◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 既存取引先の集客は、取引先ごとの会員IDとログイン後の専用価格表示を整えるところから始めます。
- 会員IDを発行しただけでは個別価格や発注ルールは反映されないため、機能と基幹システム連携の可否を先に確認します。
- 電話・FAXは一斉に止めず、締めから請求まで一巡する併用期間を置いて、例外の少ない取引先から移します。
- 新規開拓と同じ指標では進み具合が分からないため、取引先別の移行段階と受注業務の件数で測ります。
- 事例では要件定義からテストサイト開設まで約10カ月、提供事業者の案内では最短2カ月とされ、期間は要件の数で変わります。
目次

既存取引先からのBtoB通販の注文を増やすには何をすべきか
既存取引先からのBtoB通販の注文を増やす起点は、取引先ごとの会員IDと専用価格をログイン後に表示できる状態を作り、電話・FAX注文と併用しながら移していくことです。新規開拓のように認知から積み上げる必要はありません。掛率や発注単位を個別運用している場合は、その反映可否を先に確認します。
会員登録と専用価格の提示
BtoB通販が消費者向けの通販と大きく違うのは、同じ商品でも取引先ごとに価格が変わる点です。
既存の取引先は、すでに個別の掛率や取引条件のもとで発注しているため、サイトに一般価格しか表示されていなければ、結局は担当者へ電話で価格を確認することになります。
最初に用意すべきなのは、取引先ごとの会員IDでログインしたときに、その取引先の価格で商品と数量を選べる状態です。
手順としては、既存の取引先マスタの棚卸しから始めます。
取引先コード、発注を出す担当者、請求先と納品先の対応、適用している掛率、最低発注金額といった条件を一覧にし、どこまでが共通でどこからが個別かを分けていきます。
ここで注意したいのは、会員IDを発行しただけでは個別価格の表示は実現しないことです。
価格のデータを持っていることと、取引先ごとに出し分ける機能が備わっていることは別であり、どちらも揃って初めてログイン後の専用価格が成立します。
全取引先に同じ掛率を適用している場合は、価格の出し分けは比較的単純で、会員登録の受け皿を作れば先へ進められます。
一方で、取引先別・商品グループ別・数量帯別といった複数の軸で価格が決まっている場合は、どの軸まで再現できるかが移行の可否を左右します。
再現できない軸が残るなら、その部分だけ従来どおり見積や電話で扱うという切り分けを公開前に決めておくと、公開後に注文が止まる事態を避けられます。
電話・FAXとの併用期間を設ける
既存の取引先は、自社の発注業務の中にこれまでのやり方を組み込んでいます。
発注書の様式、発注を出す時間帯、担当者の分担まで含めて手順ができているため、告知だけで一斉に切り替えようとすると、注文そのものが遅れたり抜けたりする恐れがあります。
併用期間は、取引先側が自分の手順を作り直すための時間として設けるものです。
併用期間の設計では、対象と期間と社内の受け方の三つを決めます。
対象は、発注頻度が高く定番品の比率が大きい取引先から選ぶと、オンラインに移す利点が伝わりやすくなります。
期間は、締め日をまたいで請求まで一通り回るだけの長さを取り、少なくとも一度は月次の処理を両方の経路で確認できるようにします。
社内では、電話・FAXで入った注文とサイトから入った注文を同じ担当者が同じ画面で確認できるようにしておくと、重複受注や取りこぼしを早く見つけられます。
受注の窓口が二つになっても、請求や締めの処理まで二つに分かれるとは限りません。
サイトで受けた注文データを既存の基幹システムへ渡せるか、渡せるとしてどの項目まで引き継がれるかを確認しておけば、経理側の作業を増やさずに併用できます。
逆に連携の目処が立たないうちに併用を始めると、同じ注文を二度入力する状態が生まれ、社内の負担がかえって増えます。
個別の掛率・発注ルールをシステムに反映する
発注ルールとして確認する対象は、掛率だけではありません。
最低発注金額や送料の条件、ケース単位とバラ単位の使い分け、納品リードタイム、店舗への直送や着日の指定、欠品時の代替品の扱いなど、口頭で運用されてきた取り決めが複数あります。
これらがサイト上で表現できていないと、取引先は注文をオンラインで完結できず、確認のために電話へ戻ることになります。
洗い出しの手掛かりになるのは、過去の受注データです。
直近の一定期間の注文を取引先別に並べ、標準どおりに処理できたものと、値引きや納期の個別調整、当日の数量変更といった例外処理が入ったものを分けて数えます。
例外の割合が小さい取引先から移行を始めれば、公開直後の混乱を抑えたうえで、運用しながら残りの条件を整えていけます。
掛売のように広く行われている取引条件であっても、すべての取引先に当てはまるわけではありません。
前払いや代金引換、都度見積で決めている取引が混ざっている場合は、その取引先をオンラインの対象に含めるかどうかを個別に判断します。
含めるなら支払方法ごとに画面や決済手段を出し分けられるかを確認し、できないなら当面は従来の経路を残す、という形で決めておきます。
新規開拓向けの集客と何が違うのか
信頼関係・与信関係がすでにある前提で施策を組む
新規の小売店を開拓する場合は、自社を知ってもらうところから始まり、商品の説明、取引条件の交渉、与信の確認、初回の発注という順に進みます。
既存の取引先が相手なら、この前段がすでに済んでいます。
だからこそ、広告や検索からの流入を増やす施策よりも、すでにある接点をそのまま案内の経路として使うほうが、かける手間に対して相手へ届く確率が高くなります。
使える接点は、営業担当の訪問、受注時の電話、請求書や納品書の送付、これまでのメール連絡などです。
案内の中身は、サイトがあることを知らせるだけでなく、ログイン用のIDと初回の手順、これまでと変わらない点、変わる点を一枚で示せる形にします。
案内を受け取る窓口の担当者と、実際に発注を出している担当者が同じとは限らないため、誰に届けるかを取引先ごとに確認してから送ります。
一方で、取引関係があることは移行の保証にはなりません。
発注方法の変更には店舗側の手順の作り直しが伴い、規模によっては社内の承認が要る場合もあります。
案内しても反応がないときは、関心がないと決めつける前に、案内が発注担当者まで届いているかを確かめるほうが先です。
比較の軸が新規開拓と異なる点
新規開拓では、問い合わせ件数や新規取引先の件数、初回の受注金額といった指標で成果を見ます。
既存取引先向けの施策では、これらの指標はほとんど動きません。
見るべきなのは、すでに取引のある先のうちどれだけがサイトから注文するようになったか、注文の頻度や一回あたりの品目数が変わったか、受注処理にかかる社内の時間が変わったか、といった軸です。
効果の見え方も違います。
新規開拓は一件の獲得が数字に表れやすいのに対し、既存取引先の移行は同じ取引先が発注の経路を変えるだけなので、その間は売上の合計が変わりません。
売上だけを見て判断すると、移行が進んでいる途中で効果がないと結論づけてしまうため、注文の入り口ごとに内訳を分けて記録する必要があります。
既存の取引先を維持する費用は新規開拓の数分の一で済む、といった比較がしばしば紹介されますが、根拠となる調査を特定できないため、本記事では前提として扱いません。
自社で比べたいのであれば、新規開拓にかけている営業訪問や資料作成の時間と、既存取引先への案内や操作支援にかけている時間を、同じ期間で並べて数えるほうが確実です。
社内の実績どうしであれば、期間も対象も揃った比較になります。

オンライン化に消極的な取引先小売店にどう対応するか
操作への不慣れへの対応
取引先がオンライン注文へ移らない要因として、画面操作への不慣れ、口頭でのやり取りに慣れていること、個別の取引条件が画面に出ないことなどが、実務の解説では共通して挙げられます。
ただしこれらは調査で割合が示されたものではないため、自社の取引先にどれが当てはまるかは個別に聞いて確かめる必要があります。
要因が違えば打つ手も変わり、操作の問題なら支援で解ける一方、条件が画面に出ない問題は設定や機能の側を直さなければ解決しません。
操作への不慣れが理由だと分かった場合は、初回の注文に自社の担当者が付き添う形が取りやすい方法です。
電話をつないだまま画面を一緒に進める、訪問したときに一度だけ一緒に注文してみる、といった進め方であれば、取引先側の準備も少なくて済みます。
あわせて、定番品をまとめた一覧や、前回の注文内容を呼び出して数量だけ変える操作が用意されていれば、二回目以降の手数が減ります。
こうした機能があるかどうかはシステムによって異なるため、案内の文面に書く前に自社のサイトで実際に動くことを確認します。
初回の操作が従来の電話やFAXより時間がかかるとは限りません。
品目数が多く、型番を口頭で伝える手間が大きい取引であれば、検索して選ぶほうが早く終わることもあります。
どちらが早いかは取引の中身によるため、移行を勧める前に代表的な取引先の注文を一度オンラインでなぞり、実際にかかった時間を測っておくと、案内のときに根拠を示して説明できます。
口頭でのイレギュラー対応(数量変更・当日追加)への対応
既存の取引関係では、発注後の数量変更や当日の追加を電話で受けている場合があります。
この部分の扱いを決めないままオンラインへ移すと、注文はサイトから入るのに変更は電話で入る状態になり、どちらが最新の内容か分からなくなります。
確認すべきなのは、出荷の締め時間より前であれば取引先自身が注文を修正できるのか、修正できないならどの経路で受けるのか、という運用の線引きです。
電話での変更を残す判断もあります。
その場合に重要なのは、電話で受けた変更をサイト側の注文データにも反映できるかどうかです。
反映できないと、取引先が画面で見る注文履歴と実際の出荷内容が食い違い、次回に履歴から再注文したときに誤った内容が呼び出されます。
社内側で注文を編集できる管理画面があるか、編集した結果が取引先の画面にも表示されるかを、移行前に確かめておきます。
当日の追加については、締め時間の扱いを取引先と共有しておくと、例外のやり取りそのものが減ります。
締め時間より前の追加は別の注文としてサイトから入れてもらい、締め後の分だけ電話で受けるというように条件で分ければ、必要な電話を残しながら全体の件数は下げられます。
どこで線を引けるかは出荷体制によるため、物流側の締めと合わせて決める必要があります。
施策の効果をどう測り、続けるか判断するか
オンライン注文比率などの指標の考え方
移行の進み具合を見る指標として扱いやすいのは、一定期間に受けた注文のうちサイト経由で入ったものの割合です。
ただし件数で数えるか金額で数えるかで見え方が変わります。
件数で見れば少量多頻度の取引先の動きが反映され、金額で見れば大口の取引先の影響が大きく出ます。
社内の受注作業の負担を減らすことが目的なら件数、売上の経路を把握したいなら金額というように、目的に合わせて分母と分子を先に決めておきます。
全体の比率だけでは判断を誤ることがあります。
大口の取引先が一社移っただけで金額の比率は大きく動き、残りの取引先がまったく移っていなくても、数字の上では進んでいるように見えます。
取引先別に、案内済みか、IDを発行したか、一度でも注文したか、継続して注文しているか、という段階に分けて数えると、どこで止まっているのかが分かります。
受注する側の指標も合わせて見ます。
電話とFAXの受信件数、注文内容を確認するために折り返した回数、基幹システムへ手入力した件数などは、移行が進めば変化が現れる項目です。
これらは移行前の値を記録していないと比較できないため、併用を始める前に一定期間の実績を取っておきます。
指標が動かないときに見直す箇所
一定期間たっても比率が動かない場合、案内が届いていない、ログインまではしたが注文に至らない、注文はしたが二回目がない、のどこで止まっているかで原因が分かれます。
案内が届いていないなら送り先の担当者を確認し直し、ログイン後に止まっているなら価格や発注単位が正しく表示されているかを見ます。
二回目がないなら初回に何らかの手間が生じた可能性があるため、その取引先に直接聞くのが早い方法です。
続けるかどうかの判断では、移行しない取引先を無理に動かさない選択も含めて考えます。
発注の頻度が低く品目も少ない取引先であれば、電話で受けたほうが双方とも手間が少ない場合があります。
全社一律の移行を目標に置かず、どの取引先群まで移せば受注業務の負担が意味のある水準まで下がるか、という見方で区切りを決めると、判断が具体的になります。

移行の実務規模がわかる事例(日東電工CSシステムの例)
取引店数・品目数の規模
移行の作業量がどの程度になるかは、取引先の数と扱う品目の数からおおよその見当がつきます。
公表されている事例として、各種工業用粘着テープやテープ貼り機器を中心に約3,800品種の製品の提案・販売を手掛ける日東電工CSシステムでは、全国約3,000社の販売店が同社の製品を取り扱っているとされています1。
同社のBtoB通販サイトについては、当初からグループの商品が2万5,000品揃っていたことも紹介されています1。
この数字から読み取れるのは、サイトに載せる品目の数が、自社が従来案内してきた品種の数と一致するとは限らないことです。
グループ会社の商品まで含めて掲載すれば、取扱品種より多くの商品が画面に並びます。
掲載する品目が増えるほど、価格の設定、商品情報の整備、目的の品にたどり着ける検索や分類の作り込みに手間がかかるため、公開前に誰がどの範囲を担当するかを決めておく必要があります。
なお、ここで挙げた数値は移行にあたって扱う規模を示すものであり、オンライン化によって注文が増えたことを示す数値ではありません。
また対象は小売店ではなく販売店であり、業種や取引の形が違えば同じ作業量になるとは限りません。
自社の規模を見積もるときは、取引先の数、掲載予定の品目数、そして取引先ごとに異なる条件の数を、それぞれ別に数えて比べるのが現実的です。
構築・移行にかかる期間の目安
同じ事例では、要件定義からテストサイトの開設までを約10カ月に短縮できたとされています1。
一方、このサイトを提供する事業者の案内では、最短2カ月で自社のECサイトを構築し運用を開始できる点が利点として挙げられています1。
二つの数字は同じ工程や同じ条件を指しているわけではなく、要件の数や既存システムとの連携の有無によって期間が変わることを示しています。
自社の期間を見積もるときは、短いほうの数字を基準に置かず、要件の数から逆算します。
価格の軸がいくつあるか、発注ルールの例外が何件あるか、基幹システムとの連携が必要か、テストに協力してもらえる取引先を確保できるか、といった項目が増えるほど、要件定義と検証にかかる時間は延びます。
反対に、価格が共通で連携も当面は手作業でよいという条件であれば、短い期間で公開し、併用しながら整えていく進め方も取れます。
期間の見積もりで見落としやすいのは、取引先側の準備にかかる時間です。
IDの案内、初回の操作支援、店舗の発注手順の変更は、サイトが完成してから始まります。
公開日を移行完了の日と考えず、公開後に併用期間を置くところまで含めて計画を立てると、現場の受注を止めずに進められます。
既存取引先向けのBtoB通販の集客は、新しい見込み客を集める作業ではなく、すでにある取引を別の経路へ移す作業です。
会員IDと専用価格を用意し、電話・FAXと併用しながら、掛率や発注ルールの例外を一つずつ画面上の設定へ移していけば、取引を止めずに進められます。
どこから手を付けるかは取引先ごとの条件がどれだけ分かれているかで変わるため、次に自社で確認しておく項目を整理します。
既存取引先の移行でつまずく箇所は、掛率がいくつの軸で決まっているか、発注ルールの例外が何件あるか、基幹システムと連携できるかといった、自社の取引条件を確認しなければ判断できない部分に集まります。BtoB通販の構築と運用を手掛ける事業者であれば、その条件が画面上でどこまで再現できるかを、実際の機能に照らして答えられます。
現在の掛率の決め方と発注ルールの例外を持ち込めば、どこまでそのまま移せて、どこを運用で補う必要があるかを確かめられます。無料相談で要件を整理する
移行を決める前に確認する項目
取引条件、発注運用、システム連携、案内先という確認する対象の種類で分けて並べています。
- 取引先ごとの掛率が、取引先別・商品グループ別・数量帯別のどの軸まで設定されているか
- 最低発注金額、ケースとバラの単位、リードタイム、着日指定など価格以外の発注ルールが何件あるか
- 直近の受注のうち、数量変更や当日追加といった例外処理が入った注文の割合
- サイトで受けた注文を既存の基幹システムへ渡せるか、渡せる項目はどこまでか
- 実際に発注を出している担当者の連絡先を取引先ごとに把握できているか
- 当面は電話・FAXを残す取引先と、オンラインへ移す取引先を分ける基準
取引先が少なく条件がほぼ共通なら上の項目は短時間で埋まりますが、条件が取引先ごとに分かれている場合は、例外の件数を数える工程に時間を配分します。
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 移行の起点 | 取引先ごとの会員IDと、ログイン後の専用価格表示が用意できているか |
| 電話・FAXの扱い | 締めから請求まで一巡する併用期間を置き、例外の少ない取引先から始める |
| 個別条件の反映 | 掛率の軸・最低発注金額・単位・リードタイムをシステムで再現できるかを事前に確認する |
| 効果の測り方 | 件数か金額かを決めたうえで、案内・ID発行・初回注文・継続の段階に分けて取引先別に数える |
| 期間の見積もり | 価格の軸の数、発注ルールの例外件数、基幹システム連携の要否から逆算する |
| 規模の参考 | 約3,000社の販売店・約3,800品種の企業でサイト掲載は2万5,000品、テストサイト開設まで約10カ月 |

移行にかかる期間は要件の数で変わるため、公表されている目安だけでは自社の計画は立ちません。取扱品目数と取引先数、既存システムとの連携の要否を前提にした見積もりを相談すれば、併用期間まで含めた進め方が具体的になります。 自社の取引先構成と例外処理の件数を示したうえで、どの取引先群から移すか、公開までにどの工程が必要かを確かめられます。
よくある質問
取引先ごとに異なる掛率をオンライン注文にどう反映すればよいですか。
まず掛率がどの軸で決まっているかを整理し、そのうえでシステム側で再現できる範囲を確認します。取引先ごとに一つの掛率であれば、取引先マスタと価格マスタを結び付けて表示できる場合がありますが、商品グループ別や数量帯別の掛率が重なっている場合は、どの軸まで設定できるかが製品によって変わります。会員IDを発行しただけでは個別価格は表示されないため、実際の画面に自社の取引先の条件を入れて確かめるのが確実です。再現できない条件が残るときは、その取引先または対象商品だけ従来の見積で扱うという切り分けを、公開前に決めておきます。
電話・FAX注文は完全に廃止すべきでしょうか。
一律に廃止しなければならないものではありません。締め後の変更や当日の追加のように時間の制約があるやり取りは、電話のほうが確実な場合があります。判断の基準になるのは、電話・FAXを残すことで社内にどれだけ二重入力や確認の手間が残るかです。電話で受けた変更をサイト側の注文データへ反映できる仕組みがあれば、併用を続けても履歴の食い違いは避けられます。反映できない場合は、変更を受ける経路を一本に絞るほうが混乱は少なくなります。
オンライン化を拒む取引先が離反しそうな場合はどう対応しますか。
はじめに理由を分けて聞きます。操作への不慣れであれば初回の付き添いや前回注文の呼び出しで解ける一方、個別の取引条件が画面に出ないことが理由であれば、設定や機能の側を直さなければ解決しません。発注の頻度が低く品目も少ない取引先であれば、従来の経路を残す判断も現実的です。全社一律の移行を条件にせず、どの取引先群まで移せば社内の負担が意味のある水準まで下がるかで区切りを決めると、取引を続けながら進められます。
少量多頻度の発注が多い取引先には、どんな機能が必要になりますか。
一回ごとの入力の手数を減らす機能が中心になります。前回の注文を呼び出して数量だけ変える、よく注文する品をまとめた一覧から選ぶ、型番や商品コードで直接検索して入力する、といった操作が該当します。あわせて、最低発注金額や送料の条件が画面で分かること、その日の締め時間が表示されることも、頻度の高い発注では効いてきます。用意されている機能はシステムごとに異なるため、取引先へ案内する前に自社のサイトで実際に動くかを確認します。
移行にはどのくらいの期間を見ておけばよいですか。
要件の数で変わるため、一般的な目安をそのまま当てはめないほうが安全です。公表されている事例では、要件定義からテストサイトの開設までが約10カ月とされ、同じサービスの案内では最短2カ月で構築・運用を開始できるという期間も示されています1。差が生じるのは、価格の軸の数、発注ルールの例外、既存システムとの連携の有無といった条件が違うためです。さらに公開後には取引先への案内と併用の期間が必要になるので、公開日を移行完了の日として計画しないことをお勧めします。
- 1 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(日東電工CSシステム株式会社様)」 経路
画像の出典元
- Business office with diverse employees in gray suits working/Photo by cottonbro studio on Pexels
- 50代後半の日本人女性が自宅での注文をしている場面/画像:生成AI(自社)
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