りだと、加盟店ごとにサイトを分けるか、どちらかの価格を外に出さないという対応になります。
加盟店の数が増える見込みがあるなら、この二層を持てるかを早い段階で確認しておくほうが安全です。
新規の取引先候補には、価格を非公開のままどう提案すればよいですか。
価格を出さない代わりに、未ログインでも判断材料になる情報を置くことになります。
取扱品目の範囲、対応できるロットや納期の考え方、どういう取引形態を想定しているのか(個店向けか代理店向けか)といった情報は、金額を示さなくても相手が自社と合うかを判断する材料になります。
そのうえで、会員登録の申込から承認までの流れを明示しておくと、問い合わせてから価格が提示されるまでの手順が相手にも見えます。
登録後にどのランクを適用するかの基準を社内で決めておけば、営業担当ごとに初回の提示条件がばらつくことも防げます。
取引先ごとに価格を変えるとき、社内にはどこまで記録を残しておくべきですか。
不公正な取引方法では「不当に」差別的な対価で供給することが差別対価として挙げられており3、価格差そのものが一律に禁じられているわけではありません。
ただし、どこから「不当」に当たるかはこの条項の文言だけでは判断できないため、価格差の理由を後から示せる形にしておくことが実務上の備えになります。
具体的には、ランクの定義とその適用基準、個別条件になっている取引先についてはその条件が決まった経緯を残しておく形です。
記録を残すこと自体が適法性を保証するものではないので、懸念のある取引条件があれば、個別に法務部門や弁護士へ確認してください。
- 1 出典:経済産業省 商務情報政策局情報経済課「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年)
- 2 出典:EC-Rider B2B「EC-Rider B2B 機能紹介ページ」(2026年確認)
- 3 出典:公正取引委員会「不公正な取引方法(昭和五十七年公正取引委員会告示第十五号)」(2026年確認)
- 4 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例 日東電工CSシステム株式会社様」(2026年確認)
画像の出典元
- Close-up shot of hands typing on a laptop keyboard, perfect for business or technology themes./Photo by Khwanchai Phanthong on Pexels