◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 属人化は忙しさの問題ではなく、取引先ごとの条件が記録ではなく人の側にある状態を指す
- 手順が文書化されていない、引き継ぎの材料が過去データしかない、という二つが見分けの手がかりになる
- FAX・電話・メールのように受け手が読み替える受注方法では、判断の根拠が記録に残らず溜まりやすい
- 書き出すときは取引先順ではなく、発注・出荷・受領・返品・請求・支払の区分を枠にして、標準と違う点だけを記録する
- 着手は読み替えの多い受注方法の取引先から進め、完成形のマニュアルではなく条件表を先に埋める
目次

帳合業務が属人化している状態をどう見分けるか
退職や異動の話が出てから、取引先ごとの締め日や例外の扱いを書いた資料を探し、どこにも残っていないと気づく。
帳合業務の属人化は、この段階で表面化することが少なくありません。
ここで変えられるのは、担当者の頭の中にある取引条件を、どの順番で外に出すかです。
外部調査では、属人化の影響として「引き継ぎが困難」「手順が文書化されていない」が上位に挙がり、FAXや電話、メールのように個別対応の多い受注方法ほど属人化が起きやすい傾向も確認できます。
まず自社がこの兆候に当てはまるかを見分け、取引先ごとの条件を業務区分ごとに洗い出して書き出すこと、そして個別対応の多い受注方法の取引先から着手することが、引き継げる状態へ向かう最初の順番になります。
引き継ぎが困難だと感じる場面
帳合という言葉は、社内で少しずつ違う意味で使われます。
ここでは、取引先ごとの受発注のやり取り、在庫の引き当て、請求や支払の条件をひとまとまりで管理する仕事を指して進めます。
この仕事が属人化しているかどうかを見分けるときに紛らわしいのは、「その人が忙しい」ことと「その人しかできない」ことが、同じ職場で同時に起きている点です。
忙しさは人を増やせば分けられますが、その人しか知らない条件は、人を増やしても分けられません。
たとえば、得意先A社は毎週火曜の午前中が発注の締めで、数量が最低ロットに届かない注文は電話で確認してから受ける。
B社は同じ商品でも納品先の倉庫によって伝票の様式が違い、欠品が出たときは担当者の携帯に先に連絡を入れる取り決めになっている。
C社は月末締めだが、請求書を郵送ではなく指定の様式でメール送付する。
こうした取り決めは、一つひとつを見れば難しい話ではありません。
問題は、それが「毎回同じやり方」で処理されている一方で、どこにも書かれていないことです。
見分けるときの手がかりは、本人がいない日に何が起きるかに置くと分かりやすくなります。
休んでいる担当者の携帯に、社内から確認の電話がかかっていないか。
代理の人が処理した受注を、本人が戻ってから静かに直していないか。
取引先から「いつもの件で」と言われて、他の人が内容を特定できないことがないか。
どれも一つなら偶然ですが、重なっているなら、判断の基準が人の側にあると考えて差し支えありません。
図にしてみると、記録に残っているのは「何を何個、いつまでに」という結果の部分で、「なぜそう処理したのか」は残っていないことが分かります。
受注データを見れば、過去にどう処理したかは追えます。
けれども、同じ注文が次に来たときに同じ判断ができるかどうかは、その理由が書かれているかで決まります。
引き継ぎが進まない職場でよく起きるのは、過去データは渡せたのに、例外が出た瞬間に手が止まるという形です。
手順やルールが書面に残っていない状態
もう一つの兆候が、手順そのものが書面に残っていないことです。
業務可視化ツールの使用経験者を対象にした調査では、属人化の影響として「手順やプロセスが文書化されていない」を挙げた人が47.9%、「業務の引継ぎが困難である」を挙げた人が52.8%で、後者が最も多い回答でした1。
この調査の回答者は業務可視化ツールを使った経験のある人全般で、帳合や受発注の担当者に限ったものではありません。
ですから「自社の帳合業務でも同じ割合で起きている」とは読めません。
使えるのは割合そのものではなく、属人化が表に出るときの形には名前がついていて、未文書化と引き継ぎの困難がその代表だ、という点です。
ここで気をつけたいのは、「マニュアルがある」ことと「文書化されている」ことがずれる場合です。
多くの会社には、受注入力システムの操作手順書が用意されています。
画面のどこに品番を入れ、どのボタンで登録するかは書かれている。
それでも引き継ぎが止まるのは、取引先ごとの例外、つまり「この得意先だけは数量が端数のとき切り上げる」「この先の返品は月をまたがない」といった条件が、手順書の外側にあるからです。
操作は覚えられても、判断は覚えられません。
自社がどちらの状態かを確かめるなら、実物を一つ開いてみるのが早い方法です。
直近に処理した受注のうち、標準どおりでなかったものを一件選び、その処理の根拠が書かれた資料を探してみる。
三分で見つかるなら文書化されています。
担当者に聞かないと分からない、あるいは本人も「そういう決まりなので」としか説明できないなら、その条件は人の側にあります。
この確認は一件ずつしかできませんが、何件か試すと、どの業務区分に未記録の条件が集まっているかが見えてきます。
| 属人化の影響として挙がった項目 | 回答した人の割合 |
|---|---|
| 業務の引継ぎが困難である | 52.8% |
| 手順やプロセスが文書化されていない | 47.9% |
どんな受注方法で属人化が起きやすいか
FAX・電話・メールでの受注で起きていること
兆候が当てはまったとして、次に気になるのは「なぜうちで起きたのか」でしょう。
担当者の性格や抱え込みの問題として語られがちですが、受注の入り口の形によって、起きやすさは変わります。
食品の小売・卸売業で受注業務に携わる担当者を対象にした調査では、FAX・Eメール・電話で受注している回答者のうち38.9%が「オペレーションの属人化が発生している」と答えています3。
この数値は調査全体(n=106)ではなく、FAX・Eメール・電話で受注している90人に限ったものです。
調査時点は2023年3月で、対象は食品の小売・卸売業に限られており、帳合という語そのものは出てきません。
他業種にそのまま当てはまる数値としてではなく、個別対応の多い受注方法と属人化が同じ場所で観測されている、という事実として受け取るのが妥当です。
なぜその組み合わせになるのかは、受け手の作業を思い浮かべると説明がつきます。
FAXで届く注文書は、取引先ごとに様式が違い、手書きの品名が略称や社内呼称で書かれていることがあります。
電話なら、口頭で告げられた数量と納期を、その場で在庫と突き合わせて受けるかどうかを決めます。
メールも、本文に箇条書きで並ぶだけなら、どれが品番でどれが備考かを読み分ける必要があります。
いずれも、届いた情報をそのまま登録できず、受け手が一度読み替えています。
読み替え自体は仕事として当たり前のものです。
属人化につながるのは、その読み替えの規則が、どこにも残らないことのほうです。
「この先の『Aの小』は品番1234のこと」という対応づけは、何度も繰り返すうちに担当者の中で固定されますが、受注データには品番1234しか残りません。
次の人が同じFAXを受け取ったとき、手掛かりは過去の受注履歴だけで、読み替えの規則は復元できない。
ここが、件数の多さとは別の意味で引き継ぎを重くします。
受注方法を書き出して自社の偏りを見る
この整理は、裏返すと「オンラインの受注画面やEDIにすれば属人化は消える」という話にはなりません。
先ほどの調査はFAX・Eメール・電話で受注する人に限った結果で、他の受注方法との比較を示したものではないからです。
実務の感覚としても、受注の入り口がデータ化されたあとに、取引先ごとの条件設定や例外処理が人に残ることはあります。
言えるのは、読み替えが多い入り口ほど記録に残らない判断が溜まりやすく、そこから先に手を付けると効き目が見えやすい、という程度です。
自社の偏りを見るなら、取引先の一覧に受注方法の列を一つ足すだけで足ります。
FAX、電話、メール、取引先の発注サイト、EDI、といった区分で埋めていくと、どの入り口に何社がぶら下がっているかが数で見えます。
このとき、同じ取引先が複数の方法を使っている場合は、両方を書いておくと後で迷いません。
「普段はメールだが、急ぎのときだけ電話」という先は、急ぎのときの判断こそ書かれていないことが多く、次節で見る停滞の起点になりやすい部分です。
| 受注の入り口 | 受け手が補っている判断 | 後から追える記録 |
|---|---|---|
| FAXの注文書 | 手書きの品名と数量の読み取り、略称から品番への置き換え | 受信した用紙と、入力後の受注データ |
| 電話での発注 | 口頭の品名と数量の確認、在庫と突き合わせた納期の調整 | 入力後の受注データ(やり取りの経緯は残りにくい) |
| メール本文での発注 | 書式が一定でない文面からの項目の抜き出し | 受信メールと、入力後の受注データ |
属人化を放置するとどんな停滞やリスクが生じるか
引き継ぎが止まる場面
兆候が当てはまり、起きやすい受注方法にも心当たりがある。
それでも日々の処理は回っているので、着手が後回しになることがあります。
先ほどの調査で、属人化の影響として最も多く挙がったのが引き継ぎの困難だった点は1、この後回しがどこで跳ね返るかを示しています。
困るのは退職の日ではなく、退職が決まってから最終出社日までの短い期間に、それまで書いてこなかった条件をまとめて書き出そうとする場面です。
段階を追うと、止まり方には順番があります。
最初は、条件が書かれないまま例外が積み上がる状態で、本人が処理している限り何も起きません。
次に、他の人が答えられない質問がその人に集まるようになり、本人の作業が中断される時間が増えます。
さらに、休みを取りにくくなり、注文が増える時期に処理が後ろへずれます。
最後に、退職や異動、長期の休職で、渡す材料がないまま引き継ぎの期日が来ます。
この順番で進むので、「まだ回っている」段階は、実は二つ目か三つ目まで来ていることが珍しくありません。
止まること以上に厄介なのが、誤りが見つからないまま続く形です。
単価の改定、支払サイトの変更、納品先の追加といった条件の更新は、担当者が覚えている限り正しく反映されます。
一方で、覚え違いがあったときに気づける人が社内にいません。
請求額が少しずつずれていても、取引先から指摘が来るまで分からない、という状態が起こり得ます。
属人化の解消が「引き継ぎのため」だけの話ではないのは、この検証の相手がいない点にあります。
少人数の体制で共通して挙がる悩み
同じ悩みは、受発注に隣接する経理の現場でも観測されています。
中小企業の経理担当者を対象にした調査では、実務や働き方の悩みとして挙がった項目のうち「業務の属人化」が50.0%で最も多く、次いで業務の煩雑さ、業務量の多さが続きました2。
この調査の対象は経理担当者で、帳合業務の担当者そのものではありませんから、帳合の属人化率として読み替えることはできません。
ただ、業種や職種をまたいで属人化が悩みの上位に来るという意味では、自社だけが遅れているわけではないと確かめる材料になります。
同じ調査の回答者の内訳を見ると、年商20億円未満の企業が53.2%、従業員100名未満が約半数で、経理の担当者数は1〜3人という体制が大多数でした2。
少人数で業務を分けていれば、一人が担う範囲は自然に広くなり、その人の中で手順が完結します。
帳合業務も同じで、取引先を分担して持つ形を取っている限り、分担した相手の条件は見えません。
つまり属人化は、怠慢の結果というより、少人数で回すときに放っておくと必ずそちらへ寄る性質のものです。
だからこそ、個人の努力ではなく、書き出す場所と順番を決める側の仕事として扱う必要があります。
属人化を解消する入口:取引先ごとの個別ルールを洗い出し、優先順位をつけて文書化する
発注・在庫・支払条件など業務区分ごとに洗い出す
ここまでで、残っていないのは手順書ではなく取引先ごとの条件であり、その条件は読み替えの多い受注方法に偏って溜まる、というところまで見えました。
では何から書き出すか。
取引先の一覧を開いて上から順に書こうとすると、たいてい数社で止まります。
一社ごとに思い出す範囲が広すぎて、何をどこまで書けば足りるのかが決まらないからです。
先に決めるべきなのは取引先の順番ではなく、書き出す枠のほうです。
枠の作り方として参考になるのが、企業間の受発注を標準化してきた取り組みの区分です。
流通BMSは、卸売やメーカーと小売の間の取引を「発注・出荷・受領・返品・請求・支払」の6業務に区分し、標準メッセージをそろえることで、小売ごとの個別対応の負荷を軽くする仕組みとして作られました4。
これは企業間でデータをやり取りするための規格であって、社内のマニュアルの作り方を示す資料ではありません。
借りるのは効果ではなく、取引という連続した流れを、どこで切ると漏れが出にくいかという区分の取り方だけです。
この枠に沿って一社分を埋めてみると、書く量が思ったより少ないことに気づきます。
発注の欄には締め日と発注単位、受注の受け方。
出荷の欄には納品場所と指定の納品書。
請求の欄には様式と送付の方法、支払の欄にはサイトと相殺の有無。
標準的な取引先なら、半分以上の欄が「標準どおり」で済みます。
残った欄にだけ内容が入り、そこがその取引先の個別ルールです。
まず書き出すだけでよい範囲を決める
最初から読める文章のマニュアルを作ろうとすると、ほぼ確実に途中で止まります。
日々の受注を処理しながら、説明の順番を考えて文章を書く時間は取れないからです。
当面の目標を「条件表」に絞ると、作業の性質が変わります。
取引先名、業務区分、標準と違う点、その条件を最後に確認した時期。
この四つの欄があれば、別の人が同じ判断に到達するための最低限は残ります。
読みやすい手順書に仕立てるのは、条件が出そろってからの作業です。
進め方も、まとめて作る形だけではありません。
受注や請求の処理をしている最中に、標準と違う扱いをした件が出たら、その場で一行書き足す。
この方法なら、思い出す作業がほとんど要らず、根拠も記憶が新しいうちに残せます。
なお、文書化を進める期間に業務時間が一時的に増えるのか、増えずに済むのかを数字で比較できる資料は、今回確認できませんでした。
ですから「必ず工数は増えない」とも「最初は必ず倍になる」とも言えません。
確かなのは、まとめて数日分の時間を確保する方法と、日々の処理に紛れ込ませる方法では、止まりにくさが違うということです。
書き出したものの置き場所も、先に一か所に決めておきます。
共有フォルダの表計算ファイルでも、社内の文書共有の仕組みでも構いませんが、担当者個人の端末や個人宛のメールに紐づく場所は避けます。
属人化の解消が進まない理由の一つは、書いた人しか開けない場所に書いてしまうことです。
置き場所が決まっていれば、他の担当者が自分の取引先について同じ表を埋めはじめるのも早くなります。
受注方法による優先順位の考え方
取引先が数十社あるなら、全部を同じ重さで扱う必要はありません。
先に見たとおり、FAX・Eメール・電話で受注している担当者では38.9%が属人化の発生を挙げていました3。
この調査は2023年3月時点の食品の小売・卸売業を対象としたもので、他業種の比率をそのまま示すものではありません。
それでも、受け手の読み替えが多い入り口ほど記録されない判断が溜まるという性質は、業種を問わず自社で確かめられます。
着手の順番としては、こうした入り口を使っている取引先を前に置くのが理にかないます。
受注方法だけで決めきれない場合は、ほかにも並べ替えの手掛かりがあります。
例外条件の数が多い先、取引金額が大きく誤りの影響が大きい先、一人の担当者しか窓口に立っていない先。
これらは互いに重なることが多く、上位に同じ取引先が並ぶなら、そこが最初の一社です。
逆に、受注も請求も標準どおりで、担当が替わっても同じ処理になる先は、後回しにしても引き継ぎの障害になりません。
優先順位をつける目的は、全部を書かないことではなく、書き終わる前に異動や退職が来ても困らない順に並べることです。
この先には、やり取りの形そのものを変える選択肢もあります。
企業間の受発注を標準仕様に合わせれば、小売ごとの個別対応の負荷が軽くなり、売掛・買掛の照合も効率化するとされています4。
ただしそれは取引先と自社の双方がデータ連携に移る場合の話で、相手先の都合もあり、自社だけで決められるものではありません。
これに対して、取引先ごとの条件を枠に沿って書き出す作業は、相手の合意を待たずに今日から進められます。
先に条件が書き出されていれば、のちにシステムや連携の導入を検討する段になっても、何を設定すべきかを一から思い出さずに済みます。
ここまでで、兆候の見分け方と着手の順番までは自社で決められます。
残るのは、書き出した条件をどこまで仕組みに移すかの判断です。
| 業務区分 | 取引先ごとに違いが出やすいところ |
|---|---|
| 発注 | 締め日、発注単位、最低ロット、受注の受け方 |
| 出荷 | 納品場所、指定の納品書、出荷の締め時刻 |
| 受領 | 検収の方法、数量が合わないときの連絡先 |
| 返品 | 受け付ける条件、戻し方、計上の時期 |
| 請求 | 請求の単位、様式、送付の方法と期日 |
| 支払 | 支払サイト、相殺の有無、手数料の扱い |
条件を書き出す枠までは自社で決められても、取引先ごとの受注方法が混在していると、どこから手を付けると引き継ぎが早く進むかは社内だけでは判断しにくくなります。
受注の入り口ごとの件数と例外条件の偏りを一緒に整理し、どの取引先から条件表を埋めると引き継ぎの空白が先に埋まるかを確かめられます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 属人化しているかの見分け | 手順が書面になく、引き継ぎの材料が過去データしかない状態かどうか |
| 起きやすい入り口 | FAX・電話・メールなど、受け手が読み替えてから登録する受注方法 |
| 放置したときの影響 | 質問の集中、繁忙期の滞り、退職時の停止と、条件の誤りが検証されないこと |
| 書き出す枠 | 発注・出荷・受領・返品・請求・支払の6区分で、標準と違う点だけ記録する |
| 着手の順番 | 読み替えの多い受注方法の先、例外条件が多い先、窓口が一人の先から |
書き出した条件をそのまま運用で保つか、受発注の仕組みの側に移すかは、取引先の数とやり取りの形によって答えが変わります。 いま手元にある条件表をもとに、どこまでを運用の記録で持ち、どこからを仕組みで持つのが自社の体制に合うかを具体的に検討できます。
よくある質問
帳合とは具体的にどんな業務を指すか
社内で指す範囲に幅のある言葉ですが、受発注の現場では、取引先ごとの受発注のやり取り、在庫の引き当て、請求や支払の条件をひとまとまりで管理する仕事を指して使われることが多いものです。
本記事でもその意味で扱っています。
自社で棚卸しをするときは、まず社内で「帳合」と呼んでいる範囲がどこからどこまでかを、発注・出荷・受領・返品・請求・支払のどの区分を含むかで言い直しておくと、担当者ごとの認識のずれが減ります。
属人化の解消は担当者一人の努力だけで進められるか
書き出す作業そのものは一人でも始められます。
ただ、書いたものを他の人が開ける場所に置き、別の担当者も自分の取引先について同じ枠を埋める段階になると、置き場所と枠の形をそろえる判断が要るため、一人の裁量では収まりません。
少人数の体制では、分担して持っている取引先の条件が互いに見えないまま進みます。
最初の一社を書き出すところまでは担当者が進め、枠と置き場所の決定は管理する側で引き取る、という分け方が現実的です。
マニュアル化とシステム化はどちらを先に検討すべきか
それぞれの導入にかかる工数や費用を比較できる資料は今回確認できなかったため、金額の面からの優劣は示せません。
順序の面では、取引先ごとの条件を書き出す作業を先に置く理由があります。
システムや企業間のデータ連携に移る場合、どの取引先にどんな例外条件があるかを設定として入力する必要があり、その材料は結局、条件表と同じ内容になるからです。
また、連携の導入は相手先の都合にも左右されますが、書き出す作業は自社だけで進められます。
取引先ごとに受注条件が異なる場合、最初に何を記録すればよいか
取引先名、業務区分、標準と違う点、その条件を最後に確認した時期の四つから始めると、分量を抑えたまま引き継ぎに足る内容が残ります。
業務区分は発注・出荷・受領・返品・請求・支払に分けると漏れが出にくくなります。
標準どおりの欄は「標準どおり」と書くだけで構いません。
埋まった欄がその取引先の個別ルールで、次の担当者が最初に読む部分になります。
担当者が急に休んだ場合の緊急対応と、属人化の解消はどう違うか
急な休みへの対応は、その日の注文を落とさないための処置で、過去の受注履歴をたどって同じ条件で処理する、取引先に直接確認する、といった方法になります。
これは結果を揃える対処で、判断の根拠は残りません。
属人化の解消は、次に同じことが起きたときに履歴をたどらずに済むよう、判断の根拠のほうを記録に移す作業です。
急場をしのいだ直後は、どの条件が分からなくて困ったかが具体的に残っているため、条件表を書き始める材料が最もそろっている時期でもあります。
- 1 出典:株式会社NEXER/オクトパス(株式会社テクノデジタル)「業務可視化ツールを使用して業務を行った経験に関するアンケート」(2024年)
- 2 出典:株式会社ミロク情報サービス MJS税経システム研究所「中小企業の経理担当者の働き方&実務の困りごと実態調査」(2024年)
- 3 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
- 4 出典:一般財団法人流通システム開発センター(流通BMS協議会)「流通BMS標準仕様(基本形)」(2007年)
画像の出典元
- A businessman in formal attire talks on the phone while seated at a computer desk in a modern office./Photo by RDNE Stock project on Pexels