◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 「卸価格の切替」という言葉は、得意先単位・階層単位・商品単位の三つに分かれます。各社の「できます」がどれを指しているかを先に揃えないと、見積書の金額は比べられません。
- 切替が標準機能に含まれるか追加開発になるかで、費用の桁が変わります。標準機能の範囲で導入する場合の初期費用は20万円2、小規模カスタマイズなら初期費用400万円から・月額70,000円から2という開きがあります。
- 比較の前に自社の得意先階層が何段あるかを数え、必要な段数を条件文として各社へ同じ文面で渡します。得意先の組織階層に応じて最大5階層まで卸価格を切り替えられる例1があり、この上限が自社の構成に足りるかが分かれ目になります。
目次

「卸価格の切替」は得意先単位・階層単位・商品単位のどれを指すのか
相見積もりで卸価格の切替を比べるときは、金額を横に並べる前に「何を切り替えるのか」の定義を揃えます。得意先ごとに単価を変えることを指す会社もあれば、本部と支店で価格を変えること、商品区分ごとに掛率を変えることを指す会社もあります。定義が違えば、同じ「対応可能」という回答でも作業量はまったく違い、見積書の金額も比較できません。手順としては、(1)切替の単位を三つに分けて各社の回答を書き分ける、(2)その単位が標準機能か追加開発かを見積書の項目で確かめる、(3)追加開発なら初期費用と月額の増え方を数字で並べる、(4)自社の得意先階層の段数を数えて条件を揃え直す、の順に進めます。この記事では、卸価格の切替を最大5階層まで設定できる例1と、標準機能とカスタマイズで費用がどう動くかの実例2を材料に、比較の軸の作り方を整理します。
同じ言葉が三つの意味で使われている
相見積もりの回答がばらつく最大の原因は、言葉の指す範囲が各社で違うことにあります。卸価格の切替は、大きく三つの単位に分かれます。一つ目は得意先単位で、取引先ごとに単価や掛率を持たせる形です。二つ目は階層単位で、本部・支社・店舗といった組織の段に沿って価格を変える形です。三つ目は商品単位で、商品や商品区分ごとに切替の条件を持たせる形です。
この三つは、必要な設定量も運用の手間も違います。得意先単位だけであれば取引先マスタに価格を持たせれば足りますが、階層単位が加わると、どの段の価格を優先するかという判定の仕組みが要ります。さらに商品単位が重なると、得意先と商品の組み合わせで価格が決まるため、設定件数が一気に増えます。
各社への質問は「卸価格の切替はできますか」ではなく、「得意先単位・階層単位・商品単位のどれに対応し、どれが組み合わせられますか」と分けて聞きます。この一問で、回答のばらつきの多くは説明がつきます。
自社がどの単位を要るかを先に決める
比較の軸を作る側の作業として、自社の取引の実態を三つの単位に当てはめておきます。得意先ごとに単価が違うだけなのか、同じ得意先でも本部と店舗で価格が分かれるのか、特定の商品群だけ別の掛率を使っているのか。ここを紙に書き出すと、各社の回答のどこが自社に効くかが判断できます。
要らない単位まで「対応できる」を条件に入れると、追加開発の見積もりを自ら呼び込むことになります。逆に、要る単位を書き落とすと、導入後に手作業の価格修正が残ります。相見積もりの前段で削るべきものと残すべきものを決めておくことが、費用の差を作ります。
条件を揃えたうえで、次に見るのは費用がどの段で動くかです。標準機能の範囲に収まる場合と、カスタマイズが要る場合で、金額はどこまで変わるのかを実例で確かめます。
標準機能と追加開発の見分け方は
見積書のどの欄に載っているかで判別する
「対応できます」という回答は、標準機能で設定できる場合と、追加開発で作り込む場合の両方を含みます。この二つは見積書の載り方が違います。標準機能であれば、初期費用とプラン料金の中に含まれ、切替に関する個別の項目は立ちません。追加開発であれば、カスタマイズ費用や個別開発費として別の行に金額が立つか、「別途お見積もり」と記載されます。
見積書に切替の項目が見当たらないときは、含まれているのか、そもそも見積もりの対象外なのかを必ず確認します。口頭の「できます」が仕様書や見積書の文面に落ちていない場合、契約後に追加開発として再見積もりになることがあります。
「できます」を分解する質問の形
回答を比較できる形に揃えるには、質問の側を具体的にします。標準機能の設定画面から操作できるのか、初期のデータ投入時だけ設定できるのか、運用開始後に自社の担当者が変更できるのか。この三つは、同じ「対応可能」でも運用の負荷が違います。
加えて、対応の上限も数で聞きます。階層は何段まで持てるのか、得意先ごとの価格は何件まで登録できるのか、価格の適用開始日を将来日付で設定できるのか。数で返ってくる回答は比較でき、言葉だけの回答は比較できません。数で答えられない項目は、その時点で追加開発の可能性が高い項目だと見ておきます。
費用の幅が見えたら、各社の見積もりを三つの型に置き換えると比較が進みます。自社の条件がどの型に落ちるかを先に見当づけておきます。
対応できる階層数の違いは何に効くのか
上限の段数が自社の構成に足りるか
階層数は、比較の軸の中でもっとも数で語りやすい項目です。得意先の組織階層に応じて、卸価格を最大5階層まで切り替えて設定できるとする例1があります。自社の得意先に本部・地域統括・支社・営業所・店舗といった段があるなら、その段数が上限に収まるかどうかが、そのまま標準機能で足りるかの判断になります。
注意したいのは、自社の全得意先が同じ段数とは限らない点です。多くは二段でも、大口の一社だけ四段や五段という構成はよくあります。比較の条件に入れるべきは平均ではなく、最も段数の多い得意先です。ここを平均で見積もると、導入後にその一社だけ手運用が残ります。
階層が足りないときに何が起きるか
上限を超える階層を持つ得意先があると、選べる道は三つです。運用で段をまとめて割り切るか、足りない段の価格を手作業で管理するか、追加開発で階層を増やすかです。前の二つは費用が発生しない代わりに、価格の設定ミスと問い合わせ対応という形で人の時間を使い続けます。三つ目は費用が立ちますが、運用は標準の中に収まります。
相見積もりの段階では、この三つのどれを選ぶかまで決める必要はありません。ただし、各社の上限段数を数で揃えて並べておけば、後から自社の得意先構成と突き合わせるだけで判断できます。

相見積もりの条件はどう揃え直すか
自社の条件を一枚の文面にしてから配る
各社の回答がばらつくのは、渡している条件がばらついているからでもあります。条件を揃える一枚には、切替の単位(得意先・階層・商品のどれと、その組み合わせ)、必要な階層の最大段数、価格を変更する頻度と担当者、そして費用の書き分け方(初期費用と月額を分け、追加開発分を別欄にすること)を書きます。
同じ一枚を全社に渡せば、返ってくる見積書は同じ項目で並びます。項目が揃って初めて、金額の差が機能の差なのか前提の差なのかが読めます。
金額だけで選べない理由を条件の側で解く
見積書の金額だけで選べないという感覚は正しく、原因は金額の側ではなく条件の側にあります。切替の定義、階層の上限、標準か追加開発かという三つを揃えれば、金額は比較できる数字に変わります。
揃え直しの結果、標準機能で足りる会社と追加開発が要る会社に分かれることがあります。そのときは金額差をそのまま優劣と読まず、追加開発で得られる範囲が自社の運用に本当に要るかを、先に書き出した単位の一覧と突き合わせて判断します。
卸価格の切替は、言葉としては一つでも、指す範囲によって作業量も費用も変わります。切替の単位・階層の段数・標準か追加開発かという三点を数と文面で揃えることが、相見積もりを比較可能にする最短の道です。
切替の単位と階層の段数をどこまで標準機能で受けられるかは、製品ごとの設計に踏み込まないと判断できません。自社の得意先構成を持ち込んで、標準の範囲に収まるかを一度確かめておくと、相見積もりの条件そのものが固まります。
自社の得意先階層が何段あるか、どの単位で価格を分けているかを持ち込めば、標準機能で設定できる範囲と、追加開発が必要になる条件の境目を具体的に確かめられます。無料相談で要件を整理する
追加開発の有無で費用はどこまで動くか
- 標準機能の範囲で導入する場合、Standard・Proプランの初期費用は20万円です2。切替が標準の設定で収まるなら、費用はこの段にとどまります。
- 標準に無い条件を一部追加する小規模カスタマイズでは、初期費用は400万円から、月額費用は70,000円からとされています2。初期だけでなく月額にも跳ね返る点が、標準機能との大きな違いです。
- 基幹側の価格体系に合わせて作り込む大規模カスタマイズでは、モデルケースで初期費用は1500万円からとされています2。ここまで来ると、切替の要件を削れるかどうかが総額を左右します。
この並びに優劣の順序はありません。
この三つの段は、そのまま見積もりを読み分ける型として使えます。次は型ごとに、何を確かめ、どこで判断するかを整理します。
見積もりを三つの型に置き換えて比べる
| 型 | 切替の範囲 | 初期費用の目安 | 月額の目安 |
|---|---|---|---|
| 標準機能型 | 標準で用意された単位・階層の範囲で設定する | 20万円2 | 各プランの料金による |
| 小規模カスタマイズ型 | 標準に無い単位や条件を一部だけ追加する | 400万円から2 | 70,000円から2 |
| 大規模カスタマイズ型 | 基幹側の価格体系に合わせて作り込む | 1500万円から(モデルケース)2 | 個別見積もり |
標準機能型:上限の数を確かめて終える
確かめるのは上限と操作者
標準機能の範囲で収まる場合、初期費用は20万円という水準です2。この型で確かめるべきは金額よりも上限で、階層は何段まで持てるか、得意先ごとの価格をどの画面から変更できるか、変更は自社の担当者ができるかの三点です。
得意先の組織階層に応じて最大5階層まで切り替えられる例1のように、上限が数で示されていれば、自社の最大段数と突き合わせるだけで判断できます。上限が数で返ってこない場合は、この型ではなく次の型として見積もりを読み直します。
| 確かめる項目 | 回答の受け取り方 |
|---|---|
| 階層の上限 | 段数で受け取る(例:最大5階層1) |
| 切替の単位 | 得意先・階層・商品のどれに対応するかを書き分けてもらう |
| 変更の操作者 | 自社担当者が運用開始後に変更できるかを明記してもらう |
| 初期費用 | プランに含まれる金額として受け取る(20万円2) |

上限の段数や変更操作の範囲は、実際の設定画面を見ないと自社の運用に合うかが読み切れません。標準の範囲で完結するかどうかは、早い段階で確かめるほど比較がしやすくなります。
最大5階層までの設定が自社の得意先構成に足りるか、価格の変更を自社の担当者が運用開始後に行えるかを、実際の画面で確かめられます。無料相談で自社の条件を持ち込む
小規模カスタマイズ型:月額の増え方まで見る
初期費用だけを比べると判断を誤る
標準に無い単位や条件を一部だけ追加する場合、初期費用は400万円から、月額費用は70,000円からという水準になります2。標準機能型の初期費用20万円2と並べると差は明らかですが、比較で見落としやすいのは月額側です。
月額は契約が続く限り発生するため、初期費用の差だけで判断すると、数年単位の総額で順位が入れ替わることがあります。相見積もりの依頼文には、初期費用と月額を分けて記載することを条件として書き込んでおきます。
追加する条件を一つずつ切り出す
この型では、追加する条件の数がそのまま金額に効きます。切替の単位を三つとも求めるのか、階層を一段だけ増やすのか、特定の商品群だけ別の掛率を持たせるのか。条件を一行ずつに分けて見積もりを依頼すると、どの条件がいくらなのかが見え、削る判断ができます。
| 確かめる項目 | 比較の見方 |
|---|---|
| 初期費用 | 400万円からの水準として、条件ごとの内訳を求める2 |
| 月額費用 | 70,000円からの水準として、契約期間分を合計して比べる2 |
| 追加する条件 | 一行ずつ分けて見積もりを取り、削れる条件を見極める |
追加する条件が一つ増えるごとに、初期費用と月額の両方が動きます。どの条件が金額に効いているかは、条件を分解して相談しないと見えてきません。
追加したい条件を一行ずつ提示すれば、標準機能で吸収できる部分と、カスタマイズが必要な部分の切り分けと、その費用の内訳を確かめられます。無料相談で自社の条件を持ち込む
大規模カスタマイズ型:要件を削れるかを先に問う
総額の前に範囲を疑う
基幹側の価格体系に合わせて作り込む場合、モデルケースで初期費用は1500万円からとされています2。この水準に達したときは、各社の金額を比べる前に、自社の要件が本当にこの範囲を必要としているかを問い直します。
多いのは、一部の得意先だけに必要な条件を全社共通の要件として書いてしまう場合です。対象を限る、段階的に導入する、運用で吸収する範囲を決める、といった整理で型が一つ下がれば、費用の桁が変わります。相見積もりは、この整理をしたうえで取り直す価値があります。
| 確かめる項目 | 判断の起点 |
|---|---|
| 初期費用 | 1500万円からの水準(モデルケース)として受け取る2 |
| 要件の範囲 | 全社共通か一部得意先限定かを切り分ける |
| 段階導入 | 先に標準機能で始め、後から広げられるかを確かめる |

総額が大きくなる型ほど、要件の範囲を一段整理できるかで結論が変わります。作り込む前に、標準機能から段階的に広げる道があるかを検討しておく価値があります。
全社共通として書いた要件のうち、一部の得意先に限れる部分はどこか、先に標準機能で始めて後から広げられるかを確かめられます。無料相談で自社の条件を持ち込む
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 切替の単位 | 得意先単位・階層単位・商品単位のどれが要るかを決め、文面で各社へ渡す |
| 階層の上限 | 最も段数の多い得意先を基準に必要段数を決める(最大5階層まで設定できる例がある1) |
| 標準か追加開発か | 見積書に個別項目が立つかで判別し、口頭の回答は文面に落としてもらう |
| 初期費用 | 標準機能の範囲で20万円2、小規模カスタマイズで400万円から2、大規模カスタマイズでモデルケース1500万円から2 |
| 月額費用 | 小規模カスタマイズは70,000円から2。契約期間分を合計して比べる |
| 条件の揃え方 | 初期費用と月額を分け、追加開発分を別欄にすることを依頼文に明記する |
相見積もりの比較が進まない原因は、金額よりも条件の書き方にあることがほとんどです。条件を揃えた一枚を作る段階で相談すると、その後の比較が一度で済みます。 切替の単位・必要な階層数・費用の書き分け方をまとめた条件について、実際の受発注の流れに照らして過不足がないかを確かめられます。
よくある質問
各社が言う「卸価格の切替に対応」は、そのまま比較できますか。
そのままでは比較できません。得意先単位・階層単位・商品単位のどれを指すかが会社ごとに違うためです。三つに分けて回答を書き分けてもらい、さらに対応の上限を段数や件数といった数で受け取ると、初めて横に並べられます。
階層は何段まで対応できれば足りますか。
自社の得意先のうち、最も段数の多い一社を基準に決めます。平均で決めると、その一社だけ手運用が残ります。得意先の組織階層に応じて最大5階層まで卸価格を切り替えて設定できる例1があり、この段数で自社の構成が収まるかが一つの目安になります。
標準機能か追加開発かは、見積書のどこで分かりますか。
標準機能であれば初期費用やプラン料金に含まれ、個別の項目が立ちません。追加開発であればカスタマイズ費用として別の行が立つか、別途見積もりと記載されます。項目が見当たらない場合は、含まれているのか対象外なのかを文面で確認します。
追加開発になると費用はどの程度変わりますか。
標準機能の範囲で導入する場合の初期費用は20万円2、小規模カスタマイズでは初期費用400万円から・月額70,000円から2、大規模カスタマイズではモデルケースで初期費用1500万円から2とされています。初期費用だけでなく月額の増え方も含めて比べます。
相見積もりを取り直すべきなのは、どんなときですか。
各社へ渡した条件がばらついていたとき、自社の階層数や切替の単位を後から確定したとき、そして要件を削って型が一つ下がる見込みが立ったときです。条件を一枚の文面にまとめ、同じものを全社へ配り直すと、返ってくる見積書の項目が揃います。
- 1 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B『BtoB向けECサイトで取引先ごとに卸価格を切り替える』」(2026年) 経路
- 2 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider(BtoB EC受発注システム)料金プラン・費用ページ」(2026年) 経路
画像の出典元
- 20代前半の日本人男性が見積書の照合をしている場面/画像:生成AI(自社)
- 30代後半の日本人男性が見積書の照合をしている場面/画像:生成AI(自社)
- 30代前半の日本人男性が見積書の照合をしている場面/画像:生成AI(自社)
- 50代前半の日本人女性が見積書の照合をしている場面/画像:生成AI(自社)