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食材発注の受注側が日次で原価をつかむ方法|納品・単価の記録で分かる範囲と始め方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 受注側が日次で確定できるのは、注文・納品・単価の記録から出る納品額と単価の変化までです。
  • 使った分の原価や歩留まりは、発注者の在庫・使用量・レシピの情報がないと出せません。
  • 一日の締めは納品日で決め、欠品・代替品・返品は元の行を書き換えずに差額行で記録します。
  • 単価改定は価格表に適用開始日を持たせることで、反映の遅れによる日次のずれを防ぎやすくなります。
  • 電子化は書き写しと経路ごとの整理を減らしますが、訂正の判断は残るため、先に記録のルールを固めてから検討します。

40代後半の日本人女性が町工場での納品受け取りをしている場面

月末まで原価が見えない場面で、日次に見られる数字はどこまでか

食材の注文は毎日受けて納品しているのに、取引先ごとの金額や単価の動きが分かるのは月末の請求締めのあとになる。
これでは、仕入値の改定や欠品の影響に気づくのが遅れます。
受注側が日次で押さえられるのは、手元にある注文・納品・単価の記録、つまり納品額と単価の変化までです。
使った分の原価は、発注者の在庫と使用量がそろわないと出せません。
そこで、まず日次で追う数字を納品額と単価に絞り、返品・欠品・代替品の直し方を決めます。
そのうえで表計算から始め、書き写しの手間が重くなった時点で電子化を考える、という順で進めるのが現実的です。

発注額・納品額・使用量の違い

「今日の原価」と言ったとき、思い浮かべる数字は人によって違います。
注文を受けた時点の金額なのか、実際に届けた金額なのか、それとも厨房で使った分の金額なのか。
この違いを決めないまま日次集計を始めると、受注側が手元の記録から出せる数字と出せない数字が、一つの表に混ざってしまいます。

ここでは三つに分けて考えます。
発注額は、注文を受けた時点の品目・数量・単価から計算した、予定の金額です。
納品額は、実際に届けた数量と、その日に適用した単価で決まる金額で、請求の元になります。
使用量ベースの原価は、発注者が調理や販売に使った分の金額です。
仕入れた分から在庫として残った分を差し引くような考え方が必要になります。
この三区分は、日次で追う数字を選ぶための整理です。
会計上の定義をそのまま示したものではありません。
決算の売上原価をどう計算するかは、経理担当や顧問税理士の判断に従うことになります。

たとえば、洋食店のA店に毎朝、野菜と乳製品を納めている卸を考えます(以下、説明のための仮の例です)。
前日の夕方に、玉ねぎ・トマト・生クリームの注文が届きました。
翌朝、トマトは入荷が足りず注文の半分しか出せませんでした。
生クリームは指定の銘柄が切れていたので、A店の了承を得て、少し単価の高い別の銘柄を出しました。
この時点で、注文を受けた金額と実際に届けた金額は、もう一致していません。
さらにA店の厨房では前日までに残っていたトマトも使うので、その日に使った分の金額は、納品額ともまた違うものになります。

日次で追う数字を絞る

三つのうち、受注側が自分の記録だけで毎日確定できるのは納品額です。
発注額は、欠品や代替品が出るたびに変わる予定の数字です。
そのまま積み上げると、届けていない分まで原価に入ってしまいます。
使用量ベースの数字は、A店の冷蔵庫に何が残っているかを知らなければ計算できません。
受注側から見えるのは店の入口までで、厨房の中は見えないからです。

もう一つ、毎日見ておきたいのが単価の変化です。
納品額の合計が増えた日に、それが数量の増加によるものか、単価の上昇によるものかは、合計額だけでは区別できません。
品目ごとに前回の単価と並べておけば、仕入値の改定を反映した日や、代替品で単価が変わった日がすぐに分かります。
月末に請求額を見て初めて単価が上がっていたと気づく、という遅れを縮められるのはこの部分です。

発注額を捨てる必要はありませんが、毎日の集計の主役にはしません。
欠品や代替品が出た行にだけ、注文時の数量と品目を残しておけば足ります。
それだけで、届けられなかった分や差し替えた分を後から追えます。
最初から三つの数字を毎日そろえようとすると、記録の手間が増えて肝心の納品額の入力が遅れます。
納品額と単価の二つに絞り、運用が回ってから広げるほうが続けやすくなります。

「原価」として追える三つの数字と、決まる時点
発注額は注文時点の予定、納品額は届けた時点の確定額、使用量ベースの原価は発注者の在庫と使用量が分かって初めて出る数字

受注側の注文・納品・単価の記録でわかること、わからないこと

受注側の記録で足りる範囲

納品額と単価に絞ったとして、受注側の手元の記録から日次で読めることは、主に次の三つです。

  • 取引先ごとの納品額の日々の推移
  • 品目ごとの単価の変化と、変わった日
  • 品目別の数量の動き(急に増えた品目、減った品目)

これらは、取引先から見れば日々の仕入れの金額にあたる数字です。
A店への納品額が週の後半に増えていれば、週末に向けて仕込みを増やしているのだろう、という見当はつきます。
生クリームだけ単価が上がった日が分かれば、その日から請求額がどれだけ増えるかも、月末を待たずに読めます。
受注側にとっては、自社の売上と取引先ごとの値付けを毎日確かめる材料にもなります。

記録をどの単位で持つかは、受発注の業務の流れに沿って考えると整理しやすくなります。
流通BMS基本形は、発注、出荷、受領、返品、請求、支払の6業務を対象に、標準的なメッセージの形式を定めています2。
この基本形が対象としているのは、スーパー業界と、加工食品や日用品を扱うグロサリー業界の基本的な取引です2。
飲食店への生鮮食材の納品にそのまま当てはまるものではありません。
それでも、日次の記録で何を一件として扱うかを考える目安にはなります。

日次の原価把握で特に効いてくるのは、出荷と返品の記録です。
何をいくらで出したかが出荷で決まり、何を取り消したかが返品で決まるからです。
受領は、発注者が受け取ったことを確認する記録です。
受注側の出荷記録と相手の受領の内容が食い違えば、そこで初めて欠品や数量違いが見つかります。
この照合を日ごとに済ませておけば、月末の請求時に食い違いをまとめて探す作業が減ります。

発注者の在庫・使用量が要る範囲

反対に、受注側の記録だけでは出せないのが、使った分の原価と歩留まりです。
歩留まりとは、仕入れた食材のうち、皮むきや下処理を経て実際に料理に使える分の割合のことです。
同じキャベツを同じ単価で納めても、A店の仕込み方によって、一皿あたりの原価は変わります。
この差は、店のレシピ、仕込み量、在庫、廃棄の記録がないと計算できません。

受注側が納品額の推移を見て「A店の原価率が上がっている」と判断するのは、行き過ぎです。
納品額が増えた理由は、売上が伸びて仕込みを増やしたからかもしれませんし、在庫を積み増しただけかもしれません。
受注側の数字から言えるのは、A店への納品額と単価がどう動いたかまでです。
その先の解釈は、A店の売上や在庫の情報と照らし合わせて初めてできます。

仕入先側か発注側かで変わる点

同じ「受けた注文の記録を日次の原価に使う」という話でも、記録を持っている人の立場で、できることが変わります。

仕入先・卸の担当者にとって、日次の納品額と単価は、自社の売上と取引先ごとの値付けを見直す材料です。
仕入値が上がった品目を、どの取引先にいつから新しい単価で出しているかが日次で分かれば、改定の反映漏れにも気づけます。
取引先の原価管理に協力する場合も、渡せるのは納品の明細と単価の履歴までです。
使った分の原価は、相手側で計算してもらうことになります。

飲食店や給食の事業者の側で、仕入先から届く注文確認や納品書の内容を使う場合も、納品額を日次で積むところまでは同じ考え方で進められます。
そこに自店の在庫と使用量を加えれば、使った分の原価へ進めます。
棚卸を毎日行うかどうかは手間との兼ね合いです。
日次は納品額と単価、使用量ベースは週や月で締める、と分けて持つ方法もあります。

見たい数字 仕入先・卸側 発注側(飲食店など) 必要になる情報
納品額の日次推移 自社の出荷・納品記録から出せる 受け取った納品書を積めば出せる 納品の明細
単価の変化 品目別の単価の履歴から出せる 納品書の単価を品目別に並べれば出せる 品目と単価の履歴
使用量ベースの原価 自社の記録だけでは出せない 在庫と使用量を記録すれば出せる 在庫と使用量の記録
歩留まり・一皿あたりの原価 自社の記録だけでは出せない レシピと仕込みの記録があれば出せる レシピ・仕込み・廃棄の記録
受注側の記録で言える範囲と、言えない範囲
納品額・単価・数量の動きは受注側の記録で読めるが、使った分の原価と歩留まりは発注者の記録が要り、原価率の判断は受注側だけでは言えない

電話・FAX・チャット・電子受発注で、日次集計に整える手間はどう違うか

受け方別の転記と締めの違い

記録を納品額と単価に絞っても、注文がどの経路で届くかによって、その記録を作る手間は大きく変わります。
手間の差が出るのは、主に三つの場面です。
どこで書き写しが起きるか、単価と数量がどんな形で残るか、そして一日の締めをどの時点に置けるか、です。

電話とFAXでは、注文の内容はまず人の手で受注台帳に入ります。
電話のやり取りに単価が出てこない場合、その日の単価は台帳側で価格表から補うことになります。
価格表の更新が遅れていれば、その遅れがそのまま日次の納品額に入ります。
FAXは紙が残る分だけ後から確認できますが、手書きの数字の読み違いは、納品して受領の段階で初めて見つかることがあります。

チャットやメールは文面が残るので、言った言わないの行き違いは減ります。
その代わり、品名や単位の書き方が注文ごとにそろいません。
A店から「トマト箱で」と届く日もあれば「トマト いつもの量」と届く日もあり、どちらも台帳に入れる段階で人が品目と数量に読み替えています。
追って届いた「さっきの生クリーム、やっぱり増やして」という訂正を、元の注文の行に結びつける作業も残ります。

締めの時点は、どの経路でも決めておく必要があります。
A店が夜の営業後にチャットで翌朝分を追加してくる場合、その注文を前日分と翌日分のどちらに入れるかで、日次の納品額は変わります。
受注日ではなく納品日で集計すると決めておけば、追加の注文がいつ届いても、実際に届けた日の数字にまとまります。

電子化で業務時間が減った実証例

では、電子的な受発注に切り替えると、この書き写しはどれだけ減るのでしょうか。
中小企業庁は、受発注の情報を企業間で電子データとして連携する実証の結果として、中小企業の受発注業務時間が平均して51.4%削減されたと紹介しています1。
これは平成28年度補正予算による12のプロジェクトでの平均で、個々の事業者で同じ効果が出ることを示すものではありません1。

企業間で注文や請求などの取引データを決まった形式でやり取りする仕組みを、EDIと呼びます。
同じページでは、受注側の企業が導入する場合、中小企業共通EDIという標準に対応したプロバイダーと業務アプリケーションを使えば済み、大きな費用はかからないとも述べています1。
ここでの費用の話は、共通EDIに対応したサービスを使う場合の説明で、具体的な金額は示されていません1。

注意したいのは、この削減率が示しているのは受発注業務にかかる時間であって、日次の原価がどれだけ正確になるかを測ったものではない点です。
受発注を行うすべての業種がデータ連携のメリットを得られるとも述べられていますが1、飲食店への食材納品で効果を確かめた数字ではありません。
日次原価の観点から言えるのは、品目・数量・単価が書き写しを経ずにデータで残れば、納品額と単価の記録を作る手前の作業が減る、というところまでです。
代替品や返品をどう記録するかは、電子化しても人の判断として残ります。

受け方 書き写しが起きる場所 単価・数量の残り方 締めで気をつけること
電話 聞き取ったメモから受注台帳へ 会話に単価が出なければ台帳側で価格表から補う 営業時間外の追加注文をどの日に入れるか
FAX 紙の注文書から受注台帳へ 手書きの数量を読み違えるおそれがある 受信した時刻と内容の確認
チャット・メール 画面の文面から受注台帳へ 品名や単位の書き方がそろわない 追って届いた訂正が元の注文とつながっているか
電子受発注 原則として書き写しは生じない 品目・数量・単価がデータで残る 取引先側の締め時刻とのずれ
夜の追加注文を納品日で集計する流れ(仮の例)
夜の営業後にチャットで翌朝分の追加注文が届いても、納品日で集計すると決めておけば実際に届けた日の数字にまとまる

単価変更・欠品・代替品・返品が日次の数字をずらす場面と扱い方

単価改定日の扱い

注文の経路を整えても、日次の数字がずれる原因は残ります。
単価の改定、欠品、代替品、返品の四つです。
食材の取引では、天候や入荷の具合でどれも起こりうるため、起きたときの直し方を先に決めておくことが、日次の数字を信用できるものにします。

単価の改定でずれが出るのは、どの日の納品から新しい単価を適用するかがあいまいなときです。
A店とは翌週から生クリームを値上げすると合意していたのに、受注台帳の価格表を更新したのが二日後だった、という場合を考えます。
その二日間の納品は旧単価で記録され、月末の請求時に差額を直すことになります。
日次の数字は、その間ずっと低く出ていたことになります。

防ぐには、価格表に適用開始日の欄を設け、単価そのものではなく「いつからその単価か」を記録の単位にします。
改定を合意した時点で、開始日つきの新しい行を追加しておけば、当日になって切り替える作業が要りません。
日次の集計では、単価が前回と変わった品目に印を付けておくと、それが予定どおりの改定なのか入力の誤りなのかを、その日のうちに見分けられます。

欠品・代替品・返品の訂正ルール

欠品・代替品・返品では、一度記録した納品の行をどう直すかが問題になります。
直し方には大きく二通りあります。
元の納品行の数量や単価を書き換える方法と、元の行は残したまま、差額を表す行を追加する方法です。

書き換えは表がすっきりしますが、前日に集計した数字が後から変わります。
日次の推移を見ていると、ある日の納品額が過去にさかのぼって変わり、どこで何が直されたのかが追えなくなります。
差額行の追加は行が増えますが、元の数字、訂正の理由、訂正した日が残ります。
日次で数字を追う目的からすると、訂正が出た日に差額行を追加するほうが、後から説明しやすい記録になります。

A店の朝の納品に当てはめると、次のようになります。
出せなかったトマトの半分は、納品していないので納品行には入れず、備考に注文時の数量を残します。
生クリームの代替品は、実際に出した銘柄と単価で納品行を作り、元の注文の銘柄を備考に書いておきます。
翌日、A店から代替品の一部が戻ってきたら、元の行は直さず、返品を受けた日にマイナスの差額行を追加し、元の納品日を備考に入れます。

経理へ確認しておくこと

返品や値引きを記録のうえでどう扱うかは、日次集計だけで閉じる問題ではありません。
請求書や、返品・値引きの際に相手へ渡す書類には、消費税の書類の扱いが関わることがあります。
どの場合にどんな書類が必要になるかは取引の内容によって変わりうるため、ここでは結論を示さず、経理担当や税理士と事前にそろえておきたい点として挙げます。

  • 返品や値引きを差額行で記録したとき、請求書や相手へ渡す書類にどう反映させるか
  • 返品を受けた日と元の納品日のどちらの月に計上するか
  • 代替品で単価が変わったとき、取引先との合意をどの記録で残すか
  • 日次の差額行と月末の請求額を、誰がいつ突き合わせるか

日次の記録は社内の管理のためのもので、請求や会計の正式な記録とは役割が違います。
両者の数字が月末に一致するように、差額行の持ち方を最初に経理とそろえておくと、日次の数字を月末にもう一度作り直す作業が減ります。

例外 数字がずれる理由 記録の直し方
単価改定 新しい単価の適用が遅れる 価格表に適用開始日つきで新しい行を追加する
欠品 注文した数量を納品額に含めてしまう 納品行に入れず、注文時の数量を備考に残す
代替品 元の品目の単価で記録してしまう 実際に出した品目と単価で納品行を作り、元の品目を備考に残す
返品 過去の納品額を書き換えてしまう 返品を受けた日にマイナスの差額行を追加し、元の納品日を備考に残す
欠品・代替品・返品の記録の持ち方(A店の仮の例)
前日の注文、翌朝の欠品と代替品の納品、翌日の返品を日の順に並べ、それぞれの日の記録の持ち方を示した図

小さく始める手順と、表計算から電子化へ進む判断条件

表計算で始める最小の記録項目

ここまでの話を、明日から始められる形に落とします。
最初に決めるのは一日の締めです。
納品日で集計し、その日の最後の配送が終わったあとにその日の納品行を確定させる、というように、どの時点の何をもって一日とするかを決めます。

表計算の一行は、一回の納品の一品目に対応させます。
最小限の列は次のとおりです。

  • 納品日
  • 取引先
  • 品目
  • 数量
  • 単価
  • 納品額(数量×単価)
  • 区分(通常・代替品・返品・単価訂正など)
  • 備考(元の注文品目、元の納品日、訂正の理由)

単価の変化は、別のシートに品目ごとの価格表を置き、適用開始日つきで管理します。
納品の行では、その日に有効な単価を価格表から引いてくるようにしておくと、改定の反映漏れが起きにくくなります。
日次の確認は、取引先ごとの納品額の合計と、前回と単価が変わった品目の一覧を見ることから始められます。

A店の例で言えば、トマトの欠品は納品行に入れずに備考へ、生クリームの代替品は代替品の区分で新しい単価の行、翌日戻ってきた分は返品の差額行になります。
その日の終わりにA店の納品額を見れば、注文より少ない数量の行と、単価の高い行が一つずつある、という形で何が起きたかが読み取れます。
月末になって請求額を見たときに、どの日の何が理由で金額が動いたのかを説明できる状態が、日次で記録する意味です。

電子化へ進む判断条件

表計算で回り始めると、どこに手間が残っているかが見えてきます。
電子化を考える目安になるのは、次の三つの状態です。

  • 書き写しの手間:同じ注文を、メモから受注台帳へ、台帳から日次の表へと、何度も書き写している
  • 注文経路の数:電話・FAX・チャットなど経路が多く、経路ごとに締めや表記をそろえる作業が増えている
  • 訂正の頻度:月末の請求時に、日次の表と請求額の食い違いを直す行が多い

三つのうち、電子化で減らしやすいのは最初の二つです。
注文がデータで届けば、品目・数量・単価を書き写す作業と、経路ごとに表記をそろえる作業は少なくなります。
一方、三つ目の訂正は、欠品や代替品をどう記録するかという運用の問題でもあるため、電子化だけでは減りません。
訂正が多い場合は、先に差額行のルールを固めてから電子化を考えるほうが、新しい仕組みに同じ混乱を持ち込まずに済みます。

電子化を検討するときに、受注側だけでは決められないのが、取引先の注文の出し方です。
受注側の企業は共通EDIに対応したサービスを使えば大きな費用はかからないと中小企業庁は説明していますが1、取引先がどの方法で注文を出せるかによって、選べる仕組みは変わります。
スーパーやグロサリーの取引を対象にした標準の流れが、飲食店への生鮮食材の納品にそのまま合うとは限りません2。
主な取引先が今どの経路で注文しているか、データで注文を送れる取引先がどれだけあるかを把握してから、対応する仕組みを比べるのが順序です。
表計算で整えた品目名・単位・価格表・区分のルールは、そのまま電子化の際の移行の土台になります。

表計算で日次の納品額と単価を追い始める手順
一日の締めを決め、一品目を一行で記録し、価格表を適用開始日つきで管理し、例外を区分と差額行で記録し、納品額と単価の変化を見る手順
電子化を考える三つの状態と、電子化で減らしやすいか
書き写しの手間と注文経路の数は電子化で減らしやすく、訂正の頻度は先に差額行のルールを固める必要がある

注文の経路や例外の扱いが取引先ごとに違うと、どの単位で納品行を持ち、どこで一日を締めるかを自社だけで決めにくくなります。

いまの注文の受け方と記録の持ち方をもとに、日次で納品額と単価を追うために何を整えればよいかを一緒に確かめられます。無料相談で要件を整理する

一日の締めで確認する項目

納品行の確定から例外の確認、合計の見直しへと、締めの作業の流れに沿って並べた。

  • その日に届けた納品行が、すべての注文経路の分そろっているか
  • 前回と単価が変わった品目が、価格表の適用開始日どおりか
  • 欠品・代替品の行に、区分と元の注文内容が残っているか
  • 返品や単価訂正が、元の行を書き換えず差額行で入っているか
  • 取引先ごとの納品額の合計に、前日までと比べて説明できない動きがないか

要点の整理

軸 基準
日次で追う数字 納品額と品目ごとの単価の変化に絞る
使った分の原価 発注者の在庫・使用量・レシピがそろって初めて出せる
一日の締め 受注日ではなく納品日で集計し、確定させる時点を決める
例外の直し方 元の行は書き換えず、訂正が出た日に差額行を追加する
単価改定 価格表に適用開始日を持たせ、合意した時点で新しい行を追加する
電子化を考える目安 書き写しの回数、注文経路の数、訂正の頻度を見る
電子化の前提 取引先がどの方法で注文を出せるかを先に把握する

電子化を考える段階では、取引先がどの方法で注文を出せるかによって、選べる仕組みと残る手作業が変わります。 主な取引先の注文経路を前提に、データでの受注に移す範囲と、表計算や人の判断に残す範囲の切り分けを相談できます。

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よくある質問

仕入先側と発注側とで、日次で見られる原価の範囲はどう違いますか。

仕入先・卸側が自社の記録だけで日次に出せるのは、取引先ごとの納品額の推移と品目ごとの単価の変化までです。
発注側の飲食店や給食事業者は、受け取った納品書から同じ範囲を積み上げられるうえ、自店の在庫と使用量を記録すれば、使った分の原価まで進めます。
仕入先が取引先の原価管理に協力する場合、渡せるのは納品の明細と単価の履歴です。

FAXや電話の注文を、表計算でどう日次集計に載せればよいですか。

注文書やメモから日次の表へ直接書くのではなく、いったん受注台帳に入れ、納品が確定した段階で納品行にします。
注文の段階では欠品や代替品が分からないからです。
電話で単価が話に出ない場合は、価格表から適用開始日に合った単価を引きます。
FAXや電話がいつ届いても、納品日で集計すると決めておけば、締めの前後で迷いません。

欠品や代替品で単価が変わった場合、納品額の記録はどう直せばよいですか。

納品前に分かっていれば、実際に出した品目・数量・単価で納品行を作り、元の注文内容を備考に残します。
納品後に分かった場合は、元の行を書き換えず、分かった日に差額行を追加します。
代替品の単価で請求してよいかは取引先との合意によるため、合意した内容をどの記録に残すかも決めておきます。

返品や値引きがあったとき、経理側で確認しておくことは何ですか。

差額行で記録した返品・値引きを請求書や相手へ渡す書類にどう反映させるか、返品をどの月に計上するか、日次の記録と月末の請求額を誰が突き合わせるか、の三点です。
返品や値引きの書類には消費税の扱いが関わることがあるため、記録のルールを決める前に、経理担当や税理士と方針をそろえておくと手戻りが減ります。

電子受発注へ移る前に、注文の記録で整えておくことは何ですか。

品目名と単位の書き方の統一、適用開始日つきの価格表、欠品・代替品・返品の区分と差額行のルール、そして主な取引先がどの経路で注文しているかの把握です。
これらが表計算の段階で決まっていれば、電子化の際に何をデータへ移し、どの判断を人に残すかを切り分けやすくなります。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

> プロフィールの詳細を見る

  1. 1 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(2020年)
  2. 2 出典:流通BMS協議会(GS1 Japan)「流通BMS標準仕様 基本形」(2007年、2018年Ver2.0)

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

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