◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- FAX・Eメール・電話で注文を受ける担当者への調査では、注文書の手入力が60%で最も多く負担として挙げられ、注文確認の連絡41.1%、保管30%が続く(2023年3月、食品小売・卸売業、n=90、複数回答)。
- 注文書を含む取引関係書類の保存期間は原則7年間で、起算点は受領日ではなく確定申告書の提出期限の翌日。青色繰越欠損金や災害損失金が生じた事業年度は10年間になる。
- 「注文書」と表示された文書は原則として印紙税の課税文書に当たらず、自動成立の申込書等、相手方作成文書に基づく申込み、双方署名押印のいずれかに当たる場合だけ課税される。
- OCRで手入力を減らしても認識率は100%ではなく、作業は打ち込みから確認して直すものへ置き換わる。注文書に書かれていない情報を聞く連絡は残る。
- 読み取り精度は、FAX画像を学習したOCRを使うか、複合機の受信データを直接使うか、傾きや拡大縮小の補正機能があるかで左右される。
目次

FAX・電話・メールで注文書を受けるとどこが一番の負担になるのか
朝いちばんに複合機から吐き出された注文書の束を取引先ごとに仕分け、品番と数量を基幹システムへ打ち直し、かすれて読めない文字は電話で聞き直す。
入力が終わった紙はファイルに綴じて棚へ。
この流れのどこを変えられるかを考える前に、はっきりさせておきたいのが、紙を手元に残す義務はどこまであるのか、収入印紙は要るのかという点です。
注文書などの取引関係書類は原則として7年間の保存が必要で、一方「注文書」と表示された文書は原則として印紙税の課税文書には当たりません。
動かせない部分を先に確定させたうえで、最も手間が集中している手入力をどう減らすかを考えると、担当者が代わっても回る形に落ち着きます。
手入力に「手間がかかる」と答えた人が6割
FAXで届いた注文書を手に取ってから、その内容が基幹システムに入り、紙が棚に収まるまでには、いくつもの作業が挟まっています。
受信した紙を取引先ごとに仕分け、品番と数量と納期を読み取り、画面へ打ち込み、読めない文字や桁があれば電話をかけ、最後に控えを綴じる。
ひとつひとつは数分の作業ですが、一日に何十枚と届けば、午前中がまるごとこの往復で埋まることもあります。
この負担がどこに集中しているのかを尋ねた調査があります。
食品小売・卸売業でFAX・Eメール・電話により注文を受けている担当者90名への複数回答では、「注文書の手入力に手間がかかる」が60%で最も多く挙げられました2。
2023年3月の調査で、対象は受注手段をFAX・Eメール・電話と答えた人に限られています。
業種も受注手段も絞り込まれた数字ですから、他業種にそのまま当てはめられるものではありません。
それでも、紙とFAXで注文を受けている現場ほど、入力作業が手間の中心になりやすいことは読み取れます。
6割という数字の意味は、「面倒だと感じている人が多い」ことにとどまりません。
手入力は時間がかかるだけでなく、打ち間違いが出れば出荷や請求まで影響が及ぶ作業です。
だからこそ入力後に読み合わせをし、伝票を出してからもう一度紙と突き合わせる、といった確認が重なります。
負担として意識されているのは入力そのものの時間ですが、実際にはその周りに張り付いた確認の時間も含めて「手間がかかる」と答えられている、と考えたほうが実感に近いはずです。
注文確認の連絡や注文書の保管も負担になる
同じ調査では、「注文確認の連絡に手間がかかる」が41.1%、「注文書の管理(保管義務)」が煩雑であるという回答が30%でした2。
複数回答なので、手入力が大変だと答えた人が同時に確認連絡や保管も挙げている場合があります。
つまり、ひとつの作業だけが突出しているのではなく、入力を中心に前後の連絡と後始末がぶら下がっている形です。
確認の連絡が発生する理由は、注文書の書き方が取引先ごとに違うところにあります。
自社の品番ではなく取引先側の呼び名で書かれていたり、「1ケース」が何本入りなのかが書かれていなかったり、手書きの数字の0と6が判別しにくかったり。
受注側で勝手に決めるわけにいかない項目が一箇所でもあれば、電話をかけて相手の担当者をつかまえるまで入力が止まります。
読み取りの精度を上げても、注文書に書かれていない情報は出てきませんから、この連絡がゼロになることはありません。
保管のほうは、性質が少し違います。
紙が増えること自体よりも、「いつまで取っておけばよいのか分からないので、とりあえず全部残している」という状態が負担を重くしていることが多いものです。
棚が足りなくなり、倉庫へ移し、探すときに時間がかかる。
この不安を解くには、まず法律上どれだけの期間を保存しなければならないのかをはっきりさせる必要があります。
なぜ紙・FAX中心の受注が今も残るのか
受注側だけの都合であれば、FAXをやめてデータで受け取ればよい、という話になります。
しかし注文書を送るのは取引先であり、どの手段で発注するかを決めているのも取引先です。
店舗の閉店後にその日の在庫を見ながら手書きし、翌朝FAXで流す、という運用が定着していれば、受注側から「システムに入力してください」と頼んでも簡単には切り替わりません。
背景として、受発注のやり取りを電子化している企業がもともと多数派ではなかったことも挙げられます。
中小商業・サービス業における「電子文書での商取引や受発注情報管理」の導入率は、2018年時点で18.5%と2割を下回っていました7。
これは食品小売・卸売業そのものを示した数字ではなく、現在の水準を示すものでもありません。
ただ、紙やFAXでのやり取りが長く続いてきた取引関係が広く残っていたことの手がかりにはなります。
ですから、負担を減らす出発点は「取引先にFAXをやめてもらう」ではなく、「届いた紙をどう処理するか」に置くほうが現実的です。
そのうえで、処理の途中に挟まっている制度上の制約――どれだけ保存しなければならないか、印紙を貼る必要があるか――を先に確定させます。
ここが曖昧なままだと、電子化を検討しても「紙を捨ててよいのか」で止まってしまうためです。
注文書は何年保存すればよいのか(法人税法上の保存義務)
原則7年、起算点は確定申告書提出期限の翌日
法人が取引に関して作成または受領した帳簿書類は、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければならないとされています1。
注文書は取引関係書類に含まれますから、FAXで受け取った一枚も、メールに添付されてきた一枚も、この対象です。
「重要な契約書だけ残せばよい」という扱いにはなりません。
見落としやすいのが起算点です。
数え始めるのは注文書を受け取った日ではなく、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日です1。
提出期限は事業年度が終わったあとに来ますから、年度の初めのころに受け取った注文書は、手元に置いておく実際の期間が7年より長くなります。
「受領日から7年」で棚を整理すると、まだ保存期間中の書類を廃棄してしまう可能性があるということです。
実務に落とすと、保管の単位は「書類の種類」ではなく「事業年度」になります。
注文書の綴りに受領月ではなく事業年度を書いておき、その年度の起算点を控えておけば、廃棄してよいかどうかを毎回調べ直さずに済みます。
保管が煩雑だという声の一部は、この基準が共有されていないことから来ています。
欠損金がある事業年度は10年に延長
原則は7年ですが、青色繰越欠損金または災害損失金が生じた事業年度については、保存期間が10年間に延長されます1。
平成30年4月1日前に開始した事業年度であれば9年間です。
欠損金の繰越控除を受ける法人が対象で、通常の事業年度は7年のままという整理になります。
ここは受注業務の担当者だけでは判断できない部分です。
その年度に欠損金が生じたかどうかを知っているのは経理・財務であり、注文書を綴じている現場には情報が下りてこないことが少なくありません。
結果として、迷ったら全部残すという運用になり、棚が埋まっていきます。
年度が締まった段階で、経理から「この年度は7年か10年か」を一言もらう仕組みにしておくと、後で調べ直す手間がなくなります。
綴りの背表紙に年度と保存期限の年を書いておけば、担当者が代わっても判断が引き継がれます。
保管の負担は、置き場所そのものよりも、捨ててよいかを誰も決められない状態から生まれているためです。
電子化しても保存期間の管理は残る
注文書をスキャンしてデータにすれば場所の問題は軽くなりますが、保存しなければならない期間そのものが短くなるわけではありません。
法人税法上の保存期間は、帳簿書類について原則7年間と定められています1。
データにしたから3年でよい、という扱いにはならないということです。
なお、今回参照した国税庁の説明は保存期間についてのもので、電子データとして保存する場合に満たすべき保存方法の要件までは示していません。
紙の原本を廃棄してデータだけを残す運用に切り替えるのであれば、その要件を所轄の税務署や顧問税理士に確認したうえで決めてください。
ここを確認せずにデータ化だけ先行させると、紙も残す二重管理になり、かえって手間が増えます。
電子化で軽くなるのは、探す時間と置き場所です。
軽くならないのは、年度ごとに保存期限を把握し、期限が来たものを判断して処分するという管理そのものです。
この区別をつけておくと、「保管が煩雑」という悩みのうち、どこまでが道具で解決し、どこからが運用の決めごとなのかが見えてきます。
注文書に収入印紙は必要か(誤解されやすい印紙税の扱い)
課税文書かどうかは名称でなく記載内容で判断する
保存の話が片付くと、次に出てくるのが「この注文書、印紙を貼らなくて大丈夫か」という疑問です。
印紙税では、ある文書が課税文書に当たるかどうかを、印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられた20種類のいずれかに当たる事項が記載されているか、当事者間で課税事項を証明する目的で作成されたか、非課税文書に当たらないか、という3つの点で判断します3。
そして判定は文書の名称や形式ではなく、実質的な記載内容によって行われます3。
この「名称では決まらない」という原則が、実務での迷いの出どころです。
表題が「注文書」だから安心とも言えず、逆に「注文書」だから常に必要だとも言えません。
見るべきなのは、その紙に何が書かれていて、それによって何が成立するのかという中身のほうです。
「注文書」は原則として課税文書に当たらない
結論から言えば、「注文書」と表示された文書は、原則として印紙税の課税文書に該当しません4。
毎日何十枚と届くFAXの注文書一枚ずつに200円の印紙を貼る必要があるのか、という心配は、原則としては不要だということです。
この原則が分かっていれば、電子化を検討するときの判断も一段軽くなります。
印紙税の負担を避けるために紙のやり取りを維持する、といった発想をする必要がそもそもないためです。
保存義務は残りますが、印紙は別の話として切り離せます。
ただし、原則があるということは例外もあるということです。
そして例外に当たるかどうかは、自社や取引先が使っているひな形の文言で決まります。
例外的に印紙税がかかる3つの場合と税額の目安
課税文書として扱われるのは、次のいずれかに当たる場合です4。
ひとつは、基本契約等に基づき、申込みによって契約が自動的に成立することとなっている場合の申込書等。
ふたつめは、見積書など契約の相手方が作成した文書に基づく申込みである場合。
みっつめは、契約当事者双方の署名または押印があるもので、これは相手方が別途請書を作成する場合を除くとされています。
自社のひな形を見るときは、この3つに対応する箇所を探します。
たとえば「本注文書は基本取引契約書に基づき、当社の発注をもって契約が成立するものとします」といった一文があるか。
「貴社お見積書に基づき、下記のとおり注文します」と見積書を引いて書いているか。
注文者と受注者の押印欄が両方並んでいないか。
いずれも文言そのものの解釈が問われるところなので、該当しそうなひな形が見つかったら、最終的な判断は所轄の税務署か顧問税理士に確認してください。
例外に当たり、第2号文書として課税される場合の税額は契約金額によって変わります。
契約金額が1万円以上100万円以下なら200円、100万円を超え200万円以下なら400円、200万円を超え300万円以下なら1,000円です5。
一枚あたりの金額は大きくありませんが、該当するひな形を日々の受注で使い続けていれば枚数は積み上がりますし、貼り忘れれば後から指摘を受ける対象になります。
逆に言えば、確認すべきなのは一枚ごとではなく、使っているひな形の種類です。
取引先から送られてくる様式が数種類に限られているなら、その様式を一度ずつ点検すれば、以降は同じ判断を使い回せます。
ここまでで保存と印紙という制度面の不確かさは片付きますので、残るのは最も手間がかかっていた手入力です。
| 契約金額 | 印紙税額 |
|---|---|
| 1万円以上100万円以下 | 200円 |
| 100万円を超え200万円以下 | 400円 |
| 200万円を超え300万円以下 | 1,000円 |
注文書の手入力の負担をどう減らせるか(OCR活用のポイント)
従来OCRとAI-OCRで認識率に差がある
OCRは、画像の中の文字を読み取ってテキストデータに変換する仕組みです。
FAXで届いた注文書の画像から品番や数量を拾い出せれば、画面を見ながら打ち直す作業そのものを減らせます。
ただし、読み取りの方式によって結果はかなり変わります。
FAX注文書を対象にした検証では、従来型のOCRの認識率が80%だったのに対し、AI-OCRでは98%という結果が出ています6。
これはPFUのAI-OCRソフト「DynaEye 11」による検証値で、他社の製品や、手書きの比率が高い注文書でそのまま同じ数字が出るという意味ではありません。
目安として、方式の違いがこれだけの幅を生みうる、と受け取るのが適切です。
この差は、残る確認作業の量として表れます。
一枚の注文書から100項目を読み取るとして、認識率80%なら20項目、98%なら2項目が人の目で直す対象になる計算です。
どちらにしても確認はゼロになりませんが、20項目を探しながら直すのと、2項目を直すのとでは、作業の性質が変わります。
前者は結局すべて見比べることになりがちで、後者は「怪しい箇所だけ見る」に近づきます。
ですから、OCRの導入で期待すべきなのは「入力がなくなること」ではなく、「打ち込む作業が、確認して直す作業に置き換わること」です。
入力ミスが心配で毎回全項目を読み合わせていた現場なら、確認する項目を絞り込めること自体が効きます。
一方で、注文書に書かれていない情報を取引先に聞く連絡は、読み取りの精度とは関係なく残ります。
FAXのデータは複合機から直接使う
精度を落とす原因として挙げられているのが、紙に出力したFAXを再度スキャンする運用です。
FAXの時点で一度画質が落ちているところに、印刷とスキャンでさらに劣化が重なるため、認識率が著しく下がるとされています6。
読み取りに使うのは、複合機に保存された受信データそのものにするのが基本です6。
これは道具の話に見えて、実際には習慣の話です。
「FAXが届いたらまず印刷する」という動きが染みついている現場では、印刷された紙が唯一の原本のように扱われ、複合機の中に受信データが残っていることが意識されません。
読み取りを前提にするなら、受信データを取り出す経路を先に決めてから、紙に出すかどうかを考える順になります。
また、FAXの画像を学習していないOCRでは十分な認識精度が出ないとも指摘されています6。
綺麗なPDFを読ませたときの精度と、FAX経由の画像を読ませたときの精度は別物だということです。
検討の際は、自社に実際に届いているFAXの画像で試すのが確実で、見本の帳票で試した結果をそのまま当てにしないほうが安全です。
傾きや拡大縮小の補正機能も確認する
FAXで届く注文書は、原稿が斜めに入っていたり、縮小されて送られてきたりします。
取引先に対して傾けずに送信してほしいと依頼するのは現実的でないため、傾きや拡大縮小を補正する機能を持つOCRソフトを選ぶとよい、という考え方が示されています6。
読み取りの枠と実際の文字位置がずれれば、どれだけ文字認識が優秀でも値は拾えません。
選定の場面では、認識率の数値そのものより、この3つの点を自社の条件で満たせるかを見るほうが実際的です。
複合機の受信データを取り出せるか、届いている注文書の様式で枠がずれないか、斜めに届いた一枚でも値を拾えるか。
いずれも、実際に受け取っている注文書を数十枚渡して試せば確かめられる内容です。
こうして手入力を減らしても、書かれていない情報を聞く連絡は残り、受け取った注文書を年度単位で保存期限まで管理する仕事も残ります。
減らせるのは、紙を見ながら画面へ打ち込む往復と、打ち間違いを探すための読み合わせです。
保存は原則7年、印紙は「注文書」なら原則不要という制度上の前提を先に固めたうえで、この転記の部分に手を入れるのが、担当者が代わっても崩れない順序になります。
| 読み取りの方式 | FAX注文書の認識率の目安 |
|---|---|
| 従来型OCR | 80% |
| AI-OCR | 98% |
保存期間の原則も印紙税の原則も、最後は自社が使っている注文書の記載内容と、どの手段で受け取っているかに当てはめて初めて判断できます。社内だけだと「前からこうしている」で止まりやすい部分です。
現在の注文書の様式と受け取り方を一緒に棚卸しして、どの項目が手入力として残っているのか、保存と印紙の扱いで確認が必要な箇所はどこかを整理できます。無料相談で要件を整理する
注文書対応で負担が大きい作業の順位
順位は公表された調査に依ります2。
公表された調査に依る順序
- 1位 注文書の手入力(60%)
- 2位 注文確認の連絡(41.1%)
- 3位 注文書の管理・保管義務(30%)
取引先ごとに品名の呼び方や単位の表記が大きく違う現場では、読み取りよりも確認の連絡に時間が偏ることがあります。数日分の実際の処理時間を作業別に記録してから着手先を決めると、この順位が入れ替わる場合もあります。
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 保存期間 | 原則7年間。青色繰越欠損金・災害損失金が生じた事業年度は10年間(平成30年4月1日前開始は9年間) |
| 起算点 | 受け取った日ではなく、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日 |
| 印紙税の要否 | 「注文書」は原則として不要。自動成立の申込書等、相手方作成文書に基づく申込み、双方署名押印のいずれかに当たる場合のみ課税 |
| 課税された場合の額 | 第2号文書なら100万円以下200円、200万円以下400円、300万円以下1,000円 |
| 手入力を減らす | AI-OCRの検証例は従来型80%に対し98%。複合機の受信データを直接使い、傾き・拡大縮小の補正機能を確認 |
| 着手の順番 | 手入力60%、確認連絡41.1%、保管30%(2023年3月、n=90、複数回答)を自社の実績と照らして決める |
読み取りの精度は、注文書の様式、手書きの比率、FAXの送信品質によって変わるため、一般的な数値だけでは自社での効果を見積もれません。 実際に届いている注文書を持ち寄って、読み取りで減らせる転記と、人が確認し続ける項目の線引きをどこに置くかを確かめられます。
よくある質問
電子化・保存した注文書も、紙の場合と同じ7年間の保存期間でよいですか。
法人税法上の保存期間は原則7年間で、紙か電子データかによって期間が短くなるものではありません1。
青色繰越欠損金または災害損失金が生じた事業年度は10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)です1。
ただし、今回参照した国税庁の説明は保存期間についてのもので、電子データとして保存する場合に満たすべき保存方法の要件までは示していません。
紙の原本を廃棄してデータだけを残す運用にするなら、その要件を所轄税務署や顧問税理士に確認してから切り替えてください。
注文請書と組み合わせてやり取りする場合も、注文書自体には収入印紙は不要ですか。
「注文書」と表示された文書は原則として課税文書に該当しません4。
契約当事者双方の署名または押印があるものは課税文書として扱われますが、相手方が別途請書を作成する場合は除かれるとされています4。
したがって、押印済みの注文書と請書を組み合わせている場合でも、注文書そのものの扱いは記載内容によって変わります。
自動的に契約が成立する旨の定めや、相手方の見積書に基づく申込みである旨の記載がないかを含め、使っているひな形ごとに確認するのが確実です。
手書きの注文書が多い取引先でも、AI-OCRの認識率は同じように期待できますか。
引用した従来型OCR80%、AI-OCR98%という数値は、PFUのAI-OCRソフト「DynaEye 11」による検証値です6。
手書きの比率や記入欄の作り、FAXの送信品質によって結果は変わりうるため、そのまま自社の効果として見込むことはできません。
手書き中心の注文書が多いなら、実際に届いている紙を使って試し読みをし、品番・数量・納期といった項目ごとに、どこが読めてどこが読めないのかを見てから判断してください。
FAXで受信した注文書は、紙に印刷してから保管すべきですか。それとも複合機のデータのまま保管すべきですか。
読み取り精度の面では、紙に出力したものを再スキャンすると画質が二重に劣化するため、複合機に保存された受信データを直接使うことが勧められています6。
一方、保存の面では、電子データとして保存する場合の要件は今回参照した資料では確認していません。
当面は紙で保存しながら、読み取りには受信データを使う、という分け方も取れます。
データのみの保存に一本化する場合は、保存方法の要件を確認したうえで決めてください。
- 1 出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間(タックスアンサー)」(確認時点の現行制度)
- 2 出典:IDEATECH(リサピー)/株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
- 3 出典:国税庁「No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断(タックスアンサー)」(確認時点の現行制度)
- 4 出典:国税庁「No.7118 申込書、注文書、依頼書等と表示された文書の取扱い(タックスアンサー)」(2026年)
- 5 出典:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」(2026年)
- 6 出典:株式会社PFU(リコーグループ)「FAX注文書はOCRできる?精度を向上させる3つのポイント」(2025年)
- 7 出典:中小企業庁(ミラサポplus)/日本政策金融公庫総合研究所「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(2018年)
画像の出典元
- Two office workers sorting documents in a dimly lit workspace with several file binders./Photo by cottonbro studio on Pexels