◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 帳合先ごとの卸価格は、得意先の組織階層に応じて5階層まで切り替えられます5
- EC-Rider の初期費用は、Standard・Proプランで200,000円、小規模カスタマイズを足すと400万円からに変わります4
- 月額は、EC-Rider B2B Ⅱ のベースエンジン利用料が170,000円から積み上がります4
- 稟議は申請から承認まで3日以上が47.8%、1日未満は4.6%にとどまります2
目次

帳合先ごとの価格表を手で差し替える受注現場
帳合とは、どの卸を通してどの得意先へ商品が流れるかという取引の経路を指します。帳合を保ったままBtoB ECを入れる稟議は、対応できる卸価格の階層数を一つの指標に据えると進めやすくなります。帳合先ごとの価格体系をそのまま並べるのではなく、階層数と初期費用と月額の三つを数字で示します。決裁者が確かめたい点は、この三行でおおむね埋まります。
朝八時の営業管理部。前日にファクスで届いた注文書の束を、担当者が一枚ずつめくる音が続きます。めくりながら帳合先ごとの価格表を横に置き、注文の単価を突き合わせます。「この得意先は本部と同じ掛け率だったか」を確かめる手間が、受注のたびに挟まります。紙の山は、こちらの都合に合わせては減ってくれません。
規模を数字で見ます。3,800品種を、日東電工CSシステム株式会社は法人向け販売サイトで扱っていました6。2018年時点の値で、直近の公表データではありません。3,000社が、2020年時点の全国の販売加盟店数になります6。品種と加盟店がともに多いほど、「価格表の差し替え」という作業は静かに増えます。
価格表の差し替えと転記のやり直しは、担当者の時間という費用で毎月払われています。
帳合ごとの卸価格、システムでの切替上限
帳合とは、どの卸を通してどの得意先へ商品が流れるかという取引の経路を指します。経路が違えば掛け率も違い、同じ商品でも請求する単価は変わります。BtoB ECでまず確かめるのは「得意先ごとに単価を出し分けられるか」ではなく、「組織の階層まで見て出し分けられるか」です。本部と支店で掛け率が異なる帳合先を抱えているなら、ここが最初の分かれ目になります。
上限を一つ挙げます。5階層まで、得意先の組織階層に応じて卸価格を切り替えられると、EC-Rider の公開情報には示されています5。2026年時点の対応上限です。自社の帳合先を「本部・地域統括・支店・販売店・個店」のように並べて数えてみてください。数えた段が上限を超えるか超えないかで、標準のまま使えるか、作り込みを足すかが分かれます。
帳合先ごとの価格体系を全部書き写すと、読む側の負担が増えます。「何階層まで切り替えられるか」という一行へ畳んで示せば、自社の帳合網が収まるかどうかをその場で確かめてもらえます。価格体系の一覧は別紙へ回し、本文には階層数と対象の帳合先数だけを残してください。
登録する商品の点数も、階層の数と並べて先に数えたい項目です。20,000点を、株式会社ポディウムは精査の前にBtoB ECへ登録していました9。2025年時点の、絞り込む前の点数です。「全部載せてから考える」のか、「載せる前に整理する」のか。ここを決めると、移行の作業量の見積もりが揺れにくくなります。
具体例と重ねて考えます。3,800品種を抱え、全国3,000社の販売加盟店と取引していた日東電工CSシステム株式会社のような帳合網では6、本部から個店までの段を数えると、5階層という上限5に近づく場合も出てきます。上限ぎりぎりで収まるのか、一段はみ出すのかで、標準のまま導入できるかどうかが分かれます。段数を数える作業は、稟議書を書き始める前に済ませておきたい下準備です。
70,000円という EC-Rider の小規模カスタマイズの月額下限は伝票に載りますが、手作業を続ける費用は伝票に載りません4。
BtoB EC導入の費用相場
初期費用の目安
初期費用は、選ぶプランと作り込みの量で桁が変わります。200,000円が、EC-Rider の Standard・Proプランの初期費用です4。80,000円は、全プラン共通で初回のみかかる費用として別に示されています4。「まず標準のまま始める」場合は、この二つが土台になります。
標準プランを選ぶ場合、200,000円という初期費用と、全プラン共通で初回のみかかる80,000円は4、別々の行で示されていますが、初年度の負担としては合わせて読む必要があります。稟議書の費用欄をこの二つで終えてしまうと、初回のみの費用を見落とした決裁者から差し戻しが来ることがあります。二つの数字を並べて書き、「初回のみ」の性質もあわせて添えてください。
作り込みを入れると、幅が一気に広がります。400万円から、EC-Rider の小規模カスタマイズの初期費用は始まります4。1,500万円からが大規模カスタマイズの初期費用で、標準プランの値とは比べる桁が違います4。2026年時点で公開されているのは下限であり、上限ではありません。
月額費用の目安
月額は、使う土台と作り込みの有無で分かれます。170,000円からが、EC-Rider B2B Ⅱ のベースエンジン利用料の月額下限です4。70,000円からという小規模カスタマイズの月額は、別の数え方の値になります4。「どちらが安いか」ではなく「どちらが自社の使い方に当たるか」を先に確かめてください。
2026年時点で示されているのは、どちらも下限の値です。月額は毎年の予算へ、初期費用は単年度の投資へ乗る形になります。「毎月いくら」と「最初にいくら」を別の行に分けて書けば、決裁者は自分の枠へ当てはめて読めます。費用欄を一行で済ませないことが、差し戻しを減らします。
開発期間の目安
期間の見通しは、要件の量でおおよそ決まります。「どこまで作り込むか」を決めないまま稼働の月だけを先に置くと、後から差し戻しが起きます。連携する基幹システムの数と帳合の階層を先に数えてから、期間の枠を置いてください。
事例で幅を見ます。4か月で、フーヅフリッジ株式会社はBtoB ECサイトを実質的に開発しました7。2017年時点の事例です。2か月という構築期間を記録したのはフリュー株式会社で、こちらは2016年時点になります8。自社の要件の数を数えたうえで、近い方を仮置きしてください。
国内BtoB-EC市場、514兆円規模への拡大
稟議書の頭に社外の動きを一行だけ置くと、話の入り口が作れます。ただし、大きな総額をそのまま自社の見込みへ結び付ける書き方は避けたいところです。「市場が伸びている」ことと「自社の受注が増える」ことは別の話で、決裁者はそこを分けて読みます。
規模を置きます。514.4兆円が、2024年の国内BtoB-EC市場規模です1。10.6%が前年からの伸び率で、いずれも業種を横断した全体の値になります1。卸売業だけを取り出した数字ではないため、自社の業種の位置づけはここからは読み取れません。43.1%というEC化率も同じ調査の値で、残りは電話やファクスを含む手作業に残っています1。自社の受注のうち何割が電子で届いているかを直近1年分で数えると、総額よりも効く材料になります。
この10.6%という伸び率を1、加盟店3,000社を抱える帳合網6や、20,000点という登録前の商品点数9に当てはめて考えると、数字の重みが変わります。市場全体が伸びる局面では、EC化されていない4割強の手作業が、規模の大きい帳合網ほど重く積み上がっていきます。総額の514.4兆円1そのものより、自社の帳合網の規模と伸び率を重ねて読む方が稟議書には効き、次に確かめたいのは稟議が何日で戻るかです。
稟議承認、3日以上が半数に迫る実態
稟議は、出した翌日に返ってくるとは限りません。承認までの日数を読み違えると、稼働の月ごと後ろへずれます。「いつ出すか」ではなく「いつ決裁が下りるか」から逆算して、導入の時期を置いてください。逆算の起点になるのは、自社の過去の稟議が何日で戻ってきたかという記録です。
分布を見ます。47.8%が、稟議の申請から承認まで3日以上かかったという回答でした2。2022年の調査の値です。4.6%にとどまるのが、1日未満で終わった割合になります2。回答者の数が多くない調査のため、自社の直近の稟議の日数を数え、この幅と比べてください。
別の調査も並べます。73.5%が、社内稟議の承認までに1日以上かかった割合です3。2024年時点の値で、先に挙げた3日以上の割合とは数え方の基準がそろっていません。二つを足し引きせず、「1日以上が多数を占める」「3日以上も半数近い」という二つの事実として並べてください。
この日数を含め、基準は三つに絞れます。帳合先の組織階層が対応上限に収まるか、初期費用を単年度のどの枠へ載せるか、決裁までの日数を何日で見込むか。この「三つだけ」を一枚にまとめておけば、決裁者が確かめたい点はおおむね埋まります。承認の早さを約束できる方法はありませんが、聞かれる前に答えを置くことはできますね。
ここから先は、稟議書に載せる項目と、帳合の形ごとの違いを順に見ていきます。
帳合の段数と費用と決裁の日数を一枚にまとめる作業は、自社の帳合先の実情を知る相手と一緒に進めた方が、稟議書の数字がぶれません。
自社の帳合網が標準の対応上限に収まるか、作り込みがどこまで要るかを、稟議書へ書ける形で確かめられます。無料相談で要件を整理する
稟議書へ先に書き込む項目
- 帳合先の組織の段を数え、標準の対応上限に収まるかを一行で書く
- 初期費用を、初回のみの分と作り込みの分に分けて書く
- 月額を、土台の利用料と作り込み分に分けて書く
- 稼働までの期間を、事例の幅から仮置きして書く
- 決裁までの日数を、自社の直近の稟議の記録から見込んで書く
この並びに優劣の順序はありません。
ここからは、帳合の形が違えば書く順番も変わる点を、二つの形に分けて見ていきます。

帳合の形で変わる、稟議の組み立て
| 帳合の形 | 先に数える項目 | 重くなりやすい費用 |
|---|---|---|
| 代理店経由の帳合網 | 得意先の組織階層の段数 | 作り込みの初期費用 |
| 直接取引中心の得意先網 | 得意先の数と掛け率 | 毎月の利用料 |
代理店経由の帳合網での稟議の組み立て
代理店を通して商品が流れる帳合網では、同じ商品でも経路ごとに掛け率が変わります。本部と支店で価格が違い、地域統括が間に入る形も珍しくありません。段が重なるほど、維持すべき価格表の数は増えます。この形の稟議は「いくらかかるか」より先に「何段まで面倒を見られるか」から書き始めると、話が早く進みます。
先に挙げた卸価格の対応上限に自社の段が収まらないなら、作り込みを前提に見積もる方が安全です。1,500万円からという大規模カスタマイズの初期費用は、2026年時点で公開されている下限にあたります4。「標準で足りる」と仮に書いて後から覆るより、上振れの幅を先に添える方が、決裁の場での差し戻しは減ります。
階層の設計まで手が入るぶん難易度は高く、要件の洗い出しには営業管理と情報システムの両部門の工数がまとまって要ります。「誰が数えるか」まで決めておくと、動き出しが早まります。
| 確かめる項目 | 代理店経由の帳合網での見方 |
|---|---|
| 卸価格の切替 | 組織の段ごとに設定できるか |
| 初期費用 | 作り込みを前提に下限から積む |
| 決裁の相手 | 価格政策を持つ部門の合議が入る |
| 稼働時期 | 要件の確定から逆算して置く |
代理店を挟む帳合網は段の数が読みにくく、作り込みの範囲が決まらないまま稟議へ出すと、決裁の途中で費用が動きます。
自社の段の並べ方をそのまま持ち込めば、どこまでが標準で、どこからが作り込みになるかの線引きが見えてきます。無料相談で自社の条件を持ち込む
直接取引中心の得意先網での稟議の組み立て
代理店を挟まず得意先と直接取引する比率が高い会社では、段の深さより得意先の数と掛け率の管理が中心になります。組織の階層は浅くても、得意先ごとに単価を持たせる必要があるなら、標準の機能で収まるかを先に確かめてください。「階層は浅いから簡単」と決めてかかると、登録作業の量で足をすくわれます。
20,000点という登録点数の例が示すとおり、商品の整理は稼働の前に片づけたい作業です9。2025年時点の事例で、精査より前の点数にあたります。商品の「登録と精査」を稼働前の予定へ組み込み、毎月の利用料を主な費用と見るなら、初期費用より月額の欄を厚く書いてください。
標準の機能で収まる場面が多いぶん難易度は下がりますが、「得意先の一覧と掛け率」の突き合わせに営業部門の工数がまとまって要ります。
| 確かめる項目 | 直接取引中心の得意先網での見方 |
|---|---|
| 掛け率の管理 | 得意先ごとに単価を持てるか |
| 月額費用 | 利用料を毎年の予算へ乗せる |
| 商品の登録 | 登録の前に点数を精査する |
| 決裁の相手 | 営業部門の長で完結するか |

得意先ごとの掛け率と商品の登録量は稟議書の月額の欄へそのまま響くため、数え方を先に決めておきたい場面です。
掛け率の持たせ方と登録点数の整理の順番を、決裁の前に持ち帰れます。無料相談で自社の条件を持ち込む
要点の整理
| 確かめる項目 | 判断の基準 |
|---|---|
| 帳合の段数 | 本部から個店までを数え、対応上限に収まるかを見る |
| 初期費用 | 初回のみの分と作り込みの分を分けて置く |
| 月額費用 | 土台の利用料と作り込み分を毎年の予算へ乗せる |
| 稼働時期 | 事例の幅から仮置きし、要件の量で寄せる |
| 決裁の日数 | 自社の直近1年の稟議の日数と調査の割合を並べる |
| 社外の数字 | 業種横断の全体値である旨を添えて一行で置く |
稟議の期限が決まっている段階では、費用と期間の幅を自社の条件へ寄せた形で示す必要が出てきます。 帳合の段数と登録点数を伝えたうえで、初期費用と月額の当たりをつけた見積もりの範囲が定まります。
よくある質問
帳合先ごとの卸価格は、どこまで細かく設定できますか
得意先の組織の段ごとに設定できるかが分かれ目になります。先に挙げた対応上限に自社の段数が収まれば、標準の機能のままで進められます。まずは「本部から個店まで」を一列に並べ、いくつの段があるかを数えてください。数えた結果を稟議書の一行目に置くと、決裁者が自社の帳合網を当てはめて読めます。
稟議書の費用欄は、初期と月額のどちらから書くべきですか
初期費用から書き、そのあとに月額を置く形が読みやすくなります。初期費用は単年度の投資へ、月額は毎年の予算へと、載る枠が分かれます。作り込みを入れると初期費用の桁が動きますから、「標準のままの値」と「作り込みを足した値」の両方を並べてください。上振れの幅を先に示しておくと、差し戻しは減りますね。
開発期間はどのくらい見ておけばよいですか
先に挙げた事例では、2か月から4か月という幅が公開されています78。要件の量によって位置が動きますから、連携する基幹システムの数と帳合の階層を数えてから仮置きしてください。期間を先に決めて要件を後から足すと、稼働の月が動きます。「要件の確定」を稟議の前に済ませておく方が、見通しは安定します。
市場規模の数字は、稟議書に載せた方がよいですか
載せるなら、業種を横断した全体の値である点を添えてください。514.4兆円という国内BtoB-EC市場規模は、卸売業だけを取り出した数字ではありません1。「社外の動き」を一行で示す用途には向きますが、自社の受注見込みの根拠にはなりません。見込みの根拠には、自社の受注件数と電子化の割合を使ってください。
決裁までの日数は、どのくらいで見込めばよいですか
73.5%が承認までに1日以上かかったという調査があります3。先に挙げた3日以上の割合と合わせると、「翌日決裁」を前提に予定を組むのは無理があります。自社の直近1年の稟議が何日で戻ったかを数え、その中央値を見込みに使ってください。調査の割合は、自社の記録と突き合わせる物差しとして扱う形が安全です。
商品点数が多い場合、登録はどう進めればよいですか
登録の前に精査を挟む形が扱いやすくなります。先に挙げた登録点数の例のように、絞り込む前の状態で載せると、後から整理の手間が戻ってきます。まずは直近1年で「受注のあった品番」だけを抜き出し、そこから登録の対象を決めてください。稟議書には、登録する点数と精査の担当を一行で添えておきます。まずは、自社の帳合先と品番の一覧づくりから。
- 1 出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年) 経路
- 2 出典:株式会社エイトレッド「起案者に聞いた、稟議の実態とは?」(2022年) 経路
- 3 出典:弁護士ドットコム株式会社「社内稟議の実態調査」(2025年) 経路
- 4 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider(BtoB EC受発注システム)料金プラン・費用ページ」(2026年) 経路
- 5 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Riderお役立ちコラム『BtoB向けECサイトで取引先ごとに卸価格を切り替える』」(2026年) 経路
- 6 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(日東電工CSシステム株式会社)」(2020年) 経路
- 7 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(フーヅフリッジ株式会社様)」(2017年) 経路
- 8 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(フリュー株式会社様)」(2016年) 経路
- 9 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(株式会社ポディウム様)」(2025年) 経路
画像の出典元
- Wooden blocks aligned to spell ‘CHECK’ with a checkmark symb/Photo by Ann H on Pexels
- Wide aerial shot of Dublin, CA suburbs showcasing a sprawlin/Photo by Deane Bayas on Pexels
- Young female candidate shaking hands with employer before jo/Photo by Sora Shimazaki on Pexels