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インターネットEDIへの移行手順|中小企業がまず棚卸すべき項目と規格の見極め方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

インターネット接続に使うLANケーブルのコネクター
▽ 写真の出典元

取引先からの移行要請・ISDN終了で何が変わったか

取引先から「来期からはインターネット経由の接続に切り替えてほしい」と言われた。
あるいは回線が使えなくなるらしいと聞いたものの、自社のEDIがそれに当たるのかが分からない。
そんな状態のまま日が過ぎているなら、いま手をつけられるのは、取引先ごとに「どうつないでいて、何のデータを、誰とやり取りしているか」を自社の手元で一覧にすることです。
EDIのデータ送受信に使われてきたISDNの「ディジタル通信モード」は、すでに2024年1月に全国で提供を終えています3。
残された時間は長くありません。
棚卸で相手ごとの状況をそろえ、取引先が指定する規格を見極め、影響の大きい相手からテスト運用を経て切り替える。
この順番が、取引を止めずに移行しきるための現実的な道筋になります。

ディジタル通信モードは2024年1月に全国終了済み

取引先からの連絡と、回線が終わるという話が前後して耳に入ると、どちらが自社に効いてくるのかが見えにくくなります。
先に押さえておきたいのは、EDIのデータ送受信に使われてきたISDNの「ディジタル通信モード」が、すでに提供を終えているという点です。
2024年1月に山形県・鳥取県を皮切りに地域ごとに段階的に終了し、同年1月末までに全都道府県で終了しました3。
つまり、これから期限が来る話ではなく、EDIのデータ通信という一点については期限がすでに過ぎています。

「それなら、いまも動いている自社の受発注データは何なのか」と思われたかもしれません。
終了にあたっては、移行が間に合わない加入者向けにメタルIP電話上でデータ通信を行う補完策が用意され、当初は2027年ごろまでの提供が検討されていました。その後のNTT東西の発表では、補完策を含めた提供終了日は2028年12月末とされています(NTT東日本の提供終了の発表)。
回線側の切り替え作業が済んでいて、気づかないうちにこの補完策で動いているという場合もあります。
ただし補完策は当面の受け皿であって、恒久的な代替として用意されたものではありません。

自社がどの状態にあるのかは、回線の契約内容と、データを送受信している機器を実際に見ないと判別できません。
EDI用の通信機器やソフトを入れたのが十年以上前で、当時の担当者がすでに社内にいないというケースも珍しくないはずです。
だからこそ、対応の要否を頭の中で判断する前に、契約と機器の現物を確認するところから始めることになります。

INSネット全体の終了(2028年)との違い

社内で「ISDNは2028年まで使えるらしい」という話が出て、急ぐ必要はないのではという空気になることがあります。
この2028年という数字は、INSネット(64・ライト・1500)というサービス全体の提供終了予定日を指しています。
新規申し込みの受付は2024年8月に終了し、サービス提供終了日は2028年12月と案内されています4。
音声利用を含めた回線サービスそのものは、この日まで残るという意味です。

混同しやすいのは、この全体の終了と、データ通信に使うモードの終了が別のスケジュールだという点です4。
回線自体は残っていても、EDIのデータをやり取りしていたモードはすでに終わっています。
「回線が生きているから大丈夫」という判断で先送りすると、実際には補完策という時限的な仕組みの上で取引を続けていることになりかねません。

ディジタル通信モード終了と補完策・回線の終了時期(模式図)
2024年のディジタル通信モード終了と、2028年末の補完策・INSネット終了を分けた図

取引先の期限は回線の期限と別に来る

もう一つ、回線の話と切り離して考えたいのが取引先からの要請です。
相手が切替を求める理由は回線の事情だけとは限らず、相手側のシステム更新や社内の標準化に合わせて期限が設定されることもあります。
そのため、回線の終了時期を調べても、自社がいつまでに何を終えればよいかの答えにはなりません。

実際に期限を決めるのは、取引先ごとの事情です。
複数の取引先とEDIでつながっているなら、相手ごとに要請の有無も、示された時期も、求められる仕様も違うと考えたほうが実態に近くなります。
この違いを紙の上で見えるようにするのが、次の棚卸です。

移行検討の前に何をどう棚卸すればよいか

なぜ「EDIを使っている」だけでは足りないのか

移行の相談が社内で止まりやすいのは、対応範囲が決まらないからです。
「うちはEDIを使っている」という認識はあっても、取引先が五社あれば五通りの接続があり、そのうち何社が今回の対象なのかは調べないと分かりません。
相手によっては、すでにインターネット経由に切り替わっていて手を入れる必要がないこともあります。

棚卸の目的は、取引先ごとに「何が決まっていて、何が未定か」を分けることにあります。
ここが分かれば、どの相手を先に動かすか、どこから見積もりを取るか、相手に何を聞けばよいかが順に決まっていきます。
逆にここを飛ばして製品や規格の比較から入ると、自社の取引に当てはまらない条件で検討を進めてしまいます。

記録は取引先ごとに分けて残してください。
一枚の表にまとめて書き込むと、どの条件がどの相手のものか後から追えなくなります。
相手が一社であっても、同じ様式で書いておけば、二社目が出てきたときにそのまま使えます。

模式図|棚卸で確認する三つの軸
接続方式・データ項目・担当窓口を分けて確認する図

取引先ごとの接続方式

最初に調べるのは、データが実際にどこを通っているかです。
回線の種類と契約の名義、データを送受信している機器やソフトの名称、その保守を誰が見ているかまでをたどります。
EDI用の装置が電話回線につながっているのか、すでにインターネット回線に移っているのかで、今回の対応の要否そのものが変わります。

あわせて探したいのが、取引先から渡された接続情報の控えです。
導入時に相手から通知された接続手順や識別子、テスト時のやり取りの記録が残っていれば、相手に問い合わせる前に現状を説明できる材料になります。
書類が見当たらない場合、その事実自体も記録しておきます。
控えがないまま担当者が代わっている接続は、切替の段取りで相手への確認回数が増える箇所になるからです。

やり取りしているデータ項目

次に、受け取っている、あるいは送っているデータに何の欄が入っているかを書き出します。
商品コード、数量、納期、納入先、単価といった項目が、自社の基幹システムや受注台帳のどの欄に対応しているかまで並べて書くのが要点です。
規格が変われば項目の持ち方や桁数の扱いが変わりうるため、この対応関係が移行後の設定作業の下敷きになります。

ここで見つかりやすいのが、人手で埋めている欄です。
たとえば相手から届いた発注データを基幹システムに取り込んだあと、相手の商品コードを自社コードに読み替えて入力し直している、納入先の略称を担当者が判断して補っている、といった作業が挟まっていることがあります。
読み替え表が誰かの手元のファイルにしかないなら、それも棚卸の対象です。
移行で接続の口が変わっても、この読み替えが自動で解決するわけではありません。

データ項目の棚卸には、もう一つの効き目があります。
相手から仕様を提示されたとき、自社のどの欄が足りないのかをその場で照合できるようになることです。
仕様書を受け取ってから中身を調べ始めると、回答に時間がかかり、相手の切替日程に間に合わせにくくなります。

社内外の担当窓口

接続と項目が分かっても、動かす人がいなければ切替は進みません。
取引先側の窓口が情報システム部門なのか購買・営業の担当者なのか、切替の期限が示されているのかを相手ごとに記録します。
同じ会社でも、日々の受発注の連絡先と、システム切替の連絡先が別であることはよくあります。

自社側も同じように、実務を回している担当者と、機器やソフトの保守を依頼している外部の相手を書き分けます。
保守契約が続いているのか、契約が切れたまま動いているのかで、切替時に頼める相手が変わります。
この欄が埋まらない取引先は、手続きの前に窓口を特定する時間を見込んでおく必要があります。

棚卸結果から、取引先ごとにどの規格へ対応すべきか

規格は自社で選べるとは限らない

棚卸表が埋まると、次に出てくるのが「結局どの方式にすればよいのか」という問いです。
ここで前提になるのは、相手が規格を指定している場合、その取引についてはそれに合わせることになるという点です。
比較して自社にとって有利な方を選べるのは、指定がなく、自社が仕組みを用意する側に立つときに限られます。

そのため、棚卸表の「取引先から示された仕様」の欄に何が書かれているかで、この先の作業が二手に分かれます。
名前が示されているなら、その規格が何を対象にした仕様なのかを確認する作業になります。
示されていないなら、相手の業種と取引の形から候補を絞り、どちらに寄せるかを相手と相談する作業になります。

模式図|規格の決め方の分岐
取引先の指定の有無で対応の進め方が分かれる図

流通BMSを指定された場合

取引先が食品や日用品といった消費財の卸・メーカーであれば、流通BMSの名前が挙がることがあります。
これは消費財流通業界向けに、やり取りする電子取引文書と、通信プロトコルやセキュリティを定めたEDIの標準仕様で、卸・メーカー間の取引を主な対象としています2。
卸・メーカーでの累計導入企業数は、2025年6月時点で21,600社以上と推計されています2。

逆にいえば、この仕様が対象としているのは消費財流通の取引であり、他の業種にそのまま当てはまるかどうかは、この資料からは確認できません。
自社の取引が消費財流通以外なのに相手から流通BMSの名前が出ているなら、相手のどの取引を対象にした指定なのかを確認したほうが、後戻りが少なくなります。

中小企業共通EDIなど汎用規格で足りる場合

相手が特定の業界標準を指定しておらず、双方とも大規模なシステムを抱えていない場合に候補になるのが、中小企業共通EDIのような汎用の仕様です。
これは国連CEFACTの共通辞書に準拠して2018年4月に策定された受発注データ交換の標準仕様で、業種を問わない中小企業間の受発注を対象としています1。
業種で対象が区切られていないぶん、取引先の業界に業界標準が存在しない場合でも検討の土台になります。

どちらを選ぶかは優劣の問題ではなく、取引の相手と対象業種で決まります。
消費財流通の卸・メーカー間取引で相手が業界標準を運用しているなら、そこに合わせるのが自然です。
業種がばらついた取引先を少ない手間でまとめたいなら、汎用の仕様が現実的な選択肢になります。

全銀EDIシステム(ZEDI)は受発注データの移行先ではない

調べ始めると必ず出てくるのに、今回の移行先には含めないものがあります。
全銀EDIシステム(ZEDI)は、総合振込や振込入金通知、入出金取引明細といった決済データをXML形式で扱う仕組みで、給与振込・賞与振込・口座振替は適用対象外、日本国内の内国為替取引が対象です5。
扱うのは振込に関わるデータであり、注文そのもののデータではありません5。

取引銀行から案内を受けて「これもEDIだから一緒に検討すべきでは」と話が広がることがありますが、受発注データの移行先としては切り離して考えてください。
売掛金の消し込みに振込情報を活用したいという課題は、受発注の接続を切り替える作業とは別の検討として残ります。

仕組み 主な対象 受発注データの移行先
流通BMS 消費財流通業界の卸・メーカー間取引 候補になる
中小企業共通EDI 業種を問わない中小企業間の受発注 候補になる
全銀EDIシステム(ZEDI) 総合振込・入出金明細などの決済データ 対象外
模式図|受発注データと決済データの切り分け
流通BMS・中小企業共通EDIと、全銀EDIシステムの対象範囲を分けた図

棚卸から切替までの移行手順はどの順序で進めればよいか

模式図|棚卸から旧回線停止までの順序
棚卸、規格の確認、優先順位づけ、接続テスト、本番切替、旧回線停止の順に並んだ図

優先順位は取引量と相手の期限で決める

対応すべき規格の見当がついたら、次は順番です。
公的に定められた移行手順があるわけではないので、社内の事情に合わせて組み立てることになりますが、判断の材料になるのは棚卸表の内容です。
取引量が多く止まったときの影響が大きい相手、相手側から切替日が示されている相手を先に置き、補完策の上で当面つながっている相手を後ろに回す、という並べ方が扱いやすくなります。

外枠になるのは、補完策の提供が2027年ごろまでを目途とした一定期間とされていることです3。
これは恒久的な措置ではないため、後ろに回した取引先も「いつかやる」ではなく、いつの時期に着手するかまで決めて表に書き込んでおきます。

テスト運用で確認するのは接続だけではない

テストというと通信がつながるかどうかに関心が向きますが、実際に手戻りが出やすいのはデータの中身です。
棚卸で作った項目の対応表を使い、相手から届いたテストデータが自社の各欄へ想定どおり入るか、桁数や区分の値が欠けないかを突き合わせます。
読み替えが必要な項目は、移行後に誰がどの画面で処理するのかまで決めておかないと、本番初日に担当者の手が止まります。

日程の押さえ方にも注意が要ります。
テストは相手の都合と自社の都合が合う日にしか進められず、相手の担当者が複数の切替を並行して抱えていれば、こちらの希望どおりには組めません。
自社の締め日や繁忙期を外した候補日を複数用意して相談すると、やり取りの往復が減ります。

テストで問題が出たときの連絡経路も、この段階で決めておく対象です。
誰が相手のどの窓口へ連絡し、保守を依頼している外部の相手にどこまで入ってもらうのか。
棚卸の担当窓口の欄が埋まっていれば、この整理はそのまま使えます。

本番切替のタイミングと旧回線の止め方

本番切替の日は、受発注の山を外して選びます。
月初や締め日の前後に切り替えると、不具合が出たときに戻す余裕がなくなります。
切替後の最初の発注日や納品日には、いつもの担当者に加えて確認できる人を一人置いておくと、データが想定と違って届いたときにその場で判断できます。

旧回線や旧機器を止めるのは最後です。
新しい接続で数回分のやり取りが問題なく流れたことを確認してから停止するほうが、切り戻しの余地が残ります。
解約の手続きには手順と時間がかかることもあるため、停止の申し込み時期は切替日とは別に逆算しておきます。

中小企業が移行時につまずきやすい点にどう備えるか

費用は自社の立場で見え方が変わる

費用の話を調べ始めると、金額の幅が大きくて判断しにくいと感じるはずです。
ここで効いてくるのが、自社が注文を受ける側なのか、仕組みを用意する側なのかという違いです。
中小企業共通EDIについては、対応するプロバイダーや業務アプリケーションを利用する受注側の企業は、それだけで済むため大きな費用はかからないとされています1。

ただし、この記述が示しているのは中小企業共通EDIに対応した受注側企業の費用感であり、発注側の費用水準はこの資料には書かれていません1。
流通BMSなど他の規格の費用も同様に、ここから読み取ることはできません。
自社が発注側として仕組みを用意する立場なら、対象となる取引先の数と、既存システムとのつなぎ込みの範囲を示したうえで、複数の提供元から見積もりを取る前提で進めてください。

見積もりを比べるときは、初期の構築費だけでなく、毎月の利用料、取引先を追加するときの費用、テスト作業の扱いが含まれているかを同じ条件でそろえます。
棚卸表で取引先の数と項目の対応がはっきりしていれば、この条件をそろえた依頼がしやすくなります。

社内の担当者と工数をどう確保するか

中小企業で移行が止まる理由は、費用より人の手当てにあることが少なくありません。
受発注の実務を回している担当者が、そのまま切替の窓口も兼ねる形になりやすく、日々の受注処理とテストの日程が同じ人の時間を奪い合います。
テストは相手の都合に合わせて動く作業なので、担当者の予定を一定期間空けておく手当てが先に要ります。

社内で費用や時間を確保する相談をするとき、根拠として使えるのが公的な実証の結果です。
中小企業庁は2016年度に中小企業共通EDIの実証事業として12のプロジェクトを選定しており1、受発注業務にかかる時間は平均で51.4%削減されたと報告されています1。
これは実証に参加した企業の平均であり、取引の量や既存システムの状況が違えば同じ数字にはなりません。
自社では何の転記や確認がなくなるのかを、棚卸表の人手で埋めている欄に照らして説明したほうが、社内の納得は得やすくなります。

引き継ぎの準備も、この時期に同時に進めておきたいところです。
接続情報や相手の窓口、読み替え表の置き場所が一人の頭の中にあるままだと、切替後の運用でも同じ詰まり方をします。
棚卸で作った表を、移行が終わったあとの台帳としてそのまま残す前提で書いておくと、二度手間になりません。

対応を先延ばしにした場合、取引先との関係にどんな影響が生じうるか

補完策は時限的な措置である

いま取引が問題なく流れているなら、先送りしたくなるのは自然です。
ただし、ディジタル通信モードはすでに終了しており3、その後を受けている補完策は当初は2027年ごろまでの提供が検討されていました。その後のNTT東西の発表では、補完策を含めた提供終了日は2028年12月末とされています(NTT東日本の提供終了の発表)。
つまり、いまつながっていることは、この先もつながることの根拠にはなりません。

時間の余裕がなくなって困るのは、選べる日程が狭くなることです。
切替はテストの日程を相手と合わせる必要があり、自社の繁忙期と相手の都合が重なれば、動かせる週は限られます。
期限の直前になるほど、この制約の中で無理な日程を組むことになります。

期限は取引先ごとに異なる

相手から示される移行期限は個社ごとに違い、回線の終了時期と一致するとも限りません。
相手が自社の切替計画に沿って対象を順番に動かしている場合、こちらの都合で時期をずらせるかどうかは相談してみないと分かりません。
棚卸表に期限の欄を設けておくのは、この相談を早い段階で持ちかけるためでもあります。

期限に間に合わなかったときに何が起きるかは、相手の運用によって変わります。
データでのやり取りが続けられなくなれば、その取引だけ別の手段で受け渡しすることになり、注文内容を人が読んで入力する作業が戻ってくる可能性があります。
移行を機に効率化しようとしていたはずが、逆方向の手間を抱える形です。
大企業が取引先に対して一律に対応を求めている実態を示す統計は今回確認できていないため、取引がどうなるかを一般論として断じることはできませんが、相手ごとの期限を把握しないまま時間を使うことは避けられます。

ここまでは、どの取引先にも共通する進め方を見てきました。
最後に、取引先が指定する規格の性質ごとに、誰が何を用意することになるのかを確認しておきます。

棚卸表までは自社で作れても、相手が指定する仕様に自社の受注データや発注データをどう載せ替えるかは、いまの受発注の流れを一度見てからでないと判断しにくいところです。

取引先ごとの接続方式とデータ項目を持ち込んでいただければ、どの取引をどの順番で切り替えるか、切替後に社内へ残る入力や確認がどこかを一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する

棚卸チェック項目の早見表(接続方式・データ項目・担当窓口)

取引先1社ごとに、切替の可否と段取りを左右する項目でそろえた実務上の確認欄です。

  • 回線の種類と契約の名義(どの回線を通してデータを送っているか)
  • データを送受信している機器・ソフトの名称と、保守を依頼している相手
  • 取引先から渡された接続手順・接続情報の控えの所在
  • やり取りしている帳票の種類と、相手と合意している対象範囲
  • データ項目と、自社の基幹システム・受注台帳のどの欄に入るかの対応
  • 商品コード・取引先コードの読み替え表の有無と、管理している人
  • 人手で入力・確認している欄と、その作業にかかっている頻度
  • 取引先側の窓口部署・担当者と、示されている切替期限の有無
  • 自社の実務担当者と、切替作業を依頼できる外部の相手
  • 自社が注文を受ける側か出す側か(仕組みを用意する立場かどうか)

自社が注文を受ける側か出す側かで、相手に確認する欄と自社で決める欄の比重が入れ替わります。

取引先が指定する規格の性質ごとに、準備する中身はどう変わるか

型 こう指定されたとき 見極めの目安 自社が決められること
流通BMS型 消費財流通の卸・メーカーである取引先が、業界標準として名前を挙げてきた 対象は消費財流通業界の卸・メーカー間取引。卸・メーカーの累計導入企業数は2025年6月時点で21,600社以上 対応の手段(自社で用意するか、対応するサービスを使うか)と切替の日程
中小企業共通EDI型 業種を問わず、双方とも簡易な手段で受発注データを交換したい 国連CEFACTの共通辞書に準拠し2018年4月に策定。業種を問わない中小企業間の受発注が対象 受注側として相手の仕組みに乗るか、発注側として取引先に利用を相談するか

流通BMSを指定されたとき、決まっていることと自社が決めること

指定の中身は仕様であって、運用ではない

取引先が流通BMSを指定してきた場合、共通化されているのは、やり取りする電子取引文書と、通信プロトコル・セキュリティの仕様です2。
言い換えると、データの形と通信のやり方については相手と自社で議論の余地が小さく、そこに合わせることが出発点になります。
2025年6月時点で卸・メーカーの累計導入企業数は21,600社以上と推計されており2、相手側にはすでに何度も切替を経験した窓口があることも考えられます。

一方で、仕様が共通でも運用まで同じになるわけではありません。
相手がどの取引文書を対象にするのか、いつから並行運用に入り、いつ旧来の手段を止めるのかは相手の計画に沿って決まります。
棚卸表の「やり取りしている帳票の種類」の欄と、相手が対象にする範囲を突き合わせるのが最初の確認です。

自社の業種が消費財流通でないときの確認

この仕様が対象としているのは消費財流通業界の卸・メーカー間取引であり2、他の業種への適用についてはこの資料からは確認できません。
自社の取引がそこに当てはまらないのに相手から名前が挙がっているなら、どの事業部のどの取引を対象にした指定なのかを聞いておきます。
相手の社内で消費財流通向けの仕組みが先にあり、それに寄せる形で案内されている場合があるためです。

確認の結果、自社の取引がその枠に入るなら、残る作業は手段と日程の決定です。
自社で接続の仕組みを用意するのか、対応する外部のサービスを利用するのかで、費用も準備期間も変わります。
いずれの場合も、提供元に依頼するときは棚卸表の項目対応をそのまま渡せる形に整えておくと、見積もりの前提がそろいます。

業種を問わない受発注で、中小企業共通EDIをどう位置づけるか

仕様の成り立ちと、対象になる取引

中小企業共通EDIは、国連CEFACTの共通辞書に準拠して2018年4月に策定された、受発注データ交換の標準仕様です1。
業種で対象が区切られていないため、取引先の業界に業界標準が存在しない場合や、業種のばらついた取引先を同じやり方でまとめたい場合に検討の土台になります。

中小企業庁は2016年度に、この仕組みの導入効果を測る実証事業として12のプロジェクトを選定しており1、受発注業務にかかる時間は平均で51.4%削減されたと報告されています1。
この数字は実証に参加した企業の平均であり、取引件数や既存システムの状況が違えば同じにはなりません。
自社に当てはめるときは、棚卸表で見つけた人手の作業のうち、どの転記がなくなり、どの確認が残るのかで見積もるほうが実態に近づきます。

受注側と発注側で、必要になる準備が違う

費用と手間の重さは、自社が取引のどちら側に立つかで大きく変わります。
対応するプロバイダーや業務アプリケーションを利用する受注側の企業は、それだけで済むため大きな費用はかからないとされています1。
取引先から利用を案内されている受注側であれば、準備の中心は費用の工面ではなく、届いたデータを自社のどの欄へ入れるかを決める作業です。

反対に、自社が発注側として取引先にこの仕組みでのやり取りを持ちかける場合、費用の水準はこの資料には示されていません1。
取引先の数、既存システムとのつなぎ込みの範囲、テストの回数を条件として示したうえで、見積もりを取る前提で進めることになります。
また、受注側の取引先に協力を求める話でもあるため、相手にとって何が変わるのか、どの作業が減るのかを説明できる材料を用意しておくと、話が前に進みやすくなります。

模式図|受注側と発注側の準備の違い
中小企業共通EDIにおける受注側と発注側の準備の違いを分けた図

要点の整理

軸 基準
いつまでに EDIのデータ通信に使うディジタル通信モードは2024年1月に全国で終了済み。補完策はINSネット全体とともに2028年12月末に終了予定
2028年との違い 2028年12月はINSネット全体の提供終了予定日で、データ通信のモードの終了とは別のスケジュール
棚卸の単位 取引先1社ごとに、接続方式・データ項目・担当窓口を分けて記録する
規格の決め方 相手の指定が優先。消費財流通の卸・メーカー間なら流通BMS、業種を問わない受発注なら中小企業共通EDIが候補
候補から外すもの 全銀EDIシステムは決済データが対象で、受発注データの移行先ではない
進める順序 影響の大きい取引先から優先順位づけ、テストと項目の突き合わせ、並行運用、本番切替、最後に旧回線の停止
費用の見方 中小企業共通EDIでは受注側は対応プロバイダー・業務アプリの利用で済む。発注側や他規格の費用はこの資料からは分からない

見積もりを比べる段になると、初期費用と月額、取引先を追加するときの扱い、テスト作業の範囲が提供元ごとにばらばらで、同じ条件に並べ直す作業が負担になります。 棚卸で分かった取引先の数と人手で埋めている欄をもとに、依頼の条件をそろえる整理や、切替日程に無理がないかの確認を相談していただけます。

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よくある質問

インターネットEDIへの移行に、IT導入補助金など公的な支援は使えますか

使えるかどうか、また対象となる経費の範囲は、制度ごと・年度ごとの公募要領で決まります。
今回確認した資料からは、EDI移行に対する補助制度の要件まで確認できていないため、使える前提で計画を立てるのは避けてください。
実務としては、申請の有無にかかわらず取引先ごとの棚卸と見積もりの条件そろえを先に済ませておくのが確実です。
対象になる制度が見つかった場合でも、申請に必要な見積書や導入計画の材料はその棚卸表から作ることになります。

取引先ごとに違う規格を求められた場合、両方に対応する必要がありますか

相手ごとに求める仕様が異なるなら、その取引についてはそれぞれの仕様を満たす必要があります。
ただし、対応の手段まで取引先の数だけ用意しなければならないとは限らず、利用するサービスや仕組みが複数の規格に対応していれば、窓口をまとめられる場合があります。
対応範囲は提供元ごとに違うため、棚卸表に並べた取引先と指定内容の一覧を示して、どこまで一つの仕組みで扱えるかを確認してください。
まとめられない相手が残ったときは、取引量と相手の期限を見て切替の順番を決めます。

ディジタル通信モード終了後の補完策を、これから使い始めることはできますか

補完策はメタルIP電話上でデータ通信を行うもので、2027年ごろまでを目途に一定期間提供される予定とされています3。
移行が間に合わない加入者向けの当面の受け皿という位置づけであり、恒久的な代替ではありません。
いま申し込めるかどうか、どのような条件が付くかは契約中の回線の状況によって変わるため、回線の提供元へ確認してください。
利用できた場合も、その期間内に移行を終える前提で日程を組むことになります。

全銀EDIシステム(ZEDI)は、今回のインターネットEDI移行とは別に対応が必要ですか

全銀EDIシステムが扱うのは、総合振込や振込入金通知、入出金取引明細といった決済データで、給与振込・賞与振込・口座振替は適用対象外です5。
受発注データそのものは対象ではないため、取引先から求められている受発注EDIの移行とは別の話として切り離してください5。
対応が要るかどうかは、取引先や取引銀行との入金消し込みの運用をどうするかという別の検討で決まります。
今回の移行計画に混ぜると、優先順位も窓口も分かりにくくなります。

自社が発注側の場合、受注側の取引先にはどこまで依頼すればよいですか

まず伝えるべきは、いつから何のデータをどの形でやり取りしたいかという範囲と、テストを含めた日程です。
相手にとっては業務のやり方が変わる話なので、どの連絡がデータに置き換わり、どの確認が残るのかを具体的に示すと判断してもらいやすくなります。
費用面では、中小企業共通EDIについて、対応するプロバイダーや業務アプリケーションを利用する受注側企業は大きな費用がかからないとされています1。
ただしこれは同仕様に対応した受注側についての記述であり、他の規格や個別の環境にそのまま当てはめられるわけではないため、相手の状況を聞いたうえで進めてください。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

> プロフィールの詳細を見る

  1. 1 出典:中小企業庁「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!(ミラサポplus)」(2020年)
  2. 2 出典:一般財団法人流通システム開発センター(GS1 Japan)「卸・メーカーの流通BMS導入企業数推計(第28回)」(2025年)
  3. 3 出典:東日本電信電話株式会社・西日本電信電話株式会社「固定電話のIP網移行後のサービスについて(2022年12月8日発表)」(株式会社インプレス INTERNET Watch報道、2022年)
  4. 4 出典:東日本電信電話株式会社「INSネットの新規申込受付・提供終了について」(2024年)
  5. 5 出典:一般社団法人全国銀行資金決済ネットワーク「全銀EDIシステムとは」

画像の出典元

  1. インターネット接続に使うLANケーブルのコネクター/webandi on Pixabay

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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