◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 受注側の費用は、取引先が使う仕組みと、その仕組みを誰が契約するかで決まる。
- 中小企業共通EDIに対応したサービスを使う受注側には大きな費用はかからないとされるが、金額は示されていない。
- 自社で契約する受注システムでは、利用人数と書類件数の上限で月額が分かれる例がある。
- 効果は取引先が電子で注文を送って初めて出るため、電子化できる注文の件数だけに削減を当てはめて見積もる。
- 見積もりをもとに受けるだけ・有料導入・見送りを選び、契約前に受け口の数や並行期間を確かめる。
目次

取引先に電子受発注を求められたとき、受注側の費用は誰が決めるのか
取引先から「これからは電子受発注で注文を送りたい」と言われると、まず気になるのは自社がいくら払うのか、その手間に見合うのかでしょう。
受注側の費用は一律ではありません。
取引先がどの仕組みを使い、誰がそれを契約するかで決まります。
中小企業共通EDIに対応したサービスを使う受注側には、大きな費用はかからないとされています1。
自社で選んで契約する受注システムでは、人数や書類件数に応じた月額が生じます。
効果は取引先が電子で注文を送って初めて出ます。
そのため、電子化できる注文の件数で見積もり、受けるだけ・有料導入・見送りを選びます。
費用を決めるのは、仕組みと「誰が契約するか」
電子受発注では、発注側が作った注文を、FAXや電話ではなくデータのまま受注側へ届けます。
取引先から利用を求められた受注側にとって気になるのは、自社が何に対して払うのかでしょう。
その答えは、取引先がどの仕組みを使うのか、そしてその仕組みを契約して費用を払うのが発注側か受注側かで変わります。
同じ「電子受発注」でも、仕組みの形はいくつかあります。
取引先が自社のシステムを使い続けたまま、規格に合わせたデータを受注側へ送る形があります。
受注側が受注システムを契約し、そこへ取引先に注文を入れてもらう形もあります。
この二つでは、受注側の負担の大きさがまるで違います。
依頼を受けた直後に費用の見通しが立たないのは、相手がどちらの形を考えているのかがまだ見えていないためです。
中小企業共通EDIの場合
EDIは、企業間で注文や請求などの取引データを電子的にやり取りすることを指します。
中小企業共通EDIは、中小企業の受発注データを共通の形式でやり取りできるように定めた標準です。
中小企業庁のミラサポplusでは、受注側の企業は、中小企業共通EDI標準に対応したプロバイダーや業務アプリケーションを利用するだけで済み、大きな費用はかからないと説明されています1。
発注側は、独自に作ったシステムをそのまま使い続けられるとされています1。
受注側から見ると、取引先のシステムに合わせて自社の仕組みを作り込む必要はありません。
規格に対応したサービスを選び、そこで注文データを受け取る形です。
発注側は既存のシステムを手放さずに済み、受注側は対応サービスの利用で済みます。
このため、双方の負担が偏りにくい組み合わせといえます。
ただし、「大きな費用はかからない」という説明に金額は示されていません。
無料が保証されているわけではなく、対応するプロバイダーや業務アプリの料金は提供者ごとに決まります。
取引先から共通EDIでのやり取りを提案されたら、どの対応サービスを使う想定なのかを聞きます。
そのうえで、利用料を受注側が払うのかを、具体的なサービス名と合わせて確かめておくと、次の見積もりに進めます。
受注側が契約する仕組みでは、費用の向きが逆になる
反対に、受注側が自分で受注システムを契約し、取引先にそこから注文してもらう形もあります。
例として、ラクーンホールディングスの卸売向けBtoBクラウド受注システム「COREC(コレック)」があります。
料金ページには、受注側の卸が契約し、発注する取引先は会員登録なしで注文でき、費用もかからないと記載されています2。
この形では、費用を払うのは受注側で、発注側の負担は軽くなります。
取引先から依頼されている場面では、仕組みを決めているのは発注側です。
一方、CORECのような形は、受注側が複数の取引先からの注文を一つの受け口に集めたいときに、自社の判断で選ぶものです。
依頼された仕組みと自分で選ぶ仕組みとでは、費用を払う側も、応じるかどうかを決める事情も違ってきます。
なお、取引先側に費用がかからないという条件はCORECの料金ページに書かれた内容です。
ほかの受注システムにもそのまま当てはまるとは限りません。
最初に取引先へ確認する3点
ここまでの違いを踏まえると、依頼を受けたときに取引先へ確認することは次の3点に絞れます。
- 使う仕組みの名前と、中小企業共通EDIなどの規格に対応しているか
- 受注側に生じる費用の有無と金額、契約者が自社と取引先のどちらになるか
- 受注側に求める操作(画面で注文を確認するだけか、出荷や請求の情報も返すのか、FAXや電話と併用できる期間はあるか)
1つ目が分かれば、前に見た二つの形のどちらに近いかが見えてきます。
2つ目は、「無料」と聞いた場合でも、どこまでが無料で、どこから費用が生じるのかを確かめるためです。
3つ目は費用には表れにくいものの、受注側の作業時間を左右します。
画面で注文を見て、それを自社の販売管理に打ち直すのであれば、FAXの転記と同じ手間が残るからです。
回答は、メールなど記録に残る形でもらっておきます。
社内で費用を説明するときにも、契約前に条件を照らし合わせるときにも、そのまま使えます。
受注側にかかる費用の種類と、増える条件
月額費用と、人数・件数による差
取引先の仕組みに乗るだけで受注側の費用がほとんどかからないなら、費用の検討はそこで終わります。
考える必要があるのは、受注側が自分で受注システムを契約する場合や、取引先から示されたサービスに受注側の利用料がある場合です。
その費用がどう決まるのかを、料金を公開しているCORECの受注側(卸向け)プランを例に見てみます。
CORECの料金ページでは、無料プランは月額0円です。
利用できるのは会員登録した1名のみで、注文フォームは4種類、出荷伝票・請求書は20件までとされています2。
ビジネスプランは月額2,980円(税別)で、担当者を何名でも追加でき、注文フォームは200種類まで、伝票・請求書は無制限です2。
初期費用は0円と記載されています2。
この料金表から分かるのは、費用の分かれ目が、利用する人数と作る書類の件数にあるという点です。
たとえば、注文の確認から出荷伝票の作成まで1人で回している卸なら、件数が上限に収まる間は無料プランで足ります。
一方、受注の確認と請求書の発行を別の担当者が分けている場合は、件数が少なくても1名の枠を超えます。
その場合は有料プランが前提になります。
注意したいのは、20件という上限の数え方です。
どの期間で数えるのか、出荷伝票と請求書を合わせた数なのかによって、自社が収まるかどうかが変わります。
自社の件数と照らす前に、料金ページの注記や提供者への問い合わせで確かめておく必要があります。
また、ここで挙げた金額はCORECという一つの製品の2026年時点の掲載価格で、受注システム全体の相場を示すものではありません。
ほかのサービスでは、料金を決める要素そのものが違うこともあります。
初期設定・連携・並行運用の費用は見積もりで確認する
月額や初期費用は料金ページで分かりますが、受注側の負担はそれだけでは終わりません。
電子で注文を受け始めるまでと、受け始めてからしばらくの間には、料金表に載りにくい費用があります。
- 初期設定:商品・価格・取引先の情報の登録や、注文フォームの準備
- 既存システムとの連携:受けた注文を販売管理・在庫管理・会計へ移す部分
- 操作の習得:担当者が新しい画面に慣れるまでの時間
- 並行運用:FAXや電話で注文する取引先が残る間、二つの受け口を両方確認する手間
このうち初期設定と連携は、提供者に支払う費用として見積もりに出てくることがあります。
初期費用が0円と書かれていても、それが連携の作業まで含むとは限りません。
連携がなければ、電子で届いた注文を画面で見ながら販売管理へ打ち直すことになります。
連携の有無は、費用だけでなく作業がどれだけ減るかにも直結します。
操作の習得と並行運用は、外部に払うお金ではありません。
ただ、導入直後の数か月は、担当者の作業時間として確実に表れます。
特に並行運用は、電子に移る取引先が少ないうちほど長く続きます。
費用を比べるときは、社内の時間として別に見積もっておきます。
見積もり依頼時の確認項目
提供者に見積もりを頼むときは、月額だけでなく、次の項目をまとめて聞きます。
後から費用が増える場面を、契約前に洗い出せます。
- 月額に含まれる利用人数と書類件数、上限を超えたときの扱い
- 件数上限の数え方(数える期間、対象となる書類の種類)
- 初期設定のうち提供者が行う範囲と、その費用
- 販売管理・在庫管理・会計との連携方法と、その費用
- 取引先や注文フォームを増やしたときの追加費用
上限を超えたときの扱いを聞くのは、受注側の困り方が大きく違うからです。
もし上限に達した時点で伝票が作れなくなる仕組みなら、繁忙期に出荷の手配が滞りかねません。
翌月から自動で上のプランに切り替わる仕組みなら、作業は止まらない代わりに費用が増えます。
連携の費用は、次に見る作業時間の削減と表裏の関係にあります。
連携しないまま月額を抑えても、転記が残れば削減は小さくなります。
| プラン | 月額 | 利用人数 | 書類件数上限 |
|---|---|---|---|
| 無料プラン | 0円 | 会員登録した1名のみ | 出荷伝票・請求書20件まで |
| ビジネスプラン | 2,980円(税別) | 担当者を何名でも追加できる | 出荷伝票・請求書は無制限 |
受注側の作業はどこまで減るのか、減りにくい条件は何か
実証プロジェクトで確認された削減効果
費用の見通しが立っても、それに見合う効果があるかどうかが分からなければ判断できません。
公的な資料で確認できる効果の数字として、中小企業庁が紹介している受発注情報の電子データ連携の実証プロジェクトがあります。
平成28年度補正の事業で、自動車、水インフラ、農林水産、輸出、卸・小売、サービスの6業界・5地域で、12のプロジェクトが行われました1。
その結果、中小企業の受発注業務時間は平均で51.4%削減されたと報告されています1。
この数字を自社に当てはめるときは、何の平均なのかを押さえておく必要があります。
51.4%は、企業間で受発注データを連携させた12のプロジェクトでの、中小企業の受発注業務時間の平均です。
受注側が単独で導入した効果でも、受注入力や問い合わせ対応といった作業ごとの削減率でもありません。
平均値であって、自社で同じ割合が出ることを示すものではありません。
では、受注側では具体的に何が減るのか。
FAXで注文を受けている場合、受注担当者は用紙の品番や数量を読み取り、販売管理の画面へ打ち込みます。
手書きの数字が読みにくければ取引先へ電話で確かめ、打ち込んだ後に用紙と画面を見比べることもあるでしょう。
注文がデータで届き、それをそのまま社内のシステムへ取り込めれば、この読み取り・打ち込み・見比べの手間が小さくなります。
一方で、在庫を確認して納期を答える、急ぎや特殊な注文に個別に対応するといった判断は、データで届いても残ります。
取引先が導入しないと効果が出にくい理由
同じ資料は、EDIは1社だけが導入しても効果を得られず、取引先企業の状況や環境を考慮して検討する必要があると述べています1。
受注側にとってこれは、自社がどれだけ整えても、取引先が電子で注文を送ってこなければ作業は減らないということです。
たとえば、注文をくれる取引先が10社あり、電子受発注を求めてきたのがそのうち1社だけだとします。
その1社の注文はデータで届くようになっても、残りの9社からは従来どおりFAXや電話で注文が届きます。
受注担当者は電子の受け口とFAXの両方を毎日確認し、どちらから来た注文も同じ販売管理へ入れることになります。
依頼してきた1社の注文が全体のごく一部なら、受け口が一つ増えた分の確認の手間が、転記が減った分を打ち消すこともあり得ます。
反対に、依頼してきた取引先が注文件数の大半を占めているなら、1社だけでも効果は大きくなります。
効果の大きさは、取引先の数よりも、電子で届く注文が全体の何割になるかで決まると考えると、見積もりにつなげやすくなります。
もう一つの条件は、電子で受けた注文を社内のシステムへ移す部分です。
ここが手作業のままなら、届く形がFAXから画面に変わるだけで、打ち込みは残ります。
見積もりで連携の費用を聞いておく理由はここにあります。
受注側の費用対効果を自社の数字で見積もる
必要な入力項目
費用は利用人数・書類件数と、連携などの見積もりで決まります。
効果は、電子で届く注文の割合で決まります。
この二つを自社の数字で並べると、受けるだけで十分なのか、有料で導入する価値があるのかを比べられます。
用意する数字は次の4つです。
- 電子で受けられる取引先の数と、その取引先からの注文件数が全体に占める割合
- 1件あたりの受注入力・転記・確認にかかる時間
- 受注を担当する人数と、その時間単価
- 月額費用と、初期設定・連携の見積もり額
1つ目は、取引先別の月間注文件数を出し、電子受発注に応じる取引先の件数を足し合わせて求めます。
計算は二通り出しておきます。
依頼してきた取引先だけの場合と、自社から頼めば応じてくれそうな取引先まで含めた場合です。
後者は、有料導入を考えるときの材料になります。
2つ目は、感覚ではなく、数日分の注文で実際にかかった時間を記録して求めるのが確実です。
FAXを受け取ってから販売管理への入力を終え、内容を見直すまでを1件として測ります。
読みにくい注文の問い合わせにかかった時間も含めます。
3つ目の時間単価には、給与だけでなく社会保険料なども含めた人件費を、働いた時間で割った値を使います。
こうすると、削減できる時間を金額に置き換えられます。
4つ目は、見積もり依頼で聞いた項目への回答から埋めます。
人数や件数の上限でプランが分かれている場合は、先に自社が無料プランの上限に収まるかどうかを見ます。
CORECの例なら、利用者1名・出荷伝票と請求書20件の範囲です2。
収まるなら月額は0円として比べられ、収まらないなら有料プランの月額を使います。
電子化できる注文だけに削減を当てはめる
数字がそろったら、次の順で比べます。
- 全体の月間注文件数に、電子で届く注文の割合を掛けて、電子化できる件数を出す
- 電子化できる件数に、1件あたりの処理時間を掛けて、削減の対象になる時間を出す
- 対象時間のうち、データで届くことでなくなる作業(読み取り・打ち込み・見比べ)の時間だけを削減見込みとする
- 削減見込みの時間に時間単価を掛けて、月あたりの金額にする
- 月額費用に、初期設定・連携の費用を使う予定の月数で割った額を足し、手順4の金額と比べる
大事なのは、削減の割合を全体の注文に掛けないことです。
51.4%という実証の平均を全件の処理時間に掛けると、FAXで届き続ける注文の分まで減る計算になり、効果を大きく見積もってしまいます。
この数字は、企業間でデータ連携した実証プロジェクトでの平均として参考にとどめます。
自社の見込みは、電子化できる件数と、そこでなくなる作業から積み上げるほうが実態に近づきます。
手順3で作業を分けるのは、データで届いても残る作業があるからです。
在庫の確認や納期の回答、内容に疑問のある注文の問い合わせは、届く形が変わっても受注側の仕事として残ります。
社内システムとの連携がない場合は、打ち込みの時間も残るため、削減見込みはさらに小さくなります。
連携の見積もり額と、連携することで消える打ち込みの時間を並べれば、連携に費用をかけるべきかどうかも同じ計算で判断できます。
金額に置き換えにくい変化もあります。
読み間違いによる出荷の手戻りや、取引先からの「注文は届いているか」という問い合わせへの対応などです。
これらは計算に無理に入れず、別に書き出しておきます。
計算結果が損益の分かれ目に近いとき、判断の決め手として使えます。
条件別に決める:受けるだけ・有料導入・見送り、導入前の確認事項
受けるだけで済ませる条件
見積もりの結果を、どの選択肢を取るかにつなげます。
ここで示す分かれ目は、資料が定めた基準ではありません。
ここまでの費用と効果の考え方から導いた目安です。
受けるだけで済ませるのは、電子受発注を求めてきた取引先が1〜2社で、受注側が無料か、ごく小さな負担で使える場合です。
取引先が中小企業共通EDIに対応したサービスを使うなら、受注側の負担は大きくないとされています1。
自社で契約する仕組みでも、無料プランの上限に収まるなら月額はかかりません。
この段階では大がかりな連携は考えず、まず受けてみて、電子で届いた注文の処理に1件あたりどれだけかかったかを測ります。
FAXの場合と電子の場合の処理時間を比べられるようになり、有料導入を考えるときの根拠が自社の実測になります。
有料導入を検討する条件
有料の導入を検討するのは、電子で受ける取引先が複数に増え、件数や担当者数が無料枠を超える場合です。
CORECの例で言えば、受注を2人以上で扱うようになった時点や、伝票・請求書が20件の上限を超えるようになった時点が分かれ目です2。
もう一つは、受注側から取引先に電子での発注をお願いしたい場合です。
取引先が会員登録なしで費用もかからずに注文できる仕組みなら、取引先の負担が小さく、依頼しやすくなります2。
電子で届く注文の割合が上がれば、削減の対象になる件数も増えます。
有料導入では、連携の費用をかけるかどうかも同時に決めます。
電子で届く件数が多いほど、打ち込みが残ったときの手間も大きくなります。
連携の見積もりと、それで消える打ち込みの時間を比べておく意味が増します。
見送る条件
電子で注文を送ってくる取引先が少なく、その注文が全体のわずかで、しかも既存の販売管理と連携できない場合は、見送るのも合理的な選択です。
受け口が増える分の確認の手間が、転記が減る分を上回るおそれがあるからです。
見積もりで、月額と初期設定・連携の費用が削減見込みの金額を上回る場合も同じです。
ただ、依頼してきたのが主要な取引先で、応じないことが取引に影響しそうな場合は、費用対効果だけでは決められません。
その場合は、すぐに断るのではなく、相談する余地があります。
受注側の費用負担がない形を選べないか、FAXや電話と並行して受けられる期間を設けられないか、といった点です。
見積もりの結果は、こうした相談で自社の事情を具体的に伝える材料にもなります。
契約前のチェックリスト
どの選択肢を取る場合でも、契約や利用開始の前に次の点を確かめておきます。
始めてから想定外の負担に気づく事態を減らせます。
- 受注側の費用と契約者:最初に取引先へ確認した内容が、利用規約や見積書の記載と一致しているか
- 無料枠の上限:利用人数と書類件数の上限、その数え方が、自社の件数に収まるか
- 受け口の数:ほかの取引先からも別の仕組みを求められた場合に、取引先ごとに別の画面やサービスを使うことになるか
- 並行期間:FAX・電話での受注をいつまで続けるか、同じ注文が両方から届いたときにどちらを正とするか
- 社内への取り込み:受けた注文を販売管理・会計へ移す方法と、その作業を誰が担うか
- やめるとき:解約や別の仕組みへの切り替え時に、過去の注文データを取り出せるか
このうち受け口の数は、見落とすと後から負担が増えやすい点です。
取引先ごとに使う仕組みが違えば、毎日確認する画面がその分だけ増えます。
1社目の依頼に応じる時点では問題にならなくても、2社目、3社目から別の仕組みを求められたときにどう扱うかを考えておきます。
そうすれば、受けるだけで続けるか、自社で一つの受け口を持つかの判断が早くなります。
取引先ごとの注文件数や受注の手段を並べ、どこまで電子で受けられるかを見極める作業は、社内だけでは前提をそろえにくい部分です。
自社の受注の流れと件数をもとに、取引先の仕組みで受けるだけで足りるのか、自社で受け口を持つほうがよいのかを整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 受注側の費用 | 取引先が使う仕組みと、その仕組みを誰が契約するかで決まる |
| 共通EDI対応の場合 | 受注側は対応サービスを使うだけで大きな費用はかからないとされる(金額の記載なし) |
| 自社で契約する場合 | 利用人数と書類件数の上限でプランが分かれる例がある |
| 効果の見積もり | 電子で届く注文の件数だけに、なくなる作業の時間を当てはめる |
| 選択の目安 | 負担が小さく依頼が少数なら受けるだけ、取引先・件数が増えれば有料導入、電子化できる注文が少なく連携もできなければ見送り |
契約前の確認項目は、提供者の見積もりや利用規約と、自社の運用を突き合わせて初めて判断できます。 見積もりの内容と自社の受注件数・担当者数を照らし合わせ、無料枠に収まるか、連携の費用をかけるべきかを確かめられます。
よくある質問
取引先に電子受発注の利用を求められたとき、断ってもよいのですか。
取引先との関係や契約の内容によるため、一律には言えません。
まず使う仕組み、受注側の費用、求められる操作を聞き、見積もりで費用と効果を比べます。
負担が見合わない場合は、受注側の費用がかからない形にできないか、FAXや電話と並行して受ける期間を設けられないかを相談する方法があります。
主要な取引先であれば、費用対効果だけでなく取引への影響も含めて判断します。
受注側が無料で使える電子受発注には、どんな制限がありますか。
制限の内容はサービスごとに違います。
例として、CORECの受注側向け無料プランは月額0円ですが、利用は会員登録した1名のみ、注文フォームは4種類、出荷伝票・請求書は20件までです2。
中小企業共通EDIに対応したサービスでは受注側に大きな費用はかからないとされていますが、金額は示されていません1。
個々のサービスの料金を確かめる必要があります。
取引先が1〜2社でも、有料の受注システムを入れる意味はありますか。
1〜2社でも、その取引先からの注文が全体の多くを占めるなら、効果が出る余地はあります。
反対に、注文の一部にとどまるなら、まずは無料の仕組みや取引先の仕組みで受けるだけにします。
処理時間を測ってから判断するほうが無理がありません。
自社から他の取引先にも電子での発注を頼める見込みがあるかどうかも、判断を分けます。
FAXや電話での受注と並行して使い続けてもよいですか。
電子に移っていない取引先がいる間は、並行して受けることになります。
その間は二つの受け口を両方確認する手間が増えます。
並行期間の目安と、同じ注文が重複して届いたときにどちらを正とするかを、取引先と決めておくと混乱を減らせます。
電子受発注の導入に補助金は使えますか。
受注側の導入費が補助の対象になるかは、その時点の公募の要件によって決まります。
制度名や対象経費、申請できる事業者の条件は公募ごとに変わります。
検討している時点で、中小企業庁などが公表する最新の公募要領を確認し、受発注システムの利用料や設定費が対象経費に含まれるかを確かめてください。
- 1 出典:中小企業庁「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!(ミラサポplus)」(2020年公開・2026年更新)
- 2 出典:ラクーンホールディングス株式会社「COREC(コレック)卸売向けBtoBクラウド受注システム 料金ページ」(2026年)