◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 通話録音・モニタリング・ささやき機能を活用した健康食品通販の1社では、クレームが月10〜20件から1〜2件程度まで減っている。ただし誤配に限った件数ではなく、月間の受注件数も示されていないため、削減率として自社に当てはめることはできない。
- 事例から取り出せるのは数字ではなく仕組みで、応対した本人以外も通話の中身を確かめられる状態にすると、聞き取り・入力・出荷のどこでズレたかを切り分けられるようになる。
- 効果を判断するには、対策前から同じ定義でクレームを数え、内容の分類と原因の切り分け、同じ月の受注件数を並べて記録する。比べる相手は他社ではなく自社の対策前の数字。
- 復唱とシステム連携は働く時点が違い、効果を数値で裏づける資料はこの記事では示していない。連携で減るのは転記のほうで、聞き取りから入力までは人の作業として残る。
- 事業者間の食品受注では、FAX・電話をやめると取引に支障が出ると想定する回答が58.8%だった。受注経路を減らす前に、いま受けている通話を確かめられる状態にするほうが現実的な場合がある。
目次

電話受注のクレーム・誤配で今困っていること/導入前に不安なこと
「注文と違う商品が届いた」「2個頼んだのに1個しか入っていない」。
電話で受けた注文が、数日後に誤配のクレームとして戻ってくる。
そのとき本当に困るのは再送の手間よりも、どこで食い違ったのかが分からないことです。
お客様の記憶と担当者の記憶しか手がかりがなければ、原因を特定できないまま謝って終わり、翌月も同じことが起きます。
ここで変えられるのは、通話の中身を後から確かめられる状態にすることです。
健康食品の通販では、通話録音などで応対を見えるようにしたあと、月に10〜20件あったクレームが1〜2件程度まで減った事例があります1。
ただしこれは1社の数字です。
自社の件数をどう測り、電話受注を無理にやめずに運用をどう直すかを、事例と実態の両面から見ていきます。
既に電話受注を運用していて誤配・クレームに悩んでいる場合
誤配のクレームが入ったあとの社内を思い浮かべてください。
お客様は「3個と伝えた」とおっしゃり、応対した担当者は「2個と聞いて入力した」と言います。
受注伝票を見ると2個、出荷実績も2個で、倉庫の作業に間違いはありません。
つまり食い違いは通話の中で起きているのですが、その通話はもう残っていないので、どちらの記憶が正しいかを確かめる手立てがありません。
この状態が続くと、改善の話がどうしても「誰の不注意だったか」に寄ります。
注意喚起で終わり、手順そのものは変わらないまま、翌月も同じ種類のクレームが出ます。
件数を記録していなければ、増えているのか減っているのかも分かりません。
対策を打ったつもりでも、効いたかどうかを判断できない状態が続きます。
逆に、通話の中身を後から確かめられるようになると、同じクレームの見え方が変わります。
聞き取りの段階でズレたのか、聞き取りは合っていて入力でズレたのか、入力も合っていて出荷でズレたのか。
この切り分けができれば、手当てする場所が決まります。
誤配を減らす話が、犯人探しではなく、どの工程に確認を足すかという話に移ります。
これから電話受注を導入する場合の不安
これから電話受注を始める側の不安は、少し形が違います。
「電話で受ければ聞き違いが増えて、誤配も増えるのではないか」という懸念です。
口頭のやり取りは形が残らず、注文フォームのように入力内容をお客様自身に見てもらう機会もありません。
ここは事実として認めたうえで考える必要があります。
ただし、リスクの大きさは電話を使うかどうかだけで決まるわけではありません。
同じ電話受注でも、通話を後から聞ける場合と聞けない場合では、誤配が起きたときにできることが違います。
前者は原因をたどって手順を直せますが、後者は謝罪と再送で終わり、次に同じことが起きても同じ結論に戻ります。
導入前に見ておきたいのは「電話を入れるかどうか」よりも、通話の記録が残るのか、受け取った内容を誰がどの画面に入力するのかという導線のほうです。
もう一つ、受注の入り口が増えること自体の負担もあります。
Webの注文に電話が加わると、その日の出荷分が二か所に分かれ、どちらも見ないと確定しません。
この集約の手間は誤配とは別の問題ですが、忙しさが増えれば確認は薄くなり、間違いの入り込む余地は広がります。
電話受注を検討する段階で、受けた注文が出荷までどう流れるかを一度書き出しておくと、後から効いてきます。
通話を可視化してクレームを減らした事例(フィブロ製薬)
導入前の状況(月10〜20件のクレーム)
手がかりになるのは、健康食品の通販を手がけるフィブロ製薬の事例です。
同社は医薬品・化粧品・医薬部外品・特定保健用食品・健康食品の製造販売を行い、赤坂ロハスというブランドで食物繊維の健康食品などを販売しています1。
消費者からの電話を受けるコールセンターを運営しており、注文も相談もこの窓口に集まります。
導入前、クレームは月に10件から20件程度ありました1。
これは2018年の導入前後の数字として示され、2020年に公開された事例です。
週に直せば数件の計算になり、応対する側からすれば毎週どこかで謝っている状態に近い水準です。
ここで読み違えたくないのは、この件数が誤配だけの数ではないことです。
示されているのはクレーム全般の件数で、誤配に限った内訳は書かれていません1。
通販の窓口には、注文以外にも商品の相談、届いていないという連絡、解約の申し出などが入ります。
また月間の受注件数が示されていないため、受注に対する発生率として他社と比べることもできません。
通話録音・モニタリング・ささやき機能導入後(月1〜2件)
同社は通話録音機能・モニタリング機能・ささやき機能を備えた仕組みを導入し、音声を事前に確認できるようにしました1。
導入後、クレームは月に1〜2件程度まで減っています1。
それぞれを一言でいえば、通話録音は音声を保存して後から再生できるようにするもの、モニタリングは管理者が進行中の通話を聞けるもの、ささやきはお客様に聞こえない形でオペレーターへ助言を伝えるものです。
三つに共通するのは、通話が応対した担当者一人の中だけで完結しなくなる点です。
これまで本人の記憶にしかなかったやり取りが、聞き直せる形と、その場で第三者が入れる形の両方で外に出ます。
数字の受け取り方には注意が要ります。
原典はこれらの機能を活用したことと件数が減ったことを並べて示していますが、同じ期間に他へどんな手を入れたかまでは書かれていません1。
ですから「録音を入れれば十分の一になる」という読み方はできません。
言えるのは、通話を可視化する仕組みを入れた1社で、この幅の変化が起きたということです。
クレームが減った理由
では、なぜ減ったのか。
原典で語られているのは、音声を事前に確認することで、お客さまに寄り添う会話ができるようになったという点です1。
応対を始める前に、その人との過去のやり取りを聞ける状態になった、ということです。
これが効く場面は想像がつきます。
二回目以降の電話で、前回どう説明したかが分かっていれば、同じ話を繰り返させずに済みます。
前回の約束と食い違うことを言ってしまう事故も避けられます。
誤配の場面に限れば、何を何個とおっしゃったかを音声に戻って確かめられるので、推測ではなく記録で原因を指し示せます。
ただし、録音があっても誰も聞かなければ何も変わりません。
クレームが出たときだけ聞くのか、毎日何件かを抜き取って聞くのか、それを誰が担うのか。
ここを決めていないと、機能は契約しているのに使われていない状態になります。
事例から取り出せるのは「録音という機能」ではなく、通話の中身を応対した本人以外も確かめられる運用のほうだと考えられます。
| 時点 | 月間のクレーム件数 | その時期の状況 |
|---|---|---|
| 導入前(2018年) | 10〜20件程度 | 通話録音・モニタリングを導入する前 |
| 導入後(2018年) | 1〜2件程度 | 通話録音・モニタリング・ささやき機能を活用 |
効果をどう自社に当てはめるか(過大な期待をしないための注意)
1社事例である点の注意
10〜20件が1〜2件という変化は、そのまま自社の目標値にしたくなる数字です。
ただ、この数字は特定の条件のもとで出たもので、条件が揃わなければ同じ幅にはなりません。
自社の見込みとして置く前に、次の点を確認しておくと読み違いを避けられます。
・健康食品の通販を手がける1社の実績であること
・消費者からの電話を受けるコールセンターでの運用であること
・何をクレームとして記録するかはその会社の基準であり、会社ごとに違うこと
・月間の受注件数が示されていないため、率としての比較はできないこと
特に効いてくるのがクレームの定義です。
出荷後にかかってきた不満の電話をすべて数えている会社と、返品や再送に至ったものだけを数えている会社では、同じ運用をしていても件数が何倍も変わります。
他社の件数と自社の件数を並べても、比べているものが違うので判断材料になりません。
比べる相手は他社ではなく、自社の対策前の数字です。
対策前後でクレーム件数を計測する手順
そこで先にやることは、対策の検討ではなく数え方を決めることになります。
記録しておきたいのは、日付、受けた経路(電話・Web・FAXなど)、内容の分類(商品違い・数量違い・宛先違い・その他)、気づいた時点(出荷前か出荷後か)、原因の切り分け(聞き取り・入力・出荷・不明)です。
最初は「不明」ばかりになりますが、それで構いません。
通話を確かめられるようにしたあとで不明の割合が下がっていくこと自体が、可視化が働いている手応えになります。
期間の取り方も決めておきます。
対策を入れる前に、同じ定義で少なくとも1か月分は数えておきたいところです。
受注には繁忙期があり月によって件数が動くので、前年の同じ月と並べられるならそのほうが判断しやすくなります。
件数だけを見ていると、受注が増えたから増えたのか、発生しやすさが変わったのかを区別できないため、受注件数を隣に置いて記録します。
この手順は、事例で確かめられた性質、つまり通話が残ることで応対した本人以外も中身を確認できるようになる、という点をもとにした進め方です。
これをやれば必ず件数が減る、と示すものではありません。
意味があるのは、減らなかったときに何が減っていないのかが分かることです。
聞き取りの食い違いは減ったのに宛先の誤りが残っているなら、次に手を入れる場所は通話ではなく住所の確認手順のほうだと分かります。
今回確認できなかった他の対策(復唱ルール・システム連携)
電話受注の誤配対策としてよく挙がるものに、復唱の徹底と受注システムとの連携があります。
この記事では、どちらについても効果を数値で裏づける資料を示していません。
ですから「復唱を徹底すれば何件減る」「システムを繋げば誤配が何割減る」とは書けません。
書けるのは、それぞれがどの時点で働く仕組みなのかという性質のほうです。
復唱は、商品名・数量・お届け先・氏名を読み上げてお客様に確認してもらう方法で、食い違いをその場で見つけにいきます。
録音は、通話が終わったあとで食い違いを見つける方法です。
働く時点が違うので、どちらかを入れればもう一方が要らなくなるという関係にはありません。
復唱をしていても、読み上げた文言自体が取り違えていれば通ってしまい、そこに気づけるのは記録が残っている場合です。
受注システムとの連携についても、区別しておきたいことがあります。
電話で受けた注文は、誰かが聞き取って画面に打ち込むところまでは人の作業として残ります。
連携で減るのは、受注画面に入った情報を出荷側や基幹側へ打ち直す転記のほうです。
耳から画面への入力は減らないので、システムを繋げば聞き違いがなくなる、とはなりません。
残る確認は、入力した内容がお客様の意図と合っているかどうかで、これは通話の側でしか確かめられません。
| 対策 | どの時点で働くか | この記事で示した根拠 |
|---|---|---|
| 通話録音・モニタリング・ささやき | 通話中と通話のあと | 1社の事例で導入前後のクレーム件数の変化が示されている |
| 復唱による確認 | 通話のその場 | 効果を数値で裏づける資料は示していない |
| 受注システムとの連携 | 入力したあとの転記 | 効果を数値で裏づける資料は示していない |
電話・FAX受注をやめられない事業者の実態(B2B食品卸・小売の場合)
廃止すると支障が出ると答えた担当者が約6割
ここまでの話に対して、「電話をやめてWebに一本化すればいい」という考え方もあります。
受け口を一つにすれば、聞き取りという工程そのものが無くなるからです。
ただ、受注の入り口を決めているのは自社だけではありません。
食品の小売・卸売業で、FAX・Eメール・電話により受注している担当者に聞いた調査があります。
FAX・電話による受注業務をやめた場合に取引に支障が出ると想定するかという問いに、58.8%が「はい」と答えました(n=80、2023年3月)2。
受注の方法を変えることが、そのまま取引条件の変更として受け止められる場面が、半数を超えているということです。
この調査の対象は事業者間の受注で、しかも食品の小売・卸売業に限られます。
前半で見たフィブロ製薬の事例は消費者向けの通販で、相手も注文の中身も違います1。
ですから、この58.8%を通販の誤配率や削減率と結びつけて足し合わせることはできません。
読み取れるのは、電話やFAXでの受注をやめる判断には相手の事情がついてくる、という一点です。
自社が通販でも、定期購入のお客様や電話でしか注文されないお客様の割合が高ければ、事情は似た形になります。
受け口を閉じても、その注文が別の経路に移るとは限らず、そのまま失注になることもあります。
だとすれば、現実的な問いは「電話をやめるか」ではなく、「電話で受けた内容をどうすれば確かめられる形にできるか」に寄っていきます。
属人化・手入力の負担が高い実態
同じ調査では、受注業務の課題も聞いています。
オペレーションの属人化が発生していると答えたのが38.9%、注文書の手入力に手間がかかると答えたのが60%です(いずれもn=90、2023年3月)2。
ここでも条件の確認が要ります。
この調査の主眼は業務効率化で、誤配や聞き違い、入力ミスによるクレームを直接測った設問はありません2。
ですから「属人化が進んでいる会社ほど誤配が多い」という関係を、この数字から言うことはできません。
手入力に手間がかかることと、手入力で間違えやすいことも同じではありません。
そのうえで、前半の話とつながる点が一つあります。
属人化とは、その人しか手順を知らない状態のことです。
通話を記録して応対した本人以外も中身を確かめられるようにすることは、手順を人の中から外に出す方向に働きます。
これは調査が測った結果ではなく、二つの材料を並べたときに見える筋道ですが、電話受注を残すと決めた場合にどこから手を付けるかの手がかりにはなります。
電話やFAXでの受注をやめられない事業者が一定数いるという実態と、通話を可視化した1社でクレームが減ったという事例。
この二つを並べると、当面の打ち手として現実的なのは、受注経路を減らすことよりも、いま受けている通話を確かめられる状態にすることだと分かります。
経路を絞る検討はその先でもでき、そのときには自社で数えた件数が判断材料になります。
電話を残すと決めた場合、次に決めるのは誰がいつ通話を聞き、何をクレームとして数えるかです。
| 設問の内容 | 回答した割合 | 回答者 |
|---|---|---|
| FAX・電話による受注業務をやめると取引に支障が出ると想定する | 58.8% | FAX・電話で受注する担当者(n=80) |
| オペレーションの属人化が発生している | 38.9% | FAX・Eメール・電話で受注する担当者(n=90) |
| 注文書の手入力に手間がかかる | 60% | FAX・Eメール・電話で受注する担当者(n=90) |
通話を残す仕組みを入れるかどうかより先に、自社のどの工程で食い違いが起きているのかを切り分けるところで手が止まりやすいためです。
受注から出荷までの流れと、いま記録している内容をお伝えいただければ、どこに確認を足せば原因をたどれるようになるか、クレームの数え方の決め方と合わせて整理できます。無料相談で要件を整理する
事例で確認できた対策要素(録音・モニタリング・ささやき)
通話のどの時点に働く仕組みかという軸で並べ、フィブロ製薬の事例で実際に活用されたものだけを挙げています。
- 通話録音:通話の音声を残し、後から再生できるようにする。誤配の連絡を受けたときに、聞き取りの時点でズレたのか、入力でズレたのかを音声で確かめられる。自社で決めるのは、保存する期間と、誰がどの範囲を聞けるようにするか。
- モニタリング:管理者が進行中の通話を聞けるようにする。通話が終わってからではなく、応対中に状況を把握できるため、新人の立ち上がりや繁忙期の応対のばらつきを早く見つけられる。自社で決めるのは、聞く担当と、どの時間帯を対象にするか。
- ささやき機能:お客様に聞こえない形でオペレーターへ助言を伝える。判断に迷う注文や込み入った問い合わせを、保留にせずその場で処理できる。自社で決めるのは、どんな場面で管理者が入るかの線引き。
後から原因をたどれるようにしたいのか、通話のその場で応対を助けたいのかによって、先に整える箇所が変わります。
要点の整理
| 確かめること | 記事で示した基準 |
|---|---|
| 事例の数字の扱い | 健康食品通販1社の実績。クレームは応対全般を含み、月間の受注件数は示されていない |
| 比べる相手 | 他社の件数ではなく、同じ定義で数えた自社の対策前の件数 |
| 記録する項目 | 日付・経路・内容の分類・気づいた時点・原因の切り分け、それに同じ月の受注件数 |
| 復唱とシステム連携 | 働く時点が違う。効果を数値で裏づける資料はこの記事では示していない |
| 電話受注をやめる判断 | 事業者間の食品受注では、やめると取引に支障が出ると想定する回答が58.8%(n=80、2023年3月) |
電話を残すか経路を絞るかは、注文の入り方と取引先やお客様の事情で答えが変わり、他社の削減率では決められないためです。 現在の受注経路ごとの件数と、クレームの内容の分け方を見ながら、対策前後で比べられる記録の形と、先に手を入れる工程の候補を一緒に確認できます。
よくある質問
フィブロ製薬の削減幅(月10〜20件から1〜2件)は、他業種でも同じように再現できますか。
同じ幅を前提にすることはできません。
健康食品通販の1社が、消費者向けコールセンターで通話録音・モニタリング・ささやき機能を活用したときの実績で、クレームは誤配に限らず応対全般を含みます1。
月間の受注件数が示されていないため、受注に対する発生率として比べることもできません。
取り出せるのは数字ではなく仕組みの部分、つまり応対した本人以外も通話の中身を確かめられるようにすると、聞き取り・入力・出荷のどこでズレたかを切り分けられるという点です。
自社では対策前の件数を同じ定義で数え、前後で比べるほうが判断材料になります。
クレームを可視化するために、まず何を記録すればよいですか。
日付、受けた経路、内容の分類(商品違い・数量違い・宛先違い・その他)、気づいた時点(出荷前か出荷後か)、原因の切り分け(聞き取り・入力・出荷・不明)を一行に並べるところからで足ります。
加えて同じ月の受注件数を隣に置くと、受注が増えたから増えたのか、発生しやすさが変わったのかを区別できます。
最初は原因が「不明」ばかりになりますが、その割合が下がること自体が、通話を確かめられるようになった効果の表れになります。
項目を増やしすぎると記録が続かないので、途中で定義を変えないことのほうが優先です。
電話受注をやめてWeb受注に一本化すれば、誤配やクレームはなくなりますか。
聞き取りという工程は無くなりますが、受け口を閉じられるかどうかは相手の事情にもよります。
食品の小売・卸売業でFAX・Eメール・電話により受注している担当者では、FAX・電話での受注をやめると取引に支障が出ると想定する回答が58.8%でした(n=80、2023年3月)2。
これは事業者間の受注についての調査で、消費者向け通販の数字ではありませんが、注文の方法が取引の条件と結びついている場面があることは読み取れます。
通販でも、電話でしか注文されないお客様がいれば、閉じた分がそのまま別経路に移るとは限りません。
食品卸・小売のようなB2Bの電話受注でも、この事例の対策は当てはまりますか。
仕組みの部分は共通しますが、数字はそのまま持ち込めません。
フィブロ製薬の事例は消費者向けの通販で、事業者間の受注とは注文の中身も相手も異なります1。
一方で、通話が応対した本人の記憶にしか残らないという状態は経路が同じなら変わらず、後から確かめられるようにすれば原因を切り分けられる点も同じです。
なお事業者間の受注では、属人化が発生しているという回答が38.9%、注文書の手入力に手間がかかるという回答が60%でした(いずれもn=90、2023年3月)2。
ただしこの調査は業務効率化を聞いたもので、誤配やクレームを測った設問ではないため、誤配の多さの根拠にはできません。
通話を確かめられるようにしたのにクレームが減らないとき、次はどこを見ればよいですか。
件数の合計ではなく、内容の分類と原因の切り分けを見ます。
聞き取り由来の食い違いは減っていて、宛先の誤りや出荷側の取り違えが残っているなら、次に手を入れる場所は通話ではありません。
原因が「不明」のままの割合が高いなら、通話を聞く運用のほうが回っていない可能性があります。
誰がいつ、何件を聞くのかが決まっていないと、記録は残っていても使われないままになります。